※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活 第2部   作:エスカルゴ・スカーレット

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4日目:リ・リ・リスタート

 

「……あ……おはよ……起きてたんだね、文」

 

「おはようございますっ!良い朝ですね!」

 

「だね……。つーか文……肌、ツヤツヤしてない?」

 

「そうですか?ふふ、だとしたらエスカルゴさんのお陰ですね♡」

 

 朝一番のキスを交わした所で、文は何かに気付き俺の目をじっと見つめてくる。数秒間、そのままで見つめ合うと……。

 

「じー……じじじのじぃー……」

 

「ど、どーしたのさ?」

 

「エスカルゴさん……『発情期』、来ましたね?」

 

「え」

 

 大真面目な顔で文が言う。当然の事ながら彼女がふざけているようには見えず、目を見れば、本気で言っているんだなと嫌でも分からせられる。

 

「うっそ……マジで?このタイミングで?」

 

「ええ。私は前回の発情期に立ち会えてませんが、聞いていた特徴に合致しているかと。はいどうぞ、吸血鬼も映る銀未使用の鏡です」

 

「はいどうも。……あっちゃ〜……」

 

 鏡を見た俺は、頭を抱えた。俺の紅色の両眼が、見事に濃いピンク色に染まっていたからだ。遠目で見るなら、いつも通りの紅色に見えなくもないが、近くだと少し違和感がある程度の微妙な違いだ。

 これは今から10数年前に、丸1日中、小悪魔から魅了(チャーム)を掛けられ続けてヤリまくったあの件────ここあ&シガレットの双子の子作りの後遺症だ。

 悪魔としては力の弱い小悪魔であるが、こういう方面ではめっぽう強いのが紅魔館の小悪魔だ。もう殆どサキュバスと変わらないと思う。

 しかし俺の発情期は、まるで彗星のように長期の間が空く。毎年ではなく、あくまで数年に1回(・・・・・)だ。

 

「もしかして昨晩、酔ってても割とマトモにエッチできたのって、『お酒に強くなったから』ではなく

『発情期に入りかけていたから』なのでは?」

 

「嘘だろ……?いやでも、そういや、昨日のはヤケに記憶に残ってるな……寝落ちするまでの事だけど」

 

「え」

 

「いつもは悪酔いしたら殆ど記憶に残らねえのに。確か昨日って、ここで撮影した夢子のAV見ながらヤッたような……?」

 

「ホントに覚えてるじゃないですか!?」

 

「文に顔面騎乗してもらって舌が痺れるまで舐めた覚えもある」

 

「それは忘れてください」

 

「え、なんで?凄い濃ゆい匂いで、アレだけで精液ビュルビュル射精(で)そうになったんだけど」

 

「他所(よそ)で絶対言わないでくださいよ!?匂いって、乙女にとってはおまんこ見られるくらい恥ずかしい事なんですから!」

 

「他所では言わないよ、大丈夫」

 

「ならいいんですけど!」

 

 しかしこれはまずい。発情期に入ると、殆ど常にムラムラするようになる他に、まるで昔のように、魔力の制御が難しくなり、常時魅了(チャーム)垂れ流し状態になってしまうのだ。

 しかも、俺に発情期が訪れるのはこれで2回目。魔力制御の眼鏡なんぞ、まだ創造(つく)っていない。

 

「────せめて、無意識魅了(チャーム)だけはしないようにしておかねーとな……コンタクトタイプでいっかな、今の俺に眼鏡は似合わん」

 

「あややっ?珍しいですね、あなたならこれ幸いとばかりに無意識魅了を使いまくって、色んな子達をハメ倒すものかと思っていましたが」

 

「まぁね……。どうせ今日は紅魔館に早めに行く予定だからさ、それでもいいんだけどね。紅魔館で俺とセックスしてないのは子供達だけだからさ」

 

「メイド妖精達ですら既に……ですもんね」

 

「そうそう────よし、これでどーだ」

 

 今の俺は魔術の神の要素もある。創造魔法で何か創造する時のクオリティなども、以前までと比べて段違いに成長している。コンタクトレンズのように極めて薄いモノも、楽々と創造できてしまった。

 

「わ、凄いですね。これが『こんたくと』です?」

 

「うん。普通のは眼鏡無しで視力を補正してくれるレンズなんだけど、今回は度は無し、ただし自然に漏れる魔力を拡散してくれる機能を付与してみた。コンタクトってのは、眼球に直接被せるようにして乗っけるんだよ」

 

「えぇッ!?」

 

「……怖ぇ……何気にコンタクト久しぶりなんだよ」

 

 前回、咄嗟にカラーコンタクトを使用した時は、眼球に被せるように直接創造した。だからこうして自分の手でつけるのは、何気に初めてだった。

 

「外の人間ってたまにクレイジーですね……」

 

「ね。考えついた人は紛れもなく天才だろうけど、マジでやろうとするあたり、ネジ飛んでるよ」

 

 外の世界にいた頃は周囲から「コンタクトにした方がいいよ」と言われてきた。しかし俺は、管理も取り外しも容易だからと眼鏡に拘ってきた。まぁ、本音を言うと眼球に触るのが怖いからなのだが。

 しかし今の俺は、とうに不老不死な上に再生力は幻想郷イチ。何を恐れる事があろうか。

 意を決して、レンズを眼球に乗せた────!

 

 

 ◆

 

 

「はぁ〜……地底って相変わらず暑いわー。どうして幻想郷の鬼はこんな暑い所に移り住んだのよ……」

 

「────表向きは天狗に山を任せ、自分達は山を裏から真に支配、統治する為……だったりしてね」

 

 緑眼、エルフ耳、金髪の少女が、橋の向こうから愉于奈の方へと歩いてきながら、不敵な笑みと共にそんな事を呟く。

 愉于奈は既に勇儀、萃香とは繋がりがあるので、内心「アイツらがそんな事を考えるかしら?」と、首を傾げたくなってしまった。

 

「何よあんた、鬼について随分と詳しいみたいね」

 

「詳しくなんかないわ。『だったりしてね』って、ちゃんと保険を掛けておいたでしょ」

 

「ふん。それもそうね。じゃっ。私、この奥に用事あるから」

 

「地霊殿に行くんでしょ。道、分かる?」

 

「……あんた、何者?何でそれを知ってんのよ」

 

「私は水橋パルスィ。賽鬼(さいき)愉于奈(ゆうな)────あんたを地霊殿まで案内するよう、さとりに頼まれたのよ」

 

「あっそう、ご親切にどーも。でも残念、とっくにご主人様から地霊殿までの道順は聞いてるから!」

 

「ご主人様?」

 

「あ、いや、エスカルゴのヤツから、ね!」

 

「……あぁ、やっぱり。堕とされた女の末路か」

 

「うっさいわね!私、案内なんていらないから!」

 

「ふぅん。それならそれでいいけどね」

 

 無表情のままで目を細めるパルスィを余所目に、愉于奈はズンズン地底の中を歩いていく。しかし、程なくしてその足をぴたりと止めてしまう。右に、左にと顔を動かし、腕を組んで考え込む。

 やがて、ポンと手を打つと、アッハッハと豪快に笑って見せて……。

 

「……うん、もう飛んだ方が早いわねっ!!」

 

「バカね。似たような景色だから余計に迷うわよ」

 

「うわ、パルシーまだ居たの?」

 

「パルスィね。……とりあえずあんたを見届けるのが私の仕事になったから、ついて行かせてもらうわ」

 

「……はいはい、好きにすればぁ?別に、パルスイと仲良しこよしするつもりは無いから」

 

「パルスィね」

 

「むずっかしいのよ!あんたの名前ェ!」

 

「別に難しくないでしょ。それとも古の妖怪さんは洋風の発音に弱いのかしら」

 

「うぎぎっ……」

 

「っ!……あれ……反抗しないんだ?意外ね……」

 

「事実だからさァ!しょーがなくゥ!?」

 

「……これもエスカルゴの影響かしら」

 

「ええそうよ!あいつってばさぁ、口酸っぱくして

『余計な軋轢をうむ行動はしないように』『事実は速やかに認めるべし』なーんて何度も言うのよ!?私の方がずっと年上なのにィ!!キィィーッ!!」

 

 ドスンドスンと地団駄を踏む。幼女と言える程に背の低くて小柄な愉于奈。けれどもそのパワーは、勇儀よりは弱いにせよ鬼そのものなので、足踏みで軽く近辺の地面が揺れ、地鳴りが響き渡る程だ。

 パルスィは冷や汗を流したが、それを気温による汗と誤魔化すように袖でグイと拭い、顔を真っ赤にさせて怒りを露わにする愉于奈に諭すように言う。

 

「でもそれに従うって事は、それが正しい事って、あんたも分かってるんでしょう?」

 

「っ……!だったら、何よ!!」

 

「……あんた、意外とイイヤツかもね」

 

「はァ!?イミわかんないんですけど!?地霊殿もブッ壊してやりましょーかァ!?」

 

「いいんじゃない?地霊殿、私の家じゃないもの。私にはノーダメよ」

 

「うっ」

 

「さ、早く地霊殿に行きましょ。案内するわよ?」

 

「……あーもうっ。お願い……パルス……パルスィ」

 

「じゃ、最短ルートで向かおうかしら。私、長々と仕事したくないの」

 

 キスメ、ヤマメなどに絡まれつつ、そして途中で勇儀の酒盛りにも巻き込まれそうになりながらも、2人はどうにか地霊殿へ到着。

 門番も無い地霊殿だが、パルスィは慣れた様子でヅカヅカと敷地内に入っていく。入口扉を開け中に入ると、エントランスにはゾンビフェアリーが数人待機していたようで、パルスィと愉于奈の姿を見るなり、その中の1人はさとりへ報告をしに館の奥の方へとフワフワ飛んで行った。

 

「あ、パルさん!その方が噂の、鬼の人ですね!」

 

「ええ、そう。さとりの所に案内してやって。私はもう帰るから」

 

「ありがとうございましたっ!お疲れ様です!」

 

「ん」

 

 後ろ手に手を振りパルスィは地霊殿を後にする。エントランスに残ったのは、館の広さに唖然とする愉于奈と、ニコニコ顔でそんな愉于奈を見るゾンビフェアリーだけ。

 

「はぇ〜……すっごい……広いわね……」

 

「はいっ!広さだけなら地底でも指折りです!」

 

「でもケモノ臭いわね……鼻がおかしくなりそう」

 

「さとり様は動物を飼うのが趣味なので……」

 

「えー。動物なんて猫以外無理なんだけど……犬とか絶対無理……。臭いし、噛むし、人にへーこらする、あの態度に虫唾が走るのよね……!」

 

「猫でしたら……あっ、さとり様っ!」

 

「!」

 

 コツン、コツン、と革靴を軽快に鳴らし、ゾンビフェアリーに連れられ、肩に猫形態のお燐を乗せたさとりがエントランスに登場。愉于奈の目は二又の尻尾を持つ黒猫に釘付けだ。

 

「地霊殿へようこそ、愉于奈さん。古明地さとりと申します。勇儀から、話は聞いていますよ。中々にお強いようですね」

 

「そりゃ、八雲紫と博麗……博麗なんちゃらが組んで私を封印するくらいだものね!きっと、あんたより私の方が強いと思うわよ!」

 

「だと思います。鬼の膂力というのは、それはもう中々どうして兇悪なモノですから。さっ、それでは中へどうぞ。案内しますよ。もし気に入った部屋があれば、使用中でさえなければ即日での入居も可能ですから」

 

「…………」

 

 特に挨拶する事もなく、愉于奈は黙ってさとりの後ろをついて歩く。彼女の肩に乗る黒猫のお燐は、時折、愉于奈の方を振り向いては欠伸している。

 

「あ、お姉ちゃん!その子が噂の?」

 

「そうよ。……愉于奈さん、紹介しますね。こちらは私の妹、古明地こいしです」

 

「どーもーっ!心が読めて無意識も操れる、こいしだよ!よろしくっ!」

 

「は?心を……読む??」

 

「覚(さとり)妖怪って知らない?心を読める種族なんだよ」

 

「は?……じ、じゃあ、さとりも?」

 

「ええ。あなたが私を見て、心の中で『貧乳ね』と笑っていたのも、把握済みです」

 

「────ッ!!」

 

「『マジで読んでる!?有り得ないんですけど!?秘密も何も無いじゃないのよッ!』────ええ、まぁ、そうですね」

 

「実況すんじゃないわよ!キモイ!」

 

「安心してください。私は、暴露を趣味にした変態ではないですから」

 

「じゃあ最初からしないでよ!」

 

「最初くらい、能力を見せてあげていた方が、後々役に立つ気がしまして。……では案内を続けますよ」

 

 愉于奈は舌打ちしながらついていく。どうやら、こいしもついて来てはいるようだが、振り返っても姿を見せない。まるで、透明人間に尾行されているようで、段々と気持ち悪くなってきてしまった。

 

「────そしてここが地霊殿の応接室で………………どうしました、愉于奈さん?」

 

「なんか、つけられてない?誰かに見られてるよ。変な気配がする……気がする」

 

「!……もしかしてあなたは、こいしを認知できるのですか?」

 

「は?認知も何もさっきあんたが紹介したでしょ」

 

「はい。しかしそれはあくまでこいしが《無意識を操る程度の能力》を使用していないときの話です。数年前まであの子はこのサードアイを閉じていたんです。しかしある方への恋心がきっかけで再び開眼した。閉眼した時に無意識の能力を得ましたから、開眼した事で無意識の能力を失うと思ってましたが実際はそんな事は無く────」

 

「無意識も操れて心も読めるヤバイヤツが爆誕と。ふぅーん、中々に厄介ね、あんたの妹。で?なんでその話を、今?」

 

「私には分かりかねますが、あなたは無意識状態の普通なら認知できない状態のこいしの事すら、認知できるのだと思います。……少しだけかもですが」

 

「!」

 

「スペルカードルールが制定されるよりも遥か昔、まさに血みどろの『古』の時代を生き抜いた高等な妖怪だからでしょう。姉の私ですら不可能なのに。凄いです……お見逸れしました」

 

「ふ、ふんっ!もっと讃えなさいっ!」

 

 さとりは、愉于奈のそんなセリフを軽く流して、ドンドン案内を続ける。ゾンビフェアリーの部屋、お燐、お空の部屋の紹介の他に、姫が使用している子供部屋、物置など。そして────。

 

「ここが、エスカルゴさんの個室です」

 

「ケモノの匂いが殆どしない……それどころか……」

 

「女とエスカルゴさんの匂い────でしょう?」

 

「……エスカルゴの部屋って事は、やっぱり?」

 

「ええ。私やこいし、お燐も、基本的にこちらで、いつも彼に『お世話』になっているんです。ただしお空だけは、普段はあの子の部屋ですが、たまに、こちらで交わる事もあるようですよ」

 

「ふぅん……。じゃ、ここにするわ!!」

 

「はい?……あの……ここは彼の部屋なのですけど。隣は空き部屋ですから、そちらにしては?」

 

「だからぁ、居候みたいな?そんなんでいいわよ。あんたらがアイツとヤリたいんなら私を無視するか私が部屋を出ればいいだけ。どうせ、エスカルゴが地霊殿に泊まるのは、『ろぉて』の中で1回だけ。しかも、さっき聞いたさとりの説明だと、アイツが地霊殿に泊まっても、寝るのはお空の部屋でしょ?じゃあこの部屋、アイツの個室とは言っても、実質空室か『地霊殿でのヤリ部屋』じゃん」

 

「……」

 

「あ。心読んでも、言わないでくれる?もしコレ(・・)を言ったら、殴り殺すよ」

 

「……分かりましたよ。ではエスカルゴさんの許可を得たら、ここに入居して構いませんから」

 

「それは大丈夫。許可、もらってるし」

 

「用意周到ですね。そういう事なら、どうぞ」

 

 鬼は基本的に嘘をつかない。だから愉于奈のこの

「許可を貰ってる」という発言を疑うこともなく、さとりは愉于奈を通してしまった。

 地霊殿の案内はまだまだ続く予定だったが、もうその必要もあまり無さそうだった。

 

「しかし────どうしてそこまでするんですか?彼の話によるとあなたとは身体だけの関係のはず。そこまで、入れ込む必要も無いのでは?」

 

「……」

 

 さとりの言葉をスルーし、部屋中をキョロキョロしながら歩き回る。やがて部屋の匂いの根源であるベッドに腰を下ろすと、ぽすん、と倒れて枕に顔を埋めた。

 

「好き……///」

 

「え?」

 

「アイツのヤリ部屋で暮らしてくうちに……匂い……好きになっちゃったのよ。肉欲と汗に塗れた、この雄臭くて、独特な匂いがね」

 

「匂いフェチでしたか」

 

「……だから、本当だったら、魔法の森のヤリ部屋を出たくない……。だけど、私の存在がアイツの邪魔をしちゃってるんなら……それは、嫌だからさ……」

 

「愉于奈さん……」

 

「だからもし……私を地霊殿に住まわせてくれるならこの部屋がいい。……アイツの部屋が、いいな……」

 

 こうして、愉于奈の地霊殿への居候が決定した。その日はさとり達と酒を酌み交わし、鬼ならではの酒への強さで無双。その後、匂いについて、お燐と熱く議論するようになったのである。

 そして次の日、地上のヤリ部屋に別れを告げる為だけに、幻想郷に舞い戻った────。




次回────近親相姦大乱交!?

愉于奈が犬を嫌ってるのが分かるシーンでディオを思い浮かべた方は正解です。
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