「交配終了を確認。」
ルシアのペニスがひとしきり射精を終えると、ゲシュタルトが言った。
「精子保有構造体「ルシア・鴉羽」の操作権限リクエストを送信。」
すると、ルシアの目から輝きが失われ、あれほど豊かだった表情も消えていった。
ゲシュタルトに支配されていくルシアの様子を、リーフはじっと見つめている。
「・・・操作権限の取得完了。」
ゲシュタルトの操作により、ルシアは強制的に直立姿勢を取らされる。
「WH-19547「ルシア・鴉羽」、卵子保有構造体に84.87mlの精液を供給。
残存精液量は15.13mlです。」
「受精チェックを実行せよ。」
「承知しました。」
ルシアは仰向けに寝ているリーフの両腕をつかんで床に押し付け、拘束した。
強力に押さえつけられたリーフの手が、徐々にうっ血を始める。
リーフは抵抗せず、股を開いて精液にまみれた自らの女性器をさらけ出した。
開いた両足は、ルシアの細くくびれた腰に巻き付けられた。
「卵子保有構造体WH-20110「リーフ・白夜」の拘束に成功。
これより、受精卵の探査プロセスを実行する。」
すると、小さく萎えていたルシアのペニスが再び勃起を始めた。
循環液が集まり、むくむくと起き上がるペニスであったが、先程とは少し様子が異なっている。
亀頭に循環液が集まりだすと、ペニスは突然形を変え、ブタのそれのような細長い形に変化した。
「・・・驚いた?」
声がした方向を振り返ると、四肢を取り戻したアイラが立っていた。
培養オーブンから無事に出られたようで、その腹部は大量の卵が詰め込まれて大きく膨らんでいる。
「この身体だと、いつもの服が入らないのよ。裸だけど許してちょうだいね。」
膨れ上がった腹部をなでながら、アイラが言った。
「それより、ルシアのあのおちんちんの話をしましょうか。」
アイラはガラスの先にいるルシアを指さした。
「結論から言うと、あれは異重合体よ。
ゲシュタルト様に「再教育」を施していただいたあの日、私達の機体は一度バラバラに分解されて、あんな感じで異重合体を埋め込まれたの。
パニシングは含まれていないから私達の意識海に影響を及ぼすことはないし、そもそもあれはそうならないようにゲシュタルト様が異重合体の元データから組み上げた独自物質よ。
私達に埋め込まれたものも含め、異重合体はゲシュタルト様に完全に制御されているから、あんなふうにゲシュタルト様の命令に応じて最適な形状に変化できるの。」
アイラの話を聞いた大将は、ある予測とともにアイラの方を見た。
「もしかして、わかっちゃった?」
話の腰を折られたようで、アイラが肩をすくめる。
「そう。ルシアだけじゃなくて、私達にも当然異重合体が埋め込まれているわ。」
アイラは大将にゆっくりと近づくと、大将の肩をつかんで強引に膝を折らせ、腹部に注目させた。
パンパンに張った腹部をうごめく卵を見た大将はぎょっとする。
「さっき、ビアンカが話してくれたわよね?私は両生類と爬虫類の孕み袋としてあの部屋にいるって。
人間の子宮で、カエルの卵を育てるなんて普通は不可能だわ。
私は脊椎動物の孕み袋だけど、ヴィラなんてもはや無脊椎動物だからなおさらよね。」
大将は、「ご主人さま」に糸を巻き付けられていくヴィラの様子を思い出した。
「でも、ゲシュタルト様なら、異重合体なら、それができるの。
それぞれのご主人さまの種族に合わせて子宮や膣内の形をどんどん組み替えて、最適な形にすることでご主人さまが快適に私達にザーメンをこき捨てられる。
卵を産み付ける生物を相手にしても問題ないし、魚類みたいにオスが精液を卵に振りかける形なら、異重合体がその卵を作ってしまえるの。
快適すぎて、培養オーブンに入れられたあともご主人さまがまたザーメンを恵みにお越しになるぐらいにね。
・・・実は、この役割はビアンカがやるはずだったのよ。
でも、培養オーブンから出たらすぐにご主人さまに捕まっちゃって。
ご主人さまを落とすと危険だからっていうビアンカの意思で、今もビアンカはさっきみたいに宙吊りにされながらご主人さまに奉仕しているわ。」
アイラは、「生命体保護室」の方を見ながら言った。
「・・・とにかく、私達の機体は、もう大将の知っている機体じゃないのよ。
だから、これから起きることも、きっと大将の想像を遥かに上回ることよ。
・・・ほら、ルシアがそろそろ動くようね。」
アイラは掴んでいた大将の肩をぐいっと引き上げ、ルシアの方を向かせた。
ルシアのペニスは、いつの間にかブタのそれからヘビの体のように細長くなっており、リーフの腹部を這い回っていた。
先端には、先程アイラたちに差し込まれたチューブと同様に緑色の光を生じるライトがついている。
「ペニス最適化完了。挿入開始。」
ルシアの声とともに、ペニスはするすると移動し、リーフの膣穴に先端が触れる。
リーフは穴をぐっと開き、ペニスを受け入れる。
先ほどとは真逆の細く柔らかなペニスがリーフの腟内にゆっくりと入っていった。
「うっ・・・あぁっっ・・・」
ペニスの先端が腟内をくまなく移動するため、チクチクと膣内を突き上げられたリーフが声を漏らす。
緑色の光はリーフを透過し、その所在を隠そうともしない。
「原始的な方法だけど、アレが一番効果的らしいのよね。
私はいつもお腹いっぱいに卵とザーメンを出されたあとだから、リーフみたいに気持ちよさなんて感じたことはないんだけど・・・。」
アイラがつぶやく。
「膣内の探査完了。
受精卵なし。
引き続き、子宮を探査します。」
緑色の光が、リーフの機体の奥深くへ移動していった。
ピクピクと体を震わせるリーフとは対照的に、命令を遂行し続けるルシアは一切動いていない。
まるで、寄生虫に侵された宿主が抵抗する相手に一方的に寄生虫を流し込んでいるかのようだ。
子宮の形が大きく歪むと、リーフはひときわ大きく震える。
しかし、ルシアの強力な拘束により、リーフの機体の位置は一切変わらない。
「あっあっあっあっ・・!イッちゃう・・・!」
蓄積した快楽が限界を突破し、リーフはルシアに大量の潮をぶちまけてしまった。
ルシアの下腹部が激しく濡れる。
「るしあ・・・ごめ・・・ん・・」
そこにいるのは「ルシア」ではないが、リーフは詫びた。
ルシアはリーフの声に耳を貸さず、任務を続ける。
そして、ある位置に緑色の光が止まった。
ルシアはリーフの方を見つめる。
リーフはふるふると震えながら、ゆっくりと首を縦に振った。
それを見たルシアは、顔を上げた。
「受精卵を確認しました。交配対象構造体「リーフ・白夜」は、BX9612を受精しています。」
「確認しました。引き続き、プロトコルを実行せよ。」
「了解。」
ゲシュタルトの指示が飛ぶと、ルシアはリーフの腕から手を離し、空いた両腕でリーフを抱きしめた。
リーフも慣れた動きでルシアの背中を抱く。
「卵子保有構造体:WH-20110「リーフ:白夜」。
プロトコルの実行に同意してください。」
「・・・指揮官。」
リーフはガラス越しに見える大将に顔を向けた。
「これから起こることは、人間である指揮官にとっては刺激が強すぎるかもしれません。
少しでも辛いと感じたら、すぐに逃げてくださいね。
アイラさん、指揮官をどうか無事に送り届けてください。」
アイラは頷いた。
「私にももうすぐ、この意識海を手放す時がやってきます。
ルシアの意識海は、この場では戻ることはありません。
だから、二人分のお礼をしておきますね。
来てくれてありがとうございました。
しばらくの間、私は培養槽の中にいますから、お時間があったら会いに来てください。」
リーフは精一杯の笑顔を大将に送ると、ルシアに向き直った。
「WH-20110「リーフ:白夜」。
プロトコルの実行に同意します。」
そして、ルシアの耳元で囁く。
「・・・またいつか、会いましょうね。ルシア。」
(続)