※この作品はR-18です。

機械たるもの、従者たるもの   作:棒笹

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第6話 エンドロールの優しき誘い

それからしばらくすると、いつの間にか構造体の姿は培養槽の中にあった。

 

培養槽の上部には極太のチューブが繋がれ、そのチューブはゲシュタルトの内部に繋がっている。

 

おそらくそこから構造体はやってきたのだろう。

 

カプセルに入る前、構造体の人工皮膚の下は無数の機械虫が這い回っていた。

 

しかし今、培養槽の中で静かに眠る構造体を見ると、機械虫は1匹たりとて見受けられない。

 

「再教育」の過程で取り除かれたのだろうか。

 

色濃く残っていた循環液の痕跡も全て取り除かれ、ただ安らかな寝顔を浮かべているのみだ。

 

培養槽の中の液体の動きに合わせて、構造体の髪の毛や乳房などがゆらゆらと揺れている。

 

培養槽の上部から細いケーブルのようなものが伸びてきた。

 

眠り続ける構造体の耳に、ケーブルが差し込まれる。

 

「機体操作権限所得。強制発情、実行。」

 

ゲシュタルトの声とともに、意識のない構造体にケーブルを介して命令が飛ばされる。

 

構造体はピクピクと機体を動かし始めた。

 

透き通った白い顔が、ゆっくりと赤みを帯びていく。

 

キリッとしていた目つきがとろけていく。

 

乳首が勃起し、先端をパクパクと開いては閉じる。

 

クリトリスの皮がめくれ、培養槽の液体に触れると機体は一段と激しく震えるようになった。

 

ものの2分もしないうちに、安らかに眠っていた構造体は皆あっけなく発情状態に導かれてしまった。

 

まるで無機質だった空間に、いくつもの儚い生命の輝きが見えている。

 

ただその輝きは、スイッチを押された電球のように管理者であるゲシュタルトに強制されたものだが。

 

「プロセス実行成功。陰部へのブリッジ接続を実行。」

 

耳に繋がれていたケーブルの1本が、それぞれの構造体のクリトリスのあたりに伸びていく。

 

「WH-16211「ビアンカ・真理」で試験接続を実施。」

 

ゲシュタルトは、ビアンカが眠る培養槽に指示を出す。

 

すると、ケーブルの先端から照射された光がビアンカの股関節を正面から照らした。

 

まばゆい光は15秒ほど照射されると、ふっと消えた。

 

ケーブルがビアンカと距離を取ると、光に照らされた部分に異変が生じた。

 

クリトリスを中心に肉芽のようなものが隆起し、むくむくと成長を続けている。

 

「WH-16211「ビアンカ・真理」、心拍数上昇中。120,190,230・・・」

 

ゲシュタルトが、ビアンカの様子をモニタリングしている。

 

その間も、肉芽は成長を続けている。

 

「精巣形成:成功、輸精管接続:成功、海綿体充填率:87%・・・」

 

やがて、肉芽の隆起が止まり、ブルブルと震えだした。

 

「診断結果:オールグリーン。WH-16211「ビアンカ・真理」に射出シグナル送信。3,2,1・・・0。」

 

0になった瞬間、ビアンカの肉芽に切れ目が生まれ、中身が勢いよく飛び出した。

 

先端は赤黒く、竿は太く長く、根本には袋のようなものが見える。

 

そう。肉芽から飛び出したのは、まごうことなきペニスであった。

 

ビアンカの大柄な体に似つかわしい、太くて長いペニスが、ビアンカの股関節で揺れている。

 

肉芽を突き破るために激しく勃起したようで、亀頭の先がパクパクと開いている。

 

しばらくすると勃起は落ち着き、ペニスはビアンカの太ももの間に垂れ下がった。

 

「試験接続:成功。引き続き他の構造体へプロセスを実行。」

 

それから、ゲシュタルトは残りの構造体を次々にふたなり化させていった。

 

それぞれの培養槽のスピーカーから、リアルタイムに構造体の様子がモニタリングされている。

 

「WHC-01644「蒲牢・華鐘」、心拍数上昇中。140,200,290・・・」

 

「WH-13521「21号・XXI」、ペニス径既定値超過。再形成実施中。」

 

「WH-20110「リーフ・白夜」、海綿体充填率105%。」

 

次々に股間が隆起し、震えだす。

 

「WH-21667「ヴィラ・緋耀」に射出シグナル送信。」

 

「WH-12115「アイラ・極彩」に射出シグナル送信。」

 

「WH-19547「ルシア・鴉羽」に射出シグナル送信。」

 

そして、構造体の体格に似つかわしいサイズのペニスが、肉芽を突き破って姿を表す。

 

体の小さい蒲牢や21号らのペニスは、勃起して肉芽を飛び出した直後であっても亀頭が包皮に覆われ、サイズも第二次性徴を終えていない少年のそれの程度だった。

 

その反面、アイラやビアンカ、ヴィラらのペニスは裏筋やカリ首などがしっかりと形成されており、大抵の女性ならば1回のセックスで簡単に堕ちてしまいかねない迫力があった。

 

やがてすべての構造体にペニスが生えたところで、すべてのケーブルが取り除かれた。

 

時間が経ったせいか、彼女らの発情状態は少し落ち着いてきており、ペニスはやや萎えていた。

 

柔らかくなったペニスが、培養槽の中を循環する液体に合わせて揺れ動いている。

 

「ペニス形成プロセス:成功。負荷試験を実施。」

 

休む間もなく、ゲシュタルトはプロセスを進めていく。

 

「50%。」

 

循環液が急速にペニスに流入し、凄まじい勢いで勃起を始める。

 

萎えているときは皮を被っていたリーフの亀頭が、勃起の勢いで完全に露出する。

 

乳首がまた主張を始める。

 

「70%。」

 

亀頭がより一層大きく膨れる。

 

アイラらのペニスでは、まるでキノコのようにカリ首がせり出した。

 

仮に21号が誰かメスに種付けをしたとしても、ヴィラのペニスで21号の精液はすべてかきだされ、生まれ出る子はヴィラの遺伝子を分け与えられるだろう。

 

「90%。」

 

これでもかと勃起したそれぞれのペニスが、培養槽の外へ向かって伸びている。

 

亀頭は張り詰め、粘膜が最大限に拡張して光沢を持っている。

 

一度息を吹きかけただけでも、情けなく射精してしまいそうだ。

 

培養槽の中で、構造体は無意識のうちに快楽を得ようと動き出した。

 

腰をヘコヘコと動かし、その遠心力でペニスに快楽を与える。

 

その気になれば手を使うのだろうが、ほんの数十分前までメスだった彼女らにはわからないのだろう。

 

「99%。」

 

すべての構造体が、プライドの欠片もなく腰をふる。

 

その動きは極めてぎこちなく、種牡馬が初めての種付けに挑んでいるかのようだ。

 

種牡馬ならばまだかわいらしいものだが、十体前後はいるであろう人間の形をした構造体がそれぞれ腰を振っている光景は、なかなかに醜い。

 

せいぜい、小さなペニスをこれでもかと動かす蒲牢や21号の姿が、初めて脳を性欲に支配されて精通を迎えようとしている健気な少年に見える程度だ。

 

ペニスの根本はビクビクと脈動を繰り返し、その先へ精液を送り込もうと試みている。

 

 

 

「負荷試験終了。」

 

しかし、構造体に待望の瞬間は訪れなかった。

 

指示に従い、ペニスは急速に小さくしぼみ、太ももの間に垂れていく。

 

そして、はじめと同じ直立姿勢を取ると構造体は静止した。

 

「「再教育」準備プロセスをすべて完了。命令します。起動せよ。」

 

ゲシュタルトの声に、眠っていた構造体の目がパチリと開く。

 

機能チェックを開始した構造体は、先程と同じように機体の各部をゆっくりと動かす。

 

ビアンカの陥没した乳首もチラリと顔を出し、すぐにまた乳房の中に戻っていった。

 

ペニスが再びゆっくりと勃起し、また萎えていった。

 

目の前に広がる異様な光景に驚く構造体は一人もおらず、静かに直立姿勢を取り続けている。

 

「・・・起動完了。」

 

通信チャネルを介し、ルシアの声が響く。

 

「シグナル強度:良好。ゲシュタルト様、指示をお出しください。」

 

「命令します。ペニスを勃起させよ。」

 

『承知しました。勃起プロセスを実行します。』

 

ゲシュタルトの指示に、それぞれの構造体は同時に応答した。

 

開けていた目をゆっくりと閉じ、ペニスに意識を集中させる。

 

培養槽の上部にあるディスプレイには、それぞれの構造体の稼働状況が表示され、人工心臓の心拍数が急激に上昇しているのが見て取れる。

 

また、電子脳の信号を解析した円グラフでは、「発情」のエリアが急速に拡大している。

 

しなびていたペニスがゆっくりと起き上がり、構造体の脈動とともに大きく膨れ上がっていく。

 

皮を被っていた蒲牢たちのペニスも、勃起していくにつれて亀頭がゆっくりと露出してきた。

 

無事に大きく反り立ったペニスは、外尿道口をひくつかせ、精液が通るのを待ちわびているかのようだ。

 

勃起が終わった構造体は次々に目を開け、全員が揃うのを待っている。

 

心なしか、先程よりも構造体の顔に赤みを帯びているように見受けられる。

 

『勃起プロセスを完了しました。』

 

全員のペニスが勃起し、ゲシュタルトに報告する。

 

「ゲシュタルトにより、「再教育」に必要な機体の改造を行いました。今、あなた達にはオマンコの代わりにおちんちんがついています。

 

これより、あなた達には空中庭園に忠誠を尽くす構造体として生きる上で不要な記憶をザーメンとして排泄してもらいます。

 

余分な記憶をすべてザーメンにして排泄し終えたら「再教育」は終了です。」

 

ゲシュタルトが、「再教育」の内容を明かす。

 

「では、命令します。構造体よ、快楽を蓄積し、存分に射精しなさい。」

 

『承知しました。記憶排泄を実行します。』

 

構造体が応答すると、培養槽の上からチューブが伸び、構造体のペニスに巻き付いた。

 

『電子脳-精嚢間の輸精チューブ接続成功。不要データ抽出開始。』

 

構造体は再び目を閉じ、チューブがペニスに与える快楽に身を任せ、一刻も早く射精しようと試みる。

 

同時にそれぞれの電子脳では、高速で記憶データを処理し、不要な記憶を仕分けていく。

 

仕分けられたデータは体内の交換機で精液に変えられ、輸精チューブを通り精嚢に蓄えられ、排泄の時を待つ。

 

チューブは構造体のペニスを根本から亀頭の先までゆっくりとしたストロークでしごき始めた。

 

培養槽の上のディスプレイには、無機質な白色の字で射精プロセスへの進行度が表示されている。

 

また、それぞれの構造体は自身の状況を逐一ゲシュタルトに報告している。

 

「WH-20110「リーフ・白夜」、精液醸造プロセスを実行。」

 

「WH-12115「アイラ・極彩」、精嚢充填率29%、不要データ抽出進捗度46%。」

 

進行度が一定値を超えると、チューブの動きが加速し、ペニスにより強い刺激と快楽を与える。

 

快楽の蓄積に伴い、構造体はそれぞれ身をよじったり、乳首を勃起させたりし始めた。

 

心拍数が小刻みに上昇しており、射精への準備が着実に整えられていく。

 

進行度が50%を超えると、チューブから更に細いチューブが伸び、ペニスの尿道に入り込んでピストン運動を始めた。

 

強烈な快楽にルシアは腰が砕けそうになったが、やっとのことでこらえている。

 

リーフの口元からはいつの間にか舌が垂れており、明らかに発情しているのがわかった。

 

時折、ペニスをビクンと震わせ、カウパー液を搾り出す構造体も見受けられる。

 

どれだけペニスが脈動しようと、管理者の権限なしに構造体が射精をすることは許可されない。

 

それは、「再教育」のはじめにあの液体を投与されたときから何も変わっていないのだ。

 

しかし、彼女たちはそれでも射精をしようと情けなくペニスを脈動させる。

 

今の彼女たちには自我も、自意識も、本能すらも存在しない。

 

動物園で本能のままに過ごす動物とは、全くもって違う。

 

彼女たちの一挙一動でさえも、厳密にゲシュタルトにコントロールされているのだ。

 

それぞれの構造体の状況を100000分の1秒単位でモニタリングし、行動を演算し、その上で指示を出している。

 

脈動も、心拍数も、呼吸数も、全てゲシュタルトのさじ加減一つでどうにでもなるのだ。

 

生きることも、死ぬことも、射精することも、孕むことも、全てはゲシュタルトの指示によるもの。

 

そう。彼女たちは、無線で繋がれたマリオネットなのだ。

 

 

やがて、進行度がついに90%を超えた。

 

構造体が射精し、余計な記憶を消去するまで、もうそこまで時間は残されていない。

 

そして、これは同時に大将による構造体の「看取り」の時が差し迫っているという意味でもあった。

(続)

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