※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活 第2部   作:エスカルゴ・スカーレット

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ジューン・ブライド

 その日、幻想郷の妖怪界隈はお祭り騒ぎだった。

 というのも、この俺・エスカルゴの、数年ぶりの結婚式が紅魔館にて行われるからである。招待客は妖怪の知り合い達やファミリー、チルドレン全員。当然、冷戦状態の早苗の事も呼んでいる。

 そして、結婚式とは言いつつ、今回に限っては、披露宴の方がメインである。

 

「……緊張する?」

 

「そッ、そりゃあ緊張するに決まってるでしょ!?エスカルゴと違って初めてなんだから!」

 

「大丈夫、俺も緊張してる。5回目とはいえ、ね。ねェ、紫さん?」

 

「ええ、そうね。私も……らしくないくらいに、胸が高鳴っているわ」

 

 今日、俺は5人目、6人目の嫁を同時に迎える。5人目は鈴仙、6人目は紫さん。そう、実はこれは文字通りの両手に花状態での合同結婚式である。

 実は今年は兎年なので、鈴仙と結婚するのに最適すぎる機会だった。そして紫さんも紫さんで今年のジューン・ブライドに結婚すると決めていたので、ならばと、幻想郷初の合同結婚式を行うことに。

 この状況にブチギレているのは、紫さんの式神、八雲藍だけだ。なので昨日のうちに、弾幕ごっこで対応しておいた。

 

「それでは新郎新婦の入場でーす!」

 

 司会者であるにとりの宣言と同時に、重たい扉が両側から開かれる。式場ですらなく教会でもない、ただの館での式だが、俺達には、十分過ぎた。

 仲人に案内されつつ俺達3人は新郎新婦の席へ。途中、鈴仙がウエディングドレスを踏んづけて軽くコケそうになったが、それを俺が助け出すという、ある意味で幸先のいいスタートを切れた。

 そしてこの結婚式、ウェルカムスピーチは司会者ではなく、俺自らがやる。まぁ初めてだし、気楽にやろう。

 

「────えっ……と、お集まりの皆さん、ようこそいらっしゃいました。今日は俺達の結婚式にご出席頂き、本当にありがとうございます。今日の天気は生憎の土砂降りでしたが、軽〜く雲を晴らしたので帰り道の方はどうかご安心ください。濡れたい方がいらっしゃるなら、我が娘、樹理愛に頼むなりしてまた雨を降らせてもらってください」

 

 とか何とか言いつつ、つらつらとスピーチ。俺の話の途中で寝やがった長男には後で頭にゲンコツを喰らわせてやるとして、ともかく俺の話は終わり。

 俺側の主賓は霊夢と霊魔、鈴仙側の主賓は永琳と輝夜、そして紫さん側の主賓は隠岐奈と茜が務め、それぞれ1人ずつスピーチをする。霊魔は、かなりガチガチに固まっていたが、シガレットの見守りの効果もあり、どうにかスピーチをやり遂げられた。

 永琳の話は俺でも目がしょぼしょぼしそうな程に長かったし、隠岐奈は隠岐奈で自分の神徳なんかと絡めた話が長く、それはもう長く、俺でさえも軽く船を漕ぎそうになってしまった。全校集会での校長先生の長話みたいな隠岐奈の話し口にはもはや脱帽しか出来なかった。

 

「えーそれでは乾杯といきましょー!出席者代表の霊夢さん!乾杯の音頭をお願いしまーす!」

 

「やっと乾杯まで来たわね」

 

 一番最初の嫁が出席者代表というのも、なかなか狂ってるなと思わなくもない。そしてそれを平気な顔で引き受ける霊夢も、少しずつではあるが、俺に染まってきたなと思う。

 霊夢の音頭で乾杯し遂にケーキ入刀。咲夜さんと弦月姫の共同制作らしい巨大ケーキは、飛ばないと入刀できないくらいに大きい。

 俺が真ん中に立ち、両側から鈴仙、紫さんの手を添えられて、フワフワ着地しながら入刀していく。その瞬間、カメラのフラッシュが凄すぎて、笑顔を見せるどころか、逆に目を細めてしまっていたかもしれない。

 その後、祝電などのものは省略し、余興には皆の弾幕ごっこやら、子供たちが「エスカルゴ幻想入りからハーレム構築まで」を演じる劇を見たりなど、かなり楽しませてもらった。

 因みに主演のエスカルゴ役は霊魔である。

 

「それでは新婦より、家族への手紙の朗読です!」

 

 普通なら「両親へ」なんだよなぁ。そうではなく家族相手なのが、実に幻想郷らしいというか、人間らしくないというか。

 鈴仙は永琳、輝夜、優曇華院姉妹に向けて、一方紫さんは藍への思いを綴った手紙を、皆の前で朗読してくれた。鈴仙は途中から感極まって泣き出してしまったくらいには、盛り上がった。

 その後の両家の代表挨拶は、俺の方からは駆翔、鈴仙側からは輝夜が、紫さん側は藍が担当し、長いような短いようなスピーチをしてくれた。

 本当ならここも霊魔に任せようとしたが、霊魔の恥ずかしさも限界突破してしまったので、ここは、駆翔に任せる事にした。

 そして遂に、えんもたけなわ。スポットライトを浴びた新郎の謝辞である。

 お堅い文章の朗読は途中、およそ半分まで。残り半分はいつもの俺らしく、フランクな口調で全員に語りかけるように話した。

 一部の娘は泣いたり、または妖舞なんかは欠伸をして妖夢に怒られたり。そんな「いつもの光景」を随所で見ながら、俺のスピーチも終わり、にとりのアナウンスにて俺達は退場……。

 

「き……緊張、したぁ……」

 

「お疲れ。今夜はゆっくり休もうか」

 

「ふふ、お疲れ様、2人共。今日は楽しかったわ」

 

「こちらこそ。まさか結婚式も披露宴も合同でするだなんて思わなかった……。でも、楽しかった!」

 

「ほんとな。……ありがとうございました、紫さん」

 

「いーえ、こちらこそよ。初夜は、2人でラブラブ過ごしなさい」

 

「あ、それなんですけど……」

 

「?」

 

「エスカルゴと話し合って、今夜、紫さんのこと、永遠亭に招待しようと思って」

 

「結婚式から披露宴まで合同でヤッたんですから、ここまで来たら、最後まで合同でイキましょって。どうですか、紫さん?今夜はこの3人で3Pでも」

 

「……お誘いは嬉しいけど、そちらの──八意永琳がなんて言うか分からないからね……」

 

「あ、お師匠様からは許可取ってるから、その辺は安心して」

 

「永琳先生からは俺からも許可取ってあるんで別に気にしなくていいですよ」

 

「取ってるの!?いや、取れたの!?……そ、そう、なら、今夜は永遠亭に厄介になろうかしら……?」

 

「「……!はいっ!」」

 

 その日の夜。3Pで畳が凹むくらい激しく盛(さか)って朝を迎えた俺達は、汗まみれ汁まみれの朝を迎えて初めて、結婚式を終えた────ような気がした。

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