「おぉ、これは凄いです!」
「はぁ」
現在、俺は夏休みを貰っている。
本来、勇者である俺達には、夏休みというのはないかもしれないが、この世界では一応は学生である事もあって、確かにある。
そんな夏休み、俺はシャドウガーデンの任務として、聖地へと向かう事になった。
その目的としては、今回の潜入で聖地にある資料を全て頂く事である。
聖地には、これまでは侵入を行おうとしたが、不可能に近かった。
だが、それは鍵の勇者である俺であれば簡単に出来る。
それをリリムから聞いていた為、今回の作戦を実行する事になった。
なったのだが。
「・・・それで、聞きたい事があるんですが」
「なんでしょうか」
今回、聖地へと向かう際、そのメンバーとして、俺と共にニューという人物が同行している。
彼女は、少し前にシャドウガーデンに入ったと聞いており、前回の学園の事件でも密かに活躍していた。
それは、別に問題ない。
だけど、俺が聞きたいのは。
「デルタが同行だと聞いていたけど、これって、おもりだよな」
「えぇ、その通りですね」
俺は、ニューに対しての問いかけに頷く。
デルタは、シャドウガーデンの中で、最も戦闘能力が高い。
シドから聞いた話だと、「脳ミソに欠陥さえなければ、この世界で覇権を握っていただろう」とさえ言わしめるらしい。
だが、問題なのは、その頭脳である。
「なんで、俺が?」
「アルファ様は聖地での任務の為に下準備がある為。シャドウ様は既に行動をしています。その結果、デルタ様を誘導出来るのが、現状ソラ様だけとなりました」
そう言いながらも、俺達は思わず横を見る。
そこには線路があり、おそらくは汽車が走っているのがよく分かる。
だけど、なぜ、俺達がそれに乗れないのか。
「デルタ様が、以前『デルタよりも遅いのに、なんでこんなの乗るのですか!』と言われ、破壊された為です」
「・・・はぁ」
だからこそ、現状、俺達は歩きで聖地に向かっている。
そして、ただの旅だけならば問題ないのだが、それ以上に困るのはデルタの制御だった。
道中、彼女はまさしく気まぐれであり、アルファの命令がなければ、おそらくは向かわないのだろう。
「どうする、このままじゃ、目的地までかなりかかるぞ」
「それに関しては、問題ありません。明日には汽車が通る駅に辿り着きます。
その時に乗れば、おそらくは」
「いや、だから、その汽車に乗る事が出来ないから問題なんだろ」
俺はニューに問いかけると、その手には何か持っている。
「それは?」
「イータ様特製の媚薬でございます」
「・・・それをどうしろと」
「デルタ様に飲んで頂き、ソラ様が気絶させるまで犯してください」
「おい」
とても女性が言うべき台詞でない事に俺は思わず突っ込んでしまう。
「なんでそんな事を」
「はっきり言いましょう。
私は、もう、休みたい。その為ならば、夜、喘ぎ声が聞こえまくろうと問題ありません」
「俺が気絶するだろう!」
思わず叫んでしまう。
「おぉ、何の話をしているんですか!」
「デルタ様、丁度良かったです。こちら、とっても気持ち良くなる薬です」
「おいっ!」
「本当ですか!!」
それと共にデルタは、そのまま勢い良く飲む。
同時に、既に遅かった事に、俺は頭を抱える事になった。