羽川の指示と共に、俺達はこの場における重要な資料を探る為に歩いていた。
施設に関しては、ほとんど手探りな状態であった為、どのような場所を調べれば良いのか分からない。
だからこそ、出来る事と言えば、重要な資料だと思われる本を持ち出す事だった。
「…少し聞きたい事があるんだが、良いでしょうか?」
「どうしたの、リリムちゃん、そんなに怖がっていて」
そう調べていると、リリムは、先程からずっと俺の影から出ずに、羽川に質問する。
それに対して羽川は苦笑しながら、答える。
「…どうして、この場所が分かったんですか、こんな所、普通は調べても、かなり時間がかかるはずでは」
「まぁ、そうだね」
「それを知っているという事は、関係者という事ですか」
「全然、私も初めて知ったから、情報もある程度しかね」
そう、本を流し読みをしながら、羽川は答える。
リリムからの質問に答えながらも、読み進めていく。
「私はただ単に怪しいと思った場所を探っただけだから」
「怪しい?」
「えぇ、そう、主に都市伝説や実際に起きた事件。軽く書かれている事からね」
羽川はそう答えると共に、役に立ちそうな本を見つけると、鞄に入れる。
「そんなの情報で、こんな基地を見つけられるんですか」
「まぁね、真偽が分からなければね、実際にここを見つけたのも偶然に近かったから」
質問に答えながらも、決して調べる事は止めない。
「そもそも、リリムちゃん、伝説とかはどうやって出来たと思う?」
「そりゃ、昔に実際に起きた出来事だったり、嘘が風潮したりじゃないのか?」
「うん、それもあるね、けど、大半の伝説はね、勘違いなんだよ」
「勘違い?」
その言葉に対して、リリムは首を傾げる。
「地震、雷、火事。これらが起きたのは全てが自然現象だと信じられず、伝説の魔物の存在によって起こされたと考えられる所もある。だけど、こういう都市内で起きるのは、戯言だと思えば良いけど、実際に起きた事かもしれない」
「それを信じてここに」
「それが、一つや二つならね、けど、そういうのが何十と、別々の人間が書いていたんだったら、そこに隠したい何かがある、そう思っただけだよ。あとは、どこでも侵入できる彼の鍵頼みだから」
そう、本を纏めると、そのまま俺に渡す。
「それじゃ、私が出来るのはここまで、あとは脱出しようか」
そうしていると、警報が鳴り響く。
おそらくは、俺達を追ってきたんだろう。
「まさか、もぅ」
「問題ないよ、というよりも、結構ここは便利な所だったのね」
それと共に、羽川の髪は真っ白へと染まる。
「少し、ここの力を貰うにゃ」
「「にゃ?」」
その変化に驚いている間にも、羽川の身体に電撃が走る。
そして、かざせば、そこに扉が現れる。
「ほら、ご主人、早くすると良いにゃ」
「あっあぁ」
その言葉と共に、俺もまた、すぐに扉を開ける。
同時に開かれた扉に向かって、走り出す。
「…一応聞くけど、羽川さんだよね?」
「うぅん、今の私はいわゆるブラック羽川さんにゃ」
「…ブラックというよりも白くないですか」
その言葉に、俺もまた頷いてしまう。