※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活 第2部   作:エスカルゴ・スカーレット

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四大勢力

「────エスカルゴくんから話があるだなんて、ちょっと珍しいわねぇ」

 

「だな。お前の役割は、私ら『勁剛霊三者同盟』の仲介役だものな」

 

「クックック……。袿姫や早鬼が警戒するのも無理は無いな。エスカルゴ、後ろに控えているお前好みの幼女2人はどこの誰だ?」

 

 畜生界にて。袿姫、早鬼、饕餮という畜生界3大勢力の長を呼び出し、普段会合するときのように、霊長園にて会議を始める。

 ただし今回は橋渡し役のはずの俺が主導であり、紹介も兼ねてシエル、ルビーも居る。

 

「……現在(いま)の畜生界は、霊長園、勁牙組、剛欲同盟の3大勢力で均衡を保っている」

 

(何やら威厳たっぷりに話してるけど女の子の前でカッコつけたいだけよね?)

 

(後ろの子供の前でカッコつけたいだけだな?)

 

(見え透いたカッコつけだな。まぁ構わんが)

 

「他ならぬ、八千慧の率いる鬼傑組の失墜────知っての通り俺が潰したんだが、この度、八千慧は地獄から復活した。……勝手ながら俺が復活させた」

 

「「「!?」」」

 

「そして八千慧及び鬼傑組をへカーティアの配下に据えた。今の八千慧は俺の一個下の位置付けだよ。ピースが第一、俺が第二。八千慧は第三の配下って感じだね」

 

「……あの八千慧を?エスカルゴくんが?」

 

「いけ好かないが、エスカルゴの判断なら、まぁ、私は何も言わないでおこう。私よりは、アレコレと深く考えているんだろうし」

 

「しかしお前、あれだけ八千慧を嫌っておいて……。今更どうしたというんだ?アレの身体なんぞ、私の身体と違いお前の好みでもなんでもないはずだが」

 

 俺が八千慧を嫌っていたのは周知の事実。だから袿姫も早鬼も、饕餮も驚きを隠せない様子だ。だが俺の判断だからと、追求はすれど反対まではしないらしかった。

 

「聞きたいことは色々あると思うけど、今回の話の主役は八千慧ら鬼傑組じゃない。これはあくまでも単なるお知らせさ。────この度、俺の組織も、畜生界のパワーバランスの一角を担おうと思って。その挨拶(・・)をしたくてね」

 

「「「俺の組織(・・・・)?」」」

 

「堕天使集団『グリゴリ』────俺が頭首だよ。副頭首はこの2人に務めてもらう。弖使魔(てしま)シエル、雨塚(あまつか)ルビー。共に元天使だ。堕天し、吸血鬼にして俺の眷属にした」

 

「天使……堕天……吸血鬼化?んん?」

 

「ほおぉ〜う……エスカルゴも遂に畜生界統一争いに参加するのか!」

 

「それはしないだろう。橋渡し役を買って出たのは他でもないエスカルゴだ。自らこの均衡を破壊するような愚かな真似はしまい。そもそも統一争いなどここ数年していないだろ」

 

「うん。統一には興味無い。もし争うのならそれは袿姫、早鬼、饕餮に任せるさ。ただ、畜生界に俺の組織の拠点だけ置かせてもらおうと思ったんだよ。それだけなら構わないだろう?神様の楽園を壊した実績という、折り紙付きの実力者揃いだぜ?」

 

 まぁ半数以上はこの前の天界での戦いで死んで、今は人手不足なんだけど────とは言わない。

 神という言葉を聞き、早鬼、饕餮はバッと袿姫を見やる。しかし何のことか分からない袿姫はサッと俺の思考を読み、意図を、その真意を理解した。

 

「……全く、神を前に『神の楽園を壊した』なんて。私じゃなかったらその首、飛んでるわよ?」

 

「はは、大丈夫大丈夫。まぁそんなワケだからさ、早鬼の勁牙組本部からそう遠くないところに拠点を置くことにする。その方が早鬼としても安心だろ?有事の際はすぐ俺ん組織に頼ってきなね」

 

「お前とはもう番(つがい)みたいなものだしな。遠慮なく、そうさせてもらうよ。組織ぐるみの付き合いにまで発展しようとは思わなかったけどな」

 

「それにしても硬そうな名前だな。柔らかい幼女が大好きなエスカルゴらしさが微塵も感じられんが。その『グリゴリ』ってのはどういう意味なんだ?」

 

「ギリシャ語で『見張る者』。……どうだ?」

 

「見張────」

 

「あらあら……思った以上にピッタリだったようね」

 

 早鬼は目を見開き袿姫は口元に手を当てて笑う。俺の幻想郷での役目、ハーレム主としての行動や、これまでの実績。

 それら諸々の事を考えると割と合ってるだろうと胸を張ってみたくなる。

 

「『見張る者』、か。すまないなエスカルゴ、私の余計なお節介だったらしい。最高にお前らしいよ」

 

「饕餮にそう言ってもらえて嬉しいよ。やっぱり、改名はしなくて良かった。なっ、シエル、ルビー」

 

「だね☆」

 

「そう、なんですかね。私はよく分かりませんが」

 

(((サラッと言っているけど、それって元あった組織を乗っ取ったって事なのでは……??)))

 

 

 ◆

 

 

「というワケで!幻月、夢月、くるみ、エリーッ!それとリサ!この夢幻館にシエルとルビーの2人を住まわせてやってほしいッ!!頼むッ!!」

 

「よろしくお願いしまーっす!」

 

「……お願い致します」

 

「「え、ええ〜ッ!?」」

 

「パパ、急すぎ……」

 

「そうだよお兄さん。いくら何でもさ、ちょっと、今すぐってのはさー」

 

「私は幻月達に任せるから何でもいいよ」

 

 夢幻姉妹は驚愕し、リサとくるみは引き気味だ。まぁ当然だよなぁ、と汗をかくが仕方ない。流石のリサでも、全く肯定してくれそうな気配が無い。

 だがそれでいい。俺は、自分の子供を男女問わず俺のイエスマンに育てたつもりはサラサラ無いのでこうやって自分の意見を言ってくれるということは素直に嬉しいものだ。

 

「というか……夢月、もう空き部屋……無くない?」

 

「んーと……確かそうだね、リサの子供部屋とリサのクローゼットで少なくとも2部屋は使ってるから」

 

「私、クローゼットだけで2部屋使ってるよ」

 

「じゃあリサだけで3部屋だね」

 

 いや多すぎだろう。リサがオシャレさんなのは、俺もよく知っていた。しかし2部屋も使うレベルでオシャレだとは、この父の目を以てしても……。

 

「私とエリーだって大きめとはいえ相部屋だしね。更に2人はキツイと思うな〜」

 

 十六夜親子、いや、モルモーに頼んで空間拡張を頼もうとも思ったが、空間拡張はあくまで空間拡張でしかない。部屋を増やすワケではない。紅魔館が特殊なだけだ。

 

「……そうだ、物置き部屋は!?確か物置きも2部屋あったよなっ!?」

 

「え。そりゃーあるけど……2部屋共、狭いわよ?」

 

「ていうか物置き部屋に2人のこと住まわせるの?流石のお兄さんでも引くよ」

 

「俺が改装する!だから1部屋だけくれ!頼む!」

 

「……どうするの、姉さん?」

 

「んー、まぁ他でもないダーリンの頼みだしぃ……。でも、今回だけよ?夢幻館は紅魔館みたいに余裕があるわけじゃないの!これで分かってくれた?」

 

「あぁ!分かった!ありがとう幻月!今度、お礼はゆっくりするからっ!待ってろシエル、ルビーッ!5分で終わらせるからそのまま待っててくれ!」

 

「あ、どうせ部屋にするなら東側の部屋にした方がいいよー、そっちは日光も入りやすいからー!」

 

「了解夢月!」

 

 夢月のアドバイスを背中で聞きつつ、夢幻姉妹、リサ、くるみ、エリー、シエル、ルビーを門の前に放置して夢幻館に飛び込む。

 夢幻館も今は「宿泊ローテ」に入っているのだ、俺だって間取りくらいは全て把握している。

 俺は転送魔法にて物置きの荷物を全てもう片方へ移動させると、魔術の神としての神徳を発揮する。まず水属性の魔法で部屋を水浸しにして汚れを全て取り去って、火属性の魔法にて瞬時に乾燥。東側の壁を殴ってブチ抜いて、錬金魔法にて窓付きの壁に改装する。可愛らしい、レースのカーテン付きだ。

 とりあえずは、こんなものだろう。相部屋なら、あとは2人の好みを逐一確認して、部屋に机などの物品を創造魔法で創造してやればいい。

 そして最大の問題はこの狭っ苦しい部屋である。これに関しては時間魔法の応用からどうにかできるというのは、咲夜さんの例を知っているので俺でも分かるのだが────時間魔法などはミスをすると取り返しがつかないレベルの魔法。今の俺にはまだ難易度が高い。

 

「……咲夜さんなら安定か」

 

「ッ!……旦那様!?ここは……一体?」

 

「すみません咲夜さん、仕事中なのに。実は……」

 

 スキマを使って咲夜さんを紅魔館から連れ出し、軽く事情を説明して、俺の代わりに部屋を拡張してもらった。仕事中なのは申し訳ないとは思ったが、今は、土下座でもSMプレイでも何でもしてやる。

 そして約束の5分後────シエルとルビーだけではなく、夢幻館メンバー全員を呼び、部屋の確認などをしてもらった。ミニマリストの如く部屋には何も無いが、2人の好みを確認してから用意すると伝えると納得してもらえた。

 

「へー、あの物置きがこんな部屋に……。ていうか、窓なんてあったっけ?」

 

「魔法で壁ごと作り替えたんでしょ。ほら確かあのモルモーって吸血鬼に錬金魔法を教わったって前に言ってたじゃない」

 

「あー、言ってたね。あとお兄さんさ、なんか魔力増えたね?」

 

「えっ?そ、そうかな?」

 

「うん。すんごい跳ね上がった気がする。でも一瞬だけだったような……」

 

「やっぱ夢月もそう思った?なんか一瞬だけ、あのへカーティアとかいう、変なTシャツの女神に少し似てたと思う」

 

「ママ……あのシャツはパパも好んで着てるよ」

 

「うぇっ!?そうだっけ!?ごめんダーリン、別にダーリンのセンスを貶してるワケじゃないの!」

 

「いやいいよ……言われ慣れてるから」

 

「あうぅ……」

 

 ……そんなこんなで、シエルとルビーの夢幻館への入居は決まった。

 因みに夢幻館にした理由は、紅魔館にするとまたレミリアから怒られるからだとか、そういった理由ではない。元天使の悪魔というこの2人の境遇が、

「見た目は天使、中身は悪魔」という、幻月母娘と似ているなと思ったからである。早い話が、「天使繋がり」というワケだ。

 そして次の日────ルビーとまったり交わり、色んな意味で「繋がり」を強化したのであった。




この後、2023年6月12日1時。お楽しみに。
……え?眠いって?
それは残念。リアタイ出来ない方は、今夜は寝て、モーニングティーと共にお楽しみくださいませ。


作者が持つ声イメージと参考キャラ
シエル:CV大久保瑠美(浅黄ムツキ)
ルビー:CV井澤詩織(二重丸(ふたまる)くるり)
リエ:CV早見沙織(桐藤ナギサ)
霊魔:CV緒方恵美(碇シンジ)
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