※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでる童貞はどうすりゃいいですか? Rewrite   作:楓 湊

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ゆうま は にげだした !


しかし まわりこまれて しまった !!




1話 SS0番隊、集結

 

 ___目を覚ますと、視界に広がる景色は光が一つもない暗闇だった。

 

「何も見えない…」

 

 見えないというよりは視界を塞がれておるようだった。

 おまけに手足が自由に動かない。

 腕も脚も椅子に縛り付けられているようだ。

 要するに、捕まったということである。

 

「…外に出るんじゃなかった」

 

 ぽつりと後悔の言葉を漏らす。

 軽率に外に出たのが駄目だった。

 噂に聞いていた『反交尾勢力』に会うことはおろか、SSに捕まってしまうだなんて。

 

 

 小さい頃から、青藍島に染み付く性の匂いが嫌いだった。

 家の外に一歩踏み出せば嬌声が耳に入り、卑猥な水音も聞こえてくる。

 どうして平然とそんなことが出来るのだろうか___と毎日のように疑問に感じていた。

 

 そして、いつか自分もこんな風になってしまうのかと恐れていた。 

 

 強制されるセックスなんて、何が良いのだろうか。

 この答えは今になっても見つからない。

 

 セックスを知らない自分には、何も___

 

 

「___安心してください。ま(・)だ(・)初めては奪っていませんから」

 

「___っ。この声は…」

 

 水乃月学園の全生徒が必ず聞いたことがある声が聞こえる。

 そして、その声が聞こえたということは。

 

「ここは生徒会室…?」

 

 漸く居場所の察しがついた。

 察しがついた所ではあるのだが。

 

「はい、その通りです。まさかあんなに堂々と外を出歩いているとは思っていませんでした」

 

 声の主は、きっとSS代表兼生徒会長の冷泉院桐香だろう。

 つまり、いきなりラスボスの前に捕まって連れて来られたワケで。

 

「終わった…」

 

 現状、逃走手段はない。

 第一、この絶体絶命の状況から逃げ出そうという勇気もない。

 コミュニケーション力に欠ける自分には上手く切り抜ける口もない。

 

「ここで…刑を下すつもり…なんですか」

 

 恐る恐る聞いてみた。

 

「そのつもりがあったのなら外で終わらせていました。わざわざ貴方をここまで連れてきたのは…契約を交わしたいからです」

 

「契約…?一体何を言って___」

 

「ああ、契約と言っても比較的簡単ですよ。SSも入ってくれれば、今まで貴方が犯していた条例違反をなかったことにして、童貞も守られたまま…というものですから」

 

「なんですか、それ…。SSに入れば条例違反を見逃してくれるって…取り締まる側なのに…?」

 

「取り締まる側だからこそ、一般的な偏見が守ってくれるんですよ」

 

「その理屈を、SSの代表が言うんですか…」

 

「単刀直入に言えば泳がせるだけ、ですよ。実際にSSに入って様子を見ていれば貴方だってセックスがどれだけ相互理解の為に必要かわかる筈です」

 

 それはつまり。

 

「回りくどい手を使うのなら……ここで終わりにしてくれた方がいい、です」

 

「_____。」

 

 会長の虚を突かれたかのような声が聞こえる。

 そんなに驚くことなのだろうか。

 

「やはり、会話だけでは理解には程遠い___」

 

 足音が近づく。

 

「何を___!?」

 

 ほんの一瞬、どころではなかった。

 息遣いを顔で感じるより先に唇が柔らかい何かで塞がれ、驚く間もなく相手の舌が口内に入り込む。

 それがディープキスだと気付くまでに柔らかい感触が唇から離れる。

 

「___っ、はぁ…。あぁ…理解(わか)ってしまいました…」

 

「な、なにが、わ、わかったって…!?」

 

 唐突にファーストキスを奪われて、理解ってしまった、なんて言われれば困惑しないわけがない。

 

「先(・)輩(・)とは少し違いますが…切っ掛けは十分、というわけですね」

 

「何を意味不明なことを…っ」

 

 一切理解できない言葉を飲み込み切れずにいると、急に視界が明るくなる。

 どうやら目隠しを外されたようで、次第に視界に他の色が見えてくると、ぼやけたままで定着する。

 

 然し、直ぐにずい、と会長の顔が鼻先が当たるギリギリまで近付いてくる。

 

「妹さんを亡くしていたんですね…しかもレイプされて」

 

「___!?なぜ、それを…、まさか、わかったって…!」

 

 誰も知らない、誰にも教えていない、記憶の中でずっと刺さったままの事実を、言葉通りに会長は理解していた。

 いや、理解なんてできる筈がない。

 

「貴方が童貞を捨てる気になるには、先ずそのトラウマをどうにかしなくてはいけませんね…」

 

「はい…?」

 

 何を言っているんだ。

 

「やはり、貴方にはSSに入って貰った方が___」

 

「ちょ、ちょっと!何を言ってるのか、さっぱりなんですけど…!」

 

 ついていけない。

 というか、こちらのことはお構いなしじゃないか。

 

「貴方がセックスを避けるのは童貞に誇りを感じているのではなく、その行為が妹さんを死なせたからだというトラウマがあるから。ですよね?」

 

「………それで、どうしてトラウマをなくそうという考えになるんですか」

 

 そんな配慮をする道理はSSにはない。

 どんな過去を抱えていたって条例違反をしていることには変わりないからだ。

 

「それは…ここで私や他のSS隊員とセックスさせたとして条例違反の罰を与えたことにはなるかもしれませんが、貴方にとってのセックスが何か変わるとは思えませんので」

 

 なぜか、最後の部分だけ言葉を濁したような言い方だった。

 

「だから、自分の力でセックスに対する認識を改めて欲しいんです。島の人への捉え方に関しても」

 

 でも、どうしてそうなるんだ…?

 

「でも、どうしてそんな___」

 

「先輩が一番欲しいのは変わりませんが、貴方のことも…もっと知りたいので♡」

 

「…そう、ならなくても後悔しない…なら…」

 

「私の認識が変わるか、貴方の認識が変わるか…結果は時間を掛けて見定めましょう」

 

「………」

 

 かくして、こんな圧倒的劣勢のままSSに入隊することが決まったのだった。

 

 

__________

 

 

 翌日。

 放課後に生徒会室に来るようにと言われ足を運んで来た。

 

「失礼します…」

 

 相変わらず気分は陰鬱だ。

 何よりSSに入ることなんか想定すらしていなかったからそういったコミュニティに入った経験もないコミュ障の自分には荷が重いのではないか、なんて考えていた。

 

「あら、悠真さんこんにちは。よく来てくれましたね」

 

 生徒会室に入ってそうそう昨日と変わらない態度の会長に迎えられる。

 急に名前呼びになったのはスルーすることにした。

 それはそれとして昨日と違うのはこの場所に会長以外の人間がいたことだ。

 

「かいちょー、コイツが新入りなんですかぁ?何だか頼りなさそなモブ顔…」

 

「そう言ってやるな海遊(みゆ)。お前だって最初はそう変わらなかったぞ」

 

「そうそう、東雲先輩の言う通り。皆最初はこんなモブだったから」

 

「いや、絶対コイツよりはマシだたっての!!」

 

 何やら会長以外にこの場所に居る三人がやいやい言い合っていた。

 

「あの、この人たちは…」

 

「彼らが今日から悠真さんが所属する隊のメンバーですね。左から和泉海遊(いずみみゆ)さん、東雲京璃(しののめきょうり)さん、朔間巴(さくまともえ)さんです」

 

 左から、つまり自分に近い方から見て薄いピンクのツインテールのスレンダー体型の女子と藍色の長い髪を下の方でポニーテールにしている細身ながら鍛えているのがわかる筋肉質な体躯の男子と、金髪よりの茶髪ボブカットのこの中で最も大きい胸を持つ女子が並んでいた。

 

「でも、この人たち、SSの制服を着てませんけど…」

 

 一般生徒とSSの制服はデザインが違う。

 SSは平時でも専用の制服に身を包んでいる筈なのに、隣に並んでいる人たちは自分と同じ一般生徒の制服を着ていた。

 

「それには理由がある。それは___」

 

「それはアタシたちが特殊部隊、だからなんですよー」

 

 東雲さんが理由を話そうとするのを遮り、和泉さんがドヤ顔をこちらに向けながら教えてくれた。

 

「はい、その通りです。彼らは悠真さんと同じ事(・)情(・)持(・)ち(・)の方々で、通常のSS隊員の任務とは少し違う仕事をして貰う役割なんです」

 

「…私たちは影のSS、といった所かな」

 

 影のSS。

 

「なる、ほど…」

 

 どういう集まりなのかは理解した。

 

「つまり、会長直属の隊員、ということですか?」

 

「そう捉えて貰った方がわかりやすいですね。この隊の指揮権はSHOでもSSでもなく私に一存されるということですから」

 

「会長の私兵…」

 

 これはSS隊員なのだろうか…。

 

「案ずることはない。俺たちの存在はSS各隊に知れ渡っている。指揮系統が違うだけで根本的な部分は他の隊員と何ら変わりない」

 

 何となくわかってきた。

 

「つまり、SHOに対する保険…」

 

「あくまでもしもがあれば、の話ですけれどね」

 

 SS隊員の最大のメリットはSHOから出ている奨学金だ。

 これがなくなると水乃月学園に居ることができない生徒が多数いるのが現実で、いわばSSの生命線をSHOが握っているということに違いないのだろう。

 

「さて、隊についてもっと詳しい話は皆さんに聞いてください。あと、悠真さんにはこれを」

 

 そう言って会長から渡されたのはSS隊員の制服だった。

 

「この制服を着るタイミングはSS本隊と合流して戦闘を行う必要がある場合です」

 

「わかりました」

 

「それじゃあ俺たちはそろそろ帰ります」

 

「はーいお疲れ様でした~」

 

「……………」

 

 そう言って三人はそれぞれ生徒会室から出ていってしまった。

 

「あれ、説明は…」

 

「本日の任務はこれだけでしたのでまた後日になりますね」

 

「は、はい…それじゃあ僕も帰ります…」

 

 詳しいことはまた後日。

 時間がかかるからなのか単に教えられる情報に限りがあるのか、今はまだわかりかねることだが、頑張る以外に選択肢はない。

 一抹の不安を覚えながら、逃げるように帰宅した。





新規登場人物紹介

・和泉海遊
薄いピンクの髪のツインテール少女。色々と貧相だがその分身長が高い。
その癖喋り方はメスガキのそれで度々他人を煽る傾向にあるが、根は優しい。
得意武器はスナイパーライフル。

・東雲京璃
藍色の長髪で普段はポニーテールで纏めているクール系男子。
視野が広く的確な指摘ができる戦略家気質な所がある。
得意武器は警棒とアサルトライフル。

・朔間巴
金髪に近い茶髪(地毛)をボブカットにしている少女。スタイル抜群でA等部三年生の中でもトップクラス。
どことなく何年か前のネットユーザーのような言葉遣いが目立ち実はコミュ力がやたらと高い。
得意武器は徒手空拳。
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