「うぅむ、これは」
俺達は、無事に目的地である国に到着する事が出来た。
ゼータ達とは、すぐに別行動し、合流する事になっている二人の所に向かう。
「ちっ」「あぁ」
合流する酒場。
その酒場での個室となっている所に入ると、そこではかなり雰囲気が悪い事が一目で分かる。
「尚文はともかく、シドまでここまで機嫌が悪くなるのは珍しいな」
尚文は基本的に怒りの表情がデフォルトなので、こうして苛ついた様子を見るのは珍しくない。
しかし、基本的に陰の実力者という事にしか興味のないシドが明らかに不機嫌なのは珍しい。
「なんだか、その言い方は少しむっとするけど」
再会して早々に言った言葉に対して、シドは反応するように首を傾げながら言う。
だが、こいつは基本的に一番大切な事である陰の実力者以外には、本当に興味のない様子だった。
そんな彼がこの態度を取るのは本当に珍しい。
「まぁ、一応理由は聞くけど、どうしたんだ?」
「夕方6時枠のはずだったのが、何時の間にか昼ドラに変わっていた」
「マジで、どういう状況なんだ」
シドからの言葉に対して、俺は思わず聞き返してしまった。
「ローズ先輩のお母さんがどうやら、その候補者にぞっこんみたいなんだよねぇ」
「うわぁ」
それを聞いた瞬間に、その場で尚文が怒りそうな雰囲気なのは良く理解出来た。
「僕としては、せっかくローズ先輩が主役で、陰の実力者として活躍出来ると思ったのに、こんな昼ドラ状態で活躍出来ないよ!」
シドの発言を聞いて、こいつはある意味変わらないなぁとよく理解出来た。
だからこそ、この話をしておくべきだろう。
「まぁ、そんな昼ドラ状態を知らないローズ先輩は、その候補者と結婚しそうになっているんだけどね」
「あぁ、それは不味いかも、俺の予測だと、その候補者、間違いなく敵だ、しかも波の」
「なんだって」「へぇ」
俺の言葉を聞いた尚文は目を見開いて、驚く。
対して、シドはそれに関して面白いと思ったのか口角を上げる。
「つまり、そいつは確実に敵だと考えても良いのか?」
「確信がないとな、だけど、同時に奴は聖武器である鎧を持っている可能性がある」
「聖武器ねぇ、僕としてはソラや尚文のように鍛えているんだったら、別に文句はないけどねぇ」
するとシドは俺達を見る。
「それって、どういう意味だ?」
「尚文もソラも、手に入れた武器を十全に使いこなす為に努力を惜しまなかった。
僕はそういう意味では君達は結構気に入っている。だからね」
そうしたシドの目は確実に本気だった。
「力を手に入れただけの奴に負けるつもりはないよ」
「なんだ、珍しく気が合うな」
そうした、シドの言葉に対して、俺も尚文も確かな頷きがあった。
同時に謎の候補者に関する戦いも始まる予感がした。