アレクシア王女の誘拐事件は一応は解決した。
彼女を誘拐した奴に関しては、シドが乗りに乗りまくった結果、基地ごと爆破した。
その際の、尚文の証言では。
「これまで馬鹿は見てきたが、核になるって、あいつは狂っているのか!」
転生した人間だからこそ、シドが呟いた英語を聞き取る事が出来た。
その際の言葉が、I am Atomicと言って、爆発した。
アレクシア王女を救助する為に向かった時に見た光景だった。
まあ……確かになぁ。
核爆弾になるなんて、常人には理解できないだろうよ。
そしてその言葉を聞いた瞬間に俺は悟る。
コイツも転生者だ。それもかなり重度の。
元康と同じで、自分が世界の中心にいると思っているタイプだ。
そうじゃなければ、こんな行動を取るはずがない。
「まぁ、変に目立とうとしないだけマシだけどさ」
錬や樹よりは大人しい方だと思う。
なんだって、影の実力者になる為の普段はモブに徹するって言っているんだから。
「そんな事よりもナオフミ様、どうしましょうか?」
ラフタリアが尋ねてくる。
「そうだな……この国の連中が、どこまで信用できるかわからない以上、下手に手を出すわけにもいかないしな」
とりあえず、この国の王族は信頼できそうな気もするが、問題は兵士の方だ。
「それで、尚文はこれから、どうなりそうだ?」
「……今回の1件で、アイリス女王からの誘いで、紅の騎士団に誘われた。
とりあえずは、情報を仕入れてから考えようと思う」
「まぁ、尚文だったら問題なさそうだな」
「そういうお前こそ、大丈夫なのか? 色々と……」
「何の事かな?」
「さっきから、お前の後ろにいる奴の事だ」
「……」
それは、俺の背中にいるデルタに目を向ける。
「ソラ! あの女と戦わせるですよ!」
「いや、デルタ、さすがにそんなに頻繁には呼び出す事が出来ないから」
デルタは、この前召喚した頼光さんと戦いたくて、うずうずしている。
「俺は基本的に学校で生活しているからな、普段は無理だから。
その代わり、今度、大好物の料理を作るから」
「ほっ本当ですか! それじゃそれじゃぁ!!」
勝負をしたいデルタをなんとか納得させる為に、代わりに料理をする事を約束したら嬉々として帰って行った。
相変わらずチョロいなぁ。
とにかく、今は。
「何か、料理、考えとかないとな、デルタはかなり大食らいだからな」
「そっちはそっちで大変そうだな」
そんな俺を見ながら、尚文もまた俺に対して同情的な視線を向けた。
「ああ……」
なんとも言えない気分になった。
そんな俺に対して、見つめる視線に気づかず。