「ここに来るのは久し振りだな」
そう言いながら、俺は周囲の風景を見る。
無法都市。
この世界での活動をする際に立ち寄った都市の一つ。
元々の街の名前は知らないが、周囲にはその名が通る程に、法律が無意味になっている都市である。
「まぁ、前回もそうだけど、この無法都市では結構注意しないといけないからな」
街を歩くだけでも、俺の財布などを盗もうとする輩が次々と近づいていた。
元々、戦闘能力はあまり自信はないが、それでも勇者として、各地を旅していた事もあり、こういう対処もある程度慣れていた。
俺は、目的の場所へと辿り着くと共に、周囲を囲む人員。
「ここに一体、何の用だ」
そう、周囲を見る。
無法都市の中でもわりと整備されている街。
その光景は、古き日本を思わせる光景であり、周囲もまた着物などを身に纏っている人が多くいる。
そして、それらを守る彼らは、俺を警戒するように立っていた。
「そう警戒するなと言っても、無理なのかなぁ、えっと、確かあれはどこに」
そんな言葉を言っている時だった。
下駄の音が聞こえ、その方向を見る。
すると、そこには白い着物に9つの狐の尻尾が目立つ女性がいた。
顔は笠で隠れており、見えないが。
「これはこれは、お久しぶりですね、ソラ様」
「久し振りだな、ユキメ。結構久し振りに会うけど覚えていたのか?」
「それは勿論です」
そう、ユキメは笑みを浮かべると共に、俺を案内する。
彼女との出会いは、リリムと出会った頃の出来事。
この無法都市において、その時期はまだ無銘であったユキメと出会った。
無法都市での情報を収集する際に、行動を共にしていた時に、偶然が重なり、この無法都市の白の塔の支配者になっていた。
俺とリリムは一箇所に留まる事はなく、ユキメはこの都市でやらなければならない事もあり、すぐに旅立った。
「それにしても、ゼータから聞いていましたが、まさか本当に戻ってきたとは、嬉しく思います」
「まぁ、それは良いけど、少し聞きたい事があるんだけど良いか?」
「えぇ、勿論と言いたい所なんですけど、実は厄介な事が起きるのです」
「厄介な事?」
それに対して、俺は首を傾げる。
「近く、紅の塔の主が何かを企んでいると察知しました。
これまでは、ソラ様の噂が抑止力になっていましたが、何やらそれを越える何かを行うつもりです」
「それを阻止して欲しいという訳か」
ユキメは笑みを浮かべながら、頷く。
「この1件は、あなたにも関係ないはず。ですから」
「あぁ、分かっている。何よりも、俺自身も紅の塔に関しては調べたかったからな」
そうしながらも、俺はそのまま紅の塔を目指して、歩き始める。