※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活 第2部   作:エスカルゴ・スカーレット

98 / 104
ヤることヤッちゃおう!〜開演〜

 

 ────ある日、唐突にそれは起こった。

 いつもの事ながら、何かが起きる時は大抵、何か前触れがあるという事も無く、唐突なものである。

 ──いや。地震で言う前震や初期微動のように、戦争で言う両者の関係の悪化のように。真に(・・)大きな事件が起きる時こそ、何かしらの前触れはあるものなのかもしれない。

 

 ◆

 

「……?何、これ?ちょっとお父さーん?空間魔法、出しっぱにしないでよー」

 

「空間魔法を出しっぱって何だよ??」

 

「何って、これだよこれ」

 

「あー?」

 

 境内を掃除していた愛娘・霊愛が、霊子と霊魔に魔法を教えていた俺を縁側に呼び付ける。

 授業中だろうとも、愛娘の呼びかけには応じる。それが父たる俺の使命だ。だからこそ「空間魔法を出しっぱ」とかいう頭のネジが飛んでそうなパワーワードにも関わらず、授業を中断して縁側へ。

 するとそこには、空間に歪みが生成されていた。成程確かに、これは空間魔法の作用によるものだ。極小のブラックホールでもあるかのように、空間がある一点に収束しているように見える。が、これを発生させたのは、俺ではない。

 

「それ、俺じゃねぇな」

 

「え、でも魔力の気配がお父さんっぽいよ」

 

「……あいつら何考えてやがる」

 

「え?」

 

 次の瞬間、その歪みは黒い点に転じ、瞬時に身の丈を超えるような球体へと変貌を遂げる。

 

「なっ、何これ、GA〇TZ!?」

 

「霊愛お前……G〇NTZ知ってんのな……」

 

「香霖堂にあったもん、単行本。てか、急に大きくなるとか何これ!?」

 

「まぁ……見てればわかる」

 

「???」

 

 縁側と境内でそんなやり取りをすれば、必然的に騒がしくもなるだろう。騒ぎを聞き付けた子供達と霊夢がゾロゾロと縁側に出てきてはあの黒い球体を目にして、驚きの声を上げる。

 しかしそんな中で、唯一、霊夢だけは──まるでアレに見覚えがあるかのように顔を引き攣らせるといった反応を示した。

 

「ねぇエスカルゴ?これって────まさか?」

 

「うん、霊夢の思ってる通りだろうな」

 

「うーん。次は誰かしらねェ……?」

 

「『次は誰』って何?」

 

「まさか、リリスみたいなのが来るんじゃ……」

 

「アッハ!じゃあ、霊魔お兄ちゃん誘惑されまくりじゃない?モテ期、到来じゃ〜ん♡」

 

「嬉しくないよ……」

 

 するとその黒い球体から、弾かれるようにして、6人の少女が飛び出した────!!

 

「わぁ〜……!緑!見渡す限りの!グリィィィン!!凄いねっ、2人共!」

 

「あまり大声を出すのははしたなくてよ、ハナ」

 

「マコのその謎のお嬢様口調の方がアレだけどね」

 

「アレって何かしら?言ってみなさい」

 

「黙りなさい、2人共」

 

「「……ハイ……」」

 

「そんな状態で連れてきて良かったの?ベル?」

 

「強さには、定評があるので」

 

「それだけは、だけどね」

 

「お久しぶりです、霊夢さんっ!!」

 

 境内に出現したのは、6人の悪魔である。

 より正確に言うなら夢魔が1人、吸血鬼が1人、悪魔が4人といった、ちょっとだけアンバランスな人数比であった。

 ピンクのツインテールをしゃらりと揺らす少女、否、幼女の姿を見た霊夢は、数日前の記憶を瞬時に鮮明に、まるで走馬灯の如く駆け巡らせる。

 

「セツ……!?あんた、どーしてまた……それにその3人は一体……」

 

「ちょっと待って!あの黒髪のって、霊麗!?……のドッペルゲンガー!?」

 

「確かに、凄く私にそっくり、だね……?」

 

「……」

 

「わぁ!ベル様にそっくりな人いるー!」

 

「瓜二つね……父方の血しか繋がり無いはずでしょ?こんなに似るものなのかしら……」

 

「近しい姉妹なんてのはそんなものよ」

 

「いや私とマコは近しいどころか双子だけどね??似てないじゃん」

 

「うっはぁ〜、カオスじゃんこれ!なんかワクワクしてきたよ!ねぇ、お兄ちゃん!?」

 

「ワクワク……は、しないかな……」

 

 などなど、混沌に陥る博麗神社境内。

 幻想郷の子供達は、リリス以外の霊幻エスカルゴチルドレンと顔を合わせるのは初めてだ。こうして混乱してしまうのも無理は無い。

 なので俺がそれぞれの陣営の間に割って入って、両者を落ち着かせる。

 

「それじゃ、とりあえず自己紹介からしてこうか。年功序列、つーか生まれた順にな。だからここは、幻想エスカルゴチルドレンから」

 

「幻想エスカルゴチルドレンって何よ」

 

「読んで字の如く、そのままの意味さ。幻想郷でのエスカルゴチルドレンだ。霊幻世界の方は『新生』じゃなく霊幻エスカルゴチルドレン。新しいなんて字を使うと、幻想エスカルゴチルドレンが『古い』ように見えちまうからな」

 

「なるほど……?」

 

 という事で両陣営に向けて説明。不服そうな子も居るには居る、しかし俺の有する創造主権限にて、無理に納得させた。────虐待?そんなもん俺の世界には無いから安心して欲しい。

 

「え、と──博麗霊愛(れいあ)。幻想エスカルゴチルドレン次女……です。一応は、あんたらのお姉ちゃん、にもなるのかな。とりあえず……よろしく……?」

 

「博麗霊麗(れいら)。5女だよ、よろしくね。お姉ちゃんは吸血鬼と人間のハーフ、私は純血の吸血鬼ね」

 

「博麗霊魔(りょうま)。…………次男、です」

 

「博麗霊子(れいこ)、得意魔法は月属性魔法。目下、魔法の修行中だよ」

 

 ロリショタだけの自己紹介が終わり、自己紹介は霊幻チルドレンのターンに。霊子が言葉を切ると、霊幻チルドレン以外の者の目は──モルモーが更に巨乳になり、背丈まで大きくなったような少女──マリンに釘付けになる。

 

「マリン・スカーレット。霊幻世界における夢魔の始祖をやらせてもらってるわ♪──他に、三女神と呼ばれたりもするわ。霊幻エスカルゴチルドレンの長女は私。よろしく、お姉ちゃん、お兄ちゃん♪」

 

「ベル・スカーレットと申します。霊幻世界での、全ての悪魔の始祖が私です。三女神の2柱目、及び霊幻チルドレン次女は私であり、お父様達を除いた推定の最強も、恐らくは私です。あなた方とは一体何歳差かも分かりませんが、そんな事はともかく、よろしくお願いします」

 

「セツ・スカーレットですっ!霊幻世界では、観光大使をやらせてもらっていますっ!霊夢さんの観光案内が私にとっての初仕事で!仕事とは違いますがまた幻想郷に来られて嬉しいですっ!────あ、吸血鬼の始祖は私です!チルドレン3女もですし、三女神の3柱目もっ!」

 

「────マコと申します。ベル様と、お父様ことエスカルゴ・スカーレット様との間に生を受け──霊幻エスカルゴチルドレン、5女でございます」

 

「……ミコよ。いつか、私自身が祭神を務める神社をブッ建てるのが、この私のささやかな夢なの。霊幻チルドレンの6女で、マコとはこう見えて双子ね」

 

「ハナはね、ハナだよぉっ!ハナは7番目でねっ、多分、7番目くらいに強いよっ!」

 

 欠番の4女については言うまでもない。マリンと俺との間に生まれた、俺にとっての初孫にして突然変異の子、リリスだ。あの子はまだ最下層の監獄に投獄されている、そう簡単には出て来れないハズ。

 そして、霊幻世界側の子供達の自己紹介を終え、現在──境内は、静寂に包まれていた。睨み合う、見つめ合うともまた異なる空気が漂っている。

 

「……それで?誰の主導で何しに幻想郷に来た?」

 

「私です」

 

「……ベル……」

 

「魔理沙さんから見ても私にそっくりだという博麗霊麗、いえ、霊麗お姉ちゃんを……一目、見たくて。そして────」

 

「先生──ううん、お父さんが幻想郷にばーっかり泊まってるの、ズルいからさっ!」

 

「宿泊ローテに霊幻世界も加えてもらおうと思って直談判に来たのよ」

 

「それなら、頻度が最多の博麗神社を説得するのが利口というもの。クラス(総合魔法科)の皆の想いも背負い、今、私達はこの地に立っているのです」

 

「宿泊ローテに加えてほしい?幾つ家庭あるのよ、霊幻世界には……!ねぇ、お父さん!?」

 

「家庭の数は数知れず。総合魔法科の皆の想いを、という事だから。20……か?」

 

「その通りですわ」

 

「はぁ!?無理無理絶対無理!急に出てきたクセに宿泊ローテ20日分寄越せ!?無理に決まってるわ、そんなの!今でさえ、19泊20日で1ローテなのに!ねぇ、お母さん!?」

 

「う、うーん……そーねぇ……流石に急すぎるしね。それに何よりも、私達の一存では決められないわ。宿泊ローテはその名の通りローテーションだから、他の家庭との協力で成り立ってる。私達を説得して私達がOKを出しても他の家庭は絶対に従わない。私達への説得なんてのも、無駄に終わるわよ?」

 

 感情で拒絶する霊愛に対して、同意を求められた霊夢は、霊愛の感情論を理論で塗り固めて、優しく補強していく。霊麗はもう何も言う事も無くなり、3人はひたすら頷き同意を示すのみである。

 いつも揚げ足取りをしたり煽ったりする霊子すら口が出せないくらいに、殆ど完璧な反論だった。

 霊夢からの理詰めを喰らい、霊幻チルドレンは、口を閉ざすしかなかった。しかし、興行も担当するベルは、考え方が他の者と一線を画していた。

 

「────では勝負しましょう。霊幻チルドレンと幻想チルドレン──どちらの世界の子供達の要望を飲むか。ええ、確かに私達は新参者ですから?仮に年功序列に従えば私達の意見など後回しです。しかしそんなのは受け入れられない。──それならどうする?……幻想郷ではこんな時、どうしますか?弾幕ごっこ──そうでしょう?霊夢さん?」

 

「え……ええ、そうだけど……」

 

「ですから勝負をしましょう。私達6人と反対派の幻想チルドレンによるバトルです。勝ち抜き戦でも団体戦でも、どちらでも構いませんよ。ですよね、お姉様?」

 

「まぁ尤もらしい理由を付けて幻想郷のエスカルゴチルドレンと戦いたいってだけでしょうけど……」

 

「っ!」

 

「──でも、お父様の宿泊ローテを抜きにしても、幻想郷のハーレムメンバーに対して思う所もあるしバトルするのもいいんじゃないかしら。──ねぇ?霊夢さんは、お姉ちゃん達は、どう思うかしら?」

 

「……私からは、何も言わない。そっちに泊まろうがエスカルゴなら私に会いに来るだろうし。だから、ここは……子供達の判断に任せ────」

 

「反対反対、大反対だよッ!!霊麗、霊魔、霊子!あんたらも反対でしょ!?ねぇッ!?」

 

「う、うん、元から反対だから落ち着いて……」

 

「ぼ、僕も反対かな……。魔法の勉強もそうだけど、お父さんとはBLEACHを語り合いたい」

 

「そーだねぇ。エッチできる頻度も時間も減るし、魔法の勉強の質も落ちるし。お父さんを霊幻世界に長く居させてもメリットは無いしね。反対だから、バトルしかないね♪」

 

「……セツ。マコ、ミコ、ハナ。大丈夫よね?」

 

「がっ……頑張りますっ……!」

 

「勝利する。ただ、それだけです」

 

「タイマンなら勝ち目あるかな」

 

「ハナも頑張るよぉっ!」

 

「────決まりか。てか俺に拒否権は無いの?」

 

「「「「「あったらこうなってません」」」」」

 

「そっかぁ」

 

 こうして幻想チルドレンvs霊幻チルドレンによるバトルが行われる事になった。しかも敗北した際は罰ゲームを付与される形で……!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。