「…………」
ベルトの衣擦れや鎖が打ち合う音が耳に入る中、独房から脱走した簪は地下区画の廊下を音を立てずに歩いていた。
膝付近の革ベルト同士が鎖で連結されているので、非常に歩き難く尚且つ、走る事も難しい状態だ。誰かに見つかれば逃げ切れずに簡単に捕まるだろう。
「……んん」
地下区画には扉の概念は少ないらしく、通路と部屋、部屋同士を繋ぐ廊下の間に扉と言った仕切は余り見受けられない様である。簪視点から言わせて貰うと扉が無いと言う事は見晴らしが良いとも言えるが見つかりやすいと言う事にも繋がる。
——……えっと、此処は……?
「むにゅぅ……」
「えへへ〜、弟くーん……おっぱい、揉み揉みしよ〜」
「ウィキちゃん、其処は…………」
「うさぎさんと〜、たこさん〜……うぇへへ」
直進の通路を抜けた先、其処は大部屋が広がっていた。雰囲気的にはリビングか休憩所の様な空間が広がっており、部屋の幾つかにはお昼寝スペースとしての不定形のベッドが置かれている。その内、何人かが寝ているらしく、寝言が聞こえてくる。
——少なくとも3人。起こす訳には行かないよね。
物音を立てると起こしてしまう。ならば起こさない様に通り抜けるのが最善と言える。……途中で目覚めてしまえばその時点で囲まれる事になるので静かにかつ迅速に動く事も求められるのだが……。
——この状態だと、本当にゆっくり動くしかない……。
懸念すべきは鎖の音。極力、音を立てないようにゆっくり壁際を伝うように大部屋の中を歩く。中央やベッドの近くを歩くのは流石に危険と言える。
「んっ……‼︎」
——こんな、古典的な罠を……。
途中、歩く足が止まった。足元を見やれば其処には踏んだり蹴れば忽ち音が鳴りそうなモノが散乱していた。
「…………」
思わず踏んで音を鳴らしたくなる。捕まればお仕置きされると言う事からわざと捕まって虐められたい衝動に駆られた。
「……ッ⁉︎」
「……捕まえた」
——え⁉︎ い、いつの間に⁉︎
今、踏もうとした矢先に背後から細い腕が伸ばされ後方へと引き込まれた。直後、背中に伝わるは柔らかい膨らみと革ベルトの衣擦れと留め具の冷たさ。
その感触の刹那、視界が急激に反転する。まるで一息に投げられたかの様に視界が回り次に赤い天井が見える。衝撃は殆ど無かった為に、先程見た、数あるベッドの内の1つの上に投げられた様だ。
——え、えっと、何が起こって……⁉︎
混乱する最中、視界に1人の女性の顔が映る。長く紫がかった黒髪を靡かせている。服装は例の如く囚人服であり、上下の黒革のベルトに縛られた巨胸が更に強調されている。(彼女のみならず『ストラトス・デザイア』の職員は巨乳の人が多い気がする)。
現在の構図としては壁ドンならぬ床ドンされて覗き込まれている様な形であった。
「……じゃあ、つける」
——何を⁉︎ 言葉の前後が抜けている……‼︎
彼女は腕を動かすと同時に手元に量子変換されて展開された鈴が握られている。動かせばチリンチリンと音が鳴りそうな鈴である。それを簪の首輪の先に取り付けた。事前に付けられていた首輪に鈴も相まってペットの様な気分にされる。
——…………ペットになった気分。
「……後ろ、向ける」
まだ終わらないらしく横に横転させらられ、背中を向けさせられた。試しに逃げようともがくと背中を押さえつけられる。意外にもかなり力が強いらしく逃げ出せそうにない。
「暴れないで、痛いから……」
——言葉の前後が無……ひゃう⁉︎
「んんっ⁉︎」
その時、下半身。具体的に言えば下着のパンツが脱がされた。外の大気が秘所に触れて少し冷たい感触が伝わる。
「……綺麗。ちゃんと、されてる。手間が省けて良かった」
——……永久脱毛されてなかったら此処で剃るつもりだったの⁉︎
彼女の言葉は其処まで多いとは言えない。だが、下着を脱がされてアナルが丸見えの状態で何をされるのか、ある程度予想は出来る。抵抗しても良いが、やはり捕まった以上は大人しく従う方が簪自身の欲求が満たされる為にされるがまま、力を抜いて身を彼女に任せた。
——……彼女達は全員ISを所持している様なモノだし……量子変換で取り出されると何が出て来るか分からない。
「力を抜いて、じゃないと痛いよ」
「ッ⁉︎」
足に冷たく滑りのある液体が垂れて来た気がする。使った事は無いが、恐らくローションだろう事は予想出来た……。
——……開発、されちゃう♡
「……兎さんは寂しいと死んじゃうから」
顔を動かして後方を見る。彼女も見える様に見せたソレは複数の球体が連なる様に繋げられその先端には白いモフモフそうな球体。兎の尻尾の様なモノ……兎型のアナルパールの尻尾であった。既にローションで塗りたくっており、今も液体が垂れている。
「……うーん、未開発、か。……アナルはまだ、と。少し痛いと思うけど、我慢して」
彼女はそう言うとアナルパールの先端部を簪のアナルへと差し込む。
「ンンッ⁉︎ ンムゥゥゥゥ♡⁉︎」
拡張される感触。押し広げられ敏感な箇所が圧迫され思わず言葉にならない嬌声が鳴る。
「流石にキツイ。じゃあ、少し抜いて……」
「ん゛ッ……♡ ンンッ♡」
ローションで摩擦が少ないとは言え肉壁のズレによる刺激は免れない。
——お尻の穴……何かを入れられるとこんなに気持ちいい、なんて……♡
「……我慢して。一気に行くから」
「ンンゥゥゥゥゥゥゥゥ♡‼︎‼︎」
そして、勢いをつけて根本の尻尾まで一気に押し込まれその刺激で簪は絶頂した。
「ん、んんぅ……♡」
——首輪に鈴を付けられて、尻尾も生やされた……♡。
「……定期的に振動、する」
「……♡」
相変わらず言葉の前後が無いが、恐らく先程挿入されたアナル尻尾にはローターと同じ振動機能が備わっているらしい。つまり、捕まった罰として秘所の中にバイブと言うペナルティを課されたのだ。
——逃げたいのに、捕まれば逃げ難くされる♡
「貴方は後、2回。捕まれば……うん、後は自分の身で確かめて」
簪に鈴とアナル尻尾を付けた彼女はそう言い残すとベッドの上から降りて視界から外れ立ち去って行く。
「……搾乳牢に行かないと、今日、当番だし、遅れるとユリエに怒られる」
遠くでそんな言葉が聞こえた。搾乳牢とは初耳だが、『ストラトス・デザイア』の職員の大半は被虐体質だと聞いているから、予想だと搾乳される為の牢屋だと思う。
「……ンン」
——……後、2回……。捕まったら、私……どうなるんだろう?
その言葉は意味深であり、被虐者である簪は興味があった。何かしら大きなペナルティがあるのかも知れない……そんな恐怖に少しばかり背筋がゾクリとした。
——とりあえず……この部屋を離れよう。
幸いにもこの部屋で寝ている面々は目覚める気配が無かった。アナル尻尾で拡張され痺れが残る身体を起こして少しずつ歩き出す。その度に首に付けられた鈴が鳴ってしまう。
鈴が鳴ると言う事は自分の場所がバレると言う証明にも繋がる。鈴が鳴らない様に動かなければならない。
——……あ、アナルのローターが震え始めた♡
「……ンッ‼︎」
その時、ローターが振動を始めた。ヴヴヴと言う小さな音が鳴り、身体の中で快楽へ誘おうと揺れ始める。
「ん゛ッ、んん゛ッ♡」
——……まだ、これは序の口だと思う……。
大部屋を離れ、出口を探すべく鈴の音を鳴らさない様に通路を歩き始めるのだった。