結婚式は刻一刻と迫っている。
その間、俺達もまた準備を進めている。
その最中で、シドは。
「なんか、ごめん、指輪を無くしちゃった」
「「えぇ」」
シドは、今回の中心になると思われる指輪を無くしてしまったのだ。
今回のローズ先輩の結婚を止める為に必要なキーアイテムとなるはずの指輪。
それをシドは、偶然とはいえ手に入れてしまった。
「まさか、そんな大切な物を無くしてしまうとは」
「仕方ないじゃない、僕だって、色々と予想外だったんだから」
「いや、親の不倫現場をいきなり見せたら、そりゃ吐くだろ」
「ぶっちゃけ、あの時のローズ先輩の目、色々と怖かった。ピアノの演奏に集中していないと、たぶん無理だった」
「まぁ、色々と心労が溜まっていたんだろうな」
そう、この場において、ローズ先輩の身を誰よりも案じているのは、案外、尚文だった。
尚文自身、過去に貴族からの嫌がらせを受けた事も相まってか、かなり同情する。
「まぁ、あのビッチの母親みたいな感じだからな」
「というよりも、あのビッチと似たような気配をしたのは、気のせいか?」
「ビッチビッチって言っているけど、どういう奴なの?」
「尚文を填めた元王女」
「今はもう処刑されたけどな」
「僕が言うのもあれだけど、君達の世界も世界だよねぇ」
それに関して、俺達は反論する事は出来なかった。
むしろ、それが反論出来ない程の材料が揃い過ぎている。
「まぁ、俺達がやる事は変わらないけどな」
そうしている間にも、結婚式は進む。
この結婚式を止める方法はあるのか。
そう考えていると、結婚式の最中、ローズ先輩は、波の一員と思われる男を見る。
男の容姿は、長い黒髪の和風美形で二十半ばの見た目。
「あいつが確か」
「名前は、アルバートだっけ?」
特にそいつの事には興味はなかった。
ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべている事だけは確かだ。
だが、その結婚式の様子は一変するような出来事が起きた。
それはローズ先輩の反逆。
同時に、そのまま、ローズ先輩は、なんと反論した。
まるで小物丸出しの雰囲気を出しながら。
それと共に映し出されたのは、映像。
「なっ、マジかよ」
「聖域でも考えていたが、まさかここまでオーバーテクノロジーがあるとは」
その映像の中には、王が告白していた。
それはドエムの悪行。
同時にアルバートの悪行も。
「なんというか、俺達が考えていた以上に、王様はとんでもない奴だったんだな」
「あぁ、未知のテクノロジーを使う事に対して戸惑いはあったかもしれない。けど、それを決断した」
そんな王に対して、尚文は賞賛していた。
だが、その周囲の貴族は、既に自分の保身へと走り始めていた。
尚文は、その態度に対して、舌打ちをする。
だが。
「っ、ソラ」
「あぁ」
だが、アルバートは笑みを浮かべる。
「もはやどうでも良い!ならば、俺が、俺自身で国を支配すれば良い」
それと共に、空間に走る衝撃。
それは、ローズ先輩が持つ指輪。
「黒き薔薇と呼ばれた現象。その正体を知らないお前達にとっては、これは厄災だろう!
だが、俺にとっては、まさしくこの場で最強とする現象である」
同時に見れば、アルバートのステータスは既に変わっていた。
「なっ」
ステータスが変わった事に対して、ローズ先輩は驚きを隠せなかった。
ステータスを見る事は、この場にいる俺と尚文以外は出来ないだろう。
だが、一瞬で、何かが変わった。
それを直感したんだろう。
「さぁ、ここで「なるほど、確かに普通だったら、無理だろうな」なに?」
その場で声が響く。
同時に、俺達はゆっくりと歩く。
「だけど、好都合なのは、こっちも同じだ」
「なにを言って」
それと共に、俺と尚文の手にある物を見て、驚いた様子。
「勇者だとっ!」