「それにしても、案外奴らは警戒しないんだね」
そう呟きながら、冥冥さんは情報収集の為に放っていたカラスが戻ってくるのを確認すると共に呟く。
今回の1件で、人斬り集団の現状のアジトを見つける事が出来た。
カラスから来る情報を元に、奴らの似顔絵や特徴などを冥冥さんは紙に纏めながら、俺に渡す。
「それはまぁ、仕方ないと思いますよ」
それと共に、俺はその事については特に言う事はなかった。
理由としては単純で、この世界における魔法に対する認識があまりにも低いのが要因である。
それは、俺達がいた世界においては、魔法は既に身近にあり、覚える方法も店で買える程に発展している。
だが、この世界における魔力の使い方は主に魔剣士達が自分達の身体能力を上げる為に使っている。
「それはつまり、この世界の奴らの大半は自分の身体能力を上げる事は行わないのかい?」
「調べれば、それ以外の使い方をする人は多くいるだろう。
実際にシャドウガーデンの面々もそうだし、旅の途中で出会った無法都市の知り合いも使えていた」
つまりは、この世界は単純に魔法の使い方に対する理解があまりないのだ。
そうして、比べれてみれば、科学技術の方面では俺や尚文達が生まれ育った世界の方が発達しており、魔法技術の方はラフタリアちゃん達や絆達がいる世界の方が発達している。
だが、この世界では未だに分からない部分もある。
「まぁ、その辺は私は興味ないよ。
報酬さえ、貰えればね」
「まぁ、そういう意味では信頼出来るけど」
そうしている間にも、俺は冥冥さんから受け取った似顔絵を見つめる。
人斬り連中に関しては、これから情報を探るとして、気になるのは、奴らの中にいる鎧姿をした奴だ。
「話を聞く事は」
「無理だね、いくらカラスでもそこまで近づけば奴らだって警戒するからね」
「そうか」
だが、これで当面は被害者を少なく済む。
指名手配という訳にはいかないが、尚文を通じて、騎士団に情報を流していきたい。
なるべくだったら、信用出来る所と言いたいが。
「さて、どうしたら良いのか」
「何か悩んでいるのかい?」
そう、俺が悩んでいると、何時の間にかリリムが隣にいた。
「うわぁ、びっくりしたぁ、えっと」
「それじゃ、私はこれで失礼するよ、後で報酬は貰うよ」
そう、冥冥さんはすぐに姿を消した。
同時にリリムは俺の方へと近づく。
「それで、さっき何か悩んでいるようだったけど、どうしたんだいソラ様」
リリムはそう言うと共に俺に近づく。
その動作と共に自然に手に触れていく。
俺がいない間にどのような事を学んだのか聞きたい所だけど。
「アイリス様の事だよ」
「・・・この国の女王だね、まさか気になるのかい??」
俺の発言に対して、リリムはこちらを見る。
「まぁ、そうだな、このままシャドウガーデンで活動する以上、彼女が間違った方向に進まないように考えないといけない」
「間違った方向に?」
すると、リリムは首を傾げる。
俺は頷くと共に。
「今は、まだ大丈夫かもしれないけど、このまま戦いが続ければ、きっと挫折する。
そんな隙を、ディアボロス教団が見逃すとは思えない」
聞いた話程度だが、このまま進めば、元康達のようになる可能性がある。
元康達とは違い、真面目な分もあるが、周囲の期待という名のプレッシャーをかけられ続けられた彼女がシャドウガーデンと接触続ければ、どうなるか。
「何より、そういうのやりそうだからなぁ」
シドの奴が、影の実力者としての強さの証明として、王国最強を打ち破る。
「なるほど、つまりは早くに挫折させれば良いという事かい?」
「ある意味、正解だけどって」
すると、リリムは笑みを浮かべる。
「リリム?」
「ソラ様が心配する必要はありませんよ、ようするに間違った方向に進めないように調教すれば良いだけですから」
何やら嫌な予感がするが。
「張り切り過ぎるのだけは、止めてね」
「考えておく」