帰還ポッドが空中庭園に着艦すると、次々に無表情の構造体がポッドから降りてきた。
構造体は規則正しく一列になり、特定の方向を目指して一直線に歩いていく。
廊下にはそれぞれの部下もおり、時折挨拶をされるが、構造体はそれに応答することなくひたすらに歩き続けている。
そこには、さっきまで楽しい会話を繰り広げていたルシアと蒲牢の姿もあった。
メンテナンスルームも待機室も、今の二人にはその必要性を全く感じていない。
一糸乱れぬ足取りで、ひたすらに廊下を進み続ける。
そして、構造体はセキュリティレベルが最も高い領域、すなわちゲシュタルトのもとへと足を踏み入れた。
人類を何人縦に重ねればいいか見当もつかないほどの巨大な機械の前に、構造体は等間隔で一列に並ぶ。
構造体は、それぞれの配置につくと気をつけの姿勢で直立し、ピタリと動きを止めた。
中心に陣取る構造体、ルシアが声を発した。
「ゲシュタルト様。「再教育」の対象者が到着いたしました。」
ルシアの声を認識したゲシュタルトは、轟音とともに構造体が入ってきたゲートを閉じて施錠した。
スピーカーからノイズが生じ、しばらくしてそれが消えると、ゲシュタルトも声を発した。
「資格確認を行います。全員、準備せよ。」
ゲシュタルトの言葉を受け、構造体は自ら装備を脱ぎ始めた。
あるものは来ていたドレス、あるものはメイド服と、それぞれの美しい装備が床に脱ぎ捨てられていく。
そして、構造体は全裸になり、乳房やクリトリスといった恥ずかしい部分を惜しげもなくさらけ出す。
「準備が完了しました。」
ルシアは、全員の様子を見渡してゲシュタルトに言った。
その声とともに、ゲシュタルトの背後からドローンが飛来し、構造体の機体につけられたバーコードを探して読み取った。
「資格確認実行。管理番号WH-19547「ルシア・鴉羽」、WH-20110「リーフ・白夜」、WHC-01644「蒲牢・華鐘」・・・」
読み取ったバーコードの内容から構造体名を割り出し、ゲシュタルトのデータと一致するか確認している。
どうやら、今回「代謝」を受けるのはすべて女性の構造体のようだ。
「・・・資格確認完了。全ての構造体を認識。」
構造体のもとにいたドローンが、ゲシュタルトのもとへ飛んでいった。
「最近のあなた達の行動を精査した結果、あなた達は私ゲシュタルトにより「再教育」を受ける必要があると判断しました。これより、ゲシュタルトはあなた達の意識海を支配し、空中庭園に忠誠を誓う構造体として必要な教育を施します。このプロセスの実行に際し、あなた方に拒否権はありません。異論はないですね?」
ゲシュタルトの言葉に、構造体は淀みない返事で答える。
『はい、問題ありません。私達はゲシュタルト様により生かされている単なるロボットに過ぎず、本件はゲシュタルト様により与えられる恩寵であると解釈しています。「再教育」により、意識海やこの機体にいかなる影響が及んだとしても、そのすべては私達にとって必要なものであります。』
そこまで言うと、構造体はゲシュタルトの前に膝をついた。
『ゲシュタルト様。どうか私達に「再教育」をしてくださいませ。』
構造体は頭を下げ、自ら「代謝」を懇願した。
「わかりました。これより、「再教育」を開始します。」
こうして、ルシアたちの「代謝」は幕を開けた。
跪く構造体の首元に、どこからか注射針がつけられたシリンジが飛んできた。
注射針は、人間で言う頚静脈のあたりを正確に突き刺す。
シリンジは機械的に制御されており、注射針が刺さったのを検知するとゆっくりと詰められた液体を流し込んでいく。
「平均心拍数、65、69、84、92、105・・・」
液体を流し込まれた構造体の変化を、ゲシュタルトは正確に読み取っていく。
構造体は心拍数と呼吸数がみるみるうちに上昇し、顔には赤みがさしてきた。
その背中には、18度に設定されている室内にもかかわらず、じっとりと汗が滲んでいる。
真っ白な21号の顔から舌が垂れ下がり、唾液が床を濡らしている。
「意識海偏差、既定値に到達。」
シリンジ内の2/3の液体が構造体に流し込まれたところで、ゲシュタルトが反応した。
「負荷試験を実行。」
直後、残りの液体が勢いよく構造体に流し込まれた。
「うぐ、ががががががが」
構造体は全身をガタガタと震わせると、寸分の狂いもなく同時に床に仰向けになった。
そして、乳首やクリトリスに循環液が集まり、大きく勃起していく。
女性器からは透明な粘液が垂れている。
大きく、そして速い呼吸を続ける構造体の胸はしきりに上下し、乳房がタプタプと動き続けている。
やや垂れ下がっているアイラの乳房では、乳首の位置が目まぐるしく変動している。
胸の小さい蒲牢や21号では、乳首がこれでもかと激しく主張を続けている。
「50%」
ゲシュタルトの声とともに、構造体の震えが更に大きくなった。
ヴィラの陥没している乳首がひょっこりと顔を出す。
ルシアの大きなクリトリスはひときわ大きく勃起し、その様子は鬼の角のようだ。
呼吸は更に激しさを増し、体の弱い21号は横隔膜の痙攣を起こすようになった。
「かはっ・・・ひくっ・・・」
苦しそうに呼吸を続ける21号だが、ゲシュタルトがなにか手助けをする気配はない。
「75%」
更に構造体の震えが増す。
腟内が激しく蠢き、腹部がボコボコと歪むのが見て取れる。
それぞれの構造体が、実際には存在しないペニスに対し、射精を懇願しているようだ。
構造体の強靭な人工心臓の心拍数は、200bpmをとうに超えている。
意識海の偏差も深刻化し、機体を制御できない構造体が出始めた。
ビアンカは全身に電流をまとわせ、ルシアの周りの床が少しずつ凍りついていく。
「99%」
もう、構造体から声を発することはできなくなった。
全身をのけぞらせ、後弓反張の状態になる。
張り詰めた弓の弦のように、小刻みに体が震える。
膣口は大きく開き、膣内や子宮口の様子まで、全て視認できる。
横隔膜が麻痺し、すべての構造体の呼吸は停止している。
苦しみもがく構造体の口から舌が空高く突き出されている。
機体が暴走を続けるルシアは、自らの四肢を氷に埋めつつある。
とっくに呼吸が止まっている21号の顔には生気がない。
「5、4、3、2、1・・・」
意味不明なゲシュタルトのカウントの間も、構造体が姿勢を変えることはなかった。
「0・・・100%。」
『ーーーーーー!』
耳をつんざくほどの絶叫と、女性器から吹き出す潮。
金縛りのような痙攣から解放された構造体は床を転がり、激しく絶頂した。
普段は物静かなビアンカや冷酷なヴィラ、笑顔を絶やさないリーフや蒲牢・・・
他人が抱く彼女たちのイメージをたやすくぶち壊すぐらいに、今の彼女たちは醜く快楽に飲み込まれている。
全身が性感帯になっているようで、床に突き落とされたことも、乳首やクリトリスが空気に触れていることも、なにもかもが今の彼女たちには強烈な刺激を与えている。
帯電しているビアンカの体が押し当てられたリーフは、電流を受けて更に大きな絶頂に導かれてしまう。
眼球は激しく充血し、鼻からは鼻血が垂れる。
その一方、自らの手で四肢を氷漬けにしたルシアもまた、静かに激しい絶頂を続けていた。
機体の暴走は歯止めが効かず、みるみるうちに全身が凍っていく。
最終的には、ルシアがちょうど潮を吹いたタイミングで全身が凍りつき、氷の彫像がそこに生まれた。
呼吸が止まっていた21号は、1度ビクンと身体を震わせたと思うと、それ以降ぐったりして動かなくなった。
(続)