※この作品はR-18です。

原作崩壊のNTR小説   作:pace

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こちらは後編になります
感想等ありましたらコメントよろしくお願いします!



位高き乙女の◾️は誰の手に(後編)

 見渡す限りの砂浜に青い海、そして遠くには島を見下ろすモードレッド、玉藻、マリーの像。そこは立香が初めてカルデアで迎えた夏の特異点、ブルースカイランドを模したエリアである。やはり夏と言えば海や水辺を体験したいと立香とクリームヒルトの思いが一致し、海に行くことに決めたものの場所は何処にするかと悩んだ末にカルデアの夏の原点であるこのエリアと、海に隣接し離れ島、遺跡、財宝が眠る洞窟がひしめくカリブエリアに行くことにしたのだ。

 

 ルルハワやラスベガスエリアに水辺はあるのだが、人気があるため正体を隠すサングラスを着けていても万が一にジークフリート等の英霊の知り合いと遭遇するのを避ける為、上記のエリアを今回は見送ったのである。こうしてやって来たブルースカイランドの浜辺、道中見つけた出店でアイスを買うため立香はクリームヒルトを先に行かせた。数分ほど待ち立香は自身とヒルトの分を買うと彼女の元に小走りで向かう。そこには辺りには頭から埋まり震えている男性達の間にクリームヒルトは立っていた。

 

「お待たせヒルト! モカ味のアイス……周りの砂浜に埋まっている人は?」

 

「ありがとう立香。ああ、これは人を待っているって言ってもしつこかったからついね。まあ首を刎ねてはないからいいでしょ?」

 

「ま、まあ無理強いしたのは良くないし、生きているみたいだし暫く放置しておくか……多少はナンパ男の気持ちも分からなくはないけど」

 

「ふうん? そんなに?」

 

 立香の前に立つクリームヒルトは昨日までの私服でもなく、ましてや何時もの喪服でもなかった。黒とパープルの二色で構成されたドレスと見紛う水着を着ていたのだ。大きく開いた胸元、スリットから映える艶かしい美脚、物憂げな美貌も合わさりビーチで一人佇んでいれば声を掛けない男は少ないだろう。

 

「うん……オレでも声掛けたくなっちゃうもん。やっぱりヒルトには黒が良く映えるよ!」

 

「そう。あの人(ブリュンヒルデ)から押し付けられたんだけど、持ってきて正解だったわね。それで? あなたもナンパしてみる?」

 

「ナンパか。あー……絶対、後悔させないから。オレと付き合ってくれる……?」

 

「……ふふ。それナンパって言うよりプロポーズじゃない……いいわよ」

 

 ナンパ文句を言おうとして、立香は心に浮かんだ言葉をそのまま口にしてしまう。クリームヒルトもそう受け取ったがそれはナンパというよりはプロポーズのそれで、言った後でそれに気付いた立香も言われたヒルトも顔を赤らめてしまう。

 

 それは日差しのせいではあらず、恥ずかしさによるものであるのは明らかだった。だがクリームヒルトには効果的だった様で、彼女はくすりと微笑みながら立香のプロポーズ染みた言葉を受け入れる。

 

「行きましょう立香。あなたとのデートを選んだこと、後悔させないでね❤️」

 

「う、うん!」

 

 そしてクリームヒルトは立香の手を取ると、指を絡ませあい恋人繋ぎをする。積極的に迫る彼女に驚きつつ立香も握る力を強くすると二人は歩き出す。アイスを味わいながら、道すがら見える風景や建築物に二人は各々の感想を述べて談話する。

 

「にしてもオレの知ってる島と結構違うなぁ。あそこに見える像は一つしかなかったし、結構変わっているなぁー」

 

「そう……いえあんな像を一つでも作る時点でなかなかに変わっていると思いますけど!?」

 

「いやーあの時は夏で浮かれていたからね〜必要以上に凝った物をよく建てたなー。オレの時に建てたお城やロックな塔の他に、選ばなかった物も建っていて混沌としているなぁ」

 

「お城はいいチョイスね。ただ塔、塔……いえ何なのあれ? どうやって作ったのか意味が分からないですし! というかフツーに崩壊していません!? よく平然と観光スポットになっているわね!!」

 

「それは、そうだね……」

 

 クリームヒルト怒涛のツッコミに苦笑しつつも同意してしまう立香。崩壊途中で聳え立つロックな塔はスカサハの魔術の協力の元建てられた塔で安全は保証されているが、見ていてヒヤヒヤする程の壊れっぷりでクリームヒルトの意見も最もだった。その後も目に映る建築物、一つ一つにコメントするクリームヒルトに立香は改めてデートに誘って良かったと感慨深く思った。

 

 何気ない会話でも思い出や感想を共有するたびに相手を知ることが出来るので、立香もクリームヒルトも心底楽しそうに歩いていた。時折すれ違う観光客が二人の方を振り返って注視するも、当人達は隣のパートナーにしか意識が向いていなかった。こうしてアイスを味わい観光すること十数分、立香の時にはなかったビーチが二人に目に入る。砂浜にパラソルやビーチチェアも設置されており、観光客で賑わっていた。

 

「おお! 何もなかった砂浜がリゾートビーチに! 海の店も出来ている!」

 

「ビーチバレーなんかもやっているわね。参加してみる?」

 

「いいね、オレとヒルトのコンビネーションを見せつけちゃおうか!」

 

「思い付きで言ったんだけど元気ねー……なら参加する前に日焼け止め、お願いしていいかしら❤️」

 

「日焼け止め!? ああ、いや、りょ、了解……それじゃあ空いているパラソルの下でやろうか」

 

 クリームヒルトの方からくるとは思っていなかった提案に立香は聞き返してしまう。彼女のジロリとした視線を受けたので訝しみながらも了承すると、彼女と共にパラソルの下へ歩き出した。日焼け止めを塗ること自体は問題ないのだが、彼女が人の目が多いビーチで塗ってほしいと言い出すとは思わなかったので虚を突かれてしまったのだ。

 

 普段のクリームヒルトの性格から考えて不自然な提案だと思案している最中、持参したビートマットの上でうつ伏せになるクリームヒルト。立香は日焼け止めクリームを手になじませながら、彼女に何故自分に任せた理由を尋ねる。

 

「ヒルトから日焼け止めを塗って欲しいって言われるとは思わなかったよ。ほかのビーチよりマシとはいえ結構人目があるし、てっきり嫌なんじゃないかと」

 

「まあそうね。ただそれでもあなたに塗ってほしかったのよ。だって他のサーヴァントにはしたのでしょう? カーミラやあの水着サーヴァントが話していたわ」

 

「あ、ああ~~。それは、うん、やったことあるね。それでかぁ」

 

 クリームヒルトは親しい相手にだけ分かる不機嫌な声でとある英霊の名前を出し、彼女達にはしたことを自分にもしてほしいと語った。実際、彼女が来る以前にサーヴァントは日焼けしないのだがサンオイルや日焼け止めを塗ったりしたことがあったのだ。薄々と気が付いていたことに合点がいったことで、立香は口に出して納得する。

 

 これまでのバレンタインの贈り物やサバフェス会場のレイヤーでのこともそうだったが、クリームヒルトは立香が他の誰かにされたりしたことを自身もしたりされないと気が済まないタイプの様であった。今回の日焼け止めも他のサーヴァントが立香にされたことを話していたのを聞き、自身もしてほしいと思ったのだろうと立香は推察する。クリームヒルトも言っていて独占欲、嫉妬心の強い面倒臭いタイプの女になっていると自覚したのか、顔をビーチマットに押し付けて脚をジタバタとさせていた。が、立香はむしろ嬉しく思っていた。立香は自身の好いている女性にそう想われてむしろ喜ぶタイプであった。

 

「そうだったのかぁ……よし! ヒルト、今日は今まで以上にはりきって日焼け止め塗るよ! まずは背中を──」

 

「へ? ちょ、あっ、ひんやりして……ふわぁっ❤️ んんっ❤️」

 

「ちょっ! ヒルトもう少し声を抑えて……! 周りの人が怪しむからっ」

 

「んっ❤️ そんなこと言ったってぇ❤️ 立香の手つきが厭らしいからぁっ❤️ ぅっ❤️ ふっ❤️」

 

 立香が日焼け止めをクリームヒルトに塗った瞬間、彼女は喘ぎ声にも似たくぐもった声を上げる。幸い周囲に人影がない位置を取れたこともあり不審に思われることはなかったが、声だけ聞けばヤッてると思われかねないもので、もしここが外でなかったら立香自身彼女を襲いかねないほどにその声は甘美なものであった。

 

 立香としてはこのままクリームヒルトの嬌声を聞いていたい気持ちもあったが、外ということから見ず知らずの人に聞かれるのも癪であるので、彼女の敏感な肌に合わせる様に手の動きをゆっくりしてみることに。

 

「なら今度はゆっくり動かすよ……どう、大丈夫?」

 

「んっ、そうね……いい感じじゃないかしら」

 

「オッケー。ならこの調子で塗って行くよ……しかし日焼け止めクリームを塗っただけであんなになるとは。確かにエッチの時も指で背中をすーってやると反応が凄かったけど」

 

「なっ!? いえさっきも言いましたが、立香の手つきが卑猥だったからで決して弱いわけじゃない──ひゃぁっ❤️❤️ ちょっと! 話している途中で激しく動かさないの!」

 

「いや、ヒルトが動いたからだよ!? やっぱりヒルトって背中よわよわなんじゃ」

 

 以前からエッチの際に背中に指を這わせるとクリームヒルトは目に見えて反応を示していたので、性感帯なのか思っていた立香がそう言うと図星だった様でヒルトは慌てふためく。しかしヒルトが慌てた拍子に身じろぎしたことで手が滑り、勢いよく日焼け止めが塗らさり彼女は甲高い声を上げる。が、それでもクリームヒルトは弱気を見せない様に余裕だと豪語する。

 

「くふっ……! い、いえぜんぜん余裕ですけど!? もう慣れてきましたから、もっと勢いよくしてもいいわよ!!」

 

「うーむ。背中以外なら大丈夫かなぁ? じゃあ次は背面全体を塗るから駄目そうだったら言ってね」

 

「ええどうぞ……んんっ!」

 

 クリームヒルトの言葉を受け、立香は彼女の魔剣を振るう狂戦士とは思えぬ程にか細い白亜の腕に日焼け止めを塗り始める。日頃、この腕に守っていてもっていると思い、立香は改めて感謝の念を抱きながら日焼け止めを丁寧に隅々まで塗る。チラリとクリームヒルトの様子を見ると、先程よりかは平静を保ち日焼け止めの感覚を享受していた。

 

 先程の痴態の原因から旦那と同じく背中が弱点なんだなと立香は思いながら、首から肩と下りふともも、すね、ふくらはぎと日焼け止めを塗る。いつまでも触っていたい感触を感じながらも作業は順調に進み、いよいよ残るは水着の中と正面だけだった。

 

「えっと後はヒルトが自分で──」

 

「ん……水着の中も、前も、やってくれる」

 

「ッ……!? 本当にいいの? 近隣にこそいないけど人目はあるし……」

 

「ええ。聞いた話だとあの娘達にはしたのでしょ? なら……私にもしてほしいの。昨日だって散々触っていたでしょ?」

 

「それはそうだけど、二人きりの時と人気のある時じゃ話が違って……ええいままよ!」

 

 ここまでくるとクリームヒルトが引く気がないのは立香も十分理解したので、彼女のじっと見つめる視線に逃れるかのように水着の中も前も塗る決意をする。手に日焼け止めを馴染ませ立香は水着の中に手を滑らせクリームヒルトの下半部、つまりはお尻に日焼け止めを塗る。大きな桃の様な胸とはまた違う感触に立香は日焼け止めを塗るだけに留まらず揉みしだいてしまう。クリームヒルトは小さくくぐもった声を漏らす。

 

「んふっ❤️ もうっ、また手つきが厭らしくなっているわよ❤️ 昨日、あんなに揉んだのに❤️」

 

「あっ、ごめん。ヒルトの体はいくら堪能しても飽きないからつい……」

 

「その調子だと胸でも我を忘れそうねぇ❤️」

 

「ぁっ……!」

 

 クリームヒルトの呆れた混じりの声に立香は生唾を飲み込み、これがまだ前座であったことを思い出す。彼女の豊満な桃尻は下手な胸より揉みごたえのあるものであったが、やはりたわわに実った巨峰は立香にとって格別のご馳走であった。そんな極上の快感である彼女の胸に思いを抱きながら、立香は日焼け止めを腕や脚に塗り続ける。

 

 だがその塗りは彼をよく知るクリームヒルトだからこそ気付けたが、先程に比べて幾ばくか精細を欠いており目の前のことに集中しきれていないのが現れていた。それでも真白の肌が日焼けしない様にまんべんなく塗っていた。そんな心だけ先に先にと先行している立香にクリームヒルトは微笑すると、お待ちかねの次へと促す。

 

「ふふ、そこはもういいんじゃないかしら? 次は、ね?」

 

「あっ……うん。それじゃあ、失礼して……っ!」

 

「本当に立香って胸、好きよねぇ……ぁん❤️」

 

 立香はクリームヒルトの許可が降りるや否やすかさず手を水着ブラに滑り込ませる。幾千と幾度と挟まり、吸い付き、味わった彼女の母性の塊を鷲掴みする。最早日焼け止めという目的から逸脱し、快楽のために立香は彼女の胸をまさぐっていた。かすかに残った理性で彼女との行為を人目に付かない様に立香は己の体で彼女自身を隠す。クリームヒルトもまた期待していたのか、乳首は隆起しており立香は指で舐る様に弄ぶ。

 

 二人の顔色はパラソルで夏の日差しを遮っているのにも関わらず真っ赤に染まっており、両者の興奮を表すかの様に濃くなっていた。立香はそのまま片手を彼女のスカートに忍ばせ、性の蜜が零れる秘部に手を這わせ日焼け止めと蜜が混ざる。荒い息を吐き出しながら、見つめあい立香が顔を近づけるとクリームヒルトは指で口を制する。

 

「はいそこまで❤️ まだ日も落ちてないんだから、お楽しみは夜にとっておきましょう? 日焼け止め、ありがとうね❤️」

 

「ッ~~! むむ……まあそれに加えて外だもんね。夜のために、今は我慢だね」

 

「ええ❤️ 夜になったら思いっきりね? 一先ずその昂りは運動で解消しましょうか」

 

「ああ! この昂りをスパイクにありったけ込めるよ!」

 

 クリームヒルトに魅了され、彼女にのめり込んでいた立香は彼女の言葉で我を取り戻すと夜まで我慢することに。だが一度湧き上がったムラムラとした気持ちはそう簡単に解消されるものではないので、立香はこのビーチでの当初の目的であるビートバレーで発散しようとする。澄み渡る青空の下、立香とクリームヒルトの二日目はまだ始まったばかりであった。

 

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 まだまだ夜は遠いといわんばかりに日差しが降り注ぐ中、立香とクリームヒルトの周囲にはレンガ仕立ての建物が並んでいた。先程までいた無人島がモデルだったブルースカイランドエリアと違い生活感に溢れたそこはカリブ島を模したエリアであった。そこで立香達はビーチバレーでたくさん動いたこともあって、酒場兼軽食屋のオープンテラスで小休止をしていた。背もたれに体を預けリラックスしながら、二人はビーチバレーで起きた顛末について語っていた。

 

「いやー良い汗かいたな~~! まさか他の英霊と対決することになるとは思わなかったよ」

 

「燕青とアレキサンダーが組んでバレーしてたなんて普通思わないわ。他にもぞくぞくとサーヴァントが集まってきて一大イベントになっていたわねぇ……まさかあの人まで来るとは思わなかったけど」

 

「うん。まさかジークフリートまで来るなんて……礼装もあるしすれ違いで離脱できたから大丈夫だとは思うけど冷や汗が出たよ」

 

 日焼け止めを塗り終わり二人はビーチバレーに参加したのだが、そこで当たったのが燕青とアレキサンダーのコンビだったのだ。結果は惜しくも勝利を逃してしまうが、英霊二人にここまで善戦出来たのが不思議なほどで、立香はそれがクリームヒルトとの抜群のコンビネーションのおかげだと認識していた。

 

 その後はクリームヒルトが語った通り、マリーやモードレッドを始めとしてスパルタクスやジャガーマン、ネロや玉藻等も乱入してビーチでは一躍大イベントになっていた。流石に目立ちすぎるのはよくないと立香とクリームヒルトが離脱を決めた直後、ジークフリートがやってきたのであった。

 

「一緒にいた小太郎がこっちのこと見ていた気がするけど気のせいな筈……」

 

「……まあもしバレたとしても私がどうにかして収めるから気にしなくて──」

 

「それは違うよ。こういう関係になったのはオレがきっかけなのは間違いないんだから、その時はオレも一緒だよ」

 

 クリームヒルトの言葉に被せるように立香は宣言する。友達(セフレ)になるのを持ち掛けたのは立香なのは疑いようもない事実であるからして、もしジークフリートにバレてしまったとして自分だけ安全圏にいるというのは論外であった。立香の強い決意が籠った瞳にクリームヒルトは頬を朱に染め、目だけ逸らして話を切り上げようとする。

 

「あなたはそう言うわよね……話を変えましょう、その時はその時よ」

 

「そうしようか……この後だけど昨日見かけた遺跡でのイベントに参加でいいんだよね?」

 

「ええ、楽しみね。それにしても、本当に用意しているのかしらお宝。この主催者イマイチ信用が出来ないけど」

 

「用意はしているんじゃないかなぁ。ただ遺跡の罠の難易度を滅茶苦茶高くしてゲット出来る人を絞っていたり、参加費用等で元は取れる様にはしていたりしそうかな」

 

「ああそういう。あの歯茎おばけのことだからあり得るわね」

 

 これから参加するイベントに対して気楽に話を咲かせる立香とクリームヒルト。二人は前日の夜食後、道すがらレポートを協力してもらったカドックやカルデアの皆へのお土産を探している時に遺跡を舞台にトレジャーハントイベントを開催する案内のポスターを見かけていたのだ。立香は以前にダ・ヴィンチちゃん等とカリブ海諸島特異点での冒険したことをクリームヒルトに話しており、それを聞いた彼女は体験したいと興味を持っていたらしく、ポスターを見た彼女は参加してみようと立香に提案していたのだ。

 

 そして当日、カリブエリアで根っからの商人気質な船長サーヴァントが催すイベント会場に移動する道中、ブルースカイエリアも近くであったので時間潰しがてらビーチバレーを楽しんだのが今日の流れだったのである。そうして暫く二人は話し込み、ビーチから急いで離れた疲れを癒すとイベントの開始時刻が迫ったこともあり移動を始める。

 

「それじゃあ行きましょうか? あんまり人はいないといいのだけど」

 

「うん! 飛び入りもOKな辺りあまり人気はないのかなー?」

 

 立香とクリームヒルトは開会式兼集合場所にもなっている港へと向かう。何時も通りと言わんばかりに手を繋ぐも忘れずに。港には休憩をした軽食屋からはさほど離れてはおらず、歩いて五分程で目的地に到着出来たのだが、その人の多さに二人は唖然としてしまう。小規模のイベントと想定していたのが、まさかの数百人規模のイベントで戸惑いを隠せなかった。

 

「まじか。こんなに人が集まっているだなんて。あー滅茶苦茶知っている人が何人もいるし」

 

「さ、流石にあの人はいない……わよね?」

 

「見える範囲にはいないかな──っと! すみません、ぶつかってしまって……ッ!?」

 

「いや、こちらこそ相済まぬ。怪我はないか少年」

 

「りつ──げぇっ」

 

 立香は周囲を見回している内に参加者であろう人物とぶつかってしまう。立香からぶつかったというのに相手は微動だにせず、むしろ押し返されてしまった。立香が顔を上げるとそこにいたのは己やクリームヒルト両名にとっても交流のある剣士、柳生宗矩であった。更に彼の後ろにはボイジャー、宇津見エリセ、太歳星君、ワンジナと何時だかの特異点で二人と歩んだサーヴァントがイベントの開催を今か今かと心待ちしていた。

 

 辺りを見回していたクリームヒルトも立香の異変に気付き振り返る。そして柳生宗矩を目撃し小さく呻き声に似た声を漏らしてしまう。彼女にとって柳生はなかなかに食えない好好爺であり平時なら邪険にする人物ではないのだが、今この状況では出来る限り会いたい人物ではなかった。礼装によってカモフラージュしても見抜かれるかもしれない、そんな凄みが柳生にはあるからだ。

 

「……大丈夫です。ぶつかってすみません、それでは──」

 

「ふむ。貴殿等もこの“いべんと”に参加を? なれば我らと同じ目的、手を組むのも一計ではなかろうか?」

 

「それは……ありがたい申し出ですけど、自分達は二人の方がやりやすいと思うので」

 

「であったか。ならば仕方あるまいな」

 

 柳生の鋭い視線と一緒に告げられる提案に立香は、戸惑うが長い間一緒に行動すればバレるリスクを無駄に高めるだけなので断りを入れる。立香が断っても柳生の顔色は動じず、ただ気まぐれに誘ったのかそれとも思惑があったのか立香には計り知れなかった。立香はそのままクリームヒルトの手を引いて柳生から離れるようとすると、彼の方から声を掛けられる。

 

「双方、悔いが残らぬよう良い一日を。決着をつけられるとよいな」

 

「っ……! ええ、そうするわ」

 

 柳生の言葉に立香は気付かれたのかと息を飲む中、口を閉じていたクリームヒルトが彼に答えた。決着、それは暗に二人の不義の関係について把握しているとでも取れる言葉で、立香は思わず柳生の方に振り返るが時既に遅く柳生の姿は見当たらなかった。

 

 立香が柳生のいた方を見っていると、繋いだ手に力が籠るのを感じた。彼女の方に振り向くも、当人は無意識だったのかこちらを見ておらず考え込んだ様子であった。立香は気にかかることが多く、考え事が独り言の様に呟いてしまう。

 

「柳生さん、気付いていたのかな……?」

 

「……気付いてはいなかったんじゃないかしら? ただ私達から後ろめたさの様なものを感じ取ったのでしょうね」

 

「後ろめたさか……ヒルト、決着って──」

 

「それについては後にしましょう……もうすぐ開会式が始まりそうよ」

 

「……そうだね、分かったよ」

 

 クリームヒルトの誤魔化すような言葉に、立香は深く追及はしなかったが察してしまう。彼女は今日明日で全てを終わりにしようとしているんじゃないかと。永遠に続くものはなく、引き伸ばしていた終わりが近づいてきたのだ。けれども立香は彼女を、クリームヒルトを諦めたくなかった。周囲の人間が今か今かとイベントの始まりを待っているのに対して、二人の顔はやや思い詰めた面持ちであった。

 

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 ────

 

 ──

 

 開会式は尖った白髭と破顔的な笑みを浮かべる主催者とその協力者であるキャスターや赤いセイバーの挨拶をそこそこに、参加者達を船に乗せると離れ島にある遺跡へと出港する。遺跡につくまでの短い船旅ではあったが、立香はクリームヒルトとウミネコに餌をあげたり海風を感じたりすることで先程までの張り詰めた空気が多少は和らぐのを感じた。そして船が島に付くと、参加者達は主催者から連絡用の道具を受け取ると一斉に遺跡へ乗り込む。

 

 この宝探しイベントにこれといったルールはなく、遺跡の最奥に設置された宝箱を目指すというシンプルなものであった。これだけだと野良で宝探しをやるのと何ら変わりはないが、そこで主催者は料金次第でサポートを行うシステムを取り入れていた。緊急脱出用の道具の他、トラップの位置や最奥以外の隠し財宝のヒントを記した地図等々、様々な便利アイテムを取り揃えていた。立香とクリームヒルトは主催者を知った時点で何か裏が有るだろうなと思っていたが、ここまで露骨だとは思っておらず苦笑していた。

 

「あこぎな商売ね……脱出用の道具が安いのは最後の良心かしら?」

 

「うーん個人的な感想だけど、主催者側としては罠や魔物で死なれるより、脱出させてもう一度挑戦してもらった方がお得だからじゃないかな? お得な道具が有れば次こそはいけるかもって思うタイプもいると思うし」

 

「まあそうでしょう。あれが自分の利益に繋がらない行為する筈がないもの。加えて協力した英霊達のさしがねも多少は有るのかもね」

 

「何にせよオレ達は最低限の地図、基本的な探検道具や脱出用くらいで後は買わなくていいかな? やっぱり自力で攻略するのが、冒険の醍醐味的な所が有ると思うし」

 

「ええ私も同じ意見よ、ヒント付きの地図とか罠っぽい気配も有るしね。何よりあなたがいるのだから必要ないでしょう? 期待しているわよ立香」

 

「任せて! 一着目指して頑張るよ!」

 

 クリームヒルトの期待の眼差しに胸を張って答える立香。繁盛繁盛とニヤニヤ笑う主催者から探検道具と脱出用の道具を購入し、二人は遺跡へと足を踏み入れる。瞬間、魔術によって強制的に移動させられる時特有の感覚に襲われる。一瞬にして先程までとは別の場所に二人は立っていた。

 

 周囲を見渡すと通路の隅に鍵が掛かった宝箱があり、どうやらQPを使うことで道具が入手出来るようだった。更に視界の先は幾つもの道で分かれており、何処からか魔獣の唸り声や参加者達の悲喜こもごも様々な声が入り混じって二人の耳に届いていた。

 

「あのケモミミのキャスターの魔術かしら? これだと歩いて脱出するのも一苦労……ああ、あの鍵の掛かった宝箱を使えば脱出用の道具が手に入るみたいね……ほんと商売がお上手ね!!」

 

「夏で浮かれた奴から徹底的に絞ってやるという凄みを感じるなぁー。さてさて道は複数、何かヒントは……おっ、よく見たら海賊文字が刻まれているな」

 

「なあに、この海魔がのたうち回った様な線が文字なの? 暗号?」

 

「海に揉まれた人が書く文字らしいよ。以前暇な時に黒髭が書いたカンニングペーパーを見たことがあるから多分読めるよ……成程、内容はシンプルに宝への道を示している感じだね。こっちかな」

 

 立香は以前のカリブ諸島が特異点になった際、同行した黒髭が書いた海賊文字のカンニングペーパーを貰って読み込んでいたのだ。文章から最下層まで道のりが読み取れたので、立香はクリームヒルトを先導しながら足元や壁に注意しつつ先へと進む。

 

 壁が薄いのか道すがら聞こえる獣の雄叫びや剣戟の打ち合う音に正解の道を選べたとホッとした刹那、立香は首根っこを掴まれ横に引っ張られる。驚く暇もなく、先程まで立香がいた場所を通る様に弓矢が放たれていた。立香を引っ張ったクリームヒルトは己に飛んできた弓矢を片手で弾き飛ばしていた。

 

「おわッ……!? あ、危なかったぁ! 助かったよヒルト、よく罠を踏んだことが分かったね!? オレ、全然気が付かなかったよ」

 

「私も立香がいつ罠を踏んだかは分からなかったわ。そろそろだなって思っただけよ。他の道の音を聞かせて安堵した瞬間なんて一番狙いやすいでしょ? 私も罠を仕掛けるならそうするもの。あの主催者達は性格悪いわねぇ」

 

「おぉ~やっぱり奸計ではヒルトに敵わないなぁ。まんまとやられそうになっちゃったよ。経験者だからと張り切ったのにかっこ悪い所見せちゃった」

 

「そんなことないわ。あの海賊文字をすぐさま読みきるなんて頼もしかったわよ。適材適所、仲間と一緒に攻略するのも冒険の醍醐味じゃないかしら?」

 

「全くもってその通りだね。ありがとうヒルト、遺跡の攻略頼らせてもらうね!」

 

「ええ! 二人で最下層を目指しましょう」

 

 立香は改めてこの遺跡が一筋縄ではいかないことを身に染みて実感する。これまでの旅から一人で何でもやれないことは頭では理解していたのに、好いている人の前で格好つけたいあまり先走ってしまったのだ。そんな立香の焦りを和らげる様に微笑みながら諭した。クリームヒルトの言葉に平静を取り戻した立香はクリームヒルトと今一度協力して攻略することを心にとめ、改めて一緒に最下層を目指そうと立香は声にした。

 

 そこから立香とクリームヒルトの快進撃は始まり迷宮を突き進む。背後から迫る岩石に追いつかれないよう複数の扉から正解の道を選ぶ階層、特定のタイルを踏まないと罠が発動する階層、その人が好きな人や物の幻影で罠にハメようとする階層と様々な手で行く手を阻まれたが、立香のこれまでの経験と悪質な罠に敏いクリームヒルトのコンビネーションで次々と罠を突破した。そしてついに最下層に二人は到達するのも束の間、二手に分かれた道の片方からけたたましい破砕音と振動を感じた。

 

「壁の文字的にここが最下層で間違いな──いっ!? 前方から破砕音! もう他の参加者が来ていたのか!」

 

「へぇ、私達もかなりのペースで来たのにやるわね。それにこの気配は……隠れて様子を伺いましょうか」

 

 立香はクリームヒルトの言葉に頷くと隠密しながら進むと、そこはコロッセオの様に開けた大広間であった。そこには先程ばったりと遭遇してしまった柳生達がおり、数十を超えるソウルイーターやイースガルムやケルベロスと激闘を繰り広げていた。全体を制圧できる宝具を持つサーヴァントが4人もいるので本来なら苦戦する相手ではないのだが、柳生達のスキルや宝具を警戒する様に適格に咆哮で妨害していた。まるで人が操っているかの様に適格に行動しており立香が心底苦々しい声を出してしまう。

 

「うわ~面倒臭いタイプがいっぱいだぁ。それに何時もは単調な動きしかしないのに、強化したタイミングを見越して潰しに来てる。これを突破するのは時間が掛かるよ」

 

「同感だけどあのチームもそれは分かっている筈。なのにこちらを攻略しているのはもう一方の道が余程なんでしょうね。そっちも見てみましょうか」

 

 二人を来た道を戻るともう一方の道へ進むとそこには扉があり立香とクリームヒルトは注意しながら中を覗く。部屋の中は先程の大広間と同じくらい大きかったが中には漆黒のドラゴンが一匹だけおり、挑戦者を待ちかねたのか眠っていた。ぱっと見はこちらの方がずっと楽そうだと思ったが、歴戦のマスターである立香は感じ取ってしまう。あのドラゴンのタフネスは桁外れ(100万以上)|だと。

 

 更によくよく観察するとドラゴンの後ろには扉があり、扉の向こうから叩き続ける音がしきりに鳴り響いておりゴールにはほど遠いことを知らせてくれていた。最下層のコンセプトを把握したクリームヒルトと立香は顔しかめながら見合う。

 

「こっちの部屋……単騎でめちゃくちゃ強いタイプって感じね。これならあの四人があっちの部屋に行くのも納得だわ。ワンジナやエリセ、柳生のお爺ちゃんでも削り切れるか分からないうえ、まだまだ部屋が続きそうだもの。それなら普段戦うくらいのが数十体の方を選ぶわよ」

 

「あっちのパーティじゃこっちの攻略は難しい……でもオレとヒルトならこっちから攻略出来るね」

 

「ええ、私の宝具と概念礼装に簡易召喚があれば竜種なら確殺出来るわ。それにアペンドスキルやら聖杯やらで強化されているから尚更ね❤️」

 

「決まりだね。オレ達はこっちから攻略しよう。ヒルト、ここからは今まで以上に頼らせてもらうよ!」

 

「了解……さあ、バルムンクお願いね」

 

 立香とクリームヒルトは扉を開け放つ。丸まる様に眠っていたドラゴンは二人が部屋に入るとその眼を見開き、すぐさま起き上がる。立香は簡易召喚でキャスタークラスのサーヴァントを呼び出し、クリームヒルトを強化する。ドラゴンが身じろぎ威嚇の咆哮をするも時既に遅く、抜き放たれた魔剣バルムンクからは黒い炎が吹き荒れドラゴンを包んだかと思えば一瞬にして首が斬り落とされた。

 

 夫婦共に竜種に対する絶大な特攻を持ち、こと単独の相手であればクリームヒルトの魔剣から逃れる術は限りなく少なかった。竜の血雨が降るなかを闊歩する黒衣の復讐姫は立香の視線に気が付くと振り返り微笑む。凄惨な光景の中に咲く黒薔薇に立香は惚れ惚れとしてしまう。ボケっとして見つめる立香に彼女は小さく首を傾げて訳を尋ねる。

 

「立香? 先に行くわよ。ボーっとして何かあったの?」

 

「いやぁヒルトは綺麗だと思って。うん、ますます惚れちゃったよ」

 

「もう、バカなこと言ってないでいくわよ。まったくいきなり何を言っているのかしら……❤️」

 

 立香が小さく小突かれるとクリームヒルトに手を引かれ無理やり歩かされる。後ろからではその表情を全て窺い知ることは出来なかったが、頬が赤く染まっているのは気のせいではないと立香は思った。それから三回ほど同じ部屋が続きボスとしてウシュムガル、呪毒蟲、マハーナーガが立ちはだかったが皆竜種であったことが運の尽き。全て一振りで処されてしまった。

 

 主催者の怨嗟が聞こえてくるような蹂躙っぷりに立香が苦笑いしながら最後の部屋へと進んだ。そこには立香と同じほどの大きな宝箱があり箱を開けると中には毒針、勲章、神酒といった再臨の素材やQPが一億ほど入っていた。

 

「お、おおぉ……? いや確かに価値はあるけどお宝……かな? なんか余ったものを詰め込んだみたいな残念さが……」

 

「ほっっんとにセコいわね、あの歯茎オバケ……私としては立香と宝探しを楽しむというのは達成出来たから良しとしましょうか」

 

「そうだね……うん、オレもヒルトと一緒に冒険出来て楽しかったよ!」

 

 宝に不満がない訳ではなかったが、立香とクリームヒルトは共に冒険出来たことに喜び合う。そしてこの時点で宝探しの終了を知らせるお知らせが連絡用の道具から告げられる。その声には苦々しさが溢れており、攻略されるとは思っていなかったのだろうというのがありありと伝わってきた。続けて間もなく脱出用の魔術で入り口まで移動させる旨があったので二人はそこで待機することに。

 

 立香が宝箱から出した素材を整理している間、クリームヒルトが宝箱に残った物を見繕っていた。宝箱に残った者は経験値用の礼装や種火といったもので、拡張してある立香の倉庫も既に限界で泣く泣く置いていくしかなかったのでそのままに。他に何か持っていけそうなものはないかとクリームヒルトが手探りで探していると、彼女は小さく声を上げた。

 

「えっ……これって」

 

「ん、ヒルトどうかしたの? 変な物でも入っていた?」

 

「あ、い、いいえ! 何も、なかったわよ……」

 

「ふーん……そっかぁ。レジライらしいけど、もうちょっと奮発した物入れてくれればいいのに。エーテルとか残滓とか、もっと集めないとなぁ」

 

 立香が後ろを振り向くと、クリームヒルトは酷く驚いた顔して手を握りしめていた。彼女曰く何もなかったそうで、ここで自分に嘘をつくのも可笑しな話なので立香は素直に受け取る。彼女の握りしめた手から薄っすらと銀(・)の(・)光(・)が輝いた様に見えたが、立香は特に気にせず素材整理に戻った。もし彼女が何か隠したとしても彼女のしたことなら意味があるだろうし、自分の不利益に繋がることは決してないだろうと確信していたからだ。思考を切り替え素材からサーヴァントの育成計画を立てる立香、その後ろでヒルトは手の中にある物をじっと眺めていた。

 

 ──────

 

 ────

 

 ──

 

 宝探しを終え、夕方であったこともあり立香とクリームヒルトはルルハワエリアに戻り夜食を取ることに。前日のロコモコ丼に続きハワイでも有名な料理──ハワイ付近の海で採れた新鮮な魚介をふんだんに使ったポキ丼を注文した。スパイシーなマグロやいくら、特性のマヨネーズで旨みが増したアボカドや玉ねぎに立香もクリームヒルトもスプーンが次へ次へと進み、完食してしまう。

 

 お腹も満たしたことで、二人は帰路につくき道中寄り添い歩きながら立香とクリームヒルトは宝探しについての感想に花を咲かせていた。過去の経験を活かした攻略、人の身の丈数十倍以上の竜を次々と斬り倒す無双、どれも賑やかな話であるが彼女は時折上の空になっており、それは立香も同じであった。宝探しの前、柳生が口にした決着という言葉が頭を離れなかったのだ。人気も少なくなり二人の間に沈黙が流れる中、立香は覚悟を決めるとクリームヒルトに尋ねる。

 

「さっきの柳生さんが言っていたことだけど。決着ってさ……この関係を終わらせるってことなのかな?」

 

「……ええ。私はそう受け取ったわ」

 

「その、オレに駄目な所や嫌な所があったなら絶対に変わるから……! もう少しだけチャンスを!」

 

「そうじゃないのよ。もしあなたのことが嫌だったら、終わらせる以前にあなたの首を刎ねているわよ。あなたと過ごした時は私にとってもかけがえのない思い出よ」

 

「それなら「でも終わらせないとけないのよ。これは柳生に言われただけじゃなくて、以前から私もそう考えていたのよ」ッ……!!」

 

 立香の関係を保とうとする言葉を徹底的に切り捨てるクリームヒルト。何れ終わりは来ると分かっていたのだが、今すぐとは思っておらず彼女の別れ話に苦悶の表情を浮かべる立香。それに対しヒルトは終始穏やかな表情を浮かべていた。彼女は以前から別れを意識していたためか立香より落ち着いた様子であった。

 

 立香もクリームヒルトが友達(セフレ)なった直後こそ気にしてはいなかった罪悪感を、時が経つにつれて夫であるジークフリートや他のサーヴァントに対して高まっているのには気が付いていた。だが立香は一ヶ月の共同生活を共にし、全てを分かち合った彼女と離れたくない一心でそれを見て見ぬ振りをしていた。そんな立香にクリームヒルトは別れを諭す様に語り始めた。

 

「私と過ごすためにレポートの提出をギリギリまで溜めていたり、他のサーヴァント達との予定を先延ばしにしたり結果的に予定が詰め込まれて苦労しているそうじゃない。この二泊三日のデートもアンプルを使って無理しているのでしょ?」

 

「ぅ……! いや、その今使っているアンプルも特異点とかの攻略で使っているのより軽いやつだし、レポートもこれからはまめにやるよ! まだ終わりたくないよ……」

 

「……私達サーヴァントは全てが終わったら退去しなきゃならない。元々、私達の関係は何時か終わるものなのよ。それが今だっただけ」

 

「そ、それは……ダ・ヴィンチちゃんや他の人とかに頼んでどうにか……」

 

「私じゃあなたの隣にはいられない、今を生きる人こそあなたの隣は相応しいわ」

 

 しどろもどろになっている立香にそう言い切るクリームヒルト。かつて終局特異点を超えてセイレムより帰還した後にもサーヴァント達が退去したこともあり、立香も薄々は分かっていたつもりではあったが言葉にされことでその事実を受け止めざるおえなくなっていた。

 

 そしてクリームヒルトから隣にいることは出来ないと告げられ、立香は押し黙ってしまう。それはこの関係の終わることへのショックもあったが、何より彼女自身もそれを口にするのに一瞬、苦虫を噛み潰したような顔をしたのが見えたからだ。立香が気付いたことを口いするより早く、ヒルトはぎこちなくも顔を笑顔に整えると立香に提案をする。

 

「だから、今日は思い残しがないよう立香の好きなことをしましょう? 私達だけの秘密の思い出としてね」

 

「ヒルト…………分かったよ。なら、最後に一つやりたいことがあるんだ」

 

「ええ良いわよ❤️ 立香のしたいこと一つと言わず全部やりきりましょう❤️」

 

 クリームヒルトの提案に秘められた彼女の決意を感じ、立香はそれ以上関係を続けようとは言えなかった。ならば最後にと立香はクリームヒルトとしたかったことをして、良い思い出にしようと決心する。そうして歩きながら話していた二人は宿泊先のホテルの直ぐ傍まで歩いており、改めて立香はクリームヒルトとい指を絡めて手を繋ぐとホテルに入る。この日、立香とクリームヒルトは今までで一、二を争う程に熱く激しい時を過ごすのであった。

 

 ──────

 

 ────

 

 ──

 

 ホテルの自室に戻り、立香とクリームヒルトはシャワーを一緒に浴びることに。立香は彼女のスキル黄金律(体)を保持していてもおかしくない魅惑の体に、途中何度も負けそうになりつつ必死に我慢していた。そんな立香の心境を見透かしてか、嗜虐心を湧き上がらせたクリームヒルトの悪戯に翻弄されつつも、洗いっこは終わり立香とクリームヒルトはバスローブを身に纏うとシャワー室からベットルームへ。

 

 クリームヒルトがベッドで待つ傍ら、立香は自分のトランクから小さな箱を取り出す。それは立香がこのデートに臨むにあたって最後まで持っていくか迷った一品だった。クリームヒルトは立香が手に持ったそれを見て目を丸くして動揺してしまう。立香としても驚かれるのまでは想定道理だったのだが、その反応の良さは予想以上であった。がここまで来た時点でもう後戻りは出来ないと立香は箱を開き、中を彼女に見せる。箱の中には金色の指輪──バディ・リング(GOLD)が収まっており光輝いていた。

 

「これをヒルトに付けて……ってヒルト? そこまで驚くとは予想以上なんだけど、やっぱり付けてもらうのは無理かな?」

 

「いえ、その……少し驚いちゃって。実はね、つい最近私も見つけてたのよ」

 

「えっ、見つける?」

 

 クリームヒルトはそう言うとベッドから降りて、彼女の畳んだ服を手探る。そして彼女は服の中から銀色に光り輝く物を取り出した。立香もまた先程のクリームヒルトと同じく目を丸くして驚いてしまう。まさか彼女が銀色の指輪──バディ・リング(SILVER)を持っていると思いもよらなかったからだ。

 

 立香はまさか彼女も自分と同じく持ってきていたのかと思うも、最近見つけたとの言葉からそれが誤りだと頭の中で訂正する。そしてこのデート中は四六時中一緒にいたのでクリームヒルトがお店で購入するということは不可能であり、となれば入手することが出来るタイミングは限られていた。

 

「嘘!? え、何でぇ……あっ! もしかしてあの宝箱の中に入っていたの!?」

 

「ええ、その時見つけたの。立香に渡そうかと思ったけど、その言い出せなくてごめんなさい」

 

「いや一緒に攻略したのだから全然いいよ。でもオレが渡そうとした日に指輪を手に入れるなんて不思議だなぁ……」

 

 今この場に指輪が二人分あるという事実に奇妙な運命を感じ立香が独り言ちる。自分が指輪を渡そうとした日に指輪をもう一個、それも自身のと対になる銀の指輪だったことは最早仕組まれている様にすら感じてしまっていた。ここまでお膳立てされていると立香はやはりクリームヒルトのことを諦めたくない、そんな意思が湧き上がるのを感じていた。

 

 だが今まで通り付き合うのは無理なのは立香自身既に理解していた。レポートはともかく数多のサーヴァント達から隠れて付き合うのは限界であったし、クリームヒルト自身の感情の問題もあった。だからこそ今日ここで立香はなあなあで済ましてきたことを解消しようと決意する。指輪を見つめるクリームヒルトに立香は深呼吸をし、口を開いた。

 

「……ねぇ、ヒルト。オレやっぱり別れたくない。今日この時にヒルトが指輪を手にしたのに、なんだか運命的なものを感じる」

 

「っ……! ロマンチシズム過ぎよ、確かに奇妙ではあるけどそもそも私が少し前に言ったこと忘れてないわよね?」

 

「うん。オレも半端なことはもう辞めるよ。ヒルトと付き合うこと皆に話すよ」

 

「はぁぁっ!!? あなた、何を言っているのか分かってるの!? 白紙化が解決した後、消えるしかない私のために命を投げ捨てる様なものよ!?」

 

 ヒルトの怒号は最もだった。カルデアには立香を好ましく思っている女性のサーヴァンが何人もおりクリームヒルトと付き合ったと宣言してどうなるかは完璧に想像することは不可能である。加えて最大の壁である彼女の夫のジークフリートもどういった行動に出るか予測は出来なかった。

 

 クリームヒルトの鋭い視線を受けても立香は一歩も引かなかった。今立香にあるのはいかにクリームヒルトと添い遂げるかの覚悟を示すことだけだった。

 

「もちろん。白紙化を解決した後のヒルトについてはエルメロイさんや契約について詳しい英霊達から情報を聞いたり、万能ではないけど魔力リソースである聖杯を使ったりも検討して──」

 

「ま、待って! ちょっと待ちなさい! もぉ~~話が飛躍しすぎっ!! さっきまであんなにしおらしかったのに、指輪を見ただけで変わりすぎよぉ!!」

 

「それくらいオレにとっては衝撃的だったよ。ヒルトもそうだったんじゃない? オレと二人で攻略したお宝で指輪が出てくるなんて運命的だから、直ぐに言えなかったと思ったんだけど……」

 

「うっ、それは……! 本気、なの……? 皆に話すってあの人にも話すってことよ?」

 

 図星だと言わんばかりにクリームヒルトは言葉を詰まらせた後、立香の意思を確かめる様に質問を行う。高潔で英雄らしく義を重んじる騎士、かつてはオルレアンで邪竜に対峙した時やその後も様々な特異点で力になってくれた英雄ジークフリート。そんな誰かに取られたくないからと語るのを控えるほどに深く深く■する妻を奪おうとするのだ、何が起こるかは彼の妻やマスターである立香にも推し量れなかった。

 

 恩人ともいえる人に対する裏切り、不義理、悪道。それでも立香はクリームヒルトを諦めるという選択をすることが出来ない領域まで彼女を■してしまっていた。立香はクリームヒルトの目を真っすぐ見て彼女に対し決意を口にする。

 

「覚悟はしているよ……それでもオレはヒルトのこと愛してるんだ!!」

 

「っ……!! なんで、そこまでして……私なんかより若い娘、マシュやコルデー、他にもたくさんの女の子に好かれてるでしょうに……」

 

「あの一ヶ月の出来事があったからかな。カルデアにいる皆のことはもちろん好きだけど、どうしても肩肘を張ってしまって……そんな時にあの部屋で二人きりで過ごしてオレの愚痴を聞いたり、ヒルトの過去を聞いたり、寄り添って日々を過ごすうちにどんどん惹かれてしまったんだ」

 

 立香の真正面からの告白を受けて、言葉に詰まるクリームヒルト。たかだか体の相性が他より良いくらいでここまでする理由がクリームヒルトには分からず、他の娘の名前を出しつつ彼に尋ねる。

 

 それに対して立香はエッチな事をしないと出られない部屋での一ヶ月間でヒルトと過ごす内に惹かれてしまったことを語る。相性の良い彼女と新婚の様に過ごす日々、彼女が思うより立香にとって部屋での時間は極楽で立香の好みすら変えるほどの居心地であった。平時の煩わしい問題に頭を抱えたり、カルデアでの周囲の目を気にせず過ごせる環境は筆舌に尽くしがたいものだったのだ。契約のパスを通して伝わる立香の嘘偽りのない言葉にクリームヒルトは紅潮しながらも口を動かした。

 

「ぁぅ……そ、それならあの部屋で過ごしたのが他の娘でも良かったんでしょ。尚のこと私じゃなくても……」

 

「確かにあの部屋に閉じ込められたのが別の人だったらまた違う関係が出来たのかもしれない。けどあの部屋や今オレの目の前にいるのはヒルトだ。オレの好きは全部ヒルトに上書きされちゃったんだ」

 

「ぅっ〜〜❤️❤️❤️ なんで、そんな真顔で小っ恥ずかしいこと言うのよっ❤️」

 

「まだ死ぬわけにはいかないけど、ジークフリートに報告する時には殴られたり、腕の一本取られたりする覚悟は出来てるからね……真正面から愛を口に出すくらい恥ずかしくもなんともないよ」

 

 立香の歯が浮く様な熱の入った言葉に、クリームヒルトは側から見ても分かる程に身を縮こまらせて抗議する。再三愛の言葉を告げられ立香の想いが嘘じゃないと否が応でも分からされ、クリームヒルトは恥ずかしさから顔だけでなく全身が朱色に染まる程に赤くなっていた。

 

 そして立香の今の夫である大英雄にも立ち向かう覚悟をしかと聞き、その想いに応えるのか否定するのか、どちらにしても答えは出さないといけないとクリームヒルトもまた覚悟を決める。数十秒、あるいは数分にも感じられる沈黙。その流れを切る様にクリームヒルトは口を開いた。

 

 

「……もう、バカね。殴られたら確実に死ぬわよ。またパートナーに先立たられるなんて絶対にごめんこうむるわ……その時は私も一緒に行くわよ」

 

「ッ……!」

 

 英霊に殴られに行くという自殺行為を嗜めつつもその顔は綻んでおり、立香の愚直さに呆れ半分微笑ましさが半分と言った表情だった。

 

 そしてクリームヒルトはその時は一緒だと強く宣言する。雪の様に白い肌を赤らめそう言った彼女に立香はわなわなと歓喜で震える。自分の思いが成就したかもしれないと思えば無理からぬことだった。言葉にならない声を上げる立香を見てクリームヒルトは一呼吸置いてから口を開いた。

 

「まったく、夫のために周囲を巻き込んで復讐した女を好きになるなんて倒錯的にも程があるわよ……立香、私もあなたのことを愛(・)してるわ」

 

「ヒルト……!!」

 

 その言葉は立香にとって彼女から何より欲しかった言葉であった。以前より彼女は「愛」という言葉を立香に囁くことはなかった。夫であるジークフリートへの操からその言葉でだけは決して口にしないと固く誓っていたのだ。だがその誓いは立香の熱情によって溶け落ち、クリームヒルトは立香に愛の言葉を告げたのだ。

 

 立香はたまらずクリームヒルトと抱擁を交わす。クリームヒルトもまた立香の迸る想いに応える様に体に手を回すと、シャワーを浴びて水気を帯びた二人の裸体が密着する。そして数瞬見つめあうと舌を突き出しキスをする。

 

「ちゅっ❤️ ちゅっ❤️ はむっ❤️ ちゅっ~~❤️ ぷはぁっ……ヒルト、指輪はめていい?」

 

「はぁっ……❤️ ええ、どうぞ❤️ 私の指輪も立香の指にはめるわね」

 

 婚礼の儀式を再現するかの如く二人は向かい合う。ヒルトの差し出した左手の薬指に立香はゆっくりと噛みしめる様に指輪を通していく。魔術が掛かっているのか指輪はヒルトの薬指をするりと通り指の付け根にぴったりとはまった。続いてクリームヒルトも立香の薬指に指輪をはめる。

 

 立香とクリームヒルトは己の薬指に輝く指輪をじっくりと感慨深そうに見つめる。そうして自分や相手の指輪を見つめ終わるとどちらともなく相手にすり寄り、互いのバスローブを解き剥き出しの肉体を晒す。立香の肉棒は眼前の雌に対しいきり勃ち、クリームヒルトの秘所からも目の前の雄を待ちわびるかの様に愛液がカーペットに滴り落ちていた。互いに相手の臨戦態勢を確認すると二人してベッドの上に移動する。

 

「ふぅー……ヒルト、挿れるよ」

 

「ええ来てぇ──ふぅ、くっ、あ゛ぁぁっ〜〜❤️❤️❤️」

 

 クリームヒルトはベッドに寝ころがり指で秘裂を広げる。その指に輝く黄金の光に立香は辛抱たまらず勢いよく肉棒を突き入れる。肉棒が挿入されるにつれくぐもった声を上げるクリームヒルト。彼女の肉壺は立香の到来を心待ちにしていたかの様に絡みつき、そして子種をねだるため降りてきた子宮口が立香の亀頭を受け止めた。

 

 幾千と交わり合って尚も飽きたらない名器、加えて今日この日は互いに深く結ばれたことも有るのかクリームヒルトの膣肉は普段以上に立香を求めるかの様に蠢き肉棒に密着していた。あまりの快感に思わず射精してしまいそうになり、立香は歯を噛み締める。そして深く息を吐き出し、肉棒のピストン運動を開始する。

 

「んっ❤️ ふぅ❤️ はぁっ❤️ あはァッ❤️❤️ くるっ❤️ また、イっちゃう❤️❤️❤️ ぅぁぁ~~ッッ❤️」

 

「ふっ、ふっ……ぐぅッ!!」

 

 獣欲に支配され最早獣染みた声しか出さぬほどに、クリームヒルトとの性交を貪る立香。クリームヒルトもまた立香の一挙手一投足に合わせて肢体を震わせ、全身で立香との快楽を表現していた。玉の様な汗が飛び散るほどの交合、激しい交わりに熱気すら立ち昇っており二人の肌は火照りきっていた。

 

 立香はストロークを続けながらクリームヒルトに更なるアタックを行う。立香の腰の動きに合わせて揺れ動く巨峰、胸を我が物顔で揉みしだき乳首を弄る。クリームヒルトは本日何度目かの絶頂を迎え、秘所からは潮が吹き出し立香の肉体にマーキングする様に濡らした。息も絶え絶えなクリームヒルトの静止の声を振り切る様に立香は彼女の耳を甘噛みしたり、愛の言葉を囁く。立香はの好きだ、愛してるとの言葉に彼女も同じ言葉を返し、全部終わったら一緒に日本に行こう、受肉したらオレの子供を孕んでほしいとの言葉には両手両足で立香に強く抱きつき頷く。クリームヒルトの答えに立香は歓喜と共に射精感も高めてしまう。

 

「ヒルトっ……!! 全部中に出すよ……ッ!!」

 

「ふぁ❤️ んんぅ❤️ いいわよっ❤️ きてぇ、りつかぁ❤️❤️❤️ あ゛ぁぁッッッ~~❤❤❤」

 

 クリームヒルトの言葉を聞くや否や立香はラストスパートを掛けるべ更にストロークのギアを上げる。立香は嬌声を上げ開きっぱなしだったクリームヒルトの口にキスをし舌を交わらせると、彼女は全身で抱き着き最早接していない箇所はないほどに二人は一つになる。そして幾度目かの挿入、肉棒の渾身の突きが子宮を捉えると二人して絶頂まで昇り詰める。絶頂で膣内がひときわ強く締まり、立香の肉棒から精を絞り上げと収縮するとそれに応える様に爆発的な射精が始まる。

 

 クリームヒルトは自身の中を埋める熱に酔いしれる様とする最中、立香は射精しながら抽送を再開する。絶頂の余韻が残る中、立香の肉棒が再びクリームヒルトの子宮をノックする。これにはたまらずクリームヒルトも獣染みた嬌声を上げてしまう。

 

「お゛ぉぉッッッ~~❤❤❤ まっ……まってぇ❤  いっかい、とまってっ❤ りつかぁ❤ ダメッ❤ いま、イッったばっかだからぁ❤❤」

 

「ふぅー、ふぅー……ヒルト、すごく可愛いよ」

 

 立香の精液とクリームヒルトの愛液が混ざり満ちている肉壺の中は、彼女の口とは逆に立香の再訪を待っていたと言わんばかりに歓迎する。クリームヒルトは再びの快楽になんとか抗おうと抱き着く指の力を強くする。その顔を快楽で蕩けきってだらしなくなり、口からは舌を突き出しケダモノ染みた嬌声を上げ続ける。

 

 所謂、種付けピストンと呼ばれる体位でクリームヒルトに挿入し続ける立香。肉棒の一突きごとに子宮を中心に爆発的な快楽が広がるっているのかヒルトは全身を痙攣させ甘イキし続ける。立香もこの瞬間を少しでも長く続けるため丁寧に緩急をつけて動き続ける。だが快楽を必死で抑えた反動か立香の口からは思った言葉がそのまま飛び出した。

 

「ヒルト、ヒルトッ! 受肉したら、オレの子供を産んでッ!」

 

「ぁッ~~❤ あっ❤ んんッ❤ りつかのあかちゃん❤ ほかのこじゃなくてわたしがっ……❤」

 

 子供。その言葉を聞いてクリームヒルトの今まで以上の快感、全身に稲妻が走る様な感覚に襲われる。二日目の朝、立香の子供はきっと逞しく優しい子で彼の子供を産んだ人はきっと幸せになるだろうと考えており、それが自分になるとはあの時は思ってもみなかった。否、考えないようにしていたのだ。つい先ほどまではサーヴァントである自分では彼のそばにはいられない、今を生きる人間じゃないと不可能だと考えていたからだ。

 

 だが今は違った。立香はカルデアで取れる手段を駆使してクリームヒルトを受肉させると強い意思で宣言した。ならもう他の女に譲ったり負い目を感じる必要はない、クリームヒルトはそう理解したのだ。耳元で尚も愛を連呼し続ける立香にクリームヒルトは目を合わせると彼に言葉を返した。

 

「うんっ❤ うみたい❤ わたしがりつかのあかちゃんうみたい❤❤❤」

 

「ッ! ヒルトッ!!」

 

 クリームヒルトの返答に立香は嬉しさが爆発したかの様にピストンが加速する。それは今までの射精する時間を引き延ばす方針を無視した後先を考えいない素人染みた動きであった。案の定立香は直後に射精してしまうが、立香もクリームヒルトも今までにはない多幸感に満ちていた。それがつい先ほどのやり取りによるものだったのは火を見るよりも明らかであった。

 

 結合部からは入りきらなかった精液が逆流しベットのシーツに滴り落ちていた。数十秒の射精を終えヒルトの中から抜かれた肉棒は依然として勃ち上がっており立香の底なしの精力を知らしめるかの如くそそり立っていた。クリームヒルトは絶頂の余韻冷めやらぬ状態であったが、うつ伏せになると尻を高く突き上げ誘う様に立香に視線を向ける。まだまだヤり足りないでしょと言外に告げるクリームヒルトに、立香は強く頷くと彼女の腰に手を添え肉棒を挿入しようとする。

 

「ヒルト、愛してる」

 

「私も愛してるわ立香──ぁっ❤❤❤」

 

 それからも立香とクリームヒルトの性交は朝を迎えるまで続き、部屋の中で響く荒々しい息遣いと上と下の口から流れる淫らな音が鳴りやむことはなかった。後には朝を迎え人々が目覚めるのを他所に眠る二人の男女がいた。一方は妊娠しているかの様に精液でお腹が膨らんだ幸せそうに眠る女で、もう一方はそんな彼女を抱きしめるこれまた幸せそうな男がいるだけであった。

 

 ──────

 

 ────

 

 ──

 

 黒いスーツに身を包み、大きく広げた胸元に煌々と輝く緑の痣を持つ男──ジークフリートは静かな笑みを保ちながらカルデアを歩いていた。彼は少し前までカルデアで知り合った者達と夏の特有の特異点へ数日間の旅行に行っており、今しがたその手に大量のお土産を持ちながら自室に向かっているのだ。そのお土産の殆どは彼の妻であるクリームヒルトに向けた物で、彼は旅行に一緒に行けなかった妻のため、特異点を模した各エリアのお土産屋でおすすめの物を片っ端から買っていた。

 

(むぅ……少し多すぎたか? いやだが彼女に夏の特異点への興味を持っておらうためなら、これくらいあった方がいいだろう。来年こそは一緒に行きたいからな)

 

 ジークフリートの脳裏に夏の思い出が過る。ビーチバレーやカーレース、カジノや彼女が好きそうなホラー系のアトラクションが多いエリア等々、カルデアでの友人達との体験も得難いものだったがやはり妻と一緒に楽しみたかったという気持ちがジークフリートの中に芽生えていた。そんな中、ジークフリートは旅行中であったある気掛かりについて思い浮かべる。

 

(しかし、旅行中一切通話が出来なかったのは気になるな。前々から彼女は連絡がマメじゃないのは知っていたが一度も通話に出てくれないとは……文章での連絡はあったからそこまで大げさにすることじゃないかもしれないが……)

 

(それに小太郎が彼女や……マスターに似ている人を見かけたと言っていたのも気になる。その後彼は見間違いだと言っていたが、確かに俺も彼女が近くにいる気配を感じていた)

 

 ジークフリートは旅行中にもクリームヒルトに旅先での写真を送ったりその日の出来事を連絡していたのだが、結局通話は一度もなくメールも簡素なものだったのが気になっていた。加えて旅行二日目で行ったブルースカイランドエリアでジークフリートはクリームヒルトの気配を感じ、小太郎も彼女とマスターの姿を見たかもしれないと言っていたのが気掛かりを強くしていた。 まさか彼女が旅行についてこなかったのはマスターと行くためなのかと考えるが、有り得ないと考えを振り払う様に頭を振るジークフリート。確かに彼女は以前マスターと不可抗力で関係を持ってしまったが、その後も関係を持つなど考えらなかった。或いは考えたくなかったのか。

 

(……少し疲れているのかもしれないな。今日はお土産だけ渡して彼女とは明日ゆっくり話そうか)

 

 黙考しながらも歩き続けていたジークフリートは彼と今はクリームヒルトに割り当てられていた部屋の前までたどり着く。扉の前に立ちジークフリートは違和感を覚える。部屋の中が静かすぎると。彼くらいの英雄になると壁一枚隔てていても部屋の中で人は何人いるのか何をしているのか分かるものだが、部屋の中から全く気配を感じなかったのだ。普段この時間であればクリームヒルトは部屋に大概いるのだがどうゆうことか、ジークフリートは何か嫌な予感を携えながら部屋に入ろうと扉を開ける。

 

「これは……どういうことなんだ……?」

 

 ジークフリートは部屋に入ると辺りを見渡す。争った形跡などは全くあらずほぼ自身が数日前に見た状態のままだった。唯一の問題としては彼女、クリームヒルトが持ち込んでいた物が綺麗さっぱり無くなっていたのだ。ジークフリートは衝撃的な光景に思わずお土産を落としそうになるが、堪えるとテーブルの上に並べて改めて周りを見渡す。

 

 彼女が持ち込んでいた雑誌や調理器具、化粧品や服のたぐいも全てなくなっており、ともすれば彼女は最初からカルデアにいなかったと言われれば信じてしまいそうになる程に彼女の痕跡が抹消されていたのだ。突如として起きた異常事態にジークフリートはまずはクリームヒルトと連絡が取れないかを確認するべく通信を行う。ダメ元で行ったことだったが、通信は繋がりジークフリートは彼らしからぬ慌てぶりで話し出す。

 

「クリームヒルトなのか……!? 今、無事なのか?」

 

「ええなんともないわよ。その反応からして、書き置きしないで私物を移動させたから驚かせみたいね……ごめんなさい」

 

「ん、いや無事ならいいんだ。 だが帰ってきて君の姿や物が見当たらなかったからとても驚いたよ……何故、私物の移動を? 今は誰かの部屋にいるのか?」

 

「ええそうよ。私物を回収したこと含めてあなたに話したいことがあるの。マスターの部屋まで来てくれる? 今そこに彼と一緒にいるから」

 

「ッ……! マスターの、部屋で……?」

 

 ジークフリートは邪竜と相対した時以上に身震し、全身から嫌な汗が吹き出るのを感じていた。部屋から彼女の私物が消えていること、マスターの部屋で話したいこと、ジークフリートの脳内で否が応でも線が繋がっていってしまう。サーヴァントは夢を見ないというのに夢であってくれと思ってしまう程、この状況はジークフリートにとって悪夢の様な状況だった。悪夢を前に頭が回り切っていなかったが、ジークフリートは何時も通りに話そうと心掛け声を出す。

 

「分かった……少し、準備してから向かわせてもらう」

 

「そう。私も準備しておくわ……じゃあまた後で」

 

 クリームヒルトはそう言うと通信を切る。あまりの急展開にジークフリートは思わず膝をついてしまう。先程までの楽しい旅行気分から急降下して暗いどんよりとして気分になるのを感じた。先程の話でジークフリートは確信してしまう。マスターはクリームヒルトは愛し合ってしまっているのだろう。

 

 あまりにおぞましく耐え難い状況にジークフリートは重々しく息を吐き出す。その姿を見たものがいたとしら彼を逆鱗を傷つけられた竜と勘違いしてもおかしくないほどに顔を険しくしていた。周囲を満たす怒気は常人であれば気絶しかねないものであったが、それは徐々に萎み薄れる。ジークフリートの中から湧き上がった怒りは更に高まった困惑に塗りつぶされたからに他ならなかった。

 

「なぜなんだ……マスター、クリームヒルト」

 

 ジークフリートはマスターとクリームヒルトに何故こんなことをするのか疑問を口にししまう。人理焼却の時から共に戦い、彼女が召喚された際には橋渡しをしてくれたマスター。クリームヒルトが召喚された直後はこちらから出向いてもツンケンした態度を取り、無視を決め込まれ等と途方に暮れていた。そんな時にマスターはジークフリートが彼女と二人きりで話せる様に機会を設けてたりしてくれたのだ。彼女との仲を祝福してくれたマスターが一転して奪おうとする等、ジークフリートはとうてい信じられなかった。故に今この時までジークフリートは立香がクリームヒルトと仲を深めようと愛し合う可能性を否定し続けた。

 

 そしてクリームヒルト。彼女とは生前から長い間すれ違いをしてしまい、ようやくトラオムでその誤解を解くことが出来た。二人きりで話あってからも彼女の態度は然程変わらなかったが、以前よりずっと傍にいることが増え、彼女からの愛情を感じジークフリートは生前と同等かそれ以上の喜びを嚙みしめていた。だが彼女はマスターとある特異点で閉じ込められ脱出のため性交渉をして以降、彼女との間にあった金剛石(ダイヤモンド)の様に不変で純粋な絆が変化してしていた。

 だがそれはもっと経験を積み彼女を満足させられれば取り戻せる、何故ならマスターと彼女はあくまで体の相性が良かっただけその間に愛情はないからとジークフリートは考えていた。

 

 ただ一つの誤算としてはジークフリートが考えていた以上に、マスターからのクリームヒルトへの好意が大きかったことである。ともあれジークフリートはこのままここにいても何もならないと考えると、ふらつきながら立ち上がった。

 

「行かなければ……マスターとクリームヒルトの元へ……」

 

 ジークフリートは二人と会って何を話すべきか、何をするべきか、怒るべきなのか、悲しむべきなのか、自分の中でも今だはっきりとはしていなかった。ただ彼等に会わなければなにも変わらないと、その思いだけでジークフリートは歩き出した。

 

 とうに結末は決まっていると頭では理解していてもジークフリートは止まることは出来なかった。

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