※この作品はR-18です。

原作崩壊のNTR小説   作:pace

23 / 32
感想、誤字脱字等がありましたらコメントよろしくお願いします!


香りたつ色香、朱に染まる楓、溶ける冷氷

 かつて古今東西、七騎の英雄が鎬を削った第五次聖杯戦争から十数年。古風な町並みが並び立つ冬木市では、かつては若さのまま己の興味関心に向かって走り回っていた三人娘がいた。三枝由紀香、蒔寺楓、氷室鐘、彼女達三人は穂群原学園で賑やかな青春を謳歌したのである。だが今や三人は学園を卒業し、各々が家庭を持ち日々を過ごしていた。

 

 順風満帆な人生と他者には見えるかもしれなかったが、三人はそれぞれの事情から不満を溜め込んでいた。それは失敗からのトラウマ、それは跡継ぎを望むプレッシャー、それは多忙や相性によるレス。若さだけでは解決できない事情に三人は悩んでいたのだ。しかし、そんな三人に旧友から女子会への誘いが送られる。この誘いがまさか三人の運命を大きく変えることになるとは、この時はまだ誰も思いもしなかったのであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

「それじゃ、全員のグラスもきたことだし。乾杯ー!」

 

「「「乾杯!」」」

 

 この会の主催者、美綴綾子の音頭と共に旧姓三枝由紀香、旧姓氷室鐘、そして姓は変わらずの蒔寺楓は、それぞれのグラスを交わした。綾子曰くここ数年顔を合わせていなかったのと、ここにいる全員が既婚者なのもあり、その手の愚痴や相談をし合おうと皆を集めたとのことだった。最初はお互いの近況を報告したり、ここにはいない人達の思い出話に花を咲かせる四人。だがアルコールが入り始めると口は滑らかになるというもので、元陸上部三人娘達は各々の不満をポツポツとこぼし始める。口火を切ったのは自称冬木の黒豹こと蒔寺であった。

 

「最近さー、どうにも親と上手くいっていないっていうか。こっちは何にも言っていないのに、もう子供服とか、ベビー用品を準備しちゃってさぁ! 正直、夫ともどもプレッシャーがすごいんだよねぇ」

 

「蒔の字は親が親だからな。呉服屋の跡継ぎを早く見たいのだろう。子か……私はもう暫し縁がなそうだ」

 

「んー、わたしもそうかな。あ、綾子ちゃんは二人目の子供できたんだよね? 改めておめでとうー!」

 

「ありがとう、三枝……今は津田さんか」

 

「うん。わたしはどっちの苗字でもいいし、呼びやすかったら名前でもいいよー」

 

「了解。じゃ改めてありがとう由紀香。三人の前で言うのもあれだけど、やっぱり好きな人との子供はかわいいもんだよ」

 

 由紀香の言葉に、はにかみながら綾子は答えた。その顔は愛する男との間に産まれた子が心底愛おしいと示していた。かつては学園内で姉御肌的な存在として武勇を示していた彼女とは思えない女の顔に、三人は思わず魅入られてしまうが、蒔寺だけは我を忘れた獣のような形相で唸る。

 

「うがー!! いいなぁ、いいなぁー!! あたしも夫がいける日は欠かさずヤッてるけど、今だできる兆しすらないよっ!? あたしだって子供ほしいけどさぁ、あの人は連日連夜ヤる体力ないし! あの人の体力がもっとあれば別……それともあたしに魅力が足りないからしたがらないのかなぁ……おぉぉん、ぅぅえぇぇんー!!」

 

「っ……! そっか、蒔寺もそうなんだ。大丈夫だよ、蒔寺は十分魅力あるって!」

 

「うむ。安心しろ楓。汝は自分で思っている以上に魅力的だぞ。料理に裁縫という女子力に優れ、実家の仕事も調子が良いと聞く。それは偏に蒔寺楓の力、つまり魅力だと私は思うが」

 

「そうだよ、蒔ちゃんのいつも元気な姿や和服を着たら古風な美人って感じはわたしは好きだなぁ! むしろわたしの方こそ……」

 

 蒔寺は酔った勢いで下世話な話題を口にし、そのまま泣き始めてしまう。その言葉に綾子は昔日を懐かしむように顔をしかめる。そして旧友の珍しい落ち込み方に、三者三様の慰めで彼女を励まそうとしていた。そんな中で綾子から由紀香に質問が飛ぶ。

 

「由紀香もそうなの? 夜の方、上手くいっていない感じ?」

 

「そもそも初めてした時から全然してないかな。わたしがもう少し上手くやれていたら、違ったのかな……」

 

「なるほど、初夜での失敗か。確かに由紀香の夫は初心な感じがあったな。やはりどちらも初めてだったのか?」

 

「う、うん。それで、その、え、エッチなビデオとか見てやってみたんだけど……彼、動く前に出しちゃって。それがショックだったみたいでそれっきり。わたしも痛みで戸惑っちゃって。それから、どっちも気まずくなって上手く誘えないまま、って感じだよ。子供、やっぱりほしいなぁ……」

 

 由紀香は就職した仕事先で夫──津田小一郎と出会い職場結婚した。夫は由紀香と同じ大家族の長男で、先輩として由紀香の面倒をよく見てくれた人だった。理不尽な上司からも彼が矢面に出て庇うといったことで二人の仲は急速に近まり、彼からの告白を受け入れたことでトントン拍子に結婚が決まった。お似合いの二人として職場だけでなく、多くの友達から祝福された二人はこのまま幸せ街道まっしぐらだと思われていた。しかして、二人は思わぬ落とし穴にハマってしまった。

 

 結婚後、二人は正真正銘初めての性交に臨んだ。二人は今時には珍しい無垢な生き方をしており、この時までお互いに体を清く保っていたのだ。けれどもそれ故に不和が起こしてしまう。事前にアダルトビデオなどを借りて予習はしていたものの、その強烈な快感は津田にとって未知の領域で、彼は耐えきれず一瞬で射精してしまったのだ。由紀香としては現実ならこんなものかと気にしていなかったが、津田は友人から性交の様子を聞いていたのもあり、ちゃんとできなかったことに焦りを覚える。そしてやり直そうと自身のモノを勃起させようとしたが、極度の緊張感がそれを妨げた。後に残ったのは初夜に失敗したというトラウマ。津田はこの日から由紀香を誘うことはなくなり、由紀香も夫を誘うことに躊躇いを覚えてしまったのであった。綾子は由紀香の話を聞いて深く頷いた後、氷室に顔を向け彼女からも悩みを聞き出そうとする。

 

「……なるほどね。氷室……今は緑川だったか。あんたは夜の方は上手くいっている?」

 

「私も氷室で構わない。職場でも旧姓で通している。私もまあご無沙汰な方ではあるか。夫が仕事で忙しいのもあるが、あまり性行為の相性が良くなくてな。絵になるという基準で選んだからな。が、もし別の相手を選んだらと思わないこともない」

 

「はー絵になるか。そういう基準で結婚するのもあるんだね。三人とも夜の生活は不満がある感じだ……うん、いけるかも」

 

「……? さて、私達の赤裸々な本音を引き出したのだ。今度は貴女の番だ黒藤嬢。夫への不満や惚気、色々と吐き出してもらおうか」

 

「おっと、そういう感じになるのか。ああ、あたしも美綴でもいいよ……ていうか、氷室は相変わらず人の色恋沙汰になると前のめりだねぇ」

 

 綾子は酔いによって三人から夜の性活に対する不満を聞き出した。その顔は旧友である彼女達に対する共感や心配の色もあったが、同時にこのことが自分の今の悩みに利用できる。そんな妖しい色も含んでいた。が、そのことに確信を持って疑えた者は三人の中にはいなかったのであった。しかして綾子はこの場でどうこうするつもりはなく、それ以降は賑やかな女子会を楽しむのであった。

 

 数時間後。それぞれが今や家庭を持つ身であることから、女子会は深夜を回る前にお開きになった。三人はそれぞれ夫やタクシーに迎えにきてもらったりとしていたが、三人を見送った綾子の迎えはタクシーでも、彼女の戸籍上の夫である黒藤でもなかった。彼女の前に停車した、車の運転席には物珍しい赤毛の男がいた。

 

「迎えありがとうね、まさか来てくれるとは思わなかったよ──衛宮❤️」

 

「そんな甲斐性なしみたいに言わないでくれ。買い物とかだったり、他のことでも必要だったらいつでも駆けつけるぞ。それに最近は四六時中、遠坂や桜を見ているとウザがられるしな」

 

「へぇ、流石は正義の味方だね! まあ、本心はそれだけじゃないだろうけどさ──❤️」

 

 綾子は見慣れた車の助手席に座り、士郎の股座に手を這わせる。サワサワと幾度これで愛されたか分からない、業物を秘めたジーンズを。姓を改め、黒藤峰也と愛し合うことを誓い合った人妻が夫ではない男の股座を弄る。

 

「ばっ、運転中はさすがにダメだろっ!」

 

「そう言うわりには、ジーンズを突き上げてて期待してるじゃんっ❤️ やっぱ溜まってるね。あたしとセイバーさんだけだと、どうしても限界はあるからねー」

 

「ん、いやそれでも美綴には助けられてる。俺が我慢すればいいだけの話だから、美綴が気負うことはないぞ」

 

「ふーん……❤️ ま、まあそれについてはアテができたからさ、遠坂にも相談するけど楽しみにしていてよ」

 

 綾子は含みのある言い方をする。彼、衛宮士郎には複数の恋人がいる。学生時代は大人しかったものだが、倫敦へと留学してからは生来有していた性技と性欲が覚醒してしまい、日夜恋人達をベッドで潰すようになっていた。それは日本に戻ってからも変わらず、むしろ凄まじくなっていた。

 

 この事態を重く見た彼の恋人である遠坂凛は、夜の生活に悩む彼女を支援するのと、自分達が相手できない時のため綾子を衛宮ハーレムに誘おうとした。そして綾子は凛思惑通り、士郎の愛人となったのである。だが今なお士郎の性欲は成長を続けており、遠坂と桜が妊娠をしたことで、綾子とセイバーだけでは士郎の性欲を受け止めるのが難しくなっていた。

 

 

「……? 美綴も遠坂みたいな顔するようになったなぁ」

 

「あの赤い悪魔に比べたら、あたしは天使みたいなもんよ。それはそうとして、この後はしっかりあたしが衛宮を抜いてあげるからさ❤️」

 

「ああ、楽しみ──おい、美綴っ!! ズボンのチャックを下げて出そうとするなッ!? まさかとは思ったが本気で酔ってるな!?」

 

「えー、酔ってない、酔ってないって。あれ、士郎のおちんぽが二つになってる~~❤️ あは、面白ー❤️ ウナギみたい……あれ、違ったけ。まあいいや、あーむっ❤️ じゅるっ❤️ じゅぷぷぷっ❤️ れろぉ~~❤️」

 

「おまっ!! ッッ〜〜!!」

 

 こうして士郎は己の肉棒を貪られる刺激と、事故らないよう運転をする刺激でいつも以上の快感を得ながらなんとか自宅に無事故で帰宅する。そして士郎は運転中の鬱憤をはらすかのように、朝まで綾子を喘がせ続けたのであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

 楽しい女子会から数日後。由紀香を始め元陸上部三人娘は日常へと戻っていた。あの日に心に秘めていた悩みを口にしたことがあってか、どこか清々しい気分で仕事に力を入れていた。最も、悩みが完全に解決したわけではなかったが。そんなおりに休日だった由紀香の元に、女子会主催者である美綴から電話がかかってきた。

 

「こんばんは由紀香。今、そっち大丈夫?」

 

「うん大丈夫だよー。えっと、そのぉ、この前はご迷惑をおかけしたようでっ! 帰ってきてから色々聞きましたぁ~~……」

 

「あははっ! ぜんぜん、気にしなくていいって! むしろ、陸上部三人娘の空気を久々に感じてあたしは楽しかったよ!」

 

 由紀香は酔いが回りに回っていて、女子会の記憶がほとんどなかった。だが楽しかった感情と愚痴を吐き出したのは確かで、心底楽しかったというのは迎えにきた夫の証言もあり事実のようだった。彼曰く、久しぶりに憂いのない笑顔を見たと。それを聞き由紀香は自分自身、初夜が上手くいかなかったしこりから普段通りでなかったことを知った。そんな由紀香の自覚を見抜いたかのように、綾子が由紀香を探る。

 

「ああそれで、電話をかけた理由なんだけどさ。女子会で言ってたでしょ、旦那さんと“夜”の方で悩みがあるって」

 

「あぅ、ぅ、うん……その、わたしも綾子ちゃんみたいに子供、ほしいと思ってて……あはは」

 

「うんうん。特に由紀香は実家が賑やかな方だったんでしょ? 静か過ぎるとかえって落ち着かない感じなのかな……でさ。そこで相談ていうか、提案があるのよ」

 

「提案?」

 

「そう。由紀香の場合、初夜での失敗が尾を引いている感じじゃない? なら手っ取り早い解決策は、由紀香か旦那さんが性行為の経験を積む。そして経験を積んだ方が相手をリードする。じゃない?」

 

 由紀香の悩みに、経験を積んでもう一度挑戦すればいいんじゃないかと綾子は口にする。一理あるかもと由紀香は電話越しの頷いてしまうが、気掛かりな点もあった。

 

「……一理ある、かも。けど、肝心の経験を積むのはどうしたらいいかな? 今は津田くんとそういうことはできないし、え、エッチなビデオとかをもっと色々購入した方がいいのかな?」

 

「まあそれもいいけど、やっぱりどんなことも実践なくして上達はないと思うよ。はっきり言うと、旦那さん以外との性行為で経験を掴むのが一番の近道だとあたしゃ思うね」

 

「っ!!? ほわわ、あ、綾子ちゃんっ!! そ、そんなこと、ダメだよぉ! 彼以外とえ、エッチなことだなんて!」

 

 由紀香は真っ赤なリンゴのような顔で、バタバタと手を振り回して否定する。その反応に予想通りとでも言うかのように、綾子は軽快な笑い声を響かせるが、その笑いが由紀香をますます困惑させる。

 

「わ、笑いごとじゃないよ~~! 綾子ちゃんだって分かるでしょっ!? 夜の方が上手くいってなかったって、浮気するなんて絶対にダメだよ!」

 

「……まあそうかもね。なら旦那さんの方に風俗とかで経験を積んでもらうのもいいかもね」

 

「ふ、風俗……ううん、それは難しいかな。津田くんはそういうお仕事にちょっと、距離感があるから」

 

「水商売に悪感情ある感じか。なら、やっぱり由紀香自身が経験する案も一つの手じゃない? 浮気とか不倫って難しいことは抜きにして、とりあえず一日だけのリフレッシュや火遊びとして考えたらどうよ? あんがい、それが転機になるかもよ」

 

 転機、そう言う綾子の言葉に何か強い実感が込められているような気がしてならなかった。由紀香の強く拒んでいた心が、受け入れる方向に揺さぶられる感覚を覚える。一日だけのリフレッシュ、或いは夫のための特訓。そう言えば聞こえはいいが、実際に行うのは夫以外との浮気行為に他ならない。浮気。それはテレビの向こう側だけでの話だとは由紀香は思っていた。少なくとも自分の周りではそういうことはなかったように思える。非日常の誘いに由紀香が押し黙っていると、綾子はぽつり呟いた。

 

「実はさ……ここだけの話にしてほしいんだけど。あたしもしたんだ、火遊び」

 

「──え。えぇぇぇっ!? 綾子ちゃんが、その、火遊び……したの?」

 

「うん。詳細は省くけど、あたしも夫とちょっと関係がイマイチ上手くいってなくてさ。さっき言った転機ってのも、してから色々と上手く行くようになったんだ。家庭のこととか、それこそ子供……赤ちゃんのこととかさ」

 

「……! 赤ちゃん……」

 

 その言葉は今の由紀香にとってはクリティカルワードであった。女子会でも話題にした通り、彼女は愛する夫との子供がほしかった。それ故に綾子の言葉に由紀香は大いに揺れる。このままでは夫との子供は望み薄だろう。ならば、一日だけでもと思う心の種が芽吹く。だが本当にいいのかという気持ちは消えなかった。由紀香の葛藤する心中を見透かしたように、綾子は朗々と語り掛ける。

 

「このことは由紀香の旦那さんには絶対にバレないようにするし、旦那さんへのアリバイ作りもあたしが手伝うよ。あの女子会で感じたんだけど、由紀香は旦那さんとの悩みをずっと抱えてたんでしょ。それが以前のあたしに重なって見えてさ、助けになりたいって思って電話したんだ」

 

「綾子ちゃん……」

 

 綾子の喋りからは、昔を思い出して少し落ち込んだ風にも聞こえていた。ここ最近会っていなかったのもあり、女子会の時は昔のままの姉御肌な彼女だと感じていた由紀香。だが彼女もあれから十年以上経っており、四人家族の母親なのだ。それ相応の苦渋は味わっており、彼女も夫とは軋轢があったのだろう。だがそんな軋轢は、今や見る影もないように見えた。そのことを考えると、一日だけの火遊びの効果が絶大だという証拠に思えてしまう。由紀香はたっぷりと数分時間をかけると、生唾を飲み込んでから口を開く。

 

「あ、綾子ちゃん。ほ、本当に誰にもバレないのかな……? 鐘ちゃんや、蒔ちゃんや、津田くんに……」

 

「ああ、全力で由紀香のプライバシーは守るよ。これは由紀香の相手をする人にも関わるけど、あたし以外にも協力してくる人がいるから。その全員がこの件を内密にして協力する。由紀香を悲しませるようなことは絶対しないから」

 

「っ……! 綾子ちゃん、わたし、わたしは……! 子供ほしいの、だから……!」

 

「分かってる。由紀香が目的を果たせるよう、あたしも全力で手伝うよ!」

 

 綾子の力強い言葉に、由紀香は肩に乗っていた重石がなくなるような感覚を覚える。今まで友人達にすら話していなかった悩み、それを解決できるかもしれないからか心と体が軽やかな気分になる。そこまで考えて、由紀香はこの件に協力してくれる相手のことが気になり聞くことにした。

 

「でも、大丈夫かなぁ。その綾子ちゃんが紹介してくれる相手の人、わたしなんかの特訓に付き合ってくれるのかな? 協力者ってどんな人なの?」

 

「ああ、衛宮は女なら何でもいける万能工具みたいなやつだから平気平気! それが由紀香みたいな可愛い女なら、むしろ大歓迎って感じだから! 協力者の遠坂達もこの件には協力的だから問題ないよ!」

 

「え。うぇええええええ!!? え、衛宮くん!? それに遠坂さん!? ど、どういうことなの!? 衛宮くんがわたしの特訓に付き合ってくれる男の人で、協力者の一人が遠坂さん!?」

 

「うん。後は間桐……ああ、桜の方も協力者で。それとセイバーさん。覚えている?」

 

 由紀香は驚きのあまり声を出せず、危うく携帯を落とすところだった。綾子の口から出て来たのは元同級生の男の子の名前で、更には協力者があの憧れだった遠坂凛だったからだ。まさかと思い由紀香は綾子に問う。

 

「もしかして、綾子ちゃんが火……リフレッシュした相手って、え、衛宮くん……? その、遠坂さん達ももしかして衛宮くんの……内縁的な?」

 

「そうそう。いやー信じられないっしょ? あの衛宮がそんなハーレム築いているなんて。学園でのあいつはほんとロボットもかくやな鉄人、或いは人を助ける妖精みたいだったからねぇ」

 

「うん本当に! でも、そっか。綾子ちゃんと衛宮くんがか……」

 

 衛宮と綾子。その二人の関係を親友達と一緒に探り回ったこともあったなと、由紀香は過去を哀愁してしまう。それに関連して由紀香は綾子の弟である美綴実典は思い出す。それこそ今の衛宮の女性関係を知ると、彼はきっといい顔をしないだろうなと思ってしまった。閑話休題。

 

「それじゃ、由紀香。そうだな──他……被ら──再来週からで空いている時間はある?」

 

「……? あ、再来週なら金曜日と土曜日は津田くん、仕事で帰ってこないかな」

 

 由紀香が綾子の小さく呟いた言葉に疑問を抱きながらも、再来週の予定を思い出す。ちょうど再来週には、夫が仕事で家に帰ってこない日が連続であることを由紀香は記憶からの引っ張り出す。綾子はそれを聞き、色々と都合が良いやと口にする。

 

「お、まじ? 連日空いているのはちょうどいいね。たぶん最初の内は一日しただけで、次の日はグロッキーになりそうだし。じゃあ再来週の金曜日にしようか」

 

「え、グロッキー? そ、そんなに体力使うの……?」

 

「まあ衛宮が特別やんちゃってのはあるけどね。そういうことだから、土曜日に予定は入れない方がいいぞ」

 

「そ、そっか。うん……綾子ちゃん、ありがとうね。わたし、この悩みをずっと抱えていくかもしれないって思ってたから。解決できるかもって聞いて、今すごくほっとしてる……」

 

「……いや感謝なんていいよ。由紀香を助けたいってのも本音だけど、あたしの方も色々あるからさ。その代わりじゃないけど、何かあったらいつでも連絡してよ」

 

「うん! またね、綾子ちゃん」

 

 そういって二人の通話は切れる。由香子は知らず知らず緊張していたのか、肺にある息を全て空にするように息を吐き出した。まさか自分がリフレッシュ……火遊びをすることになるなんて。それも同級生で話したこともあるが、それほど仲が良かったわけでない人──衛宮士郎とすることになろうとは、想像したことすらなかった。

 

(衛宮くんかぁ。卒業したら遠坂さんと同じく留学したって聞いたけど、外国で色々オープンになちゃったのかなぁ? 真面目で優しい男の人って感じだったけど……綾子ちゃんのこともあるし、今でも優しくはあるのかな?)

 

 由紀香がそんなことを考えていると、玄関の鍵が開錠され、ドアノブが回る音がした。夫──津田一郎が帰ってきた音だった。普通のサラリーマンらしく、スーツを着た彼はリビングの明かりをつけながら由紀香に帰りを伝える。

 

「ただいま、由紀香。どうしたんだ、明かりもつけないで。ぼーっとしてたのか?」

 

「え、あっ……! も、もうそんなに時間経っていたの!? お、おかえりなさい!」

 

「ただいま。ははは、相変わらず由紀香はどこか抜けているな。その分だと夕食の準備も忘れてそうだ」

 

「は、はわわ!! い、今作るね!?」

 

「ああ、偶には出前でもいいじゃないか? いつも由紀香には家事を頑張ってもらってるからな。今日はゆっくりしよう。そうだな寿司、いやさかつ丼でもいいか。由紀香の好きな物を頼もう。な?」

 

 由紀香が津田の言葉に慌てて時間を確認すると時刻はとうに津田が帰って来る時間を過ぎていた。ちょうど夕食の支度をしようと思った時に綾子から電話がかかってきたので、膨大な情報量によって夕食の準備がすっかり抜け落ちてしまったのだ。急いで夕食を作ろうと立ち上がるも、津田はそんな慌てた由紀香の肩を優しく抑え、再びに椅子に座らせると出前の提案をする。

 

「ご、ごめんなさい~~! その、津田くんがシャワーをしている間に出前取っておくね」

 

「任せる。して、今日は何かあったのか?」

 

「え、えっと……綾子ちゃんと、電話してて。その、色々相談してたらお夕飯忘れちゃって……」

 

「ん。そうか……確か彼女も結婚をしてて、子供がいたと言っていたな。ふむ……」

 

 由紀香は自分を心配してくれる津田に思わず全部話してしまいそうになる。だが、綾子にも迷惑がかるといけないと思いリフレッシュに誘われたことは伏せてしまう。今までの自分では考えれない選択肢に、由紀香は後ろめたい思いを津田に抱く。が、その口が真実を告げることはしなかった。

 

 一方津田は綾子と話していたと聞き、以前に食事の話題で聞いた綾子の特徴を思い出していた。そこから由紀香の相談を薄々と察したのか、彼も考え込むように口を閉じる。暫し二人が沈黙していると、津田がその静寂を破った。

 

「……そうだな。由紀香、再来週の日曜から暫く連休がある。もし、由紀香がいいならもう一度チャンスをくれないか?」

 

「え……?」

 

「……私も由紀香との子供がほしくないわけじゃない。だから、もし由紀香がいいなら……」

 

 由紀香は耳を疑う。違う誘いの可能性もあるが、由紀香はそれが夜の誘いに聞こえたのだ。その事実に頬は赤くなり、心臓の鼓動が高鳴る。綾子の提案を引き受けたからか、こんなにも速く転機が訪れるとは想像していなかった。いつもは飄々としている彼だが、今はその蒼白い肌が赤みを帯びていた。彼も一大決心で自分に声をかけてくれたと思うと、由紀香は興奮のまま津田にまくし立ててしまう。

 

 

「う、うん!! いい、よ! わ、わたしも頑張るから! 津田くんに任せるだけじゃなく、わたしももっと積極的になるから! だから、やりましょう!!」

 

「ふ、ふはは! そこまで張り切られると、オールナイトを覚悟しないとだな。由紀香はもう一回、もう一回と永遠に求めてきそうだ」

 

「え、ぁぅ……! そ、そんなにするつもりはないよ~~!!」

 

「はははっ!」

 

 由紀香の反論に津田は壮快に笑いながら浴室に向かった。その背を見送りながら、由紀香は改めて再来週に決意を固める。夫も久しぶりにその気になってくれたのだから、彼のために少しでも経験を積むと。彼を絶対に悦ばせようと。由紀香はリフレッシュとしてではなく、特訓に赴く心持ちで約束の日を待ちわびた。

 

 そして時はあっという間に過ぎ、綾子との連絡から二週間。由紀香の夫である津田は、今日の朝から泊まり込みの仕事で家を空けていた。すなわち今日と明日は、由紀香が家にいなくても不審がられないということだった。緊張からいつもより早く感じる鼓動を聞きながら由紀香は連絡を今か今かと待っていると、綾子から迎えに来た旨のメールが届く。由紀香が家を出ると、そこには高級車に乗った綾子がいた。

 

「わぁぁ……! あ、綾子ちゃんこんな高級車に乗っていたんだ……!」

 

「いやいや、もちろんあたしのじゃないよ! 遠坂と衛宮のを借りて運転してるんだよ」

 

「あ、そうだったんだ。衛宮くんと遠坂さん、お金持ちなんだねぇ。お、お邪魔しまーす」

 

 由紀香は恐る恐ると車に乗り込む。汚さないように、傷をつけないように縮こまる由紀香の姿を綾子は懐かしむような視線を送る。そうして走り出した車に乗って、由紀香はこれからのことに思いを馳せる。このことが本当に誰かにバレたりしないだろうか、行為をちゃんと上手くできるのかと、家に着く前から気を揉んでしまう。それを見透かしてか、綾子は由紀香に声をかける。

 

「そんなにガチガチにならなくても大丈夫だよ。衛宮はもう慣れっこって感じだからね、思いっきりやってみな。失敗してもいいんだから」

 

「う、うん……。でも、やっぱりわたしみたいな下手以前のほぼ未経験の相手じゃ、衛宮くん嫌じゃないかな?」

 

「それも含めて衛宮なら上手くやるよ。あいつ、機械を直すより女を操るのが得意なやつだからね。むしろ、あたしの心配は由紀香が衛宮にどハマりしないかが心配だね」

 

「どハマり……!? う、うーん自分がそうなるかなんて想像できないなー」

 

 初めてした時に気持ちいい感覚より、痛みの方が勝った由紀香としては綾子なりの冗句かと思ってしまう。だが横から見る彼女の表情は真剣そのもので、本気で言ったのだと読み取れた。かつての同級生は今どんな風に変化しているのか、由紀香が不安と好奇心が入り混じった心を持て余していると車は衛宮邸についたようだった。

 

「到着っと。由紀香、先に家の中に入ってなよ。あたしは車をしまってくるから」

 

「え、う、うん」

 

 由紀香は車から降ろされると、武家屋敷然として衛宮邸の玄関に足を踏み入れる。するとほどなくして居間の方から男の顔が出て由紀香を見る。赤毛で小麦色の肌をした青年──衛宮士郎だった。浴衣を着こなした彼からは、穂群原のブラウニーと呼ばれた人とはまるで別の印象を持ってしまう。服のすき間から見える肉体は鍛え抜かれている。鞘に納まった刀、されど抜けば玉散るような業物のような感想を抱く。少なくとも、普通の生き方はしてきていない。武士のような佇まいだった。空気が張りつめるような息苦しさを感じる由紀香。そんな風格が目の前の彼、衛宮士郎からは漂っていたのだ。

 

「っ──」

 

「ん……おお、三枝じゃないか! 久しぶりだな!」

 

 由紀香は衛宮士郎の威風に圧倒され声が出なかった。が、一転士郎は昔のような口ぶりで由紀香との再会を懐かしむ。和やかな声色によって、張りつめた場の空気が一気に穏やかなものになる。緊張から解放された由紀香は、息を大きく吐いた後に返事をした。

 

「うん! お久しぶりです、衛宮くん! ちょっとビックリしちゃった。衛宮くん、昔とは違って見えたから」

 

「そうか? 美綴にも言われたけど、自分じゃ分からないもんだな。三枝……津田って呼ぶ方がいいのか? そっちは昔と変わらないな」

 

「呼びやすい方で大丈夫だよ。ふふ、わたしは昔のまんまだよね。衛宮くんや綾子ちゃんに比べると成長してないっていうか……ちょっと複雑」

 

「ああ、すまん。決して悪い意味じゃないぞ。確かに綾子は大人っぽくなった。けど三枝の場合は昔のまま、兎のような愛らしさ、純朴な花って感じか。それが今も変わらずあって、すごく可愛く見えたな」

 

「あ──あわわ~~!!」

 

 由紀香は声にならない声を上げてしまう。おおよそ彼らしくない──そもそもそこまで関係が深いわけではないが──発言が飛び出してきたからに他ならない。こんな口説くようなことを言う男だとは由紀香は思っていなかった。ショートした機械のように由紀香が固まっていると、後方から綾子の窘めるような声が響く。

 

「え~み~や? まぁた口説いてるの? 今回はそういうのじゃないって話じゃなかったの?」

 

「美綴。いや口説いているつもりはないぞ。ただ事実を言っただけで……」

 

「それが口説いているって言ってんの! まったく、ほら由紀香。そろそろ正気に戻りなー」

 

「──はっ!!」

 

 綾子は由紀香の肩を揺すり正気へと戻す。由紀香もようやく士郎からの言葉を咀嚼し、受け入れることができた。これが留学の力なのかと由紀香は戦慄する。だがそれと同時に、由紀香は雄々しく成長した男性に褒められた高揚感が全身に巡る。由紀香の肌を染める赤色は未だ引いていなかった。由紀香はどこかがそれは夫に後ろめたい感情のように思え、意識しないようにして話を続ける。

 

「え、えっと、今日は、その……」

 

「ああ、経験を積むためって聞いたけど合ってるか?」

 

「うん、そうなの。わたし、下手くそで衛宮くんにいっぱい迷惑かけちゃうと思うけど──」

 

「──構わない。それも含めて相手になるって決めたからな。俺の経験が由紀香の役に立つなら、願ってもないことだ」

 

 士郎は力強くそう言うと、由紀香に手を差し伸べる。ここが分水嶺だと由紀香の本能が警報を鳴らす。この手を取れば、どう言い訳しようと夫以外の男と一夜を過ごすことになるのだ。それでも、先の衛宮の言葉に浮かされ、久しぶりの性行為を前にした気持ちが由紀香の体を突き動かす。由紀香は士郎の手を取ると、彼に連れられ玄関から家の奥へと進み始めた。

 

「ごゆっくり、お二人さん。手加減してあげなよ、衛宮〜〜?」

 

 居間に入る綾子の声に、士郎は手を振るだけで答えその歩みを止めない。この日、由紀香は二度目の性交に至ると共に忘れられない運命、衛宮士郎との初めての夜を迎えることになる。

 

 ──────

 ────

 ──

 

 衛宮士郎と旧姓三枝由紀香は、布団が敷かれた一室でお互いを見合う。二人の口は一文字で塞がっており、由紀香の緊張した鼓動だけが響いていた。由紀香は初夜を思い出す。その時も由紀香がガチガチに固まっている間に、津田が初めてながらリードしようとしてああなってしまった。なら今度は自分から動かなければ。そう思うと由紀香の口は大きく動いていた。

 

「え、衛宮くん! ふ、服を脱いでもらえますか!?」

 

「え、あ、ああ。いいけど……」

 

 士郎も突然の要求に若干の動揺を感じさせながらも、浴衣を脱ぎ捨てる。由紀香は目にする。そこには漢がいた。士郎の肉体は、これまで由紀香が肉眼で見たどの男より鍛えられているように思ってしまう。そして気のせいか、浴衣を脱ぎ捨てた際に彼の匂いが濃くなったような気がした。雄の匂い、夫の匂いとは間違いようのない香り。まるで強烈なフェロモンのようで、由紀香の全身は更に熱を帯びる。

 

 しかし、それだけで終わらなかった。士郎は穿いていたパンツをも脱ぎ捨てると、更に彼の雄の匂いが由紀香の鼻腔をくすぐる。その色香というべき匂いに由紀香は蠱惑されてしかう。が、それ以上に由紀香を惹きつけたたのは彼の雄の象徴たる姿形だった。

 

(ぇ、ぁ、ほわわぁっ!? あれが衛宮くんの、ぇっ? つ、津田くんと全然違う。あんなに太くて、長いなんて……あんなの入れられたら、どうなっちゃうのっ!!?)

 

 剥き出しになった肉棒ならぬ肉の大太刀。自分が今まで見たものとはあまりに違う異形。切っ先も鋭く、傘も他の雄のモノをかき出すのに適した最適の男性器だった。恐れを感じてもいたが、それ以上に由紀香の心は惹きつけられる。由紀香の口と体はもう既に思考より先に、本能のまま手を伸ばしていた。

 

「衛宮くん……い、いいかな……?」

 

「由紀香の好きなようにしていいぞ。痛かったら、痛いって言うからまずは自分の思うようにやってみてくれ」

 

 由紀香は以前参考したビデオや本に載っていた手コキを試そうとしていた。初夜の時に上手くできなかった、愛撫の経験を積もうとしていたのだ。次に夫とする時のため、それだけだと由紀香は思おうとする。まだ柔らかさが残る肉刀を由紀香は優しく持ち上げ、ゆっくりと擦るように手を動かす。ぎこちない動きに由紀香は恐る恐る士郎を見上げる。

 

「ど、どうかな? 痛くない?」

 

「ん、大丈夫だが……まだ濡れていない時は、ローションや唾を手に垂らしてやるとスムーズに動かせるぞ」

 

「なるほど……っー、こうかな」

 

 士郎のアドバイスを受け由紀香は手に唾を垂らし滑りを良くする。先程のスローな動きとは打って変わり、肉棒を擦る手は早まる。士郎の肉刀は次第に固くなり、屹立しようとする。血が全体に巡り熱を持ち、由紀香の手にも伝熱する。その熱はたちまち由紀香の全身に巡り、由紀香の心までも熱くする。まだ手だけしか動かしていないというのに、由紀香の息は熱く色めき立つかのように激しくなる。

 

「はぁ、はぁ。衛宮くん、どうかな? わたし、上手くできているかな?」

 

「っ、ああ、上手だぞ。三枝の思いやり深さをよく感じるな。その調子で頼む」

 

「っ! うん、任せてっ!」

 

 由紀香は士郎の言葉を受け、手の動かす早さに緩急をつけたりと工夫を始める。士郎の息遣いが荒くなることに愉悦を覚え、由紀香はもっと気持ち良くなってもらいたいと思う。そして竿だけでなく、精液を生み出す陰嚢を優しく揉み始める。百戦錬磨の士郎をしても不覚にも声を出してしまう。

 

「ぉっ! いいぞ、三枝……! もう少しで射精そうだっ!」

 

「衛宮くん……! ふぅ、ふぅ……!!」

 

 興奮から息を荒くした由紀香は、両手でもって士郎の性感を高める。もはや今後のためという建前は頭の片隅に追いやっており、ただ目の前の男を悦ばせようと手を動かしていた。緩急の付け方から、力加減。今できる全てを注ぎ込み、由紀香は衛宮士郎の肉刀を研磨する。そしてついにその時は来た。

 

「ッ──!! 三枝、もう射精そうだっ、そこのちり紙を取ってくれ」

 

「あ、う、うん……!」

 

 士郎の指示を受け由紀香はテッシュペーパーを手渡す。士郎はテッシュを受け取ると、そこに向かって精を吐き出したのであった。由紀香の率直な感想は水鉄砲だった。それも一瞬のできごとではなく、たっぷり十数秒はあったかと思うほどの長い射精。そのくらいの勢いで精液は吹き出ており、重ねたテッシュを穿ちかねない量であった。青臭い性臭は由紀香の鼻元にまで届いており、もしこれが自身に向けて発射されたら暫く臭いが取れないなと考えるほど。また心の何処かでは、その性を直に受けてみたい。そんな雌の衝動が由紀香の中で疼いていたのに気付かないふりをしながら考える。あまりにも士郎と夫では格が違うと。

 

(こ、こんなに精液って大量に出るの……!? それに遠目で見ただけでもわかるくらいドロドロしていて、も、もしあんなのを直接出されたら……ッ~~!!?)

 

 由紀香はありもしれない想像をして悶える。もし。この衛宮士郎と避妊具なしで交われば、いとも容易く妊娠してしまうだろうことを。夫とは比較にならない雄としての練度、性能を目の当たりにして思ってしまったのだ。それは由紀香の中に眠っていた、雌の本能が強い雄に出会ったことで目覚めかけていた証拠だった。由紀香が士郎の未だ衰え知らずの肉刀をぼーっと見ていると、士郎から声をかける。

 

「フゥー……三枝、すごく気持ちよかったぞ。素人だからもっとかかるかと思ったが、丁寧な指捌きで最後まで憂いなくいけたよ。ありがとうな」

 

「あ──」

 

 士郎は由紀香の手コキを評価すると、手を伸ばし彼女の髪を撫で始める。突然のことに由紀香は固まってされるがままになってしまう。だが不思議とその行為は不快でなく、性的接触による興奮とは違う心地よい感覚が由紀香を包む。ややあってから、士郎は急に手を止めた。

 

「あ、すまん。嫌だったか? いつも皆にしている癖でつい……」

 

「あ。う、ううん。嫌じゃない、よ。むしろ喜んでもらえたんだって安心したかな……ふふ」

 

「なら良かった……さて、本番に入る前に俺からもいいか? 横になった方がやりやすいんだが」

 

「衛宮くんから? うん、横になればいいんだね?」

 

 由紀香は士郎の言葉に従い布団の上で横になる。ほんのり士郎の匂いと、染みついた性の匂いが香った気がした由紀香。そして士郎はというと、由紀香の足元におり彼女に股を開くように脚に触れる。由紀香はいよいとかと思い、ゆっくりとだが足を開き士郎を入れる。だが士郎はその股間にある性剣ではなく、唾で濡らした指を近付ける。

 

「もう大丈夫だろうけど、濡れてない状態で挿入しても痛いだけだからな。今から前戯で由紀香のを濡らすぞ。旦那さんとする時は今からやることをしたり、ローションなりで潤滑をよくしてからやるといい。後で家にあるのを用意するから持っててもいいぞ」

 

「あ、ありがとう衛宮くん! その、前戯もお、お願いしますぅ……」

 

「ん、あんまり肩肘はらないでリラックスしてくれよ……ふぅー」

 

「っ〜〜あぁっ──❤️ んっ、んんっ、ん~~❤️」

 

 自身はなにもせず相手の行動を受け入れるという体制に緊張する由紀香。士郎はリラックスしてくれと言いながら、由紀香の秘裂の周囲を愛撫しながら指で陰核をつまむ。その快感は今までにない衝撃で思わず声を上げてしまう。それを恥じて由紀香は手で口を塞ごうとするが、股下から全身に流れる快感の稲妻に嬌声は漏れ出てしまう。由紀香の頑なな対応を見て、士郎は優しくそのこわばりをほぐそうとした。

 

「三枝、声を出すの我慢しなくていいんだぞ? 防音してるから外には聞こえないし、俺だって気にしない。もっと自分に素直になってくれ。その方が俺も嬉しい」

 

「衛宮ぁ、くんっ~~!! ぅ~~あぁぁっ❤️ んぐぅっ❤️ いいっ❤️ 気持ちいいっよぉっ❤️」

 

 士郎の言葉は由紀香の心を溶かし、彼女の手を下げさせた。由紀香は快感の赴くまま声を上げ、士郎の指揮によって踊らされる。これまで数多の女性を鳴かせた男の指使いは、初心な由紀香などお手の物だと言わんばかりに性感を刺激する。由紀香の全身は震え、目の奥がスパークしているかのように世界が光る。快感の耐性が薄い由紀香はこの怒涛の愛撫に耐え切れずはずもなくイッてしまう。瞬間、由紀香の秘裂からは潮を吹いてしまう。由紀香、初めての絶頂であった。

 

「うッ、あぁぁぁッ~~❤️❤️」

 

 由紀香のどこか冷静な思考回路はこんなに大声を出したのはいつぶりだろうと考えてしまう。それほどまでに大きな喘ぎであった。もしこれが自宅であったなら隣の部屋だけでなく上下の部屋にも届きそうな大声であった。大人しい由紀香がそんな声を上げてしまうほど、士郎から齎された快楽は凄まじかったのである。由紀香はぐったりと布団に沈みながら肩で息をする。これが噂にだけ聞いていた、絶頂なのかと由紀香は事後の心地よさを堪能する。

 

「はぁ❤️ はぁ❤️ 衛宮くんの、すごかった……❤️ 綾子ちゃん、ここまですごいだなんて、聞いてないよぉ」

 

「気持ちよくなれたみたいで何よりだ。けど、まだまだ満足できてないって感じだな」

 

「えっ? あっ!」

 

 士郎の言葉に由紀香は思わず聞き返す。先程の初めての感覚で由紀香としてはもう十分堪能したつもりだった。だが由紀香の体、両足は無意識に士郎へと絡み付いていた。まるで離したくないとでも言うかのように。それに気がついた由紀香は顔を更に赤らめ目を背けてしまう。

 

「もう少し休憩するか? 由紀香がいいなら今からでもいいぞ」

 

「ぅぅ~~!! ぃ……ま」

 

「ん……すまん聞き取れなかった。もう一回いいか?」

 

「っ……い、いまからでも、いいよ。衛宮くんの、ください……❤️」

 

 絞り出した声。由紀香にとってそれは、明確な一線を超えた証だった。あくまで夫とするための経験を積むためと言い訳をしていた彼女が、今まさに衛宮士郎自身を求めてしまったのだ。その言葉に衛宮の肉刀と彼自身の情欲がいきり勃つ。士郎は手際よくゴムを己の愚息に装着し、由紀香の濡れそぼつ秘裂に肉刀が迫る。

 

「挿れるぞ……くっ!!」

 

「んっ!! んぁ❤️ んんぅ❤️ あぁ、あっ❤️ うっ、あぁぁぁっっ~~❤️❤️」

 

 士郎の肉刀が、閉じていた秘裂を切り裂くように突き進む。処女膜こそないが密封されていた、無垢な膣道を士郎のモノが開拓していた。道が拓けるたびに由紀香はくぐもった声を上げ、身をよじるが快楽から抜け出すことは叶わなかった。そして士郎の肉太刀は、最奥の門前たる子宮口に突き刺さる。その感覚に由紀香の感度はピークに達する。夫が辿り着かなかった秘所へと、士郎のモノが突き刺さっていた。

 

「あ゛っ❤️ はぁ、はぁっ……❤️ あつくてぇ、ふといぃのが入ってるぅ❤️ ふぅ、ふぅっ❤️ えみやくんのが、ビクビクしてるよぉっ❤️」

 

「くっ……! 三枝の中、キツいな……! 大丈夫か、三枝?」

 

「うっ、うんっ❤️ ふぅー……動いてもいいよ? 衛宮くんの好きにしていいよっ──ぉぉっ❤️」

 

 三枝の声を聞き、士郎はゆっくりとだが腰を前後させる。厳かな動きだというのに、由紀香は口から今までに出したことのない声を吐き出してしまう。抑えようにも抑えられないその声は、ケダモノのようだと由紀香は考える。少し前までは静寂が支配する場であったのに、今では獣のような嬌声と雄汁と雌汁が混ざり合う淫靡な音が共鳴していた。

 

「ふっ、ふっ、ふぅー!!」

 

「あっ❤️ ふっ❤️ おっ❤️ ほぉ❤️ おぉンっ❤️」

 

 これが本当の性交かと、由紀香は士郎の抽送に翻弄されながら感じていた。肉刀が膣内を満たし、膣壁を削ぐように突き進む感覚、夫以外の余人に触れさせてはいけない最奥を貫かれる刺激。いずれも夫とでは感じられなかった快感に由紀香は悶える。だが由紀香とてただ翻弄されるだけではダメだと感じていた。由紀香は士郎とあくまで夫と見立て、彼が射精しやすいようにサポートをするべきだと思ったのだ。由紀香は膣内にある肉刀を締めるように意識し、まだ動かせる口で士郎の遠慮を取り払おうとした。

 

「あぁっ❤️ えみやっ、くん❤️ ぅぅんっ❤️ えんりょ、しないでいいからねっ❤️」

 

「三枝……! お前ってやつは……男冥利につきるよっ!」

 

「お゛っ❤️ おぉっ❤️ ああぁぁっ❤️ えみやくん、えみやくんっ❤️❤️」

 

 由紀香の気遣いに衛宮は一瞬驚いた後に、彼女の細い腰を両手で掴み闘志を漲らせる。事前に綾子達から由紀香は性行為の経験があまりないことを聞いていた。それ故に士郎は彼女の身を案じ、力をセーブしていたが彼女の言葉にその枷が解かれてしまう。

 

「ふんッ、ふんッ、ふンッ!!」

 

「やっ❤️ ふっ❤️ うぁっ❤️ あっ❤️ ひっ、はっ、はぁっ❤️」

 

 士郎の大太刀による間隙のない攻めに、もはや由紀香に思考する余裕など皆無だった。ただ快感に応じて嬌声を上げる楽器となる。快楽の暴力で打ちのめされた由紀香の肉体は自然と動き出す。衛宮士郎を己の雄と定めたように、腕と脚は彼に巻き付きその時を待ちわびていた。そして士郎の全身が震え、肉刀もまたその刃を振動させる。

 

「三枝、射精すぞっ!」

 

「えぁっ❤️ あっ、あ゛ぁ、あ゛ぁぁぁっ──❤️」

 

 己を蹂躙する士郎の言葉に由紀香の膣内は収縮を始める。そして最奥、肉の大太刀が深々と突き刺さる。瞬間、二人は絶対なる頂へと達する。ひときわ肉刀を強く締め付け、肉刀もまたその本領を発揮する。複数の雌を孕ませた子種が発射されたのだ。二回目の射精とは思えない量が雌に種付けせんと流れるが、避妊具により由紀香の最奥には一滴も漏れ出ていなかった。

 

 しかして、由紀香の肉体は先程以上の未知数の感覚に震えていた。絶頂。これまでの人生で一度も由紀香は達したことはなかった。夫とはもちろん、自慰すらろくにしていなかったのだから当然である。その絶頂を由紀香は今日だけで二回体験し、少しの気怠さと満ち満ちる多幸感を堪能していた。悩み、不安、焦燥、全てが吹き飛ぶような解放感。えも言えぬ感覚に由紀香は深呼吸を繰り返し、全身を投げ出していた。

 

「あっ、あぁ、はぁ~~……!!」

 

「ふぅー。三枝もイクことが出来たみたいだな」

 

「い、イクって……?」

 

「ん? 三枝は聞き馴染みがなかったか? 絶頂、エクスタシー、アクメ、オーガズム。まあ色々言い方はあるが、ようは最高潮まで気持ちよくなれたかってことだな。俺との性交で感じなかったか?」

 

 由紀香は士郎に初めてのちゃんとした性交がどうだったと聞かれ、すぐさま答えることは出来なかった。それを認めてしまえば、ダメだと理性が告げていたのかもしれない。だが由紀香は冷静に判断を下していた理性の制止を振り切り、本心を士郎へと答えてしまう。

 

「ん、んっ、衛宮くんとのエッチ……とっても、気持ち良かった……❤️」

 

「おっ、そっか。それなら良かった。いや、三枝があまりに魅力的でちょっと張りきりすぎた。負担になってないようで安心したよ」

 

「魅力的って……もう! 衛宮くんって、本当はすごいスケコマシだったんだね。そういう台詞は遠坂さんとかに言わないとダメだよ!」

 

「うーん……スケコマシについては、最近のことを考えると否定しづらいなぁ」

 

「もお、遠坂さんのことちゃんと大切にしてあげてよ? けど、今日のことはとっても参考になった──あれ?」

 

 それまで由紀香は情事が終わったピロートークを繰り広げていたつもりだった。だから最後に憧れだった凛を大事にするように言うのと、今回協力してくれたことへの感謝を伝えようとしていた。その際に由紀香は、今まで士郎の顔に向けていた目を不意に下に向ける。そこには未だ屹立し、ビクビクと震える肉の大太刀が聳え勃っていた。

 

「──え。えぇぇっ!!? え、衛宮くん! ま、まだ勃ってるけど……?」

 

「え、ああ。そりゃそうだ……って、そうか。三枝は旦那さんと一回した段階で中断したんだもんな。なんというか……俺は一、二発射精したくらいで満足できないというか」

 

「そ、そう、なんだ……。津田くんもそうなのかな」

 

「ううん。それは人によって違うから断言できないな……」

 

 士郎の衰え知らずの逸物を見て、由紀香の心臓が再び早鐘を打つ。前戯と性交を経て、経験はもう積んだと言えるだろう。これ以上は、必要ない。その筈だと由紀香は心の中で自問する。だが迷う心とは裏腹に、言葉は勝手に紡がれる。

 

「……つ、次はわ、わたしが動いてみてもいい……かな?」

 

「ああ。三枝がいいなら、いいぞ」

 

 士郎は由紀香の言葉を受け、意外だという風に由紀香を見るが彼女の提案を受け入れた。そのまま士郎は由紀香がしやすいように横になる。心の中では未だ葛藤を続ける由紀香だが、体は自然と士郎の上に跨るように動いていた。由紀香の体は取り憑かれてしまっていたのだ。絶頂という未知数の快楽に。

 

(これも、津田くんのため。だよね……❤️)

 

 綾子の懸念は当たっていた。陸上部三人娘が一人、由紀香も衛宮士郎との性交にハマってしまった。結末としては、由紀香は三人の中で一番体力がないこともあり途中で終わってしまう。だが、気絶した際の由紀香の顔はとても幸せそうな顔だと、綾子と士郎は感じたのであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

「おおっ……! 今日のっ、由紀香は、いつになく積極的だっ!」

 

「っ! そ、そうかな! えへへ……」

 

 衛宮との性交から二日。日曜日の夜に由紀香と夫である津田は、寝室のランプを消し月明かりだけを頼りに互いの体を愛撫する。由紀香は衛宮との時に培った、指遣いで津田の肉棒をシゴく。一方で津田も由紀香の秘所を指で弄っていたが、士郎の時のような快感を由紀香は感じてはいなかった。しかして指を休める理由にはならず、由紀香は手際よく津田を射精させる。

 

「くぁっ……!!」

 

「津田くん、気持ち良かった?」

 

「ああ……! 自分でするより、由紀香にしてもらった方が良いなっ。AVとかで予習をしたのか?」

 

「へっ!? う、うん。そうだよ……うん、本番の準備しておくね」

 

 由紀香はそう言うと、士郎から持って行くように言われたローションを手に取り、秘所に馴染ませるように広げる。ふとその際に由紀香は考えてしまう。念願の夫との性交、夫からの愛撫と嬉しいこと尽くめだったというのに、何故自分は“彼”とした時より、感じていないのだろうと。津田は言葉こそかけてくれても、“彼”のように頭を撫でてはくれなかったなと。そんなことが由紀香の脳裏に次々と浮かんでくる。

 

(っ~~!! ダメダメ、津田くんと“別の人”を比べるのは!)

 

 由紀香は思考を振り払うように頭を振り、ローションを塗りたくる。暫くして津田の肉棒は再び勃ち上がったのを見て、いよいよ本番を行おうとしていた。緊張した面持ちで肉棒を宛がう津田を、由紀香は固唾を飲んで見守る。そして決してすぐには出さまいと、慎重に肉棒を挿入する津田。

 

「ぐっ……! よ、よし。まだいける、いけるぞ……!」

 

「んぅ、津田くんっ。ゆっくりでいいからね?」

 

 津田は挿入すると、由紀香の言葉もあり息を落ちつかせるため動きを止める。由紀香は内に異物がある感覚はあるものの、士郎のように内を満たす心地よい感覚は限りなくなかった。それでも夫とちゃんと性交ができるという満足感だけは確かにあった。

 

「よ、よし。そろそろ大丈夫そうだ。いくぞ、由紀香……ッ!」

 

「いいよ、津田くんっ……んっ、あっ、ふぅっ、うんっ、つだ、くんっ」

 

 津田は腰を突き入れし始める。おずおずと弱弱しい腰の抽送で、由紀香は先日にした性交と比べ違和感を覚えてしまう。膣内を満たす圧迫感、膣壁を削ぐように突き進む感覚、最奥を貫かれれる刺激、そのどれもがなかった。

 

「はぁ、はぁ、由紀香、由紀香っ!」

 

「んっ、ふぅ、津田くん、気持ちいい……?」

 

「あ、ああ!! これが本当の性交なのかと、驚いているっ! ふぅ、ふぅ!」

 

(津田くん、嘘を言っている顔はしてないな……津田くんが、気持ちよさそうなら嬉しいな)

 

 確かに士郎との熱烈な性交ほど感じてはいなかったが、由紀香は津田が気持ちよさそうにしているなら良いと彼の性交を受け入れる。性交を始めてから一、二分経った頃。津田は食いしばっていた口の隙間から、熱の籠った吐息をこぼす。

 

「ぐむっ、由紀香っ! そろそろ……!」

 

「っ、うん。いいよっ、津田くんの好きなタイミングで……出してっ」

 

「ッ、あぁぁっ!!」

 

 由紀香が津田を受け入れるように優しく抱擁する。その瞬間、津田の肉棒から精液が発射される。津田の精液は由紀香の膣道を濡らしながら最奥になんとか辿り着く。由紀香はほんのりと感じる熱に息を大きく吐いた。

 

「お疲れ様、津田くん。ありがとうね。わたしが子供ほしいから、無理させちゃって……」

 

「いや何。私も由紀香との子供はほしいと思っているからな。むしろ、私の方こそ由紀香を無理をさせてないか心配だ。今の行為、由紀香はどうだった? 苦しくはなかったか? 満足できたか?」

 

「ぁ……苦しくはなかったよ。満足……もできたよ。だって、これで津田くんとの子供ができてるかもしれないんだから!」

 

「……そうか。なら、いいのだが」

 

 由紀香は夫に嘘をついた。彼女の身体はもう平凡な男のモノでは満足できなかった。雄として最高峰、抜き身の刀のような逸物。どんな女も瞬く間に解体してしまう万能工具のような手管。衛宮士郎の性技でしか満足できなくなっていたのだ。

 

(また、嘘を重ねちゃったな……)

 

 由紀香が夫と性交してから数日が経った。仕事へと行く夫を見送った後、由紀香は彼女に電話をかけてしまう。自身の体をこんな風にしたきっかけの一人。美綴綾子の元に。

 

「もしもし、綾子ちゃん。今、大丈夫かな?」

 

「おお、由紀香か。ふーん? もしかして、衛宮とのアレコレで電話かけてきたか?」

 

「っ~~!! それは……う、うん」

 

「はははっ! 正直でよろしい。こっちの都合としても、由紀香が衛宮の相手をしてくれるなら助かるよ。まあ何時でもってわけにはいかないけど。そうだな……今週の木曜とかどう? その日なら士郎の体空いてるよ」

 

 その言葉に由紀香の臍の奥深く、夫では満たされなかった領域が疼き出す。一度満たされることを知ってしまえば、もう飢えを許容できなくなる。喉が渇き水を欲するような飢餓感の中、由紀香は声にならない声を何度か口にした後、綾子に抑えきれない渇望を伝える。

 

「うぁ……う、うん。その日で」

 

「オッケー。じゃあ旦那さんへのアリバイとしてあたしと女子会するでいいかな? まだ最初だし、そこまで細かいアリバイはなくても大丈夫」

 

「ありがとう、綾子ちゃん……」

 

「別にいいよ。けど、やっぱあたしの思った通り由紀香もどハマりしちゃったか。まあお仲間が増えるのは嬉しいやら、何やらって感じだけど。じゃ、木曜に迎えに行くから楽しみにしてなよ」

 

 そう言って綾子は電話を切った。由紀香は自分の携帯を握りしめ、木曜日に会う士郎への懸想を強める。もはや言い訳のない聞かない夫への裏切り行為だった。最古の英雄王たる少年に素朴な花と称された彼女はどこにもいなかった。夫では得られない快感を求め、にわかに色香を纏い始めた女がそこにはいた。

 

 ──────

 ────

 ──

 

「んっ❤️ ふっ❤️ あぁっ❤️ どう、かなぁっ❤️ わたし、うまく、うごけてるっ?」

 

「っ、ぅぉ、いい感じだぞ、三枝っ!」

 

「うんうん。最初の頃みたいな、遠慮している感じがなくなったね。由紀香、このまま衛宮を搾り取ってあげな」

 

「んっ、うんっ❤️ いくよ、衛宮くん──あ、はぁッ~~❤️❤️」

 

 衛宮士郎の寝室にて。由紀香は家主である男の上で腰を振り回していた。男に跨り、淫らに腰を上下するその姿は淫靡そのもの。学園にいた時の彼女は、こんなことを同級生の男の相手にするとは夢にも見なかった。だが今ここで起きていることは夢なんかではなく、全て現実の出来事であった。由紀香は夫を裏切り、いくつもの秘密を重ね、夫より相性の良い男と性交を繰り返していた。

 

「これっ、すきっ、すきっっ❤️ えみやくんっ❤️ えみやくんっっ❤️」

 

「ふっ、ふっ、ふっ~~!! 三枝、そろそろ……射精すぞっ!」

 

「あっ❤️ ま、まってっえみやくんっ。えっと、んんっ、その、ねっ……き、キス、しながら、出してほしいなって……!!」

 

「っ……!? 三枝……いいのか?」

 

 夫を裏切り、士郎との行為を始めてから約一ヶ月は経過していた。その間で由紀香は夫で満たされない、絶頂へと幾度と達していた。由紀香はその中で、より深い絶頂に至るための道筋を見出す。それが夫以外には許してこなかったキスをしながらの絶頂である。だが彼女がそれを避けていたのを士郎は当然知っていた。故に士郎は今一度、禁忌を犯す覚悟を問うた。刹那の思考、由紀香は頷いたのを士郎と綾子は目にする。士郎は彼女の決意を受け止め、由紀香を抱き寄せ彼女の唇を奪った。

 

「「ンフッ❤️❤️ ぢゅっ❤️ れろっ❤️ じゅるっ❤️ ちゅっぱ❤️ ちゅ、ちゅっ──ンン~~ッッ❤️❤️」」

 

 上と下、肉と肉、粘膜と粘膜。舌を交わらせ、性器と混ぜ合わせる熱烈な交尾。一心同体となった雄と雌の情動は最高潮に燃え上り、二人はお互いの全霊をぶつけ合ったタイミングで同時に絶頂する。肉体が崩壊するような快感の衝撃が全身に奔る。由紀香は今まで一番の絶頂を己が肉体と記憶に刻みつけられる。ゴム越しでなければ、今日この時が第一子の受精となっただろう、由紀香は根拠なくそう思うほど強烈な体感であった。由紀香は士郎の上で息を整える。汗ばんだ肉と肉が触れ合う感覚も、今は心地いいと由紀香は感じてしまっていた。それは士郎も同様だったようで、二人は互いの懇意を示すように口を触れ合わせていた。

 

「ひゃー。熱烈だね、お二人さん。にしても由紀香もキス解禁しちゃったか……賭けは遠坂の勝ちかな」

 

「ちゅ、ちゅっ……っぷはぁ。賭け? 綾子ちゃん、どういうこと?」

 

「ああ、由紀香と他ぁ……が、いつキス解禁するかって賭けてたんだ。あたしはもう一ヶ月くらいは持つかなって思っていた。ちなみに桜は半月で解禁するに賭けていたよ」

 

「綾子ちゃん、わたしでそんな賭け事をしてたの!!?」

 

「コソコソ話しているとは思っていたが、お前らそんなことしていたのか……」

 

 由紀香は綾子の言葉に引っ掛けるところはあったものの、それより自分がいつキスを解禁するかを賭けの対象にされていたことに驚愕してそれどころではなかった。綾子は豪快に笑いながら謝るも、由紀香としては節度を保てないと思われていたと知り項垂れてしまう。それを見て綾子がフォローを始める。

 

「ままあたしなんて初日でキスしまくっていたから、由紀香はよく我慢できたほうだよ」

 

「そ、そうかな……?」

 

「そうそう。由紀香は我慢上手だよ。あたしみたいな我慢できない女と違ってね❤️ ねぇ衛宮、そろそろあたしともしたくなってきたんじゃないの?」

 

「否定はしないけどさ。美綴がしたいだけじゃないか?」

 

 綾子は服を雑に脱ぎ捨て、生まれたままの姿になると士郎ににじり寄る。綾子はおそらく自分の親友の一人と同等以上の胸を持ち、尻もいわゆる安産型だと由紀香は見ていた。対して自分の体を見比べると、胸も尻も小さく、お腹は学生の時に比べると少し肉がついている感じてしまう。

 

(ダイエット。ジムとか通うべきなのかなぁ……!)

 

「……三枝はそのままでいいんじゃないか。ガリガリより、肉付きがいい方が男好みだと思うぞ」

 

「ふぇ!? え、衛宮くん心を読んだの!? もしかて、エスパー!?」

 

「ははは! 衛宮は自分の女に関しては勘が良いからねぇ。あたしも由紀香はダイエットなんてしなくって良いと思うよ!」

 

「ひゃぁ、ちょ、綾子ちゃん!」

 

 綾子はそう言いながら、由紀香の胸と腹を背後から愛撫する。その耽美な姿に士郎の肉棒がギンと勃起するのを由紀香と綾子は目にする。

 

「んふふ❤️ 衛宮って以外にこういう絡みにも反応するよねぇー❤️ 由紀香、次は二人で衛宮とヤってみる?」

 

「え、あ、綾子ちゃんがいいなら……❤️」

 

「よぅし決まりだね。衛宮❤️ 今日はあたし達二人を、しっかり満足させてよー❤️」

 

「ッ!! ああ、今日は二人とも寝かせないからなっ!」

 

 スレンダーな優女とグラマラスな美女。互いに夫のいる女が、永遠の愛を誓った男を放って己を求める。そんな退廃的な状況に士郎の性欲が漲り滾っており、二人を寝かせないと宣言する。こうして衛宮邸の夜は更けていく。ここからはそんな三人による乱交の一部を抜粋したものである。

 

「じゅるっ❤️ んふっ❤️ じゅるるっ❤️ ぢゅっ、ぢゅっ、ぷぅっ❤️」

 

「ほうら衛宮の好きなミルクだぞぉ❤️ あふぅっ❤️ たっぷり、飲んでいいぞっ❤️」

 

 由紀香が衛宮のモノを丹念に舐めて吸い付くのを感じながら、士郎は綾子のたわわな乳を間近で堪能しながら母乳を吸っていた。己の愚息から感じる快感と綾子の母性を一身に受ける安心感で、心身ともに癒される至福の時で充足感を得ていた。

 

「あ゛っ❤️ う゛ぁ❤️ えみやっ、えみやぁっっ❤️ あんたの子、またハラませてッ❤️」

 

「美綴ッ……!!」

 

「ふぅー❤️ ふぅー❤️」

 

 士郎の上で綾子は乱れに乱れていた。由紀香は彼女の動きを参考にするため真横で凝視している。二人の動きは完璧に合わさっているように見え、由紀香は心のどこかで嫉妬するほどであった。ダイナミックな腰遣い、適度な締め付けはまだ到達できていない領域だと感じてしまう。そんな情交が永遠かと思うほど行われていたが、ついに限界が来たのだろう。二人はラストスパートをかけるべく、腰の動きや相手の体を掴む力が強まるのを目にする。そして、二人の全身が震えた。士郎は由紀香の時と違いゴムをしていない。即ち、中出しをしてしまえば受精する可能性があるということだ。由紀香の目の前で、今まさに生命誕生の決定打が打たれようとしていた。

 

「あ゛ッ、ア゛ァ゛ァ゛ッ゛ッ゛~~❤️❤️❤️」

 

(う、嘘。綾子ちゃん、本当に衛宮くんと子作り──!!)

 

 綾子の嬌声と共に彼女の臍が少し膨らむ。次第に納まりきらなかった白濁液が滲み出る。士郎は綾子に中出しを行い、彼女に種付けをしていた。そして、二人は互いの愛情を確認し合うように口付けを交わす。由紀香は口をパクパクとを開けては二人に声をかけようとするが、語彙が浮かんでは消え、言葉にならなかった。薄々と気付いていたことだが、目の当たりにすると由紀香は何も言えなかったのだ。

 

(綾子ちゃんは……そこまで衛宮くんを、愛しているんだ……う、羨まし──ッ!!?)

 

 由紀香は自分の危険な思考に気が付き、口を手で塞ぐ。それだけは、本気で超えてはならない一線だと。由紀香は感じていた。その境界を越えてしまえば、自分はもう後戻りできないと理解する。だが自分の中で疼く衝動をもう見て見ぬ振りはできなかった。結局、その後も由紀香はゴムを付けての性交になんかと留まれたが、心の中では綾子と同じ行為を求める獣性が目覚めつつあった。

 

 後日。その日は士郎に別の用事が入っているとのことで、由紀香は内に性欲を溜め込みながら自宅にいた。そんな時、休日だった津田が由紀香に迫り抱きつく。

 

「っ!!? つ、津田くん?」

 

「驚かせてすまない。由紀香、今日の夜……どうだろうか?」

 

「え……あ、その、大丈夫? 津田くん、昨日は仕事で疲れているじゃない? 無理しなくてもいいよ……?」

 

「無理など。最近の由紀香は色香が凄くて、私の精力が満ちるのを感じてしまうほどだ。故に心配は無用……して、どうかな?」

 

「っ……」

 

 由紀香はやんわりと津田を案じる言葉で彼を遠ざけようとする。だが彼曰く、由紀香は最近魅力的に見えるようでやる気が溢れていると。かつての由紀香なら喜んで受け入れてだろう。だが今は……。

 

(なんでだろう。津田くんとするの、イヤだなぁ……)

 

 津田を愛しているのは変わってない。だが、どうしてか、今の由紀香は彼としたいとは微塵も思わなかった。すると由紀香の口は嘘をつくため動き出す。もはや嘘をつく罪悪感などはとうに消えていた。

 

「ご、ごめんね津田くん。今日はちょっと具合悪くて……また今度でいいかな?」

 

「そうだったのか……いや、こちらこそ済まない。また今度誘う」

 

「うん……また、今度ね」

 

 津田は由紀香の言葉を聞くと、素直に受け入れ離れていった。遠ざかる姿を見て由紀香は思う、少し前までは彼との間に子供が欲しかったというのに今ではその想いは薄れに薄れていた。もっとも子供が欲しいのは変わらない、ただその相手が変わってしまっただけで。そのことに完全に気付くのは、これから数日後のことであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

 ある日の衛宮邸で。愛おし子をその身に宿した二人の女がいた。遠坂凛、間桐桜の二人である。彼女達は士郎の子供を孕んでおり、安定期はまだ遠いこともあり綾子に士郎の相手を任せていた。そして最近は相手できる人数が増えたこともあり、二人は生家である遠坂邸で羽を伸ばしていた。そんな二人は使い魔に記憶させたい、衛宮邸の淫行記録を見て呟く。

 

「……そろそろ良さそうね。彼女“達“、もう衛宮くんにゾッコンじゃない」

 

「ううん。わたし的にはこれ以上増えるのどうかと思いますけど。事情が事情ですし、仕方ないですね……」

 

「ん? どういう──まさか遠坂! 由紀香達を、完全に引き摺り込む気か?」

 

 凛と桜の言葉にその場に居合わせていた綾子が問いかける。彼女としては一時のリフレッシュ、そのつもりで士郎を紹介したつもりだった。彼女達が衛宮にハマっているのは分かっていた。けれど遠坂達が子供を産んだ後は、全員に少しずつ距離を取らせるつもりだった。そうすれば、時間はかかるだろうが正気を取り戻すだろうという算段だ。彼女としては人数が多くなって、士郎を独占できる時間が少なくなるのは避けたかったからである。

 

「ええそうよ。まあ綾子の懸念もわかるわ。これ以上人が増えると、衛宮くんを独占できる時間が少なくなるもの」

 

「うむ。理由を聞いても? あんたがするって決めた時点で、あたしが否定しても意味ないからいいけどさ。理由くらいは知っときたいかな」

 

「もちろん説明するわよ。まず一つ目は士郎の意思よ。綾子も知っているだろうけど、士郎って意外と執着心強いのよね。ここまで付き合うと、彼女等も手放したくないって思っているだろうからよ。口では違うって言うだろうけどね」

 

 士郎の執着心が強いのは綾子も察しつつあった。未だに離婚せずこうして関係を持っているが、やはり夫の話題が出ると衛宮は自分でも気付かないくらい少し不機嫌になるのだ。その時の交わりはいつになく激しくなるので、ついつい綾子はわざと夫の話題を口にすることもあった。

 

「ああ……確かにそういうところあるよな。まあこれだけでも納得していいけど、二つ目は?」

 

「あ、それはわたしから説明しますね! 実はなんですけど、私達倫敦の方で用事があって暫く留守にする予定なんです。私、姉さん、セイバーさんで数ヶ月くらい。そうなると赤ちゃんのお世話もあるので、先輩にはこちらで待機してもらおうかと」

 

「え、子供産んだらすぐ外国行っちゃうわけ!? いやー、それはあれだな……」

 

「わたしだって本当は行きたくないわよ!? ただ、ちょっと、倫敦の方で色々済ましておかないといけないことがあってぇ……」

 

 凛の心底ゲンナリとした雰囲気を感じ心の底から同情する綾子。確かの彼女等三人がいなくなると、自分しか士郎の相手をできる人がおらず、士郎は性欲を持て余すのは目に見えていた。そこまで聞き綾子は由紀香達を引き入れることに完全な納得を示す。

 

「そういうわけなら仕方ないか……。ああ、衛宮だけだとあれだろうから、あたしも二人の子供の面倒見るの手伝うよ」

 

「それほんっっとに、助かる!! やっぱり経験豊富な人が支えてくれるって思ったら安心して行けるわ! それじゃ、後の問題は彼女等ね。次のタイミングで、あの娘達を完全に堕としちゃいましょう」

 

「姉さん、悪い顔してますねー。わたしも愉しみですけど」

 

(赤い悪魔と紫の悪魔だな、こりゃ。由紀香達にはちょっと申し訳ない気分だな……)

 

 綾子は全力でプライバシーは守ると言った手前、彼女達には申し訳ない気持ちが多大にあった。けれども、綾子は悪魔の計画を邪魔立てはしなかった。彼女自身、堕ちたきったことで得られた幸せが大きすぎたのだ。故に“三人”も自分のように幸せになれるよう、共通する内容のメールを三人に送ってしまうのであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

「か、鐘ちゃんに、蒔ちゃん!? な、なんでここに……?」

 

「そりゃぁ、こっちのセリフだよー!!? なぁぜ、由紀っちや鐘とあんチキショーの家前で出会うんだ~~!?」

 

「……過ちは好む所にあり。私としたことが、色惚けし過ぎたようだな」

 

 元陸上部三人娘が互いを見合う。由紀香は綾子からこの日なら衛宮の予定が空いているとメールで知り、普段はしない化粧をしたり香水を付けたりして、この日のためと勝負下着を着て意気込みながら衛宮邸に来ていた。今日は綾子が忙しいとのことで、途中までタクシーを使って来るほどのやる気満々であった。そうして衛宮邸の前まで歩いていると、途中で親友と思っていた二人と偶然出くわしたのだ。

 

「おのれ、衛宮っ! あたしに、あ、あんなことをしておきながら謀るとわぁッ!」

 

「え、え、ど、どういう……も、もしかして二人とも、衛宮くんと……?」

 

「ああ。美綴嬢の誘いでな。しかし、三人も誘うとは。いや衛宮の無尽蔵の精力を考えれば、無理はないが。ふー……全く少し考えれば予想がつきそうなものだ。だというのに、事ここにくるまで気が付けなかったとは。一生の不覚だ」

 

 氷室の言葉に由紀香は自身の疑念が真実だととうことを理解する。綾子が自分には何かを隠しているのは薄々気が付いてはいた。だが、その内容がまさか親友達も衛宮士郎という女衒の手にかかっているとは思いたくなかった。悪夢かと思いたく頬を叩くも、目の前の光景は変わらず。長い付き合いであるの親友達の苦悩する顔がそこにはあった。

 

「由紀香も夜のことで悩んでいたな。そこを美綴嬢に付け込まれたと?」

 

「ううん、悩んでたのは本当だし。受け入れたのはわたしだから……鐘ちゃんも、同じような理由で?」

 

「そうだな。私も今の夫と長らく性交がなかったから、気分転換にと誘いに乗った……結果は、この有様だ」

 

 そう言う氷室はその白雪のような肌に血が通う。彼女もまた、自分と同じく衛宮士郎との性交にハマってしまったのが目と耳で理解させられる。そんな風に由紀香と氷室が互いの状況を話し合っていると、蒔寺が衛宮邸に突撃していた。

 

「衛宮ァ!! どういうつもりだ~~!! あたしだけじゃなく、由紀っちや鐘べえを巻き込むとは!!」

 

「はいはい落ち着け、蒔寺。近所迷惑だぞー」

 

「出たな、裏切り者! 誰にもバレないようにするって言ってたじゃないかぁ! よりによってバレたくない二人にバレたぞっ!?」

 

「裏切りって言うなら、あなた達三人ともそうでなくて? 特に蒔寺さんは他のお二方より乱れて見えましたわよ」

 

「げぇっ! 遠坂……ぉっ!!」

 

 蒔寺が玄関に突入すると、そこには待ち構えていた綾子と凛がいた。蒔寺はバラさないと約束していたというのに、結果として二人の親友にバレたと憤りをぶつけようとする。だがそこに割って入った遠坂の姿を見て言葉を引っ込める。遠坂の腹部は大きく丸みを帯びていた。愛しい子を宿す、母の姿そのものであった。氷室と由紀香も蒔寺に追いつくと、遠坂の姿を感慨深そうに眺める。由紀香にとってはバレてしまったことより、こちらの方が興味を惹かれていた。

 

「姿を見せないとは思っていたが、そうか妊娠していたんだな。おめでとう、遠坂嬢」

 

「わぁ……!! おめでとう遠坂さん! さ、触っても」

 

「ええ、いいわよ」

 

 由紀香は自身もいつかはと夢見ている姿を見て、思わずその愛の結実に触れたくなっていた。遠坂の許しもあって由紀香は触れると、赤子を宿す熱を感じる。不意に手に衝撃を感じ、由紀香は凛と顔を見合さす。

 

「あら、三枝さんに反応したのかしら。ふふ、今から元気いっぱいで困っちゃう」

 

「ふわぁ、いいなぁ。わたしもいつか……」

 

「なら、今から子作りする? 三人ともそのために来たのでしょう?」

 

「えっ……!?」「は、はぁ~~!!?」「……なるほど」

 

 由紀香は遠坂の爆弾発言とも言える提案に、彼女のお腹から手を放して驚きを露わにする。蒔寺も氷室も遠坂を見つけて各々言葉をこぼしていた。三人を尻目に遠坂はポケットから錠剤を三つ取り出すと、三人に手渡していった。

 

「遠坂さん、それって?」

 

「これはとある筋から手に入れた、排卵を誘発する薬よ。これからも衛宮くんと関係を続けたいなら、これを飲んで避妊具なしでしてくれる?」

 

「おまっ、それはいくらなんでも……シャレにならないだろ」

 

「そうね。けどそれくらい覚悟のある人じゃなきゃ信用できないもの。どうしても飲むのが嫌なら、そのまま帰ってもいいわよ」

 

 凛の言葉に三人は錠剤を手に持ったまま押し黙る。凛の提案に乗り士郎と交われば、提案者と同じになるのは時間の問題だろう。由紀香は二人の親友を見る。彼女達も自分と同じく、ほんの火遊びのつもりでこの提案を受けたのだと推測できた。由紀香も当初は同じ気持ちだったが、今に至るまでにその心境は変化していた。故に答えは決まっており──彼女は錠剤を口に放り、一気に飲み込んだ。

 

「いぃ!? 由紀っち!?」

 

「っ!? 由紀香、大丈夫か?」

 

「んっ……だ、大丈夫だよ鐘ちゃん。はぁ、はぁ、遠坂さん。わたし、津田くん……夫との子供じゃなくて、え、衛宮くんとの子供が……欲しいです❤️」

 

「うん、いいわよ! 士郎ならいつもの部屋で待っているわ。さぁ、どうぞ」

 

 由紀香は心の内に秘め、つのらせていた願望を口にしてしまう。その言葉を聞き、満足だと言わんばかりに遠坂は頷き彼女を中に通した。由紀香は後方で親友達を自分に対し信じられないものを見るかのような目をしていると感じた。けれどもこの想いを内に閉じ込めることはもはや不可能で、由紀香は軽やかな足取りで士郎の待つ寝室へと歩き出していた。

 

 士郎の寝室に近付くにつれて、音がなくなっていくと由紀香は感じていた。玄関先での喧騒はここには届かず、木造りの床を踏む音と、自身の高鳴る鼓動だけが由紀香の耳に響いていた。迷いはなかったが、避妊具なし本気子作りがどれほどの快感なのか由紀香には想像すらできず、士郎を求める心だけが逸っていた。そしてついに士郎の部屋の前に辿り着き、襖の前から声をかけた。

 

「衛宮くん。三枝です。入っても、いいかな?」

 

「三枝……ああ、入ってくれ」

 

 士郎の声を聞き由紀香は部屋に入る。瞬間、由紀香は彼の溜まりにたまった雄臭とでもいう匂いを嗅ぎ取る。待ち焦がれていた雄を目の前に、もはや雌の本性は我慢しきれないと内で狂乱している有様だった。由紀香は、おずおずと士郎の前で座り込む。由紀香がまずは何を言うべきか悩んでいると、士郎の方から由紀香に問いを投げかける。

 

「今日の由紀香は一段と綺麗だな。化粧なんていつもしてないよな?」

 

「っ、うん! そうなの、え、衛宮くんに久しぶりに会えると思ったから……えへへ」

 

「俺に会うためだけに、そこまでしてくれて嬉しいぞ……なあ三枝、本当にいいんだな? 遠坂が渡した薬は本物だぞ?」

 

「っ……うん。わたし、衛宮くんがいいんだ。津田くんのことは嫌いになったわけじゃないの。優しいし、頼れる年上の男性で、お仕事だって毎日頑張ってるし。でも、ダメなの。津田くんじゃ、夫じゃもう満足できない。衛宮くんじゃなきゃ、ダメなの❤️ だから──」

 

 由紀香がそこまで言った瞬間、士郎の唇が由紀香の唇を塞いだ。久しぶりの熱烈な接吻。由紀香は無心で彼の分厚い肉体に手を回し、舌をはしたなく伸ばし彼の大きな舌に触れさせる。自分の夫では得られない、性欲で溢れた貪るような口付け。数秒、数十秒、或いは数分。由紀香は今にも溢れ出さんとする性欲によって、時間の感覚などはとうに消え去っていた。

 

「ぷっはぁ……え、衛宮くん❤️」

 

「三枝の望みがそうなら俺が叶えるよ。三枝は、俺が孕ませる」

 

「っ~~❤️❤️ うん、衛宮くんの赤ちゃん。孕ませてねっ❤️」

 

 もう待ちきれないと、由紀香は服に手をかけ脱ぎ始める。士郎も着物を脱ぎ捨て、いよいよとなった所で部屋の外からドタドタと人が走っているような音が聞こえた。その音に由紀香はまさかと戸の方に目を向ける。

 

「ちょーっと待った!! 衛宮ぁっ! まだこの前の勝負はついてないからなぁ! 最初はあたしと勝負しろっ!!」

 

「ま、蒔ちゃん!? え、ってことは蒔ちゃんもお薬飲んだの……?」

 

「ん、ま、まあね。いや、今の夫がイヤってわけじゃないんだけどさ。あの調子だと子供できるの、いつになるか分からないし。ならまあ、宿敵、百歩譲って好敵手の衛宮の子供なら……まあいいかなって❤️」

 

「蒔の字は、いつまでたっても衛宮への筋違いな敵視が直らないな。遠坂嬢を取られて僻むのはみっともないぞ」

 

「はぁ~~!!? 違うってのぉ!」

 

「鐘ちゃんまで……!」

 

 勢いよく士郎の部屋に来たのは冬木の黒豹、蒔寺楓だった。彼女も実家から子供を急かされて、夫と何度もしているが未だ子供ができないと愚痴を言っていたのは記憶に新しかった。由紀香と同じく夫を見限ったわけではないが、子供ができるかは当分怪しいとのこともありそれならと衛宮を選んだようだった。一方、由紀香視点からだと氷室は子供について悩んでる風ではなかったと思っていた。

 

「まあ私は子供がどうしても欲しいというわけではないのだがな。恋は思案の他、という言葉もある。衛宮との刎頸の交わりを断つ気にはなれなくてな……❤️」

 

「氷室、蒔寺……!」

 

「あぁ、ふふ。そっかぁ。陸上部三人娘がここに揃ちゃったねぇ❤️」

 

 不思議と、由紀香はこの状況に嬉しさを感じていた。夫を裏切った負い目、それが心のどこかにあった。けど、親友達も一緒なら不安が拭えるような気がしたのである。赤信号、皆で渡れば怖くない。そんな言葉があるがそれに近いのかもしれないと由紀香は思った。もはや野の花のように天然な彼女はおらず、ただ心地よい性を求める色香を放つ一花が咲き誇っていた。

 

「衛宮くん❤️」「衛宮っ❤️」「衛宮……❤️」

 

「「「誰にするの(だっ/かな)❤️」」」

 

 こうして陸上部三人娘は、かつてはさして関わりの薄かった同級生、衛宮士郎に全員が孕まさせることになる。四人の乱交は時に複数で行われ、時には他の二人が休憩している間に一対一で行われた。そして今行われているのは、冬木の黒豹への調教であった。

 

「ひぃぁ❤️ んっ❤️ んんっ❤️ ググゥッ~~あっ、ハアッ❤️」

 

「見たまえ由紀香。あれだけ強がっていた黒豹が、今や猫になっているぞ。喉を鳴らして健気じゃないか」

 

「ひぃ、氷室ぉっ──ぉぉぉおおおっ❤️❤️」

 

「あはは。蒔ちゃん、頑張れー」

 

 蒔寺は突き上げて尻を掴まれた状態で、士郎から何度も何度も突かれまくっていた。所謂バック、後背位、ドギースタイルとも呼ばれるものだ。当初は騎乗位で蒔寺は士郎としていたが、二人の間の取り決めか一定時間士郎がイかなかったことで上下を交代して今に至っていた。騎乗位の時と違い、蒔寺は何度も潮を吹き、涎を口から垂らして快楽を享受していた。ケダモノのような交尾で力強く秘所を付かれる感覚は最高だろうと由紀香は観戦していたが、待ちかねたのか氷室は士郎に唇にむしゃぶりついた。

 

「ちゅっ❤️ んんっ❤️ はむっ❤️ 衛宮、そろそろイッってあげたらどうだ? 私達の相手もしてもらわなければ困る。いいだろう?」

 

「ああ、わかった──ふンッ!」

 

「ン゛ォォッ❤️❤️❤️」

 

 士郎は手慣れた風に蒔寺の突き上げられた尻にスパンキングをする。由紀香は今まで士郎にそんな手痛い扱いされたことをなかったので目を丸くして凝視してしまう。瞬間やめさせるべきかと由紀香は思うが、その思考をかき消すように蒔寺の喘ぎ声が響く。彼女は悦びに震えていた。士郎は腰を押しては引いたりしながら、リズミカルに蒔寺の尻を叩いていた。

 

「ン゛ヒ゛ィッ❤️ ふっ、ァ゛ン゛ッ❤️ やめっ❤️ ン゛ン゛ッ❤️ みんなの前で、エ゛ェェッッ❤️❤️」

 

「おおう、これはすごいな。蒔寺の尻が赤々としているなぁ」

 

「こ、こんな風にするのもあるんだね……」

 

「ふっ、ふっ、ふっ! そろそろ、イクぞ蒔寺!」

 

「ン゛ン゛ン゛ッ゛ッ゛ッ゛~~❤️❤️❤️」

 

 士郎はひときわ大きく突き上げると蒔寺に中出しを決めた。健康的な細身の臍が精液によって膨らむ。蒔寺は絶頂からか、まさしくケダモノのような声を上げて震撼していた。十数秒、しっかりと精液を出し尽くした士郎は蒔寺からそそり立つ肉刀を取り出した。ゴポリといいそうなくらい精液を漏らしながら、蒔寺は気絶したのか布団に沈んでいく。彼女を脇に寄せると、続く氷室は士郎と抱き合いながら彼の上に座るような体位を取る。対面座位と呼ばれる格好で、氷室と士郎は交わり始める。

 

「んふっ❤️ ああぁっ❤️ えみや、あっ❤️ やはりぃっ❤️ 夫より、えみやのが、イイなっ~~❤️」

 

「んっ……ふぅっ!!」

 

「お゛ぉ゛ぉ゛ッ゛❤️ くふっ、また大きくっ……❤️ やはり、他の男の話題はイヤかっ──かっはぁッ❤️」

 

 氷室と士郎の交合は互いに見つめながらしていた。時折、士郎は氷室の豊満に実った胸を揉みしだき、乳首を弄る。この家では桜や綾子に匹敵する巨乳は自分にはない武器で、親友を羨み嫉妬してしまう由紀香。そんな氷室は彼の体に跡をつけるよう、唇を触れさせていた。時折、衛宮の体に知らないキスマークがついており、綾子や凛が付けたものかとスルーしていたのだが、真犯人は彼女だったのだろうと由紀香は察する。

 

 また氷室の首筋にも士郎はくっきりとマーキングを付ける。夫との比較で知らず知らずか突き上げる力や速度が増したのと同様に、彼なりの執着心の表れかもしれないと由紀香は感じた。そうこうしていると次第に氷室の全身は震えているのを見て、いよいよ絶頂が近いのかと見当する。熱によって溶かされた氷の微笑は、荒ぶる水面のように顔を快楽で歪める。

 

「ふぐっ❤️ ぐぅぁっ❤️ いいっ❤️ イクッ❤️ 衛宮の陽物でまた、イッってしまうぅぅっっ❤️ 孕むっ、衛宮の子胤で孕むぅぅっっ~~❤️❤️」

 

 氷室の嬌声とともに、士郎の肉棒から精液が噴き上がる。瞬間二人の腕は抱きしめ合う。嫉妬してしまいそうなほどに互いの体を密着させる士郎と氷室。彼女の腹部も先程の蒔寺と同じく、膨らむのを見てその射精の多さに感嘆の息を漏らしてしまう。氷室も自分や蒔寺と同じく初めての中出しの快感で意識をやってしまったのか、ずるずると体が崩れ落ちた。二人の親友、二人の雌が雄にハメ潰されたのを目の当たりにする由紀香。次は自分なのだと、由紀香の全身は熱を発し、秘所からは蜜を垂らす。

 

「衛宮くん……っ❤️」

 

「俺のほうはまだいけるぞ。三枝の方は、大丈夫か?」

 

「っ~~❤️ うん、衛宮くんの赤ちゃん、わたしに孕ませて……❤️」

 

 初めてした時と同じように由紀香は寝転ぶ。士郎は由紀香に覆い被さると、彼女へと抜き身の肉刀を刺し込む。肉と肉が混ざり合い、今まで以上に膨張しているモノが膣内を広げる感覚を由紀香は得る。自然と熱の籠った息吹を吹き出す。そして彼女にとって大事な場所、最奥たる子宮に士郎の肉刀の切っ先が触れる。瞬間、由紀香は理性が断ち切られたように獣声を上げる。

 

「はぁああん❤️❤️ うああっ、あぐっ❤️ えみやくんの、はいってるよぅ❤️ いっぱい、いっぱいっ~~❤️」

 

「っ……!! 俺も敏感になってるな、もう我慢できない! 動くぞ、三枝っ!」

 

「いいぃ──お゛ぉぉっ❤️ はっ❤️ ひいっ❤️ ふッ❤️ ほへっ❤️ あひっ❤️」

 

 由紀香の口から言葉にならない、ともすれば間抜けのような音が出る。だが今の彼女の脳ではそれを恥じる余裕すらなかった。ただただ、子宮口を突かれては蜜液を溢れ出させ、肉棒から溢れる子種を少しでも奥へと引き寄せるように膣を収縮させるのみであった。由紀香と士郎は両手の指を絡め恋人繋ぎをすると、更に交合を加速させる。互いの顔と顔が見えると、自然と二人は唇を重ねる。舌を絡ませ、唾液を混ぜ合う。互いの性器が接合する音を掻き消すかのように、濃厚なキスによる水音が奏でられる。ついに由紀香は今まで秘めていた言葉を口にしてしまう。

 

「はぁ❤️ ふぅ❤️ 衛宮くん、すきっ❤️ すきだよっ❤️ もっとっ❤️ もっとっ❤️ 愛、してぇっ❤️」

 

「ああっ! 愛してるぞ、三枝っ! 俺との子を孕んでくれっ!」

 

「おっ❤️ ふっ❤️ ふぁい゛ぃ゛ぃ゛ッ゛ッ゛ッ゛~~~~~~❤️❤️❤️」

 

 士郎の一突きにより、今までで一番の絶頂に達する由紀香。脳細胞が沸騰したような感覚は、今までのどの絶頂とはまるで違っていた。そして同時に、子宮に注ぎ込まれた熱いマグマにも似たモノが注がれるのを感じる。その瞬間、由紀香は確信する。自分は衛宮士郎の赤子を孕んだのだと。だが受精したというのに士郎の射精は止まらず、子宮が破裂してしまうかと思うほど精液を注ぎ込んだ。やがて士郎は由紀香の隣で横になる。

 

「はぁ、はぁ❤️ 衛宮くん……ありがとうね。これで、衛宮くんの赤ちゃん、できたと思う」

 

「ふぅ、ふぅー……どういたしまして? 三枝が嬉しいなら、俺も嬉しいよ」

 

「ねぇ、衛宮くん……名前で呼んでもいいかな? わたしのことも、名前で呼んでほしいな」

 

「ん。ああ構わないぞ、由紀香。これでいいのか?」

 

「うん❤️ 士郎くん❤️ わたしの、二人目のお婿さん❤️ ねぇ、もう一回いいかな? 次はわたしが上で……❤️」

 

「俺としてから由紀香が一番変わったように見えるな。むしろ、俺が満足するまで付き合ってもらうからな……!」

 

 こうして衛宮士郎に新たな愛人が三人増えたのであった。それからというもの三人は暇さえあれば、衛宮家に入りびたり淫行を繰り返していた。時には平日の夜から出向くこともあり、それぞれの夫には時には友人に誘われてと言ったり、貯蓄を蓄えるための夜職という名目で家を抜け出す。実際、遠坂と桜の子供が産まれた後は綾子と共に三人も面倒を見るのを手伝っており、その見返りとして賃金をもらうこともあった。

 

 こうして三人が士郎に全てを捧げてから二ヶ月。元陸上部三人娘は共に衛宮邸を訪れる。三人ともその顔は喜びが顔に現れており、その理由を直接報告するため訪れたのであった。しかしてやはりと言うべきか、衛宮の性力は底なしであるようで。今日はセイバー、凛、桜の三人を同時に抱いていたのである。

 

「遠坂ー、おじゃまするぞ……って。まぁたやってるよあのエロ猿。昨日って美綴が搾り取ったんじゃないの?」

 

「いっ、いらっしゃい蒔寺さんっ❤️ 倫敦に、イく前に、ヤッっておこうと思ってねぇっ❤️」

 

「あひっ❤️ み、皆さんっどうぞお構いなくぅぅっ❤️ 先輩っ、胸ばっかりじゃなくてっ、こっちも……ッ❤️」

 

「ぅぁ……❤️ ゆ、由紀香……恥ずかしいところを見られてしまいましたね」

 

「お、お邪魔してます。セイバーさん」

 

 こうなっていると士郎は一旦満足するまで止まらないのを三人は知っていた。なので三人は乱交を眺めながら現状や今後の展望について話すことにした。三人はまず同じ男の子を産んだことを話し始める。

 

「あたしの家はもう順風満帆って感じかな! へへ、子供ができたら実家のやつら全員掌返ししちゃったよ! まあ、旦那の子じゃないのはご愛敬ってことで」

 

「私の方は旦那がたいそう驚いていたな。酔い潰して既成事実を作ったから、仕方ないだろうが。由紀香の方はどうだ?」

 

「わたしの方はすごく喜んでいてくれたかな……ちょっと申し訳ない気がするけど。津田くんの子供も産んであげたいけど……士郎くんの子種に勝てるかなぁー」

 

「いや無理でしょ。由紀っちの旦那さん線が細くて、衛宮のアレコレに勝りそうな点がないもん」

 

「うむ。蒔の字に同意するのは癪だが、衛宮のあの濃厚な精に勝つのは難しそうだ」

 

 由紀香は夫への散々な言葉に苦笑いを浮かべる。昔なら否定したかもしれないが、今はもう夫が衛宮に勝つのは無理だと割り切ってしまっていた。だからか、今後も自分が孕むのは士郎との子供だろうと半ば確信していた。もちろん、目の前にいる親友達も同様のことを思っていると確信していた。

 

「ところで、二人はもう子の名前は決めたのか? 蒔の字は親御さんが決める感じだろうか?」

 

「最初はそうだったね。でもせっかくの第一子なんだから、あたしが決めるってはねのけたよ! 男の子なら狼司(ろうじ)! 女の子なら鈴音(りんね)! いやー、我ながら良い名前だよ!」

 

「わ、わぁー。蒔ちゃんっぽい名前付けだねー!」

 

「でしょ~~! この冬木の黒豹から生まれるんだから、狼の群れを司るような逞しい子か、鈴の音みたいに人を安らがせる子にしたいからねぇ!」

 

「……鐘ちゃん。蒔ちゃんは気付いているのかな……?」

 

「……おおかた気付いてはいないだろう。影響を受けている人物がよく分かる名前だがな」

 

 ヒソヒソと由紀香は氷室と話す。蒔寺が上げた子供の名前はここにいる全員が知る人物に関わる名前だった。だが二人はそれを指摘しても、蒔寺は影響されていないの一点張りだろうと察してか、深くは追及しなかった。続けて氷室が子供の名前について語り出す。

 

「私は男子ならば士元(しげん)。女子ならば綾姫(あやひめ)に決めた。由来は語らずともよかろう」

 

「鐘ちゃんは直球だね! わたしもそれくらいの方がいいのかなぁ……?」

 

「えぇぇ!? 綾姫はともかく、士元はどうよ? なんかさ、あそこで腰振ってるお猿の名前が入るのはアレじゃない?」

 

「……分かっていたことだが、蒔には言われたくないものだな全く。さて、次は由紀香。君の番だ」

 

 氷室がそう言うと、二人の視線が由紀香に集まる。けれども実は由紀香には子供の名前を話せない事情があった。そのことを説明するため、由紀香は口を開いた。

 

「えっと実はわたし、まだ子供の名前決めてないんだ。できれば士郎くんと一緒に考えたいなって」

 

「うえっ、それってアリなの!? ああいや、あたしはアリだとしても聞かないけどね、別にっ!」

 

「ふむ。大事な我が子の名前。むしろ二人で決める方が正道か。なら、私も衛宮から一案もらおうか」

 

「鐘までそっちに付くのかよ!? あ、あたしも……ぅぅぅ~~!!」

 

 そんなこんなで元陸上部三人娘は、未来のことについてあれやこれやと話をしていた。そして暫く時間が経つと、士郎がセイバー達をハメ潰しこちらにやってくるのが見えた。そうなると三人共色々と報告するべきことはあったが、もはや理性などは蒸発して彼と交わることしか考えられなくなる。三人は服を投げ捨てると、士郎の元に駆け寄る。こうして三人は夫では得られなかった、絶頂を噛みしめ風変りな日々を過ごすのであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

 ◆おまけパート~蒔寺楓編~

 

 女子会後、蒔寺にも綾子から連絡があった。だが由紀香のようにすんなりとはいかず、一度は蒔寺の方から電話を切ったのである。理由は単純。蒔寺楓は衛宮士郎を不倶戴天の敵とまではいかないが、並々ならぬ敵愾心を持っていたのである。故に一日だけのリフレッシュという火遊びの提案に耳を貸しても、相手が士郎だと知れば断固として拒絶したのであった。

 

 この対案に蒔寺の口から親友二人や他の者にバレると厄介だと凛達は考え、ちょっとした術で“口封じ”も検討するまでに至っていた。が、次の日になると蒔寺の方から火遊びに参加する連絡があったのだ。とはいえ、彼女は火遊びにある条件をつけての参加を希望したのだが。その条件とは──。

 

「んっ、ふっ、ほっ。いやー、まさかあたしが衛宮にこんなことをする日がくるなんてねぇ! ほらほら、もっと声出していいんだぞ~~!」

 

「ぐっ……!! ふぅっー……」

 

 衛宮邸は寝室で。蒔寺楓は陸上部の現役となんら遜色のない、研ぎ澄まされた褐色の裸体を晒しながら衛宮士郎の前に立っていた。とは言え彼女も夫以外の男に素肌を見せる恥じらいはあり、手で乳房や秘裂を隠していた。そんな状態で彼女が何をしていかと言われれば、衛宮士郎の肉刀を素足で踏みつけていたのである。蒔寺は火遊びを受ける条件として、士郎を一時間自分の好きなようにする権利を願ったのであった。

 

「こうして衛宮を直々に辱められる日がこようとは! ふふふ、あははは! そろそろ射精たらどうだぁ? 色々と楽になれるぞー!」

 

「んっ、ふっ、まさかっ。まだ、余裕だぞ……!」

 

「ふ、ふーん~~? そ、その余裕もどこまで続くのかねぇ……むぅ。この、このっ! くそ、お前のブツ、長すぎるし、ぬるぬるして踏みにくいんだけどぉ!?」

 

 蒔寺のアバウトなプランとしては、好き放題できる一時間で雑に足でしたり、恥ずかしい恰好でシゴくことで衛宮の尊厳をボコボコにして帰ろうという魂胆であった。日頃、親や親戚筋からくる子供を作れというプレッシャーによるストレス、それを士郎を使って解消しようとしていたのである。だが、蒔寺は徐々に自分の計画は見積もりが甘かったと実感せざるを得なかった。

 

(くそぉ、旦那ならもう射精しててもおかしくないのに、こいつ我慢強すぎるだろ!? それに、なんだよこいつのデカチンポっ!! 旦那のと比べたら、ミミズとアナコンダじゃないのか!? くぅっっっ❤️ これ挿れられたらめちゃくちゃ気持ちいいんだろうなぁ……って、待て待て! 心まで屈するなあたし! 衛宮にギャフンと言わせるのだぁー!!)

 

 士郎の肉太刀を一目見た時から、蒔寺は気圧されていた。旦那とは比べようもない、雄としての力の差に。カリの深さから長さまで、全てが蒔寺の理想としていた男のソレであったのだ。だが士郎への対抗心から彼を屈服させたいと、足コキを続けていた。だが、百戦錬磨、一騎当千の性豪たる衛宮に生半可な前戯では彼を満足させることはできなかったのである。蒔寺の持ち時間たる一時間が過ぎる。

 

「ま、まじかよ。一時間も耐えるなんて……!! チックショー、他にもしたいことあったのに~~!!」

 

「残念だったな。蒔寺の俺を貶める計画はこれで閉幕だ……次は俺の番だな」

 

「え、あ。あー……」

 

 蒔寺は一時間好きにする約束を取り付けるのには成功したが、その際に一点決まり事が追加されていた。蒔寺の一時間が終了すれば、次は士郎が一時間好きにできる。そういう取り決めを交わしたのであった。蒔寺はもし一時間経っても士郎が反撃する気ながらしらばっくれようかとも思っていた。けれど、彼女の中から雌の顔が覗く。一時間くらいなら、こいつの自由にさせてみてもいいかと。

 

「ま、まあ約束だからね。本当はイヤだけど、衛宮の好きにさせてあげるよ。けどねぇ、あたしって結構性欲強いからさぁ。衛宮ごときじゃ満足させられないと思うけど。ま、精々頑張れよっ」

 

「へぇ。それは楽しみだな。最近じっくりヤるのが多かったから、今日は乱暴にやらせてもらうぞ」

 

「ッ~~❤️ は、ははっ❤️ え、衛宮にしてはずいぶん凄むじゃん。こりゃ、女として負けられないね……❤️」

 

 そして始まる士郎と蒔寺の性交。ほどなくして、部屋の外には発情したケダモノの鳴き声が響く。

 

「オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ン゛ッ゛❤️ えみゃぁあっ❤️ ま゛っ、まってぇッ❤️ あひっ❤️ あ゛ぁぁ~~っ❤️ だめぇっ❤️ ダメッ、ダメダメッッ~~❤️❤️」

 

「どうしたんだ、蒔寺。まだ始まって数分も経ってないぞ。しかも潮を何回も吹いて。おかげで俺の体がビショビショだ。これは躾けが必要かもな」

 

「ンォォォォッ~~❤️ いぎゅッ❤️ うぇぐぅッ❤️ おぉぉぉッッ❤️」

 

 蒔寺は夫との性交では得られなかった絶頂を士郎によって体感していた。それも何回も、何十回も。その度に蒔寺の秘所は潮を吹き士郎の体を汚す。だがそれでも士郎のピストンは終了しなかった。次に士郎は正常位から後背位にポジションを変更すると、彼女の引き締まった尻に子供を躾けるような風に手を叩きつけた。この痛みが、蒔寺の性感を強くする。

 

「んひぃぃぃぃィ゛ッッ!? ❤️ お゛ッッ❤️ そ゛れっ❤️ や゛め゛っ❤️ お゛ぉ❤️ お゛ぉ゛ぉぉッッ!!? ❤️」

 

「やっぱりそうだったか。蒔寺ってMっぽいなって思ってたんだよ。普段より、叩かれた時の方が素直じゃないか」

 

「い゛ひ゛ぃっ❤️ う゛ぁ゛ぁ゛ッ❤️ まて、まてぇッ❤️ ま゛っ、でぇぇッ❤️ や゛め゛──お゛ぉぉぉぉォ────ッッ!!! ❤️❤️❤️❤️」

 

 蒔寺から言葉が消え失せる。代わりに発せられるのは、色欲に満ちた獣声である。その声色からは快楽を得ていることは誰が聞いても窺えるほどであった。加えて彼女の秘所からはとめどなく蜜液が垂れ流れ、シーツを濡らしていたのも感じている証明だった。スパンキングをする度に締まりも良くなっており、士郎もまた彼女の奥深くを突き上げることで絶頂の波を引き起こしていく。そして蒔寺からするとようやく、士郎は彼女の中で込み上げていた射精感を解放する。

 

「イィッ❤️ ぁ、イグゥ❤️ イグゥゥゥゥゥゥッッッ〜〜〜〜ッッ❤️❤️❤️」

 

「うぐっ……!!」

 

 ゴム越しではあるが、士郎は蒔寺の中に大量の白濁液を打ち尽くす。その瞬間、幾度もの絶頂で心身ともに限界にあった蒔寺は電源が落ちたかのように布団に沈む。そのまま士郎は蒔寺の中から肉刀を抜き去った。

 

「うわ……我ながら流石にやり過ぎたな。蒔寺に変な癖がつかないといいけど……」

 

 気絶した蒔寺の前で士郎はそう呟いたが、結果として蒔寺はしっかり特殊性癖を植え付けられていた。被虐性欲──すなわちマゾヒズムである。それも衛宮士郎に敗北することで悦ぶように彼専属のマゾヒストである。こうして蒔寺も士郎の性交にすっかりハマってしまい、冬木の黒豹ならぬ冬木のメス黒豚となり士郎と関係を持ち続けることになったのであった。

 

 ──────

 ────

 ──

 

 ◆おまけパート~氷室鐘編~

 

「不思議なものだ。君とこんな夜更けに向かいあって褥に座る日が来ようとは。青天の霹靂。という言葉が当てはまるとは思わないか、衛宮某」

 

「まあ確かにな。俺達、あんまり関わりもなかったからな。ああけど、偶に二人で話すこともあったか」

 

 氷室の言葉遣いはいちいち堅くて、そして古風であった。士郎からすると彼女はこの状況にも全く動じていないように見える。だが、ほんのりと彼女の頬が朱に染まっているのを士郎は目ざとく発見する。その人間らしい事実に士郎は少しホっとした。氷室は眼鏡の奥深くから士郎を見つめる。

 

「そんなこともあったな。さて、美綴嬢に聞いているとは思うが私は少々己の中の獣性を持て余している。いやはや、この体たらくをどうしたものだろうかと悩んでもいたのだがな。まさかこうして体よく発散できる機会が訪れるとは思いもしなかった。衛宮よ、すまぬが今日はよろしく頼むぞ」

 

「ああ、俺でよければ好きに使ってくれ」

 

「そうさせてもらおう。そうだな……私の夫はよく言えば献身的、悪く言えば見栄を張る男でな。性行為でもとにかく、自分がリードするという感じで私との相性は最悪だ。故にこの場では私が主導でしたい。構わないかな?」

 

 氷室の言葉に士郎は無言で頷いた。正直な話、士郎にはどっちがいいとかそういうのがない。とにもかくにも相手が最高に気持ち良くなるついでに、自分も気持ちよくなれればいいというスタンスであった。それは氷室にとっても都合がよく、二人はいそいそと服を脱ぎ始める。互いに相手をチラチラと見ながら服や着物を脱いでおり、士郎は氷室の豊満な体を見て思わずと呟く。

 

「氷室って……スタイル良いな」

 

「ふっ、衛宮にそのような下世話な世辞を受けるとはいやはや。まあ……今日は好きに見るといい」

 

 士郎がこれまで交わってきた女性と比べても、氷室の乳房は大きい方に入るだろう。そしてその乳首は明るく輝くような桃色であり、その色白な体にマッチしていた。それに臀部や脚の肉付きもまたよいものである。彼女は元陸上部で走り高跳びの一番手として活躍していたのが、影響しているのかもしれないと衛宮は考える。見てもいいとは言ったものの、流石にジロジロと見過ぎられるのは嫌なのか彼女の顔はより赤みを増す。

 

「性欲とは無縁の男だと君のことを思っていた。だがそれは間違いだったと私は認識する。衛宮、君は度助平だ」

 

「なんでさ! 氷室とこういう場にいて、そういう目で見るなって言う方が無理だろ! 俺はいたって普通だ!」

 

「っ!! そういうことを正面切って言うものじゃ……ええい、さっさと始めるぞ!」

 

 氷室はそう言うと士郎を押し倒す。そして彼の股座にそそり立つ大太刀に目をやる。さしもの氷のような表情にも動揺が走るのが見えた。彼女にとってもこれほどの大きさを見たのは初めてなのだろう。しっかりと観察するように視線を行き来させている。ややあって氷室の顔には微小が浮かぶ。

 

「さしずめ白眉の種馬といったところかな❤️ 君の逸物は見事の一言だ。そりが大きいし太さも申し分なし。可能であるなら、コレを夫に移植したいくらいだ」

 

「可能だとしても、俺が色々と困るから勘弁してくれ……」

 

「ふっ、もちろん冗談だ。使う物が凡骨なら無用の長物……我が夫には過ぎたモノだろうよ」

 

 士郎は氷室の言葉を苦笑しながら返す。それに対し氷室も冗談だと返し、それから彼女の手のひらが優しく肉の太刀を撫でさする。その動きには慈しむような感触を士郎は受ける。優しい手付きは、愛おしく大事なものに触れるかのようで思わず士郎は声を漏らす。彼女の前にした、二人の知人とは比べようもなく慣れているのがわかった。衛宮の法悦の声に、氷室はくすりと微笑むと彼女の豊潤な巨峰を肉太刀に寄せる。

 

「普段は疲れるからしたくないがな。今日は衛宮が好きな胸でしてあげることにしよう」

 

「うぉっ、それ、すごっあ……!」

 

 氷室の大きな果実が士郎の大太刀を包む。彼女はツーと唾液を垂らし滑りを良くすると、そのまま上半身を使い胸を大きく動かした。白魚のように白くほっそりとした指が、肉の大太刀の先端を押さえ、しっかりと胸に埋まっている。氷室が上半身を動かす度に彼女の豊乳はたわみ、弾み、淫らなダンスを踊る。それを士郎は凝視せずにはいられなかった。氷室はニタニタとした笑みを隠し切れていない。嗜虐的な色が氷のような鉄仮面を崩していた。

 

「うむ。夫はこういう奉仕を下品だと嫌がるから、衛宮くらい反応がいいとやり甲斐があるっ……❤️」

 

 そういう氷室の表情には明確に色欲と征服欲があった。彼女は間違いなく、夫へのあてつけの感情を士郎にぶつけていた。そう感じ取ると、士郎は氷室に夫より良いと思い、楽しんでほしいとより強く思った。士郎はその思いから、より興奮し熱い息を漏らす。自分が感じているのを見て、彼女はより愉しみが増すだろうと。その考えはどうやら正解だったらしく、氷室はより淫らに責め始める。まずは谷間から突き出る肉の切っ先に氷室の唇が深く触れた。

 

「ちゅぅ❤️ むっふぅ、ずじゅ、ちゅずずずぅ~~❤️❤️❤️」

 

 それまで胸で挟み込んでいただけだった彼女だが、ここに来て口を使い始める。彼女は淫らで、激しい音を立てて、切っ先から垂れてくる透明な我慢汁を吸い飲む。その淫らな音色は、より士郎と氷室の体の熱を高めるには十分であった。

 

「じゅぞぞぉ、んぁ、ちゅぷ、ふんんぅ❤️❤️❤️ 衛宮の我慢汁は豊潤だな❤️ 吸っても吸っても湧き出る❤️」

 

「っぁ、ひむ、ろっ……!!」  

 

 氷室の奉仕に士郎が反応すると、彼女は満足そうに微笑む。氷室の手管は万夫不当の士郎といえ、興奮は際限なく高まり彼の腰は震える。氷室の白魚の如くほっそりと美しい指は肉の大太刀の先端を捉えたまま放さず、氷室の桜色の唇が離れたかと思えばすぐさま吸い付き我慢汁を飲む。数分以上の攻防の末、士郎は雄叫びとともに射精感を解放させられる。

 

「氷室っ、もう射精る……!!」

 

「ふんぐ、んぅ~~~~、いぃぞぉっ❤️❤️」

 

 氷室の唇の中では士郎の怒張が跳ねた。それとほぼ同時に、士郎は溜まりに溜まった雄汁を開放する。その大量かつ激しい開放感の奔流に士郎は思わず天井を見上げる。彼の目には視界全てを塗りたくさんばかりの星のまたたきが見えていた。その一方、口内に溢れた大量の精を受け氷室は目を白黒させている。今までにない逞しい肉太刀、濃厚な白濁液の鉄砲水。氷室にとってもそれは経験したことがなかった。だから彼女は受け止めることもできず、口内に溢れた精をあふれさせるしかない。ビュルルルッ、という音が鳴りそうな勢いで噴き上がる白濁液。その精液は氷室の上半身と眼鏡を染め上げ、命中せず地に落ちたものはシーツにシミを作っていく。ようやく士郎の白濁噴水が止まり、氷室も落ちついてきた頃。脇に用意してあった水を飲み干すと、氷室は眼鏡を吹きながら口を開いた。

 

「いやはや……ここまで凄まじいとは。ひどい味と匂いだ❤️ これでは暫く何を食べても、何を嗅いでも、君の精で塗りつぶされてしまう❤️」

 

「そんなにか……!」

 

「そうだぞ。故、責任を取ってもらわないとな❤️」

 

 彼女の眼鏡の奥の瞳は欲望に潤んでいて、今もなお屹立している肉の太刀を捉えて放さなかった。彼女は士郎は押し倒すと彼に跨る。氷室の秘部と士郎のモノが触れ合う。互いに熱く滾り、どろどろとしており相手を求めあっている性器。そして彼女は満を持して、ゆっくりと腰を落とし始める。

 

「んんっっ❤️ お、大っき、いぃ❤️❤️ くふっ、ふっぅ~~~❤️❤️」

 

 氷室の顔は切なく歪んでいる。だがそれでお彼女は気丈に振る舞おうとする。だが体は嘘をつくことはできず、秀麗皎潔に相応しい白磁の肌は血の巡りが速まり、鼠色の髪は揺れ動き続ける。ややあってから、氷室はその体の動きを止めた。それは挿入を止めたというより、挿入し切ったと言った方が正しいものである。氷室の秘部は士郎の大きなものを完全に受け入れていた。それから彼女は深く深呼吸を行うと、うっとりとした声と表情で喋り始めた。

 

「直に入れて分かるがっ……まっこと見事なものだなっ❤️  衛宮よ、私から夫などを忘れさせるくらい感じさせてみるがいい❤️❤️ 」

 

「んぃ……っ、あぁ!!」

 

 氷室が士郎の上でゆっくりと腰を上下左右に振り始めた。最初はゆっくりとだが徐々にその速度を早め、彼女の中の熱と水音が大きく響いていくのを二人は感じる。大胆に、しかして繊細に動かす腰遣い。中に入るほど締まり、研磨するように肉刀に擦れる肉壁。それら全てが士郎に、強烈な快感を与える。

 

「どうしたぁ、衛宮っ❤️ まだ果ててはならんぞっ❤️ ふぅ❤️ ふぅ❤️ あぁぁ、あいつのより私に合致する……っ❤️」

 

「ッ……ふんッ!」

 

「ンォッ❤️ 急に元気にぃっ❤️ くふっ、そんなに夫と比較されるのが良かったのかっ❤️」

 

 そう言って微笑む氷室は、自分を見る士郎の瞳に燃える焔を見た。誰かに負けるのはいいと思っていた彼は、ここ最近その傾向が変わるのを感じていた。今、ここにいるのは自分なのだから自分だけを見てほしい。そんな思いが心の隅でちらつくようになっていたのだ。衛宮は氷室の夫には負けていられないと、無意識に腰の突き上げを強くする。

 

「ふぁ、ぁっ、ぁぁっ❤️ いいっ、いいぞぉっ❤️ えみやのがっ、わたしのおくにささってっ❤️ きっ、ふっ❤️❤️」

 

 彼女の最奥の手前。秘められていた最上の性感帯に士郎のモノが突き刺さる。そしてそのまま最奥すら貫いてしまう。氷室の氷の如き鉄仮面はついに完全に崩壊する。彼女は自身の子袋をこじ開ける快感を知覚し、その唇からはだらしのないよがり声が飛ぶばかりになる。

 

「ひぐっ❤️ そこぉっ、そこはダメだぁ……❤️❤️ 弱い、ぁあ、あっ❤️❤️ あぁっっ~~❤️」

 

 氷室の頬の火照りはより高まっていき、ガラス越しの目尻はトロトロに溶けている。もはや下から突き上げる士郎にされるがままになっている。白魚のような美しく繊手で彼の胸板をつき、なんとか姿勢を維持するだけで限界であった。そんな状態を士郎に与えた張本人であるのに、彼女に冷静な状況判断ができるはずがない。

 

「あぅ❤️ うぁ、ぁ、ぁ、ァッッ~~~❤️❤️ 衛宮、そんな、強くっ、あぁ、もうだめっ──❤️❤️」

 

 氷室の体は歓喜に震えていた。それは夫とするときでも味わえぬほど、深いものであることを彼女自身も知覚する。そしてそれを与え続けられた結果──氷室の体は遂に決壊する。秘所から溢れ出る熱水は、彼女の下のシーツどころか布団までも濡らしていく。それはまるでマーキングのようで、彼女の肉体が衛宮士郎を認めた証拠だった。そして士郎もまた、氷室の中に己を刻み付けようと中出しをする。無論、この時はコンドーム越しであったが。長い長い射精の末、氷室鐘の体は力無く士郎に倒れこんでいく。それを受け止める士郎もまた、しばらくは呼吸に集中して息を整えていた。ふと士郎は氷室の顔を見る。彼女の目は熱に蕩けており、恥ずかしそうではあるが満足げだった。

 

「はぁはぁ……❤️ 満足だ。こんなにも充足した感覚はいつぶりだろうか。ありがとう衛宮。私は久々に己がどうしようもなく己が雌であるということを自覚した。この感覚は、忘れ難いものだ」

 

「俺も同じだ。こうも気持ちよく射精したのは久々だ。その、まだしたいくらい……」

 

「っ!? 噂にたがわぬ絶倫だな……惚れたが因果か❤️ いいんだろう、私が尽きる時まで付き合うとしよう……❤️」

 

 こうして氷室鐘も衛宮士郎の愛人となったであった。彼女は時折、夫のことを口にし士郎を燃え上がらせ熱く蕩けるような夜を過ごすことが多かった。そして最後にはまるで水魚の交わりかのように、寄り添って共に眠ることが多々あったそうである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。