龍刻の砂時計を目指す為に、俺達はとある作戦を立てる事にした。
それは、簡単に言えば、陽動作戦である。
軽い騒ぎを起こしながら、絆を目的の場所まで運ぶ事。
とてもシンプルな内容であり、その囮役に関しても既に決まっていた。
ここ数日の間に、俺達は既に他の守護者に関する情報も十分に得る事ができた。
その中でも、ある意味、最も囮に適した守護者が担当していた。
「それにしても、何というか、俺って、他の奴らから見たら、あんな感じなのか」
「さすがに違うと思うけど」
そう言いながら、俺は囮となっている霊亀の守護者であるメイプルの戦いを、屋敷の中から見つめる。
その彼女は、俺から受け取った魔力を使って、敵から攻撃の注目を集めている。
彼女は、どうやら岩谷と同じく過去に盾の勇者として召喚されたらしい。
だが、その行動は、かなりとんでもなかったらしい。
その能力の数々はとてつもなく、辺り一面を毒に変えたり、悪魔を召喚したと言われている。
その事から、岩谷が過去に盾の悪魔と呼ばれた要因の一つではないのかと、疑われた。
疑われたのだが、その性格ははっきり言えば、どこか絆と似ていた。
実際に、絆と会った時には、結構早くに意気投合していた。
「なんというか、本当に気が合う守護者とは仲良しになるな」
「それは勿論、とにかくメイプルちゃんが引きつけている間に、すぐにでも行こう」
それと共に俺達は目的の龍刻の砂時計に向かって、走る。
メイプルが敵を引き寄せている間にも、俺達はそのまま龍刻の砂時計へと辿り着く。
だが、龍谷の砂時計の前には、待ち伏せをしていたのか、兵士がおり、その中心にはどこか覚えのある気配があった。
「どうかしたの、空」
「いや、なんというか、よく分からないけど、あいつ、キョウとどこか似た気配をするんだ」
「気配?」
そう、岩谷が目の前にいる奴と会話をしている間にも、その違和感の正体に疑問を感じる。
キョウの奴に対してもそうだったが、今思えば、それはあのビッチにも同じだった。
「今、誰か別の女の事を考えた」
「あぁ、俺が一番嫌いな女の事だ、そいつとなんか似ているからな」
「あぁ、そっちか、だったら良いか。
オレも、なんか嫌いだからね、だから!」
そのまま絆は俺にリクを預けると共に、そのまま真っ直ぐと龍谷の砂時計に近づく。
「そのチビを止めろ!」
「チビって言うな!私はこれでもお母さんなんだからぁ!!」
それだけ言うと、そのまま龍谷の砂時計を起動させる。
それによって、無事に転移ができそうになる。
「空、すぐにメイプルを戻せ!」
「分かっている、メイプル、ありがとう!」
そのまま遠くで囮になっているメイプルをそのまま呼び戻す。
それによって、この場は無事に脱出できる。
はずだった。
それは、なぜかラフタリアさんだけが光が消えた。
「なっ」
同時に聞こえた笑い声。
それを、俺達は知っている。
「まさかっキョウ!」
『よぉ、久し振りだなぁ、盾のアホ勇者に鍵の馬鹿勇者』
「まさか、お前」
『おぉ、さすがは頭が良いなぁ、この状況にも気づくとはな』
「本当、最悪だなぁ」
あの場で、全員が同じ場所に転移された。
それは、偶然だと思っていたが、それは違ったようだ。
奴は始めからここから脱出するには、龍谷の砂時計を使う事が分かっていた。
そして、嫌がらせをする為に、行動をした。
それが分かると、岩谷は顔を歪ませる。
「くそっ」
転移して、逃げるという目的は確かに達成する事ができた。
だけど、それは、仲間であるラフタリアさんを置いての転移。
ここまでの出来事が奴の手の平で踊っていた事を意味をする。
だからこそ、今度会った時は。
「絶対にてめぇを倒す」
そう、言葉と共に誓った。