精液をお漏らしした後は、シガレットにより軽く搾精された霊魔。地下の大図書館から階上に戻ると丁度、魔理沙も話し合いを終えて戻ってきたところだった。
この時点で、大図書館組とそれ以外とで、結論が2つに分かれていた。霊魔は「経験人数」と確信、しかし魔理沙やレミリアなどの面々は、その霊魔を根拠にして「経験人数ではない」と結論を出した。
互いに「答えは出た」と思っていた。そして次に向かうは永遠亭────賢者なら何と言うだろうと気になったからだった。
ついでに、エスカルゴも今朝は永遠亭に居るはずだったので、もしまだ居たら彼の数字を見て、彼の意見を聞こうという目的もあった。
「おい霊魔、アレ……」
「え」
しかしその道中に、有り得ないものを目にした。
竹林を跳ね回る制服ロリ兎、そう、霊魔から見て姉である緋月の頭上に「1」の数字があったのだ。魔理沙はこの時点で「経験人数ではない」と結論を出していたので「緋月にセックス経験が?」という疑問は浮かばなかった。が、だからこそこの数字が何なのかという疑問は深まったのである。
経験人数だと知っている霊魔だからこそ、緋月を目撃した時の驚きはより一層大きいものとなった。
「や……やほ、お姉ちゃん」
「よぅ緋月、元気か?」
「……?霊魔と……だぁれ?」
「がくっ……そ、そういや話した事なかったか……?私は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだ」
「そーなんだっ!緋月・優曇華院・スカーレット!えすかるごとれーせんの娘だよぉ!よろしく!」
「おう、よろしくな!ところでなんだが、緋月よ。その数字、どうした?」
「あー、これ?起きたらあったんだよねー」
「……らしいな。で、永遠亭ではこの数字について、どんな話が出てる?」
「んっとねー、『エッチの経験人数』だってさ!」
またそれか、これじゃ永遠亭に行ってもあんまり意味は無さそうだな────と、魔理沙は、小さな溜め息をついた。緋月が「経験」してると、自分でバラしている事に気付かなかったのは、魔理沙も、色々と疲れているからだろう。不幸中の幸いだ。
「あ、そうだ。皆の数字、分かるか?」
「うん!てゐが3とか4とかで、他の兎は1でね!あとあと、れーせん、巫月お姉ちゃん、姫様とか、サグメも1でね……えすかるご、993だったよぉ!」
「きゅっ……993だとッ!?」
「お……お父さん…………エグい……」
「でも993っておかしーよねーって話してるの!」
繰り返すが魔理沙と霊魔が「
しかし、いち早く冷静になった魔理沙は、彼女の発言に違和感を覚え……追及する事にした。
「────緋月。実は私も、この数字は『経験人数ではない』と思っていてな」
「え、そうなの?同じだねっ!」
「だってそうだろう?もし経験だとすると、緋月、そして巫月はどこの誰と『経験』した事になる?」
「「!!」」
霊魔と緋月は魔理沙の言葉を聞いて同時にそれに気が付いた。霊魔は「確かにそうだ!」と。そして緋月は「やっちゃった」と。
(でも近親相姦は外部の人にバレちゃダメだって、れーせんにキツく言われてるしなー……。これって、もしかしてマズイ?やらかしたの?うっかり?)
否、うっかりでは済まされない発言である。古今東西、どこの常識人が「子供もセックスしてる」と聞いてスルーできるだろうか?否、否、否。当然、スルーできるはずなどない。
「んー………………逃げろぃっ!」
「「ッ!?」」
ピョンッと飛び出す緋月。その初速は強い脚力を自負している駆翔のダッシュよりも更に凄まじく、近くの竹をバネにして加速、加速、加速していく。
しかも、2人を翻弄するようにジグザグに逃げるお陰で、まるで軌道が読めない。右に逃げたら左に逃げる、左に逃げたら右に逃げるなど、そういった統一性すらも無い。
どちらに曲がるのか。上方向か下方向か。緋月の逃走経路は、完全なる三次元の迷路と化していた。身体能力はこの場の3人の中で一番優れる霊魔さえジリジリと突き放されているくらいだ。
そして魔理沙は箒に乗っての移動なので霊魔より遠くに離されてしまっている。
「くっ、そ……竹林は緋月のホームグラウンドか!」
「魔理沙さん!!」
「私の事は気にするな!追いかけろ!」
「っ……はい!!」
追い付けない。霊魔でさえ。こんな時にスキマが使えれば、と歯を食いしばるが、無い物ねだりなど無意味でしかない。真っ直ぐ追い掛ける事にした。
「あっ……!」
「追い付くっ……追い付ける!!」
「なら、また竹林に戻るだけだよっ!」
「ああっ!また中に……」
永遠亭が見えてきて、少し開けた土地が。竹林が終わりを告げたのだ。そこに漸く霊魔が追い付くがそれを嘲笑うかのように緋月は霊魔の下を潜り抜け竹林の中へ逆戻りしてしまった。
「しまっ……魔理沙さん!そっち行った!!」
「待ってたぜ!これで霊魔との挟み撃ちだっ!!」
「捕まらないよーだっ!」
「……甘い甘い!この私の罠は既にッ!竹林の中に、張り巡らされていたんだぜッ!!」
「きゃうっ!?」
緋月が魔理沙の頭上を飛び越えようとした瞬間、なんと彼女は何かに躓いたかのように体勢を崩し、ネットのようなものに落下した。
「魔法の森に生息する蜘蛛の糸から生成した網だ!粘着性のなッ!!」
「く……くも……?」
「さぁ、これで逃げられまい!安心しろ霊魔!」
「……すご…………魔理沙さんって、浦原喜助みたい……なんでそんな謎アイテムを……」
「パチュリーと違って、私はこういう道具作りとか製薬にも精通してるからな。ま、転ばぬ先の杖ってヤツだよ。準備するに越したことはないぜ!」
魔理沙の用意周到さに、霊魔は尊敬の念を抱く。どうすればこんな事ができるようになるだろうと、疑問に思う事もあるが、それよりまず先に、素直に
「凄い」と感じた。
もしこんな時、父ならどうするか?──恐らく、創造魔法でその場で用意するのだろう。用意周到さなどは、そこにはない。その点、魔理沙は……。
「ひぃいあぁああっ!蜘蛛っ、蜘蛛やだぁ!やだ、気持ち悪いぃぃっ!!」
「大丈夫だ。蜘蛛の糸を材料にしただけで、それは蜘蛛の糸そのものじゃあないぜ」
「ほ、ほんと……?」
「あぁ。さ、話してもらうぞ。安心しろよ、私達は秘密を守るから。どんな事でも話せ」
「……じゃ……じゃあ……ホントに秘密だよ?」
「おう!約束するぜ!な、霊魔!」
「う、うんっ……!」
こうして2人は、エスカルゴによる近親相姦が、博麗神社だけでなく永遠亭でも行われていると知ることになった。エスカルゴの毒牙に掛けられてない者は、永遠亭での末っ子、神愛だけである。
緋月を送り届けるついでに、この異変について、永琳やサグメと話した魔理沙は、先程まであれだけ
「経験人数ではないな」と強く確信していたのにも関わらず、また「経験人数なのか?」と優柔不断になってしまいつつあった。
そして魔理沙は、エスカルゴが2つの家庭で近親相姦をしている事を踏まえて推理し、霊魔の数字の
「もう1人の霊魔の相手」がエスカルゴなのではと結論を出しそうになったが────流石のアイツも男に手出ししないだろうし、出されもしないだろうという答えを出した。
それならば霊魔の「2人目の相手」は誰か?
魔理沙は少しずつ親友の霊夢を疑い始めていた。