※この作品はR-18です。

鍵の勇者の召喚記   作:ボルメテウスさん

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勇者の罠

俺達は、案内されるがままに、王座へと入った。

そこで待ち構えていたのは、一人の青年であった。

その格好は、現代でも見かけるような格好だった。

この世界においては、あまり似合わない格好であり、その意味が、俺達の警戒心を跳ね上がるには十分過ぎる。

 

「これは鞭の勇者であるタクト様ではありませんか? 国王はどうしました?」

 

女王の言葉から考えれば、おそらくは奴が例の勇者で間違いないだろう。

そして。

 

「国王? ああ、奴なら俺が殺したよ」

 

さも当然と言うかのように鞭の勇者はそう告げる。

さすがの女王も、いつもの澄ました顔に疑問の色が浮かぶ。

 

「聞き間違いでしょうか? もう一度お願いします」

「あんなクズは生きている資格は無い。この世から消えて貰った。悪知恵だけはあったからな。処分するのに苦労したぜ」

 

その言葉に俺も含め全員が警戒態勢を取った。

 

「……内乱でしょうか? そのような話は初耳ですが?」

「そりゃあそうさ、俺が城の連中に命じて口止めしてたしな。そしてメルロマルクの女狐。アンタも世界には不必要な奴なんだよ!」

 

その一言と共に、奴は既に構えていた。

あれは、まさかっ!

 

「ヴァーンズィンクロー!」

「爪っまさか」

 

そう、タクトの手には、禍々しい黒い爪が収まっている。

そして、見覚えのある、あの閃光が射出され、尚文の盾とぶつかり、盾を貫いた。

 

「な――」

 

同時に左肩を貫き、延長線上に居た女王さえも貫いていった。

直後、穿たれた体から、血飛沫が上がる。

この状況が罠である事は既に悟った。

同時に、不味い事になった。

 

「お前もなっ」

 

そう、こちらの方に向けて、仕掛けようとした。

だが。

 

「何をしている、お前」

 

聞こえて来た声と共に、俺達を襲おうとした攻撃を全て吹き飛ばした。

同時に、俺達の中央に立っていたのはティアマトだった。

 

「これが噂の鍵の勇者の守護者か、まだまだ子供じゃないか」

「・・・お前、敵だな、ならば容赦はしない」

「今は、逃げる事を先決しようっ」

 

俺の一言に対して、ティアマトはすぐに振り返ると共に、そこには肩を怪我している女王を見る。

 

「分かった」

 

それに対してティアマトは頷く。

 

「それを許すとでもっ」

 

奴らは、それを許さないように突っ込むがティアマトは口を大きく開け、そのまま周囲に向けて、青い光線を放つ。

 

「なっなんだっそれはっ」

 

困惑を隠せない奴らを無視し、ティアマトが睨む。

 

「来たら、殺す」

 

それは完全なる殺気。

奴らは、それに動く事が出来ない。

そうしている間にも転移する準備は出来、すぐに転移する。

同時に、俺は僅かに見えた。

そいつの姿を。

 

「あぁ、なるほど、どうやら、今度もてめぇが裏で手を引いたのか」

 

そこにいたヴィッチを睨みながら、確かな決意をする。

 

「女王はっ」

「これは、呪いですがっどうすれば」

 

そう、困惑を余所に、俺は瞬時に切り替える。

 

「さやか、頼めるか」

「うわっと、いきなり呼び出して何かと思ったら、なにこれ!」

「頼む」

「分かった、とりあえず横にして」

 

現状、俺が打てる手を打つしかない。

その悔しさと共に、俺は見つめるしかなかった。

敵が、何なのか分かっていたはずなのに、止められなかった。

最悪な事に、尚文の盾が奪われてしまった。

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