「────そう、魔理沙も行ってきたのね。しかもベルちゃんか……」
「あぁ。教えるのも、中々に上手くてな。魔界での特訓以上に強くなれたぜ」
「そうなの?大差無いように見えるけど」
「あぁ?じゃあ勝負だ、今日は久しぶりに勝つ!」
「腰痛いから無理」
「……老けないクセに老人みたいな物言いだな」
「仕方ないでしょう?割とさっきまでエスカルゴとヤッてたんだし」
「ゴフッガフッ、ゲホゲホッ!?」
魔理沙が霊幻世界から帰ってきて数日後──報告というワケではないが、自分と同じく霊幻世界へと行ったことがある霊夢に、魔理沙は事の次第を話しに博麗神社にやって来た。
霊幻世界に行ってきたと伝えてもそこまで驚いた様子などは特に無く……。
「魔理沙、大丈夫なの?襲われなかった?あんたの事だから襲われてそう」
「襲われ────だ、大丈夫に決まってるだろ!?なっ、なんでそんな……」
「そうなんだ、意外。私ですら抗えなかったのに」
「霊夢がッ!?」
「いや……まぁ、女の子とのエッチならエスカルゴもOKしてくれるし……?ある意味、公認の浮気よね」
「それは分かる、だが霊夢が抗えなかったってのはどういうワケだ!?そんな話この前は聞かなかったけど……」
「そりゃ、どういう世界か知らない人に話したってドン引きされるだけだし。……んー、モルモーの娘のマリンちゃんって言うんだけど、あの子はヤバい。ヤバいわよ。理性が消える。魔理沙は会った?」
「理性消えるッ!?!?私はそのマリンってのには会ってないけど……会ってたらアレよりもヤバかったかもしれないなぁ……」
「アレ?……ひょっとしてベルちゃんに襲われた?」
「ゲブフッッ」
「……ハッ。図星ね」
霊夢は口元をヒクつかせながら、魔理沙が吹いたお茶を布巾で拭いていく。
「………………ベルどころか、エスカルゴとベルの娘、20人に襲われまくったぜ」
「20人ッッッッ!!?!??」
魔理沙もこう見えて、セックスの経験人数は23人である。なお数字だけ見るとそこそこヤリマンだがその内訳は、彼氏のエスカルゴ、その娘のベルと、総合魔法科の女子20人、更に数年前の淫霧異変での霊夢という悲惨なものである。
それで言うなら、霊夢はまだ可愛いものである。霊幻世界においてですら長女のマリンにしか身体を許していないのだから、どれだけ霊夢が押しに強く我を貫けるのかが窺える。
「────ねぇ。もし、だけどさ。もし霊幻世界の連中が……リリスみたいに攻めてきたら、幻想郷は、どうなるのかしらね」
「ッ!」
「ふと思ったの。リリスみたいなのが大勢居るならそんなのが一気に攻めてきたら────って」
「……」
「私……リリス相手に、手も足も出なかった。いや、出す気になれば出せたわ。でも身の回りの誰もが、私に、手を出させてくれなかった。そりゃ私なんかエスカルゴや霊子みたいな再生前提の戦い方なんて無理だけど。何というか
「スペルカードルールは、基本的に、技の美しさを競うものだからな。殺し合いやそれに近いレベルの戦いは、ハナから想定していないルールだし……」
「それに芯から慣れ切っている今の私には……正直、ついていけない次元になりつつあるわ」
重苦しい空気が流れる。境内では子供達が4人で大乱戦を繰り広げており、あちこちで爆発が起き、砂埃が舞っている。
そんな様子をどこか遠い目で見ながら、霊夢は、吐き出すように力不足を嘆いた。
しかし魔理沙の表情は変わらない。それどころか魔理沙は心の中では「何言ってんだコイツ」とさえ思っている。
自他共に認める「最強巫女」が、何を嘆くことがあるのだろうか、と。
「でもまぁ、霊夢にはまだあるだろ。
「無制限の『夢想天生』……ね」
「それがあれば余裕だろ。なら、そんなに嘆く事は無いだろう」
「それはそう。でも、使わないわよ」
「なんでだよ?」
「
「……ハハッ。マジか、霊夢……」
「旦那にすら見せてない技を、旦那の子供や子孫に見せるワケにはいかないのよ」
「そこまで来ると、もう、病気だぞ?」
「うっさいわね……」
エスカルゴが「霊夢にだけ自分の上に立っていてほしい」と願うのと同じように、霊夢もまた、己の真の奥義を見せることになるのは旦那だけであってほしい、と強く願っている。
だからこそ、普段はその真の奥義を隠した上で、どんな相手だろうとも戦ってきた。最強の魔術神、へカーティア相手でさえもだ。
あらゆるものの干渉を受け付けないという霊夢の奥義である『夢想天生』はまさに最強だ。しかし、スペルカードルールという形式に則るのなら完全な無敵は禁止。故に、制限時間を設けている。
大抵の相手はその制限時間すら耐えられないから事実上これで既に無敵ではあるのだが、理論上は、これでさえ敗北が存在する。
ならば「最強の奥義」とは?
時間も関係なくあらゆる干渉を受け付けないよう技を設定する、制限時間が無い「夢想天生」だ。
「──というか、そんなに気ィ張らなくてもいいと思うぞ。多分、そのリリスってのが突然変異過ぎるだけで、霊幻世界の連中はそんなに強くはないな」
「あー?」
「自称・霊幻世界最強に勝ったぜ、私。モルモーとエスカルゴを除いての最強、だけど」
「それ絶対相手が手ぇ抜いてただけでしょ……」
「なっ!?確かに、正面戦闘で勝ったというよりは
『負けを認めさせた』だけだけど……随分と酷いこと言うな!?」
「だってさ、ベルちゃんって
「?それが?エスカルゴは親バカだから自分の子は自信を持って強いって言うだろ」
「いいえ?そんな事は無いわ?」
「え」
「フゥ〜〜〜〜〜〜……魔理沙は
「なんか腹立つ」
「アイツ、意外とシビアよ。こと『強さ』の面なら容赦無く子供達を格付けしてるわ」
「えっ」
「ただ、うちの子達が強すぎるだけ……って感じ♡」
「なんか腹立つ!てか、親バカはお前かよ霊夢」
「あとトップが巫月ちゃんなのは変わらないわね。まぁこれは実際そうだしね。霊愛が未だに勝てない子供なんて、それこそ巫月ちゃんくらいのものよ」
「巫月は本当に何なんだ……?私も勝てないぞ」
「エスカルゴの見立てでは巫月ちゃんも突然変異の混血児って感じらしいわよ。今でこそ、神綺の力で克服してるけど、日光に弱かったらしいし」
「モロに吸血鬼じゃないかそれ」
「まさに『鈴仙の見た目をした吸血鬼』なのよね、あの子。そのクセどちらの強さも有していて万全に使いこなすからヤバいわ」
「……うーん。私が戦った霊幻世界の子供達、クセが強かったし属性に特化してたんだよな。いやまぁ、そういう子供だけ集めたクラスだったんだけどさ。その中でも更に格差があったから……」
「へぇ。今度、エスカルゴ評を聞いてみたいわね」
「だな。子供達にも容赦無く評価つけてるのなら、確かに聞いてみたいものだぜ」
しかし魔理沙は既に知っている。ベルから聞いて既に知っているのだ。
霊幻世界における強さのランクは、その最上位は世界の創造主である2人──次いでベル、マリン、セツの順であり「その下」にリリスが来る……と。
もう少し視野が広く、もう少し幻想郷の知識さえあれば、幻想郷を混沌に陥れる事ができたであろうリリス──を更に上回っているのが三女神である。
そんな三女神最強のベルに負けを認めさせた、と考えるのも間違ってはいないが、魔理沙の言う通り正面戦闘で負かしてるワケではないのが危うい点と言える。
「次またどこかで会えたら私もベルちゃんと戦ってみようかな」
「かなりエグい魔法を使ってくるぜ。まぁ霊夢ならそもそも大丈夫だとは思うが……」
「……?というかあの子って霊麗にそっくりよねぇ。モルモーより私の娘じゃないの?って思ったわ」
「産んだ覚えのない娘とかホラーかよ」
リリスと、総合魔法科最強であるミコの間には、恐らくは越えられぬ壁がある。
しかしそれと同じように、セツとリリスの間にも越えられぬ壁が存在している。
故に、魔理沙の言う「霊幻世界の連中を気にする必要は無い」という考えは、根本から誤っていた。
博麗の巫女として長年働いてきた霊夢だからこそ自然とそういう方向に考えが向かったのだろう。
「ま、エスカルゴの子供だし……何にせよ危険思想は無さそうだったから、侵攻して来る心配とかはまぁ大丈夫だとは思うけどね」
「だな。その点を含めても、そのリリスってヤツがかなりの例外だったんだろう」
「ホントにね。────私、魔理沙ときたら、次は咲夜か早苗、鈴仙、フランあたりかなぁ」
「咲夜かフランと予想するぜ。悪魔の世界だから、悪魔関連のヤツを連れてくんだと思うんだ。霊夢は後天的とはいえ吸血鬼だし、私は魔法使いだしな。古来より魔法使いってのは、悪魔と契約して魔法を使うものだとされてきた側面もある。私も悪魔関連という見方もできるかもしれん」
「成程、一理あるわね。それなら多分だけど早苗は無いわね。エスカルゴと喧嘩中みたいだからね」
「えっ?…………あ、ローテから外れてるんだっけ。確かにエスカルゴならその辺は気にしそうだな」
「ね。まっ、特に危害は無いし、こっちが望めば、任意の時間に帰れるらしいし?その辺は都合がいいかもしれないわね」
「世界を隔てているのに通用する時間魔法──か。なんつーかさ、その時点でバケモノなんだよなぁ。そういう不可逆的なものを可逆的なものにするのは御法度だろ、咲夜さえ『落とした物を拾う』程度の使い方しかできないんだぞ、『巻き戻し』はさ?」
「極めてレベルが高い……って事ね」
「危害──いや、害意は無くとも、危険性はある。それだけは忘れないでおかないとな」
「……そうね。魔理沙が言うんだから、そいつは肝に銘じとくわ。子供達にも伝えとかないと、かな……」
幻想郷は、今日も平和である。
そして程なくして、次なる訪問者がやってきた。
現在、ブルーアーカイブにハマってます。
コッチの更新が疎かになるくらいには、割とガチで二次創作にもハマってしまっています。
ブルアカ知ってる人などは是非。
既に合計100話を超えているので、暇潰しになると思いまっせ。
(例によってハーレム系です。)
第1部は更新の度にランキング入りしてくれるので割と自信あります。第2部もそこそこ。
第3部はオリジナル学園なのでまぁ仕方ないかな。
また、第2部以降では「吸血鬼人間の幻想生活」のオリキャラを複数人ブルアカ風に少しアレンジして登場させてたりします。
(モルモー、エンプーサ、ラミア、愉于奈、リエ、ルビー、シエル、サエ、霊子がそれに該当)
俺のオススメはモルモー、ルビー、霊子のアレンジキャラですが、まぁ読んでのお楽しみという事で。
そしてこの第1部〜第3部まで同時連載です。
が、内容としては第1部を前提に第2部、第2部を前提に第3部を書いているので、順当に第1部からお読みになるのを強めにオススメします。
ジョジョで例えるなら、第1部と第7部を並行して読むような感覚に近いかも。
第1部「リンちゃんはやってくれたよ?」
https://syosetu.org/novel/318480/
第2部「ハーレムルートを目指しましょう、先生」
https://syosetu.org/novel/319579/
第3部「先生!もっとあたしらに構って!」
https://syosetu.org/novel/330714/