「ここは一体?」
「リンドブルムです」
あれから、俺達が越えた先。
そこはリンドブルムという街。
周囲を見渡す。
「ここには英雄オリヴィエが魔人ディアボロスの左腕を切り落し封印したとされている場所として、有名です」
「そうなのか、それと今更だけど、良いかな」
「なんですか?」
俺はふと、気になった事を思わずリリムに聞く。
「魔人ディアボロスとオリヴィエって、誰?」
「・・・」
俺の言葉に対して、リリムは思わずジト目で見る。
「いや、本当に知らないから」
「・・・まぁ、そうですね、では」
そう、リリムが話し初めてくれた。
約1000年前に突如出現し、世界を破壊しようと各地を蹂躙した異形の巨人。圧倒的な破壊力と再生能力を持ち、おびただしい数の血が流れたが、オリヴィエ、フレイヤ、リリの「3英雄」の手によって討伐された。
それが、この世界での常識であった。
「ふぅん、なるほど」
おそらくは、俺の探しているだろうこの世界の勇者は、その3人に関係している可能性がある。
だからといって、未だに、分からない事が多い。
それと共に、俺は鍵を探る。
「直感しか、選べないな」
未だに、全員が何者か分からない。
何よりも、もしも召喚した人物が危険な場合もある。
対話をする時間があれば良いのだろうが。
「とりあえず、これだな、現れろ、虎の守護者!」
「虎ですか」
そう、俺が呼び出した人物なのだが。
「えっと、こう見つめられると、少し困るのですけど」
そこに立っていたのは、あまりにも普通の女性である。
普通と言っても、これまで召喚した守護者の中でも個性としては普通である。
白と黒が入り交じった髪という以外には特徴はなく、身に纏っているのも、地味な服である。
「・・・一応聞きますが、本当に守護者なんですか?」
そう、リリムに問われる。
「あははぁ、私自身も選ばれた理由は分からないけどね、けど、とりあえず行きましょうか」
「行くって、どこに?」
「決まっているよ、本屋にね」
そう、彼女は呟いた。
それに対して、俺もリリムも少しだけ首を傾げながら、着いていく。
辿り着いた本屋に関しては古本屋というべきだ。
あまり品揃えが良いとは言えない場所。
だが、そんな場所においても、彼女はすぐに本を読み始めた。
「えっと、なぜ」
「うん、ちょっとね、確か、知りたいのはこの街の伝説についてだよね、私もちょっと興味があってね」
「伝説って、それは別に」
そう、俺が言おうとしたが、首を傾げる。
「どうかしました?」
「・・・俺達、いつ、そんな話をしました」
それと共にリリムもまた、思わず彼女を見る。
彼女は、変わらない様子で、本を読み続ける。
「何でもは知らないよ。知っていることだけ」
それだけ言い終えると、続きを読む。
「・・・あの方は一体」
「いやぁ、これは、想像以上にとんでもない守護者のようだ」
もしかしたら、そういう方面では、あのウルティマを越えるかもしれない。
それ程の戦慄が、俺は彼女から感じた。
すると、彼女は本を読み終えると共に。
「うん、だいたい分かった!それじゃ、行きましょうか」
「行くって、どこに?」
「んっ、そうだねぇ、この街にある魔神の力が封印されている場所」
「えっ」
それには、驚きを隠せない様子だった。
「どこに、そもそも、どうやって」
「そこは彼の出番だよ、行こうか」
そう軽い調子で、彼女に先導される形で向かう。
そこは、地下。
なぜ、この場所にと疑問に思っているが。
「ここに、何が、何もないのでは」
「あぁ、なるほど、そういう事」
それと共に、俺は鍵を取りだし、そのまま差し込む。
同時に捻ると、そこには扉が現れる。
「えっ?」
「リリムちゃんだっけ?鍵の勇者の力はね、確かに私達守護者を呼び出す事が出来るけど、本質には全然違うの」
「違うですか?」
そう、彼女は言う。
「鍵の勇者は世界と世界を繋げる役割がある。それは、太陽の女神が、いずれ来るだろう厄災を照らす為に、世界と世界が手に取り合えるように。
私達、守護者は、それを守るのが役割なの」
「・・・あのぉ、俺も、それは初耳なんですけど」
というよりも、もしかして、俺よりも詳しく知っているのではないだろうか。
「だけど、ここでもしかして分かるんですか?」
「うぅん、分かると思うけど、なるべく急いだ方が良いかもね、多分、ディアボロ教団だっけ?彼らも私達の存在にはとっくに気づいてると思うから」
「っ!」
同時に俺は再度、鍵を差し込み、捻る。
「とりあえず、封印した!これで、少しは時間稼ぎは出来るけど、脱出方法は!」
「メドゥーサさんに任せましょう」
そう、彼女は思いっきり人任せに言う。
「ある意味、恐ろしい人ですね」
「まぁ、ここから脱出したら、色々と教えてあげるから、それでね」
そう笑みを浮かべていた。
「・・・そう言えば、今更ながら聞きたいけど、名前は?」
「んっ、そう言えばそうだったね」
そう、彼女は笑みを浮かべる。
「羽川翼、一応は虎の守護者に選ばれた人間かな」