「なんだか、あの話をしてから、ソラ、かなり可笑しいですよ?」
そう、俺の変化に気づいたように、デルタはこちらに問いかける。
ゼータとイータからの情報を聞いて以来、俺は波の尖兵が現れる可能性を考えていた。
「まぁ、色々とね、面倒な敵だと思ってな」
「それは、ディアボロス教団ではないのですか?」
俺の、その疑問の言葉に対して、ゼータは聞いてくる。
その事に対して、俺は首を横に振る。
「もしかしたら、ディアボロス教団も関わっているかもしれない。けど、もしかしたら俺の世界で戦っていた敵にも関係しているかもしれない」
「ソラの世界? それって、確か波の?」
「あぁ」
既にこっちに来てから半年近く経っている。
向こうでは、どのような状況になっているのか分からないが、もしも波に関係する事であれば、尚文達にも来て貰った方が良いだろう。
「尚文達には連絡は」
「一応、私の方からしておいた。
ただ、来るには時間がかかるらしい」
イータが言うには、ここから向かう為には騎士団の関連した仕事が終わり次第向かわないといけないらしい。
元々、表側の情報を集める為に別行動していたとはいえ、なるべくだったら、早く合流したい。
「その波の奴って、そんなに強いの?」
「強いというよりも面倒だな。一度、尚文を含めた勇者の武器を全て奪われた事があったから。それに俺も一度、痛い目にあったから」
「痛い目に?」
キョウの奴には無限牢獄に閉じ込められた1件を思い出す。
他にも色々な出来事を思い出すが、こうして考えると、本当に面倒な敵だよ。
「だから、強さというよりも、その能力による妨害を警戒した方が良い。それに」
もしも、波の尖兵ならば鎧の聖武器も向こう側に渡っている可能性を考慮した方が良いだろう。その場合、どう立ち回るべきか。
尚文達とも相談する必要があると思う。
くそ……こんな時に何一つ手掛かりがないなんて。
「とりあえず、休もう。幸い、休むのには、便利な物だから」
そう、イータは、俺に例のアイテムを取り出す。
そのまま、ドアノブを近くの岩壁に取り付け、そのまま開ける。
「これが、本当に?」
ゼータは、少し警戒しながらも、岩壁の向こうへ向かう。
「おぉ、本当に部屋なのです!」
その向こうの景色を見て、デルタは嬉しそうな声を上げる。
確かに、そこは広い空間が広がっていた。
天井があるのか、空が見える。
更に部屋の隅っこの方にはベッドや本棚、机等が置かれていた。
高級ホテルとまでは言えないけど、そこそこ裕福な宿屋の部屋程度の広さはある。
「本当に大丈夫なのか?」
「問題なし、外からもバレないし、ソラが開けない限り、向こうからはバレない。
何よりも、防音もしっかりしているから」
「そうか、防音はしっかりと」
すると、イータの言葉の中でゼータが特に防音という言葉に注目していた。
「なんで、そこで音を気にするんですか?」
「さぁ」
デルタの疑問に対して、俺はどう答えたら良いのか分からず、苦笑いをするしかなかった。