※この作品はR-18です。

Virtual Lovers   作:轟th

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補足:獣人は基本的に子供が出来難い体質です。
   同族同士であっても確率は十パーセント未満であり、これが他種族が相手となれば確率は更に下がって一桁にまで落ちる。(1周期で妊娠する確率は20~30%が平均)。
   ただし、発情期になると確率は七十パーセントを超える。


※注意。
こちらは私の勝手な妄想を形にしたものです。個人の主観が多分に含まれていますので、「この人はこんなことを言わない!」や「口調がおかしい」など感じる方が居られるかもしれません。
ですので、そうした方はブラウザバックを推奨します。


では、本編をどうぞ。


K-5:覗見

 週明けの月曜日。

 それは学生を卒業して社会人となった誰しもが憂鬱に感じる日、果てのない労働への気後れにこのままサボって家に帰るか何処か遠くへ行きたいと思ったこと一度や二度ではないだろう。しかし、実際には生きていくために仕事を失う訳にはいかず、こうして頭の中で現実逃避しながら会社に出勤するのだ。

 

「おはようございます」

「おはようさん」

「おはよー」

 

 持っていた荷物を自身のデスクに置き、今日の予定やメールの確認などを行う。そうしてチェックを行っていると、同僚の東山が何やら週刊誌を手にこちらへと近付いてきた。

 

「おう、立実。週末はどうだったんだ?」

「東山か」

 

 先日のデートで例の映画を勧めてきたのはコイツだ。

 このにやついた顔からして、どんな内容の映画か知った上で教えてきたに違いない。

 

「おかげで、楽しい一日を過ごせたよ」

「何だよ、ハプニングとか期待してたんだけどな」

 

 つまらなそうに、東山はそう答える。

 コイツは決して悪い奴ではないのだが、二週間ほど前に付き合っていた彼女に浮気されて別れたばかりなのだ。そんな状況下で俺に彼女が出来たと知った際には発狂していたから、今回のもあわよくば振られてしまえとでも考えていたのだろう。

 

「それで、雑誌なんか手にしてどうしたんだ?」

「ん? ああ、これか」

 

 ほいっ、とあるページを見せてくる。

 そこには魔界にある一国家の皇女の特集が組まれており、内容としてはネットでアイドルしながら祖国の大使として精力的に活動しているというものだった。未だ十代なので日本国における立場は学生だが、卒業後も国に返らずに居住権も獲得して残ることを明言しているらしい。

 いや、それより俺が気になったのは彼女の写真だった。

 人形のように見目麗しい白色の髪に紫色の輝きを放つ青玉のような瞳を持った美少女。

 その名は――。

 

「リゼ・ヘルエスタ」

 

 先日の夜、出会った少女と同じものだった。

 彼女の顔を何処かで見たことがあると思っていたが、ヘルエスタ王国の第二皇女だったらしい。

 

「いやぁ、可愛いよなぁ。こんな子と付き合えたら最高なのに」

 

 うっとりとした表情を浮かべる同僚。

 コイツには絶対に、話題の人物とオフで会う予定があるとは決して伝えないことにする。言えば騒ぎ立て、家まで押し掛けかねん。

 

「っと、メールか」

 

 スマホが振動し、メールの着信を通知する。

 確認すれば差出人は恋人――戌亥とこさんからだった。

 

『おはようさん。例の話し合い、今度の週末なんかどうですか?』

 

 今週末なら仕事を頑張れば、何とかなりそうだ。

 さて、次に問題なのは会談するのに何処でやるべきかだ。

 

『問題ありません。どこで会いましょうか?』

 

 あまり堅苦しい内容の話ではない。かといって、居酒屋のようなところで話すのは流石に違う気がする。そうなると、有名人が集まっても騒ぎにならないようなカフェとかファミレス辺りを選ぶのが無難だろうか。

 そんなことを考えていると再び彼女からのメッセージが届いた。

 

『提案なんやけど、セツナはんのお家はどうやろか?』

『俺は別に構いませんが、彼女たちは大丈夫でしょうか? 男の家に上がり込むというのは』

『多分やけど、大丈夫やと思う。わたしが居んのに、ちょっかいを掛けるとは思えへんから』

 

 随分と信頼されているようだ。

 戌亥さんがそう言ってくれるのなら、俺は特に反対する理由もないな。

 

『分かりました。それなら場所は俺の家で、紹介も兼ねた食事会なんてのはどうですか?』

『ならわたしが手料理をふるまうって言えば、二人も喜ぶさかいに』

 

 また彼女の手料理が食べられるようだ。

 そのご褒美を胸に、今日もまた仕事に励むことにしよう。

 そう思いながら、俺は再びスマホを操作して彼女に了解の旨を伝えた。

 

 

 ◆

 

 

 そうして迎えた週末、約束の日なった。

 今日は朝起きてから家の中を大掃除とまではいかないが、それなりに綺麗にしておいた。ソファを壁際に寄せて空間を作り、リビングの真ん中に元々あるダイニングテーブルにくっつけるように折り畳み式のテーブルを準備する。

 そうして準備を終えた昼過ぎには戌亥さんが買い物袋を手に家に来た。どうやら料理は全て手作りするらしく、その準備をするために早めに来たとのことだった。

 

「戌亥さん、今日は何を作る予定なんですか?」

「んー? パエリアとガーリックスープ、後は鶏手羽先の塩焼きにするつもりやで」

「何かお手伝い出来ることはあります?」

「気持ちだけ受け取っとくわ」

 

 今日はスペイン料理のようだ。

 別に料理は得意ではないなりに何か手伝おうと思ったけど、戌亥さんは苦笑気味に応えて準備を始めた。自前のエプロンを付け、買い物袋から食材を取り出して調理を開始する。

 

「~♪」

 

 鼻歌交じりに、料理を進める戌亥さん。

 その後ろ姿は実に楽しそうであり、見ているだけで俺の心が癒されていくようだった。

 

「戌亥さん、今日はどうしてスペイン料理を?」

「あー、リゼはそうでもないけど、アンジュはんは偏食気味やねんな。野菜は結構な種類が嫌いやさかい、食べられる物も自然と限られる。けど、これなら全員が食べられるから」

「成程」

 

 俺の彼女は気配り上手である。

 そうして椅子に座り、ダイニングテーブルに頬杖をしながら戌亥さんの後姿を見詰める。前回のデートの時はスカートを履いていたけど、どうやら今日はジーンズに、清潔感のあるリネンシャツというラフな格好をしていた。いつものおさげではなくポニーテールに纏め、頭部では長い獣耳がピコピコと動いている。

 そんな姿も良いなと思いつつ、視線がついついお尻へと向かってしまう。あのむっちりとした肉付きの良い臀部はジーンズ越しにも存在感を醸し出しており、とても魅力的だ。

 

「……ゴクッ」

 

 思わず喉が鳴る。

 いや、今日はこれから人があるのだから流石に不味い。我慢しなければならない。

 だけど、このままの状態で他の女性の前に出てしまえば、意図せず彼女らに不快感を与えてしまうかもしれない。

 なら、ここは一つ……。

 

「戌亥さん」

 

 俺はそろりと席を立ち、戌亥さんを後ろから抱きしめた。

 突然の行動に彼女は驚いた様子だったが、特に抵抗することなく声を掛けてくる。

 

「どないしたん、セツナさん」

「……すみません。我慢、できなくて」

 

 そう言って、彼女のジーンズの上からお尻に勃起したペニスを押し付けた。

 服を着てもなお隠し切れない柔らかさと温もりに、俺の興奮は更に高まっていく。

 

「悪い人やね。料理しとる時に悪戯したら駄目って言われへんかった?」

「ご、ごめんなさい」

「好きにしたらええで。アンジュはんたちなら後三十分は掛かるだろうし、わたしは料理の続きがあるから何もしてあげないけど」

 

 そう言って、戌亥さんは料理を再開した。

 勝手な勘違いでなければ、俺が彼女の身体を欲望のまま堪能しても構わないと言った。

 なら、欲望に素直になろう。

 

「戌亥さん」

 

 目の前の項にキスを落とし、前に回した手を胸に当てる。エプロンの上から撫でるように、柔らかなおっぱいの感触を楽しむ。それに戌亥さんがむず痒そうに身じろぎをするのを感じながら、俺はゆっくりと彼女の首筋に舌を這わせる。真っ白な肌を見ていると無性に穢したくなり、吸い付くと戌亥さんがピクンと震えた。そのままヂュッと音を立てて強く吸えば、白い肌に綺麗な赤い痕が残る。

 この人は俺のものだと、自分の所有物に名前を書くような行為に酷く昂っていた。

 

「はぁ、はぁっ……」

 

 自然と、息が荒くなる。

 戌亥さんは変わらず調理を続けていたけど、頬や耳が赤く染まっている。

 もっと彼女の調子を乱したいと思い、今度は服の中に直接手を入れ、ブラジャーの隙間から手を突っ込む。生乳を直接揉みししだいてみれば、手の平の中で乳首が固くなっていくのを感じることが出来た。その先端を人差し指の腹で擦り、軽く摘まんでみる。

 

「んっ……あ、ふぅっ……」

 

 戌亥さんの口から甘い吐息が漏れる。

 その声を聞いているだけで、俺は股間が熱くなって仕方がなかった。

 彼女も俺と気持ちは同じらしく、自分のお尻を擦り付けるように俺の股間を刺激してきた。

 

「こっち向いて」

 

 顔だけを振り向かせ、そのまま唇を合わせる。

 啄むように軽いキスを繰り返しながら、片方の手をブラジャーから抜いて下へと這わせる。ジーンズのボタンだけ外し、そのままショーツの中へと手を差し込む。触れた秘所は軽く湿っている程度だったが、俺が指先で割れ目を何度かなぞってから膣内に差し込んで刺激すれば、すぐに愛液が溢れ出してきた。

 中は狭く窮屈だったが、構わずに指を動かして掻き回す。

 グチュッグチャッと卑猥な音が響き渡り、戌亥さんがビクビクと腰を震わせていた。

 

「戌亥さん、そろそろ……」

「……ぇん」

 

 そろそろ本格的に始めようとした矢先。

 

――ブーブー。

 

 台所に置かれた戌亥さんのスマホが振動し、着信を告げてくる。

 液晶画面に名前が表示されていることから電話と分かり、何と魔の悪いことかと少し残念な気持ちになる。

 

「電話、出ようか」

「……」

「カトリーナさんからかもしれないから」

「……ん」

 

 不満げに、戌亥さんはスマホを手に取る。

 流石に俺も空気を読んで服から手を抜き、一歩だけ下がって様子を窺うことにした。

 暫く相手と何か話してから電話を切り、戌亥さんは俺の方を向き直って小さくため息を吐いた。

 

「二人とも、後十分ほどで到着するって」

「なら、仕方がないね」

 

 どうやらお預け決定のようだ。

 俺は大人しくテーブルに戻り、料理が出来るまでの間スマホでも弄りながら待つことにする。

 

 

 ◆

 

 

 電話の通り、十分ほどで来客が到着した。

 我が家に招き入れればカトリーナさんとヘルエスタさんは、やはりほぼ初対面の男の家に上がり込むことに緊張しているのが分かる。先程から玄関口でキョロキョロと見渡している。

 

「ようこそ、我が家に。狭いところだけど、寛いで貰えると助かる」

「こっ、こちらこそお招き頂きありがとうございます。これ、気に入っていただけると幸いです」

 

 そう言って、ヘルエスタさんは持参した紙袋を手渡してくる。

 上から中を覗いてみれば、どうやら珈琲か何かの詰め合わせのように見える。

 わざわざ買ってきてくれたのだろうか。

 

「ご丁寧にありがとうございます。立ち話も何ですし、中にお入り下さい。」

 

 出しておいたスリッパに履き替えてもらい、二人をリビングへと案内する。すると戌亥さんが台所から顔を覗かせて来た。

 

「いらっしゃい。早かったね、二人とも」

「うん。アンジュが地図アプリで案内してくれたから大丈夫だったよ。駅からもそう入り組んだ場所になかったし」

「へぇ……そら良かったね」

「あれ、戌亥? 何か、怒ってる?」

「んー? 全然、怒っとらへんよ」

「え、ホントに?」

「ほんまにほんま」

「……?」

 

 戌亥さんの言葉に、不思議そうな表情を浮かべる女性陣二人。

 つい十分前まで俺と戌亥さんがここで乳繰り合っていた事実を知らないのだから、分からないのも無理はない。

 

「わたしは手が放せんさかい。三人でお話でもしたってて」

「お二人とも座ってください。飲み物を出しますから」

 

 座った二人の前に、それぞれ飲み物を出す。

 戌亥さんに教えられた通り、ヘルエスタさんは珈琲を、カトリーナさんにはオレンジジュースを選択する。因みに俺の分はお茶だ。

 

「では改めまして、立実セツナです。歳は今年で30になりまして、都内の企業でシステムエンジニアとして勤務しています。えーと、戌亥さんとお付き合いしております」

「ご丁寧な挨拶、恐れ入ります。私はリゼ・ヘレエスタと言います。とこちゃ……戌亥さんとは、隣にいるアンジュと同じ企業所属のV-idolとして活動する同期になります。未だ未成年ですので、普段は学校に通っています」

 

 俺の挨拶に対して、ヘルエスタさんが答える。

 仮にも一国の姫様と獣人の接点がよく分からなかったが、なるほど同じV-idol仲間なら納得だ。あれは種族や性別、国家の枠すら越えて人気を獲得しているコンテンツだし。

 

「ちょっと、次はアンジュの番だよ」

「えっ!? あっ、すみません。えー、私はアンジュ・カトリーナです。リゼとは年の離れた幼馴染でして、本業はこれでも錬金術師になります」

 

 錬金術、確か化学の一分野だとか。

 俺の記憶違いでなければ彼女が首から下げているのは、ごく限られた者のみが着用を許された国家錬金術師のペンダントだったはず。おそらく俺より若いだろうに、そんな難しい資格を持っているなんてかなり努力したに違いない。

 お互いに簡単な自己紹介を終えた所で、最初に口を開いたのはカトリーナさんだった。

 

「その、立実さんは戌亥といつから交際を?」

「……大体一ヶ月程前からですかね」

「へ、へぇ……因みに、出会った経緯は?」

「一人で月見酒してたら、戌亥さんが降って来たんです」

 

 我ながら意味が分からない説明だ。

 そこは二人もそうだったらしく、仲良く首を傾げている思わず苦笑いを浮かべながら、あの日にあったことを話す。もちろん、出会ったその日にセックスまでしてしまった事実は伏せておくが。

 

「いにゅい!? そんなことしたんか!」

「一ヶ月前って、そうだ! とこちゃん、収録が終わってビルから出るなり跳んで行っちゃった時のことだ! あれって立実さんの家に襲撃してたからなの!?」

「いやー、衝動が押さえきれんくて」

 

 二人は大分驚いた様子で、戌亥さんの方を見た。

 そのまま和気藹々と話す三人の様子に、普段から気兼ねなく話せる仲の良い友人であることが見てとれた。

 

「何か、すみません。うちの同期が迷惑を掛けて」

「最初こそ驚きましたけど、そのおかげでこうして素敵な恋人が出来たんですから感謝こそすれ迷惑だなんて微塵も思いませんよ」

 

 そう言って戌亥さんの方を見れば、彼女は恥ずかしそうに視線を反らした。ただ、尻尾は喜びを表すように揺れている。

 それから暫く他愛もないお喋りに花を咲かせ、出来上がった戌亥さんの料理に舌鼓を打ち、無事に食事会は進んだ。

 

 

 ◆リゼ視点

 

 

「今日はごちそうさまでした」

「また来てくださいね」

「お邪魔しました」

 

 夜、と言っても未だ時刻は20時。

 帰り支度を済ませた私はアンジュと一緒に玄関先に立ち、見送りに来てくれた立実さんに別れの挨拶をする。とこちゃんは未だ片付けがあるから残るらしく、私とアンジュだけが先に退散することになった。本当はもう少し一緒にいたかったけれど、流石に男の人の家に長居するのは色々と宜しくない。

 

「お二人さん、またね~」

「機会があったら、また遊びにきてください」

「はい! また来させて貰います!」

「とこちゃんも、また配信で」

「ぇん!」

 

 そうして扉は閉まり、私たちはマンションを後にする。

 駅までの夜道をお互いに無言のまま並んで歩いていたけど、どちらからともなく話し始める。

 

「良さそうな人、だったね」

「そう、やね」

 

 今思い出してみても、とこちゃんは幸せそうだった。立実さんは食事に夢中で気付いてなかったかもしれないけど、食事中も度々彼の横顔を眺めては満ち足りた表情を浮かべていた。私たちと一緒に配信したり、遊びに行った時もとこちゃんは楽しそうにはしてた。けど、何処か一線を引いた感じがしてならなかった。拒まれてる訳ではないけど、精神的に距離を置かれていた。

 多分だけど、あの人はとこちゃんの心の一番深いところにいるんだろうなって思う。

 正直悔しいし、嫉妬してしまう気持ちもある。

 そんな風に私が思っていると、アンジュが口を開いた。

 

「思ったんだけどさ」

「うん、何が?」

「戌亥ってエッチのとき、どんな感じなんかな」

「…………はぁ」

 

 思わず溜息が出た。

 真面目な顔をして私と同じように感じているのかと思ったら、しょうもない内容だった。

 

「あー、待って! 別にそういう意味で言ったんじゃなくて!」

「じゃあ、どういう意味なの」

「たた、ちょっと気になっただけって言うか、錬金術師としての好奇心が!」

「アンジュ」

「……はい」

「サイテー」

 

 ガックリと項垂れるアンジュ。

 困ったときには頼れるのに、どうして普段はこうなのかなぁ。

 そんなことを考えながらポケットに入れたスマホを取り出そうとして、そこにあるべきはずの固い感触がないことに気が付いた。

 

「あれ?」

「ん? どうしたん?」

「スマホが……ない」

「えっ、まさか落としたの?」

 

 いや、落としたら流石に気付くはず。

 最後に見たのは何処だったかなぁ、と自分の行動を思い返してみれば―――あっ、思い出した。

 

「多分、だけど……立実さんの家に置いてきた」

「もしかして食器を流しに下げた時?」

 

 アンジュの問いに、頷く。

 そうだ、片付けを手伝った時に濡れたら困るからと脇に置いて回収するのを忘れた気がする。

 

「どうする? 戌亥に連絡して回収してもらう?」

「明日は朝から公務があるから、ないと困る。仕方がないけど、一度戻って回収してくるわ」

 

 今から走れば電車の時間に間に合うはず。

 一人で男の人の家に入るのは不安だけど、急いで戻ればとこちゃんが残っているかもしれない。

 

「止めといた方が良いと思うよ」

「何でよ?」

「いや、ほら、若い男女が個室に二人っきりなんだよ? 今頃は激しく運動会の真っ最中だったら気まずいじゃん!?」

「そ、そんな訳ないでしょ!」

 

 訊ねた私が馬鹿だった。

 アンジュにはこの先にあるコンビニで待ってもらい、私は走ってマンションに戻ることにした。

 そうしてエレベーターで目的の階に上がり、立実さんの家の前に立った私はチャイムを押すことを躊躇ってしまった。

 さっきアンジュが言ったように、本当に行為中だったりしたら――。

 

(アンジュのせいだ)

 

 想像するだけで顔から火が出そうになる。

 いや、流石に考えすぎだと自分に言い聞かせ、ドアノブに手を掛けてゆっくりと開け――。

 

「おほォ!♡」

 

 室内から聞こえてきた艶めかしい声に慌てて手を離す。

 まるで獣のような喘ぎ声は、紛れもなく女性の……私の聞き覚えのある声でもあった。

 恐る恐る扉を少しだけ開けて玄関に入ってみれば、最初に目についたのは玄関からリビングまでの廊下に脱ぎ捨てられ床に散乱した衣類。その中に黒い下着が混じっているのを確認し、今まさに部屋の奥で立実さんととこちゃんが行為中であることを私は理解した。

 

「あッ! んぉ、あひィ!♡」

 

 慎重に、音を立てないように歩を進める。

 リビングに到着する頃には、喘ぎ声に混じってパンパンッと何かを叩き付ける音とヌチャヌチャと淫靡な水音が聞こえてくるようになっていた。

 本当なら今すぐにでも引き返すべきと思うのに反し、私の足はどんどん奥へと進んでいく。

 

「あああああ……ッ♡ あん、あぁっ!」

「ハァ……ハァ…」

 

 知らず知らず、息が荒くなっていく。

 昼間は寝室とリビングを隔てていた衝立が解放され、その向こう側が見えるようになっている。リビングの壁に背をつけて顔だけを覗かせれば、そこには薄暗い室内で汗だくになりながら腰を振る男と、それに合わせて四つん這いの状態で腰を動かす女の姿が見えた。

 

(と、とこちゃん……)

 

 目の前の光景を、私は言葉を失っていた。

 誰かと交際してるのだから、そういうことをするのは当然のことかもしれないけど、私は心の何処かでとこちゃんだけは違うと思い込んでいた。行為はしたとしても、きっと相手を翻弄して、自分優位で立ち回ると決め付けていた。

 けど、実際にはとこちゃんは普段からは考えられないほど乱れ、快楽を受け入れていた。

 

「そんなに俺のが気持ち良いんですか!?」

「ぇんっ! セツナはんのが、気持ちええの。ずっ、と……欲しくて、たまらんかったんや!」

「さっきまで大切な同期と話してたのに、ずっと俺のチンポのことを考えてたんですか!?」

「だ、だって……我慢してて、切なかってん」

「なら張り切らないと!」

 

 男の人にいいように責められ、ただ喘ぐ親友。

 目の前で立実さんに犯されるとこちゃんは、女の私から見てもエッチだった。

 

「んっ……」

 

 気が付けば、私の手は自然とスカートの中に伸びていた。

 ショーツ越しに秘部を撫でると、そこはもう湿っていて自分でも驚くくらいに興奮していた。

 最初はゆっくり動いていた手が徐々に早くなり、気付けば夢中で指を動かしている自分が居た。

 こんなこといけない、と頭では分かっていても止められない。

 いつの間にか私は、目の前の情事に釘付けになっていた。

 

「ほらっ、今度は前からいきますよ!」

「は、はいぃ!♡」

 

 立実さんは一度動きを止めると、とこちゃんの膣内からそれを引き抜いた。

 ズルりという音と共に露わになった男性器を見て、短くひゅっと息を呑んでしまった。小さい頃にお風呂場で見た弟のものや、アンジュが錬金術で生やした偽物とは明らかに違うナニ。まるで小さな子供の腕のように太く長いそれに、私は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。

 立実さんはとこちゃんを仰向けにすると、正常位の体勢で挿入した。

 グチャグチャに濡れそぼった秘裂は、易々と男のモノを受け入れ、呑み込んでいった。

 

「あ、ああっ! これ、すごぉ……ッ♡」

「うおっ、凄い締め付けです。そんなにチンポが好きですか!」

「うん、好きィ♡ あ、ああ…ッ♡」

「こん、のぉ……ドスケベな雌犬がっ!」

 

 顔が見えずとも、とこちゃんの表情が蕩けているのが分かる。

 わたしは捲り上げたシャツを口に加え、ブラジャーをずらして勃起した乳首を摘まみ、ショーツの中に手を入れて激しく秘所をいじくる。直接見ずとも聞こえてくる嬌声と水音だけで容易に行為の激しさが想像でき、そんな激しくピストン運動する二人にバレないように必死に声を押し殺しながらオナニーに耽る。

 

「あっああああ……ッんはあああーーーー♡ あっひぃ、っひぐぅ! あっ、あんっんは!」

「アッ……ン…アア」

「戌亥さん! そろそろ中に出すぞ!」

「ンン……イ、イグ……ッ」

 

 とこちゃんの大きくなる声に合わせ、私も絶頂に近付いていく。

 立実さんも同じなのか更に激しく腰を打ち付け、全員の波長が一致していくのが分かる。

 

「イ、くッ……いく、いく♡ イッてまう! イグゥゥゥゥウウウッ!!」

「ッ、イッ……くぅ!!」

「おっ、うぉ…」

 

 ビクンッと一際大きく身体が跳ねる。

 行為を終えた二人の荒々しい呼吸音を聞きながら、私はぼんやりと天井を見上げていた。

 友人のセックスを盗み見ながらオナニーをすることへの罪悪感と、それを上回る背徳的な快楽に酔っていた。

 

 

――ブーブー。

 

 何処からか、バイブレーションが聞こえてくる。

 ぼんやりとした意識の中で視線を巡らせれば、どうやらリビングのダイニングテーブルにあるスマホが鳴動しているのが見えた。それは私が置き忘れてしまった自分のスマホだと分かり、何となく誰が電話してきたのか分かった。

 

(アンジュが心配しているのかな……ッ!)

 

 その瞬間、私は一気に冷静になった。

 けれども思うように動けない私の横を通り、寝室から全裸の立実さんがリビングに入って来た。

 

「ア―――ッ」

「………」

 

 完全に目が合った。

 全くの言い訳の出来ない状況に青ざめる私を尻目に、立実さんはそのままテーブルに近付いてスマホを手に取ると通話を切った後にこちらへ近付いてきた。そうなると当然、私の眼前に剥き出しの男性器が迫ってくる。

 

「ぁ……っ」

「……」

 

 仁王立ちする立実さんと、その前で腰を抜かす私。

 これまで幼少期から数えきれない人たちに傅かれてきたことのある私が、今は出会って日の浅い親友の恋人の前で座り込んでいる。そして目の前にはとこちゃんの愛液でてかる肉棒があり、その圧倒的な存在感に私は目を離せなくなっていた。

 

(すごい……臭い、のに)

 

 それに惹きつけられる自分がいる。

 気が付けば私は自ら肉棒に顔を近づけていき、そっと舌を伸ばし――。

 

(あっ……)

 

 スッと立実さんが後ろに下がった。

 どうしてと思って顔を上げると、目の前に私のスマホが差し出された。それを受け取ると、立実さんは屈んで私の耳元に唇を寄せて小さく囁いてくる。

 

「見逃すのは一回だけ」

 

 それだけ言うと、彼は寝室へと戻っていった。

 再びとこちゃんの喘ぎ声が聞こえてくるようになり、私はハッとしてその場から駆け出した。




今回の内容は如何だったでしょうか?
趣向を少し変えて、エッチシーンを他の人視点で送りました。
リゼ様は礼儀正しいので、地の口調もそれに寄せているつもりです。

後、しれっと書いてますが、この世界は錬金術でナニが生やせます。
サイズに関しては本人の資質によるので一律ではなく、また神経が通っているので感覚も備わっています。射精に関しては流石に玉がないので精子は出ませんが、母乳に近い成分の液体が出ます。
という訳で、この世界は普通に同性婚も認められています。


最後に今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。
もし縁があったのなら、また私の作品を読んでいただけたら幸いです。

では、クリック? クラック!

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