※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活 第2部   作:エスカルゴ・スカーレット

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骨と「普通」

「*ん…… ここは…… はくれいじんじゃ か」

 

「あ。お父さーん、ガイコツ起きたよー」

 

 縁側でSansの隣に座っていた霊子は、妖力不足の眠りからSansが目を覚ますと、嬉しそうに、元気な声で神社の中へ声を飛ばす。

 戦ってもないし会話をしたワケでもないがどこか気になる事があるらしく、眠るSansを観察していたようなので、これからSansには、霊子による尋問のようなものが始まるんだろう。

 

「Sansだ」

 

「あーそう、三途」

 

「Sansだ」

 

「*なんだ しろいガキンチョ オイラのねがおが すきなのか?」

 

「ん?や、気になったから見てただけだよ」

 

「*きになった……?」

 

「頭ん中、どーなってんの?どこから声出てんの?ガランドウじゃないみたいだし。ちょっとさ、頭、パカッと開けてみてよ」

 

「*え」

 

「どうせ式神だしイイでしょ?」

 

「*オマエは いしそつうのできる ネコなどを そのてで あやめるのかい?」

 

「生き物だし、そんな事しないよ〜。だけどSansは生きてる死んでるとかそういう次元じゃないしさ。喋る人体模型、みたいな?」

 

「*おいおいおいおい しゅじん ちと たすけてくれやしないか?」

 

「霊子〜、Sansが嫌がってるだろー」

 

「*オイラは コドモか?」

 

「式神だからいいでしょー?」

 

「じゃ、俺が霊子に向かって『再生力高いんだから霊子の脳を直接見たい』っつったらどうするー?」

 

「痛いからヤダー」

 

「そういうこったぁ!Sansに『ごめんなさい』は?しっかりしなさいよー」

 

「なんでー?私、悪くなくなーい?」

 

「相手の嫌がる事を言ったなら『ごめんなさい』はするように。これが嫌なら、今度から『おはようのチュー』とかは全て禁止にするぞ。セックスもな」

 

「Sansくんごめんなさい」

 

「*おう これからは きをつけるんだな」

 

「うん」

 

「*なかなおりの あくしゅでも しようぜ」

 

「ん」

 

 プ〜ッ……と間抜けな音が縁側から聞こえてきた。Sansのヤツ、またアレをやったらしい。全く、別人だからと仕掛けるなんて、懲りないヤツだ。

 

「な、な……っ!?」

 

「*ハハ…… おやくそくの ギャ────」

 

「死ねッッ!!!」

 

 Sansの頭が吹き飛んだ。

 恐らくSansにとって初めての死亡だろう。しかし案ずることなかれ。彼の中枢が俺の魂のコピーだ、という事は……当然、Sansも不死身なのである。

 妹紅の首無し不死鳥、俺の雷エネルギーの蝙蝠のように、その者、つまりSansの顔の模様がブワッと浮き出たかと思うと、その場に何食わぬ顔で復活を果たした。

 

「今ので死んだの!?てかSansも不死身!?」

 

「そりゃーな。不老不死の完全なコピーは不老不死だよ。当然、Sansも不老不死さ」

 

「*おいることは もとから ないけどな」

 

「……まるで不老不死のバーゲンセールね」

 

 霊夢の呟きを聞いて思わず吹き出してしまった。

 

 

 ◆

 

 

「妖力は回復したな」

 

「*ああ」

 

「グッド。ならば次の目標は紅魔館だ。とりあえずSans1人で美鈴を倒せりゃそれでいいかな」

 

「*あそこにみえる もんばんの おんなだな」

 

「そーそー。美鈴は格闘じゃあ俺より強いけどね。よし行ってこい」

 

「*しゅじんは かんせんしないのか?」

 

「ん?いや、俺ぁ彼女(大妖精)とデートがあるんで。データ収集も分析もSans1人で出来るだろ?」

 

「*えぇ……」

 

 

 ◆

 

 

 ────さて。主人も大妖精とやらとセックスを始めたようだし、オイラはオイラで任された仕事をこなそう。怠けるのは美鈴とやらを倒してからでもいいハズだ。仕事を終わらせれば、時間は作れる。

 妖力温存の為に『ラストブレス』は避けたい所。ダメージを受けてしまうのはダルいし、そいつは、オイラの性分じゃない。

 それに、まるで人格を乗っ取られたような、あの奇妙な感覚────オイラは好きじゃあないしな。第3形態に変身したと思ったらいつの間にか負けて博麗神社の縁側に居た。奇妙なもんだ。恐らくは、意識が薄れたあの時だろう。あの時に何か起きたに違いないだろうとは思っているが、具体的な事は、自分にも分からん。

 

「*よう、門番さんよ」

 

「……!?骸骨……いや、スケルトンですか!?」

 

「*ほう。洋風な御屋敷で働くだけあって、洋風な人外にも通じていると見える」

 

「気配がエスカルゴさんらしいのが気になります。まさかエスカルゴさんですか?」

 

「*主人ならその辺で、大妖精とかいう緑の妖精とエッチしてるぜ」

 

「いつも通りですね。……え、『主人』?」

 

「*オイラはSans。スケルトンのSansさ。オイラはここで、アンタを倒すことになっているんだ」

 

「……!私だけ、ですか?それとも館の皆も?」

 

「*────オイラがどう答えたら強気のアンタと戦えるんだ?それによっては何度でもリセットして答え直すぜ」

 

「……さて。ただ、私の仕事は見ての通り……」

 

「*門番。侵入者を阻み館の平和を守る者」

 

「!」

 

「*そうか。『お前さんを倒し、館を蹂躙する』、これでどうだ?」

 

「ありがとうございます。これで心置き無く戦える

『理由』が出来ましたッ!」

 

 美鈴がそう言うと、Sansは一息つき、ポケットに手を入れたままで左眼を青に輝かせ、開戦を宣言。

 

「*清々しい日だよな、今日は。幼女は喘ぎ、男は色に狂う。こんな日こそお前さんみたいな女には……地獄の業火で焼かれてもらうぜ」

 

「!?」

 

「*『ボーン・ジェイル』」

 

「なっ!?か、囲まれた……っ!?」

 

「*悪く思わないでくれよな。母たるこの地面には触れられるんだ、それ以外が骨の牢獄に囲まれても文句は言うなよ?」

 

「……イタッ!?」

 

 骨の壁に囲まれた美鈴はそぉっと触ってみるが、それはまるで弾幕のように当たり判定のある壁で、触るだけでダメージを受けてしまった。

 

「*ハハッ。どうだい、動きを封じられた気分は。好きに動き回れなくて辛いだろう、紅美鈴」

 

「ッ!?あなた、何故私の名を……?」

 

「*オイラには、主人の持つデータの全てが完璧にインプットされている。知らぬワケはないんだ」

 

「そ、そうだ、あなた、さっきも『主人』って……」

 

「*無駄話する余裕はあるのか?さっきから体力、コツコツと削られているように見えるが?」

 

「……っ」

 

「*『骨』だけにな」

 

「……」

 

「*1つ教えておく。『骨はスリップダメージ』、そして『ブラスターは大ダメージ』だ」

 

 それだけ言うと彼は大量のガスターブラスターを出現させ、それらを美鈴に向ける。骨の牢獄の中で美鈴は回避を強制されるが、どうにかして回避し、自前のレーザーをぶつけて相殺し、やり過ごす。

 

「はぁっ……はぁっ…………なんという威力のレーザーですか……こんなの久しく喰らっていませんよ……」

 

「*へへ……中々にやるじゃないか。もっと、背後の骨には触れると思っていたがね」

 

「スリップダメージは、かなりキツイですからね。何しろ最初のアレなど、指先でちょっと触れただけなのに、体力がそこそこ削られましたから」

 

「*そうか。なら、これはどうだ」

 

「つ、次はオレンジですか……!?しかし1つならば相殺します!気功符『かめはめ波』ァァッ!!」

 

「*……そんな無意味な攻撃ならば、今更、オイラがやるはずないじゃないか」

 

 ニタリと笑って、オレンジのブラスターを発射。オレンジ、つまり「動いていれば被弾しない」ものなので、美鈴のかめはめ波は予期せずブラスターを貫通。Sansはそれを瞬間移動で回避する。しかし、相殺できず透過してしまったオレンジのレーザーは美鈴を吹き飛ばし、壁へ叩きつける────。

 

「ぐぁあっ!?」

 

「*惜しかったな」

 

「そ……相殺…………でき、なかった……!?」

 

「*そもそも当たりすらしていないからな」

 

 レーザーは動いていたので「当たらず」。美鈴は動かずにレーザーを放っていたので「当たった」。それだけの事だ。

 

「うぐぅぅっ……スリップダメージが酷い……っ!」

 

「*……」

 

「なんですかァ、この青い骨は……!この狭い中で、それを回避しろと!?……いや隙間が無い!!不可能弾幕ですか、これは!?」

 

「*どうかな。対処してみな」

 

「くっ、こうなったら殴り壊して……あぐぁっ!」

 

「*……やはり博麗霊夢が異端なだけか。普通はこう(・・)なるはずなのにな。まるでオイラの事を既に知っているかのような……」

 

「Sansさん、霊夢さんを知ってるんですか?」

 

「*さっき戦ってきた。負けたがな」

 

「……」

 

「*オイラの持つデータによると『紅美鈴:格闘は紅魔館最強、下手したら幻想郷最強の可能性も無視できない』────とあるんだ。だから、お得意の格闘を封じさせてもらった。お前のターンが来ないようにする為にな」

 

「っ!!ならば強引にでも!!」

 

「*いや。残念ながら、もう時間だ。『主人』が、デートという仕事を終えたようなのでね」

 

「え」

 

「*じゃあな。もし次があるなら、次は格闘で対戦しよう」

 

「待って────」

 

 

 ◆

 

 

 ドゴオォォオン……という爆音と共に紅魔館の門が吹っ飛んだのが見えた。彼のガスターブラスターの威力はそれ程に高まっているらしい。

 何やら、骨の牢屋のようなものを貫いたようにも見えるが、アレは何だろうか。アンテ原作で言う、タマシイの可動域を示すアレか。

 

「はふぁ……♡」

 

「どうしたどうした。大ちゃんってば今日はたった数回でヘロヘロになっちゃったのか?」

 

「はぃ……えへへぇ♡」

 

「紅魔館で休んでく?」

 

「そーします……♡」

 

 ヘロヘロになった大ちゃんを背負ったまま美鈴と戦闘を終えたSansと合流。彼からの報告を聞くに、スリップダメージは妖怪にも有効とのこと。霊夢も子供達も揃ってまともに被弾してくれなかったし、そういう反応もしてくれなかったので、やっぱり、試運転の相手は選んだ方が良さそうだ。

 

「よっ、美鈴。お疲れ様」

 

「あぅ……エスカルゴさん……?」

 

「俺の式神、強かったろ」

 

「ええ、手も足も……。イテテ…………立ち上がるのがやっとですよ……。はぁ〜、式神ですか……」

 

「格闘戦も出来るからそんときはよろしくな」

 

「あー、さっき言ってましたね。あれ、Sansさんはどこに?」

 

「ん……雪の降る街(スノーフル)に、『弟』を迎えに……ね」

 

「……?そんなとこ、この辺にありましたっけ?」

 

「んじゃ、大ちゃん休ませるから部屋借りるね」

 

「あ、はい、いつもの部屋をどうぞ〜」

 

 

 ◆

 

 

 ────in 魔界の某所。

 

「*やぁブラザー…… Papyrus ver.1.3.0(パピルス)よ」

 

「*あー! やっと ばいようえきを でられた!いきがつまると おもったよ!」

 

「*オイラより ずいぶんとまぁ せがたかいな。へんなところで げんさくに ちゅうじつなんだな あのしゅじんは」

 

「*よろしく! サンズにいちゃん! と、あれ、しゅじんはどこだ!?」

 

「*『おとりこみちゅう』だそうだぜ。あとから こうまかんに むかえにいこう」

 

「*そうしよう そうしよう! じこしょうかいも きちんとしないとね! ニャハハハハッ!」




エスカルゴが一瞬だけブルアカのデカルコマニーになった。
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