※この作品はR-18です。

五つ子が全員オレの肉便器www #悪魔のアプリ#洗脳ハーレム   作:a-su

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第五節 暗黙の常識

 芸能界の闇。例えば不公平な契約、過度な労働、パワハラ。

 

 そしてセクハラ。権力関係を背景にした性的行為の強要。業界のパワーバランスを利用し、女や少年を辱める。

 悪辣な大人たちには、世間知らずのアイドルや俳優をマインドコントロールするくらい朝飯前だ。

 

『何でもします』

『仕事をください』

『夢をつかむためなら』

 

 露出度の高い衣装、過剰なサービスショット。そしてセックスの強要。恵まれた肉体を権力者に密着させ、澄んだ声で猫のように媚び、涙をこらえた笑顔で股を開く。それが仕事。夢をつかむための対価。きっといつか報いてくれる。

 

「…………けっ」

 

 そんなワケはないと、カミナは知った。

 

 偽善者どもは「大人になれ」と言いながら、若者たちを搾取し続ける。契約をタテに、成功をエサに、手を変え品を変え、心と体を弄ぶ。そうして、甘い汁をすすり続ける。そういうクソみたいな世界なのだ。

 

 いま、ソファに身を沈めたカミナの前で土下座する女がいる。金に染めた髪、甘くたるんだ肉を強調する黒のドレス。

 

「ほ、本日は私がお相手させていただきます」

 

 一見派手な彼女も、哀れな犠牲者だ。売れないアイドルとして幼い肉を貪られ、旬を過ぎた今は接待用の性奴隷。飽きられればAV堕ちか、ソープに沈められて最後まで搾取され尽くす運命だろう。

 

 カミナはそれを哀れんだりしない。ただ〈悪魔のアプリ〉が暴き出した情報としてスクロールするだけだ。彼女がたどってきた地獄を、写真で見た中野一花の顔に重ね合わせるだけ。

 

「あの……失礼しま……」

 

「触んな。お前なんざいらねぇ」

 

 足の間に入ろうとした女を、邪険に蹴り飛ばす。きゃっ! と悲鳴を上げるのを気にも留めず立ち上がった。

 

「ひっ……!」

 

 女の隣では、映画会社の重役が同じように土下座している。新作映画に中野一花を『抜擢』したのがこいつらしい。ハゲ頭を踏みつけ、

 

「お前らの中古なんざ、お呼びじゃねぇんだよ。とっとと中野一花の居場所を教えろ」

 

 そう言って脅すのだが、男は震えながら首を振るばかりだ。靴の下でもぞもぞ動く感触が不愉快極まりない。舌打ちしてスマホのレンズを向けるが、暗示でカミナに服従しているはずの男は怯えきった声で拒絶した。

 

「言えない! 言えないんです! 中野一花は、()()()()()が入ってるんです!」

 

「味見ぃ?」

 

「そうです! あの娘はスポンサー様に一晩買われてるんです!」

 

「…………! 本人は知ってんのか!?」

 

「いえ! 知らない方が新鮮な味がするってっ」

 

「誰だ! 誰なんだそのスポンサーってのは! 教えろ! 今すぐだ! 言わねえとぶっ殺すぞ!!」

 

 脂汗をだらだらと流しながら、なおも重役は首を横に振る。

 

「もし邪魔が入ったら、私は、家族も、会社も、みんな失うことになる! だからどうか! もう許してくださ──」

 

「ああ、そうかい!!」

 

 カミナは〈悪魔のアプリ〉を起動した。今まで使わなかった強力な機能を使用するつもりなのだ。

 

「うっ…………!」

 

 だが、画面をタップしようとした指が止まり、震えた。その機能は洗脳の対象範囲が広く、代わりに大量の寿命を消費するらしい。カミナは恐怖し、躊躇していた。

 

「くそ、四葉、こっち来い!」

 

「あ、はーい♡」

 

 退屈そうにしていた四葉を呼び寄せる。装いは暖かなニットのワンピース。ライム色が心の明るさを、浮かび上がる曲線が健康美を表している。くたびれた元アイドルなど足下にも及ばない可憐さだ。

 

 そんな女子高生肉便器が、嬉々として足下に這いつくばる。カミナのズボンに顔を埋めると、深く息を吸った。

 

「すぅ、はぁ、はぁぁ……ぁ~……♡」

 

「へ、へへ、今日も変態だなお前は」

 

「だってぇ……カミナさんの匂い、たまらないんだもん……♡♡ 肉便器にしてくれたお陰ですよぉ……♡♡♡」

 

 すっかり匂いフェチになった四葉は、カミナを見上げながら喜色を浮かべている。犬のような鼻息が、布さえ通り抜けて男の肌をくすぐった。

 

「はーっ♡ はー♡ はぁー♡♡」

 

「いいか四葉、オレはお前の姉貴も肉便器にする。今のお前みたいに、オレ様のチンポだけが生きがいのバカ女にしてやる」

 

「わお……♡」

 

 一花の妹は、にんまりと唇を歪めた。彼女の姉に、同じ顔で同じ表情をさせてやる。四葉の可憐さを汚したように、女優志望らしい一花の夢を踏みにじってやるのだ。

 

「ほらよ、大好きなちんぽだぞ」

 

 チャックを開けて取り出したペニスを突き付けると、四葉は両手でそれを捧げ持って鼻先を擦り付けた。

 

「あー……♡ すっごぉい……♡♡ 今日もおっき……♡♡♡ ……んふ、すん、んふぅっ……♡♡ く、くさいぃっ……♡♡ くんくん、むわって……ん、はぁぁ~……♡♡ このニオイだけでイキそぉっ……♡♡♡♡」

 

 うっとりと陶酔した顔で頬ずりしてくる。カミナは思わず腰を引いた。しかし彼女は逃がすまいと尻を掴んで引き寄せる。高い鼻先が竿の根元にめり込む。その刺激に、先走りの液が滲んだ。

 

「んっふふ……れろっ、ちゅっ……んふっ……れりゅっ……ちゅぱっ……はぷっ……れぇぇ~~っ……♡♡♡」

 

 たっぷりと唾液をまぶしてから口に含む。先走り汁を舌でかき混ぜ、ぢゅうっと吸う。亀頭の裏筋を重点的に責めてくる舌技がカミナを呻かせた。

 

「おう、おー…………いいぞ、もっと奥まで」

 

「じゅっ、ぢゅっ、ぶぽっ、ぐぼっ♡」

 

 口淫に慣れてきたボブカットの美少女は、喉まで使ってちんぽを愛撫してくる。頬をへこませ、窄めた唇でカリを締め付け、舌で亀頭を舐め回す。

 

「お、おおっ」

 

「ぶほっ、ぐっぼっ、ぬぶぅっ、ぶぼぉぉっ♡♡」

 

 時折こちらを見上げては、媚びるように瞳を潤ませ、下品な音を立てて吸い上げる。動きに合わせて、うさ耳のような緑のリボンが揺れていた。

 

(あー、やっぱ好みドンピシャ。こいつら五つ子ってよ、オレのために生まれてきたんじゃねーの?)

 

 こんな美少女に熱烈なフェラをされて、気の大きくならない男がいるはずはない。震えの止まった指が、スマホの画面に触れる。

 さあ、早く押せ。悪魔の力ですべてを解決しろ。そう念じ、カミナは指を動かした。

 

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「うっ、お…………!」

 

 ぽろり、ぽろりと、体から何かが抜け落ちていくような感覚に襲われる。魂を吸い取られていくような喪失感が、四葉にしゃぶられる快感と合わさり、カミナの脳をグルグルとかき回す。

 

(寿命? 構うもんかよ。味見なんぞさせてたまるか。オレの肉便器が汚れっちまうだろうが!)

 

 もう一度ボタンを押す。今度は先ほどより強めに、怒りを込めて。その瞬間、スマホから紫色の波動が溢れ出し、部屋を包み込むようにして広がった。いや、もっとだ。ビルを包み、街を染め、川を越え、山を昇っていく。

 

「じゅぽっ♡ ちゅっぽ、ちゅぽっ、れろれろれろれろれろれろれろ……♡」

 

 亀頭を頬張った四葉が、舌で裏筋を刺激する。何度も素早く往復させる度に、ぞくぞくとした快感がカミナの体を走り抜けた。それに伴って、少しずつ、しかし確実に、悪魔の力が広がっていく。

 

「おっ、おお……! やべっ……! 出んぞ四葉っ、飲めっ! 全部飲み干せっ!」

 

「ん~~っ♡♡♡」

 

 悪魔の力が、一花のいるどこか遠くにまで到達する。そう感じた瞬間、

 

 びゅるっ、どぴゅっ、どくんどくん……

 

 精液が尿道を駆け上がり、迸った。一花の妹は喉を鳴らしてそれを受け止め、ごくっ、ごきゅっと飲み干す。

 

「ごくっ、ごきゅっ、こくっ、んんっ……ぷはっ。ごちそうさまでした~♡♡」

 

 男のほとばしりを、カミナの肉便器は一滴もこぼさず受け止め切った。無邪気な笑顔を浮かべ、満足げに口元を拭う。そして、

 

「ふぅー……はむっ♡」

 

 最後の仕上げとばかりに、未だ硬度を保っているちんぽを咥え込んだ。射精を終えたばかりの敏感なところを、温かい口腔に包まれて、カミナは思わず呻く。

 

「あ……おい、もういいって……」

 

「んふーっ♡♡ ぶちゅっ、ぢゅばっ、ちぅぅ~~っっ♡♡♡ ぢゅるるるるっっっ♡♡♡♡」

 

「……ッ! や、やめろってのに……!」

 

 引き剥がそうとするカミナに抵抗し、四葉は唇をすぼめて、ちんぽに吸い付いてくる。

 

 ──彼女が横目で見ているのは、先ほどカミナに奉仕しようとした性奴隷の女だ。視線に込められた感情に、カミナはまるで気づきもしなかった。

 

 ◆◆◆

 

 京都にある撮影所。月が高く昇る深夜。

 撮影が終わったスタジオで、中野一花はアクションの指導を受けていた。

 

「今日はここまで!」

 

「ありがとうございましたっ」

 

 頭を下げると、短髪を伝って汗の粒が床に落ちる。冬場だというのに、薄手のシャツとスパッツがぐっしょりと濡れていた。張り付いた布地が、豊満な体のラインをくっきりと浮かび上がらせている。

 

「中野さん、最近ますます色っぽくなったな」

「ああ、ガキっぽさが消えてきたっつーか」

「妙に艶っぽいっよな」

 

 ひそひそと囁き合うスタッフたちを尻目に、一花は髪をかき上げる。照明が汗を光らせ、肉体の輪郭を輝かせた。その仕草を見て、誰かがごくりと喉を鳴らす。

 

「汗とショートが抜群にマッチして、エロい」

「ああ、わかるぜ。うなじあたりがグッとくる」

 

 聞こえないふりをしながら、一花はスタジオを出て行く。背中に注がれる熱い視線にうんざりしながら、更衣室へ向かった。

 

「はーっ」

 

 ため息をついてしまう。自分は女優を目指しているのに、いやらしい目で見られたことが腹立たしい。

 確かに中野一花は、若くて可愛くてスタイルもいい。だが、それだけでは届かない場所があるというのに。

 

(演技とか、恋とか、フータロー君とかね)

 

 恋敵が同じ顔の妹たちでは、若さも容姿も全てが空しい。そんな物に拘泥する男たちが馬鹿にしか見えなかった。

 

 更衣室のロッカーを開け、汗にぬれたシャツを脱ぐ。スポーツブラに包まれたGカップの乳房がこぼれ出た。白い肌はしっとりと湿り気を帯びて、蛍光灯の光を受けて輝くようだ。

 

「一花ちゃん、お疲れ様」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 近づいてきたのは、スーツ姿のマネージャーだ。彼女が差し出したスポーツドリンクを受け取ると、一気に半分くらい飲み干した。火照った体に染み渡るようで心地よい。濡れた口元を指で拭いながら、ふと、気になったことを口にする。

 

「マネさん、スマホ光ってますよ」

 

「あら、ほんと」

 

 マネはスマホを操作し、画面をタップしている。シニョンにした黒髪は、いかにもやり手といった雰囲気を醸し出していた。まだ三十歳になっていないらしいが、化粧は少し濃いめだ。画面の光で、細めの眼鏡がキラリと光った。

 

「……はカミナさまのもの……あんもくのるーる…………ぎょうかいのじょうしき…………」

 

「え?」

「え?」

 

 抑揚の全くない声で読み上げられた言葉に、一花は首を傾げた。何故か当のマネージャーも同じように首を傾げている。黒目はきょろきょろと左右に揺れて、焦点が定まっていない。

 

「あのー……?」

 

「は? あ、ごめんなさいね、私ったら何言ってるのかしら。疲れてるのね、あははは」

 

「はぁ……でも今何か言ってませんでしたか」

 

「いいえ何も。それより、カミナさまのことはご家族にも内緒よ。それが業界の常識なんだから」

 

 そう言って人差し指を立てると、じっとこちらの目をのぞき込んでくる。その視線の強さに気圧され、一花は首を縦に振ってしまった。

 

「大変ですマネさん!」

 

 沈黙を破るようにして別のスタッフが駆け込んでくる。

 

「スポンサーの乗った車が、事故起こしたみたいで……!」

 

「なんですって!?」

 

「病院に運ばれたんですけど、重態らしくて」

 

「一大事じゃない! 味見の予定が……!」

 

 一花は、慌ただしく動き出す周囲を見回すばかりだ。マネが更衣室を飛び出し、一人きりになってしまう。

 

「事故……困ったなあ」

 

 視察に来るスポンサーに全力の演技を見せて、次回作への出演を取り付けるつもりだったのだが、これでは計画の変更を余儀なくされそうだ。

 

(あーあ、フータロー君の声が聞きたいなぁ……電話しちゃおっかな……)

 

 訪れた静寂に、心がしおれそうになる。少しでいいから好きな男の子の声が聞きたい。妹を出し抜いてでも……。ぶるぶると首を振り、よこしまな気持ちを振り払った。

 

「さて、宿で台本読み直そう!」

 

 気持ちを切り替え、気合いを入れ直す。明日は憧れのベテラン女優と同じシーンに映る予定なのだ。一分一秒だって無駄にはできない。

 

 ビジホでシャワーを浴び、プロテインでアミノ酸を補給し、台本片手に演技プランを練り上げていく。セリフと感情を一体化させ、表情と仕草で役柄を演じる。そうして夢に向けて燃え上がる内に、失恋の痛みが和らいできたような気がした。

 

(うん、頑張ろう!)

 

 一花は、まさに夢中だった。全力で取り組んでいた。だから自分のスマホがどんな状態か確認もしないまま、眠りについたのだ。

 

 ◆◆◆

 

 翌日。昼食休憩をとり、午後の撮影に向けて会議室に集まった一花たちに対し、衝撃的な発表がなされた。

 

「え、監督の交代!?」

 

 驚きのあまり大声を上げた一花は、慌てて口を押さえた。他の出演者たちもざわめいている。

 

「いやぁ、すみませんね、皆さん。どうにも私じゃ力不足だったようで……」

 

 そう言いながら頭を下げる監督は、白髪混じりの中年男だ。それほど有名ではないが実力派で、新人の一花にも真摯に向き合ってくれた。それがまさか交代とは……。訝しむ一花に、マネージャーが耳打ちしてくる。

 

「なんでも、スポンサーの意向らしいよ。一花ちゃんをもっと目立たせろって言われて、拒否したって」

 

「えっ…………私?」

 

 一花は絶句した。冗談ではない、ひいきの引き倒しもいいところだ。自分はまだまだ駆け出しで女優として未熟なのに、目立たせるための監督交代? 赤いジャージの下に冷や汗が流れる。そんなの、周りからどう思われるか。

 

「次の監督さんは……?」

 

 おずおずと手を挙げたのは、共演者の人気アイドルだ。栗色のウェーブヘアがよく似合う。最近ようやく女優としても認知され始めたばかりで、お互いに頑張ろうねと励まし合った仲だ。切れ長の目がチラリと一花を盗み見た気がした。

 

「まさか枕…………?」

「いや一花ちゃんに限って…………」

「でも、あのスポンサーって確か……」

「確かに最近大人っぽくなったけど……」

 

 ヒソヒソと囁かれる言葉、一つ一つが一花の心に突き刺さる。後ろ暗いことは何一つしていないのに、まるで自分が売春婦になったような気分だった。顔が真っ赤になり、耳まで染まるのがわかる。恥ずかしくて悔しくて涙が滲んできた。

 

 そんな周囲の反応を知ってか知らずか、監督はにこにこと上機嫌に笑う。

 

「いやあ、心配ありませんよ。なにせ新しい監督は、あのカミナ様ですから!」

 

「「「カミナ様!?」」」

 

「えっ?」

 

 どよめきが走る。一花はぽかんとして目をしばたたかせた。

 

「カミナ様なら安心だわ!」

 

「そうだ、カミナ様ならこの映画も成功間違いなし!」

 

 先ほどまでの落胆ぶりが嘘のように、周りの空気が変わる。カミナという謎の人物に対する期待感が充満していくのを肌で感じた。一花はわけもわからないまま、ただおろおろとするばかり。

 

「一花ちゃんも頑張って! カミナ様に従えば絶対間違いないから!」

 

「さすが一花ちゃん、すごい人に見初められたんだね!」

 

「おめでとう!」

 

 祝福の言葉が次々に投げかけられる。アイドルの子などは、感動して泣いているほどだ。

 

(なんなのこれ……? なんでみんな喜んでるの……?)

 

 何故だろう、何か取り返しのつかないことが始まろうとしている気がする。戸惑い、混乱する一花の肩をマネージャーが叩いた。

 

「一花ちゃん、とにかくよかったわね! みんな納得してくれたようだし、あとはカミナ様に全てお任せすれば大丈夫! それが業界の常識なんだから」

 

「じょ、じょうしき……?」

 

 一花は混乱したまま、曖昧な笑みを浮かべることしかできなかった。共演者たちは嫉妬や羨望よりも、安堵や喜びを感じているように見える。誰もがニコニコと笑って一花に微笑みかけていた。その笑顔に、ぞくりと背筋が寒くなる。

 

(何この人たち怖い……)

 

 思わず後ずさりそうになったその時、背後のドアがガチャリと開いた。

 

「おう、中野一花はいるか」

 

 現れた男性を見て、周囲が息を飲む。まさか、そんな、と囁き声が漏れ聞こえてくる。マネージャーも、アイドルも、女という女が口々に彼の名を呼んだ。

 

「カミナ様……?」

「本当にいらっしゃったんだ」

「本物?」

「すごーい」

「写真よりずっとカッコいい……」

 

 女性陣だけではない、男たちも見惚れたように溜息を漏らしている。まるでハリウッドスターでも現れたかのような反応だが、一花には彼のどこがそんなにいいのか分からなかった。

 

(これが〈カミナさま〉なの……?)

 

 正直、普通だ。背も高くないし、顔立ちも平凡。粗暴な目つきと額のしわが、他人を拒絶するような印象を与える。服装はラフで、街にいくらでもいるモブにしか見えない。

 

 それでも、男たちは彼を称え、女は彼を熱っぽい視線で見つめる。〈カミナさま〉が鷹揚に手を上げて応えている姿に、一花は苛立ちを覚えた。

 

(なんか……偉そうなやつ……)

 

 スタッフに案内され、〈カミナさま〉は一花へと近づいてくる。マネージャーに促され、一花はパイプ椅子を引いて立ち上がった。

 

「お、お疲れ様ですっ!」

「けけ。は は は」

「え?」

 

 〈カミナさま〉は妙な笑い声を発した。一花が首を傾げると、男はニヤリと笑って、

 

「おおぉ、やっぱすげえ乳だな」

 

 そう言って、赤ジャージの上から一花の乳房をむんずとつかんだ。いきなりのセクハラ行為に一花は硬直する。

 

「え、ええっ、ええ……?」

 

 動揺のあまり、まともな言葉を発することができない。思考がフリーズしてしまったかのように、呆然とするばかりだ。

 

「無反応ってのも、たまにゃあ乙なもんだなぁ」

 

 カミナが下卑た笑いを浮かべた。舌なめずりをしながら一花を見つめる眼差しには、明らかに欲情の色が浮かんでいる。揉みしだかれ、ぐにぐにと形を変える自分の胸。下から持ち上げるようにこね回され、ぞわぞわとした感触が背筋を走る。

 

「あ、あぅ……やめ……て……」

 

「はは、いいねぇ」

 

 〈カミナさま〉は満足そうに笑うと、やっと手を離してくれた。一花は顔を真っ赤にして、乳房を守るように抱き込んだ。そしてキッと男を睨みつける。

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。俺はカミナ。まあ……今日からこの映画を仕切らせてもらうぜ」

 

「「「はい、カミナ様!!」」」

 

 周囲が一斉に頭を下げる。一花は愕然として、周囲を見回した。

 

「み、皆さん、どうしちゃったんですか!? なんでこの人に頭を下げるんですか!?」

 

「何言ってるの一花ちゃん? カミナ様は最高の映画を作るために来てくださったのよ? 偉い人に敬意を払うのは業界の常識でしょ?」

 

 マネージャーが心底不思議そうに首を傾げる。周りの女優たちもうんうんと頷いていた。

 

「い、今、目の前でセクハラが起きましたよね!? 訴えましょうよ!」

 

「カミナ様が女優をどう扱おうと自由でしょう? そういう決まりなんだから」

 

「決まり……」

 

「そうよ? これは暗黙のルールなの。だから私たちはそれに倣わないといけないのよ」

 

 マネージャーはにこやかに笑いながら言った。一花は愕然とするしかない。

 

(なに、何が起きてるの、どういうこと、こんなのおかしい)

 

 自分を囲む人間たちの顔が、皆一様に笑っている。恐怖しか感じない。今まで信じていた映画の世界とは違う世界が広がっていて、足元から崩れ落ちてしまいそうな感覚に陥る。

 そんな一花の様子を眺めながら、カミナがニヤニヤと笑った。

 

「くく、いいねその顔……ぞくぞくしてきたぜ……お前みたいな気の強い女を泣かすのが楽しみで仕方ねえ……!」

 

 獲物を見つけた肉食獣のような笑みだった。そして、その視線はしっかりと一花の肢体を舐め回している。欲望に満ちた視線を全身に注がれ、肌が粟立つ。

 

「ひっ……」

 

「逃げちゃ駄目でしょ?」

 

 反射的に後ろに下がろうとするが、背後に立っていたマネによって阻止された。

 

「マネさん、ちょっと、何するのッ」

 

「あなたこそ何してるの? この映画はカミナ様のモノなんだから、大人しく言う事を聞かなきゃだめじゃない」

 

「あ、あ……うあ、え……?」

 

「監督はご多忙なんだから、しっかり体を確認していただかないと。演出プランにも関わるのよ?」

 

 マネの手が一花の肩から腰までを往復する。優しくさすられているだけなのに、なぜだか体の芯が凍るような感覚がした。共演者のアイドルも、

 

「そうだよ一花ちゃん、マネージャーさんの言う通りだよ。カミナ監督が私たちを輝かせてくれるんだから、ちゃんと触ってもらわないと!」

 

 と同調している。誰も一花を助けようとはしない。彼ら彼女らの顔には、何の邪気もない単純さがあった。それはまるで──そう、赤ん坊のような素直さだ。そして、だからこそ余計に恐ろしいものがある。

 

「おね、お願い、やめてぇ……! 助けてぇー!」

 

 一花は泣きながら懇願するが、誰一人として聞き入れるものはいない。マネの手でジャージのジッパーが下ろされ、下に着ていたTシャツがさらされる。汗で湿った白い布が肌に張りついて、その下にある乳房の形状がくっきり浮き出ていた。

 

「一花ちゃんはバスト88、アンダー63のGカップです。若手ナンバーワンの肉付きで、体つきのメリハリがはっきりしているのが特徴ですね」

 

 マネージャーが屈辱的な解説を始める。周囲の女優たちも口々に、

 

「さすが一花ちゃん、大きいわあ」

 

「私より10センチも身長が低いのに、こんなにおっぱいがあるなんて羨ましい……」

 

「お尻もきゅっと上がって、くびれも完璧だね……」

 

 と一花を褒めそやす。とっさに隠そうとするが、両手を押さえつけられてしまう。マネージャーとアイドルの二人がかりで動きを封じられてしまった。

 

(なんなのこれ……私、一体どうなっちゃうの……?)

 

 逃げなければ、抵抗しなければと思うものの、足腰に力が入らない。周囲はカミナに心酔しきっているのか、誰も助け船を出そうとはしない。

 

「おっほwww このシチュエーション、たまんねぇなあオイ」

 

 ニタニタと笑いながら、指先でTシャツ越しに乳房を撫で回す男。なぜか、その手付きには一花の体をよく知っているかのような繊細さがあった。そのことが逆に不気味さを煽り立てる。

 

「や、やめて……」

 

「おお、いい反応だな。やっぱこうでなくっちゃなぁ」

 

 男の口元が嗜虐的に歪む。その指先が乳首の位置を探り当て、カリッと爪を立てた。瞬間、びりっと電流が走ったような刺激に襲われる。

 

「あうっ!♡」

 

「感度良好」

 

「いやっ、やめっ、いやぁああっ!」

 

 一花の反応を楽しむように、何度も乳首をいじられる。その度に甘い痺れが生まれ、下腹部がきゅんと疼いた。そんな一花を尻目に、周りでは会話が進んでいく。

 

「監督、脚本の変更はありますか?」

 

「脚本? んなモン全部ゴミ箱にポイだ。オレ様が撮りたいシーンを撮るだけだぜ」

 

 偉そうにふんぞり返るカミナの姿に、スタッフが沸き立った。

 

「流石は我らが監督! 素晴らしいお考えです!」

「やっぱり監督の映画作りへの情熱は本物だ!」

「素敵!」

「一生付いていきます!」

「最高だよぉー!!」

 

 スタッフたちが一斉に歓声を上げる。その間も一花は乳房を嬲られ続けていた。

 

(こんなこと……許されないはずなのに……)

 

 しかし、周囲がそれを当然のように受け入れている以上、自分が間違っているのかもしれないという疑念が頭をもたげてくる。

 

(なんで……なんでこんなことになったの……?)

 

 考えても答えが出るはずもない。ただ混乱だけが加速していく中、カミナの指が遂にTシャツをまくり上げた。そのままブラジャーまでもむしりとられ、ぶるんと揺れる二つの果実が衆目に晒される。

 

「おほー、何回見ても感動させてくれるデカ乳だぜ」

 

 男は感嘆の声を上げながら、両手で乳房を持ち上げるようにして揉んだ。柔らかな脂肪の塊が形を変え、カミナの指の隙間から溢れ出す。

 

「くっ、う、うあぁあっ!」

 

「ふひ、やっぱ生乳の感触は格別だな」

 

 男は、掌全体で味わうかのように丹念に捏ね回す。それから両方の乳首を同時につまんできた。親指と人差し指でコリコリと転がされ、鋭い快感が走る。さらに乳輪に沿って円を描くようにしてなぞられると、体がビクビクと痙攣してしまう。

 

「んぁっ♡ くふっ、んんっ♡♡」

 

(こんな声出したくないのにぃ……!)

 

 唇を嚙み締めて必死に耐えるが、どうしても鼻にかかった声が漏れてしまう。

 

「おいおい、まだ序の口だってのにもう気持ちよくなってんのか?」

 

「一花ちゃんは真面目に女優を目指していましたから、男性に免疫がないんです。どうか監督の手で優しく開発してあげてください」

 

 マネージャーがカミナに頭を下げる。一花はもう、何が正しくて誰が正気なのか分からなくなり始めていた。

 

(うそ……もしかして私がおかしいの……?)

 

 ありえないはずの考えが浮かんでくる。周りの人間も、自分のことを異常者を見るような目で眺めているような気がしてきた。

 

(違う、私は普通だよ。みんなおかしい。こんなの変だよ)

 

「ほら、もっと声を出せよ」

 

 カミナが耳元で囁く。手を離し、乳房全体を下から持ち上げるようにしながらゆっくりと撫で始めた。

 

「んっ……♡ ふぁあっ……♡♡♡」

 

 グチャグチャになった心に、優しい愛撫はよく効いた。自分でも驚くほど艶っぽい声が出てしまい、顔が真っ赤になる。

 

(なにこれ……気持ちいい……)

 

 胸からじんわりと広がる快楽に、全身の力が抜けていく。手の動きに合わせて胸が揺れ、先端の突起はどんどん固くなっていく。

 

「くく、どうした?ずいぶん色っぽいじゃねえか」

 

「そ、そんなこと……っ」

 

 否定しようとするが、言葉が続かない。心臓の音がうるさいくらいに大きくなっていく。

 

(ああ、駄目なのに……)

 

 頭ではそう思っていても、体は正直に反応してしまう。いつしか一花は、カミナを熱っぽい視線で見つめてしまっていた。

 その様子を見て、マネージャーが満足げに頷く。

 

「一花ちゃん、カミナ様は素晴らしいお方よ。あなたも映画撮影に挑む立場としてよく学んでおくことね」

 

「……はい……」

 

 素直に返事をしてしまったことに驚く暇もなく、カミナの手が再び動き始める。男の指は太くて不器用そうなのに、恐ろしく繊細なタッチで一花の性感帯を刺激した。その動きはまるで、一花の体を隅々まで知り尽くしているかのようだ。

 

「……っ……ぅ、――――んッ♡」

 

 喉の奥で噛み殺した声が、口の端から漏れ出す。恥ずかしさのあまり下を向いてしまったため、カミナの表情が見えないのが唯一の救いだった。

 

「ふッ♡ ……はぁッ♡♡」

 

 気持ちいい。フリーズしかかった脳のどこかで、そんな言葉が明滅する。自分は今、なにをされているのだろう。これは何のための行為なのだろう。もはやそれすらも分からないまま、男の指先に翻弄され続けた。

 

 やがて男が、ぷっくりと膨らんだ乳首の先端に触れた瞬間、一花の腰が大きく跳ねた。

 

「ッ、あ、ああぁああ……ッ!!」

 

 ぐりんっと乳首が捻られる。乳房の奥まで鋭い電気が流れ、頭の中で火花が散った。目の前が真っ白になり、何も見えなくなる。だが、それでもなお男の手は止まらない。

 

「ここ、いいだろ? ここが、いいだろう?」

 

 カリッ、カリッ、と何度も爪先で引っ搔かれると、そのたびに腰が浮いてしまうほどの衝撃が走る。胸の脂肪が震え、たわむ。快感に涙が滲み、口の端からは涎が垂れ落ちた。

 

「んいぃぃっ、いいでッ、いいですぅっ! きもちいい!」

 

「ははは、すげえ声w」

 

 一花はついに白状してしまった。その言葉を聞いたマネジャーは満足そうに頷き、周囲に向かって話しかける。

 

「皆さん、ご覧いただけましたでしょうか? これが女優『中野一花』の素顔です」

 

「ち、ちがうぅ、わたし、わたしは……!」

 

「うるせぇ」

 

「ああ゛ぁ~~っっ!! ♡♡♡♡」

 

 カミナの指が容赦なく乳首をつねり上げた。その強烈な刺激に耐えられず、悲鳴のような嬌声を上げてしまう。一花は口をパクパクさせながら、小刻みに全身を震わせた。汗と涙と唾液が混ざり合い、彼女の頬を伝う。

 

(これ、本当に私なの……?)

 

 現実を受け入れられない一花。カミナはさらに数回、乳首を弾いたあと、ようやく指を離してくれた。

 

(終わった……やっと解放されたんだ……)

 

 一花は力なく椅子にへたり込む。意識は朦朧としており、荒い呼吸を繰り返すことしかできなくなっていた。それに気づいたマネージャーが、心配そうに声をかけてくる。

 

「どうしたの? 具合悪い?」

 

「う、ううん……大丈夫」

 

「そう? じゃあ、打ち合わせを始めましょうか。まずは──」

 

 彼女は安心したように微笑んでから、淡々と説明を始めた。その内容を聞きながら、何とか意識を立て直そうとする。

 

(これからどうなっちゃうんだろう……)

 

 不安ばかりが募っていく中、悪夢のような時間が始まった。

 

(続く)

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