EX:可視化異変 in 人里
魔理沙と霊魔がタッグを組んで初めて解決した、可視化異変。しかしその少し前、里は、それはもう凄まじい混乱が起こっていた。
混乱の元凶は天狗による新聞の号外らしかった。タイトルは「英雄追跡譚・蒼穹新聞」。山の英雄の娘こと射命丸穹の新聞だった。
「オイお前ェ!何なんだその数字はッ!どうして、俺と結婚してから初めての夜を迎えたはずのお前が
『15』などという数字を持っているッ!?」
「違うの!違うのあなた、話を聞いて!」
「近寄るなこの
浮気が露見する夫婦────。
「お、俺の数字、0って何なんだ……?接吻で子供が生まれるハズじゃないのか……?『経験』したんじゃなかったのか??」
「そ、そうよあなた!こんな新聞デタラメよっ!」
「お前の数字……『11』ってなんだよ……っ!じゃあ俺とお前の子供は、俺の子じゃないのかっ!?」
童貞が判明、托卵までも判明する夫婦────。
「あんた私で童貞卒業したクセに『23』って何!?純情気取って中身はスケベオヤジ!?」
「ち、ちげーって!俺ァ……」
「そこのお前!御用だー!」
「げっ、なんでぇ!?」
「連続婦女暴行犯の人相書きと一致しているぞッ!お前を逮捕するッ!」
「うあああ〜待ってくれぇ〜!!」
逃げ続けていた犯罪者が捕まって────。
「小兎姫ぇぇええええッ!!自警団のアイドルだと思っていたのに!!なんで『1』なんだあああ!!どうして『0』じゃないんだよおおおおっっ!!!どゔじでだよ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!」
「な、何なんですかあなたっ!?出て行きなさい、仕事中ですよ!」
「うるせええええ知らねええええ!!何なんだよ、その数字はよおおおお!!」
「自警団だろうと私だって1人の女なんです!彼氏くらい作ったっていいでしょ!?」
「何処の誰だその幸せ野郎はよおおおおおっ!!」
「なっ何だ貴様!で、であえー!であえー!本部に侵入者アリ!繰り返す、本部に侵入者アリッ!!」
「君の初めては僕が貰うつもりだったんだあああ!許さない、許さないぞ小兎姫ええええええっ!!!絶対に許さないからなああああーーーっっ!!!」
歪んだ愛を向けられていた者はその残酷な現実を周囲に知らしめることになり────。
「お、おい、あいつの数字……」
「嘘だろ?あいつって確か、男を食い漁ってるって話じゃなかったか?」
「あぁ……そのはずだけど……」
「「まさか……処女なの?」」
アバズレだとも噂されていた娘は、実は「清純」なのだと証明されたり────。
「うわあああっ!?美宵ちゃん、噂の『婚約者』の人と『致して』たの!?」
「えっ?あ、はい……そ、そうですがどうして……」
「この『数字』、『経験人数』らしいぜ!ほらこの新聞に書いてある!」
「ええ!?……わ、ほんとだ……///」
「そ、そうか……美宵ちゃんが遂にこっち側に……」
「……経験人数を増やす気は無いですからね?」
「だははっ、そりゃそーだ!どうせ、あれだろう?美宵ちゃんの『婚約者』って、あの人だろ?」
「えへへ……はいっ♡」
「俺だって命は惜しい、触らぬ神に祟りなしだぜ」
密かに「処女」を狙われていた娘が、その資格を失ったのがバレたり────。
「あらあらまぁまぁ赤蛮奇ちゃん!その『数字』、さてはやっとあの人と結ばれたのねぇ!?」
「うぇっ!?あ、あっ、え、と……はい……///」
「やだもーそれなら言ってくれればいいのにぃ!!おめでとうっ!祝福するわよぉ!」
「あ、ありが……」
「うおおおおおーっ!看板娘の赤蛮奇ちゃんにも、遂に春来たる!?」
「バカ、赤蛮奇ちゃんがエスカルゴさんと付き合い始めたのは結構前からだぞ。前に、デートしてんの見たし」
「ほんと!?最高におめでたじゃん!?」
「いつか2人の子供、見せてくれよなっ!」
「にしても妖怪の子供ってどんなんだろうな?」
「赤蛮奇ちゃんとエスカルゴさんの子ってこたぁ、ろくろ首と吸血鬼の混血──になるんだろう?」
「だよな。翼があって頭が吹っ飛ぶのか?」
「うっは、想像つかね〜な!おもしれー!」
「ああ、だが何にせよ今日は……」
「「「宴だああああああーーーーっ!!!」」」
「ちょっ、通常営業ですって!店長も何とか言ってくださいっ!これじゃ営業にならないですって!!米騒動か何か!?」
「ん?いいじゃない、付き合った記念っていうか、おめでた記念?俺からも祝福する……ぜっ!!」
「
「よし、こうなったら業務命令だ、赤蛮奇ちゃん!今日はお前が主役だぜッ!!神輿に乗れ!!皆から担がれろ!!」
「店長それ職権濫用〜!!」
「ガハハハハハッ!!」
一途だと評判だった娘は本当に「一途」なのだと周囲を和ませ、彼女を応援していた人達に喜びさえ与えたりもした────。
◆
「はぁ〜……同期達が『1』以上なのに私は『0』、これは誇るべきか、嘆くべきか……トホホ……」
「穹ちゃんの同期って、まだ子供もいい所じゃん……妖怪の山の風紀まで乱れてるの……?大丈夫よ、別に変じゃないし、寧ろ胸を張ればいいから……」
新聞の著者は密かに嘆き、同期と同じく「1」の姫海棠はたては優しく穹を宥めてやる。
「というか、なんでこの数字が『経験人数』だって分かったの?文も調査中よ?」
「道中、霊魔と魔理沙さんを見掛けまして。2人がそう話しているのを聞きました。その後、あちこち駆けずり回って、ある程度の裏も取りましたから、問題ないでしょう」
「へぇ〜……凄いのね」
「因みに我々天狗は、一夫一妻制でありながらも、男女共に経験人数『10』人越えがデフォでしたよ。大人の場合は、ですが」
「待ってなにそれ、知りたくなかったんですけど。私、1なんだけど!?」
「印刷所のおじ様達なんて揃いも揃って『20』以上ですよ。大天狗様達は大半が『50』越えですし」
「私達よりもずっとずっと長生きしてるからって事なのかしら────って、あれ?椛じゃん」
「あ、ホントですね。おーい椛さー…………えっ?」
「も……椛?」
妖怪の山イチとさえ言われるおしどり夫婦の妻、犬走椛の頭上の数字は「2」────はたてと穹は何やら嫌な予感がして、その夫、エスカルゴの弟の犬走ヒビキへ、突撃することにした。
次回────修羅場。