「うわぁ、すごいですねぇ」
そびえ立つ新築の豪華建築物。しかもセンスがよくどこかモダンな雰囲気さえある。なんというか、前世で一流ブランドのショップに訪れた時に感じたような場違い感がある。
そして入口には長蛇の列。並んでいる客も全て貴族かの関係者。一目でわかる上客ばかりだ。最後尾にはプラカードを持った制服姿のお姉さんが立っている。現在80分待ちらしい。
「80分待ちかよ」
その時間を見て、シドは正直な感想を言う。
チョコレートだけで、これ程の時間をかけるのはどうか
「寮の門限には何とか間に合いそうですが」
そう言った言葉に対して、頷く。
「ここまで来たんだし並ぼうぜ」
だが、ここまでの道のりを考えれば、その答えも頷いてしまう。
「でも最近は人斬りが出るって噂ですよ。あんまり遅くなるのは……」
「バーカ、こっちには魔剣士がもいるんだ。返り討ちにしてやるよ」
ヒョロは腰の剣をポンポンと叩いた。
だけど、それとは別に、その人斬りって、一体。
「そ、そうですね」
「ねぇ、人斬りって?」
俺達だけではなく、シドも気になったのか話を遮って尋ねる。
「最近王都の夜には人斬りが出るらしいんですよ。何でもかなりの腕前で、ついに騎士団にも犠牲者が出たとか……」
ジャガは声を潜めて言った。
「へー恐くて夜は出歩けないな」
「どの口が言うのか」
シドは、言動とは正反対に、キラキラした目を見ると、尚文は呆れながら言う。
「尚文もやっぱり驚いたか」
「あぁ」
周囲にある品々。そして、店員が身に纏っているスーツ。
それ以外にも、様々な商品は高級でありながら、この異世界ではあり得ない技術で造られている。
「話を聞いて、そこから発展させたらしいぞ」
「それを聞くとやっぱり本当に頭の良い奴じゃないと活かせないという事だな」
タクトの世界にあった歪な文明とは違い、俺と尚文が見る限りでもその技術はかなり高い。
シドから聞いた話では結構適当に話していたらしく、実際にスーツなども曖昧な説明である。
だが、先程からの店員のスーツ一つを軽く見ても、しっかりと出来ている。
それから考えても、優秀な頭脳を持つ人物の指示が行っただろう。
「お客様3名に、失礼ですが少しお時間をいただけますか?」
「はい、すぐに済みますので。アンケートにご協力お願いします」
「いいですけど……」
「ありがとうごさいます」
「ぉ、お、俺も協力します!」
「じ、自分もです!」
ヒョロとジャガ、渾身のアピール。
「いえ、彼らだけで十分ですから」
だけど、あっさりと断られる。
うぐっ! と二人が落ち込む中、店員に案内される。
そのまま、俺達は、その店員の案内されて、奥へと案内していく。
そうして向かった先には、部屋の最奥に、巨大な椅子があった。
椅子の隣に、藍色の髪の美しいエルフがいた。モデルのようなスタイルに、妖艶な黒いドレス姿の洗練された女性。
「お待ちしておりました主様。そしてソラ様に盾の勇者様」
そう、俺達に頭を下げる。
「彼女がこの店を?」
「あぁ、ガンマと言って、はっきり言えば、かなり知能は高い」
「そうなのか?」
「あぁ、この店の商品の開発は彼女が行ったのか」
「なるほど、頼もしそうだな」
そう言っていたが。
「ぺぎゃッ!」
何もないところでガンマはコケた。
「ただし、ガンマはその中でも運動センス、戦闘センス、共に致命的だ」
「・・・まぁ、なんだ、ここまでの再現を行った奴の知識だからな」
尚文は顔に手を覆いながら呟いた。