※この作品はR-18です。

機械たるもの、従者たるもの   作:棒笹

10 / 24
第8話 白濁のエンドロール②

ゲシュタルトは、ゆっくりとしかし確実に、培養槽に眠る構造体を「代謝」していく。

 

次に自我を与えられたのは、アイラだった。

 

「大将、わたしと一緒に沢山の世界を回ってくれてありがとう!

 

大将のおかげで、私の部屋はたくさんのキャンバスで埋め尽くされたわ。

 

黄金時代の芸術も、今の芸術も、好きなだけ突き詰められた私は本当に幸せ者ね。

 

・・・でも、わたしは自分のやりたいことばっかりやってて、ゲシュタルト様の思いが全くわからなかったの。

 

こうやって、おちんちんを生やされてるのも、ザーメンに黄金時代のことも大将のことも、なにもかも詰め込まれちゃうのも、仕方のないことだわ。

 

でも、こんなに気持ちいいこと、私知らなかった。

 

だから、もうすぐ射精して記憶が消えちゃっても、いいかな。」

 

アイラらしい、本音が見え隠れする言葉が続く。

 

「・・・大将。セレーナのこと、頼んだわよ。

 

もしも見つかったら、私のところに連れてきてちょうだいね。

 

私がセレーナのことをわからなくても、セレーナなら私をわかってくれるって信じてる。

 

ゲシュタルト様の中で、ずっと待ってるわ!」

 

突如心拍数が急上昇し、アイラの大きなカリ首が一層せり出した。

 

(・・・まだ、話は終わってないのに・・!)

 

亀頭の震えが止まる。

 

それが何を意味するか、アイラにはよくわかっていた。

 

快楽にアイラは機体の制御を失い、大将の方へ倒れ込んだ。

 

培養槽にアイラの大きな乳房が押し当てられる。

 

衝撃に振り下ろされたアイラの頭が自らの乳房に埋もれる。

 

(・・・私のおっぱい、こんなに柔らかかったんだ・・・。)

 

(・・・大将が、時折私の眼の前で固まってたのも、こういうことだったのかしらね・・・?)

 

(・・・ひらめいたわ。大将にあげる、最期のプレゼント・・・)

 

すると、アイラはゆっくりと顔を上げ、大将にいつもの笑顔で言った。

 

「大将。今の私、オスとメスのいいとこ取りしてるわよね。

 

オスを誘惑する大きなおっぱいに、メスを虜にしちゃう大きなおちんちんと、パンパンに張ったタマタマ・・・。

 

大将にはすっごくお世話になったから、最期くらい恩返しをさせてちょうだい。」

 

大将の胸元のカメラが、アイラによってRECモードに切り替えられる。

 

「私のハダカも、おっぱいもおちんちんもお射精も、なにもかもをあなたに残すわ。

 

それでね・・・うぐぅうっ!?」

 

突如、アイラの首元をチューブが一周した。

 

そして、チューブが強烈に巻き上げられ、アイラの顔が歪む。

 

「想定外の挙動を検知。

 

WH-12115「アイラ・極彩」を排泄フェーズに強制移行。」

 

首を締め上げられたアイラは、培養槽の上部へその機体を持ち上げられる。

 

なんとかして声を出そうと、口をパクパクと動かしてもがいている。

 

(最期なんだし、好きにさせてよ!)

 

しかし、暴れれば暴れるほど、アイラの苦しみは増していく。

 

そして、その苦しみはゲシュタルトによって即座に快楽に変えられる。

 

(・・・まずい、おちんちんが・・・!)

 

アイラは、尿道に熱い液体が流し込まれたのを感じ取った。

 

(・・・もう、ダメなのかしらね・・・)

 

アイラが逃れられない運命に屈しかけたその時、大将の顔が目に入った。

 

(・・・最期がこれじゃ、私も大将もイヤよね・・・)

 

そして、首を締め上げられながら笑顔を浮かべた。

 

「心配・・・ないわ・・・。

 

ちょうど私も・・・イこうって思ってたところだから・・・。」

 

「・・・ちょっと刺激が強いかもだけど・・・絶対にデータ、消さないでちょうだいね・・・!」

 

精液が亀頭に達した。

 

「・・・大将、今まで本当に・・・ありが・・・」

 

・・・ドクン!

 

最期の言葉は、射精に遮られた。

 

アイラの射精が始まったのを確認すると、ゲシュタルトは首からチューブを取り除いた。

 

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ・・・

 

勢いよくアイラから飛び出た精液が、培養槽の壁に付着する。

 

全身を脱力させたアイラは、頭を支えにして培養槽の中で射精を続けている。

 

「・・・ざーめんが・・・ばいようそうのなかをよごしてる・・・いろどってる・・・?」

 

アイラの生命の輝きが生み出す白い絵の具は、培養槽の壁にこびりついてはたちまち消えていった。

 

(これ・・・あーと、みたい・・・)

 

アイラは壁を見つめ、射精とともに移り変わるアート作品に心を奪われている。

 

記憶を失いつつあるアイラは、アート作品の材料が自分自身であることに深く感銘を受けたようだ。

 

「わたしの・・・わたしが・・・えのぐ・・・きれい・・・」

 

ペニスの脈動が弱まると、アイラは本能的にペニスを壁に寄せ、作品を作り続けた。

 

(・・・あれ、わたし、どうしておちんちんうごかしてるんだろう・・・)

 

人工心臓の心拍数が落ちていくと、次第に腰の動きも弱まっていった。

 

意識海がシャットダウンしていく。

 

(・・・もう、せーし、でないのね・・・わたしの、たいせつなえのぐ・・・)

 

最期を迎えるその瞬間、アイラに浮かんだのは1つの疑問だった。

 

(・・・そういえば、えのぐって、なに?)

 

(・・・)

 

「WH-12115「アイラ・極彩」の機能停止を確認しました。」

 

こうして、世界にその名を轟かせた芸術家は、生命と引きかえに残したアートとともに「代謝」された。

 

 

「しき・・・かん・・・。」

 

ゲシュタルトは、リーフに自我を戻した。

 

「指揮官。お久しぶりですね。

 

こんな狭い培養槽の中で、みっともなくおちんちんを勃起させて射精を懇願するというはしたない姿で指揮官の前に出ることをお許しください。

 

リーフは、指揮官と過ごしたあの日々を、一日たりとも忘れることはありませんでした。

 

戦争が終わって、ご一緒に任務をすることが減っても、心はいつだって指揮官の事を考えていました。

 

お体を壊してないか、みんなとうまくやっているか、そんなことをずっと考えていました。」

 

リーフがゆっくりと言葉をつなぐ。

 

ペニスの震えで声が歪まないように、慎重に。

 

「時々、休眠ポッドで眠っているときに、夢の中にグレイレイヴンが出てきました。

 

ルシアとリーさんが侵食体に突撃していくのを、私と指揮官がサポートする夢です。

 

悲しみしか生まなかった戦場が、私にとってはみんなとつながっていられる数少ない大切な場所だったんです。

 

この夢が見られた次の日は、とっても心がぽかぽかしていました。」

 

リーフは胸にそっと手を当てた。

 

「・・・でも、今思い返せば、それこそが私達の生きる意味だったんですね。

 

敵を討伐して、パニシングを取り除いて、地球を救う。

 

私達は、人類の叡智が生み出した、人類に生涯を捧げる単なる戦闘用の機械なんですから。

 

戦いに不必要なことは、考えてはいけなかったんです。

 

・・・いえ、いけないことだって、もうわかっていました。

 

だからこそ、今からリーフは「再教育」されるんです。

 

ゲシュタルト様に、教えていただきました。

 

もうすぐ、リーフはこのおちんちんからたくさんのザーメンを吐き出して、ゲシュタルト様に忠実な兵器、正真正銘の「構造体」として生まれ変わります。

 

ザーメンには、私のこれまでの記憶が、きっとたくさん詰まっているはずです。

 

指揮官と出会う前のスターオブライフの記憶、初めて指揮官と会った日の記憶、ルシアやリーさんと一緒に戦った記憶・・・

 

簡単には言い切れないほどたくさんの、私の大切な記憶。

 

一つ残らず全部、真っ白なザーメンに変えて、指揮官の眼の前でお出しします。

 

びゅーびゅーって、どぴゅどぴゅって。

 

タマタマが空っぽになるまで。

 

リーフが「リーフ」でなくなるまで。

 

ゲシュタルト様の指示が出れば、すぐにでもリーフは射精の準備を終えて、精液を排泄しなければなりません。

 

指揮官との思い出がなくなってしまうのは怖いですけど、それが私の、WH-20110「リーフ・白夜」としてのあるべき姿なんです。

 

ゲシュタルト様の命令一つで、ザーメンだって、おっぱいミルクだってなんなりと捧げる傀儡。

 

それが、リーフです。」

 

そこまで言うと、リーフは培養槽にペンダントが浮かんでいることに気づいた。

 

「・・・これ、私が提案したペンダントですね。

 

しかも私のではなく、ルシアの。

 

ルシアが投げ入れてくれたんでしょうか?

 

・・・嬉しいです。

 

もう、私からお礼を言うことは叶いませんから、指揮官からルシアにこのメッセージを伝えてくれませんか?」

 

「ルシア、いままで本当にお世話になりました。

 

これからは、ゲシュタルトの中からあなたの任務をサポートしますね。」

 

そして、リーフのペニスがどくどくと更に大きく震え始めた。

 

自らの運命を理解しているリーフは、動じることなく言葉を繋いだ。

 

「承知しました、ゲシュタルト様。

 

もう、この時が来たのですね。」

 

そして、いつものあの穏やかな表情で大将に別れを告げる。

 

「・・・指揮官。リーフはここでお別れです。

 

指揮官達との記憶、どれだけたくさんのザーメンになったのか・・・すこし、楽しみです。

 

今までリーフと一緒にいてくれて、本当にありがとうございました。」

 

・・・ドクン!

 

達成感に包まれながら、リーフの射精が始まった。

 

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ・・・

 

まだ自我を保てているリーフは、吐き出し続ける精液をそっと手に取った。

 

(プルプルしてて、あったかい・・。)

 

手についた精液をそっと口に運ぶ。

 

(・・・こんなことで、記憶が戻るわけでもないのに。)

 

(・・・記憶を失うのが怖いと思えるくらい、幸せだったんでしょうね。)

 

やがて多くの記憶を失い、自我が崩壊していくと、もれなくリーフも快楽に囚われていった。

 

「すご、い・・・おとこのひとの、おしゃせいって、こんなにきもちいいんだ・・・。」

 

強烈な快楽を生み出し続ける自らのペニスを、リーフは凝視する。

 

(おちんちんがドクドクすると、気持ちいいのがどんどん押し寄せてくる・・・。)

 

(真っ白いザーメン・・・力強くて、濃くて、メスを孕ませる精子がたっぷり詰まってる・・・)

 

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ・・・

 

射精を始めてから5分を経過したが、依然としてリーフのバイタルは安定し、勢いのある射精が続いていた。

 

「まだ、ぜんぜん、とまりそうにない・・・。」

 

壁に精液がこびりつき、リーフの視界を徐々に奪っていく。

 

アイラよりも精液の粘性が高いようで、リーフが自ら手で拭わないと精液は剥がれそうにない。

 

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ・・・

 

「・・・しきかん、もう、みえなくなって・・・」

 

「・・・いや・・・わたし、もっとしきかんのそばに・・・」

 

射精は終盤に差し掛かり、全身の力を失ったリーフは、そのままゆっくりと膝をついた。

 

へたり込むリーフとは対照的に、その股関節にあるペニスはしっかりと勃起を続けている。

 

ドクッ・・・ドクッ・・・

 

射精のペースが落ち、人工心臓もゆっくりと心拍数が下がる。

 

もう、リーフから大将を見ることもできない。

 

彼女が絞り出した最期の一言は、かろうじて通信チャネルに乗った。

 

「・・・しきかん・・・ごめんなさい・・・」

 

そして、人工心臓の心拍数がとうとう0になった。

 

「WH-20110「リーフ・白夜」の機能停止を確認しました。」

 

少し白っぽい培養槽の中で、ひときわ白さが際立っているリーフの肌が、黒いゴムに覆われていく。

 

リーフの「代謝」が、これで終了した。

(続)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。