「ここが、向こうの世界なのか」
そうしながら、俺達は無事に鳳凰の世界へと入る事が出来た。
そう、尚文は周囲の様子を見ながら、素直な感想を呟く。
転移した先の扉を開けると、周囲はあまり人がいない場所だと、すぐに分かる。
「うぅ、やっぱり、また小さくなってしまいました」
「そうか?俺はあんま変化がないように見えるけど」
そこにいたラフタリアちゃんの容姿は、出会った頃の幼い姿だった。
キールの方はあまり変化はないようだが。
「とにかく、レベル上げといきたいが」
尚文がそう言っていると、何か騒ぎが聞こえる。
それに気になり、俺達はすぐに向かう。
「なんだ?」
見ると、商人だと思われる一団が盗賊に襲われている。
あまりにもタイミングが良すぎると一瞬、思ってしまったのだが。
「尚文様!」
「待て、今のお前達じゃ、勝てない」
「でも」
その状況をさすがに放っておく事は出来ない。
そう、ラフタリアちゃんが飛びだそうとしたが、尚文は止める。
「別に放っておく訳じゃない、頼めるか」
「まぁ、実際にやるのは俺じゃないけどな」
それと共に、俺は懐から鍵を取りだし、構える。
「素早い鎮圧ならば、ここは現れろよ猿の守護者、コハク」
それと共に俺は鍵を構えると共に現れた女性。
衣装としてはあまりにも少なく、一瞬、奴隷だと間違われても可笑しくない格好だ。
しかし、生地は綺麗であり、その手にはナイフを二本持っていた。
「むっ」
「えっと、コハクさん」
「いや、気にするな、私自身、猿だと言われているのが未だに納得出来ていないだけだから」
そう、コハクはため息を吐く。
この鍵の守護者の判断基準がどういうのか、分からない。
「とりあえずそれは」
「あぁ、分かっている。今はこいつらをなんとかするんだな」
それと共にコハクは一瞬で走り出す。
音もなく、一気に近づく。
「なっ何がっ」
「がぁ!?」
盗賊達も、コハクの気配を感じたが、既に遅かった。
彼女自身、身軽な動きによって、盗賊達がコハクに気づく前に気絶させていく。
周囲に散らばった物を足の踏み場に、軽々と行動する。
それによって、盗賊は無事に気絶させる事が出来た。
「どうやら、盗賊はこれだけのようだったな」
「早いというよりも」
「上手いな」
ただ単に身軽なだけではなく、周囲の物を足場にする。
それらの一連の動きは、まさしく猿を思わせる動き。
だからこそ選ばれたんだろうが、この場であえて言わないでおく。
「さて、私はこれで失礼する」
それだけ言い、コハクはすぐにいなくなる。
「さて、あとは商人達にって」
そう俺達が彼らの元に近づくと聞こえる足音。
同時に見れば、そこには見た事のない連中がいた。
「お前達、これは一体」
それと共に見えたのは、獅子のような髭が特徴的な男。
「騎士だ、助かったのか!」
そうすると、商人がその姿を見て、何やら騒いでいた。
「これは一体、もしかして君達が盗賊を?」
「まぁ、状況的にはそうなるのかな?」
俺達は、どう答えるべきなのか少し迷いながら言う。
「それならば礼を。俺はグレンだ」