慌ただしく、ストームボーダーは管制室に滑り込み男がいた。人類最後のマスター・藤丸立香はブリーフィング開始直前のタイミングで到着する。管制室にはゴルドルフ新所長、ダ・ヴィンチちゃん、シオン、ネモ、マシュ、ムニエル。いつもの中枢スタッフに加えて、坂本龍馬、お竜さん、岡田以蔵の三人──いわゆるぐだぐだ組が待機していた。立香が駆け足で管制室に入ってきたのを見て、マシュとお竜さんが肩で息をする立香に囲む。
「藤丸立香、到着しました!」
「おはようございます、先輩! 昨夜はぐっすり眠れたようですね!」
「やっと来たか。お竜さんを待たせるとは生意気だぞー」
「マシュ、おはよう──って! お竜さん、頬を引っ張らないでよー!」
「お、お竜さん! 先輩の頬がお餅みたいに伸びてます! 離してあげてくださーい!!」
そう言って三人が戯れ合う姿は、ここ最近のストームボーダーの恒例となっていた。マシュは元より、お竜さんがマイルーム以外でも立香に絡みに行くようになったことで、必然的にこの三人の絡みが多くなったのだ。他にも以前から付き合っていた巴御前やコノートの女王といることが多いのを、龍馬は確認していた。
お竜さんが龍馬の側にいるではなく、外を出歩くようになったのは必然龍馬が関係していた。龍馬はお竜さんにも黙って寝取らせを行ったことがあった。パートナーも騙す不意打ち染みた所業はお竜さんの逆鱗に触れてしまったようで、ここ最近龍馬はお竜さんから無視されていた。
(三人とも調査の前だって言うのに、仲睦まじいものだね……お竜さん)
龍馬は寝取らせ癖に目覚めてはいるものの、未だ常人だった頃の名残も残っており、最愛のお竜さんがベタベタと他の男にひっつく姿には思う所があった。故にゴルドルフ新所長の咳払いに合わせて、龍馬はお竜さんをそれとなく立香から引き剥がした。
「オッホン!! お前達、今は休憩時間ではないんだぞ! 藤丸! もっと、マスターらしく振る舞うように!」
「所長さんの言う通りだよ。ほらお竜さん、マスターと話すのは後にして。今はミッションの説明をね」
「……ふん。お竜さんはハラグロ男と、口を聞く気はないぞ」
「あらら……まいったね」
そっぽを向きながら答える龍馬に答えるお竜さん。立香はそんな二人を見て仲直りしてほしく苦心していたが、ダ・ヴィンチちゃん主導のブリーフィングが始まったことで意識を切り替える。
「今回の微小特異点は⬛︎⬛︎って国のリゾート地。海が綺麗ってことくらいで他に特徴がないのだけど、ちょっと異様なことがあってね」
「異様? 今までの特異点と比較しても異様なんですか?」
「いやまあ、ハロウィンには敵わないだろうけどね。この特異点、マスターである藤丸くんとそこにいる坂本夫婦しかどうやら入れそうにないんだ」
「それは、また。……何かの意図を感じるね」
ダ・ヴィンチちゃんの言葉に坂本さんは手で顎をさすりながら思案を巡らせる。マスターはともかく自分だけをターゲットにするとなると、生前に関係のあったいくつかの組織、人物が関係しているかもと想起する。だが特異点のリゾート地と関わっている人物に覚えはなく、龍馬は更に深く考え込んでしまう。そんな折、隣にいた以蔵さんのがなりやマシュの控えめな質問が耳に入る。
「なんでじゃ!? 竜馬やお竜は入れて、わしは入れないっちゅうがか!?」
「ええと、私もマスターにお供することは出来ないと。そうシバから出たのですか?」
「ええその通りですマシュさん、以蔵さん。シバ曰く、行くことは出来るみたいですが同伴したサーヴァントには多大なストレスが掛かり、最悪退去の可能性もある。観測ではそう示されました」
「……なるほど。なら留守番を頼んでいいかな、マシュ? こうまでシバが提言しているなら、きっと何かあると思う。だからマシュには、ここからオレ達のサポートを頼みたいんだ」
「っ!! 先輩…………分かりました。マシュ・キリエライト、ストームボーダーからマスターのサポートを全力で取り組ませてもらいます!」
シオンがシバから読み取った情報から坂本夫婦以外のサーヴァントを同行させると、危ないと聞いた立香は一二もなくマシュにストームボーダーでの留守番を頼んだ。マシュとしては一緒に行けるなら行きたい面持ちだったが、立香の要請もあって自分が無理について行くより、残ってサポートした方が力になれると判断した。そしてマシュは声高らかにマスターの後方支援を宣言し、立香は顔を綻ばせて大きく頷く。
「うん、頼りにしてるよ! マシュ!」
「まあこっちは任せておけ。リツカにはハイパー無敵お竜さんが付いているからな。サーヴァントの大軍だろうとボコボコにしてやるぞ」
「お竜さん、先輩のことお願いしますね! 坂本さんもよろしくお願いします!」
「もちろん。マシュ君の代わりとはいかないかもしれないけど。僕の全霊をもって、二人のことは守るよ」
立香とマシュが二人でやり取りをしていると、お竜さんは立香の頭をわしゃわしゃとしながら大胆不敵に言ってのける。マシュからすると彼女の尊大な態度にも慣れたもので。マシュが立香の安全確保を頼のむと、お竜さんは無言のピースサインを送っていた。対する龍馬は相棒とは対照的に謙虚な素振りをするも、その言葉尻からは維新を成し遂げるようと邁進した力強さを感じさせる宣言であった。四人が纏まった所で、ゴルドルフ新所長が号令を取る。
「うむ。ではマスターである藤丸立香と同行する坂本龍馬とお竜、各スタッフは最終調整を! 5分後、レイシフトを開始する!」
「「「了解!!」」」
そうして始まるレイシフトに向けての最終調整。ネモやカルデアのスタッフは忙しなく動き出し、立香や龍馬も装備の確認を行う。そして立香はコフィンに入ると微小特異点へのレイシフトを開始する。準備は万端、何の憂もなかった。だが立香にではなく、龍馬とお竜さんの方に異常はあったようで──。
レイシフトの光に包まれたかと思うと、龍馬は強い風圧を受けたかのような弾かれる衝撃で押し返えされる。龍馬は異様な状況に混乱しつつ、周囲の状況を確認する。そして──自分の最も大事な
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ただ一人、管制室に戻ってきた龍馬の姿を見て、マシュを初めスタッフ陣は衝撃に包まれる。ムニエルやダ・ヴィンチちゃん、シオンはレイシフトしてしまった立香と通信しようと手を尽くすが芳しくない表情を浮かべていた。龍馬は平静を務めようとする。しかし、お竜さんが離れてしまう状況はとある特異点での出来事を思い出させ、心の内を冷静にはさせなかった。
「な、なんだと!? レイシフトに失敗した!? 前例はあるが、まさかこんな小さな特異点で起きるとは!」
「坂本さん! お竜さんは、一緒ではないのですか!?」
「そう、だね……今、お竜さんは僕の側にいない。まさか、またこんなことが起きるなんてね……」
「ダメだ、藤丸と通信が繋がらない! しかも、サーヴァントのレイシフトも失敗するだんなんて……藤丸のやつ、大丈夫かよ……!」
「落ち着いてムニエル! 確かに坂本クンはレイシフト出来なかったけど、彼の宝具であったお竜さんは立香と共にレイシフト出来たみたいだ。不安を完全に拭うことは出来ないけど、一人よりは安全な筈だ」
「シオン、ダ・ヴィンチ、通信が繋がりそうだ。今、モニターに写すよ」
それぞれが現状を確認していると、ネモから通信が繋がりそうだと吉報を知らせる。マシュやゴルドルフ新所長が固唾を飲んでモニターを見る中、龍馬は自身の身体の不調を感じていた。それはお竜さんと離れてから徐々に強くなっており、まるで自分にだけ重石が乗っているかのようだと感じた。
龍馬が億劫ながらモニターを見上げると、砂嵐の映像が時々、立香やお竜さんの姿が映っていた。この場にいる全員が注視していると、砂嵐が消え映像がハッキリと映った。そのことに立香とお竜さんも気が付いたようで手を振っていた。いの一番に立香に声を掛けたのはマシュだった。
「マスター!! ご無事ですか!? そちらの状況は!?」
「マシュ! 今の所、無事だよー! こっちは……なんていうかハワトリアに似てる感じかな! 海辺の観光地って感じ!」
「うん。その特異点があった元々の場所もリゾート地として有名な場所だ。他には何かないかな?」
「そうですね……多分ですけどサーヴァントっぽい人が多いです。現地で召喚されたサーヴァントかな? カルデアで召喚されたサーヴァントとは違う感じがします」
「ぬぅ……藤丸! さっきから後が騒がしや過ぎないかね!? 何だ、暴動でも起きてるのか!?」
「今はお祭りの最中らしくて! めちゃくちゃ、盛り上がってますっ! なんでも、夫婦やカップルのためのお祭りらしいです!」
夫婦。何故か龍馬はその言葉から不吉な予感しかしなかった。異様な特異点という場がそう感じさせるのかと龍馬は苦虫を噛み潰した表情でモニターを見つめる。
「ん~~? そんなお祭り、その地域では確認されてないなー。もしかしたら、それが特異点の異常なのかもしれない。二人とも十分警戒するんだよ!」
「了解! ん、お竜さん……? ああ、そうだね。坂本さん、そっちは大丈夫ですか? お竜さんは今の所、問題ないそうです!」
「ん、ああ、こっちも……いや、ちょっとばかし違和感があるかな。先程から体に重石を巻き付けられた感覚があるね。多分だけどステータスにも異常があるかもだ」
あっけらかんと言う坂本に管制室にいる全員が龍馬を見やる。よくよく見れば彼の顔色が何時もとは違うことに気がつき、ダ・ヴィンチちゃんやマシュは口々の龍馬へと抗議する。
「ええー!!? 坂本クン、そういうのはちゃんと報告してよ! ポーカーフェイス過ぎて全然気が付かなかったよ!?」
「だ、大丈夫なのですか坂本さん!? 医務室に行った方が……!」
龍馬の告白に一同は驚愕する。内心こそ龍馬は動揺を隠し切れなかったが、外面は沈着冷静を貫いていたのだ。それもひとえに、お竜さんとマスターの安否を自分の目で確かめたいからだった。
「いやー、お竜さんとマスターの無事をこの目で見たくてね。まあお竜さんとマスターの無事が確かめられたから、一先ずは医務室に行かせてもらおうかな」
「うん。ナースには今連絡して担架を持ってきてもらっているから、医務室で休んでいてくれたまえ」
「助かるよ。ああ、お竜さんも心配してくれてありがとう。やっぱり、お竜さんには僕のことは筒抜けだね」
「むっ……! お竜さんは何も言ってないぞ! リツカが勝手にやったことだ。ハラグロ弱弱男のことなんて全然気にしてないぞ! 分かったら、医務室で寝てろー!」
お竜さんはベタなツンデレムーブをしながら、モニターに向かってシャドーボクシングをする。そんなお竜さんに龍馬は負の感情が晴れるような充足を感じた。暫くするとサンソンやアスクレピオスといった医療班のサーヴァントが担架を持ってきたので、龍馬はそれに乗せられて医務室に行くことに。その道中、龍馬は突如として眠気に襲われる。
「む……? おい、どうした。……瞳孔径が揺らいでいるな。もしや、眠いのか? 興味深い。サーヴァントは基本的には眠らないものだというのに……! ククク、自律する宝具と分離したことといい、お前の症状は貴重なサンプルになるぞ!」
「アスクレピオス。まずは医務室に着いてからにしないか──」
龍馬には二人の会話がどんどん遠のいていく感覚に陥る。二人が声を掛けるも、龍馬には届いておらず。龍馬は意識を手放してしまった。
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意識がおぼつかない龍馬。目も開けられない光の中、龍馬は自分の体が飛んでいるようだと感じた。暫くして、自身の存在が朧げになるレイシフトに似た感覚を覚える。暫くそれは続き、長いようで短い浮遊感の後。瞼を閉じていても感じる、光の奔流が龍馬の眼窩に突き刺さった。光が収まったのを感じて、龍馬が目を開けるとそこには──洋風の建物と懐かしい潮の香りを感じた。
(ここは……リゾート地か? どことなく、マスター達がいた場所に似ている──お竜さん、マスター!)
龍馬が周囲の様子を確認しようと周りを見渡すと、少し離れた場所にお竜さんとマスターがいるのを発見した。龍馬が二人に近寄ろうとして、ようやく自分の状態に気が付く。彼の体は透き通っており、周囲の人物は彼をいない者として扱う。まるでお話に出てくる幽霊になったようだと龍馬は感じた。だがそれ以外は普段通りで、自分の体に触れる分にはなんら何時もと変わらなかった。
(……霊体の状態で、特異点にレイシフトしてしまったのか? マスターも、お竜さんも気が付かないか──)
龍馬がお竜さんに透明になった手で触れようとすると、お竜さんはふわりと体を宙に翻す。そしてジッと龍馬のいる方を見ていたのだ。突然の奇行に立香はお竜さんに向き直る。
「お竜さん、いきなりどうしたの? 何か感じたの?」
「ん……いや、気のせいか?
「坂本さんが? ネモが医務室に連行したって言ってたけど……駄目だ。また通信が繋がらなくなっちゃったよ」
「……まあいいか。それより、リツカ! 今は“でーと”中だぞ。お竜さんをリードしろー」
そう言ってお竜さんは龍馬がそこにいるとも知らず、立香の腕に抱きついた。その光景は龍馬の脳を揺さぶった。幾度と寝取らせの時に、二人が抱き合う姿を見てきた龍馬。だが、この抱擁は龍馬の指示が介在していないものだ。それ故に、お竜さん自ら立香に抱きつく姿は龍馬にとっていささか刺激が強過ぎるものだった。
(お竜さん……! やけに押し強いような?)
「わわっ! 分かったから、もうちょっと離れて! 他の人も見てるから!」
「ふ〜〜ん? 本当に離れてほしいのか? ココはそうは言ってないけどな?」
(ッ……!!?)
「ちょっ……それは、外だとマズイよ……!」
お竜さんは外壁に立香を押し付けて舌舐めずりする。彼女は自分の体で他から彼を見えないようにすると、彼の股座をズボンの上から弄っていた。体を押し付けるだけならまだ仲が良過ぎる友人だと言い訳が出来た。だがそれはおふざけにしてはやり過ぎだった。加えてお竜さんの顔には悪戯やからかいではなく、好意や寵愛の眼差しを立香に向けていた。
「辞めてほしいか? なら腕を組むくらい良いよな?」
「わ、分かったよ! っはぁ……お竜さん、今日ちょっと強引じゃない?」
「んーそうか? まあ確かに
(……本当はいるんだけどな。やっぱり、お竜さんはいつになく積極的だ。もしやこの特異点が関係してるのか?)
「っ!! お竜さん……」
お竜さんはこのまま弄られたくなかったら、腕を組むのを拒否するなと言い寄る。普通は男女逆のシチュエーションだが、お竜さんと立香の力関係だとこうなってしまった。立香は間近で自分を見るお竜さんの眼光に耐え切れず、受け入れてしまう。なんだかんだ立香もお竜さんが大好きで、彼女の頼みは断り難いのであった。そしてこの特異点に来てからお竜さんが積極的過ぎないかと立香が尋ねると、お竜さんは相棒であり夫的な存在である龍馬が側にいないからと語る。龍馬はその言葉にツッコミを入れながら、この特異点の影響を考慮する。
カルデアへの通信通り、確かに街中が常に騒がしかったが龍馬は自分自身でここに立ったことで異変をより感じた。この街の熱狂が色狂いのそれであると。カップル達は道行く最中にパートナーと口付けをするのは序の口。服の上から下から、パートナーの体を弄るのは極自然なスキンシップで、建物の陰では熱狂極まったカップル達のヤリ場と化していた。最早、この特異点全てがラブスポットである。そんな風に龍馬が現場を確認していると、目の前で見つめ合う二人は触れ合うようなキスを始めた。
(ッ!!?)
「っちゅ……❤️ リツカとするのは久々な気がするな。 マシュと練習したのかー?」
「うぇっ!? そ、そんなわけ……」
「別に隠す必要ないけどな。まあこの特異点では二人きりだからな。お竜さんが一番だと、改めて刻んでやるぞ……❤️」
「それは、もう……とっくの昔に刻まれてるよ」
そう言って立香はお竜さんを見つめ返す。二人の熱情は見る人全ては理解出来るほどに高まっていた。ともすればここでヤり初めてしまいそうな欲情っぷり。しかして二人は暫く目を合わせていると、どちらともなく手を繋ぐと歩き出す。まだ日が高いから、今はデートを楽しもう。そんな風に通じ合ったのだろうか。お竜さんの相棒として長い龍馬にすら、今のお竜さんの内心は推し量れなかった。
(お竜さん、まさか本気で……!)
龍馬は自分でも分かるほどに、悲痛なか細い声を上げてしまう。今まではあくまで寝取らせという体で、お竜さんは立香とあれこれをしていた。だが、今の彼女はそういうお願いを受けたわけでもないのに、立香と逢瀬しようとしたのだ。
胃の辺りがキリキリと痛むような感覚が龍馬に襲い掛かる。けれど目を逸らすという選択肢はなく、龍馬は二人の後を追いかける。体とは裏腹に、龍馬の心は大事な彼女が他の男と交わることに悦を見出しており、彼は性癖を拗らせてしまっていたのだから。
暫くの移動を挟み、立香とお竜さんは先ずは腹拵えと飲食店に入っていった。ただそこは普通の店とは違い、所謂ゲテモノ系の食材を使った料理店だった。立香なりに道中貰ったパンフレットからお竜さんが好きそうな店を選んだのだ。そんな立香の意向がクリティカルだったのは、彼女の爛々とした瞳からも伺えた。
「おっ、おぉぉ〜〜!! ここ、本当にカエルを食べられるのか!? ワニやイノシシもあるのか……リツカ、よく見つけたな!」
「まあ偶々、もらったパンフレットに書いてあっただけだけど。食用カエルらしいから、お竜さんの好みに合うかは分からないけど……食べてみる?」
「食べる、食べるぞ! 早く行くぞリツカ!!」
「分かったから、もうちょっと落ち着いてよー!」
そうして立香とお竜さんはドタバタと騒がしく入店する。着席から注文を行い、二人は他愛もない話で盛り上がる。まさしくデートのような雰囲気に龍馬は口角を上げるも。眉間は険しくなってしまう。時折、自分の話題が上がることもあったが、お竜さんは「
「なんだ、生のカエルじゃないのか? これじゃあ何時も食堂で食っている物と変わらないぞ……味も、うん……」
「このお店じゃ生は出せないんだって。オレも、いただきます……ん、んん〜〜お! 結構美味しいかも。淡白な味って聞いていた通り。何より歯応えが良いなぁ〜~。脚を良く使うカエルだからこそかな!」
想像していた物と違い、不満を滲ませてしまうお竜さん。けてれども、立香の食レポを聞いてその顔は段々と笑みを取り戻す。自分の好きな物を好きな人が美味しいと言ってくれたからだろうと龍馬はその内心を推察する。こういうことが出来るからこそ、立香はマスターとして今まで生きていたんだと、そしてお竜さんに気に入られたんだと理解させられる龍馬。その顔は微笑ましさを感じているような、好きな人を取られてもおかしくないと感じた、悲喜交々な表情を浮かべていた。
「……ん。そうだろう、そうだろう! カエルは栄養もバッチリだし、他の肉より噛んだ時の感触もまた絶品だ! こっちの唐揚げも食べてみろ! きっと美味しい筈だ!」
「うん! あ、お竜さんも食べてみてよ。好みの味付けじゃないと思うけど。はい、あーん」
「ぉ、食べさせあいっこか……あ、あーん……もぐもぐ。やっぱり、お竜さんには物足りない味だな。けど……今まで一番美味しいかもしれん……❤️ リツカ、もっと食わせろ❤️」
そう言ってお竜さんはリツカから食べさせてもらうことにご執心になった。その顔は笑みを浮かべていたが普段のそれと違い、恋する乙女という表現が相応しい破顔だった。自分でも容易く引き出せない表情を前に、龍馬はいよいよ自分とお竜さんの関係が崩れる予兆を感じてしまう。それから暫くの間、龍馬は記憶が何処かに吹っ飛んでしまっていた。そして気が付いたらそこは飲食店などではなく、立香とお竜さんの今特異点における仮宿。ホテルの一室で、同時に情欲渦巻く竜の巣であった。
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────
──
(──ぁ。お、お竜、さん……!!)
今だ意識が朦朧としている龍馬の目の前で、立香とお竜さんが深く深く口付けを交わし合う。片時も無駄にしまいとお互いがお互いの服を脱がせ合いながら、合間にキスをする。愛欲と獣欲に挟まれた二人の異な行動に、龍馬はその明晰な頭を働かせられず呆然と魅入ってしまう。立香もお竜さんも靴下やタイツだけを残し、後は脱ぎ捨てた扇情的な姿で互いにの体を愛撫する。そこで、お竜さんはハッとしたように口を動かす。
「これは……そう!
「そ、そうかも……。まあそんなことしなくても、契約は出来るけど──」
「──ともかく!! そのためには……ヤ、ヤる必要があるんだ……❤️ け、決してお竜さんがリツカとヤりたいだけじゃないからな!? か、勘違いするなよ!?」
「あー、う、うん……! 正直言って、俺もお竜さんとめちゃくちゃしたかったから……こんな状況だけど嬉しいな」
「ん、んんッ〜〜!! リツカのそういう素直な所、お竜さん苦手だぞ……❤️」
苦手と言いつつお竜さんの顔はこれ以上なくニヤけており、まったく説得力がないと龍馬は思ってしまう。お竜さんは照れているのを誤魔化すためか、立香を押し倒し彼の固くなった肉棒を掴む。
「久しぶりだからな。すぐに終わらないよう、お竜さんの口で一回抜いてやる❤️ んあ……相変わらずデカいちんぽだな❤️」
「お竜さんのフェラ……! めちゃくちゃ嬉しいなぁ〜! 久しぶりだから、すぐ出さないようにしなきゃ……」
「フフン。マシュの生っちょろいフェラで腑抜けてるなら、五分も持たないぞ──んぁ、じゅるるっっ❤️」
「お、ぉぉおおお……!!」
お竜さんは立香の肉棒を難なく呑み込み、蛇のように長い舌を竿にぐるりと絡ませる。喉奥に刺さるかというほど咥えると、自然と立香の股間部に顔が近付いたので、お竜さんは久しぶりに邂逅した立香の雄臭を堪能していた。お竜さんの顔は蕩けきっており、こんな顔を自分の前で見せたことは一切ないと龍馬は断言出来た。見たとしても、それはお竜さんが寝取らせで撮ってきたビデオの中だけだった。
龍馬は二人の絡みを見て、勃起していた自分の陰茎を自然に掴んでしまう。他の物には依然触れられなかったが、自分は例外なようで勃起した己の陰茎はしっかりと弄ることが出来た。そのまま龍馬は、お竜さんのフェラをおかずに自慰を初めてしまう。
(クッ……お竜さん、お竜さん!!)
「あ、ぁぁああぁぁ……! マジでヤバいッ……! お竜さんのフェラ、上達してない!? お竜さんこそ、坂本さんとヤリまくったんじゃ……ぅぁッ!」
「じゅぞぞぞ〜〜❤️ じゅっぱ……ふん!
お竜さんは立香の龍馬としまくっているんじゃとの疑問に、立香の鏃のように鋭い雁首を集中的に吸い付き、立香を黙らせる。そして、頬を窄め吸い付きながら肉棒を口から抜き、以前不意打ちでした寝取らせについてチクチクと立香を刺した。それは同時に側で聞いていた、龍馬にも刺さっていた。
「その件については、本当に申し訳なく……! オレが出来ることでならなんでも──」
「ちゅっぱぁ❤️ ふ〜ん? そうかそうか。なら、今日はお竜さんの好きにさせてもらうぞ❤️ ザーメンタンクとして、お竜さんを楽しませろ❤️」
「ぉぉッ!!? これは、お竜さんの髪オナホ!?」
お竜さんは立香のなんでもという言葉を聞き、言質取ったりとでも言いたげな顔でニヤリと笑みを浮かべる。そのまま艶のある黒髪を操作すると、立香の肉棒に巻き付ける。彼女が得意とする、伸縮自在、剛柔一体の髪オナホで立香の肉棒をシゴき始める。
お竜さんが得意とする性技で、龍馬も昔してもらったことがあり、一瞬であえなく射精してしまった苦い過去があった。あの快楽をまた体験したいと思ったことは幾度もあったが、気分屋のお竜さんはあまりしたがらずご無沙汰である。その彼女が立香には惜しげもなく披露するのを見て、龍馬は無意識に自分の肉棒をシゴく力を強める。
「あの時より、効くっ……ぐっ、ぉぉぉおおお!! お竜、さん……!!」
「フフン。これは他の女じゃそう味わえないだろ、リツカ❤️ おおい、顔を隠すな。もっとお竜さんにリツカの恥ずかしい顔見せろー❤️」
「あ゛っ! お竜さん、もう、もう射精ちゃう……!」
「いいぞ❤️ リツカの精、全部お竜さんにだけ出せっ❤️」
(くっ……!! お竜、さんっ!!)
「うぁ、ぁぁぁああ……!!」
じゅぷじゅぷと厭らしい音を立てながら、髪オナホが上下する。それに合わせて龍馬も手で作った筒を激しく前後させる。お竜さんはその間も、立香の逞しい体を愛撫したりしていた。体を擦り付けながらキスマークを残す、その愛しさが溢れた行為にますます龍馬の自慰は激しさを増す。彼よりもずっと早く出会って仲を深めきた女性が、自分よりずっと年下でまだ幼さを残す男に首っ丈な様子。それは寝取らせの沼に浸かってしまった、龍馬の興奮を極限まで高めていた。自慰の激しさに耐え切れず敢えなく龍馬が射精した後、立香も雄叫びと共に大量の精をお竜さんへと吐き出した。
(射精るっ……!)
「く、ぉぉおおおぉぉっ!!」
龍馬の少量の射精は宙に一瞬だけ弧を描くと、後はポタポタを床へと落ちて行く。が、それは龍馬の見た幻なのか部屋や二人に一切影響がないようだった。一方、立香の射精は髪を解いたお竜さんが鈴口に自身の唇を押し付けていたことで、彼女の口内から胃袋に濁流の如き白濁液を流し込んでいた。お竜さんはカエルに等しいくらい大好物となっていた、立香の精に喉を鳴らしながら呑んでいた。数十秒、或いは数分は経ったかと思う程の濃厚な飲精を終えると、お竜さんは肉棒を解放して口内に残った精を舌で器用に掬い飲んでいた。
「んぐっ、んんっ❤️ はぁ──❤️ 相変わらず、リツカの精は濃厚で美味いな❤️」
「ふぅ、ふぅ、お竜、さん……!」
「ん、あぁ。よしよし。リツカもまだヤりたりない顔してるぞ❤️
(っっ……! ぅっぁ……)
その言葉は坂本龍馬にとってクリティカル──或いは革命的な一撃となった。お竜さんが明確に自分以外の雄を上位として扱った光景に、龍馬に微かに残っていた寝取らせへの抵抗感を削ぎ落とされる。もはや龍馬の肉体、精神、魂はお竜さんの寝取らせを求めるだけになってしまう。
そんな相棒の異変に気が付くことはなく、お竜さんは立香との逢瀬を続ける。大好きな雄の匂いに包まれ、雄もまた最愛と呼ぶべき竜の潮の香りに包まれ興奮を高める。奇しくも寝取らせの沼に沈んだ龍馬の望みを叶えるように。お竜さんは口を絡ませあいがながら、自身のピンク色のカラータイツ。その秘所の部位を手際よく切り開いた。そして立香を下に、騎乗位のような型を取るとお竜さんは妖しくニヤつく。
「ちゅ❤️ ちゅるっ❤️ んんっ❤️ んふぅ❤️ ちゅ──ぷっはぁ。リツカ、そろそろ続きをするぞ❤️ お竜さんの唾で、元気は十分だな?」
「うん……もう我慢できないって感じだよ! お竜さん……!」
「そうか、そうか❤️ そこまで言うなら、お竜さんも鬼じゃないからな。リツカのおちんぽ、お竜さんのおまんこで抜いてやるぞ──ぉ゛ぉぉ〜〜❤️」
もう待ちきれないと二人して体を擦り付けあっていたが、立香の切なさを感じる懇願に情欲極まった顔をすると、立香のガチガチに屹立した肉棒を自身の秘所に宛てがい一気に挿入した。あるべき場所に帰るかのように肉の豪槍と一体化するお竜さんの膣鞘。お竜さんは、子袋を貫くような鋭い快楽に彼女らしからぬ悦楽の声を上げる。立香もまた久しく感じていなかった、彼女のミミズ千匹の名器に恍惚とした声を上げる。
「くっ、あぁぁっ……!! 射精したばっかなのに、もう射精しそう……ッ!!」
「ん、ぅぁ……❤️ ほんと、弱っちくなったなリツカ。仕方ないやつだ❤️ お竜さんが、また一から鍛えてやるぞ──ん゛ん゛っ❤️」
「あッ! お、お竜さんっ……!!」
お竜さんは立香の挿入だけで息も絶え絶えな様子を見て、自分としなくなってから快感に弱くなったんじゃないかと呟いた。ならば、初めて寝取らせをした時のように鍛えてやろうと、立香の上で竜の舞を始める。お竜さんの体はしっかりと立香との交尾を刻んでおり、彼女の腰遣いは巧みで上下左右に揺れ動き、立香と己を喘がせる。
「あ゛ぅ❤️ ん゛っ❤️ リツカのっ❤️ ガチガチ、ちんぽっ❤️ お竜さんの、子袋にっ❤️ 接吻、しすぎだぞ❤️」
「ふぐっ、はぁ、はぁ、ぅぐぅ!! やば、 お竜さん、もう──!!」
「んんぅ? まだ、ダメだぞっ……❤️ お竜さんとの交尾をしっかり思い出すまで射精は禁止だ❤️」
「ァッ!? お、竜、さん……!!?」
(髪の毛で射精を止めた……! 極上の快楽を感じながら、射精出来ない生き地獄を味わう。天国と地獄とはこのことか……!)
龍馬の見立て通りお竜さんは立香の射精を察すると、抽送の邪魔にならないように肉竿の根本に髪の毛を巻きつけた。これにより立香は射精したくても出来なくなる。そうなると立香の脳裏にはお竜さんの国宝クラスの肉壺による快感、射精したくてたまらない抑え難い衝動、二つの欲情で心体を犯し尽くされていた。
龍馬は二人の情交を見て、また勃起してきた肉棒をシゴキながら思考する。自分がもし彼の立場だったら、快感と衝動の板挟みに失神してたかもしれないと。だが立香はギリギリの所で耐え切っていた。その百折不撓な姿勢が、現在まで最後のマスターとして数多の特異点に適応したのだろうと龍馬はまたも考える。やがてお竜さんの踊る様な腰遣いに、かつてと同じように適応した立香は少しでもお竜さん満足させようと腰を突き上げていた。
「お゛ォッ❤️ りつかぁ❤️ い、いきなりっ❤️ うごく、なぁっ❤️」
「お竜さんッ……お竜さんッ!!」
「おっ❤️ あっ❤️ わかったっ❤️ わかったからっ❤️ もうっ❤️ お竜さんも、イクッから❤️ りつかも──❤️」
「全部、射精すよっっ!!」
お竜さんの腰が落ちるのに合わせて突き上げるのを無心に繰り返す立香。幾度感じても慣れない相性抜群の攻めにお竜さんは堪らず、肉棒を縛る髪の毛を解いてしまう立香はその隙を本能で感じ取ったのか、お竜さんの最奥に亀頭を合わせると溜まりに溜まった射精感を開放する。ジェット噴射を思わせるような力強い射精は一息でお竜さんの子袋を染め上げ、逆流しながら外へと溢れ出す。お竜さんは絶頂と共に大好きな雄の精が自身の魔力へと吸収変換されるのを感じ、その事実に悦び打ち震えていた。
「ァッ❤️❤️❤️ ア、はァ──❤️」
「ぅっ、お竜さんの中、まだ搾り取ろうと締め付けてくる……!」
「んんぅ❤️ リツカ……❤️ お前の精は全部、お竜さんの物だぞ……❤️」
絶頂の余韻で心ここにあらずなお竜さんは、自然と立香に倒れ込んでしまう。自然と抱き合う感じになると、お竜さんの小振りだが形の良い胸が立香の胸板に押し付けられ、その柔らかな感触に立香の精を瞬く間に再充填していた。だが暫くはこの余韻を楽しもうと以心伝心の二人は、ソフトタッチや鳥のように口を啄みあったりと戯れあっていた。その絡み合いは恋人のそれで、寝取らせに堕ち切った龍馬を興奮させる。
(初日からこんなになるとは……やっぱりこの特異点のお祭りというのが関係しているのかな?)
(だとしたらお祭りが終わるまでに、二人はどこまで関係を進めてしまうのか。普通は止めるべきだ……けど。今の僕は、それを見たいという意思が止められない……!)
こうして二人の関係を真に遮るものがいない中、立香とお竜さんは朝までハメを外してしまう。龍馬もまた精魂尽き果てるとはこのことかと思うほど、自慰を繰り返したが、二人の精力は底なしで龍馬が勃たなくなった後も続いた。朝になる頃には、お竜さんの腹部は立香の精で膨らみをおびており、体液で汚れきったベッドで眠る二人の寝顔は幸せそうであった。
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──
特異点に来てから二日目。立香とお竜さんは昼過ぎ頃に起きると、シャワーを済ませ、ホテルで遅めの昼食を取って外に出掛けた。昨夜の情交の心地良い気怠さからか、二人は穏やかに街中をデートしていたのだが、その道中で堂々と炎天下の下で青姦をした若いカップルの姿を目撃する。道行く人は微笑ましそうに見守ったり、見せ合うかのようにヤリ始めるカップルがいる中、立香はギョッとして直ぐに顔を背ける。だが、お竜さんは関心を顕に青姦カップルに近づこうとする。立香はすぐさまお竜さんの腕を掴む。
「ちょっ!? ダメだって、お竜さん!! 他の人の邪魔しちゃ悪いから! 自分だってされたら嫌でしょ!?」
「ぬぁっ!? それを言われると、お竜さんも止まらざるをえないぞ……。にしても、ほー……ああやって、外でする番もいるんだなぁ……」
「普通はダメだからね! やっぱこの特異点、おかしいなぁ。性に緩過ぎる感じだ。あんなに堂々と街中でヤるなんて普通じゃ考えられないよ……」
(まさしく。昨日の君達の乱れっぷりがそれを表しているなとは、俯瞰している僕だから言えることだね)
「……ん! リツカ、お竜さん達も──「……やらないからね!!」ちぇっー」
一瞬の間を置いて立香は拒否する。そうして立香とお竜さん、特にお竜さんは後ろ髪を引かれるの文字通り。髪を伸ばしながら立香の後に付き添っていた。二人は時折店を冷かしては目についたアクセサリーを買ったり、出店のスイーツを買い食いし、異国の情緒を眺めたりとリゾート地でのオーソドックスなデートを行っていた。
練り歩くこと数十分。二人は海辺に到着すると、そこでは海上をサーキットとしたレースが開催されていたのだ。レーサーの中には英霊も混じっており、中には宝具を使っていた者も少なからずいた。そのレースがいかな激闘だというのは想像に難くなかった。そんなお祭り騒ぎをお竜さんが見逃す筈もなく、立香へと参加を促していた。
「リツカ、リツカ!! お竜さんも出たいぞ! 宝具がオーケーなら、スーパーお竜さんで優勝は頂きだ!!」
「言うと思ったよ……ええっと、パンフレットによるとエントリーして、抽選に当たったら出られるって」
「なら今すぐえんとりーするぞ! そうだな、チーム名はスーパーお竜さん&リツカ! ううむ……ニューハイパーベストコンビはどうだ! これも違う感じが……むむむ」
「もうすぐ締め切っちゃうみたいだから、チーム名は適当に入れとくよー」
「おいリツカ! 勝手に決めるなー!」
お竜さんがチーム名を苦心しているのを見かねて、立香はさっさと自分でエントリーを済ませてしまう。そして抽選が始まる数分前までお竜さんは終始、チーム名を勝手に決められたことに文句を言っていた。が、抽選で選ばれたとなったら文句は消えてレースに向けて絶対に一番を取ると張り切り出していた。これには立香や霊体となった龍馬もが切り替えの速さに苦笑してしまう。そんな中、他のレース出場メンバーを見ていた立香が、怪訝な表情をしながら違和感を覚えたように首を傾げていた。
「他のレース参加者は、皆どこかで見たことがある英霊の人が多いなぁ……ん? なんか、他の参加者の相方に靄が掛かっているような? お竜さんはどう?」
「靄? 別に、ふつーの人間だろ? まあ、ちょっとだけリツカに似てるかもな……どうした、不思議そうな顔して?」
(僕から見てもどこでもいそうな男の子に見える……が。マスターはそうじゃないみたいか。魔術による認識操作か? 何のためだ……?)
「オレに似てるの? ええっと。どう見ても人形の靄というか……もしかして、これも特異点の異常なのか……? 先に仕掛けた方が良いのかなぁ?」
(……ふむ。なんだか普段のマスターらしくない発言だね)
立香は顔をしかめながら他の参加者をジロジロと見てしまう。その視線に気が付いたのか、レース参加者の相方である女性がこちらに向かってきた。彼女は背に届く銀の髪を靡かせ、黒を基調としたラフな格好をしていた。そのアンニュイな表情と幽艶な佇まいは、見るものに位高さを感じさせるオーラを放つ。立香が息を飲む中、お竜さんは彼を守るため側にピタリと張り付く。もしかすると他の女には渡さないという、お竜さんの独占欲から出た行動かもしれないと龍馬は邪推していた。
「あなた、さっきからこちらをジロジロと見ていましたけど……もしかして、最近ここに来たマスターかしら?」
「あ……はい、そうです! すみません、不躾に睨みつけるように見てしまって……あの、あなたは?」
「私はクリームヒルト。私を知らないってことは、まだあの特異点には行ってないようね」
「クリームヒルトって確か、ジークフリートの──「私の前でその人の名前は出さないでくれるかしら?」──すみません!」
立香は蛇に睨まれた蛙のように萎縮してしまっていた。それほどまでに鋭い意思を帯びた言葉であった。そんなクリームヒルトの氷の眼差しに圧倒された立香の前に立ったのは、何を隠そうお竜さんだった。彼女は黒い髪をしならせ威嚇するようにクリームヒルトに鋭い瞳を光らせる。
「おい。あんまりお竜さんのリツカをイジメるなよ。サーヴァントなら、リツカに変わってお竜さんが相手になるぞ」
「あら、そういうつもりはなかったのだけど。まあそういうことなら、手早く済ませましょうか。多分だけど私のマスターに靄が掛かっているのが気になるんでしょ? あれはあなたを害することはないから気にしないでちょうだい。それを言いにきたのよ」
「害することはない……? あれはこの特異点の影響じゃないんですか?」
「いいえ。この特異点とお祭りはカルデアのマスターを慰安するためのもので、マスターとその愛する人を呼び込む以外に力はないらしいわよ。あの靄はむしろあなたと私のマスターの問題よ」
クリームヒルトはお竜さんの迸る魔力を見て、降参とでも言いたげに手を降ると要件を伝えてきた。彼女曰く、靄が掛かった人物は立香を害することはなく、また靄も特異点の影響ではなく自分とクリームヒルトのマスターが関係していると言うのだ。
「まあ私もこの特異点の聖杯から得た知識ですから、詳しくは知りませんけど。同じような人物が複数いると問題があるから、極力認識しないようにする一種の防衛反応らしいわよ。奇妙かもしれないけどお祭りが終わるまで辛抱してちょうだい」
「なる、ほど……? 聖杯からの知識? お竜さん、そういうのあった?」
「知らん。その女が適当言ってるかもだぞ」
(お竜さんじゃないんだから、そんなわけないでしょ。だが、なるほど……同一人物だから見えないか。それならマスターの反応も頷ける。普段の彼らしからぬ初手からの敵視はそういうわけか)
龍馬は俯瞰して状況を見ていたこともあり、立香の様子が少しだけで変わっていたことに気が付いた。普段なら異常事態であっても、最初から敵意や悪意を抱いたりするのは珍しく、そんな彼がまだ襲われてもいない状況で先手を取るかと言っていて龍馬は不可思議に思っていたのだ。それが平行世界の同一人物を排除したい防衛本能かもと聞き、龍馬は合点がいった。そしてクリームヒルトは二人の反応を見て、もしかしたらと思っていたであろう疑問を口にした。
「彼女、他のサーヴァントに付いている幻霊か宝具だったんじゃないの? 少し前に来た馬耳の娘もそうだったわ。どうもその手の子達はこの特異点の聖杯と上手く繋がってないみたいで、情報の伝達が出来てないのよ」
「ほーん。まあお竜さんがスペシャル過ぎたってことだな。崇めてもいいぞ、リツカ」
「後で崇めさせてもらうよー……クリームヒルトさんのおかげで、あらかた納得出来ました。改めてありがとうございます! あなたのマスターさんを睨み付けて、申し訳なかったです。クリームヒルトさんの方からマスターさんにも言ってもらえるとありがたいです」
「ん。謝罪、確かに受け取りました。と言っても…… ⬛︎⬛︎⬛︎は最初から気にしてませんでしたけどね!! まったく、あんなに睨まれたのに気にしないとかちょっとどうかと思うわよね!? あの子、悪意とか敵意に寛容過ぎるのよ!! 危なかしいったらないわ!! まあそういう所も好き……愛しているのですけど❤️ ほんと、仕方のないマスターよね❤️ そういう悪意とか計略は私が支えて──❤️」
この特異点のことを聞けたのもあり、立香は改めてクリームヒルトに謝罪を行う。また彼女のマスターにも謝意を伝えてほしいと立香が告げると、彼女曰くそのマスターはまったく気にしていなかったそうだった。そのことに一安心を覚えたリツカだったが、マスターの話題を出したのがいけなかったのか。クリームヒルトは自身のマスターに対する、怒涛の惚気トークが垂れ流される。これには立香もお竜さんも空いた口が塞がらなかった。
(はぁー……かの大英雄の妻、クリームヒルトはこういう人だったのか。どうもマスターは未来で彼女と出会うみたいだが深掘りはしない方が良さそうだね)にしても逸話から愛情深い彼女がマスターと関係を持つなんて、何があったのやら……)
「おお……こいつ、一人でトリップし始めたぞ。頭バーサーカーか?」
「お竜さん!! けどどうしよう……あっ。どうやらあっちのマスターが迎えに来るみたいだしオレ達は離れようか。さっきの説明を聞く感じあんま近付き過ぎない方が良いみたいだし」
立香とお竜さんは近付いてくるマスターとクリームヒルトに軽く会釈してその場を去った。その際、お竜さんは近付いてくるマスターの顔を離れながらもじっと見つめる。そんな彼女の様子に立香はそわそわと落ち着かない調子で彼女をチラチラと見ていた。
「んーお竜さんは少し他のリツカとやらに会ってみたい気がしたが……まあ辞めとくか。安心したか、立香ー?」
「いやまあ、会いたいっていうなら止められないけどさ。あー……たぶん他の自分よりオレの方が、お竜さんのことはよく分かってると思うけど」
「ふーん……❤️ くくくっ、リツカも嫉妬とかすることあるんだな! うりうり!」
「ちょっ、やめっ、お竜さん!!」
他の立香に会ってみようかと言うお竜さんに立香は、会いたいなら止めないが不満はあるといった雰囲気を醸し出す。そんな普段は見られない立香の不貞腐れた態度に、お竜さんは面白がって彼をいじり倒そうとしていた。
そんなこんなでレースの開催が迫り、二人はスタート地点に移動する。そこには先程関わったクリームヒルトやレースクイーンのような出立の鈴鹿御前とバイク、何処ぞの覇王の絵がデカデカとプリントされたモーターボートに乗る虞美人、他にも多数の英霊と相方であろう青年達が並んでいた。立香はやはり彼らが気になるようだったが、極力視線を送らないよう気をつけていた。
観客やレーサー自身、今か今かと開始を待ち望んでいた頃。いよいよ、レースが始まろうとしていた。水辺にずらりとレーサーが各々が用意したマシンと並び立つ。すると何処からともなくアナウンスが流れ、サーキットの説明や攻撃もアリというカルデアではお馴染みとなった説明がされる。長い説明が終わり、レース開始のカウントが行われ──スタートの合図と共に一斉に皆飛び出す。立香と黒い大蛇となっていたお竜さんもスタートしようとするが、お竜さんはまだやることがあると、すぐにスタートしなかった。
「リツカ! 今日はお前とお竜さんで二人だけの海援隊だ!
(えっ!? まさか……マスターが僕の代わりを……!?)
「え、オレが!!? わわっ、槍が飛んできたっ!! いやまじで? ていうか坂本さんじゃなくても出来るの……? ……ええいままよ!! お竜さん、痛かったらごめんね!!」
立香はお竜さんから投げられた槍を、黒い大蛇となったお竜さんの額に突き立てる。本来が龍馬が持つ天逆鉾でお竜さんは変鱗するのだが、この特異点ではマスターがその役割を担うことで可能となっていたようだった。槍を突き立てられたお竜さんは、白い大蛇へと脱皮羽化すると水面を一気に駆け抜ける。その速さはスタートに出遅れたのを感じさせない勢いで、他のレーサー達をごぼう抜きしていった。
立香が白き大蛇となったお竜さんの額で仁王立ちする姿を見て、龍馬は己の宝具すらも奪われたこの状況にさえ言いしれぬ興奮が内から燃え上がっていた。
(まさか宝具までマスターに奪われるとは……ッ!! お竜さん、凄く嬉しそうだ……! ん、くっ……ああ、僕もおかしくなっているのか──!!)
龍馬は徐に袴を下ろし、自分の立ち位置を奪った立香と彼と共に水面を翔るお竜さんをおかずに自慰を始める。他の者に姿が見えないとはいえ、大衆の眼前で自慰行為を行うなど今までの彼を知っている人は信じられない行為だ。だがこの特異点による解放感と寝取らせ好きにとってたまらない光景に龍馬の理性は蒸発していた。故にこのような暴挙を行ってしまう。
龍馬が二人の姿をおかずに自慰をしている間にレースは終了し、立香とお竜さんは見事一位を取ることに成功していた。お竜さんは表彰台で立香を抱きしめると、観客の前で立香とのキスを見せつけていた。興奮冷めやらぬ中、二人はホテルに戻ると勝利の美酒ならぬ食事会を行う。お竜さんはともかく立香は酒を飲んでいなかったのだが、場の雰囲気から酔った様な調子にはなっていた。そうなるともはや情動を止めるものはなく、立香とお竜は連日連夜交わることになった。
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「お竜さん、お竜さんっ! 大好きだ、愛しているよ!! 坂本さんに負けないくらい、お竜さんのこと大好きなんだ!!」
「お゛っ❤️ りつかぁ、りつか〜〜ッッッ❤️」
「お竜さん! お竜さんもオレのこと、好きだって言ってっ!! 他のオレなんかに目移りしないように頑張るからね!!」
「はぁっ、へぇッ❤️❤️ お、おりょうさんも……だいすきっ、だぞ❤️ りつかがだいすきだっ❤️❤️❤️」
「お竜さん! あっ……くぅぅっ!!」
発情した雄と雌竜の咆哮、二人の淫水がかき混ざる合奏、今にも壊れかねないほど弾むベッドの軋み。二人の情交は昨夜にも増してエスカレートしていた。原因は明白で場酔いしたことで立香の本心が顕になったからである。立香は龍馬がいる建前、お竜さんを本心から好きだと言えず常日頃本音を押し殺して接していた。それが現在は特異点による開放感と場酔いが合わさったことで、彼の抑圧されていた想いが剥き出しとなってお竜さんを襲ったのである。
立香は本日数度目の射精をお竜さんの中でぶち撒ける。そのまま立香は勢いよく肉棒を抜くと、後を追うようにお竜さんの蜜壺からダマのような白濁液が吹き上がる。凄まじい絶頂からお竜さんは足を広げ突っ伏しており、その姿は彼女が大好きなカエルと同じような格好であった。全身を痙攣させながら精を垂れ流す愛しい女の姿に、龍馬は目眩と脳が揺さぶられるような衝撃を受けていた。
(これは……凄まじいな。あのお竜さんがカエルみたいになっちゃうなんて。マスター、君は僕の想像以上の性豪だ。ふぅー……)
龍馬がお竜さんの痴態を魅せてくれた立香に感服の念を抱いていると、立香はふらりと立ち上がりおもむろにカーテンを開ける。龍馬とお竜さんは二人して立香行動に疑問を抱いていると、立香は軽々とお竜さんをお姫様抱っこで持ち上げた。突然のことにお竜さんはしおらしくなってしまい立香を上目遣いで見つめてしまう。
「お、おいリツカ!? いきなり、どうしたんだ? こういうの、お竜さんには似合わないぞ……」
「そんなことないよ。オレにとって、お竜さんはお姫様みたいなもんだから。お姫様抱っこ、してみたかったんだー」
(……マスターは何時になく大胆だね。祝勝会でお竜さんが飲んだお酒の匂いで場酔いしてるとはいえ、これも彼の本心なのかな?)
「ッ!!? ば、バカッ! そういうこと、いきなり言うな! う、ぅぅ〜〜!! このぉ〜〜……女の敵! 絶倫お化け! イジワル! 竜好きのヘンタイ! 仕事人間! もっと暇そうにしてろ! お竜さんを無視して、他の竜やメスとイチャイチャするな!」
(……照れ隠しかな? 赤竜ってくらい真っ赤になってるなぁ。ていうか最後の方は悪口じゃなくて愚痴になってるし)
立香の歯の浮くような言葉に龍馬は彼の本心を察してしまう。立香の言葉を真正面から受けたお竜さんの白い肌は真っ赤かになり、一拍遅れてからお竜さんは立香に心を掻き乱されたことに動揺してか理不尽な物言いを立香にする。だがその物言いは後半になるにつれて、彼への愚痴へと変わっていた。これを受け立香は、お竜さんを安心させるようトロンとした目付きで微笑む。
「不安にさせてごめんね、お竜さん。カルデアに帰ったら、お竜さんとイチャイチャする時間を作るから許してくれる? オレは他のどんな龍や竜よりお竜さんが大好きだよ!」
「ッッッ❤️❤️❤️ ぐぬぬっ……!! 嘘ついたら、槍千本飲ませるぞ……?」
「絶対に時間作るから。お竜さんこそ、坂本さんとデートするからとか言ってすっぽかさないでよ?」
「ん……。その時間が出来たら、絶対リツカを優先する。約束だ」
(……まったく見せつけてくれるなぁ。二人はそうは思ってないんだろうけど)
そう言って二人は指切りではなく、視線を結ぶように熱く見つめ合う。龍馬は二人の繋がりはもう自分の意を超えた固さに達していると感じ、龍馬は知らず知らずの内に拳を硬く握りしめてしまう。
「……リツカ? そろそろ下りたいんだが……なんで窓際に移動を続けるんだ?」
「え、まだ下さないよ。ほら、昼間のこと覚えてる? 外でヤッてたの気になってたでしょ? あの時はああ言ったけど、実はオレも気になってて……」
「っ!? おい、まさか──!!?」
「この部屋、ちょうどバルコニーが付いてるんだよねー。なら、使わない手はないでしょ!」
立香はそう言いながら器用に足で窓を開くと、お竜さんを抱えながらバルコニーに足を踏み入れた。高層のホテルなのもあり、下にいる人から顔を等を区別することは出来そうになかったが、人影が何をしているのか判別することくらいは可能で。バルコニーでヤろうものなら、十中八九盛ってると判断されてしまうくらい見晴らしが良かった。
「確かに気にはなったが、自分でするのはお竜でもどうかと思うぞ!? んっ──ァッ❤️ ンッ❤️ リツカぁ❤️ 胸、まさぐるなっ❤️ 大事なっ、話の途中、だぞっ❤️」
「口ではイヤイヤ言っても、下はそうは言ってないけど? バルコニーの床にもうちっちゃい水たまりが出来てるよ?」
「ッ!! こ、んのぉっ❤️ 調子乗りすぎ──ァ゛ァ゛ッ❤️❤️❤️」
「──ンッ! ほらっ! オレのがぬるりと入って、めちゃくちゃ締め付けられてるよ! 人に見られているかもしれないこの状況で、お竜さんもめちゃくちゃ興奮してるんでしょ!?」
立香はお竜さんを抱きしめ合うように抱える所謂駅弁と呼ばれる体位を取ると、彼女の情交で滑り覚え興奮で湿りを帯びた彼専用の鞘へと三度挿入する。立香曰く、その膣内は今まで以上に彼の肉棒を掴んで離さないらしく彼を唸らせていた。それはお竜さんが今日一番興奮しているからに他なかった。
お竜さんはその本性から人間に素肌を見らてもさしては気にならない性分であった。故にもし仮に水浴びでもしている時に覗きをされたとしても、対して気にも留めないだろう。けれども、立香と情交している時の自分を雑多な人間見られるかもしれない。そう思うとお竜さんの中には強い拒否感と同時に、恥じらいや興奮が増加したのであった。従って、お竜さんは何時でも立香から抜け出そう思えば抜け出せたが、彼の誘いに乗りこの青姦に興じていたのであった。
(恥じらいが必要な露出プレイはお竜さんに向かないと思ってたけど、これを見る限り僕の読み違いだったかな。何時もの倍は興奮してるかもだ……!)
「オ゛ッ❤️ ン゛グゥ❤️ りつかぁ❤️ 激し、すぎっ❤️ ンンンッ❤️ アァァッ❤️❤️」
「まだまだ、これから──ぁ」
「んぅ……!!?」
立香とお竜さんが間の抜けた声を出しながら、首を横にする。二人に耳には確かにそちらの方から音がしたのだ。ちょうど自分たちがバルコニーに出る際に聞いた扉が開閉する音を。そう隣室に泊まっていた客が、その部屋に付属するバルコニーに出てきてしまったのだ。立香とお竜さんが固唾を飲んで見つめる中、彼──否。彼と彼女は奇しくも立香とお竜さんと似た行為をしていた。即ち、背面駅弁である。
「あぁっ❤️ 待って、⬛︎⬛︎⬛︎❤️ こんな顔、誰かに見られたら──ッ!!?」
そして立香とお竜さんは隣室のカップルの女性と目が合ってしまう。その顔は両者共に見覚えが確かにあり、二人はこんな偶然あるのかと顔を歪めてしまう。彼女──クリームヒルトは男に抱きついたまま、目を見開き口を大きく開けていた。その顔には先ほどまであった朱色はなく、ただ青ざめていたのだが。彼女の恋人である男はお構いなしに腰を突き上げた。
「ん゛んっっ❤️ ちょ、あなたっ❤️あ 何を考えて──ぇッッッ❤️ み、見られてるのよっ!? 何で、動くのよっ〜〜❤️❤️」
『──────』
「見せつけよう……ですって!? ッ〜〜!! ほんと、こういう時だけ悪くなるんですから……❤️ ぁっ❤️ あァ、ンンッ❤️ はぁっ❤️」
「──おい、リツカ。あいつら、なんかお竜さん達をダシにして盛り上がってないか?」
「そう、だね。まさか隣室の人がクリームヒルトさんでそのマスターも好きものだとは……」
クリームヒルトのマスターは二人に間近で見らても気にせず、むしろより熱が入ってるのか腰を突き動かす。銀髪の幽美な淑女が見られている恥ずかしさや、愛する男からの抽送に乱れる様は、立香も思わず唸ってしまう艶美が溢れていた。それを良く思わない者、お竜さんは立香が隣室の情交に圧倒されたのを見て反骨心を滾らせていた。
「リツカ。このまま見てるだけで終わらないよな? お竜さん達の“らぶらぶ”っぷりを見せつけてやるぞ!」
「お竜さん……! そうだ、その通りだ! オレとお竜さんだって負けてないってところ証明しよう! いくよ、お竜さん──ッ!!」
「ああ──あ゛っ❤️ んッッ❤️ あ゛っ❤️ りつかのっ❤️ いつもより、おおっ❤️ きぃっっっ❤️❤️」
立香とお竜さんは引き立て役では終わらない。そう決意を共にすると、二人は性行為を再開する。その激しさは隣室の者には負けないという強い意志が宿っていながら、相手への好意が溢れて止まない熱情の性交であった。
『──────』
「んっ❤️ そう、ね❤️ 私達も、負けてられないわ──はぁっ、んんっ❤️」
立香とお竜さんを見て、クリームヒルトとそのマスターも更に激しく乱れる。その両組の性交は鍔迫り合いのようにせめぎ合い、空間に火花が走るかの様な熱戦であった。竜と妃が口付けを同時に行い始めた頃、これまたマスター二人はスパートを掛けるように一斉にストロークを加速させる。
「「ちゅっ❤️ んっ❤️ んぢゅっ❤️ れうっ❤️ れるぅぅ❤️ ぢゅぷぅ❤️ ぢゅるるぅ──❤️」」
「──ぷっはぁ! お竜さんっ! また、中で射精すよ……!!」
『──────』
「「いいぞ、リツカ❤️/来て、⬛︎⬛︎⬛︎❤️」」
男の射精宣言に竜と妃はより一層抱き付き、耳元で射精を許す。二人のマスターは幾度となく放出した己が雌壺へと射精を解放する。竜と妃は幾度と受け止めながらも、飽きず、色褪せぬ、最上最高の射精を堪能しながら絶頂へと上り詰めていた。ドクン、ドクンと聞こえそうな力強い射精は見る物を圧倒しており。二組の頂上決戦たる見せ合いセックスを閉口して、血走る目で見ていた龍馬は感嘆のため息を大きく吐いてしまう。
(っぁー……!! すごいものが見れたかもしれないなぁ。僕の目からはどちらも最適なテクニック、最上級の射精、そして最高の相性な二人がおりなす極上の性交に見えた! 僕とお竜さんじゃ、ここまで……ッッ!)
立香の射精を受けて、心底嬉しそうで気持ちよさそうなお竜さんを前にして。龍馬は拳を握り締めながら、空いている手でシゴくのを辞めることは出来なかった。英雄クラスの性豪であるマスターと二、三回でバテてしまう自分の不甲斐なさやら様々な思いが交錯し、龍馬の勃起は留まることを知らなかったのだ。
そんな立香は珍しく疲れを見せ、肩で息をしながらお竜さんを抱えていた。また隣室のマスターも同様で、疲労した様子だったがふと体を立香の方に向いたかと思うと、彼は立香に向かってサムズアップをしたのだ。二人の間に言葉はなかったが、この見せ合いを通して二人の間には確かな絆が生まれていたのだ。立香もまたサムズアップを返し、互いに大きく頷き合った。
「……男の友情、かしら? まあなんでもいいですけど。次は普通に部屋内でしましょ? ちょっと肌寒くなってきましたし」
「まあ中々面白い体験ではあったな。偶にならヤッてもいい……あいつ等を巻き込むのもアリか。リツカ、気が済んだなら部屋に戻るぞ」
女性陣からの要望もあり立香と隣室のマスターは部屋の中の退散してしまう。けれども見せ合いセックスでの余熱は残っているようで、両組の性交は朝を過ぎ、昼まで続いたのは龍馬だけが知っていたのであった。
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三日目、特異点のお祭り最終日。お祭りが終われば二人は解放されるのか、それは龍馬には断定出来なかったが、当の二人はどこか今日で終わりだと感じているのか、朝起きて食事を摂ると外に出歩かずヤリ始めたのだ。昨日あんなにしたのも関わらず、二人の性欲は衰えることを知らないようだと龍馬は嘆息を吐いてしまう。
(いやはや。マスターは普段サーヴァントに引け目を感じているが。生殖技術、精力は大英雄並みだね)
龍馬がそんなことを考えていると本日一発目の射精をしたようで、二人の身体が細かく震える。すると性から魔力を吸収したお竜さんに変化が起きる。天逆鉾の力を宿した姿──黒だった髪が外は白、内は薔薇色に染まっていた。更に全身は光を帯びているようで神々しさに溢れ、立香を照らしていた。今までにも何度か見てきた姿だが、立香は感慨深そうに一息ついていた。
(お竜さん、急にどうした──いや、まさか!)
「その姿、やっぱ綺麗だなぁ。けど急にどうして……?」
「このハイパーな姿は特別でな。バレンタインの時は例外で、基本戦い以外では滅多にならん。つまり……この姿では、リョーマともしたことはないってことだ。どういうことか、分かるなリツカ❤️」
「お竜さんの初めて……!! 俺が初めてで、良いんだね……?」
「みなまで言わせるな……❤️ こい、リツカ❤️」
「ッ〜〜!! お竜さんッ!!」
龍馬が唖然としている眼前で、白く輝くお竜さんは女神を想起させる慈愛に満ちた表情で立香のギンギンに膨らんだ肉槍を受け入れる。瞬間、立香はあまりの快感に歯を食いしばる。ミミズ千匹の名器に慣れた立香ですら、玉汗を吹き出し目を見開き悶絶していた。もはやミミズ千匹、数の子天井を超えた神器。竜千匹の肉壺であった。
「ぁ、ァァァッッ!! グッ、⬛︎⬛︎⬛︎────!!」
「ぁっ〜〜❤️ この姿、だとよりリツカのを感じるぅぅぅ❤️❤️ フ、フフン❤️ リツカのこんな酷い顔❤️ お竜さんだけしか、見れないだろうなぁー❤️」
そう言ってお竜さんは立香の快楽に翻弄される顔をじっくりと眺めていた。白い肌に朱が差す姿は艶が出ており、見る物を魅力する魔性の色香があった。それは立香も例外ではなく、視覚触覚で快楽に溺れていた。そしてもう一人、幽霊のように側で見守る坂本龍馬は同様であった。むしろ彼は愛する女性が別の男に初めてを捧げる行為目の間にして、より猛々しく肉棒をイキリ勃たせていた。
(お竜さん……今まであの姿で僕としなかったのはこのためだったのか……!!)
「グッ!! フゥゥッッ!!」
「ん゛ん゛ッッ❤️❤️❤️ あッ❤️ あァン❤️ りつかっ❤️ りつかっ❤️」
(まるで蛇かケダモノ、或いはお竜さんが嫌う蛞蝓のような交尾……! マスター、お竜さん……!)
立香は上からのしかかるようにお竜さんと正常位での性交しており、お竜さんは髪の毛から全身で立香を抱きしめ受け入れる。その様はまるで子作りだと龍馬は感じ、今までとは違う雰囲気が二人の間にあった。その懸念は的中していたようで。
「お竜さん、お竜さん! 好きだ……お竜さんのこと、愛してるっ!! 俺の、俺だけの
お竜さんになって!!」
「ァ──❤️❤️❤️あ りつか……りつかぁ❤️❤️❤️ お竜さんも、愛してるぞ❤️❤️❤️」
(ぁ──ぁぁぁあぁぁぁ……!!!)
立香の愛の告白、それを受け止める愛を告げるお竜さん。それはいずれありえるとは薄々感じていた龍馬。だが、まさか目の前で起きるとは思っておらず激しく動揺してしまう。心の何処かで立香のことを好きとは言っても、愛しているとは言わないと信じていた龍馬。だが、その思いは裏切られてしまった。お竜さんは確かに、立香のことを愛していると言ったのだ。
「リツカ……ちゅっ❤️ ちゅるぅ❤️ れるぅ❤️あ れろっ❤️ じゅるっ❤️ じゅるるっ❤️ じゅずずっ❤️ んぐっ、んぐっ❤️ んんっ──❤️」
立香とお竜さんは心では分かっていたが、言葉として互いの思いを告げたことで、より一層愛おしくなったのか口を交わらせる。互いの舌と舌を絡め、唾液を幾度と混ぜ合わせ、相手の頭を掴み押し付け合う。まるで食らいつくかのような肉食的なキス。二人の愛の深さがありありと伝わる肉感的な口付け。龍馬の双眸からは一筋の水滴が流れ、床に落ちていた。
「──ぷっはぁ。お竜さん……!」
「リツカ❤️ やっと言ってくれたな。お竜さん、歓喜感激雨あられだぞ❤️」
「ずっと言えなくてごめん……でも、もう隠さない。お竜さんのこと、坂本さんに負けないくらい愛してるんだ! いいや、それ以上に!」
「そうかそうか❤️ お竜さんも、リツカの子だったら孕んでもいいくらい、大好きで愛しているぞ❤️❤️」
そう言いいながらお竜さんは、立香の手を誘いお腹の上から己の胎を撫でさせる。その行為は立香と龍馬の目を見開かせる。立香は興奮で鼻息を荒くし、逆に龍馬は息を忘れるほどに思考を急停止する。
(ほがなこと……! わしは言われたことないき! お竜、さん……ッ!!)
龍馬の飾らない慟哭は、誰にも聞かれず虚空へ消えていく。言葉にならない声で二人を止めようとする龍馬。けれども、それが寝取らせをしてしまった代償と言わんばかりに彼の声は届かない。そして、愛する人は間男と愛の子作りを再び始めてしまう。
「絶対、孕ませるっ……!! お竜さんッッッ!!」
「ぅ゛ァァッッ〜〜❤️❤️ あ゛ッ❤️ りつかぁっ❤️ われのっ、つがいッッッ〜〜❤️❤️❤️」
(ッ!! サーヴァントが、孕むわけないぜよ……! けんど、この特異点やったら……!!)
龍馬は想像してしまう。お竜さんの白魚のような澄み切った臍が丸みを帯び、自分以外の男の子宿した姿を。この特異点は異様だった。別の世界からマスターと最愛のサーヴァントを呼び寄せ、彼等に都合の良い世界に現実を歪めていた。ならばこそこの特異点だったら。サーヴァントが孕むという不可能なことも起きうるのではないのか。龍馬はそう思ってしまったのだ。その仮定に戦慄する龍馬。そんなを彼を置いていくように、立香のピストン運動は加速する。お竜さんの最奥。子袋に自分の種を植え付けんと。
「はっ、はっ! そろそろ射精すよッ!! お竜さんッッッ!!」
「お゛ォ゛ォ゛ォ゛〜〜❤️❤️ だせっ❤️ ぜんぶ、なかにっ──あ。ン゛ッッッ〜〜❤️❤️❤️」
龍馬が二人を止めるように手を伸ばす──その目の前で。番の竜は新たに得た番の人間に種付けをされた。竜は全身を人間に巻き付けることで、遠目には真白な卵に見えてしまう。竜と人間は絶頂に震えながら声を上げる。龍馬にはその射精の勢いは推し量れなかった。けれども外に漏れ出る瀑布の如き精液から、その激流からお竜さんを確実に孕ませるだけの質と量がある。龍馬はそう感じ取り、言葉にならない声を吐いていた。
(ぅ、ぁぁぁ……)
もし今の龍馬を見ることの出来る人がいたら、十人十人が絶望している顔だと言うくらいに酷い表情をしていた。けれども。ただ一つ異様な所があるとしたら、彼は寝取らせに狂わされてしまった男だということで。彼は泣き腫らした顔で、自慰を繰り返していた。
(はっ、ぐぅ! ァァァッッッ!!)
龍馬の手の動きは憎しみすら感じる上下運動だった。ただひたすら肉棒に詰まった煩いを抜くためだけの手コキ。目の前の愛し合い子宝を求めて行為をした二人とは対処的、孤独で悲惨が溢れている性行為。そして彼の精は誰にも受け止められず、宙に吐き出される。それでもって多少は落ち着くことの出来た龍馬。フレンチキスを繰り返す二人を尻目に、龍馬は突如として浮遊感を覚える。
(体が宙に……!? 引き寄せられてる……? カルデアにある、僕の体に戻ろうとしているのか!? けど、まだお竜さんとマスターが──!)
龍馬は何かに掴まろうともがくが、霊体で掴めるわけもなく部屋から抜け出してしまう。徐々に引っ張られる速度は加速していき、周囲の景色は消え真っ黒な空間で龍馬の意識は途切れてしまう。龍馬は最後に見た二人の朗らかな顔が、目に焼きついて離れなかった。
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龍馬が目を開けるとそこはストームボーダーの医務室であった。側にはネモ・ナースが控えていた。そして起きた様子に気が付いたサンソンがベッドの側に歩いてきた。
「おはようございます、坂本様。体調や気分はいかがでしょうか?」
「ああ……おはようナースさん。体調は、問題ないかな」
「ああ、良かった。起きたんだね。貴方は今まで眠ったような状態でした、何が起きたか分かりますか?」
「そう、だね。夢を見ていたような……ごめんね、よく覚えてないかな」
龍馬は言葉を濁す。あれ夢なんかではないし、自分はあの三日間を濃密に記憶していた。それこそ今いる自分が退去したとしても、次の自分が覚えているくらいには。サンソンは龍馬の虚偽に小さく頷いていた。
「いえ、目覚めた直後に聞き込みしてこちらこそ申し訳ない。アスクレピオスには僕から言っておきます。体に違和感がないようでしたら、もう自室に戻っても構いませんよ」
「ありがとう。……マスターとお竜さんはもう戻って来ているのかな?」
「ええ、つい先程戻ってきました。マスターの方はマシュやゴルドルフ新所長に絞られているから、会うのは後が良いかもだ。お竜さんという人はひと足先に部屋に戻ったようです」
「……なら、僕も自室に戻らせてもらうよ。ナースさん、サンソンさん。看病、ありがとうね」
龍馬は看病してもらった二人に礼をして医務室を後にした。少しそそくさと急ぎ過ぎたかと思ったが、龍馬としては少しでも早く彼女のことに行きたかったのだ。
(彼女は──お竜さんは僕と会ったら何を言うのだろうか。特異点に出発する前みたいにつっけんどんな態度を取るのか。或いはもっと酷い、僕とは別れるなんて言うのだろうか。もしそう言われたらわしは──)
龍馬が頭の中でお竜さんとの対話シミュレートしていると、部屋の扉はすぐ目の前に迫っていた。龍馬は感じた。部屋の中にお竜さんがいることに。手をかざし中に入ろうにも、龍馬の体は石になったように動かなかった。数秒、または数分の硬直。龍馬の手がピクリと動いた矢先、扉が勝手に開いたのだ。龍馬から見て扉の向こう側、そこにはお竜さんが何時ものように浮遊していた。
「おー。ちょうど来たかリョーマ。迎えに行ってやろうかと思ったが、自分で帰ってくるとは感心感心だぞ」
「お竜、さん……」
「んー。どうした? 中に入らないのか?」
「あっ、ああ。そうだね。積もる話もあるからね。中で話そう……うん」
龍馬が部屋の中に入ると扉は閉まる。密室に二人きり。龍馬は表には動揺しているのを出さないとしていたが、彼女にはとっくにお見通しなんだろうと思ってしまう。お竜さんはじーっと龍馬を見つめており、首を傾げたりしていた。龍馬は何時もなら気にならない無言の空気に圧され口を動かす。
「特異点から無事に帰ってこれて良かったよ。……そっちはどうだったんだい?」
「そうだな、リツカがお竜さんの番になったぞ❤️ まあようやくといった感じだからリョーマにとってはどうでもいいか? 後は……リョーマがいない以外は特にトラブルもなかったから、ヤリまくりの小旅行って感じだった❤️ うん。それくらいだな」
「は、ぁ────」
あっけらかんと話すお竜さんに龍馬は見事に虚を突かれてしまう。龍馬は分かっていたつもりだったが、彼女の自由奔放さはその予想を軽々と超えていく。なんでもないことのようにお竜さんはマスターである立香と関係を持ったことを話した。
「ああ、そうだ。特異点に行くまでは不意打ちで寝取らせをしたリョーマにムカついていたがもう気にしてないからな。今まで通り……とはいかないか。リツカを優先する時もあると思うけど、まあ許せ❤️ な?」
「え、は……? お、お竜さんは、僕と別れるってことなのかい……?」
「ん? どうしたリョーマ? そういう話はしてないが。寝込んだと聞いていたが、本当に調子が悪いみたいだな?」
お竜さんはフワフワと龍馬の前に浮かび上がると、自分の手を龍馬の額にペタペタと押し付けて熱を測る。何処までも自然体な彼女に龍馬は混乱してしまう。自分がおかしいのか、いやそんな筈はないと龍馬は自分に言い聞かせる。彼女は確かに目の前で立香を番にしたと言っていたのだから。
「体は大丈夫だから……そういうことじゃ、ないのかい? 君はマスターを番にしたと言った。なら僕はお払い箱じゃ……それに彼の子供を孕んでもいいって……」
「なんでそうなるんだ? 別にお竜さんの番が二人いてもいいだろ。ああ、番いというより夫って言い方の方が良いのか?
「ぁ、ああ……そういう、ことか」
お竜さんの言葉にようやく龍馬は彼女との齟齬に気が付く。もとより人ではない彼女は一夫一妻の概念をイマイチ理解しておらず。このカルデアで会ったサーヴァントの一部には生前夫(妻)が複数いたサーヴァントも少なからず召喚されていた。であれば、お竜さんがそんなサーヴァント達と交流をしていれば、夫が複数いても問題ないと認識してしまうのは、あり得ない話ではなかった。
「ん〜〜? というか、リョーマ。お前、なんでお竜さんがリツカに言ったこと知ってるんだ? ……気配は感じてはいたが、何処かに隠れて見ていたのか?」
「ッ……!!」
「はぁぁぁ……まったく。リョーマはデバガメが過ぎるぞ」
「ご、ごめんよ。お竜さん……」
「けど、ふーん? どっかで見てたってことは、また一人でシテたのかリョーマ?」
そう言ってお竜さんは袴の上から龍馬の股関を撫であげる。それだけで彼女に飢えた肉体は期待から、袴に突起を作ってしまう。その様子をお竜さんはニヤニヤと見ていた。
「はぁ、はぁ……お竜さんっ!」
「んーどうするかな。お竜さんがいなくて寂しかっただろうから、今日はリョーマの相手してやろうと思ってた。けどリョーマはリツカと違ってウソつきで、ハラグロで、デバガメ男だからなー」
「ッ……ぉ、お竜さん」
「……フフン。仕方ないから足の先だけ使ってやるか❤️」
お竜さんはそう言うと龍馬を軽々と持ち上げ、ベッドに放り投げる。軋むベッドに横たわる龍馬の上で、お竜さんは彼を見下しながら髪で袴を下ろすと下着もどかし肉棒を露出させる。直に空気へと触れ、立香のではなく自分のを見られ、龍馬の肉棒はぶるりと震えてしまう。お竜さんは加虐体質スキルに目覚めたように目を光らせ、肉棒をピンクのカラータイツで包まれたおみ足で踏み始める。
「ぁっ! ふっ! ぐぅぅ〜〜!!」
「リョーマも堪えが効かなくなっているな。ほら、がんばれ、がんばれ」
「ぅ、ぅぅぅっっっ……!!」
龍馬は思う。確かに久しく自慰以外していなかったので、他者からの快感に弱くなっているかもしれないと。だがそれ以上にお竜さんの足さばきが、立香との性行為で上達している可能性を。雁首、肉棒の裏筋、どこをどれくらいの力で攻めるかを把握した情婦顔負けのテクニックだと。
「そういえば。リョーマはお竜さんとリツカの交尾のほとんど見ていたんだろう。リョーマもお竜さんを孕ませたいのか❤」
「っ……!! そう、だと言ったら……?」
「いいぞ……と言ってやれたら良かったんだがな。リツカと約束してな。お竜さんが孕むのはリツカの子だけだと。だから──すまんな、リョーマ❤」
「ッ~~~!!!」
その言葉は龍馬の絶望と興奮を同時に駆り立てる。愛する女性との子供を望むのは夫であるなら望むことも多いものだ。生前は様々な事情が絡みお竜さんと子供を儲けることは難しかった故、口にすることはなかった。だが、もし今子を儲けることが出来るのだとしたら迷わず望むくらいには前向きだった──けどそれは、立香だけの特権となってしまっていた。この事実に龍馬は深い失意と、愛する人との権利を奪われたことに対する歪んだ快楽が全身に震えとして伝わった。
「おっ、生きが良くなったな……ふむ。二日目のアレも見ていたか?」
「ふぐっ……バルコニー、でのっ! ことかいッ……!」
二日目。最も記憶に残っているのはバルコニーでの青姦から見せ合いプレイだった龍馬。彼が思い当たる節を射精を我慢しながら伝える。お竜さんは正解とでも言うように龍馬の肉棒を圧迫する。龍馬は腹の底から空気を吐き出してしまう。
「ッ──!!!」
「そうそれだ。あの見せ合い、なかなか面白い趣向だった。カルデアでもやって見たいと思ってな。マシュやリョーマも混ぜてな……んっ、勢いよく跳ねたな。そういうの、好きだと思ったぞ❤️」
お竜さんの語る展望に龍馬の肉棒は反応してしまう。龍馬がマシュとすることで、ファーストサーヴァントを乱れる様は立香のこれまでにない興奮を発露させる可能性。それを引き出したい、お竜さんの悪魔的な発想に龍馬は身震いする。それは驚愕もあったが、興奮も混ざっており。あれ程寝取らせをしたことを後悔したと言うのに、龍馬は新たなプレイに興奮が止まなかった。
「そろそろか? いいぞ、全部出せ──❤️」
「ッ〜〜!! お竜さんッ!!」
お竜さんの脚に足に踏まれながら、龍馬の射精は天井に向けて放たれる。お竜さんは射精している肉棒を尚も踏みつけ、ピンクのタイツに精液を塗りたくっていた。龍馬は息を大きく吐いてお竜さんを見る。
「はぁ、はぁ。お竜さん……」
「気持ちよかったか? だが暫くはこれでおあずけだ。その方が見せ合いの時が盛り上がるからな。楽しみだろ、リョーマ?」
「ああ……それは、楽しみだ」
あれだけお竜さんの愛している発言に動揺したと言うのに、龍馬は彼女の提案を断ることが出来なかった。心はそう思っていても、体や口は寝取らせを求めてしまう──龍馬の脳は破壊され尽くしていたのだ。寝取らせ、引いては妻の浮気や不倫といった不道徳的な行為に。
(本当は……お竜さんがマスターの番になったり、彼の子供を孕むなんて絶対にいやだ。なのに……それを受け入れてしまう)
龍馬はカルデアの旅路、人理修復が終わるまで寝取らせをし続けるであろう。或いは、その旅路の先。立香がお竜さんが受肉させた暁、彼の子供を孕むその時まで。