フォーブレイにおける文化を見渡す限り、俺達にとっては不思議で仕方なかった。
その文化は、この世界からかなり発展している。
だが。
「なんというか、歪だなぁ」
「そうなのか?」
この街の様子を見る限りで、俺は思わず呟いてしまう。
確かに文化としては発展しているだろうが、あまり良い発展とは言えない。
「これだったら、鳳凰の扉と繋いでいる世界の方が良いかもしれないな」
「確か、お前が言っていた場所か」
「尚文達も来るか?」
「・・・その中二病の奴がマシだったらな」
そう言いながらも、これから、ここで行う戦いに対して備えるように言う。
フォーブレイの発展を見る限りでも、おそらくはこの国にいる勇者は間違いなく俺達と似た世界から来た可能性がある。
だが、それは同時に俺達の敵である可能性もある。
可能な限りの対策は行ったが、それでも油断は出来ない。
「それで、確か鞭の勇者に会うのか?」
そう、今回は王同士の話と言う事で女王もまた一緒に来ていた。
「鞭の勇者様はこの世界で稀に生まれる大天才と言われております」
「稀に生まれる?」
「ええ、数世代に一回、世界を大きく改革する程の画期的な技術や商業、その他、様々な学問に通じる天才がこの世界には生まれる事があるのです」
「へー……変わった現象だな」
「一応、フォーブレイの王族の端に位置する貴族の家柄の出で、僅か三歳で魔法を習得し極めた者です」
それを聞くと共に、俺はそこにある共通点があったのを思い出す。
「尚文、もしかしたら」
「あぁ、可能性はあるな」
その鞭の勇者が、今回の敵の可能性が高い。
そう判断したからだ。
普通だったら、俺達のように異世界から転移した可能性を考えた。
だけど、これまで、確かに転生してきた人物であるシャドウことシドと出会った。
シド自身が転生したと教えてくれなければ、分からなかった部分もある。
同時にそのシドの例があったからこそ、今、考えれば絆の世界にいた2人もまた同じだった。
「天才と呼ばれているが、実際は前世の知識や、ボスから貰った力の恩恵」
「ならば、警戒をする必要はあるな」
練もまた、そう判断した。
そう、俺達が話していると。
「天才ですじゃ? ワシはあまり好かんですじゃ」
ババアがこれ見よがしに会話にしゃしゃりでてくる。
「……なんでだ?」
「変幻無双流はその数世代に一度生まれる天才によって内部分裂を起こし、滅んだんですじゃ」
「そうなのか?」
「ですじゃ。我こそは世界を統治する者なりと流派に禁じられた考えを元に世界支配を目論んだ天才がいたのですじゃ」
「へぇ……」
それを聞き、俺達の中にある疑問が徐々に確信に変わり始める。
「天才は繁栄と衰退を司ると言われております。歴史の節目には必ずその影があるので、鞭の勇者様も期待と不安を背負って活動なさっているのですよ」
「たぶん、それはないと思うぞ」
「鍵の勇者様?」
同時に、俺は周囲を見渡す。
こちらに対する視線を見る限りでも何かを企んでいる可能性があるのは明白だ。
「鍵の種類は」
「山羊」「蠍も考慮した方が良い」
それと共に非常時に、誰にするのか。
俺達は僅かでも決めておく事にした。