「まさか、この手段を使う事になるとはな」
戦争が起きている。
これまでの戦いにはない大きな戦い。
それに勝たなければ、この国の人々が死んでしまう。
それは阻止しなければならない事であり、防がなければならない。
だが、同時に起きる波への対処をしなければならない。
波を放っておけば、多くの被害が出る。
それは決して、無視をしてはいけない事である。
「気持ちは分かります。
この手段は、決して良い物とはいえません」
今回の作戦において、メルティもまた同行していた。
この作戦において、必要なのは多くの魔力である。
「本当に安全なのか」
「あの時とは違い、改良されております。
ですが、一撃で決めなければならないのも事実」
俺の言葉に対して、メルティはこの状況がどれだけ危険なのか、理解する。
「フォーブレイからの侵略に対抗する為に、波からの脅威を早く対処する。
それが、この作戦という訳か」
「お父様も、侵略行為を行うのは、波と同時期だと言っていました。
波への対処で勇者の数を減らせば、より侵略が行いやすいと」
そう、クズは提案していた。
これまでのクズの行動を見てきた俺達にとって、彼の知性はあまりにも優れていた。
もしも、始めからあの状態ならば、多くの犠牲は生まなかっただろう。
だが、そんな彼をここまで陥れる程に復讐というのは恐ろしい。
「だからこそ、すぐにでも戦争を終わらせる。
いけるか、元康!樹!」
「言われなくても、準備は万端ですぞ!」「はい」
この場で、同行している元康と樹に向けて問いかける。
それと同時に、俺は後ろにいる王国の兵士に目を向ける。
「悪いが、お前達の命、少しの間、俺に預けてくれ!だけど、必ず勝利する!」
それに合わせるように、今回の作戦に協力してくれる彼らに声をかけると同時に、転移する。
その先は波であり、巨大な怪物が既に迫っていた。
おそらくは、これまで相対してきたどの怪物よりも巨大だろう。
だが、負ける訳にはいかない。
「っ!」
同時に、俺は一つの鍵を掲げる。
「開け、山羊座の守護者!ティアマト!」
その叫びと同時に、俺の頭上には巨大な魔方陣が現れる。
同時に現れたのは、ティアマト。
だが、それはこれまでの少女を思わせる姿ではなかった。
それは巨大な龍。
人面龍と言える姿である。
「これが、ティアマトさんの本来の」
「あぁ」
俺の守護者達は、はっきり言えば、俺の魔力不足で本来の実力を発揮出来ていない。
だからこそ、俺がレベルを上げる事に、彼らの本来の実力に近づく。
しかし、今回はある意味裏技と言える手段だ。
「かつて三勇教が、伝説の武器の複製品を使う時に魔力を集めた方法。
皮肉にも、その方法を使ったからこそ、この姿を発揮出来た」
しかし、裏技である事は変わりない。
後ろを見ても、彼らの疲労が激しいのは分かる。
「ティアマト!」
「これ以上、この子達には無理をさせない。だからこそ、さあ、いくぞ」
それと共に、そのまま、ティアマトはその口に魔力を溜める。
「「母は強し、とーう!」
「
その叫びと共に放たれた一閃。
それは、眼前にいた波から出た魔物を一瞬で倒す程の威力だった。
同時に、ティアマトもまた解除され、そのまま波が収まった。
「ここまでなんて」
「呆けている場合じゃない、すぐに向かおう!」
既にここの戦いが終わった以上、すぐにでも尚文達と合流しなければならない。
「無事でいてくれよな」