さて。僕……。
いや、『私』は転生した。
今生では転生時に希望した通り女の子なのだ。
そこらへんを考慮して、一人称も改めるべきだろう。
万が一素の一人称が出てしまわないように、そういうとこも徹底していこうかと思う。
赤ちゃん時代は……まぁそこら辺は省略するわ。特に語ることも無いので。
ぶっちゃけご飯もらって両親に色々バブバブしとっただけだし。
回想はスキップでお願い申し上げますです。はい。
──んで、現在。
私は幼稚園に通っているロリっ子なわけで。
運動神経があれば幼少期から小学生までは問題あるめぇ、などと。
実に安易な考えでもって両親に頼み込み。
定期的に地域のスポーツ教室に来ている私。
幼少期の人気者は運動神経で決まるっつっても過言じゃねーんだわ、と。
これまたなんとも安易な考え。
でもま、年齢的にスポンジのようにアレコレ吸収できるのでそれなりに楽しいってのもあって。
家でもアレコレ練習しちゃうのですよ。ええ。
そんな私は、現在休憩時間。休憩中、私がぼーっとテレビを見ていると。
「もう大丈夫……私が来た!」
なにやら野太い声で、テレビから聞こえる叫ぶ声。
なんじゃい、と視線をやると……何かの特集番組のような感じ。
アナウンサーのお姉さんと、スーツにメガネのお兄さんが会話していた。
そして、中央のモニターには、何やら彫りの深い筋骨隆々な金髪のオジサン。
……そういえば、最近テレビではこのオジサンが何度も繰り返し、毎日のように登場しているような気がする。
何の気なしに自販機で購入した缶コーラを飲みつつ。
テレビを、ぼけーっとそのまま見続ける私。
──続いてテレビが写したのは、燃えさかる街を背景に救助活動を行う、先ほどの金髪のオジサンが微笑むVTR。
なんでも、彼は『ヒーロー』と呼ばれているらしく。
大規模火災の中、崩落したビル群からたった一人で10分当たり100人もの被害者を継続的に助け出し、結果的に多数の要避難者の救出を成し遂げたんだそうな。
(へえ……すごい人もいるもんだねぇ……)
と。ノンキに構えていた私。
で、さらにごくごくと缶コーラを煽る私は──
『──彼の名は、『オールマイト』。
現状数多く存在するヒーローの中で、No.1の呼び声高いヒーロー。
それが、彼だ』
「──んッ、ごふっ!?」
──いやヒロアカかよぉ!?
その瞬間、飲んでたコーラを吹き出しそうになる。
(……あっぶね。もうちょいで吹くとこだった……!?)
「んっぐ、げほ、ゲホゲホ……!」
の、喉の奥、コーラの炭酸が変なトコ入った……!
無慈悲な苦しみから悶える私。
「ん゛ー……! んぐ、げは、ごほ……! お、落ち着いた……!」
ふと、周囲を見渡すと。
周囲から刺さる視線、視線、視線の数々。
……そりゃそうだ。人が急に咳き込んだらびっくりするもんな。
私だってそっち見るよ。
「ら、ライムちゃん? どうしたの?」
「げほ、げふ……な、ナンデモナイデス……」
(は、恥ずかしい……!)
オマケに隣の椅子に座ってた子にまで心配される始末。
咳き込みながらも顔を真っ赤にし。
大人しく座り、羞恥に縮こまる。
そうしていると、そのうち関心が薄れたのか。
(うう……恥ずかしい……)
まだ冷めない恥ずかしさから、机に突っ伏す私だったが。
そんな状態でも、テレビのナレーションは聞こえてくる。
『
故に人々は彼を、『平和の象徴』、『No.1ヒーロー』と呼んでいる。
市井からの評価も高く、彼がいる事で『凶悪
──あーあーあーあー……これもう確定だわ。
『オールマイト』に『
いや、むしろ。
この世界がヒロアカ世界って考えるといろいろ納得がいく。
母さんとか父さんの会話。その節々に聞こえた『個性』って言葉。
街中の大人にはツノ生やしたり動物っぽい顔の人がいたりとかしてたし。
通ってる幼稚園には緑のモジャモジャ頭の『
あと金髪トゲトゲヘアーの目つき悪い『
イズクくんに至っては同じアパート住みのご近所さんだったりして。
『──特にここ最近、彼……オールマイトの活躍はさらに目覚ましいものがある。
具体的に言うなら、先日の『毒々チェーンソー』を逮捕した事案など……』
『あ、あのー、『サー・ナイトアイ』さん? そろそろ他のヒーローの紹介に……』
…………いやマテ。むしろなんでヒロアカ世界って気づかなかったし。
こうやって列挙したらさ、気づく要素山盛りじゃん。
いやもうむしろデカ盛りだったわ。チョモランマだわ。
……あーもー! 私のアホー! 軽いファンタジー系の世界かな、ぐらいに考えてたし!
もうちょっと早く気づけよな!?
『──極めてそれが顕著だったのが、暴走列車に飛び乗り、人質を救出。
同時に、貨物強盗に関与していた電気系統個性の
『……え、えーと! それでは次のヒーローの紹介に移りたいと──』
…………まぁ、それはともかく、だ。
母さんの話だと、もうすぐ私にも個性が発現するお年ごろらしい。
まぁそれもね、今朝までは『なんのこっちゃ? あれか? 魔法とか使えんのか?』くらいに考えてたワケだけど。
そっか、ヒロアカかぁ……ヒロアカ世界かぁ……!
個性となりゃ確かにこの年頃だもんな……!
もうそろそろ『発現』してもおかしくないもんなぁ……!
ってことは転生時に神様に頼んだ『アレ』がいよいよ来るわけかぁ……!
うっはー……楽しみ! 早く個性出ないかなー……!
──数週間後。
「おーいライムー! ごはんだぞー! 早く来なー!」
お。お母さんとお父さんだ。迎えに来てくれたみたい。
……あれから数週間。この世界が『ヒロアカ』の世界ってわかってから。
ま、特に私のやることは変わらないわけで。
ぶっちゃけこの世界、主人公の彼……『
べつに、特に急ぐ必要もないっていうかねー……。
特筆するなら。しばらくの間、運動中の反応スピード、反射神経の強化に努めたくらいかな。
この年代の成長スピードをほっとくのも勿体ないし。
ってか、もうそんな時間か……全然気づかんかった。いやー、子供の楽しいことへの集中力マジパネェわ。もう一瞬で時間過ぎる感じ。
「はーい! わかったー!」
「今日はハンバーグよ!」
「わーい!」
そして、最近のマイブーム『スケートボード』……スケボー、のため近場の施設でこども運動教室に通っている私は。
休憩スペースに置かれたテレビを眺めながら、やけに大きく感じる350ml入り缶ジュースをくぴくぴ……と飲み……飲み……飲み終えて。
大人用の少し高めの椅子(あの少しだけ左右に回る背もたれの無い平たい丸いの)から降りて、迎えに来てくれた両親の元へと向かう。
「せんせー! 今日はありがとうございました! またきまーす!」
「おー! 待ってるぞ! またな!」
「はーい!」
そして、今日も滑り方を教えてくれた先生に挨拶を終え。
私こと『
今日の晩御飯のハンバーグに思いを馳せるのでした。
☆★☆★☆★
僕にはソンケーするトモダチがふたりいる。
一人はかっちゃん……
かっちゃんはホントにすごいんだ! いつもみんなの
こないだ出たっていう『個性』だってカッコイイし、ホントすごい!
もうひとりは、らいちゃん、
いっつもやさしくて、僕のしらないコトたくさんしってるんだ!
この花の蜜がおいしいんだ! 吸ってみると甘いよ! とか、だがしのおいしいやつはコレ! とか、クレーンゲームはこうして取るんだ、とか!
あとあと、オールマイトのフィギュアが入ってるおかしも一回で当てちゃうんだよ! しかもダブらないし、もちろんシークレットレアも一発! すっげー!
───あ、でも。らいちゃんは『個性』がまだ出てないって言ってたっけ。
だから、どっちがはやく個性が出るか
そしたら、「…………そうだね、うん、競争だね*2」って、いってた!
あー! ぼくも早く『個性』でないかなー!
かっちゃんみたいに、カッコイイ『個性』がいいなー!
★☆★☆★☆
───あくる日。待ちに待った、私の個性が発現した。
神様に頼んだとおりの個性だったので私的に大満足!
これでやっと前世からの念願が叶うのだ!
この、『スライム』の個性で!
……え? 地味じゃねえかって?
いやいやいや、とんでもない!
──ハッ……! さてはアンタスライム娘の良さを知らないな!?
ならば語りましょうぞその良さをば!!
まずはあのツヤツヤぷにぷに透き通るか透き通らないかギリギリのラインの半透明なカラフルお肌!
触ったらひんやりしてそうかもしれないしちょっとしっとりしてそうな、はたまたちょっと生暖かいのかもしれない魅惑のボディー!
伸縮性抜群、変幻自在、最カワ無敵ボディー!!
そんな体を! 私は! 手に入れっ!
究極の存在へとっ!! 進化っ!! したのだよ!! 分かるかい!!??
ふぅ……落ち着いた。
でね、この個性は、体を部分的にスライムっ娘のすんばらしきツヤツヤぷに(以下略)ボディに変化させる事が可能な個性なのです。
オマケに取り込んだ物の成分を凝縮及び増幅してスライムの性質として使用できる特徴があるんだなこれが!
具体的に言えば母さんの寝室の引き出しに入ってるマカの錠剤やらお馬さんやらスッポンやらなんやらのエキスや錠剤!
これの増幅分を取り入れたスライムを!
誰か知らないそこらの
もうバッキバッキのビッキビキでございますわよアナタ!
そんなことをしておいて、「うっわ♥マジキモっ♥大人のクセにこんなちっちゃい女の子に勃起してる♥ダサっ♥」
……なーんて挑発してみたりしてみれば?
〜スライム娘妄想中〜
「オラッメスガキッ!! 舐めてんじゃねぇぞ! チンポ舐めろオラッ! 浅ましマンコが! かわいいね♡」
「──ッ♥あ、ありがと、ごじゃますぅ♥」
「は? 言葉だけでイッたのかよ? 何イッてんだ○ね! このメスガキがッ! オラッイキ○ね! よくイケたね♡」
〜スライム娘妄想終了〜
──なーんてことになっちゃうかも♥
えへ、えへへ〜♥
……さーてと。そうと決まれば個性の練習だ!
練習場所は……あらかじめ目を付けておいたもう使われてない工場!
人もいないし、インフラも生きてる! 個性の練習にゃもってこいでしょ!
目指せエロゲスライム! ぐっちゃぐちゃのぬっちょぬちょ!
レッツラゴー! ひゃっほっほーい!
「……あれ? らいちゃん? どこにいくんだろ?」
☆★☆★☆★
着いた! じゃあ早速!
「んー、マカ、亜鉛、アルギニン……」
背負ってきたファンシーなクマさんリュックから、ガラガラと英語やらカタカナがラベルに乱舞するプラスチックの容器を取り出して地面に並べる。
持って来たのは錠剤がほとんど。後できちんと返さないといけないから、足のつきにくいたくさん中身の入った物を中心にチョイスしてきた。
下手に失くしちゃったりしたら持ち出したのバレるかもだし。そうなったら説明めんどいですし……。
ま、最悪『ラムネ菓子だと思ったー』とか言っときゃええやろ(適当)
「ZQプレミアム*3……? 、んー? 『帝王爆発』*4……? 『どすこいマムシくん』*5……?」
……いやパパン、所持サプリ多すぎん?
まあその分、夜がお盛んなのは家族仲的には安心なので、大変によいのですが。
毎晩、その、聞こえてくるし……。非常に刺激されてつらいのです。性欲が、主に。
……一個ずつ取り出すのももう面倒になってきた。鞄ごとひっくり返す。
……いやー、しっかしシュールな光景だね。かわいいかわいいクマさんカバンからサプリメントをガラガラと床に並べる幼女って。
……なんてーか……イケナイ雰囲気? アブノーマル感?
「ん。これで、全部かな」
さて。そうこう思案してるうちに、サプリメントは全部まるっとバッチシ吸収できました。
ではお待ちかね、人体実験でーす☆ ワックワクのドッキドキ!
さぁさ、手順は簡単!
その1! 吸収したサプリメントをとにかく濃縮した特性媚薬スライムボール! こいつを用意します!
その2! そいつを私が経口摂取!
その3! 我が身で何度も何度も配合を試してエロゲ特有のペロッとした瞬間にドエロく興奮! 激エロマジカル媚薬の研究じゃい!
しかしながら。この世界一般的に市民が公共の場で個性を扱うのは禁止なのです。そんなこと許可したら世紀末待ったなしだからね、しょうがないね(転生ロリっ子並感)
だから、人気の無い場所へ移動する必要があったんですね(mgtn構文)。
……とは言っても、私ことライムちゃんの身体はなんともか弱い幼稚園児。
別に肉体関係のチートは所望しておりませんので、年齢相応の耐久値でごぜーます。
な、の、で。最初の内は耐性を付けるために許容範囲濃度のさらに半分の半分、ほんのちょぴっとの濃度で実験です。
とはいえね(謎興奮)! 私にとっちゃ個性も初めて!
ここは祝砲(?)もかねて、スライムを勢いよく上に向かって発射して!
そんでもって飴玉のようにごくりんちょ! と経口摂取しちゃいます!
それじゃ景気良くいきますよー!
さぁ! 3、2、1! 発射!
いよし! それなりの高さ、廃工場の天井程に打ち上がったスライムの塊は狙い通り打ち上がり!
「……あーん……」
口を開けた私に向かって一直線に落ちてきて! 見事に口の中へ──
「あぶない!」
…………へ?
どん、となにか軽いものが体に当たる感触。
その当たった勢いのまま、私の幼い体は倒れました。
そして。
やけにゆっくりと。
私を突き飛ばしてくれた彼の、口の中へ。
私謹製の媚薬スライムが、ぼとりと落ちて。
「──んぐっ!?」
「……あ……」
んで、飲み込んじゃいました。
誰が? ……イズクくんが。
「んが、げほ、げほっ! な、なにこれ! なんか飲んじゃった!? なんなの!?」
「あ、あ。あああああ──!!?」
あ、あわ
あわあわあわあわあわわわわー!?
まずいまずいまずいまずいまずいまずいですよ!!
まずは私の体で試そうと思ってたのに!
私なら最悪スライム化して部分的に切り離すだけで無効化できるのに!
よりによってイズクくんが飲んじゃうなんて!
ど、どどどどどうしましょー!?
こ、こういうときはおちつくのです! く、クール! ビークール!
「……ひっひっふー! ひっひっふー!」
「ら、らいちゃん? どうしたの?」
ああ、ラマーズ法じゃなぁーい! エロゲのギャグ知識が先行してるぅ!? 私のバカぁ!?
と、とにかく説明を!
「イズクくん! きみがいま飲んじゃったのは、私の個性『スライム』で作ったスライムボールなんだよ……!」
「す、スライム……?」
「そう。びや──あーいやその、えー……そう、栄養!
栄養たっぷりの特別製スライムなの! 私、まず自分で試そうとしたんだけど! それをイズクくんが飲んじゃったんだよ! ……だいじょうぶ? カラダどこか痛くない? 気持ち悪いとかない?」
「う、うん、平気みたい……で、でも……よかったぁ」
「へ?」よかったって? なにが──
「らいちゃんに、ケガがなくてよかったよ。僕、天井からなにか危ないものが落ちてきたんじゃないかって。
助けなきゃ、って。そう思ったら、気にせず走っちゃった。……あはは」
「……………………」
「……………………」
「……ふぇ?」
あれ、
なにこれ、
なんか、頬があつい?
心臓もドキドキしてる?
え、なにこれ……?
「ね、ねえ。らいちゃん……」
「ひゃひあ!? にゃ、なな、なにかな!? イズクくんどうかした!?」
「? ……どうしたのらいちゃん。ねぇ、お顔真っ赤だよ? カゼ?」
「え? あ、えっと、その……なんでも、ないです……」
……なんだこれ。無性に恥ずかしいんだが。言葉も出ないし。
「あ、う……その、えっと……」
う、うう。考えもまとまらない。さっきから見つめてくるイズクくんの顔も見れ……見れ……ん? あれ?
「……イズクくん! あのその、ホントになんとも……ないの?」
「う、うん。なんともないけど……」
…………はい?
「……え、えー……? お腹痛かったりしない? のどが痛いとかは? 吐き気も、めまいもしない?」
「うん。なんとも……ない、よ?」
……おかしい。いくら何でも、何の効き目もないのはおかしいのだ。
「……あ、そうかわかった! らいちゃん! ほ、ほらこれ! 『君もご飯にひとふり元気! オールマイトふりかけ!』た、たぶん! 朝ごはんにこれを食べたから平気なんだよ!」
「……いやー……イズクくん、たぶんそれは関係ないと思うな……?」
「そ、そう? じゃあ、これかな? 『栄養たっぷり、オールマイトゼリー』」
「うん、それも違うと思うよ……?」
「こ、これもちがうの? なら……オールマイトチョコ? それとも、オールマイトソーセー」
「いや絶対違うから! もうぜんっぜん関係ないからね、イズクくん!? とにかく食べ物シリーズから離れよっか!?」
いやどんだけあんだよオールマイト系のコラボ食品!?
特に最後のヤツ! いくら人気だからってそのラインナップはアカンやろ!?
「じゃ、じゃあなんで──ん? な、なんかピリピリす、る?
え、あ──う、うあ、うあああ!?」
「!? イズク、くん!? ど、どうし──」
「あぁあああっ! あああっ! あつい、あついよぉ!」
き、急に叫びだした!? うわっ顔真っ赤っか!?
もしかしてだけど、ぶ、分量間違えた……!? だから効き目が遅かったんか!?
「え、えっと! イズクくん、お、お水! おみずのんで!」
私の作るスライムには意図的に
だから──!
「は、はいこれ! ペットボトル!」
私は素早く、持参した500mlの水入りペットボトルをイズクくんに飲ませようとする。
しかし──
「ぐぅう、あつい、あついよぉ!」
「い、イズクくん……おねがい……暴れないで……!」
だ、だめだ! あまりの効き目に暴れまわってる! お、おかしい! 効きすぎてる!? この量ならもっと弱い効き目のはずだぞ!?
「う、うぅ……これじゃ水を飲ませられないよ……!」
気が付けば、周囲には彼に飲ませることのできなかった水がこぼれていて。
「そ、そんな!? もうほとんど、水が……!?」
もう、気づいた時には。ペットボトルはほとんど空っぽだった。
「う、うぐうう……あ、あつ、あづい……!」
「ど、どうしよう、どうしよう……!?」
……さーてと。そうと決まれば個性の練習だ!
練習場所は……あらかじめ目を付けておいたもう使われてない工場!
人もいないし、インフラも生きてる! 個性の練習にゃもってこいでしょ!
「──そうだ! たしか……!」
思い至るまま、視線を周囲に巡らせ確認──あった!!
「イズクくんちょっとごめんね! 待ってて!」
私は走って、ある一室へ向かう! 表札は……
「あった、給湯室! ここなら……!」
この工場は、今は使われてない。
けど、水道と電気は通ってるんだ! 下見に来た時にそれは確認済みだぜ!
蛇口を全開にして水を口に含む! 同時に私のほっぺたをスライム化!
「むぶーっ! みゅーっ!」
水でほっぺたがハムスターみたいに膨れる!
そのまま彼のもとに戻る! ほっぺたが水でたっぽんたっぽん、走りづらいけど……なんぼのもんじゃい! イズクくんが待ってる!
「んむふっ! むー!」(イズクくん、我慢してね!)
到着! 早速、両手でイズクくんの顔を抑えて──
「──んむっ!」
「むぐっ!?」
マウストゥマウス! 即興、人間水鉄砲じゃーい!
「むびゅー!」
口移しで水を彼に供給する! これでどうだ……!
「んぐっ!? ごぶ、んぐ、んぐ……!」
うっしゃあ! 飲んでくれてる!
……そして、数分後。
「はぁ、はぁ……い、イズクくん、だいじょうぶ……?」
「……ぅ、うん、だいじょぶ」
あの後、水道とイズク君の元を二回ほど往復。
なんとか一段落ついた。
顔の赤みも大分取れたし、体温は……おでこ計測で大雑把ながらも、おおよそ平常通り。
そう。──何とか、なった。
「よ、よ……」
「……? ……よ?」
じわり、と。私の目に熱いものがこみ上げる。
「よかったよー! うわぁああん!」
私は、大きな声を上げて泣いてしまっていた。
「ら、らいちゃん!? どうしたの、どこかいたいの!?」
「ち、ちがうもん! い、イズクくんが無事でよかったから泣いてるんだもん! うぁああああん!」
彼が、イズクくんが何ともなくて。私は安心したんだ。
「わ、わたしの、せいで! 私の、個性でっ……イズクくんが、イズクくんがぁ……!」
私のせいで、彼が死んでしまうかもしれないという恐怖。
「こ、こわかった……こわかったよう……!」
そう、怖かった。ただただ怖かったんだ。
自分が調子に乗って使った個性が、友達を傷つけるかもしれなかったことが。
「な、泣かないでらいちゃん! 僕、元気だから! ほら、こんなに元気!」
その場で「すまーっしゅ!」などと叫びながらパンチを打って見せるイズクくん。
「……ほ、ほんと?」
「本当だよ! 僕はオールマイトみたいなカッコイイヒーローになるんだ! こんなことなんてへのカッパなんだ!」
そういって、にかっ! と笑う、イズクくん。
それを見て。私の心臓が、また鼓動を早くした。
どくん、どくんって、わけわからない速さの鼓動。
……けど。
「……今度は、安心する……」
「? らいちゃん、何か言った?」
「え、あ! ううん! なんにも! 何にも言ってないよ! ……えへへ」
「???」
だから。それに気が付いて。
「………………あ……ふ、ふふ、くふふ……♪」
思わず、笑っちゃったんだ。
「ら、らいちゃん……? どうしたの? お腹痛いの?」
「……ううん。それ」
指差して、彼に伝える。
示す先は、彼の下半身。
「……? それ? え、僕のズボンがどうかした?」
私が指さす先には。
「ううん。ちがうよ、ズボンじゃなくて」
イズクくんの、男の子の証。
「イズクくんは、ホントにかっこいいなぁって……♡」
先ほどの媚薬の効果か。
「ね、イズクくん。……えっち、しよっか」
彼の股間には、屹立する
人物紹介
スライムちゃん(川澄 来夢) ロリver.
個性【スライム】
神様からもらった唯一無二の個性。
体組織をスライム状に半透明化させて伸縮自在になれる。
形状変化もお手の物。切り離しもできるぞ。おまけに取り込んだ薬品等の成分を分析し、その上で成分の濃縮希釈が自由自在にできるオプション付き。
髪……ピンク
──こちらはお母さんが丁寧にお手入れしてくれてるのでつやつやサラッサラ! そのうち自分でも覚えてバッチリお手入れします! 毎日欠かしませんよ、ええ。
ほっぺ……ぷにぷに
お風呂上がりのスキンケアは大事(真顔)
目の色……ピンク
口調。
中性的に。どっちでもまあアリかな、位の言葉遣い。
ちなみにエッチの時は別。誘惑マシマシ。