ある日の事。外の世界の漫画の影響で「男子会」なるものの存在を知った博麗神社の男子、霊魔は、試しにこの男子会をやってみたいと思い、兄弟達に声を掛け、とある場所に集合した────。
◆
「────で、どうして会場が
「霖之助さんも男子、だから……?」
「そこはエスカルゴを誘ったらどうだい」
「お父さんはお父さんだから……なんか、違うような気がして。それに、1人くらいは血の繋がり無い人じゃないと家族会議みたいなのと変わらないし……」
霊魔が目を潤ませて霖之助を見る。前回、霊愛と買い物に来て少しは打ち解けたからか、家族外では珍しく、隠れる事もなく会話ができているようだ。
霖之助は、霊魔なりに勇気を出したんだろうと、幼い男児の小さな勇気を汲み取り、仕方なく、彼の提案を受け入れる事にした。
「やれやれ……道具の手入れとかもあるから、それをやりながらでもいいなら参加するよ」
「!……ありがとう!じゃ、皆のこと連れてくる!」
「え。今日やるのかい?」
「うん、場所だけがネックだったから……。少しだけ待ってて。もう魔法の森の外で待機してるから……」
「えぇ……僕が断ったらどうするつもりだったんだ」
「断らせないから大丈夫だよ」
「っ……!」
ニッコリと笑う霊魔を見て、可愛らしく見えても彼も悪魔で、力任せになる時は力任せになるのだと分からせられる霖之助。見掛けによらないのは人も悪魔もただの妖怪も、変わらないのかもしれない。
「OK貰ったから、皆、入って入って」
「失礼しまーす。……なんか埃っぽくねェ?」
「お邪魔致します。……お店だと聞いていた割には、無造作に商品が積み上げられていますね。これは……僕でも少し掃除したくなりますね……」
「お邪魔しゃっす!なんか、軽くカビクセーなぁ!立地のせいかな?なぁ店主、換気しようぜ〜!」
「森の瘴気が流れ込んでくるから、換気は難しいと思うよ。……あ、お邪魔します」
すると間もなく、霊魔が4人の男子を引き連れて香霖堂の入口を潜る。白髪に銀髪、霊魔以外に黒髪2人。霖之助は、エスカルゴの娘には黒髪は少ないという情報を魔理沙や霊夢に聞いていた事もあり、男子の黒髪率の高さに驚いていた。
「……驚いたな。男子は3人も黒髪なのか」
「そーだよ。とりあえず、年齢の順で軽く自己紹介やってこー。霖之助さんからどうぞ」
「僕かい!?……えぇと…………古道具屋『香霖堂』の店主をやっている、森近霖之助だよ。普段は道具の手入れだったり古道具の仕入れをしている。最近は書籍も仕入れるようにしたから、もし良かったら、暇潰し程度でいいから見て行ってくれると嬉しい。ついでに贔屓にしてくれると助かるがね」
「……あ、次ぁ俺か。魂魄妖舞です。えっと、普段は剣の修行したりしてます。エスカルゴチルドレンの長男で特技は居合です。種族は半人半霊と吸血鬼のハーフです。……こんな感じか……?」
「僕はもう霖之助さんとは知り合いだから、次は……虔魔だね」
「十六夜虔魔と申します。敬虔の虔、悪魔の魔で、虔魔と書きます。普段は、紅魔館にて執事見習いをやっています。趣味はありません。強いて言えば、人間観察というか妖怪観察というか……観察するのは嫌いではありません。エスカルゴチルドレン三男、種族は吸血鬼です。よろしくお願い致します」
「
「恋夜。苗字は無いよ。魔界神と吸血鬼の混血で、チルドレン五男。特技は錬金と魔法かな。まだまだ弱いけど、よろしく」
顔立ちで見れば妖舞、虔魔はカッコイイ寄りで、霊魔と恋夜は中性的、中でも霊魔は可愛い寄りで、駆翔はカッコイイ寄りながらも「素質」のような、潜在的なものを感じられる。
「……」
ワイワイしている子供達を見て、霖之助は優しく目を細める。しかし一部はあまり仲良くなさそうに見えるし、案外ドロドロしているのかもしれない。
店の前で屋根から落ちてきた雪に埋もれた妖夢、営業時間というものを考慮せずに夜に店に侵入した咲夜の息子達が、成長して、目の前に。霖之助は、一癖も二癖もありそうな子供達だと、内心緊張にも焦燥にも似た奇妙な感覚に襲われていた。
「……ところでさ、集まったはいいけど、男子会って何するんだ?」
「それだけどさ、昨日、たまたま父様にあったから聞いてみたぜ。適当に雑談したりするんだとさー。あ、ほら、アレだよ、いつもチルドレンが集まって会議してる、アレみたいな」
「ふーん……。とはいえ雑談するにしても話題が特に無いよな。霊魔、なんかある?」
「んー……どう、だろう?」
「霊魔お兄様は女性関係とかでいいのでは?」
「何それ。……あ、女性関係といえばこの前の可視化異変で、霖之助さんの数字は何だったの?」
霊魔の振りに、子供達は、一斉に霖之助を見る。そんなに期待しないでくれよ、と冷や汗をかくが、子供とは無邪気なもので、とてもキラキラした目で彼を見るのをやめてはくれない。
というのも、やはり、子供達からしても霖之助は整った顔をしているし、ハッキリ言えばイケメンに見えるからだ。それに加えて子供達にとっての一番身近な男性が、ハーレムなんぞ作っているからだ。
「……0だよ」
「「「「「ええっ!?」」」」」
「驚くことでもあるまい。僕は童貞だ」
「あれ?霖之助さんもアレが『経験人数』だって、知ってたの?」
「毎度の事だが、文々。新聞が投げ込まれてね」
そう言って妖怪の山側の窓を指さす。窓は割れ、ガラスの代わりに半紙のような、または障子の紙のような薄い紙が貼ってあり、応急処置がしてある。
「文さんって新聞投げるんだ……」
「意外だったぜ……」
「ですね……とてもそうは見えませんが……」
「魔法の森の瘴気やキノコの胞子の予防の為だ……と思っていないと、イラつきで頭がどうにかなるな。まぁ、そのお陰で、世間一般に出回っている程度の知識は僕も有しているから、そういう意味では感謝しているんだがね」
「ふーん……童貞かぁ。つーことは霊魔の兄貴の方が経験人数は多いのか」
「多いったって1だけだよ」
あくまで父との事は言わない。流石に同性とも、ましてや父親となんて言えるはずがない。理解など得られようはずもないと思っている霊魔だがまさにその通りだろう。
「……そういえば霖之助さん、童貞ってことは、まだ朱鷺子さんとエッチしてなかったんだ?」
「ああ。霊魔くんの助言はアテにならなかったが、未だに断り続けているからね」
「え、トキコって誰だ?」
「聞く前に気配を感じ取りましょう駆翔。奥の方に1つ、決して弱くは無い気配がありますよ」
「えー?……あ、ほんとだ。霖之助よりかは強そうな感じするな!俺の方が強ェけど」
「僕は、戦闘は専門外なものでね。僕は半妖だが、人間と比べて長命なだけで、殆ど人間寄りなんだ」
「ほーん。そういう半妖なのか。つーことは霊愛の姉貴もそうなるのかなあ」
「有り得ますね。何せ、霊愛お姉様はああ見えて、僕らより少なくとも15歳以上は年上のはずですが、身長などは僕らとあまり大きく変わりませんしね」
「15歳以上!?マジで!?」
「そんなに離れてたか……?」
「計算上ではそうなりますね。というか、お父様の幻想入りが、少なくとも今から20年以上前の事だとレミリアお嬢様から伺っています。翌年にハーレム拡大させつつ、巫月お姉様の誕生、更にその翌年に霊愛お姉様の誕生。『上の4姉妹』はそれぞれ年子だと聞いていますので、恐らく、『上の4姉妹』は既に20歳前後……になるはずなんです」
「「「「ええっ!?」」」」
「じゃあ俺は何歳になるんだ!?」
「妖舞お兄様から樹理愛お姉様までの4人は、確か数ヶ月差だと伺ってます。四女の副メイド長とは、6歳差とも聞いていますので、これは仮定ですが、もし仮に巫月お姉様が20歳の場合、妖舞お兄様は、現在11歳という計算になりますね」
巫月が20歳ならば霊愛は19歳、穹が18歳となり、弦月姫が17歳。そこから6歳差なので6を引くと、妖舞は11歳という計算になるというワケだ。
年齢を気にしない文化が根強いが故に、見た目と実年齢のギャップに驚く子供は少なくない。事実、霊愛自身、自ら18歳未満と認識しているくらいだ。それくらい今の幻想郷における年齢の概念は薄い。
せいぜいが、人里に住む人間達くらいであろう。外の世界ほど厳密ではないが、彼らは戸籍がある。生まれた年とおおよその日を記録しておけば自ずと年齢も分かるし、その気になれば調べられる。
「────俺は11歳だとして、お前らは何歳だ?」
「次男は霊魔お兄様ですが、霊魔お兄様は、なにかその辺、把握してますか?」
「してないし興味も無い」
「素っ気ないですねェ」
霖之助は霊魔と虔魔の確執を見抜いた。虔魔から霊魔へは話し掛けるが、逆は無く、もしも虔魔から話し掛けられても素っ気ない態度を貫く。
恐らくは霊魔が弟を一方的に嫌っているんだろうという結論までは出たが、その原因までは霖之助が有している情報だけでは推理できなかった。
「かくいう僕も把握してませんがね。少なくとも、僕と駆翔は数週間から1、2ヶ月差くらいのはず。恋夜は、お父様と出会うまで不明なので、推測しかできないのですよね」
「それでも駆翔お兄ちゃんより下なのは確定だよ。大体の時期的に」
「成程。霖之助さんはご自分が何歳なのか、または何歳くらいなのか、把握してたりしますか?」
「さてね。僕も詳細な年齢は把握はしていないね。少なくとも40年前……あの頃は既に今のような格好をしていたと自覚しているし、その頃は人里で、店を営む訓練をしていた。あれから老化が止まってるんじゃないかと思いたくなるくらいにはあの頃と何ら変わりない生活を送っているね」
「子供の頃は何をしていたんです?誰かと、または何かで遊んだ記憶などは?」
「子供の頃の事などはとんと覚えていない。君達も今こうしている事を忘れてしまうかもしれないね。それが嫌なら、日々を大切に生きる事だよ」
「日々を……」
「大切に、かぁ」
子供達から見れば圧倒的年長である彼の言葉は、嫌でもすんなり、それこそ、乾いたスポンジが水を吸収するが如く、すんなりと頭に入った。
「あー!なんか頭使ったら疲れたな!なぁ霖之助、店ん中探検してイイか!?」
「……荒らさないで、壊さないでくれるならね」
「あー?俺ァ、畜生界で最速最強、勁牙組の若頭、驪駒駆翔様だぜ?お店を荒らすなんて野蛮な真似、しねェっつーの!兄貴達も、宝探ししよーぜーっ!掘り出し物が見付かるかもしんねーしよ!」
言動こそ粗野に聞こえるが、店を「お店」などと言ったり、案外、育ちは悪くないんだろうなぁ、と霖之助は無意識の内に駆翔と魔理沙を重ねていた。
魔理沙も、ああ見えて里でも有数の道具屋の娘。言わば、「家を飛び出したお嬢様」である。そんな魔理沙は医者を「お医者さん」と呼んだり飲み薬を
「お薬」と呼ぶという、可愛らしい一面もある。
その子の育ちの良さは隠しきれないという事だ。
思えば駆翔は、店に入ってきた時から、カビ臭い店内をどうにかしようと換気を促そうとしたりなどしていたし、案外、最初からその片鱗は見えていたかもしれない────と、店内を見てまわる駆翔を観察しながら、霖之助は想う。
「なぁ霖之助〜、マジで窓開けねーの?」
「開けてくれても構わないよ。ただし、開けるなら帰る時に閉めてから帰ってくれるかい?」
「へいへい、りょーかーい。恋夜か霊魔の兄貴ィ、瘴気とか防ぐ結界的なの、ねーの?」
「「そんなものはない」」
「ちぇー。まぁいっか、カビ臭いよりはマシだろ。勁牙組の事務所は獣クセェけどな!アハハハハ!」
笑っていい事なのだろうかと思いつつ、彼は更に子供達の観察を続ける。
長男の妖舞────従者をしている事は父親から既に聞いているが、霖之助から見ても、あまり皆を率いるタイプには見えない。
次男の霊魔────流石に兄弟ばかりの空間では人見知りも発動しないようだ。が、以前見たような弾幕ごっこ中のような堂々としている態度ではないようにも見える。そこまで、明るい性格ではないのだろうか。女の子のような顔立ちをしているが彼の立ち居振る舞いは男子のそれだ。
三男の虔魔────次男の霊魔とはあまり仲良しではない様子。しかし見聞きした事から計算したり答えを導き出すなど、論理的思考力には優れている様子を見せてくれる。理屈っぽいところも含めて、案外、話が合うかもしれない。
四男の駆翔────四男でありながらも、先頭に立ちたがるような様子を見せる。しかし、滲み出す彼の育ちの良さからか、それに真っ向から反発する兄、または弟は居ないようだ。イタズラっ子っぽく見える彼だが、案外、良い子なのかもしれない。
五男の恋夜────言動は大人しめ、見た目は父エスカルゴそっくり。霊魔を「幼くして可愛くしたエスカルゴ」だとするなら、恋夜は「幼くして翼を無くしたエスカルゴ」だろう。発言が少ないので、詳細は分からない。
「うあっ……えっ…………マジで……?ちょ……恋夜、恋夜っ!」
「?」
駆翔が何かを見つけたようだ。霊魔はBLEACHの小説を見付けて立ち読みに夢中になってるからか、駆翔は近くにいた弟、恋夜を手招きで呼び寄せる。
「うっ!?ナニ見てんのさ……///」
「これヤバくねぇ!?ふへっ……へへへっ……」
「でもこれって子供が見ちゃイケナイやつじゃ……?小さい方のアリスお姉ちゃんが、エッチなの隠れて買ってきて、たまに夢子お姉ちゃんに見つかってて注意されてるのとか見るよ」
「っはぁ〜……父様ってばこんなの毎日見てんのかぁ」
「でもこんなに胸が大きい人なんて居ないような。作り物のおっぱいじゃないの?」
「そぉか?俺の母様もそこそこボインボインだぜ?」
「それを言うならこっちのお母さんだって。けど、どっちもこの本の女の人程じゃないでしょ」
「んー、確かにそうかもなぁ。でも母様って着痩せするタイプとか父様が言ってたし……ムムム……」
どうやらエロ本を読むのはエスカルゴチルドレン女子も男子も変わらないらしい。霖之助は、霊愛と霊麗、たまに霊魔も混ざるがこの辺のやり取りしか見ていない。けれどもその3人に比べると、駆翔と恋夜のやり取りはどこか幼いというか、可愛いなと思えてきてしまう。
「お前らさっきからコソコソ何やってんだ?」
「「うおおぉあああっ!?」」
「な、何を隠してんだよ?……って、何だこの棚!?はっ、裸の女の人の本ばっかじゃねーかっ!!まだお前らには早いっての!オラッ、こんなとこ離れて他のとこ見ようぜ!」
「……駆翔お兄ちゃん」
「おう。……オイ、兄貴!これを見ろッ!!」
「あん?……うおっ、でっか……」
「だろだろっ!?スゴくね!?ヤバくね!?」
「スゲェ〜……幽々子様より巨乳じゃぁん……」
「畜生界や幻想郷の誰よりもおっきいぜ〜!」
「魔界の誰よりもおっきいよ」
「えー……これはエグいなぁ……。コレに比べたら、母上なんて無いのと同じじゃねーか……?」
「ハハッ!確かに妖夢さんってちっさいよな!」
年頃の男子3人は男子らしく「おっぱい談義」に花を咲かせる。回し読みしたり、間近で見たり逆に遠目から見たり。そのニヤケた顔は三者三様、似て非なるものであった。
「スゲーなぁ……この本欲しいや……買お」
「あ、ダメだぜ?これは俺が見つけたんだ」
「俺は兄上だぞ」
「早いもん勝ちな。つーか兄貴、お金あんの?」
「うっ。白玉楼は無休で無給なんだよな……。父上のお年玉も団子とか買うのに使っちまってるし……」
「へぇええ〜、そりゃあ残念だな。俺が買うぜ!」
「くっ……!金さえあればっ……」
「……どうしてもって言うなら組のヤツに言ってお金貸してやるぜ?利子はトゴな♡」
「とご?」
「10日で5割って事だよ。まっ、
「手数料か、イイぜ。『トゴ』ってのは幾らだ?」
「1000円借りるとして10日後には1500円で返す。これが『トゴ』だぜ」
「なっ!?俺が500円損してるじゃねぇか!!」
「これが『手数料』。まぁ『利子』ってんだけど。そして20日後、元金の倍となる合計2000円になる。利子との合計額の話な」
「い゙ぃっ!?そんな金は無いぞ!?」
「兄貴が幾らのお年玉を貰ってんのか知らないが、きっと来年のお年玉だけじゃ足りないだろうなぁ」
「うぐぐっ……」
「30日後に2500円、40日後に3000円、
「バカじゃねーの!?」
「それが『
「ちっ」
「というワケで、霖之助!お会計頼む!」
「この本は18禁だからダメだな」
「……18禁?ってなんだよ?」
「18歳未満は購入禁止って意味さ。本来なら閲覧も禁じているんだがね」
「はぁ!?なんだそりゃあ!!意味分かんねぇ!!何でだよ!?」
「端的に言えば『エロいから』だよ。子供にエロは禁止事項なのさ。その本は拾い物だが、幻想郷でもその方向性でやってるんだ」
「はあぁ〜!?そんな殺生なあ〜っ!」
「保護者同伴でもダメだよ」
「くっそおおお……!」
霖之助は意地悪なので「買う人が18歳以上なら」という一言は付けない。そう言ってしまえば彼なら
「エスカルゴに頼めばいい」と気付いてしまう。
「やれやれですね」
「!」
するとそこに何やら呆れた顔で、燕尾服の少年、虔魔がコツコツと革靴を鳴らして現れる。霖之助に視線を向けると、パチッとウインクして人差し指を口元に。どうやら彼は、霖之助が言わなかった事を察しているようだった。
「何だよ兄貴ィ」
「妖舞お兄様も、虔魔も恋夜も幼いですねぇ」
「いや俺はお前の兄上だぞ」
「女体の良さは、素晴らしさは────胸などでは語れない。そう言っているのですよ」
「あぁ?どう考えてもおっぱいだろ!?」
「そもそも『おっぱい』などという呼び方が下品でいけませんね。英雄の子たるもの、慎ましやかに。そう、『胸』と呼びましょうね」
「……虔魔、お前そんなキャラだったか?」
「僕とて日々学習しているのですよ。様々な苦難、敗北を乗り越え、業務に勤しむ僕ですが────」
「話なげーよ。で、兄貴は何が好きなんだよ?」
「……ももです」
「は?」
「太もも及び臀部の素晴らしさを捨て置き胸を語るなど言語道断、紳士として有り得ませんね。やはり女性の素晴らしさは太もも、そして臀部です」
「……デンブ?桜でんぶか?どこにあんだよ?」
「三色団子のピンクの色付けに使う、アレですね。そんなものではありませんよ、ボケですか?」
「兄貴、臀部ってアレだぜ?お尻の事だよ」
「うんうん」
「は!?……てか駆翔と恋夜、何でお前らはそんなの知ってんだ!?」
「父様、よく母様のお尻を引っぱたいてるからな。組員が、臀部がどうのって話してるから聞き出してやっただけだよ。俺が余計な知識をつけないよう、わざと難しい言葉で会話してただけらしいけどな」
「お兄ちゃ……お父さんがよく夢子お姉ちゃんのお尻触ったり色々シテるみたいだから……」
「エスカルゴチルドレン男児の無知枠は妖舞お兄様なのですね。長男である自覚は無いのでしょうか。寧ろ、お兄様が僕らに指南するべき知識ですよ?」
「無知枠とか言うなっ!つーか性知識なんてモン、俺らには要らねえんだよ!」
「ほう、それはどうしてです?」
「知識に要らないってコトはねーぜ!」
「知っていても無駄にはならないしね」
「知ってても使う機会がねえからだろうがよーッ!お前らは使う機会があるってのか!?えーっ!?」
「「「…………ッ!!」」」
妖舞のその渾身の叫びに、3人はビクリと身体を震わせる。霖之助は思わず笑いそうになったので、手で口を塞ぎ、顔を背ける。
妖舞の叫びに対する3人の反応は────。
「そうですねぇ、使う機会など全くありませんよ?何故なら、僕がその
「俺もそうだなぁ〜。獣人の組員とか居るし、俺がその気になりゃいつでも童貞卒業できんぜ?山にゃ陣風丸凩っつぅ顔見知りの女鴉天狗も居るし、あとここあの姉貴も可愛いから実は密かに狙ってたり♡たはははっ……これは秘密だぜ?」
「魔界人の中から適当に見繕えば、幾らでも相手は居るよ。お父さん、魔界人にはロクに手出ししないみたいだからね」
「あぁ、お父様と被るのは非常に良くありません。そういうのを『穴兄弟』と言うのですよ。対義語は
『竿姉妹』ですが、幻想郷には一体何人が竿姉妹に当たるのでしょうね。想像もできません」
「……その言い方の方が下品じゃねぇ?」
「下品というか、下劣というか……。どちらにせよ、あんまり良くないね。とにかく、妖舞お兄ちゃん。童貞卒業なんて本人の意思でどうにでもできるし、機会を作るも捨てるも自分次第だよ」
「う……」
弟に諭される兄。チルドレンの中では、ある意味霊魔よりも狭いコミュニティで生活しているからか妖舞の有している知識などは弟達以下になるのは、仕方のない事なのかもしれない。
「かと言ってお父様の関係者に手を出すのはバカのすることですから、童貞を拗らせて余計な面倒事を起こすんじゃありませんよ?」
「わッ、わかってらァ!そもそもそういうのは霊魔みたいに……ほら、アレだよ!好きな人とヤるんだ!間違ったこと言ってるか!?」
「呆れる正論ですね」
「好きな人なんて、特に居ねーよなぁ……可愛いって思うのは別に『好き』じゃねーし」
「それこそ僕らにはまだ早いよね」
「「
するとそこにひょっこりと霊魔が顔を出す。何か嫌な予感がした霖之助は、バリアの代わりと言わんばかりに衝立を何重にも重ねて壁を築いた。
「どしたの?さっきから……」
「あ、非童貞の方はお呼びではないですよ。これは誇り高き童貞の集いですので」
「誰が誇り高き童貞だコラァッ!」
「ですがお兄様も童貞でしょう?それならお兄様は誇り無き童貞ですかね」
「ぐぎぎっ……誇り高きでいいよ、もう!」
「そういう事ですので霊魔お兄様はお呼びではないですよ」
「『
「「「「────ッ!!」」」」
虔魔に対しイラつきを見せてそう言い返した霊魔だったが、彼のその発言は他の童貞3人にまで重く深く突き刺さってしまっていた。
霊魔がそれに気付いたのは、妖舞、駆翔、恋夜が怒りに満ち満ちた笑みを見せてからだった。
「……あ。ごめん…………妖舞お兄ちゃんや駆翔や恋夜じゃなくて虔魔に言っただけだから気にしないで」
「「気にするっつーのよォォッ!!」」
「お、俺は気にしてないけどね?別にね?」
「そう言う恋夜の額にも青筋が立ってますね」
「うっさい!なぁ霊魔兄ちゃん、どうすれば俺達もモテんのかなっ……!?」
「
「虔魔兄ちゃんや駆翔兄ちゃんだけだとは思わず、自分まで含まれてるとか勝手に思い込むあたりが、まさに童貞って感じするね。やめた方がいいよ?」
「うがああああああうるせえええええっっ!!!」
「モテる方法……考えた事もないし、そもそも、僕もモテないよ。シガレットお姉ちゃんからは、ずっと
『そのままの霊魔くんで居てね』って言われるし……きっと、『ありのままの自分』を見せるのが一番、女性にはウケるんじゃないかな?」
「「「参考になるかバァ〜〜〜カ!!」」」
「……いえ。霊魔お兄様の言う通りかもしれません」
「虔魔……?」
「お父様の事は言わずもがな。霖之助さんだって、朱鷺子さんからは誘惑される程なのでしょう?先程少しだけ話した程度ですが、彼は結構な理屈屋だとお見受けします。それでも女性に好かれるのです、やはり『ありのままの自分で居る』というのは重要なのだと思いますよ。お兄様も駆翔も恋夜も、少し頭を冷やして、冷静になっては?」
「「「ぐぎぎぎぎ……」」」
「……虔魔、いつもそれくらい飲み込みが早いと僕も嬉しいんだけどね」
「僕はいつだって飲み込みは早いですよ。考え方が僕とお兄様ではスレ違いがちなだけ。今回は偶然、それが一致しただけです」
「あ、そ」
「……あ。参考までに聞いておきたいのですが、霊魔お兄様は何がお好きなのです?」
「え、何が」
「性癖、フェチの話ですよ」
「……膨らむおっぱい」
「?つまり『大きい胸』ですか?」
「膨らむ、おっぱいね」
「??……んん?」
「小さい状態からおっきく膨らむのがイイんだよ。分からない……?」
「それに関しては分かる人の方が少数派ですよ」
「想像もつかねえ」
「アハッ!分かんねー!上手く理解できねーや!!今度、父様に説明してもらうかぁ!」
「……魔法で再現可能なのかな……」
その後も子供達のバカ話は続く。たまに霖之助に話の矛先が向く事もあったが、下ネタ系の話だけは完全にスルーしつつ、彼もまた子供達の話題に入りそれなりに楽しい時を過ごしたようだ。
女子の下ネタはエグい。男子の下ネタはネタ。
幻想郷でも、というよりエスカルゴチルドレンでも変わらないようです。
第1部で女子会(霊夢、鈴仙、フラン、モルモー)書いたので、今回は男子会を。なのに主人公が不在という悲劇(喜劇?)。
でも何故かエスカルゴが不在の方が盛り上がりそうなんだよね。ここの解釈一致する人、居ますか?