※この作品はR-18です。

私のスライムアカデミア   作:のへのへ

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時間をかなり戻して、スライムちゃんのお別れ会後のお話です。

【追記】に、日刊ランキング2位…!?きょ、恐縮です…皆様ありがとうございます…!!

【追々記】に…、日刊ランキング一位ぃいい!?えっ待って怖い…もしや今日自分死ぬんすか……?



【短編】お別れ会の後、邂逅

 ──そう、それは。

 ……僕、緑谷(みどりや)出久(いずく)が。

 

 ──らいちゃん……川澄(かわす)来夢(らいむ)ちゃんとの、お別れ会を終えた後のことだった。

 

「……う、う……うう……!」

 ──僕は、自宅の机に座って、泣いていた。

 なぜって、そりゃあ。

 僕を好きで居てくれる人と、離れ離れになってしまったんだから。

「らいちゃん、らいちゃん……!」

 

 ──……悲しくないわけが、なかった。

 彼女のように、この期に及んでも未だ。

 

 ──『恋』を、『愛』を抱くことは。

 今の僕にはできていない。……それでも。

 

「らいちゃんの、ウソつき……。僕と一緒に強くなって、ヒーローになるって……約束したのに……!」

 

 ぽろぽろ、ぽろぽろと。涙の粒が床に落ちる。

 唇はわなわなと震えて。目頭がとにかく熱い。

 

 ──そうした悲しみに暮れて、拳を握りしめると。

 

「う、うう……! ふ、ぐ、ぅっ……!」

 更に大粒の涙が、目から溢れ落ちてきて……。

 

 

「────ぴぃ!」

 

「…………え?」

 

 その時、机の上、パソコンモニターの裏側から。

 するりと、ぬるりと。……現れた、一匹の、小さな。

 

「すらい、む……?」

 

「ぴーぃ! ぴぃ!」

 

 そこには。 一通の手紙を持った、小さなスライムがいた。

 

 ☆★☆★☆★

 

 ──その後、数ヶ月が経ち。

 

「ぴぃ、ぴっ……ぴ……ぴ!」

「美味しいかい?」

「ぴぃ! ぴいぴーぃ!」

 

 朝ご飯のベーコンをあげたら、「ぷくぷく……」と体の内側に小さな泡を上げてそれを消化する。

 

 テーブルの上に乗った一匹の小さなスライム。

 名前は、「すらっぴ」、らしい。

 

 らいむちゃんが『すらっぴ』と名付けた、と。

 手紙には書いてあった(彼女が生み出したスライムで、ぴぃぴぃ鳴くからすらっぴ、らしい…独特なネーミングセンスだなぁ…と僕は思った)ので、僕も。

 この子のことをすらっぴ、と呼ぶことにしたんだ。

 

 ──そう、小さなスライムの、すらっぴ。

 

「す、スラっぴちゃん……? え、ええと……、ビスケット、食べる……かしら?」

「ぴいぴい!ぴーぃ!」

 

 今は、お母さんともすっかり仲良しで。

 お菓子のビスケットをお母さんの手からもぐもぐ食べてる。

 

 ──最初、この子をお母さんに見せた時は、凄くびっくりして怖がってたけど。

 本当によかった、仲良くなってくれて……。

 

 


 

 すらっぴを部屋で見つけた後に。僕は、この子をすぐにお母さんに見せたんだ。

 

「お母さん、お母さん!この子飼いたい!」

 

 でも、お母さんは……とても怖かったみたい。

 僕が連れてきたすらっぴを見るなり、お母さんは。

 壁までびっくりして後ずさりしていたんだ。

 

「え、ええ!? い、出久(いずく)!? な、なに、何!? その……ぷにぷには!?」

 

「お、お母さん……! 大丈夫だよ、噛まないし……! ほら、こんなに大人しくって……! 

 

「で、でででも! い、イズク! お母さん、す、少し! 少しだけど怖くって──」

 

 顔を真っ青にして、震えるお母さん……

 でも、僕は! この子は恐くないって知ってるんだ……! 

 

 ……だって、この子は、らいちゃんが……! 

 

 ……! そ、そうだ、手紙! 

 

「そ、そう! この子はらいちゃんの個性でできたスライムなんだ!

 ──ほ、ほらこれ! 手紙! お母さん、読んで!」

 

 

 僕は、手紙を差し出した!

 

「……え、え? 手紙……? わかったわ、読んでみるわね…。」

 

 手紙を受け取り、読むお母さん。

 

「……! ……来夢(らいむ)ちゃんの、お母さん…!」

 

 そして、読み終えて。

 

 

……そ、そう、そうなのね…。

 わ、わかったわ……。

 え、ええと……よ、よろしくね、スライムちゃん……? 

 ……い、イズクと、仲良くしてあげて、ね……?」

 

「ぴっ!」

 

 おそるおそる手を伸ばした、お母さん。

 ……すらっぴが、その手に……しゅぱっ! と手を上げて、「わかった!」って言うみたいにタッチしてて。

 びくびくしてるお母さんと、喜ぶすらっぴの対象的な顔が……、うん。なんだかとってもうれしかった。

 

 


 

 

 ……そう。

 そして、その日から。

 僕のおうちに新しい家族が増えたんだ。

 

「──さ、行こっかスラっぴ。……お母さーん! ランニング行って来るねー!」

「──ぴい!」

「はーい! 車に気をつけるのよー!」

「わかったー!」

 

 そう、僕はさいきんランニングを始めた。

 あの時、らいちゃんと約束した……「ヒーローになる」って約束。それに少しでも近づきたかったからね。

 

 本当は筋トレとかして、もっとオールマイトみたいなムキムキの体になりたかったけど……

 

「『小さい内からの筋トレはあまり良くない』って、筋トレ系ヒーローの「金肉(キンニク)さん」も言ってたし!

 ──うん! まずはスタミナ、だよね! スラっぴ!」

「ぴいぴーい!」

 

 よーし、今日は快晴、絶好のランニング日和! 

 

 ──うん、少し遠くまで、足を伸ばしてみようかな! 

 

 

 ☆★☆★☆★

 

 

「け、ケロっ……暑い、暑いわ……」

 

 ──今日は家族でドライブ。お母さんと、弟の二人と。

 たまの休みの日に遠出して、最近オープンした自然公園に遊びに来たのだけれど。

 

「お母さん、どこに行ったのかしら……ケロケロ」

 

 道端、湖のほとりのカエルさんに気を取られて。暫く眺めて居たら。

 なんと、はぐれてしまったの。とても……困ったわ。

 

「それに、この暑さ……カエルにはちょっとキツいわね……」

 

 ……そう、自然公園だからかしらね。木陰で休んではいるけれど……やけに春の陽射しが強いような気がするわ……。

 持ってきたスポーツドリンクももうすぐなくなってしまいそうだし……。

 

「ケロ……万事休す、かしら……」

 いざとなれば、誰か大人を頼って……

 

「──ねぇ、キミ……大丈夫?」

 

「──……ケロ?」

 

 ──……声を掛けられて、視線を上げると。

 そこにいたのは。

 くせっ毛が特徴的な、同い年の──男の子だったのよ。

 

 

 ★☆★☆★☆

 

「へぇ……ランニング……いいわね。気持ち良さそう」

「うん、そうなんだよ! 今日みたいな日はとっても風が気持ち良くってさ……!」

 

 私に声を掛けてくれた彼は、みどりや(緑谷)いずく(出久)ちゃん。

 ちょっと日に焼けた、()()()()()の男の子。

 今日はランニングでこの自然公園に来ていたそうよ。

 

「本当にありがとう、いずくちゃん。助かったわ」

「ううん! 気にしないで!」

 

 彼のスポーツドリンクを貰って、ひと息付いた私は。

 園内の迷子センターに辿り着いて、そこで雑談していたのよ。

 

「今日は日差しが強いもんね……大丈夫? 頭とか痛くない?」

「いえ、大丈夫よ……。あなたも、ありがとうね。本当に助かったわ」

「ぴいぴい!」

 

 この子は、スライムの「スラっぴ」ちゃん。

 いずくくんが昔、友達の女の子……「スライム」の個性を持った子から譲り受けたそうよ。

 私を見つけたのも、彼の頭の上に乗っていたこの子らしいわ。

 一言断ってスラっぴちゃんを触らせてもらったけれど……とてもひんやりとして、柔らかくぷにぷにしていたわね。

 

 でも、そのスライムの個性を持った子とは、今は引っ越しちゃって離れ離れになってしまったけれど。

 

 いずくちゃんとその子は…お互いに、将来ヒーローになるって約束をしていて。

 いずくちゃんはその為に、今のうちからトレーニングを頑張っているらしいわ。

 ランニングも、その一環なんですって。

 

 ──……うん。 それって、とてもとても素敵な約束だわ。……ケロケロ。

 

 ……それから、私達は色々なお話をしたわ。

 好きな食べ物、好きな場所、好きなテレビの番組。

 あと、好きなヒーローの話。

 ……彼、いずくちゃんはオールマイトのことが特に好きみたい。

 

「でね、オールマイトが! SMAAAASH(スマーッシュ)!! って叫んで、こう、パンチをドカーンってしたら! さっきまでピンピンしてた岩石系の(ヴィラン)がぐらりと崩れ落ちて……!」

「へぇ、そうなのね」

 だって、オールマイトの事を話す時に。目がとってもキラキラしてて、とっても素敵で……

 

「……あら?」

 ……何かしら、少しドキドキするわね。ほっぺたも少し熱いような……? 

 

「……? どうしたの、つゆちゃん? ほっぺた赤いよ?」

「い、いえ……なんでもないわ……ケロっ。たぶん気のせい……

 

 

 ──こつんっ

 

 

 ──……ケロっっ!?!?」

 

「うーん、熱は……ないか。大丈夫? どこか痛いところとかないよね?」

 

「え、ええと……っ!?」

 

 え、あ、あああ──!? ち、近い……近いわ、いずくちゃん! 

 ど、どうしたのかしら……! わたし、私……! 

 なんだかすっごくドキドキして、どんどんほっぺたが熱くなって……っ! 

 

「……つゆちゃん?」

 

 ──……っ、くちびるが、近いわ。

 いずくくんの少し暑さで少しカサついたくちびると、ぱっちりとした目が。

 

 私の顔のすぐ側に……数センチの距離にあって。

 

 それで──それで──……

 

 

「──……梅雨(つゆ)っ!」

 

 バタン! 

 

「……っ! お母さん……!」

梅雨(つゆ)、大丈夫だった!? 熱中症になってない!? 平気!?」

 

「……ケロっ、平気よ、お母さん。この子に助けてもらったの」

「そ、そうなの? ありがとうね、ボク……?」

「……あ、ごめんなさい」

「いえ、ら、らいりょうぶれす(大丈夫です)……」

 

 ──咄嗟に突き飛ばしちゃって。ソファーの上にグテっと寝転んだ彼を、お母さんは不思議そうに見ていたわ。

 

 ★☆★☆★☆

 

 ……それから。

 

 改めてお礼を言って、お母さんが代わりのスポーツドリンクを買って、彼に渡していたわ。

 彼……いずくくんの持っていたペットボトルのスポーツドリンクは。

 封をまだ切っていなかったものを、私が飲んだから。

 私がそのまま、彼から貰う事になったの。

 

 そして、帰りの車の中で。

「ケロ……ケロケロ……」

 私は、揺れる車の中で、そのスポーツドリンクの中身、チャプチャプと揺れるドリンクをなんの気なしに眺めて。

 

「……」

 

 なんだか不思議な、胸の内に残る暖かさに。

 ふんわりとした心地よさを感じていたの。

 

「……ケロ……」

 

 そして、彼との再会は。

 

「……あら? ……出久(いずく)ちゃん?」

「……え、え……? ……つ、梅雨(つゆ)ちゃ……梅雨……さ、さん?」

 

 思わぬ所、雄英高校に進学した先で叶うのだけれども。

 ──うん。……それは、まだ先のお話よね。……ケロケロ。

 

 




[川澄来夢がお別れの手紙を書いた際の幕間]

「おかーさんおかーさん!いずくくんにお別れのお手紙書きたい!手伝って!」

「……! ……うん、わかったわ! じゃ、来夢が書き終えたら持ってきてね? 私もイズクくんのお母さんにお手紙書きたいから…ね?」

「おーけーわかったー!」タッタッタ…!

「………はぁ……。」
「……ごめんね、来夢……親の都合に突き合わせちゃって……」

「ね、練子さん…私も何か手伝──」

「──あ゛?テメェコラなんか言ったか調太郎ォ!?」

「ひ、ヒィッ!?練子さんがブチ切れて昔のヤンキーモードに!?」

「てんめぇよぉ……なんでよりにもよってこのタイミングなんだ!?ァァん!?アタシらのかわいい一人娘……来夢の初恋だぞ!おいテメェわかってんのかゴルァ!?」

「そ、そんなぁ…!わ、わた…ぼ、ぼ、僕に言われてもぉ……!」

「〜♪」(手紙かきかき)

「……よしできた!じゃ、すらっぴ!
 あとでこれをイズクくんに届けてね!で、そのままイズクくんのおうちに居候してて!無理だったら戻ってきてもいいよ!よろしくね!」

「ぴぃっ!」

[…幕間終了]


…以下、現在の原作との違い一覧


・緑谷出久の意識改革

→オールマイトとの遭遇、及び特訓開始時に、原作より多少マシかな…?程度に鍛え上げた状態から育成を始めることが可能。
緑谷出久の趣味に「ランニング」が追加される。


・すらっぴ(スライム分身)緑谷家残留

→緑谷家のメンタルケアが可能。緑谷ママンのストレス太りナシ状態での原作スタート。
なお、遠方のためスライム(主人格)の介入は不可能。

……おや? すらっぴ の ようすが ……?


・幼少期での蛙吹梅雨との邂逅

→オタクくん特有の思春期における女子への照れがない為、お互いを名前で呼ぶことに抵抗が無くなった。
(…なお、緑谷出久のみ成長後の思春期における羞恥心から、蛙吹梅雨を敬称で呼ぶ。)

「……え?イズクくんが梅雨ちゃんと遭遇……?……マジで?」(by後から知った成長後ver.スライム)

 ……次回から原作突入です。
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