武神祭。
それは、この世界における祭りの一種らしい。
人種も国籍も職業もバラバラで、たった一つ武神祭を楽しむという目的だけが一致している。話したこともなく、今後話すこともない人々の中に、奇妙な一体感が生まれる。
祭りとはそういうものだ。
しかし。
「なぜ、俺の元に、そういう話が来るんだ」
その日、尚文の方から話が来ていた。
その内容というのは、何やら事件が起きたらしい。
「それで、俺に依頼というのは」
「貴族同士のやり取りだ。ある意味、これまでにない面倒な仕事だ」
それと共に、俺はその内容を聞く事にした。
事の始まりは、武神祭が行われてから数日後の出来事だった。
その日、オリアナ国王が自分の娘であるローズ先輩に殺されそうになった。
部下であるドエムに盲目的に従っているように見える。ローズがある事件を起こした際には、自国の問題として処理することを望んでいる様子であった。
「それで、俺に依頼を?」
「一応、騎士団に所属している俺では、そういうのは無理だからな。こういう動きに関しては、お前の方が得意だと思って」
「やろうと思えば出来るけど」
そうして、俺は、今後の行動に関して、どうするべきか考える。
一瞬だけの考えと共に、とある事を思いつく。
「だったら、尚文、少しだけ手を貸してくれないか?」
「手を貸すって、どういう事だ?」
「多分だけど、アイリス女王は、その件でオリアナ国王と面会する時があるか?」
「まぁ、一応、この後に、だけど一体」
そうして、俺はすぐにとある鍵を取り出す。
その様子を見て、尚文は首を傾げるが、俺はそのまま構えた。
「と言う事で、出番だ!兎の守護者!猫猫!」
その宣言と同時だった。
俺の横に緑色の中華服を身に纏った少女。
その表情は、かなり怠そうにしており。
「・・・一体、何の用でしょうかぁ」
「うわぁ、相変わらず、やる気なさそう」
そう、俺は思わず呟いてしまった。
同時に、尚文は、思わずこちらに問いかける。
「おい、こいつに一体何をするつもりだ?」
「こいつとは、いきなり失礼だな」
尚文は、そうしながら、猫猫の様子を見て、すぐに俺の方へと向ける。
「いやぁ、こういうのはぴったりだと思ってね」
「ぴったりってなんだよ、ぴったりって」
「えっ、なんか、貴族の不祥事の事件」
その一言に対して、猫猫は思いっきりしかめっ面をした。
「私はそういうのは嫌いなんだけどな、主よ」
「結構同意するが、なぜ、こいつが的確なんだ?見た感じ、強そうにも見えないが」
それに対して、俺は頷く。
「実際、そうかもしれない。猫猫は、守護者の中では戦闘能力は一番弱いし、頭脳も高い方だけど、一番ではない」
「おい、人を呼んで、いきなり罵倒か」
俺の言葉に対して、猫猫はこちらを睨む。
「けど、こういう事件を解決するんだったら、猫猫が一番信頼出来るからな」
「結局、面倒事を押しつけようとしているじゃないかよ」
そう、猫猫は俺を睨む。
「まぁまぁ、この世界特有の変わった毒を提供するからさぁ」
「仕方ないなぁ」
その一言に、猫猫は満足そうに言う。
「・・・本当に大丈夫なのか、こいつに任せて」
そう、尚文は呟いたが、関係ない。