そして、4週間後……『臨島学校』初日。
『臨島学校』と銘打っている為、目的地は太平洋の上に浮かぶ孤島の為、船で向かう事になる。その為、集合先はIS学園島の東にあるIS学園へ搬入される物資の貨物港となっていた。
「南の島に向かうのかな?」
「水着新調しちゃった」
「島と言えば海だよねっ‼︎ やっぱり‼︎」
「うう〜、眠いよ〜」
「一夏さん‼︎ 私の水着に酔い痴れになって下さい‼︎」
「ちょっとセシリア、抜け駆けする気⁉︎」
日が昇る前の早朝の午前4時頃。眠い目を擦って着替えや荷物が入ったキャリーケースを持って、今回参加する1学年の生徒達が貨物港前に集まっていた。島へ向かうだけあって大半の生徒達は浮かれた気持ちで臨んでいる。
「あれ? あのクラス、めっちゃ大荷物じゃない?」
「3組、重装備だ……。何が入っているんだろ?」
「メッチャ気合いが入っているよ、あのクラス」
「重そう……キャリーケースじゃなくて何故、リュックサックなんだろ?」
その中で異彩を放っていたのが3組の生徒達だった。大型のリュックサックであり、他の生徒と違いキャリーケースなんてモノは一切持ち合わせていない。山岳猟兵もかくやと言う装備者達ばかりだった。
「……コンパスはあった方が良さそう?」
「無いよりはマシ。使えなかったら捨てるしか無いかもね」
「取り敢えず野外調達の見分け方を熟読して来ましたぁ〜」
「口調はちっとも安心出来へんなぁ……」
「応急処置の医療道具の不備は無いですか?」
「非常食とかも用意しておくべきだよね」
港には大型フェリーが8隻、つまり1クラスにつき1隻乗船する形となっている。
集合時間となり、千冬が港に現れる。
「諸君‼︎ 整列ッ‼︎」
千冬がメガホンを持って全体に聞こえるように声を届かせると生徒一同がクラス毎に整列した。
「うむ。担任教員は自分のクラスの人数を確認して下さい」
担任の教師達が生徒の人数を確認する。事前に欠席する者は省き、確認を終えて遅刻者が居ない事を確認する。
「遅刻者は無し。よし、ではこれより臨島学校が実施される太平洋沖の島に向かう。各クラス、同じクラスの番号のフェリーに乗り込むように。荷物等は指示に従って指定された場所に積み込む事」
1組ならば1番フェリーと言う形である。
「……日程の程は2泊3日となっている。それは事前に配布したしおりに書いているあるから理解しているだろう。
尚、私は今回の臨島学校には同行出来ない。……学園上層部絡みの面倒な仕事が重なってしまい其方を優先せねばならない。
よって、臨島学校における進行の権限を山田先生に一任する事になった。故に以後は山田先生の指示を良く聞くように」
千冬は今回の臨島学校に参加出来ない旨を説明し、千冬の権限を臨島学校に限り真耶に譲渡すると説明した。
「では、山田先生。後はお願いします」
「はい、任せてください。それでは、皆さん。指示された通りにフェリーに乗り込んで下さ〜い‼︎」
解散となり各クラスの生徒達は自分のクラスと同じ番号のフェリーへと乗り込んで行く。全員乗った事を確認したフェリーから出航し始める。
千冬は最後のフェリーが出航したのを見届けてから踵を返して自分の仕事に取り掛かる為にIS学園の本校舎へ向けて歩き出した。
太平洋の海を行く大型フェリー群。
「海だーーッ‼︎」
午前7時頃となり日も昇り明るくなった世界。大海原を征くフェリーのデッキにて1組の生徒達は海原を見てはしゃいでいる。夏と言うには少し早い気もするが、それでも島に行くと言う事は砂浜の海で遊ぶと言う事と同義である為に生徒達のテンションはMAXに近かった。
「皆、テンション高いなぁ……」
「そう言う織斑君は乗り気じゃないの?」
デッキ近くの日陰に当たる場所で一夏は壁に凭れながら皆の様子を遠目から眺めていた。
其処に2人目こと、シャルル・デュノアが声を掛けていた。
「キャーーッ‼︎ 織斑君とデュノア君のツーショット‼︎」
「織×デュノ? それともデュノ×織⁉︎ 何方でも行けるわッ‼︎」
「イケメンと守りたい系イケメンの組み合わせは尊い‼︎ 尊いわッ‼︎」
遠目からでも分かる。他の生徒から邪な目線が飛んでくる。
「一夏、こんな所に居たのか」
「あ、箒。どうしたんだ?」
「いや、お前の姿が見えなかったからな……」
一夏の元に篠ノ之 箒が合流して話が弾んでおり、其処にセシリアが突入して来て日焼け止め云々の話となって荒れるのはまた別の話。
「夏、海、暑い……‼︎」
所変わって4番フェリー。フェリーの船内で簪はウンザリした顔で窓から見える大海原を眺めていた。元々、インドア派である簪は要件以外は外に余り出たがらない。故に極力、外に出ないようにしようと決めていた。
『簪さん、少し宜しいですか?』
『あ、神楽』
と、其処へ神楽から秘匿通信で通信が来た。神楽と簪は別クラス。神楽は1組なので1番フェリーに乗っている。
『……どうしたの?』
『いえ、どうにも胸騒ぎがしますの』
神楽は胸騒ぎがすると言っている。まさか、また神楽の兄が仕掛けて来るのだと言うのだろうか?
『また、神楽のお兄さんが噛んでいるの?』
『いえ、今回の件に関してお兄様は関与はしていませんわ。あの人は其処まで暇ではありませんので』
——なら、別の意味なのかな。
『しおりの内容と言い、
『行事毎に厄介事が湧いて来る呪いに掛かっているのかな、IS学園って……』
簪としても急遽変更となって実施された今回の『臨島学校』。色々な意味で嫌な予感がするのは気の所為では無さそうだ。
『うん、分かった……日程が不明なのも気になっていたし』
『もしかしたら、とんでもない爆弾が仕込まれているのかも知れませんわね』
そんなやり取りをしている内に、程無く前方に大海原に浮かぶ自然豊かそうな島が見えて来た。進行方向的にフェリー群はその島に向かっていると分かる。
「「「島だーーーッ‼︎‼︎」」」
デッキの方から燥ぐような声が聞こえて来る。どうやらもう直ぐ到着するようである。
『ご乗船の皆様にお知らせします。本船は間も無く、目的地である五稜遊獄島埠頭へ着港致します。お降りの際はお忘れ物の無いようにお願いします』
そのタイミングでもう直ぐ到着すると言う船内放送が流される。だが、IS学園の生徒達はまだ知らなかった。何も知らないからこそ楽しいと言う感情が全面に出ると言う事を。
「(∧・ω・)∧」ンニッ
「こーら、ウィキちゃん。悪戯目的で
「むー (っ˘・з・˘)っ〜」