さて。
わたしは今何をしているのか?
個性の練習?戦闘訓練?知識を付けるべく勉強?
いいや、ちがうね!
そう、わたしは、今!
わたしは今……幼稚園の送迎バスに揺られている!
「それでね、この間ね、ギャングオルカのサイン会があってね!あくしゅしてもらったの!」
「へー……みーちゃんはほんとギャングオルカが好きだねー……」
「うん、だいすき!おっきいお口がかわいいの!」
んでもって、隣の席の女の子と雑談に興じていたのだ。
……え、そんなことより個性の訓練をした方がいいんじゃないかって?
まぁそうだよね、普通ならそうするだろうさ。
考察するに。
個性ってのは…言ってみれば自身の身体能力の振れ幅の可視化。
幼い内に子供の体に後から読み込まれた拡張メモリーカードみたいなもんだと思うんだ。
んでまぁ、普通の人間なら、小さい頃から何年も何年も付き合った上でやっと…己の身体的特徴を何とか「もの」にする。
それを、後々の発想や訓練によって最適化、応用していくのがヒーロー訓練校及びヒーロー科なわけで。
んで、その応用がめちゃんこ上手な奴らが。
第一線級の真ん前で超有名ヒーローとして活躍するワケなのだ。
じゃあ、わたしも個性の訓練が必要なのか?
───答えは、否。
なぜかって?
それはわたしが…「最初から個性をフルスペック」及び「制限なしで使用」できるからだ。
なんせ、わたしの個性は「スライム」における「実現可能なこと」を、「全て可能とする」ことができるのだ。
…身体の成長に合わせ、わたしの発想する範疇で、すべて。
いやいや、なんだよそれ。おかしいじゃん?…そう思ったわたしは思案し、実験した。
これ程の強力な個性、発動した瞬間に何か代償を支払っているのではないか…?むしろ、「何か」がなくてはおかしい…と。
結果から言えば…「何もなかった」。
めっちゃ多量に個性を使用した際、多少の倦怠感を感じはしたが…それだけ。
そう、それだけなのだ…明らかにおかしい。
わたしは考えた。
考えに考え、おやつのチョコチップクッキーも三枚ぺろりと平らげる程に考え悩み──。
そして、結果。わたしはその理由について。ある憶測を立てた。
つまり──。
…これも、「転生特典」じゃね?
だからめっちゃくちゃなチート級の個性を発現したんじゃね?私の個性ってば最強なんじゃね?
天才かつ聡明なわたしは。そう、思い至ったのだ──。
わたしが『転生者』であること。そしてこの個性が、神さまからの『
この2点に思い至った瞬間の発想…。
いやあ…我ながらなんとも空恐ろしい頭脳の冴えよ。
もうこれはわたしの頭脳が
うっわ生まれつきのチートとかなにそれヤッバ…私のチート感がますます高まっていきますよ…!
「ねーねー、らいむちゃん!」
──おっと。隣の席のみーちゃんが呼んでいる。
「らいちゃんはすきなヒーローいないのー?」
「え、わたし……?うーん、わたしは……いないかなぁ……?」
強いて言うならイズクくん。
「そーなの?じゃ、こんどのにちよーび、水族館いこーよ!ギャングオルカのサイン会があるの!」
「……うーん……じゃ、おかーさんがいいよって言ったらねー……?」
「やったぁ!約束だよ!」
原作の主人公、緑谷出久……イズクくん。
彼は、『無個性だった』。
しかし、紆余曲折の末。
彼はNo.1ヒーロー『オールマイト』に認められ、彼の個性……『ワン・フォー・オール』を継承する事となる。
そして、強力な個性を得た緑谷出久は、ヒーローとしての歩みを進めていく。
……しかし、だ。
彼、緑谷出久は物語序盤に、その個性の扱いに非常に苦心している様子が見て取れる。
具体的に言うならば。
その余りに強力過ぎるパワーに指がへし折れたり、腕や両足が
下手すると後遺症が残るレベルでぐしゃぐしゃポキポキしてるわけですよ。
まぁ要するに、『
そのパワーの上げ幅は凄まじく、オールマイト自身が入学前にトレーニングを行わなければ、『個性の譲渡だけで体が爆散』するとまで彼に伝えていた程。
……さあ。ここで、疑問が浮かび上がる。
『なぜ、彼、オールマイトは。
少しずつ段階を踏んで緑谷出久の身体に個性を譲渡しなかったのか?』
何も、強力な個性で不必要に怪我をさせることが目的でもないだろうに。
小刻みに、彼の体の成長を待ち、彼自身の個性の習熟度に合わせて譲渡していけば良かったのではないだろうか?
───わたしは、それができなかったのだろう、と仮説を立てた。
個性の譲渡は一回こっきり。
フルパッケージ、まるごと1個をそのまま渡す。それしかない。
ゼロか1か。オール・オア・ナッシング、ON-OFFもなしだ。
この個性のここが不便だからここだけ削って譲渡──……なんてことは出来ないのだろう。
むしろそれができたら
そして、更にもう1つ。彼はこう言ってもいた。
『強すぎる個性は、体が耐えられず爆散する』…。
───これだ。
これはつまり、
『強力な個性を与えるには、強靭な肉体が必要である』…
ということを意味する。
そう、わたしの個性がフルパッケージで贈与されたなら。
強力な個性に耐えきれるカラダ、それに見合った個性。
その2つが、両方が、『わたし』が存在するに当たって必要不可欠であり、それがなくては『わたし』はありえない。
───故に。
神様がわたしの希望を叶え、『
まるで、
まるでステータス操作系の
───
完!璧!なのだ!
───いやまぁ。
正直そんなのどーでもいいんすけどね。
だってそうでしょう?わたしはつまるところ、気持ちよく、ぐっちゃぐちゃと。
自分のフェチに従ってスライムっ娘になって、エッチでエロいことができればいいのだから。
そりゃあね、本作の悪役、『
日本をめちゃくちゃにしちゃうからさ?そうなったら困るからね。
モチロン止めますよそりゃ。
電気や水道なんかのインフラとかさ?
そこいら辺がぶっ壊れたら、ゆっくり楽しくぬちゃぬちゃエッチとかできなくなるもんね?どう考えてもさ。
「…………いむちゃん?おーい、らいむちゃーん?どしたの?急にぼーっとして?」
「……え、あ……。えっと……今日はお弁当何かなーってー……。」
「あ、そーだね、気になるー!」
故に、『
最低でも、オールマイトに会う前には原作より頑丈に身体を作っておいてあげないと、ね。
───ぷぁー!
気の抜けた音が鳴る。バスの止まる合図のブザーだ。ブレーキの慣性が体をシートベルトに押し付ける。
バス特有の空気の抜ける音。停車し、バス停から園児が続々と乗り込んでくる。
───その中に。
「あ、イズクくんだ!おーい!」
「……あ、イズク、くん……♪」
そして、みーちゃんが声を掛け、わたしもそちらに目を向け、彼が、イズクくんが乗って来た、方、を………
「───え?……イズク、くん?」
そこに居たのは、確かにイズクくんだった。
しかし、彼は。
「──────。」
こんなにも、絶望に苛まれた、空虚な目をした人物だっただろうか………?
☆★☆★☆★
「──────。」
それからずっと、幼稚園に到着しても、イズクくんは。
何か、芯の抜けた様な様子で、ぼーっとしていた。
目は虚ろで、何をするでもなく、ただただ座り込んで……まるで、『何か大きなショック』を引きずっているような。
そして、それを幼稚園の皆がそれとなく気にする中。
彼がそうなったその理由を、皆が知るまで、そう時間は要らなかった。
───緑谷出久は、『無個性』だ。
その事実が、何処からか広まり。
───そして。
「……おい知ってる?デクって個性がないんだって……」
「えーホントに?」
「無個性ってゆーんだって」
「ダッセー」「へんなのー」「なにそれー」
周囲の目が、変わる。
「こ、こら!そんなこと言わないの!」
「気にすることないわよ、イズクくん!」
まるで、狩りのできない獣が群れを追い出されるように。
「ヒーローごっこしよーぜー!」
「やるやるー!」「おれもー!」
「ぼ、僕もやる……!」
「よーし!メンバーは……オレと、○○と、△□と、デクな!」
「ねー、かっちゃん!ヴィランやるやつだれにしようか?」
「ん?んー?そうだなー。」
「ジャンケンで決める?」
「んー……あ、そういえばさ!デクって無個性なんだろ?」
「え?う、うん……。……あ、前は僕がヴィランだったよね……!
僕、ヒーロー役がやりた………!」
「じゃあオレたちのほうがスゲーじゃん!」
「だな!無個性とかダッセーもんな!」
「そーだよね!」
「よっしゃ!デク!
「───え?」
幼さから、無邪気に、自然に。
当然のものとして、区別する。
「やっぱかっちゃんが幼稚園で一番すっげーよな!」
「うんうん!個性もかっこいいもん!」
「だろ?俺がいちばんだ!」
尊敬される者と。
「で、一番弱っちいのはデクな、やっぱり!」
「うんうん、そうだよ!」
「だよね!無個性なんて他にいないもん!」
「………う、うん、そうだね……。」
見下される者…………
が。
(あー忘れてたっていうか今日かぁ頭から抜けてたわぁつかコイツ等ホンマイズクくんが無個性って分かった瞬間に手のひらクルックルで馬鹿にしくさってからにマジでクソクソクソアンドクソッあーいやもーどうすっか本当に今すぐに突っ込んでって全員半殺しいや全殺しにしようかないやいやそれよりも社会的に)
───もうわたしはキレっキレにキレていた。
額がヒクつきクチビルが歪む。
もうブチブチギレギレってぐらいには怒り心頭だぁはーほんま!はーほんま!張っ倒したろかクソガキぃ!
「……──ら、らいむ、ちゃん?」
横合いから声が掛かる。
おっといけねぇ。わたしは今、無邪気なおままごとガール。
ド級のブラックな会社をパワハラで退職し、コツコツ貯めてた資金でラーメン屋を始めた青年の役をしていたんだった。
ちなみに向かい側のみーちゃんは常連客の大食いチャンピオンのラーメンクイーンという設定だ。
「ん。んー……?どーしたのみーちゃん……?」
「え、えと、あのその……凄い顔してたからどうしたのかなーって……。」
「ん……?なんでもないよー……?」
「え?で、でもさ、顔が……」
「───ナンデモナイヨー……?」
「あ、う、うん……わかったよぅ……。」
そうさ、わかってるんだ。
ラーメンといえばしょうゆ───じゃなくて。
そう。イズクくんのことだ。
この先『無個性』というハンデを負い、挫折を味わったイズクくんは、将来的にNo.1ヒーローに認められ、後継者に選ばれる。
無個性だからといって彼は諦めなかった。
熱心にヒーローの事を勉強していき、そうして長年収集していった彼の知識が。
結果、報われる時が来るのだ。
そう。
先日
イズクくんと彼。二人は将来的にライバル関係になり、競争心を働かせ切磋琢磨しあう関係となる。
その成長具合がまた凄まじいのだ。
その成長スピードは、素人同然の入学前にちょっとばかし鍛えたオタク君レベルのイズクくんが、学内でのイベントにおいて雄英高校のトップを奪取する程にまで成長する程。
それも、ただのトップではない。全国から集まり、入学試験の狭き門をくぐり抜けた、ヒーローのエリート共を磨り潰して抽出した中での
故に、
いくら、いっっっくらね?
ダッシュで突っ込んでって今悪口吐いた奴らの減らず口を閉じさせた上であのツンツン頭のガキンチョの今後伸びに伸びる予定の天狗っ鼻ヘシ折ってやりたいよーな衝動に駆られようとも。
手を出す訳には、いかないのだ。
───だから、わたしは!!!
それよりも、ステキに!
他の方法でもって手を!
イズクくんに差し伸べるのさ………!!!
「く、くふっ……うふひひひひ……♡」
(ら、らいむちゃん、こんどはすっごくニコニコしてるけど……。どうしたんだろう……。)
───みーちゃんは聞いてみようかと思ったが。
結局、聞かなかった。
(…………、さっきまでの
なぜなら。
どうしてか、とてもとても───
「………(でもなんかいまのらいむちゃん、綺麗、かも?)」
そんな、微笑むらいむちゃんが素敵に見えた、から。
「んー……?みーちゃん、何か言ったー……?」
「う、ううん!なんにも!」
───おままごとはそのまま続き。
ラーメン店の青年とラーメンクイーンは恋に落ち、激盛り系ラーメン店を夫婦で経営しましたとさ。
───めでたしめでたし。
……いやまて、なんでおままごとがラーメン店経営物になるんだ?
途中から悪のラーメン四天王とか出てきたし。
……みーちゃん、もしや頭の中で料理バトル漫画かなにかやってらっしゃるのか?
え、こっわ……
以下人物紹介
☆
ド変態のスライム娘スキー。転生者。
頭の中身は基本的に真っピンク。年柄年中スライムが出来るエロいシチュエーションのことばっか考えてる。
それにしても前の日に逆レかましておいてなーに平然としてんだろうかこの主人公。
その上、いくらイズクくんが凄くてもメス堕ちなんぞするもんかよ!……とかなんとか思っているらしいっすよこいつ。 いやあウケますね。
ドS( )の誘惑系メスガキ( )志望。
以下現状のステータス。
☆
原作主人公。マジカルな
無個性で悩んでたけどオールマイトのあんなガバガバ指導で個性暴発させながらも結果出せるだけでそれ個性って言って良いぐらいすごいとおもうんだ(小並感)。
それにしてもよくまああんなにかっこよくなっちゃってまぁ……。
スライムちゃんへの認識は、よく遊ぶ友達……だった、のだが………昨日の出来事の中でされた告白が気になる模様。
その後行った
慰めなくちゃ(転生スラ娘並感)
☆
トゲトゲ頭にクソ悪目つき、暴言ラッシュのヤバヤバポイント三冠王。オマケにみみっちい。
でもスッゲーストイックなんよな……
現状、原作本編開始時の調子に乗った俺様最強思想ではない。幼年期の為マイルド(当社比)。でもこっからがやべーんよな……。
かっちゃんからのスライムちゃんへの認識は後程。
スライムちゃんからの彼への印象?目の前で好きな人イジメてんだもん、そりゃガチギレよ。
☆みーちゃん
き、キマシ……?結構な不思議ちゃんで話してて楽しいらしい。
実家は焼肉屋さん。
エロは……どうすっぺ?
☆モブ
モブですね。