その日、俺は波に備えて、とある場所へと向かった。
岩谷から、ある場所へ向かうように言われた事もある。
城下町の中でも高低の高い位置に存在する時計台
教会のような面持ちのドーム上の建物の上に時計台がある。
入場は自由なのか、門が開かれ、中から人が出入りしている。
受付らしきシスター服の女性が俺を見る。
「あなたは一体」
「今回の波の戦いに一応参加する事になっているけど」
「波の?
どこの勇者のパーティでしょうか?」
「いや、俺も一応、勇者だけど」
「・・・勇者ですか?
何の勇者なんでしょうか」
「んっ、鍵の勇者だな」
「鍵?」
まぁ、これまで、その影すら見えなかったのだから、当たり前だろう。
そう考えていると。
「もしかして、あの時の。
失礼しました。
まさか、本当に新たな勇者だとは思わなかったので」
そう言っているが、その目はどこか睨み付けるようだった。
「ではこちらへ」
そう言って案内されたのは教会の真ん中に安置された大きな砂時計だった。
全長だけで7メートルくらいはありそうな巨大な砂時計。
装飾が施されていて、なんとも神々しいような印象を受ける。
その最中で。
「んっ、誰だお前は?」
俺の存在に気づいた人物がこちらを見る。
金髪の槍が目立つ人物であり、見覚えがあった。
もしかして。
「・・・あんたが、槍の勇者か?」
「おぉ、そうだが。
あれ、お前って、確か最初に召喚された時の」
そうしていると、他の勇者もぞろぞろと仲間を連れて来た。
「まぁな。
俺も一応勇者だったらしい」
「だったらしい?
それって、本当なのか?」
「まぁな、鍵だけどな」
そう、俺は腰にある鍵を見せる。
「鍵の勇者?
そんなの、聞いた事ないけど」
「そう言われてもな。
俺だって、知らなかったんだから」
「・・・まぁ、実際に違う所もあるでしょう。
それで、あなたは一体、どんな力があるんですか?」
そう、何やら気になった様子なのか、弓を持つ人物が話しかける。
周りを見ても、どこか現実を見ていないような、そんな雰囲気があった。
だからこそ。
「まぁ俺自身は、戦闘にはほとんど役に立たないよ。
鍵を使った、様々な事ができる程度だ」
「鍵を使った?」
「まぁ、どのような扉も開ける事も、閉める事もできる。
封印を解く事も、施す事も。
鍵という概念があれば、どのような事もできる」
そこで、あえて、俺は守護者の事は話さない。
「チート過ぎるだろ、それって」
「しかし、実際の戦闘能力はどうなんだ?」
「いやぁ、風船の奴に対してもやっとかなぁ」
「こんなので、役に立つのか」
「まぁまぁ、けど、実際には封印などが行えるのは頼もしいじゃないですか」
「確かにな、あの野郎よりはマシだと思うし」
それは誰に対して言ったのか、自然と分かる。
同時に、岩谷が来ると共に、全員が怪訝な顔と共に、そのまま立ち去っていった。
その様子に、一緒にいたラフタリアさんは、どこか悲しそうだった。
というよりも。
「なぁ、岩谷」
「なんだ?」
「ラフタリアさん、なんか成長していないか」
「さんって、ラフタリアはまだ子供だ。
別に、さん付けしなくても良いだろ」
そう、何か呆れた様子で言うが、実際にラフタリアさんの見た目は、明らかに岩谷と同年代に見える。
「・・・それにしても、他の勇者からは随分と嫌われているな」
「あぁ、そうだな。
お前もそうなんだろ?」
「どうだろうか。
俺は、そもそも、その現場を見た訳じゃない。
未だに分からない事ばかりだからな。
けど」
同時に俺はそのまま岩谷を見る。
「とりあえずは、信頼できる勇者が1人いて、良かったと思えるよ」
「・・・俺はお前を信じた訳じゃない。
だが、味方をするんだったら、それで十分だ」
「その時はよろしくな」
それだけ言い、再び訪れるだろう波に備えて、俺達はそのまま解散する。
その道中で、シノンが問いかける。
「これから行う波の戦い。
その戦いが、どのような戦いなのかは分からない。
それは理解できているわよね」
「あぁ、勿論だ」
異世界という、この世界で、どんな厄災が起きるか分からない。
だが、どちらにしても、それを解決しないといけない。
「分かっているならば、気張りなさい。
まぁ、あなたには、私達守護者がいるから、できる限りは守ってあげるわ」
「あはは、がっ頑張ります」
その言葉に、俺は思わず苦笑いをした。
出来れば、問題児だと言える守護者が呼ばれないようにだけはしたい。
次回、ようやく二番目の守護者登場です。
アンケートで、1位は双子座ですが、現在の活動報告でも多くの応募が来ています。
どのキャラクターが守護者になるのか、それとも今夜来た新たなキャラクターが守護者になるのか。
次回を楽しみに!