0日目:プレゼン
先日の男子会の際に「皆で集まる事の楽しさ」に気付いた男子5人。霊魔と虔魔の溝もほんの少しは埋まったかのように見えた妖舞は、駆翔と共謀してとある企画を打ち立てた。
────即ち「お泊まり会をしよう」である!!
◆
「それで
「おう!企画するときゃ、綿密に考えなくちゃな!まずはコンセプトだろ?実現するイメージだとか、それによって得られる効果とか。そんでもって後は実現の為のコスト、手段、スケジュール!それらを全てその書類に纏めといた。時間のある時にでも、サクッと目ェ通してくんな!レミリア嬢!」
「あ、ありがとう……かなり『ガチ』なのね……」
「……?そんなん俺らの組じゃ普通だぜ?」
「え?あの脳筋の早鬼が────」
「まっ、普通っつっても、俺が若頭に昇進してから設定した規則だから、これから『普通』にしてくんだけどな!へへへっ!」
「そ、そういう事ね……」
妖舞の発案から1週間と経たない内に、勁牙組の若頭、駆翔は書類を複数枚のレポートのように纏め紅魔館の主人、レミリア・スカーレットへ提出しに紅魔館に訪れていた。
しかしそのあまりの綿密さに、レミリアは初めて度肝を抜かれたような感覚に襲われていた。
これまで紅魔館を舞台に何かしらの催し物を開催する事は何度も何度もあった。主に、長女の巫月や三女の穹などが発案者で、企画者だった。それでも少しレミリア達と話し合う程度で、綿密な計画など立てた事が無かったのだ。
そんな計画など立てなくとも、「ノリと勢い」で割とどうにかなると全員が考えていたし、実際に、
「ノリと勢い」でどうにかなるものだからだ。
────が、彼はどうだろう。
幼くして勁牙組の若頭にまで上り詰めた駆翔は、既に、彼が目指すモノに近付きつつある。それが、レミリアの目から見ても分かるものであった。
「────ありがとう、早速読ませてもらうわ」
「あ。それ、枚数も多いし、俺が帰ってからにしてもらえると嬉しいんだけど……」
「少しだけよ。……あら?随分と、期間が長いのね。どうして『19泊20日』なの?」
「エスカルゴチルドレンは25人だろ?そんでもって父様が各家庭に泊まるのは20回で1ローテ。でも、守矢神社がローテに入ってねーもんだから、今だけ19回で1ローテになってるじゃんか?」
「成程。この『19泊』という数字は『エスカルゴが1ローテする期間』……というワケね」
「そーゆーことっ!そうすりゃあさ、父様も、俺ら子供抜きで、母様と2人きりで過ごせるじゃんか?たまには子供抜きで楽しんでもらいたいんだよね」
「!!」
駆翔の、一足早い親孝行である。妖舞はここまで考えて居なかったが、そこから企画にまでその案を膨らませた駆翔はしっかり「得られる効果」の欄にその事も記載している。しかし────。
「けどさ、そーするにも問題点があってよ〜。そのページの下の方、見てくんない?」
「……『懸念点及び代替案』?…………あぁ、確かに。確かに、その通りね。通常ローテの通りに紅魔館を含めるなら、エスカルゴと紅魔館で鉢合わせる事になるわね。で、代替案は────あら♡」
「……多分、咲夜さんとか負担増えると思うからよ。せめて父様が泊まりに来る日は、そんくらいしてもイイんじゃねーかと思うんだよな。けど、それにはレミリア嬢の許可が必要だし。その意味でも書類に纏めたかったんだよね」
「ふうん……中々、面白いじゃない。でもこの予算が外付けになってるのはどうして?印刷ミス?」
「ミスった書類なんか渡さねーよッ!予算が外付け表記になってんのは、文字通り予算を外付けしてる企画だからだよ。脚注欄まで見てくれよな!」
「ん……さ、早鬼のポケットマネーから出るの!?」
「トーゼン、母様からの許可は得てるぜ!」
「表紙に、早鬼の承認済みの判子があったのって……そういう事か……」
「おう!」
額に手を当て、椅子の背もたれにドカッと身体を預ける。駆翔は得意気な顔をしているがレミリアは反対に悔しそうな顔をしていた。
「……ならダメよ。この企画は受けられないわね」
「ええっ!?なんでぇ!?」
「幻想郷のパワーバランスの一角を担う組織として畜生界のヤクザと関係を持つワケにはいかないわ」
「け、けどっ!俺を産む時なんて、母様を紅魔館に泊めたじゃないか!」
「アレは『驪駒早鬼』個人と取引しただけのこと。
『勁牙組』と取引したワケじゃないわ」
「ッ!!」
「今だってそう。私は『勁牙組の若頭』とこの話をしているんじゃないの。『エスカルゴチルドレンの四男・驪駒駆翔』とこの話をしている。話の内容が
『エスカルゴチルドレンのお泊まり会』だからね。分かるかしら?」
「う……」
「早鬼を紅魔館に泊めたのも個人間のやり取りよ。早鬼は
「……ん?『個人のお金』から出るならイイのか?」
「そうよ。そもそも紅魔館の予算だけでも大丈夫に賄えると思うけれど────」
「なら大丈夫だぜ、レミリア嬢!その予算は母様、驪駒早鬼『個人』のお金だ!」
「へ?でも、表紙には早鬼の判子が……」
「ああ、
「────!!」
「レミリア嬢は勁牙組と取引をした事ないからな。勁牙組の判子を見た事は無いだろ?勁牙組としての判子、組長としての判子、個人の判子があるんだ。俺もそうなんだ!若頭としての判子と個人の判子がある。表紙に押してあんのは母様と俺の判子さ」
「……そういう事か……」
「俺が母様から
「……でも、子供達が20日程度お泊まりに来るのに、改めて予算なんて要らないわよ?」
「俺の食欲は他の子供達の20倍はあるぜ」
「にじゅっ……嘘でしょ!?」
「嘘なもんか。紅魔館での宴会とか、どうして俺や母様が一番に来てるか分からない?」
「え……『一番早い』のが好きだから?」
「『一番早く来た方が沢山食べられるから』だぜ」
「嘘でしょ……そうだったの……!?」
「紅魔館のご飯は美味しいからな!食べないと損!間違いないね!それに、後から来ると、何かしらの料理は無くなってるかもしんねーしさ?そうするとその料理はもう楽しめない。……だろ?」
「え、ええ……そうだけど……」
「だもの、俺が20日も泊まってたらヤベーぞ。あとついでだから『食事』のページの脚注欄も見てよ」
「えぇと……食事、食事…………あ、ここね」
脚注欄を見たレミリアは改めて目を剥いた。
「『人手不足の場合は紅魔館が希望するだけ組員を借りる事も可』!?」
「そーそー。でもレミリア嬢は『勁牙組』と取引はしたくないって言うし、多分その脚注は意味無いと思うけどな」
「う、うーん……。毎食、宴会料理並みの分量を用意するとなるとねェ……期間の短縮は……うぅん……」
「……。因みに母様は『妊娠出産育児の為の場を提供してくれた事への恩返しがしたい』っつってたぜ」
「!!」
「……なっ?イイだろ?紅魔館のメイドさんの負担も減ると思うぜ!」
「〜〜〜〜〜〜〜っっ……」
「勿論、各家庭には連絡してねー。『他の家庭から了承を得てる!あとは紅魔館だけだぜ?』なんて、そういう脅しみてーなやり方は俺の流儀じゃねェ。各家庭への連絡は、レミリア嬢から許可が降りたら即座に行う事としている。安心して悩んでくんな。1週間後、答えを聞きに来るよ。家計簿と睨めっこしながら、よく考えてくれると有難いぜ。じゃあなレミリア嬢。俺は虔魔の兄貴と弾幕ごっこしてから帰る事にするぜ」
こうして1週間後、9割9分駆翔の計画通りに、紅魔館でのお泊まり会が決定。更にその数日後に、お泊まり会がスタートした────!!
エロ同人ならここで、エスカルゴチルドレンによるレイプが始まるんだろうなぁと考えてしまう自分の脳ミソが嫌だ。勿論、そんなIFは書きませんが。