※この作品はR-18です。

鍵の勇者の召喚記   作:ボルメテウスさん

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始まる戦争

「また、寝ていたのか」

 

俺は、ようやく目覚める事が出来た。

それと同時に疲労感はあまり残っていない事で心配しながらも、立ち上がる。

 

「ようやく起きたか」

「尚文、その今の状況は」

「もうすぐ、奴らとの戦争が始まる」

「そうなのか」

 

それに対して、俺は何も言えなかった。

 

「結局、俺はまた」

「いいや、お前のおかげで、こちらの犠牲者は今の所はほとんどいない」

「えっ」

 

それには、驚きを隠せなかった。

すると、尚文の隣には、クズが立っていた。

その手には杖を持っており、俺を見ていた。

 

「ソラ殿、この度は感謝します」

「えっと、えぇ?」

 

その謝る姿を見て、俺が始めに思ったのは、誰だという疑問だった。

姿や声こそ、確かに俺をこの世界に呼び出したあのクズで間違いないだろう。

だが、そこから出る気配も、威厳もまるで違う。

 

「これは一体?」

「お前が女王の治療に専念してくれたおかげで、女王は今も生きている」

「生きているのか」

 

それには一つの安堵があった。

しかし。

 

「だけど、まだ目覚めていません」

「えっ」

 

その報告に、俺は思わず手を握り締める。

 

「奴が放った呪いによって、女王は昏睡状態だ。今は呪いによる死を回避する為になんとかしているが、それでも解除するには」

「タクトを、奴をなんとかしなければならないのか」

 

それに対して、尚文は頷く。

同時に、クズはそのまま頭を下げる。

 

「ソラ殿、どうか、私に力を貸して下さい!」

「お前」

「ワシの目が曇っていた。悲しみに、大切な者を守ると言う名の腐敗に身を任せ、過去の憎しみを押し付けてしまった。

今度こそ、大切な者を守る為に、力を貸して欲しい」

「・・・」

 

その言葉に、嘘はなかった。

同時に俺もまた頷く。

 

「力は貸さない」

「・・・」

 

その言葉に対して、クズは震えているのを感じた。

だけど。

 

「俺1人の力なんて、大した事ない。

例え勇者だろうとな。

何よりも、力って貸したり与えたりする物じゃない、合わせるものだ」

 

誰よりも非力な鍵の勇者だからこそ、分かる。

 

「そうじゃな、知恵だけでは無理だ。力だけでも無理。

だからこそ、合わせる物ですな」

「あぁ、だからこそ、改めて、俺の力も一緒に使ってくれ」

 

それに対して、クズもまた頷いた。

 

「お前は本当にとことん変わっているな」

「そう言われてもな」

 

そう、俺は頭を掻くしかない。

 

「それで、勝算は」

「既に、何よりも鍵の勇者殿の守護者達の力があれば、作戦は幾らでも立てられる。

何よりも、シノン殿がいればな」

「シノンが?」

 

それには尚文もまた首を傾げた。

 

「鍵の勇者、その名はこれまで聞いた事はなかった。

だけど、それらは当たり前だった、それは勇者の武器ではなかったのだから」

「どういう事なんだ?」

 

尚文が続ける最中、シノンが現れた。

 

「・・・曇っていた目、少しは晴れた様子ね」

「えぇ、しっかりと、そして、この事は」

「話さないでくれるとありがたいわ、なんだって、波の向こうにいる奴にバレたくないから」

「了解しました」

 

それと共にクズは理解したように頷く。

 

「クズ、一つ聞く」

「なんでしょうか」

「シノンは、敵じゃないんだな、確実に」

「えぇ、この方は間違いなく、我らの味方である事を」

「・・・ならば良い、今はあいつらを叩く」

 

同時に尚文も頷く。

シノンの、この事は俺もまた今は聞かないべきだろう。

 

「聞かないのね」

「あぁ、シノンを信じる事にしたからな」

 

俺はそれだけ言い、すぐに向かう。

 

「ありがとう」

 

そう言ったシノンの声に、俺もまた頷く。

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