※この作品はR-18です。

ストラトス・デザイア   作:夢現図書館

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**への行進

 

 

 

 土日を挟んで翌日の月曜日。7月1日。今月でIS学園の1学期は終了し夏休みへと突入する事になる。

 

「諸君も知っての通り、明日から翌週の月曜日まで1週間に渡る期末試験がある」

 

 1組の朝のホームルームにて担任教師の織斑 千冬が大事な連絡事項である期末試験の全容を説明する。急遽、臨島学校の予定が入った為に日程にズレが生じた為にこの様な試験日程となったのだ。

 

 期末試験、それは一喜一憂となる学生達にとって大事な試験である。IS学園も当然ながら学力試験は存在している。こと、IS学園は他の公立、市立、私立とは違い定期試験は無く各期の末に行われる期末試験の1発勝負のみ。

 この試験の結果で進級や卒業……そして落第の可否が確定する事になる。

 

「火曜日から木曜日にかけては一般学科やIS学科の筆記試験。金曜日と月曜日はISによる実技試験だ。開始時間、試験場所は各自で確認しておくように。遅刻者には試験は受けられないから遅れないようにする事だ」

 

 千冬の言葉に生徒達は沈黙したまま聞き入れる。

 

「赤点を取る様な場合は夏休みは補習で埋まる事を覚悟しろ。何、日々学習していれば赤点になる様な酷い点数を取る事は無いだろう。なぁ、織斑?」

 

「え゛⁉︎ お、俺⁉︎」

 

 突然、千冬に名指しされて一夏は狼狽える。IS学園はエリート校、当然ISの学校であり其方の時間もとらねばならない為に全体的に学習スピードは速い部類に入る。正直な所、一夏にとっては追いつくのがやっとの状態だ。

 

「……冗談はさておき。諸君らに1つ警告がある。IS学園には留年と言う概念は無い。そして、各学期間に付けられる総合成績において最も成績が悪かった最下位の者は落第……つまり退学となる」

 

 千冬の有無を言わさぬ声音で告げられた言葉。落第、そして退学と言う言葉に生徒達に緊張が走る。

 

「ら、落第って……‼︎」

 

「誰か1人は必ず、辞める事になるの……⁉︎」

 

「各学期……つまり、3人が……‼︎」

 

「静かにしろッ‼︎ この処置は成績不振のまま、在学させても時間の無駄だと言う配慮も含まれている。ISにも向き不向きがあるからな。背伸びして続けても報われるとは限らん」

 

 千冬は一喝した後に理由を説明する。最もらしい内容ではあるがその『退学』の先がどうなっているかは千冬本人は知らない。

 その退学者が性奴隷や肉便器になっている事を千冬は知らない。

 

「……後、それと何人かは察しているかも知れんがデュノアは本国からの命令で急遽帰国。自主退学する運びとなった」

 

「「「えぇぇぇぇぇぇ‼︎⁉︎」」」

 

 音響兵器もかくやと言う声量の悲鳴が響き渡るが再び千冬が一喝して黙らせる。臨島学校から帰って来て早々にそんな事を言われては文句も言いたくなるのが生徒達の心情か。

 

「……デュノア君はフランス代表候補生でフランス政府に帰属しています。彼はフランス政府の意向で出向編入した身ですので、国の命令に従う義務があります。IS学園は二の次、三の次です」

 

 真耶が補足の説明を入れるも、裏の事情を知らない生徒達の動揺は収まらない。

 

「騒ぐな、馬鹿共。代表候補生になると言う事は自分の意思で動けなくなる事を意味する。専用機を欲しいと吐かす連中にはまだ早いな。根本的な理解が足らん」

 

「「「ッ」」」

 

「……さて、他に説明しなければならん事は」

 

「織斑先生、『学年留学』の件は早めに説明しておくべきかと思います」

 

「む、あー、あったな……。IS学園始まって……いいや、何処の学術機関でもやった事の無い内容だな。……正直、私も把握しきれていない」

 

 千冬はその内容に関しては聞いてはいた。色々な意味で不安だらけと言えた。

 

「では、私から説明しましょうか?」

 

「うむ、任せて良いだろうか?」

 

 教壇に立つ者の交代が入り真耶が教壇の上に立って説明を始める。2学期丸々使って行われる『学年留学』と言う概念の説明を。

 

「はい。夏休みが明けてから皆さんには『学年留学』に参加して貰います。一言で言えば1年生、全員が別の学校に留学すると言う形になります。

 機関は9月から12月半ば……。つまり、ほぼ2学期全てとなります」

 

 その言葉にザワザワと騒めき始めるが三度、千冬が一喝して静かにさせられる。相変わらずだ。

 

「留学先は『五稜学院』。IS学園以外で唯一、IS関連の技術を有する私立学院です。基本的に2学期は五稜学院側の校則、規則に従って行動して下さい。あ、問題は起こさないで下さいよ? 場合によっては庇い立て出来ない可能性もありますから」

 

 釘を刺す真耶。その視線は専用機持ちに注がれていた。理由は色々。

 

「一応、両校の学習スピードは異なる問題があった。

 彼方側との協議した結果、IS学園側の教師によるリモート授業を導入する為、調整を進めている」

 

 つまり五稜学院に居ながら、千冬と言ったIS学園の授業も受けられる事を意味している。

 

「先生、五稜学院って聞いた事が無いですが……?」

 

「それに関しては私も初耳でな。今の今まで、聞いた事が無いしIS学園以外でISに携わる学術機関が存在しようとは思ってもみなかった……。IS関連ならば多かれ少なかれ情報が出回っても可笑しくないのにな。山田先生は何か知っているか?」

 

「ええと、五稜学院は秘密主義で選考方法もスカウト制を導入しているそうです。IS学園と違う部分も多分に存在しているんでしょう」

 

「ふむ、成程な。少なくとも学園長は知っていたみたいだしな……。山田先生、続けてくれ」

 

「はい。留学先ではリモート授業以外、私達は関与は出来ません。五稜学院内での生活様式等は彼方側の教員や生徒達に直接尋ねてください」

 

「そして、織斑」

 

「え、あ、はい‼︎」

 

「……お前は男性操縦者だ。それは自他共に認められる確定事項だ。今回の学年留学においてIS学園上層部は参加させるか否か割れている。

 男性操縦者の希少性を加味して2学期の学年留学についてはお前だけIS学園に残すべきと言う意見が出ている」

 

 つまり、2学期の期間中。IS学園の1年生は一夏だけ3ヶ月間は1人で過ごすと言う何処の罰ゲームかと思いたくなる光景が広がる。

 

「これは織斑だけの問題では無いが、五稜学院にもルールがある。IS学園のルールが通用する保証は無いし、全く異なる独自のルールが施行されている場合もあるだろう、仮にも私立の学校だからな」

 

 IS学園の監視が無い場所に希少な男性操縦者を置いておけるのか?と言う問題だ。IS学園とて留学先の学院を全幅信用している訳ではあるまい。

 

「それらを踏まえ、織斑はどうしたい?参加するのか、しないのか? 一応、お前の判断を聞きたかったからな」

 

 生徒達の視線は一夏に向けられている。

 

「俺1人だけ仲間外れはあんまりだろ? それに、ISもあるしさ‼︎」

 

 一夏はそう宣言する。腕を見せて、自身の専用機である白式のガントレットを見せる。一応、自衛は出来ると言う意思表示のつもりだろう。

 

「……そうか。五稜学院側も男性操縦者の存在を認知しているだろうしな。何かしら対策は考えているだろう」

 

「織斑先生‼︎ 必要なモノとかは」

 

「学年留学期間中、基本的なモノは全て五稜学院側が用意するそうだ。

 生活する上での部屋も用意するとの事で、特に必要なモノは無い。まぁ、精々が五稜学院へ移動する時に必要な酔い止めくらいだろう」

 

「説明を進めても良いでしょうか?

 最後に学年留学期間終了後にも期末試験がありますので、勉学は怠らない様にして下さい。留学先の五稜学院で遊び呆けていては2学期の成績はズタボロになりますよ?」

 

 その言葉に失笑が漏れる。

 本来、留学とは本人の実力向上の為に行われるモノ。その結果、酷い有様では笑えないからだ。

 

「他に質問は……無いようだな。山田先生も他に説明事項は残っていないか?」

 

「はい。現在提示出来る情報は以上となります」

 

「そうか……では、ホームルームを終了して授業を始める。参考書、教科書等を出すように‼︎」

 

 

 

 

 





 五稜監獄学院の『監獄』が抜けているのは意図的。誰とて留学先が監獄なんて行きたくは無いでしょう。
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