五つ子が全員オレの肉便器www #悪魔のアプリ#洗脳ハーレム 作:a-su
上杉風太郎の住む家に、男女が争う声がひびく。太陽はとうに沈み、月は雲に隠れて、部屋の中は真っ暗だ。その中で、男と女の影が争っていた。
「離して! 離して下さい上杉君!」
「五月! 五月、落ち着けって!」
パジャマ姿の五月を羽交い締めにしながら、風太郎は必死に声をかけた。しかし泣き叫んで暴れるばかりの五月を落ち着かせるには至らない。
「帰りたい、帰りたいんですっ、帰りたくて帰りたくて頭がおかしくなりそうなんです!」
「危険だって言っただろうが! 今は隠れて、親に任せるんだ!」
「嫌ぁっ、離してください! 私を家に帰して!!」
五月は髪を振り乱し、風太郎の腕から逃れようともがく。男女の差はあれ、彼女はよく食べてほどほどに運動もしている。長身だがガリ勉で筋肉が足りない風太郎とは、いい勝負になってしまっていた。
(くそっ、何が起こってるんだ……!?)
先週の末から、風太郎は四葉と連絡できていなかった。それでも、月曜に学校で話せばいいかとやや楽観的に考えていたのだ。フってしまった直後で、五つ子たちと気まずかったのもある。
だが四葉どころか、五つ子が誰も登校してこない。休校中の一花はともかく、他の四人が一斉に学校を休むなど普通ではなかった。
そして今朝、思い詰めた声の五月が風太郎を喫茶店に呼び出した。家出してホテルに泊まっていたという彼女は、真っ青な顔でスマホを見せてくれた。
それは三玖と四葉からのメッセージ。見た事もない男と抱き合っている写真。正気とは思えない淫らな言葉の数々。よく知った彼女らとの落差が、風太郎を打ちのめした。
いいや、あいつらが自分の意思であんな事をするはずはない。脅迫だ。そう考え、風太郎は五月を匿うことにした。家に連れ帰り、スマホのSIMカードを抜くように言い、何も気にせず受験勉強に集中しろと励ました。
父の
その甲斐あって、五月は落ち着きを取り戻していた。ほんの数分前、まるで魔法にかけられたように暴れ出すまでは。
「お願い、お願いします、帰らせて、帰らなくちゃ、きっとみんなが待ってるから!」
「くっそ、一体何なんだ!」
どうにも悪夢を見ている気分だ。風太郎は学園祭で自分の気持ちを整理し、四葉を選んだ。彼女からも好きと伝えられた。なのに五月から、その四葉がガラの悪い男と抱き合う写真を見せられたのだ。しかも下着姿の!
『好き』
耳に残る四葉の一言。それを意識するほど、心がかき乱される。自分はまだ、彼女に好きと伝えていない。それなのに……。
そしてとうとう五月までおかしくなってしまった。たっぷりと肉がついた体を必死で揺すり、風太郎の腕を振り解こうとする。
「放して、上杉君!」
「放せるか、このバカ!」
上杉風太郎は四葉を想い、五つ子を想い、五月を想った。腕の中にある柔らかい感触から、彼女の実存を感じる。助けを求めて泣く女の子を、この手に掴んでいる。だから、腹の底から声が出た。
「お前は大学に入って、先生になるんだろうが! 犯罪に関わって、人生棒に振る気かよ!?」
びくん、と五月の体が震えた。抵抗が止まる。一瞬の静寂。彼女はへなへなと畳の上に崩れ落ちた。
「うぅっ、うぁぁあっ」
「おい、おいっ」
慌てて抱き留める。温かく、重たく、柔らかく、生々しい命の感触があった。
「ああ、ほら、落ち着け、深呼吸しろ。大丈夫だ、俺が付いてる」
「うえずぎぐん……」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、自分の胸に押し当ててやる。汗の匂いと甘い香りが立ち上り、鼻腔をくすぐった。背中に、五月の腕が回ってくるのを感じる。豊かな胸の感触に、罪悪感がこみ上げた。
(悪い、四葉)
心の中で謝りながら、彼女の髪を撫でる。五月の肩が小さく震えだし、嗚咽が大きくなった。
「怖いんです、ずっと不安で……このままもう、みんなバラバラになっちゃうんじゃないかって……! うぅぅっ、ぐすっ、わだじ、私はみんなに会いたくでぇ……ひぐっ、うわぁぁああん!!」
「よしよし、大丈夫だからな」
背中をポンポンと叩いてやると、泣き声は一段と大きく、激しくなる。
(ええい、ままよ)
風太郎はそっと五月を引き剥がし、畳の上に押し倒した。そのまま自分も彼女の隣へ転がり、横から抱きしめ、足を絡める。小さな頭を腕枕に乗せてやり、ぽんぽんと撫でる。赤ん坊にするように、ゆっくりと優しく。
「……うっ、ひっく、ぅぅ……んっ、んぅ」
五月は最初、びっくりした様子で固まっていたが、すぐに力を抜いて身を委ね始めた。甘えるように、胸板に額をこすりつけてくる。
「安心しろ、安心していいんだ、な、な……」
長い髪からはシャンプーの香りが漂い、パジャマ越しに体温が伝わってくる。柔らかさや温かさだけでなく、その下にある骨や肉の動きすら感じられた。
(くそ、これはこれでやばいぞ……)
暗い部屋に二人きり。好きな女の子とそっくりの甘え顔を間近に見て、密着して、全身で感じている。自分の中にあるオトコがかき立てられた。腕の中の温もりが、生きている宝石のように思えて仕方がない。
「ごめんなさい、うえっ、うえすぎぐん……ごめんなざいぃ」
しばらく撫でていると、しゃくり上げる間隔が長くなってきた。やがて静かな寝息が聞こえてくる。目元は赤く腫れていたが、表情は穏やかになっていた。
(まったく、手がかかるぜ)
風太郎は小さく苦笑すると、毛布を手繰り寄せた。ストーブをつけていても床は少し冷たい。起こさないようにしながら身を離し、毛布をかけてやる。それから自分の布団に戻った。
五月を守り、四葉たちを卑怯な脅迫者から取り戻そう。まだ悪魔の存在を知らない一人の高校生は、決意を固めて目を閉じる。
目が覚めると、五月はいなくなっていた。
◆◇◆◇◆
37/90 → 36/90
中野家のリビング。カーテンの隙間から差し込む朝日が、ソファに腰掛けた最後の獲物を明るく照らしている。テレビでは天気予報が流れていた。今日は晴れ、のち、雨のようだ。
「あ……あ、なる、ほ……ど。セッ! セック、ス、ス、の、かてーっ、家庭教師さん、だ、だだ、だった……んですね」
「けけ、そうそうw」
悪魔の力で狂ったことを言わされている彼女こそ、五つ子最後の一人である中野五月だ。高校の制服姿で、上着の下には赤いニットベストを着ていた。スカートの折り目は几帳面にピシッと整えられている。
「そうっ、ですかっ、セックスのっ、家庭教師で、で、ですすすっかぁ……あー、あっ、あはは」
だが瞳は濁りきり、焦点が合っていない。笑っているのに、泣いている。目からは大粒の涙が溢れ出し、頬を伝っていく。唇はわなないており、時折歯をカチカチと鳴らしていた。
「ひっ、ひぅぅ……せっ……セックスの、勉強」
「そーいうことww オレはカミナだ、よろしくな。一緒にセックスの勉強していこうぜw」
五月の引きつった笑い声につられ、カミナもヘラヘラ笑う。〈悪魔のアプリ〉による洗脳は完璧だ。彼女が心を書き換えられていくのは、カミナに搾取されるためなのである。
「カミナさんは……私たち五人の家庭教師で……男の人で……セックスの……指導をしてくれる……女性ではなく……実践で、性行為を教えてくれる……素晴らしい男性……素敵な男性……」
五月は小声でぶつぶつと、自分に言い聞かせるように繰り返す。
「そうですか、セックスの先生なんですね。うん、よくわかりました」
段々と落ち着いてきた……あるいは壊れてきた豊満な美少女を、カミナは舌なめずりしながら眺める。髪や、肌や、体のラインをじっくりと視姦し、制服の下に隠された肉体を想像して股間を熱くする。
「それでえっと、あの……」
「あ?」
「さ、先ほどは申し訳有りませんでした!」
中野家に帰ってきた時、五月はまだ正気だった。一花を組み敷いていたカミナに飛びかかり、姉妹を返せと泣きながら殴りつけてきたのだ。四葉が慌てて止めなかったら、カミナを殺していたかもしれない。
「ああ……別にいいぜ。気にすんな」
「で、でも、その……大切な家庭教師さんを……うぅ……わ、私ったら……なんてことを……」
「いやいや、姉さんたちが知らない男からパコられてたら、怒るのも無理ねえからなw」
「パコ、られ……?」
「オマンコにチンポ挿れられて、パコパコって音立てながらセックスされることだよwww」
「ええぇ!? オ、オマッ、そ、そんなっ、ことっ!?」
五月は耳まで真っ赤にして俯いてしまった。ボンッと頭から湯気が出そうなほどだ。高校を卒業しようかという年頃にしてはウブな反応である。
(ヤベェ、こいつ超かわいいんだけど)
そんな五月を見て、ゾクゾクとした欲望が込み上げてくる。何というか、からかいたくなるタイプなのだ。顔が好みドンピシャなのは分かっていたことだが、乙女らしい恥じらいには心がときめく。この少女をもっと弄びたくなってしまう。
「あのぅ、それで……その、せ、せせ、セックスの授業って、どどど、どんな感じなんでしょうか?」
「おい、二乃」
「はいはい、お手本ね」
名前を呼ばれ、ソファの後ろに立っていた二乃が返事をする。制服の五月と違い、ずいぶんオシャレな部屋着を着ていた。ピンクと白を基調としたワンピース風のルームウェアだ。
「この子、かなり抵抗してるわね」
カミナにしなだれかかりながら、彼女は耳元で囁くように言った。そのまま頬にキスされる。甘い香水の匂いが漂ってきた。
「……っ!」
ビクッと震える五月を無視して、カミナはキスを返した。二人の唇が重なり合い、舌が絡み合う。
その様子を、五月は唖然とした表情で見ていた。膝の上に揃えた手を震わせ、瞳を揺らしている。恐怖と同時に好奇心も見え隠れしていた。
「んっ、んちゅっ、ふぅっ、はぁ……んんっ♡」
「んっ……そうか? 確かにお前より洗脳の進み具合が遅ぇ……けど、んむ、ぢゅるっ……」
「んふ……アタシの時は、ちゃんと追い詰めてから書き込んでくれたじゃない? だからすぐ肉便器になれたわ……ちゅ、へろぉ♡」
二乃は両手をカミナの首に回し、至近距離で見つめ合いながら話す。香水よりも強い色香を放ちながら、遺伝子を同じくする五月の姉はちろちろと舌先でカミナの唇を舐めた。
「ふふ、それにこの子は頭が固いもの。あと一歩って感じね」
「ふーん、そんなもんかね」
カミナの視線を受け、五月は慌てて頭を下げた。何を勘違いしたのか、弁解するように口を開く。
「す、すみません。頭が固くて……私なんかのために、二乃の授業時間を無駄にしてしまって」
「なんかって何だよ。お前はオレにとって大事な肉便器になる予定なんだぜ」
「ニクベンキ……?」
ぽかんと口を開ける五月。言葉の意味が理解できないのか、不思議そうな顔をしている。
「あ? エロ本とかで見たことないのか?」
「エロッ……! そ、そんなの知りま、知らないです! 知りません! ぜんぜんわかりません!」
五月の顔が真っ赤に染まった。恥ずかしさのあまりか、涙目になっている。しかしそれも一瞬で、すぐに表情を引き締めた。
「せ、先生、ニクベンキについて教えてください! 無知な私にどうかご教授をお願いします! さあ、早く! さぁ! さぁっ!!」
「プッw」
カミナは嗤う。何も分からないまま必死に真面目な顔をする彼女は滑稽で、幼稚で、とても愛らしいと思った。これが末っ子というものなのか。
「……そうだなぁ。まずは、他の生徒がオレとどんな事を……いやその前に、メシ食うか」
「はい? いえ、その、今は食欲がなくて……」
「あーダメだぞぉ、そんなんじゃ立派な肉便器になれねぇぞぉw」
「な、なな……! 分かりました、食べます、食べます! 立派なニクベンキになるためですから!」
「マジでおもしれーな、お前」
◆◆◆
五月は食卓の椅子を引き、姿勢良く腰掛けた。そして背筋を伸ばしたまま、真剣な眼差しでテーブルの上に並べられたものを眺める。
「ほら、食えよ」
「は、はい……いただきます」
隣に座るカミナが差し出したのは、二乃お手製のサンドイッチだった。ハム・レタス・チーズが挟んであり、五月も好きなレシピだ。
(おいしい……食べ○グ3.4クラス……さすが二乃です)
シンプルなサンドイッチの優劣を分けるのは、具材の一つ一つをいかに丁寧に仕上げるかである。つまり料理人の技術力によって決まると言っても過言ではない。姉妹で一番の料理上手という二乃の地位は揺るぎないようだ。
カミナが、スマホのレンズをこちらに向けた。
向かいの二乃が呆れたように彼を見ている。
「またそれ? ワンパターンじゃない?」
「別にいいだろ、効き目は確かなんだから。お前もかけてやろうか?」
「嫌よ。食事中にイヤらしい事は考えたくないわ」
『中野五月は、カミナから与えられた食物を最高の美味に感じる』
(……? ………………っ!?)
二乃の言葉を怪しむ気持ちは、すぐに消し飛んだ。飲み込んだサンドイッチから、熱い何かが流れ込んでくる感覚があったからだ。まるで胃の中で熱を発しているような錯覚を覚えるほど熱く、そして重い。
ドクン、と心臓が高鳴るのを感じた。全身の毛穴が開き、ぶわっと汗が噴き出すような感覚に襲われる。視界が歪み、呼吸が荒くなる。
「お、お、お、おいしいでしゅ……おぃひいれひゅ……」
すごい。すごい美味だ。五月は食べるのが好きで、趣味でグルメレビューを投稿している。味覚には自信があるつもりだった。それなのに、こんなオイシイものを今まで食べたことがないと思ってしまうほどの衝撃だった。
「美味いだろ? もっと食っていいんだぜ」
カミナの言葉にコクンと頷く。サンドイッチを手に取り、口に運ぶ。もう止まらなくなっていた。
ぱく、もぐっ、もぐ……、……、……、
「う、ううっ」
噛みしめることが、できない。あまりにも美味すぎて怖いのだ。口内を満たす幸福感が破裂してしまいそうで、それが怖くて歯を立てられない。ただ舌でそっと圧迫し、染み出してくる旨味を味わっていくことしかできない。
気づけば五月は涙を流していた。ぼろぼろと零れる涙が頬を伝い落ちる。
(こんなの、初めて……!)
この味に比べればどんな高級料理店も陳腐に思えるだろう。それほどの感動だ。これまで様々な美味しいものを食べてきたが、そのどれにも勝る至福の味に思えた。これほどのものに出会えるなんて想像すらしていなかったのだ。
(ああ……幸せです……こんなに幸せなことがあって良いのでしょうか?)
何とかあごを動かす。歯の表面から神経を通って脳髄まで快楽物質が届く。脳内麻薬の大量分泌により多幸感に支配され、意識が飛びそうになる。しかしそれでも本能が栄養を求めるように、手は勝手に次の一切れを口へと運んでいた。
「うまいだろ?」
こくこくっ!
何度も頷くことで返事する。もはやこの世の食べ物とは思えないほど、それは美味しかった。一口ごとに身体の奥底から力が湧いてくるような気さえする。
「自分の料理でソレされると、なんだか複雑ね」
二乃の言葉が理解できない。咀嚼するほどに心が溶けていくようであり、飲み込むのが惜しいほどだ。五月はひたすら貪るように食べ、心と口をいっぱいに満たしていった。
「おかわりもあるぜ」
「ふぁい……ありがとぅございまふ……♡」
言われるまでもなく、差し出されたサンドイッチを頬張る。夢中になって咀嚼していると、ふいに股間から温かな液体が垂れてくるのを感じた。
「んっ……♡」
びくん、と腰が震える。ショーツは何色だったろうか。もし白だったら、きっと染みが目立つだろうな、などと考える。恥じらいでもじもじと腰を動かしてしまうが、それがかえってスカートの裾をめくれさせ、余計に恥ずかしさが増した。
「五月、すっごいトロけた顔してるわ。肉便器の才能があるんじゃない?」
「あぁ、これマジ最高だわ……」
2人の会話もどこか遠く聞こえる気がした。もっと食べたいという思いとは裏腹に、身体が言うことを聞かない。全身が弛緩して動くことすら億劫になり、リスのように頰を膨らませながら、ただひたすら嚥下することだけに集中した。
「うまいだろ? もっともっと味わってくれよ」
その言葉に操られるように、五月のあごが動きを再開する。恐る恐る咀嚼し、快楽信号でフリーズし、陶酔して涙を流す。そしてまた咀嚼しようと顔の筋肉を震わせる。
そんな姿を、二乃とカミナはニヤニヤと笑いながら眺めていた。二乃はテーブルに頬杖をつき、カミナはまるで飼い犬を撫でるかのように五月の頭を撫でている。
カミナの指先を髪に感じながら、五月はうっとりと目を細める。止めどなく溢れてくる唾液が顎を濡らし、糸を引いて滴っていく。だがそれすらも美味しそうに思えてしまう。ソースが混じった唾液が、あたかも極上のハチミツであるようだ。
「はぁ、ぁむっ、んぅっ」
五月は必死で喉を動かし、ついに最後の一欠片を飲み込んでしまった。最高の美味は、麻薬よりも恐ろしいのではないかと思う。恐ろしいはずなのに、食べ尽くしてしまったことが惜しくてたまらない。
「ごちそうさまでした……」
もう終わってしまったのか。もう少し、せめてあと一口だけ食べたかった。そんなことを考えてしまう自分が、とても浅ましい存在に思える。口の中にはまだ甘い余韻が残っており、まだ足りないと本能が訴えかけた。
「どうだ? 美味しかったか?」
「はい……本当に、すごく、すごく、美味しかったです……」
カミナの問いかけに、五月は素直に答えた。その様子を見てか、カミナは満足そうに頷く。彼は二乃の方を向き、問いかけた。
「二乃、どう思う?」
「ま、十分じゃない? 五月はもともと食いしん坊だし、紐づけにはなるでしょ」
「やれんのか? 催眠」
「三玖のアカウントで音声聞いて練習したの。あの子の趣味も結構……結構よね」
彼女はそう言うと椅子から立ち上がり、テーブルを回って五月の背後に立つ。そしてそのまま優しく抱き着くように腕を回してきた。ふわりと甘い匂いが広がる。香水だろうか。
(いい匂い……それに柔らかいです)
柔らかな胸が背中に押し付けられる感触が心地よい。母の抱擁を思い出し、五月はぼうっとした気分になった。
「そうよ、リラックスしなさい。安心していいのよ……アタシは味方……五月のこと、大好きよ」
耳元で囁かれる言葉は甘く優しかった。まるで魔法のようだ。彼女の言う通りにすれば間違いはないと思わせるような説得力があった。
だから五月は抵抗しなかった。それどころか自分から身体を預けるようにして、体重をかけた。すると彼女の腕もそれに応えて、ぎゅっと抱きしめてくれる。暖かな体温に包まれていると心地よかった。
「二乃、良かった……無事で……、私、嬉しいです……、あなたが好き……、大好きです……」
「……ふふ、ありがとう。でも大丈夫よ。アタシは無事。みんなも無事。だから、安心する。だから、すごく安心する……大丈夫、ゆっくり力を抜いて……」
いつもはエッジの効いている二乃の声が、今は柔らかで優しげだった。凄く安心する。力が入らない。このまま身を委ねてしまいたい。
「じゃあ次は目を閉じて……眠くなってくるわ……何も考えないで、力を抜くの……深く息を吸って……吐いて……すぅー、はぁ──」
吐息に合わせて深呼吸をする。ゆっくりと、静かに呼吸を繰り返すうちに思考がぼやけていくのが分かった。
「頭がふわふわしてくる……。アタシの声だけが、頭の中に響くようになる……」
二乃はそのまま手を滑らせると、五月の乳房をそっと持ち上げた。両の手が、乳房を優しく包み込む。ふにゅんと指が沈み込み、そのまま揉みしだかれる。
「……♡」
五月の口から熱い吐息が漏れる。その反応を確かめてから、二乃は親指を胸の先端に押し当てた。すでに固くなっているそこを、コリッコリッと転がすように刺激する。
「んっ♡ ふっ♡」
思わず声が出た。血を分けた姉妹だ。一緒に風呂にも入るし、ふざけて体を触り合うことくらいある。だが、こんな露骨に性的な手つきで触られたのは初めてのことだ。
「あ、んっ……♡」
五月はされるがままだった。ニットベストの上から胸を揉まれるたびに甘い声が出る。二乃の手が動く度に体の奥底から切なさが込み上げてきて、自然と内股になってしまう。
「ねえ五月、サンドイッチは美味しかった?」
「ん、っ、はい、とってもぉ……カミナ先生にスマホ向けられてから、すっごく美味しくなってぇ……♡」
ぼんやりとした頭で答える。頭がボーッとしていて考えがまとまらない。まるで夢の中にいるようだった。
「そうよ、カミナはなんでも最高にしてくれる。トイレも、お風呂も、服を着替えるのも、ぜんぶぜんぶカミナは美味しくて気持ちのいいことに変えてくれるのよ……」
後ろから耳元で囁かれる言葉に、五月は脳を揺さぶられる。確かに、美味しかった。人生観を塗り替えられてしまうような美味しさだった。カミナ先生は、生活の全部をあんな最高のものに変えてくださるんだ……。
(それは、性的なことも?)
危険な妄想が膨らみ始める。一回の食事で、あれだけの多幸感を味わえたのだ。もし、もし、スマホを向けられながら、恥ずかしい場所をじっくりと弄り回したら。自分はどうなってしまうのだろう?
(そ、そんな、でも、そんなこと……)
「あら、イヤらしい顔してるわね……♡ ふふ、想像しちゃった? もちろん、もっとすごいわよ……アンタの好きなローターより、あのヴヴヴって震えるやつよりも、ずっと気持ちいいんだから……」
「やだぁ……なんで知ってるんですかぁ……」
「わかるわよ、一緒に暮らしてるんだもの。アンタってなんでも貪欲よね。いやらしい言葉は知らないのに、エッチなことには興味津々……♡ ……ん、む……」
「あっ、やぁ……みみ、だめですぅ……ぞわぞわってするぅ」
耳の中に舌を差し込まれ、ぬめった粘膜の感触に背筋が震える。同時に胸の先端をカリカリと引っかかれ、下半身の奥がきゅんっと疼いた。
二乃はブラウス越しに勃起した乳首を指先で弄びつつ、さらに言葉を続けていく。
「カミナが教えてくれるセックスは、ローターなんかよりずぅっと気持ちいいの……♡ もっと、もっともっと素敵な快感……♡♡」
「そ、そんなのウソです……だって、私はしたことないし……そんなの、絶対、気持ちよくないです……」
「いいえ、気持ちいいわ。ホントに気持ちいい……♡ サンドイッチが何倍も何十倍も美味しくなったように、この気持ちよさが何百倍も、何千倍にもなるの……♡」
また、乳房をゆっくりとコネ回される。ニット越しに感じる手つきは、もどかしいくらいに優しい。けれどそれが余計に欲望を掻き立てるのだ。これが、この気持ちよさが、何百倍も、何千倍にも?
「やっ、あ、ふぁっ、そんな、そんな事になったら、わたし死んじゃいます……!」
五月は恐怖を感じて身を捩った。そんな快楽は耐えられないと思ったからだ。だが、二乃の腕は五月を逃さない。
「大丈夫よ、死ねば生まれ変われるわ。カミナが肉便器に生まれ変わらせてくれる。何回でも、何度でも、気持ちのいいパラダイスに連れてってくれる……♡」
「いやっ、そんな、怖いですっ、ニクベンキ怖いっ、ああんっ!」
二乃の手つきが変化した。先ほどまでの愛撫のような優しいものではなく、快楽を与えるための動きだ。指をバラバラに動かし、服の中で先端を責め立てる。五月はたまらず声を上げた。
「あんっ、ひっ、ああんっ♡」
「ほーら、気持ちいい、気持ちいいよね、でもこんな程度じゃないの、カミナならもっと、もっともっと、きもちよーく、きもちよーく、しあわせに、カミナなら、きもちよーく、カミナなら、しあわせに、しあわせに……♡」
何度も繰り返される言葉が頭の中で反響し、どんどん思考が鈍っていく。
カミナだったらもっと気持ちよくなれる……?
じゃあ、もっともっと凄いことを……?
そんな思考を読んだかのように、二乃は続ける。
「そうよ、カミナならもっと幸せにしてくれるの……♡ だから安心なさい……ほら、あんしんするぅー……♡ あんしんするぅー……♡」
「あんしんするぅー……♡」
口から勝手にその言葉が出た。その瞬間、身体がふわりと軽くなる。心がふわふわと浮き上がるような不思議な感覚だった。二乃の言葉に逆らえない。
「おい二乃、もういい加減チンポがバキってしょうがねえぜ」
カミナの声。二乃の手が、声が離れていき、五月は震えた。ずーんとした、突き落とされるような喪失感。喉がキュッと細まって、お腹がブルッと震えて、五月はう゛ーっと低く唸った。
(やです、離れちゃ、いやです……)
「もう、しょうがないわね。もうちょっとでオトせたのに」
「グチグチ言うな、お前の声がエロすぎてムラついてんだよ」
「最低……♡」
二乃を探して、五月は振り向いた。その拍子に、ぐしょぐしょになったショーツが股間を擦り上げる感触に身を震わせる。こんなに興奮していたなんて。そう思うと汗がどっと噴き出してきた。鼻がツンと痛くなる。
(私、今どんな顔をしているんでしょう……)
二乃を見る。彼女はルームウェアを脱ぎ始めていた。あちこちに鬱血の跡があり、白い肌には点々と赤い花が咲いている。その光景を見て、ゴクリと喉が鳴った。
(あれ、あれが、キスマーク? あの印は、愛された証……)
痛々しい姿。だが彼女はどこか誇らしげに、五月の方を見た。自慢するように乳房を揺らし、見せつけるように藤色のブラを外す。現れた乳肌にも、やはりキスマークが刻まれていた。
「それじゃあ五月、今から私がお手本を見せてあげるわ」
にんまりと笑いながら言う。ちろりと覗いた舌が、蛇のように唇の上を舐め上げた。
(続く)