行方不明になっていたフィーロを見つける事ができた。
悲劇的な別れをしてしまったラフタリアさんも見つかった。
ここまでの道中、岩谷はとてもじゃないが、生きた心地をしていなかっただろう。
だからこそ、その再会は感動的だろう。
ただし。
「えっと、グラス?!」
眼前で、無言にいるグラスに対して戸惑う絆以外は。
現在、俺は本当に命の危機に瀕している。
それは、ここが町の中でなければ、今すぐでも殺そうとするグラスに睨み付けられているからだ。
「・・・鍵の勇者、聞きますが、お前が絆との間に子供が出来たのは、本当だな」
「あぁ、本当だ」
グラスからの問いかけに対して、俺は嘘偽りなく答える。
「ちょ、グラス、あまり空を責めないで「絆、こればかりは、私も譲れないので」えぇ」
その迫力に対して、グラスは絆の言葉さえ聞かなかった。
「もしも、お前が絆と結ぶつもりだったら、その命をここで差し出せ」
「ちょっ、何を言っているの!?」
「元々、私達はお前の世界を消して、この世界を救うつもりだった。
そんな世界の勇者のお前が絆を真に愛しているならば、ここで死ね」
「おい、グラス、それは幾ら何でも」
そう、合流したラルク達もまた言う。
それに対しての答えは既に決まっている。
「断る」
「やはり、命惜しさに、そう答えるか」
「あぁ、そうだな。
だけど、同時に俺は絆とリクの為にも生きるつもりだ。
何よりも、波をどうにかできる方法があるかもしれないからだ」
「えっ、波を、それはどういう事なんですか」
俺の一言に、ラルク達は驚きを隠せなかった。
「お前達との波の戦いの際に、空の鍵が一つの巨大な鍵になった。
その鍵はお前達と一緒に来た波を一瞬で閉じる事ができた」
「あの時、まだ時間があったのに、転移したのは、そういう訳か。
つまり」
「鍵の勇者の力を使えば、波を封印する事が出来る!どうにかできるかもしれないという事だよね!!」
その事に絆は勿論、ラルク達も同じだった。
「その言葉が、戯れ言でなければ」
しかし、その場でグラスだけは違った。
「おい、グラス、さすがに」
「この場で生き残る為の嘘かもしれない。
それを信用できるか、どうかも分からない。
本音を言えば、それが嘘であれば、私は何の躊躇もなく、お前を殺せる」
その殺気は紛れもなく本物だった。
「だったら」
その言葉と共に、俺は麒麟の守護者を呼び出す。
その容姿は、褐色の肌の少女であり、麒麟の守護者であるユキカゼだった。
「おい、空、まさかって」
岩谷達は戦うと思ったようだ。
「ユキカゼ、俺の頭を撃てるか」
「はぁ、いきなり呼び出して、何を言っているの、あんた」
俺の言葉に対して、ユキカゼは大声で叫ぶ。
「何のつもりだ」
「俺の言葉が嘘だと思ったら、この麒麟の守護者であるユキカゼが、俺の頭を貫く。
それは、グラスに任せるわ」
「あなた、自分の守護者に、自分自身を殺させるつもり」
「それで、信用できるなら」
そう言った俺は、そのまま真っ直ぐと見つめる。
しばらくの沈黙。
同時に。
「その覚悟、確かに見ました。
ただし、あなたの言葉が嘘だった時は」
「あぁ、良いよ」
そう、俺はあっさりと答える。
それに対して。
「・・・良いでしょう、そして、失礼しました。
あなたの覚悟、確かに受け止めました」
そうグラスはようやく殺気を収めてくれた。
だけど。
「ユキカゼちゃん」
「私?」
絆がユキカゼに話しかける。
「お仕置き程度で良いから、少し電撃を与えてくれる」
「えっ」
「まぁ、良いけど、さすがにこの対応は嫌だから」
「ちょっと」
何時の間にか、何かやばい気がした。
「きっ絆」
「あっ、グラスもね」
「えっ?」
「オレ、これでも結構怒っているんだよ」
そう、絆は笑顔のまま、見ている。
普段ならば可愛い顔だったが、今はかなり怖い。
「おい、止めろ」
「岩谷」
「やるならば、無事に逃げてからだ」
「盾の勇者!?」
その場を納めてくれると期待したが、どうやらこの場だけらしい。
「覚悟を決めていないとな」