あれから俺達は、その打ち合わせをした。
簡単で単純。
騙されるかどうかも分からない程の。
「それで、薬を作る事は出来たんですか?」
「それが、なかなかに難しいですね」
アイリス女王の問いかけに対して、猫猫は頭を下げながら答える。
「やはりガセでしたか、これだから」
「えぇ、本当に困った事に。薬の解析をするには、設備が足りなかったので」
ドエムの奴は、そんな猫猫の言葉に対して笑みを浮かべていた。
本当に、王の麻薬の効果を打ち消すような薬を作り出されたら、ドエムの奴にとって不都合だ。
だけど。
「はっ、やはりこのような探偵に頼りにはなりませんな」
「えぇ、本当に、薬を持っていた奴を見つける事は出来たんですけど」
「っ」
その一言が、ドエムの表情は一変する。
それは余裕の表情はなんとか保とうとしている。
だが、そんなドエムに対して、猫猫は俺に目を向ける。
「このように、薬は容器の中に入っていました。王宮内で発見されました。それを拾った人物は、どうやらそこにいる方に近い方でしたねぇ」
そう、猫猫はドエムに問いかけるように言う。
ドエムは、ぎっと猫猫を見つめてから、口を開く。
「証拠はあるのか」
「証拠と言われましても、私にはこの薬を見つけるのがやっとでしたので。
何よりも、この薬を見つけるだけでもやっとでしたので」
そう、猫猫はわざとらしく言う。
それに対してドエムは。
「そうか、どうやらこれで理解した」
「と言いますと?」
「お前達が王を愚弄する気である事が」
(はい?)
俺は思わず心の中で声を上げてしまった。
だってそうだ。いきなり話の流れが変わるんだから。
「……どういう事ですか? どうしてそうなるんですか?」
「簡単なことだ。貴様らが持つその器。それが毒という証拠があるのか!」
「そうですか、私はこの薬だと確信していますが」
「なぜならば、それが貴様のその毒の器は、まるで違う物だからぁ!」
そう、ドエムは俺達に向けて、叫ぶ。
それに対して、周囲は静かになった。
それが何を意味するのか。
そして、猫猫は裾で口元を隠し。
「やっぱ、馬鹿なんだなぁ」
小声で、呆れたように言う
「何が可笑しい」
「いえ、私はこれが発見した毒だと言っただけです。器は確かに違いますよ、ほら」
そう猫猫は、自身の懐から、先程の毒が入っていた器を見せる。
「えっ」
「器の形を知っているのは偶然かそれとも、元々知っているんですか。毒が入っていた器を」
その瞬間。
ドエムは、既に終わっていた。
「さて、どうやらドエム・ケツハット殿。あなたには聞かなければならない事が出来たようですね」
その瞬間、アイリス女王を含めて、その場に居た全員が立ち上がる。
そんな中で、ドエムを捕らえようとする。
しかし。
「幸い、試合の方へと夢中な様子で」
「っ」
それと共に、窓が閉められる。
そして、それと共に、現れたのはおそらくはディアボロス教団の人員だろう。
「……聞きたいが、猫猫、戦闘能力が」
「あると思いますか」
「だよねぇ」
俺達はどうするべきか考えていた。
だけど、こういう時には。
「例え、闇の中だろうと、真実は晒されるという事」
「まさかっ」
だが、瞬間、その闇の中から現れたのはシドがシャドウとして姿を現した。
「タイミング、狙っていたな」
「そうだねぇ」
俺と猫猫は、そう呟いた。