アンケートですが、やはり皆さんハーレムがお好きなんですね。私もです。
ただ割合としては5:4:1ぐらいになると思います。ナニかが。
それと、今回もまたエッチシーンはありません。
入れようかと思いましたが、真面目な話なので抜きにしました。
※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。
では、本編をどうぞ。
「……ふぅ」
バスから降り、住宅街を我が家に向かってキャリーケースを引きずりながら進む。
半年にも及ぶ出張がようやく終わり、俺は会える家族たちに思いを馳せると、自然と早足になっていく。
バス停から歩くこと十分、住宅街の一角にある邸宅が見えてくる。
「久しぶりに見ると……ホント、でかい家だよなぁ」
改めて我が家を見上げながら独り言ちる。
富裕層が暮らす住宅街の一等地に建てられたこの家は三年前に中古で購入されたもので、元々は魔界から来た成金が建てたまるで迎賓館のような住宅である。当初は日本における拠点にする予定だったようだが、ろくすっぽ使う前に色々と後ろ暗いところが明るみになったことでお縄となり、この屋敷も差し押さえ物件として行政の管理下に長年置かれていた。
曰く付き物件として売りに出されてはいたが、末端価格にして数億円もの値打ちが付けられていて誰も買い手が出ずにいた。ところが三年前、この住宅はある人の所有物となり、俺たちはその人の好意によって住まわせてもらっているに過ぎない。もし機嫌を損ねようものなら家から叩き出されてしまう。
「っと、いかんいかん……」
思わず物思いに耽ってしまった。
俺は気を引き締めなおし、鍵を開けて家の中へと入った。
「ただいま~!」
そう声を掛けると、奥からパタパタと音を立てながら誰かが走ってくる。
そして俺目掛け、勢いをそのままに飛びついてくる二つの小さな人影。
「おかえり、ととさま!」
「おかえりなさい! お父様!」
頭部に獣耳の生えた男の子と、人間の耳が生えた女の子だ。
二人を落とさないよう、確りと抱き抱えながら愛おしい我が子たちを見詰める。
「おおー、よしよし。元気だったか? お母さんに迷惑かけてないか?」
「うんっ!」
「わたしたち、いい子だもの!」
二人の頭をなでながら、会話をする。
因みに母親の性質を受け継いだのが兄のセト、俺の方に寄ったのが妹のファリだ。二人は双子の兄妹であり、果たして誰に似たのか少し悪戯っぽいところがある。まぁ、それを踏まえても愛おしいとは思える。
そんな風に玄関口ではしゃいでいると、リビングの方から別の人物が現れる。
「おかえり。遅かったやね?」
戌亥とこ、俺の最愛の妻だ。
結婚して五年経つが、その美貌に一切の陰りはない。元々、獣人というのは肉体が適齢期まで成長すると老化が鈍り、個体にもよるが一定の年齢になると急速に衰えが来るらしい。なお、衰えてが始まっても軽く百年は生きるらしい。
なので彼女に老けたといった様子は全くなく、寧ろ子供が生まれたことで母性が増したようで艶めかしさが更に増した気がする。普段の何気ない仕草ですら、思わずドキッとしてしまう時が何度かあった。
彼女の指にはクンツァイトの指輪が光っている。
「ただいま。ちょっとバスが遅れてね……他のみんなは?」
「みんな、奥に居るで。今日はご馳走やから楽しみにしとき」
「それは嬉しいな。やっぱり我が家が一番だから」
一先ずスーツケースを玄関わきに置き、二人の小さな怪獣を抱えながらリビングに入る。
リビングでは一歳になる赤ん坊を腕に抱えながら、四歳になる娘に膝枕しながらソファに腰掛ける栗毛の女性の姿があった。彼女は俺に気付くと花が咲くように満面の笑みを浮かべた。
動いた拍子に、珊瑚のペンダントが揺れる。
「おかえりなさいませ! 旦那様!」
「ただいま、フレン。ああ、そのままで大丈夫だから」
思わず立ち上がりそうになる彼女を制す。
フレン・E・ルスタリオも皇族の護衛メイドとしてこの家で同棲しており、膝にいるのはその娘のエステルだ。結婚こそしていないが彼女もまた俺にとって大切な女性であり、その娘であるエステルもまた大切な家族である。因みにフレンも母親になって落ち着いてきたが、天然なところは変わらず逆に安心する。
そんな風に話していると、ダイニングキッチンの方から誰かが出てくる。
「あっ、おかえりなさい。もうすぐご飯の用意が出来ますから」
それはエプロン姿のリゼ・ヘルエスタだ。料理の盛られた大皿を持ち、その白魚のような指には、ブルーアンバーの指輪が存在感を発している。
彼女は高校を卒業後、この国で二番目に権威のある法律関係に強い大学に通いながら変わらず皇族としての責務を果たしている。因みにフレンの抱えている赤ん坊はリゼとの子供であり、正式にヘルエスタ王家の血を引く皇子でもある。リゼが孕んだ時は色んな意味で冷や汗ものであったが、幸いにもご両親にも認められたので打ち首は避けられた――ただし、泣かせたら拷問の上で処刑されるらしい。
そしてリゼとは正式に結婚ーー身内だけの挙式ーーし、彼女は第二婦人の座を手に入れた。この家はその際、彼女の親から贈られた物だ。
「今日は肉じゃがです!」
公私共に充実している様子だ。
全くの余談だが、出産を経てリゼのバストサイズは五年前に比べて二段階も大きくなり今や巨乳の仲間入りだ。因みにフレンは一段階上がり、爆乳っぷりが更に増し、とこも巨乳から爆乳に格上げしている。
そして最後が――。
「お腹すいたー。リゼー、ご飯まだー?」
リビングに通じる別の出入り口から、アンジュ・カトリーナがやってくる。その耳にはブルースターサファイアのイヤリングが揺れている。
彼女は相変わらずラフな格好をしているが、その大きなお腹を両手で抱えるようにして歩いている。当然、そこには俺との間にできた胎児が宿っている。これは俺が出張に出てから発覚したことであり、当時はアンジュの精神面が色々と不安定になって大変だったとリゼからは聞いている。今は安定期に入って落ち着いたが、おそらく出産が近付けばまた情緒不安定になることだろう。その時は俺も側にいて寄り添えればと思う。
なお、残念なことに、アンジュの胸は全くと言っていいほど変化していない。いや、未だ出産後に大きくなるかもしれないから、諦めてはいけない。
閑話休題。
そんな訳で現在の我が家は夫一人に妻二人、愛人一人と愛玩下僕が一人。それと子供が生まれてくる子も含めて、五人だが、恐らく未だ増える気がする。
これからも、この幸福が続くよう、願うばかりだ。
◆
「―――――うっ」
ふと、目が覚める。
何だか随分と長い夢を見ていたように感じながら、真っ白な天井を見上げる。
「親父! 目が覚めたのか?」
「お父さん!」
ベッドの脇に、誰かがいるのに気が付く。
身体は上手く動かせないから視線だけを向ければ、そこには少し老けた我が子たちがいた。全員が来ている訳ではないようだが、ワシの最初の子供たちであるセトとファリが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「あぁ、お前たちか……ここは?」
「病院だよ。親父が倒れたって聞かされて、先生が言うにはもう永くないって」
「お父さん、もう一週間も寝たきりだったんだよ」
そうだったのか。
どうやらワシは走馬灯のように、昔のことを思い出していたようだ。
幸福な時間とはあっという間なもので、あれからもう六十年もの歳月が過ぎてしまった。あんなに小さかった子供たちも大人となり、好きな人と結婚して孫も生まれた。更には少し前にひ孫まで生まれたと、電話越しに教えて貰った。
だが、幸福な時間とは永遠には続かない。
四人いた妻の内、最初に逝ったのはアンジュだった。彼女は俺と出会う前から不摂生な生活を送っていたのが影響して二十年ほど前に病を患い、それから僅か二年でこの世を去った。次にリゼが後を追うように、アンジュが逝った三年後の同じ日に天寿を全うした。フレンは肉体的な老化は避けられなかったが、それでも九十五歳まで元気に生きていた。
そして最後に残ったのがワシだが、もうそう長くはないだろう。
「……とこは?」
「お袋には連絡したけど、こっちには来ないって」
「そうか……そうか」
元より、ワシと彼女では生きる時間が違いすぎた。
とこは何十年経っても、肉体的にも精神的にも若いままだった。もう一緒に街中を歩いていても夫婦とは見られず、祖父と孫にしか周囲の目には映っていなかった。そのことに彼女は少なからずショックを受けていたのに気が付いていたから、ワシはフレンが逝った後で彼女に地獄に帰るようお願いした。
彼女は最期まで見届けると言ってくれたが、ワシの最後の我儘を聞いてもらったのだ。ワシが危篤だと知らされても、彼女はお願いを律義に守ってくれている。
「そうだ。先生を呼んでくるから」
「いや……いい。最後に、お前たちの顔が見れてよかった」
「な、何言ってるの。そんな弱気なことを言わないで」
泣き出しそうな娘の顔を見ていると、心苦しくなる。
肉体的に七十代と同じと言っても、ワシは既に百歳を超えておる。人は肉体と精神、それから魂の三つの要素から成り立っている。どれか一つが欠けただけでも人は生きられず、どうやらワシの魂はもう限界に近いようじゃ。
こうして子供たちと話せたのも、きっと神様が下さった時間に違いない。
「自分のことだ。ワシが一番分かっとる……幸せじゃった。四人の美しい妻に恵まれ、可愛い子供たちに囲まれ、更にはひ孫までこの腕で抱くことが出来た。哀しい時もあったが、それでも十分に幸福な日々じゃった」
「何を言っているんだ。これからも、ずっと一緒だろ!」
「お父さん!」
悲痛な叫び声が聞こえるが、もう目を開ける余力も残っていない。
段々と意識が遠のいてき、もう子供たちの声すら聞こえなくなってきた。
「とこ、とこ……」
最愛の人の名を呟きながら、ワシの人生は幕を閉じた。
人は、死ねば誰しもが閻魔大王の元へと送られる。
そこに善人も悪人も関係なく、魂の管理者たる閻魔により生前の行いを鑑みた末の判決が下される。即ち、楽園へと送られ次へと転生を果たすか、あるいは奈落へと落とされて罪の償いを行うか。
それこそがこの世の理であり、例外は存在しない。
そして今日もまた、数百もの魂が列をなし、閻魔の審判を待っている。
「次の者――天国」
閻魔大王の前に進み出た魂が、右の明るい道へと進んでいく。
その次の魂は駄目だったらしく、左の薄暗い道を下っていく。
「あー……次から三十番までの魂、天国」
来歴をまとめて確認し、一斉に審判が下される。
閻魔の下部たる小鬼たちが天国行きの魂の先導をするが、そこで一つの魂が流れに乗らずに残った。
「ん? どうした、お前も天国行きだ」
閻魔は訝しむように、その魂を見つめる。
基本的に魂だけとなった存在に意識はあっても自我はなく、なのでこちらの言うことに従順に従うはずなのに。
その魂はまるで不服だと言いたげに、その場から動こうとしない。
「何々、870096番……ああ、なるほど」
改めて魂の来歴を見た閻魔は納得した様子で頷く。
一日に数万もの魂を裁かねばならぬ関係上、来歴もどちらに相応しいしか見ていない。だから今まで気に留めていなかったのだが、確かにこの魂が天国行きを拒む理由がそこにはあった。
「ならば、貴様は地獄行きだ」
改めて、その魂の行き先を地獄へと変更する。
更にはパンパンッと手を叩けば、先ほどまで地獄行きになった魂たちが下った道とは別の下り階段が出現する。
「良いか。一度、この階段を下れば二度と――」
説明しきる前に、その魂は階段を下り始めた。
その余りの迷いのない行動っぷりに閻魔はやれやれと言った様子でため息をこぼし、そこへ小鬼の一体が思わず訊ねた。
「閻魔様、宜しかったのですか? 本来は天国行きの者を地獄へ送って……しかも、あれは今は使われない地獄門へ直通。本当に地獄なら他の魂と同様に罪を洗い流さなければ」
「あれは良いのだ……ほれ、見るがいい」
閻魔はそう言って、手にした来歴書を見せる。
それをまじまじと見つめていた小鬼は、ある一項目を見て同じように納得した様子で頷いた。
その頃、下へと続く長い階段を降りながら、その魂は疑問を抱えていた。
――どうして、自分は天国行きを拒んだろうか。
わざわざ自分から辛い方を選択する理由が分からない。
しかし、その魂は何故か自分はこちらへ向かわなければならないと確信めいた何かを抱いていた。
そうして長く長く、あまりに長い階段を降り切れば、目の前には如何にもといった巨大な門が行く手を遮っていた。
これからどうしようかと考えていると、何処からともなく声が響いてきた。
『それは地獄門。罪人のみが通行することを許された魂の墓場』
厳かな、それでいて何処か透き通るような女性の声だった。
だが不思議と恐怖心は感じず、その声の主の姿を探して視線を上へと向ければ、地獄門の上からこちらを覗き込むようにして三つの首を持った巨大な黒い毛並みを持った獣が佇んでいた。
『その穢れを知らぬ魂……汝はこの地に相応しくない。疾く失せよ』
三つの頭はそれぞれに異なる言葉を発し、けれど声は重なって一つに聞こえる。
それに少しばかり奇妙な感覚を抱きつつ、しかしその魂は臆することなくその場から動かなかった。
『何故、去らぬ。恐怖で動けぬのか? 動かねば、この場で八つ裂きにしてしまおうか』
こちらを脅すように、牙を剥いて三つの頭が威嚇してくる。
確かに、こんな脆弱な魂なら瞬く間にその鋭い牙と爪で引き裂かれてしまうだろう。
だが、それでもその魂は一歩たりとも退かず、やがて痺れを切らしたか、三つの内の一つが口を開いた。
『いい加減にしろ! 何時までそこにいるつもりだ!』
どういう訳か、この獣は何かを焦っているように感じた。
静かに、その魂は自らの意思を――約束を果たしに来たと、伝え始めた。
『約束だと? くだらぬ! このような果ての地で、一体どのような誓いがあるというのか!?』
例え、地の果てだろうと。
この身が朽ち果て、躯となり果てようと。
魂に刻んだ誓いだけは、決して失われることはないから。
『……ふんっ! 例え貴様がそうだとして、相手も約束を覚えているとどうして言える!?』
彼女は、とても優しい人だったから。
今もこうして心配して、追い返そうと俺の所に来てくれた。
『……』
だから――。
「愛してます。とこさん」
この世界の、誰よりも。
「―――ほんま、呆れた人やね」
気が付けば、あの恐ろしい三つ首の獣の姿は何処にもなかった。ただそこには、和服に身を包んだ女性が佇んでいるだけだった。
「これが最後のチャンスやったのに。もうこれで、自分の魂はわたしだけのものや。誰にも渡さへん。何処にも行かせへん。永遠に、ずっと一緒におるんよ?」
彼女が、ゆっくりと手を差し出してきた。
それに応え、自分も手を伸ばせば――。
「――おかえりなさい、セツナはん」
その温もりは優しくて、柔らかくて、まるで陽だまりのような心地良さに包まれる。
それから恐ろしい地獄の番犬の傍には、常に一つの魂が寄り添い続けたとか。
その魂の来歴を知る者は、誰もいない。
今回の内容は如何だったでしょうか?
実を言うと、最初の出会いのシーンと、今回のラストは最初から決めていました。実際、寿命という問題がある以上はこういう形になるのが良いのではと思ったからです。
一応、これにてルートKのシリーズは終了となります。この後は以前、募集した小話のを幾つか投稿したいと思います。予定としては九月に入る前ぐらいには、次のルートCに突入したいと考えています。
最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。
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