勇者ヒンメルの死から三十一年後。北側諸国、北部高原エルンスト地方。北へ北へ進むほど、三人の顔には冷たい風が突き刺さっていた。
「……帝国に近付くにつれて、寒くなってきたなぁ」
先頭を歩く戦士シュタルクが、自身の肩を抱くようにして身震いした。防寒のために厚手のコートを羽織ってはいるものの、大陸の北端に近いこの地の冷気は、衣服の繊維など無意味だと嘲笑うかのように肌を刺していた。
「シュタルク、弱音を吐くのが早いよ。まだ集落を出て数時間しか経ってない」
その数歩後ろを歩くエルフの魔法使い、フリーレンが淡々とした口調で告げた。彼女の姿は、いつもの旅装の上に厚手のマフラーを巻き、防寒具を着込んでいるものの、その足取りは軽やか且つ表情には寒さを苦にする色は見られない。
「フリーレンは平気なのかよ……。エルフって寒さに強いのか?」
「別に。人よりはマシってだけ。……それに、寒いのは嫌いだよ。朝起きるのが億劫になるし」
フリーレンは無表情のまま、マフラーに顔を埋めるようにして答えた。その翠玉(エメラルド)の瞳が、ふと横を歩くもう一人の少女──弟子のフェルンへと向けられる。フェルンは白い防寒用の上着をきっちりと着込んでいたが、その身体は小刻みに震えているように見えた。杖を握る手も寒さで悴んでいるのか、動きが硬い。
「……フェルン、大丈夫か? 顔色、わりと悪いぜ」
シュタルクもまた、フェルンの様子に気付き、心配そうに足を止めた。振り返った彼の視線には、仲間を気遣う優しさが宿っている。だが、その瞳の奥には、フェルンに対して抱いている微かな罪悪感も揺らめいていた。
あの迷宮から一ヶ月。シュタルクとフリーレンは、フェルンに隠れて一線を越え、濃密な情事に耽溺した。その事実は、二人の間の空気を不可逆的に変えてしまっていた。今こうして会話をしていても、シュタルクの脳裏には、雪原の白さとは対照的な、熱く火照ったフリーレンの肌の色や、艶めかしい喘ぎ声がフラッシュバックする。だからこそ、彼はフェルンに対して、普段以上に過保護とも言える優しさを見せてしまうのだ。
「……大丈夫です、シュタルク様。少し、肌寒いだけですから」
フェルンは気丈に振る舞い、短く答えた。その紫色の瞳は、シュタルクの顔を一瞬だけ捉え、すぐに逸らされる。彼女もまた、敏感に感じ取っていたのだ。シュタルクとフリーレンの間に流れる、言葉には出来ない微かな粘度を持った空気感を。それが何であるのか、確証はない。けれど、シュタルクが自分に向ける優しさが、どこか後ろめたさを帯びていることに、彼女の女としての直感は警鐘を鳴らし続けていた。
「そう、か? いやでもよ、もうちょい歩きながらでも、寒さをまぎらわせたいよなぁ」
シュタルクは眉を下げ、困ったように頭を掻いた。そして、救いを求めるようにフリーレンへと視線を向ける。こうした寒空の中の旅路も慣れているであろうと、千年生きたエルフに知恵を借りようとしていた。
「なぁフリーレン。なんかこう、体がポカポカする魔法とかねぇのかよ? ほら、民間魔法とかでさ」
「体がポカポカする魔法か……ありそうだけど、私は覚えてないね」
フリーレンは歩みを止め、小首を傾げた。その無垢な仕草は、千年以上生きる大魔法使いとは思えないほど少女的で、シュタルクの心臓を不意に跳ねさせる。彼女のマフラーの隙間から覗く白い首筋。そこには、先日シュタルクが愛おしさのあまり吸い付いて残したキスマークが、今は衣服の下に隠されている筈だ。その想像が、極寒の中でシュタルクの下腹部に小さな熱を灯す。
「んじゃ、他に使えそうなのはないのか? 服が透ける魔法とか、かき氷を出す魔法とか持っているくらいだろ? 暖房代わりになる魔法くらいあってもいいじゃねぇか」
「……昔は、焚き火や火の魔法で十分だったからね。ヒンメルたちも、寒ければ身体を動かせばいいって言っていたし。ヒンメルとアイゼンなんか、寒かったら走り出していたよ。積もった雪を吹き飛ばしながら走る姿は爽快だったね」
「うわぁ、体力バカパーティーだ……しっかし、師匠はともかく勇者ヒンメルもそうなのかよ」
シュタルクの言葉に、フリーレンは少しだけ遠くを見る目をした。彼女の記憶の底にあるのは、勇者ヒンメルたちと旅をした日々の光景だ。その視線にシュタルクは、ほんの少しだけモヤっとした気持ちを抱いてしまう。フリーレンはシュタルクの思いに気が付いているのか、気付いていないのか定かではなかったが、彼を見て薄く笑みを浮かべていた。それまで黙って話しを聞いていたフェルンは、シュタルクの気遣いに感謝をするため口を開いた。
「シュタルク様、お気遣いありがとうございます。私は平気ですから」
「ううん、それならいいけどよ……しかしフリーレンが平気そうで、フェルンが寒がりなのはちょっと意外だな」
「は? 意外とは何ですか。デリカシーがありませんね」
「うぐっ……すみません」
フェルンはむっとした表情でシュタルクを睨むが、その頬はほんのりと朱に染まっている。シュタルクに心配されたこと自体は、彼女にとって決して不快なことではないのだ。その初々しい反応を見て、シュタルクは胸が痛んだ。彼女の純粋な好意に気付きながら、自分は彼女の師匠と背徳的な関係を続けている。二人をじっと見ていたフリーレンだが、その時ふと思い出したように手を打った。
「あ、でも。そういえば……」
「ん? どうしたんだ、フリーレン」
「……この近くの村に、周囲が暖まる魔法を伝承している一族がいた気がする。その時は時間がなかったから、村の魔導書を詳しく見られなかったんだよね」
「マジかよ! それだよそれ! 最初から思い出してくれよ!」
シュタルクが食いつくと、フリーレンは懐から古びた地図を取り出し、指でなぞり始めた。大陸北部エンデ、死者の魂が眠るとされる土地オレオールを目指す旅路から、その指は大きく逸れてある地点を指差す。
「……ここからだと、一ヶ月くらい逸れることになるけど。どうする?」
フリーレンが二人に問い掛ける。彼女の表情は平然としているが、その内心には別の意図が渦巻いていた。旅の道草。それはヒンメルから伝わった彼女の趣味であるが、同時にシュタルクとの関係を続けるための、無意識の時間稼ぎでもあった。オレオールに着けば、旅は終わる。あるいは、新たな局面を迎える。けれど、こうして寄り道をし、宿に泊まる機会が増えれば、フェルンの目を盗んでシュタルクと肌を重ねるチャンスも増える。あの迷宮で知ってしまった、雄としてのシュタルクの激しい愛撫と、子宮を突き上げられる快感を、フリーレンの身体は渇望していたのだ。
「一ヶ月か。師匠のこともあるけど……いやまあ、フェルンも寒そうだし。これからもっと北に行くなら、持っておいて損はない魔法だよな」
シュタルクはフェルンを気遣う建前と、本能的にフリーレンの提案に賛同したい欲求の間で揺れて、最終的に肯定的な反応を示した。彼はフリーレンの提案には弱い。それが魔法使いとしての好奇心から来るものであれ、あるいはもっと湿度の高い理由から来るものであれ、彼女の言葉に従うことに心地よさを感じ始めていた。
「……そうだな。俺は賛成だぜ。フェルンのためにもなるし──」
「なりません」
冷え切った空気をさらに凍らせるような、鋭い声が響いた。シュタルクが硬直して振り返ると、そこには絶対零度の視線を放つフェルンが佇んでいた。紫色の眼光は、疑惑の色を含んでシュタルクとフリーレンを見つめていた。
「フェ、フェルン?」
「シュタルク様。私たちは何のために旅をしているのですか? 魂の眠る地へ向かい、フリーレン様がヒンメル様と対話するためですよね。寄り道をして、無駄な時間を過ごしている暇はありません」
フェルンの言葉は正論だが反論を許さない強い意志があった。だが、その刺々しさの裏には、言葉に出来ない焦燥感があったのだ。フリーレンが寄り道を提案するたび、そしてシュタルクがそれに同意するたび、二人の距離が自分の入れない領域で縮まっていくような疎外感。先ほどのフリーレンの視線、シュタルクの微かな動揺。それら全てが、フェルンの心に黒い染みを作り言葉となって放たれたのだ。
「い、いや、でもよぉ……。寒さの対策も必要じゃないか?」
「私は平気だと言いました。それとも。シュタルク様は、フリーレン様と二人で、コソコソと何か探しに行きたいのですか?」
「っ!?」
フェルンの一言は、核心を突いていたわけではない。単なる嫉妬混じりの嫌味だった筈だ。しかし、後ろめたい秘密を抱えるシュタルクにとっては、心臓を鷲掴みにされるような一撃だった。コソコソと、二人で。その響きに、深夜の宿でフェルンが寝静まった後に行われる、フリーレンの凍った心を溶かすような熱い情事の記憶が重なる。
「ち、違うって……! 俺はただ、効率的な旅のためになるかと……!」
「……怪しいですね」
「わ、分かったよ! 分かったからそんな目で見ないでくれよぉ」
フェルンの強い反対もあり、無理して旅の指針をぶらす必要はないとシュタルクは丸め込まれる。寄り道を求める心はあったが、純粋に仲間に疑われ続ける状況に弱く、怖気づいてしまった。彼は冷や汗を拭い、居住まいを正すと震える声で宣言する。
「よ、よし! 寄り道はなし! まっすぐオレオールを目指す! それが一番だな、フリーレン!?」
「……まあ私はどっちでもいいけど。フェルンを怒らせてもなんだし、当初の予定通り帝国領への関所を目指そうか」
シュタルクの清々しいまでの撤回宣言に、フリーレンは少しだけ目を細めながら同意を示す。こうしてシュタルクは逃げるように踵を返し、帝国へと続く街道を早足で歩き出した。その背中には、これ以上追求しないでくれという哀れな懇願が滲み出ている。
「……はぁ。シュタルク様、あまり離れていると魔物が出ると援護し辛いです」
フェルンは小さく溜息をつくと、膨れっ面でその後を追った。取り残されたフリーレンは、二人の背中を見つめながらマフラーの下、シュタルクによって深く付けられた口付けの跡をさする。今も熱を帯びているような、心地よい感覚をフリーレンは想起する。
(……残念。あの魔法があれば、野宿でもしやすくなったのに)
フリーレンは、寒空の下で熱を帯びた吐息を一つ漏らすと、愛しい弟子と、愛しい男の後を追って、ゆっくりと歩き出した。
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宿屋の窓から差し込む朝の光が、フェルンの憂いを帯びた瞳を照らしていた。旅の支度を整えながら、彼女の胸中には拭い去れない違和感が澱のように溜まっていた。それは、あの日──シュタルクとフリーレンが二人きりで迷宮に閉じ込められ、脱出してきたあの日から始まったものだった。
以前の二人とは、何かが決定的に違う。朝に弱く、昼過ぎまで惰眠を貪るのが常だったフリーレンが、フェルンが目を覚ますと既に隣のベッドにいないということが、最近になって頻繁に起きるようになった。早起きをして魔導書でも読んでいるのだろうか、最初はそう自分を納得させようとしていた。だが戻ってきたフリーレンの少し火照った顔や、乱れた衣服を整える仕草を見るたびに、フェルンの直感は別の答えを導き出そうとする。
そしてこういう時の朝は決まって、シュタルクの様子もいつもと違って見えるのだ。妙に晴れやかな顔をしていたり、逆に激しい運動の後のような疲労感を滲ませていたり。そして何より、フェルンと視線を合わせるのを避けるように、気まずそうに振る舞うことが多かった。二人が示し合わせて、フェルンの知らない場所で何かを共有している。それがただの「早起き」や「朝の鍛錬」でないことは、二人の間に流れる密接な空気感が物語っていた。二人が自分に隠し事をしているのは、もはや疑いようのない事実だった。
変化はそれだけではなかった。旅の道中、食事の支度といえば三人が交代してこなす役割だった筈が、ここ最近、フリーレンが進んで料理をするようになったのだ。彼女が振る舞うのは、フェルンが見たこともないような珍しい料理ばかりだった。それは千年の間、培った秘蔵のレシピから織りなす馳走だった。
「うめぇっ! フリーレン、これマジですげぇよ! 師匠の作るハンバーグより美味いかもしれねぇ!」
「そう。お代わりもあるから一杯食べなよ」
(おばあちゃんみたい……)
「フェルン? なんだか視線に嫌な気配を感じるんだけど」
シュタルクが皿に盛られた未知の料理を口いっぱいに頬張り、無邪気な笑顔で絶賛する。すると普段は感情の起伏が乏しいフリーレンが、その食べっぷりを見つめながら、ふわりと優しく微笑むのだ。それは年の離れた子供の成長を見守る大人の顔というよりは、愛する男の胃袋を満たしたことに満足する、一人の女の顔のようにフェルンには見えた。そしてフリーレンの変化はそれだけに留まらなかった。
旅の補給のために立ち寄った市場で、彼女が怪しげな露店に吸い寄せられ、使い道の分からない魔導書や、得体の知れない魔物の素材を買い込むのはいつもの光景だ。フェルンにとって、それは無駄遣いとして呆れつつも許容している彼女の趣味の範疇だった。しかし、最近のフリーレンの買い物には、明らかな異変が生じていた。
「……フリーレン様。その、フリルがたくさんついた服は一体何ですか?」
「これ? メイド服。かわいいかなって」
「……そうですか。では、その動物の耳や尻尾の形をした装飾品は?」
「これも帝国で流行っているコスプレグッズだよ。猫とか、熊とか、兎とか……色んな種類があるんだ」
以前のフリーレンならば見向きもしなかったであろう、洒落た衣服や、玩具のような動物のコスプレグッズを嬉々として買い漁るようになったのだ。宿屋の一室で、フリーレンが戦利品をベッドの上に広げると、そこは冒険者の荷解きというよりは、仮装パーティーの準備会場のような有様になっていた。
「……はぁ。フリーレン様、荷物が増えすぎです。捨ててください。特にこの耳の飾りとか、旅には全く必要ありませんよね」
「えぇ……。でも、これレア物なんだよ? ほら、魔法で動くんだよ。せっかく見つけたのに……」
フリーレンは猫耳のカチューシャを手に取り、捨てられた子犬のような目でフェルンを見上げた。以前なら暗黒竜の角のような貴重な素材を没収された時、そんな時くらいしか見せない執着をただの装飾品に見せている。明らかな異常だった。フェルンは忌々しいものを見るかのように付け耳を掴むと、ゴミ箱へ放り込もうと手を伸ばした。その時だった。
「ああっと! ちょっと、待ってくれよ。フェルン」
「シュタルク様……?」
それまで自分の荷物整理をしていたシュタルクが、すっと二人の間に割って入った。彼はフェルンの手からコスプレグッズを優しく受け取ると、自分の鞄をポンと叩いてみせた。
「俺の鞄ならまだ余裕があるからさ。俺が持つよ」
「シュタルク様まで何を言っているのですか。ただでさえそっちの荷物は重いのに、こんなガラクタまで詰め込んでどうするんですか」
「が、ガラクタ。まあ、そうかもだけどよ。フリーレンが気に入ってるんだし、それに……いいじゃねぇか。似合いそうだしな」
シュタルクは少し頬を掻きながら、フリーレンと目配せをするように視線を交わした。フリーレンもまた、シュタルクの助け船に安堵したように小さく微笑み、ありがとう、シュタルクと小声で礼を言う。二人の距離が近付く。フェルンは自分でも分かるくらい、ムスッとしているのが分かった。
「……」
フェルンは、その一連のやり取りをじっと見つめていた。普段なら、フリーレンの無駄遣いに対してシュタルクも一緒になって呆れるか、フェルンの剣幕に押されて同調するのが常だった筈だ。それが今はどうだ。まるで二人で一つの秘密を守る共犯者のように、阿吽の呼吸でフェルンの追及をかわそうとしている。シュタルクがわざわざ重荷を背負ってまで守ろうとしたコスプレグッズ。そして、それを彼が持つことに安心しきっているフリーレン。
(……おかしい)
フェルンの瞳に宿る懐疑の色は、以前よりも一層濃く、深くなっていた。二人の奇妙な連携は、単なる仲間意識の範疇を超えた、どこか湿り気を帯びた結びつきを感じさせたからだ。フェルンは無言のまま、シュタルクの鞄に丁寧に仕舞われていく動物の耳飾りを睨みつけた。
そして、その日の夜。フェルンがぐっすりと眠れる魔法で夢を見ている横で、淫乱なるケダモノ達の情事が行われているとは、疑い深くなったフェルンにも想像出来ないことだった。
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夜の帳が下り、宿屋の一室は深い静寂に包まれていた。窓から差し込む月明かりだけが、並んだベッドの上で規則正しい寝息を立てるフェルンの姿を白く浮かび上がらせている。彼女には、フリーレンがあらかじめ深い眠りに落ちる魔法をかけていた。たとえ耳元で雷が鳴ろうとも、彼女が朝まで目を覚ますことはない。
その絶対的な安全圏の中で、フリーレンは音もなくシュタルクの手を引き部屋に招いた。もはや手慣れたもので、シュタルクもかつてはおっかなびっくりだったが、今ではフェルンの眠る部屋に堂々と入っていた。それはフェルンが起きる心配など全くしないで、フリーレンと日常のように会話するほどだった。
「どうかな、シュタルク。フェルンに軽蔑されながらも守った成果の感想は」
囁き声と共にフリーレンはその姿をシュタルクに晒しだす。月光に照らされたフリーレンの頭上には、シュタルクの鞄に詰め込ませていた、白くふわりとしたウサギの耳のカチューシャが揺れていた。月には兎が住むという言い伝えをシュタルクは聞いたことがあったが、フリーレンがそうなのかと思うほどその光景が神秘的だった。
「うさ耳……!」
「そう。うさ耳。猫と熊は試したから次はこれだよね。ぴょんぴょん」
フリーレンは頭の横にそえた指と一緒に、うさ耳を動かしてみる。シュタルクが喉を鳴らし、熱っぽい視線を彼女の頭頂部に向けるのも無理からぬ愛らしさ。普段の冷静沈着な魔法使いの姿とはかけ離れた、その愛らしくも背徳的な姿。白い髪と同化しつつも、ぴょこんと立った獣の耳は、彼女の内側に眠る淫らな本能が表出したかのように見えた。固まったシュタルクに対して、フリーレンは小首を傾げる。そして彼の鍛え抜かれた胸板に、細い指先を這わせた。
「似合ってない?」
「っ、似合ってる……すげぇ似合ってるよ! 俺的には猫も良かったが、ウサギもとんでもねぇ破壊力だっ! ゾルトラークを食らった気分だぜ」
「そう。良かった……❤️ 最近、野宿ばっかりだったでしょ。シュタルク、だいぶ溜まっているんじゃないかと思ってね。やる気が出たようで何よりだよ」
シュタルクから褒められ上機嫌に鼻を鳴らすフリーレン。彼女はシュタルクを見上げ、少しお姉さんぶった、艶を含んだ声色で囁く。旅の道中。寒さが支配する野外で肌を重ねることが出来ず、二人は禁欲を強いられてきていたのだ。その焦れったい期間が、若い戦士の精力を限界まで高めていることを、フリーレンは感じ取っていた。だが、シュタルクは彼女の挑発的な瞳を見つめ返し、苦笑交じりに問い掛けた。
「俺の心配をしている風に言ってるけどさ。そんな格好して誘ってくるってことは、フリーレンの方こそ限界なんじゃねぇの?」
「ふふ。そうかもね」
わざわざコスプレグッズを買い込み、夜を待ちきれずに身に付けて誘惑する。それは、シュタルク以上にフリーレン自身が、あの迷宮で知った快楽に飢えている何よりの証拠だとシュタルクは思う。図星を指されたフリーレンは、一瞬だけ目を見開いたが、すぐに口元を緩めて妖艶に微笑んだ。否定はしなかった。次の瞬間、フリーレンは背伸びをし、シュタルクの唇を奪った。
「「んっ❤️……ちゅ、ぷ❤️ ちゅっる、ちゅ、ちゅ、れうっ❤️ れるっ❤️ ん、ふぅっ❤️ ちゅるるっっ❤️」」
触れ合うだけの淡い口づけではない。フリーレンは自身の小さな舌をシュタルクの口内にねじ込み、彼の舌と貪るように絡ませた。ジュルッ、レロ……という湿った水音が、静まり返った部屋に響く。すぐ隣で弟子が眠っているという背徳感が、二人の唾液分泌を加速させ、口づけをより濃厚で粘着質なものへと変えていく。
「……んむ、ぁ……。……シュタルク、味……濃い……」
唇を離すと、二人の間に銀色の糸が引いた。フリーレンの瞳は、ウサギの耳が似合う可憐な少女のものではなく、獲物を前にした獣のように潤み、情欲に染まっていた。その深いキスは、これから始まる長い長い獣欲の夜の、ほんの合図に過ぎなかった。シュタルクとフリーレンは共にベッドへと沈んでいった。
水音が響く部屋で。月明かりがフェルンの豊かな胸の起伏を白く浮かび上がらせていた。規則正しい寝息と共に上下するその巨峰は、シュタルクのような若い男なら釘付けになってもおかしくない、圧倒的な存在感を放っている。しかし今や同じ部屋の片隅、軋むのを恐れず沈み込んだベッドの上で、シュタルクの熱っぽい赤瞳が捉えているのは彼女の豊満な肢体ではない。彼が見つめているのは、ウサギの耳を付けた、千年以上生きる貧相な体つきのエルフ──フリーレンだけだった。
「ぁぁっ❤️ んっ、ふぁ❤️ シュタルク、くすぐったいよ……❤️ もっと、ゆっくりっ❤️」
「そっちから誘って、そりゃないぜ……っ! 相変わらず柔らけぇ……ずっと触ってたいな」
「ぁっ❤️❤️ シュタルクっ❤️」
フリーレンは甘い吐息を漏らしながら、シュタルクの首に細い腕を回した。すぐ背後には、自分が育て上げた大切な弟子が眠っている。その罪悪感がないわけではない。フェルンがシュタルクに淡い想いを寄せていることも、フリーレンはとっくに気付いている。けれど、その背徳感が霞んでしまうほどに、シュタルクからの偏愛は心地よかった。フェルンという魅力的な異性が無防備な姿で横にいるにも関わらず、シュタルクはフリーレンの薄い胸や、華奢な腰、小さいお尻、そして白磁のような肌に夢中だった。手垢を付けるように、ねちっこい愛撫を繰り返している。その事実が、フリーレンの奥底にある独占欲と加虐心をくすぐるのだ。
(ふふ。シュタルクはもう、私のことしか考えられないんだ)
白い肌が、興奮と羞恥、そして優越感で桜色に染まっていく。勇者ヒンメルとの旅では知ることのなかった、一人の雄を自分色に染め上げるという快感。それは魔法の探求よりも遥かに深く、フリーレンの心を蕩かしていた。
フリーレンの手が、シーツの下で蠢くシュタルクの下腹部へと這い進む。普段はフェルンにちっさと罵られ、縮こまっている彼の象徴。だが、フリーレンの指先が触れた瞬間、それは彼女の掌を弾き返すほどの勢いで、雄々しく、硬く、熱く隆起していた。血管が浮き上がり、岩のように硬直した剛直。それは、かつて魔王を倒した勇者ヒンメルですら触れることの叶わなかったフリーレンの聖域を突き破り、彼女をただの雌へと堕とした、シュタルクの凶悪な業物だった。
「ぅっ!! フリーレンの指っ! ひんやりして、相変わらずすげぇ手管だっ……ちょっ、激し過ぎじゃ!?」
「ふっ、ふっ❤️ シュタルクが、こんなに硬くしているのが悪いんだよ❤️ あぁ、ガチガチで熱い❤️
フリーレンはウサギの耳や双尻を思わせる髪束を揺らし、その熱い楔を握り締めて扱き始める。フェルンの寝息を興奮のスパイスとし、二人の熱は留まることを知らずに高まっていく。もはやシュタルクのモノをシゴクのに特化した手の上下運動、フリーレンの千年間手つかずであった、陰核と膣壁を手入れするシュタルクの愛撫。それらの絶頂が重なり、シーツに湖を作らんばかりの潮吹きが噴射され、湖に向かって白濁が降り注がれる。ベッドの上に、新たな湖と島が出来た所で、二人の欲情のボルテージは最高潮に到達していた。
シュタルクの剛直がフリーレンの最奥を捉える。二人の熱がぶつかり合い、フェルンの規則正しい寝息が、背徳的なリズムを刻む二人の伴奏となっていた。宿屋の古びたベッドは、シュタルクが腰を打ち付けるたびに、軋み声を上げそうになる。だが、フリーレンは魔法使いとしての才覚をこんな場所でも発揮していた。彼女は指先でシーツに触れ、音を消す魔法をベッドの脚へと流し込んでいたのだ。宿の他の者にバレないための配慮であった。
「ンンッ❤️ クゥッッ❤️ ハァっ❤️ はァァァ~~っ❤️❤️ しゅたるくっ……しゅたるくぅ❤️ いいよ、もっとはげしくしてっっっ❤️❤️」
「ッ!! フリーレンッ! そんなこと言われたら、もう……止まれねぇよッ!!」
フリーレンの口から、甘く蕩けた命令が零れ落ちる。ウサギの耳が激しい揺れに合わせて前後にしなり、解けた彼女の腰まで届く銀系がベッドシーツの上で扇状に広がっていた。シュタルクの剛直が、彼女の秘められた回廊を押し広げながら進んでいく。千年以上もの間、誰にも触れさせなかった聖域は、今や完全にシュタルクという一人の雄を受け入れるためだけの形に作り変えられていた。粘膜が吸い付き、ひだの一枚一枚が剛直の形状を愛おしむように絡みついてくる。
シュタルクは額に汗を滲ませ獣のような荒い息を吐くと、彼女からの命令に従って猛り荒ぶる。すぐ隣で、仲間以上の想いを抱いてたフェルンが眠っている。その距離、僅か数メートル。もし今、彼女が目を覚ましたら。尊敬する師匠と、幾多の死線をくぐり抜けた仲間が、ウサギの耳を付けて獣のように交わっている姿を見られたら。その恐怖が、シュタルクの背筋を凍らせると同時に、脳髄を焼き切るような異常な興奮をもたらしていた。罪悪感という名の火薬が、快楽の感度を極限まで高めていく。
「ン゛ッ❤️ あ゛ぁ゛ぁ゛……ふふ❤️ フェルンに、聞こえちゃってるよね……もしかしたら。私達の夢を見ているかもだ❤️」
「っ……!?」
フリーレンは悪戯っぽく囁き、シュタルクの耳を甘噛みしながら視線を向ける。その瞳は、シュタルクの動揺を楽しんでいるかのように妖しく細められている。実際シュタル達の淫行の音は外には漏れていないが、部屋の中にはこれでもかと響いていた。朝まで目が覚めることはないが、その音が作用してシュタルクとフリーレンの夢を見るということもあるかもしれなかった。現に、眠っているフェルンの顔は何か見たくないものを見ているかのように苦悶を浮かべていた。
「やめちゃう……? シュタルクが、そうしたいならいいよ……ちょっとだけ。ほんの少し残念だけどね……❤️」
「そんなことっ! 言われたら、やめられけないいだろッ!!」
「ア゛ァ、ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛~~~~ッッ❤️ しゅたるくぅ❤️❤️ ひぃんっ❤️ あ、はぁっ❤️ ふぅ、ふぅ❤️ あぁぁ❤️ しゅたるく、しゅたるくぅっっ❤️❤️」
フリーレンはシュタルクが嫌ならここでやめてもいいと告げる。だが、彼女は寂し気な表情を浮かべて彼を惜しんだ。そんな姿を見せられれば、止めることなど考えようはずもなかった。シュタルクはフリーレン最奥へと腰の突き上げる。フリーレンの挑発によって煽られた情欲が、彼をより深く、より激しい抽送へと駆り立てていた。
重く湿った水音が、二人の結合部から響き渡る。フリーレンの身体は華奢で、シュタルクの逞しい腕の中にすっぽりと収まってしまうほどだ。だが、その内側に秘めた熱量は、底なし沼のように深く、重い。突き上げられるたびに、フリーレンの身体がピンと伸び、ウサギの耳がプルプルと震える。彼女の小さな胸が揺れ、薄い皮膚の下で早鐘を打つ心臓の鼓動が、密着したシュタルクの胸板にまで伝わってきた。
「あ、ぁぁっ❤️❤️ そこぉぉ❤️ イ゛イ゛ぃぃ……っ❤️❤️ しゅたるくのぉ、おっきいいのが……おくをこじあけてるぅ……お゛ッッッ❤️❤️❤️」
フリーレンが理性のタガを外したような声を漏らし、シュタルクの背に腕を脚を回す。普段の冷静沈着な葬送のフリーレンはどこにもいない。そこにはただ、愛する雄の種を乞い願い、快楽に溺れる一匹の雌がいるだけだった。フェルンにはまだ早い。この、脳が溶けるような熱狂も、魂が吸い取られるような交合の悦びも。全て私だけのものだ。今だけと付け足す余裕もなく、独占欲がフリーレンの膣肉をさらに収縮させ、シュタルクの剛直を万力のように締め上げた。
「っ、あぁ……っ! フリーレン、ぐぅぅっ!! そんなに、締められたら……っ!」
シュタルクの限界は近かった。全身全霊を持って迎える絶世の名器。何度抱いても飽きない玉体の魔女の肉体は、シュタルクの剛直から精を搾り出さんと吸着して離さなかったからだ。もはやフリーレン以外のことなど忘却したシュタルクは、彼女に射精したいという意思しか残っていなかった。絶頂に至るための追い込みをかけ、シュタルクはフリーレンの己の領域となった子宮を抉り刺す。
「出すっ! 中に、出すぞっ! フリーレンッッ!!」
「ア゛ァ❤️ ア゛ハァァァァ❤️ いいっ、いひぃよぉ……っ❤️ しゅたるくのぜんびゅ、わたしにだけ、ちょうらいっ……ン゛ン゛ッッ❤️❤️ いっぱい、ダしてぇぇ~~ッッッ❤️❤️❤️」
二人の身体が密着し、激しく痙攣した。ドクン、という巨大な脈動と共に、シュタルクの剛直から熱い奔流が解き放たれる。それは、彼が溜めに溜めた想いと、禁断の情熱が凝縮された、生命の種そのものだった。フリーレンの最奥、子宮口へと直接叩きつけられる白濁の濁流。彼女は目の奥が弾けるような錯覚を感じながら、シュタルクの射精を受け止め、一滴たりとも漏らすまいと腰を浮かせてしがみついた。
「ッ────z____❤️❤️❤️ あ゛ァァァッ……❤️❤️ ン゛、あ゛ぁあ゛あ゛あ゛~~ッッ❤️❤️ あついぃっ❤️ しゅたるくのぉ❤️ おなかいっぱい、でてるぅっ……❤️❤️❤️」
長い、長い絶頂の時間が過ぎ、二人は糸が切れたように脱力した。荒い呼吸だけが、静寂を取り戻した部屋に響く。結合部からは、収まりきらなかった白濁がとろりと溢れ出し、シーツに新たな染みを作っていく。フリーレンは、乱れた呼吸を整えながら、愛おしそうにシュタルクの汗ばんだ髪を撫でた。そして、ゆっくりと視線を横に向ける。そこには、何も知らずに健やかな寝息を立て続けるフェルンの姿があった。魔法は完璧に効いている。彼女はこの激しい情事の音も、充満する雄と雌の匂いも、何一つ気付いていない。
「ふふ。フェルン、起きなかったね」
「はぁはぁ、そりゃぁ、フリーレンが魔法をかけたからな。心配はしてないぜ……」
「ふうん……❤️ 信頼してくれるのは嬉しいけど。フェルンの精神防御も日々強くなっているからね。いつか途中で目が覚めることもあるかもだよ? まあ、そうならないよう、こうやって日々使わないとね」
「流石に、毎晩とかは色々と無理だぜ。週四くらいならいけるか……?」
フリーレンは、事後の余韻に浸りながら、満足げに微笑んだ。ウサギの耳が、くたりと力なく垂れ下がっている。シュタルクは日々使うという言葉に、自身の精力から週四ならいけるかと思いを馳せながらフリーレンを抱き寄せる。罪悪感と充足感の狭間で、ただフリーレンの温もりを感じていた。
だが、この秘密の夜は、まだ終わらなかった。フリーレンの瞳が、再び熱を帯びてシュタルクを見つめ返す。ウサギの耳を付けた淫らなエルフの誘惑に、シュタルクの剛直は、吐き出したばかりだというのに、再びゆっくりと首をもたげ始める。
「まだ、出来るよね?」
「フリーレンのこと、猫っぽいって思っていた。けど、ウサギの方が近かったかもな……!」
宿屋の古びたベッドが、再び悲鳴のような軋み声を上げ始めた。ますますフェルンの顔が強張っていたが、シュタルクもフリーレンもそちらを気にする余裕は既に皆無だった。ただ、肉と肉が激しく打ち付け合う湿った音と、獣じみた荒い呼吸だけがこの場を支配していた。
「っ、はぁ……っ! フリーレン、その耳……っ! マジで、唆るぜ……ッ!」
シュタルクは、四つん這いになったフリーレンの背後から覆いかぶさるようにして、自身の剛直を彼女の秘肉へと叩き込んでいた。後背位。動物的な交尾の体位。フリーレンの頭上で揺れる白いウサギの耳が、シュタルクの中に眠る捕食者としての本能を強烈に刺激する。目の前にいるのは、千年を生きる偉大な魔法使いではない。今、この瞬間においては、一匹の雄に捕らえられ、その種を注ぎ込まれるのを待つだけの、無力で愛らしい雌ウサギだった。
「ヒぃぁ❤️ ア゛ァン゛ン゛ッッ❤️❤️ しゅたるくぅ、お゛ぐぅぅっ❤️❤️ うしろからだと、ふかぁぁ……ッッッ❤️❤️」
フリーレンがシーツを握りしめ、快感に溺れた声を上げる。彼女の華奢な腰を、シュタルクの大きな掌がガッチリと掴み、逃げ場を封じていた。反り返る刃のような曲線を描く背中のライン、そして突き出された白く柔らかな臀部が、シュタルクの視界を埋め尽くす。乾いた衝突音がリズムを刻むたびに、ウサギの耳が頼りなく揺れ、その可愛らしさが逆にシュタルクの加虐心を煽った。
「っ、フリーレンのここ……! ちっせぇのに、感度は最高だ……ッ!」
シュタルクの腕が、フリーレンの脇の下から前に回り込む。彼の手は、フリーレンが気にしている小ぶりな胸を鷲掴みにした。フェルンの豊満さとは対極にある、掌にすっぽりと収まってしまうほどの慎ましい膨らみ。だが、今のシュタルクにとって、それは何物にも代えがたい極上の果実だった。彼はその柔らかな肉を捏ね回し、指先で桜色の乳首を摘み上げ、グリグリと捻るように刺激した。
「ひぁッ❤️❤️❤️ っ、ちくび、だめぇッッ❤️❤️ そこ、つねるのダメ……ッッ❤️❤️」
フリーレンがビクンと身体を跳ねさせ、涙声で懇願する。敏感な先端を弄られながら、同時に胎内の最奥を容赦なく突き上げられる二重の責め苦。彼女の意識は白く飛びかけ、口からは涎が細く糸を引いていた。それでもシュタルクは止まらない。ウサギを狩る狼のように、彼はフリーレンの首筋に熱い唇を押し当て、その白磁のような肌に強く吸い付いた。
「ゥ〜〜ッッ❤️❤️ あと、ついちゃうっ❤️ しゅたるくぅ、ふぇるんにばれちゃうよぉ……っ❤️」
「わりぃ……! けど我慢出来ねぇ!! フリーレンが俺のモンだって印、付けさせてくれっ……!!」
ジュルッ、チュプという音が響き、フリーレンの細い首筋に、紅いキスマークが次々と刻まれていく。それは、弟子のフェルンには決して見せられない、背徳の所有印だった。ここ最近シュタルクはこの手の行為をよくするようになっていた。フリーレンに自分の証を刻みたいと、勇者に負けないくらいの思い出としてフリーレンに残したい。そんな思いが口付けに込められていた。
首筋を愛でたシュタルクは、さらに快感を求めてフリーレンの顔を横に向けさせた。抵抗する力など残っていないフリーレンは、されるがままに顔を巡らせ、シュタルクと唇を重ねる。彼としかしたことのないキスはもはや何百回目か、フリーレンはとうに数えるのをやめていた。
「ん、ちゅ❤️ ちゅぅ❤️ ぁっ、れるぅ❤️ シュタルクぅ……❤️」
背後から激しく腰を打ち付けられながら、顔だけを振り返って交わす深い口づけ。互いの舌が絡み合い、唾液を交換するたびに、脳髄が痺れるような幸福感が脊髄を駆け抜ける。フリーレンの瞳はとろんと蕩け、目の前の雄──シュタルクへの絶対的な受容と愛着を映し出していた。
「っ、出る……っ! フリーレン、また出すぞッ! 奥にッ!!」
「ンンっ❤️❤️ いいよぉ❤️❤️ ウサギさんに、いっぱい……注いでぇぇぇッッ❤️❤️」
ドプッ、ドプッ、ドプゥッ……!! シュタルクの腰が限界まで押し込まれ、張り詰めた肉棒の先端から、熱い生命の奔流が爆発的に解き放たれた。フリーレンの子宮口を直撃し、胎内を白く染め上げる大量の種。彼女は視界が点滅するような刺激を享受しながら、その熱量を全身で受け止め、痙攣する膣壁で最後の一滴まで搾り取ろうとしがみついた。うさ耳によって目覚めたシュタルクの野生の本能。この一夜の狂騒は、数発の射精程度では終われる筈もなかった。
「はぁ、はぁ……。わりぃフリーレン。もう一回、いいか?」
「ふぅ、ふぅ……本当にケダモノになったみたいだねっ❤️ いいよ、シュタルクが満腹になるまで……いっぱい召し上がれ❤️」
彼は内側に出し切った直後だというのに、フリーレンの吸い付きとウサギ耳の視覚刺激によって、再び硬度を取り戻し始めていた。その夜、シュタルクは文字通り獣と化し、眠るフェルンの横で、フリーレンの身体に何十発もの精を注ぎ込み続けた。東の空が白む頃、フリーレンのお腹がたっぷりと注がれた白濁でぽっこりと膨らむまで、シュタルクのウサギ狩りが終わることはなかった。
「はぁ、はぁ❤️ んっ……ちゅぅ❤️ ちゅるるっ❤️」
「うっ、ぁあぁぁ……フリーレン」
朝日が昇り、事後の余韻が漂う中で。フリーレンはシュタルクの肉棒に吸い付き恒例となっていたお掃除フェラでシュタルクのモノを咥えていた。労わるように吸いながら、よくやったと頭を撫でるようにシュタルクの燃え滾る子種を作る陰嚢を撫でていた。シュタルクもまたフリーレンの頭を撫でる、互いの親しみや愛しさを感じさせる光景は見るものが見れば恋人同士のそれであった。
北部高原、キーノ峠。帝国への入り口となる場所である。そこにある関所の窓口で、係官は事務的な、それでいて有無を言わせぬ口調で告げた。通行の審査には、およそ三週間を要すると語った。その宣告は、先を急ぐ旅人にとっては拷問にも等しい響きを持っていた。周辺には簡素なキャンプが広がるだけで、暇を潰せそうなものは皆無であった。フリーレン達も、まさかこれほどの足止めを食らうとは予想外で、フェルンは眉を顰めてげんなりとしていた。几帳面な彼女にとって、予定外の停滞は何よりもストレスの溜まる出来事だ。
「三週間……また足止めですか」
「しかもここら辺、何もないときた。どうするんだ、フリーレン」
「それなんだけど、ちょっと行きたい場所があるんだよね」
そう言ってフリーレンは近くの森へ足を踏み入れる。うっそうとした木々の路を歩きながら、フリーレンはこの場所にあるものについて話し始める。この森には女神様が魔法を込めた、十個ある石碑の一つがあると。魔王討伐の旅路の最中に見つけられたのだが、調査は上手くいかなくやむなく去ることになったと話す。入国審査が終わるまでの間だけでいいから、リベンジがしたいとフリーレンは意気込んでいた。シュタルとフェルンはやることもないからと、フリーレンのリベンジに付き合うことになった。そして一日経った辺りでシュタルクは気が付く。石碑までの道が果てしないことを。
「長くない? また掛かるの?」
「もうちょっと先、いやあっちだったかな?」
「フリーレン様……? まさか、目的地までの道を忘れているのですか?」
「実は以前ここに来た時の記憶が薄いんだよね。抜け落ちているというか、一週間……いや一ヶ月かな? それくらいの間の記憶がないんだ。でも大丈夫、確かこっちだった筈」
シュタルクとフェルンはおばあちゃんという言葉を飲み込み、ずんずんと進むフリーレンについて行く。山を越え、川を越え、三日三晩歩き続けた森の奥底。その周辺は手入れされたように開けており、隠されたように存在する女神の石碑を発見した。荘厳な見た目を想像していたシュタルク達だが、その女神の石碑は上半部が崩れており、今にも朽ち果てそうな有様だった。
「ようやく、辿り着きましたね……」
「ああ。これが女神の石碑か。崩れちまっているな」
「でも魔力はまだ残っている。ん? 下の方に字が彫ってある」
フリーレンは女神の石碑の周辺をつぶさに見る。前と違い一部が崩れており、周辺に咲いていた花も枯れてしまったのか野ざらしだったが、魔力はまだ残っており調べる価値はあると確信していた。ふとフリーレンは石碑の片隅に刻まれた文字を見つけ、フェルンはそれが聖典に出てくる名前だと記憶していた。
「フィアラ、トールか。まあ、とりあえず解析を始めようかな──んん?」
解析しようとフリーレンが手を触れた刹那、光がフリーレンの視界を奪う。その光が小さくなると、そこには新品同然の石碑がそこにはあった。野ざらしだった周囲も花が咲き誇っており、フリーレンは目の前の出来事に不思議そうな声を出してしまう。直後、フリーレンの後ろから男の声が響き渡る。
「どうだ、フリーレン。何か分かったか?」
「──」
それはもう聞きなれた赤々しい声ではなく、青々しさを感じる懐かしい声だった。振り返ると、そこにシュタルクとフェルンはおらず。いたのはかつて共に魔王を討ち倒した仲間達だった。僧侶ハイター、戦士アイゼン、そして──勇者ヒンメルがそこには立っていたのだ。
幻影鬼が見せる偽物でも、街に立てられた銅像でもない、本物の勇者ヒンメルがそこには立っていた。勇者ヒンメルの死の五十三年前。勇者一行の旅立ちから七年後。フリーレンは過去に戻っていた。
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──
過去に戻ったフリーレンは女神の石碑に触れたことで過去に戻る魔法が発動したのだと推測する。ヒンメル達に相談すれば歴史が変わり、自身が戻る未来並びにシュタルクやフェルンが消えることを危惧し沈黙することにした。だが石碑から街道に戻ると、勇者一行は女神の石碑を監視していた魔族に襲われる。
七崩賢・奇跡のグラザオームの配下、残影のツァルトが操る転移魔法は、この時代の魔法だけでは対応が難しく苦戦を強いられる。巨大な岩山を空中に転移させられる逃げ場なき絶体絶命の中、ヒンメルはフリーレンなら対処出来ると確信していた。ヒンメルは事情があるかもだろうが信じてくれと説得し、フリーレンは他言無用で墓まで持って行くこと誓わせると、後の時代に開発された飛行魔法と
それからフリーレンは未来から来たことを話す。それを聞いたヒンメル達は、未来にフリーレンを送り返すため寄り道をすることにした。魔法使いギルド、教会、修道院、集落で情報を集めることになった。多くの集落を巡り、時には人助け、時にはこの時代で取り逃した
(ヒンメルとシュタルク。どっちの方が良いのかな……)
過去に戻るまでシュタルクとしか関係を持っていなかったフリーレン。道中でシュタルクよりも体格の良い男や、顔の良い男と巡り合うこともあったし、酒場で話しかけられることもあった。だがフリーレンは今の今まで、シュタルク以外の男に全く興味がわかず適当にあしらっていた。そんな現在のフリーレンをして、ヒンメルはシュタルクと比較に出すほど気に掛かる存在だった。ヒンメルの性交は激しいのか、穏やかなのか。小さいのか、大きいのか、そんなことが頭に浮かんで消えなかった。そこでフリーレンはヒンメルと同郷のハイターにヒンメルの性事情を伺うことにした。
「ねえハイター。ヒンメルって女の子と付き合ったことってある?」
「ヒック! ヒンメルが女の子と……っ!? フリーレン。今、なんと言いましたか?」
「だからヒンメルが女の子と付き合ったことがあるのか聞いたんだけど。やっぱり酔っている時はダメかなぁ」
「いえ、酔いなんて冷めましたよ。まさかフリーレンからそんなことを聞かれるなんて思ってもいなかったですよ」
酒場で飲んだくれる生臭坊主の横で、ちびちびと酒を飲みながらヒンメルのことを聞いたフリーレン。ハイターは酔いが冷めたといいながらフリーレンを見る。変わってないと思っていたが、確かに八十年分の人生を送ったのだとハイターは遠くにいったなと目を細めていた。そしてハイターはポツポツと話し始める。
「ヒンメルと同郷という話しはしましたね。私とヒンメルは同じ孤児院で暮らしていましたが、知っている限り誰かと付き合った話しは聞いたことがありませんよ。彼があ……いえ。私から言うことではないですね」
「そっか。じゃあヒンメルは性行為とかもしたことない?」
「せ!!? ふ、フリーレン。あなた、未来で何があったのですか!?」
無垢な存在と思っていたフリーレンが、性に纏わる話しを口にしたことはとても信じ難いことのようだった。ハイターの動揺はかつてないほどのようで、大好きな酒も喉を通らないほど呆然としていた。迎えに来たアイゼンとヒンメルは、ハイターが酔っていないことに大層目を丸くしていたのであった。そんな三人を尻目にフリーレンは何事もなく帰りたいのなら、このままかつての旅路の関係を保てばいいだろうと考える。が、一度浮かんだ疑問はこびりついて消えようとしなかった。
そんな時、フリーレンはとある集落で珍しい魔法薬を見つける。これなら後に残す影響も少なく出来ると、フリーレンは大金を支払い購入したのであった。
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──
「珍しいな。フリーレンが僕とサシで飲みたいだなんて」
「偶にはね。それとも私だけじゃ嫌だった?」
「まさか。フリーレンには前から聞きたいことが沢山あるんだ。フリーレンの師匠、大魔法使いフランメの話しなんかね」
「ヒンメルが
宿屋の一室。ハイターとアイゼンが出払ったタイミングで、フリーレンは自分の部屋にヒンメルを誘った。そして取り出したる酒瓶はどこでも見られる一般的なものだった。酒を注がれた木樽ジョッキをヒンメルは受け取ると、全く疑う様子を見せず飲んでいく。その様子からフリーレンはほんの少しだけ負い目を感じてしまうが、それを払拭するためにも彼が聞きたがっている話をすることにした。
これまでの人生を思い返すようにフリーレンはフランメとの思い出を語る。ヒンメルは時々頷きながらも、口を挟むことなく話に聞き入る。穏やかな研鑽の日々、生唾を飲み込むような冒険の日々がフリーレンの話にはあった。自然と喉は渇いていき、ヒンメルは話に耳を立てながらも酒を煽る。すると次第にヒンメルの瞳に影が掛かる。うつらうつらと首は縦に振れ、ヒンメルは目を開けたまま眠っているような有様だった。酔いつぶれないよう落ち着いた飲み方だったというのに、ヒンメルは酔いが完全に回ったかのように見えた。フリーレンはヒンメルの様子を見て、懐から空になった魔法薬の瓶を取り出す。その瓶の中身は、服用者に強い催眠効果を施す逸品だった。ヒンメルはそれが溶け込んだ酒を飲んだことで、今催眠状態になっていたのだ。
「効果覿面だね。ヒンメル、私の声が聞こえてる? 聞こえてたら、両手を上げてみて」
「……ん」
「良し、ちゃんと効いているね。催眠状態の継続は約一日。その間に起きたことをヒンメルは記憶出来ない。これからすることを、ヒンメルは覚えていられない」
フリーレンは誰に聞かせるわけでもなく、催眠薬の効能を口にする。そして虚ろな目をするヒンメルの目の前で、恥じらう素振りも見せずに服を脱ぎ始める。はたりと服が床に落ちていき、ひんやりとした室温が素肌を冷やす。フリーレンのスカートをガキに捲られては怒り狂い、投げキッスで倒れる男には刺激的過ぎる光景が目の前に広がっていた。だがヒンメルの反応は皆無で、ボーッとフリーレンを見上げていた。その視線にフリーレンはいつになく心がザワつく感覚を覚える。
「それじゃあ、始めようか。まずは、舌使いから確かめさようかな」
フリーレンはヒンメルに近付くと、彼の座る椅子の肘掛けに手を突き、その顔の前に自身の最も秘められた場所を押し付けるようにして立った。まだシュタルクに開発されていない、ピッタリと閉じた千年もののクレバスを。
「ヒンメル、舐めて」
短く命令を下す。するとヒンメルは、躊躇いなく顔を寄せる。温かく湿った感触が、フリーレンの秘所に触れた。ヒンメルの舌が、秘肉の割れ目を割り開き、クリトリスを優しく、けれど的確に捉える。シュタルクの、貪り食うような野性的な舐め方とは違う。ヒンメルのそれは、まるで傷ついた小動物を癒やすかのように繊細で、柔らかく、それでいて広範囲を包み込むような優しさがあった。
(あ、これっ❤️ シュタルクとは、違う……っ❤️)
フリーレンは快感が震えとなって、全身に伝っていくのを感じた。ザラついた舌先が敏感なひだをなぞり上げるたびに、背筋を電流のような痺れが駆け抜けた。ただ命令に従っているだけなのに、なぜこれほどまでに丁寧なのか。それは彼の深層心理に残る、フリーレンへの慕情の念がそうさせているのか。それとも、勇者としての器用さが、舌の動きにまで反映されているのか。フリーレンには断定することは出来なかった。
「ふぅ、ぁっ❤️ そう、そこっ❤️ 上手だね、ヒンメル……❤️」
フリーレンはヒンメルの髪に指を絡ませ、その頭を自身の股間へと強く押し付けた。無垢な勇者の舌が、想いを寄せるエルフの蜜を啜り、汚されていく。その事実はシュタルクとの激しい交合とはまた別の、脳髄が溶けるような甘美な背徳感をフリーレンに与えていた。暫しヒンメルの舌使いを堪能した所で、次の段階に進もうとフリーレンは名残惜しくもヒンメルの顔から手を離す。
「ん、ぁぁぁ……❤️ もう、いいよ。止まって、ヒンメル」
フリーレンが短く声をかけると、ヒンメルの舌はピタリと動きを止めた。すると再び虚空を見つめる人形へと戻ってしまう。その唇はフリーレンの蜜液で濡れ、艶めかしく光っていた。
フリーレンは自身の秘所を確認する。シュタルクの燃えるような熱烈愛撫とは異なり、ヒンメルのそれはまるで高貴な宝玉を磨くかのように丁寧で、繊細だった。おかげで彼女の蜜壺は、じっくりと熟成されたように濡れそぼっている。
「すごいね。何も教えてない筈なのに、私のツボを心得ているなんて」
フリーレンは息を整えながら、感心したように呟いた。本能なのか、それとも勇者としての直感がそうさせるのか。どちらにせよ、前戯としては満点以上の出来栄えだった。シュタルクの、強引にこじ開けてくるような獣じみた舌使いも癖になるが、ヒンメルの奉仕には、脳の奥が痺れるような優越感と快感があった。
「次はヒンメルの番だよ。ズボン、下ろすから腰を上げて」
フリーレンは椅子に座るヒンメルの前に立つと、冷徹な試験官のような、それでいて熱を帯びた声色で命じた。ヒンメルは無言で腰を上げると脱がせやすいように姿勢を動かす。フリーレンは躊躇なくベルトに手をかけた。カチャリ、という金具の音が響き、衣服が滑り落ちる。そして、勇者ヒンメルの「聖剣」が、その全貌を現した。
「へぇ。これがヒンメルのか……人によって形も様々だね」
フリーレンは、まじまじとそれを観察した。その際には記憶の中にある、シュタルクの剛直との比較が瞬時に脳内で行われていた。シュタルクのモノは、太く、武骨で、血管が浮き出た岩のような凶器だった。圧倒的な質量で膣壁を押し広げ、暴力的なまでの充填感を与える「棍棒」を思わせる逸品だった。
対して目の前にあるヒンメルのモノは、まずその長さをフリーレンに感じさせた。太さに関しては、シュタルクに軍配が上がる。ヒンメルのそれは、シュタルクほど凶悪な太さは持っていない。だが、その長さと形状の美しさは、ヒンメルの方が優れていた。すらりと伸びたその形は、洗練された細剣を思わせる。先端まで反り返り、気品さえ感じさせるその一物は、長さにおいてはシュタルクをも凌駕していた。
「試してみようか。勇者が持つ剣の切れ味を」
フリーレンはヒンメルの肩を押して再び椅子に座らせると、自身のスカートをたくし上げ、その上に跨った。ヒンメルの肉の剣を手に取り、自身の濡れた入り口へとあてがう。先端が触れただけで、身体がビクリと反応する。この時代ではまだ未通の秘所が、ヒンメルとの邂逅を前に震えていたのだ。
「入れるよ、ヒンメル──っぁぁっ❤️❤️」
フリーレンはゆっくりと腰を沈めていった。粘着質な音と共に、勇者の剣がエルフの深淵へと侵入を開始する。千年近く誰も手にすることが出来なかったエルフの秘密の園への道を、今まさに勇者が開拓したのであった。半分ほど飲み込んだ時点で、フリーレンは眉を顰め、甘い喘ぎを漏らす。まだ根元まで余裕があるというのに、先端がもう奥のひだを掻き分けて進んでくる。シュタルクの質量で埋め尽くされる感覚とは違う、鋭く、深く、どこまでも貫かれていくような感覚。
「んぅ……❤️ っ、くぅ……! はぁぁっ……全部、入ったっ……❤️」
完全に腰を落としきる前から、ヒンメルの先端が、コツンと最奥たる子宮口をノックした。その距離感に、フリーレンは背筋がゾクゾクと震えるのを感じた。これが、勇者ヒンメル。太さで圧倒するシュタルクとは違う、深さで支配する悦び。この肉体では初めての性交だというのに、痛みはなく心地よさがフリーレンの体を満たしていく。
「っ、ふぅ〜〜……ヒンメルのも、悪くないねっ❤️」
フリーレンはボーっとしているヒンメルに抱きつくと、耳元で熱っぽく囁いた。これから始まるのは、歴史に残ることもない、誰にも知られることのない、英雄と魔法使いの夢の交わり。フリーレンは自身の腰を、ゆっくりと、確かめるように揺らし始めた。
「あっ❤️ はぁっ❤️ ふっ、ふっ❤️ いい、いいよっ❤️ ヒンメル、ヒンメル……っっっ❤️❤️」
部屋の空気は冷え切っているのに、二人の肌が触れ合う場所だけが、火傷しそうなほどの熱を帯びていた。フリーレンは、ヒンメルの膝の上に跨り、自身の腰をゆっくりと上下させていた。結合部からは卑猥な水音が絶え間なく響き、勇者の性剣がフリーレンの秘肉を深々と抉るたびに、彼女の口から甘い吐息が漏れる。
「っぉぉ❤️ すごいよっ、ヒンメル❤️ 奥、ぐりぐりするの、シュタルクより上手かも……ぁっっ❤️❤️」
フリーレンは陶酔した瞳で、目の前の男を見下ろす。これより先の時間で魔王を倒し、世界を救う英雄。そんな輝かしい未来が待つ彼を薬によって意識を奪い、好奇心のため利用している。その事実がもたらす征服感は、シュタルクとの獣じみた交合とはまた違う、他者を屈服させる薄暗い悦びを彼女に与えていた。
時を超えてきた自分の精神は、既にシュタルクによって開発され尽くしている。けれど、この座標、この時間軸におけるフリーレンという存在にとって、これが初めての交わりとなる。それを奪っているのが、他ならぬ勇者ヒンメルであるという事実に、フリーレンは時間逆行の皮肉と、歪んだ達成感を感じていた。
「ふぅ、あっ❤️ んんっ❤️ んっ? ヒンメルっ❤️ 自分から動いてるの……?」
フリーレンが動きを止めようとした時、ヒンメルの腰が、意思を持ったかのようにゆらりと持ち上がった。薬で思考は停止している筈だ。命令もしていない。だというのに、彼の身体は本能だけで、女性の体温と締め付けに反応し、より深い場所へ種を届けようと突き上げを開始したのだ。
「ふふ。意識がなくても、身体は正直なんだ。ヒンメルも、男の子なんだね……❤️」
シュタルクと初めてした時の感覚を思い出し、フリーレンはヒンメルに微笑みかけてしまう。ズンッ、と子宮口をノックされる衝撃。シュタルクの暴力的なまでの太さによる拡張感とは違う、鋭く、的確に急所を貫く快感。フリーレンはヒンメルの首に腕を回し、その動きに合わせて腰を打ち付けた。
「んくッ、ぁふぅ……❤️ いい、よっ❤️ もっと……ヒンメルの剣でぇっ❤️ 私を、めちゃくちゃにしてっっ❤️❤️」
シュタルクとは違う、上品で深い突き上げ。長年連れ添った仲間であり、深く信頼し合ったヒンメルと一つになっているという充足感。フリーレンは、白い肌を上気させ、ヒンメルの動きに身を委ねていた。だが、その絶頂へ向かう高揚の中で、ふと、胸の奥に小さな棘が刺さったような違和感が過ぎった。ヒンメルとの性交に欠点は見当たらなかった。だというのにシュタルクと何が違うのか。その思考が深まる前に、下腹部から突き上げる熱い衝動がそれを遮断した。
「ぁッッッ❤️❤️ ヒン、メルぅ❤️ いきなり、激しぃ、よぉっ❤️ もう、我慢出来ないの……?」
「ふっ、ふっ! ふっ──!!」
ヒンメルの呼吸が荒くなる。熱っぽい息遣いがフリーレンの耳に掛かり、彼の剛直が脈打つように膨張し始めた。違和感を振り払うように、フリーレンは目を細め、腰の動きを激しくした。今はただ、この身を彼との快楽に委ねたい。
フリーレンはヒンメルの肩を強く掴み、子宮口を彼の亀頭に押し付けるように強く腰を沈めた。その刺激が引き金となり、ヒンメルは腰を最奥にねじ込むように突き上げた。声なき絶叫と共に、勇者の腰が跳ね上がる。フリーレンの胎内で、勇者の熱が炸裂した。
「────ッ!!」
「ぅ、ぁ、あぁぁ〜〜〜〜ッッ❤️❤️」
ヒンメルの絶頂は、まるで彼の人となりを表すかのように、静かで、それでいて長く続く余韻のようなものだった。シュタルクのそれが、溜め込んだ熱量を一気に爆発させ、断続的に大量の白濁を叩きつける大振りの一撃だとすれば、ヒンメルの射精は、細く、長く、途切れることなく注ぎ込まれ続ける連撃に近い。
子宮口をノックし続けるような小刻みな脈動と共に、温かい熱がじんわりと、しかし確実に胎内の奥底へと満ちていく。フリーレンは体の芯から温めるような微熱の広がりを感じながら、どこか冷静に分析していた。
「んぁ……こういう、出し方なんだ。シュタルクとは違う感じ。魔法もそうだけど、こういうのにも個性って出るんだねぇ」
シュタルクの、子宮の容量などお構いなしに暴発する、あの質量を持った濁流のような射精。あれを受け止めた時の、お腹が内側から焼かれるような重い充足感に慣れてしまった身としては、ヒンメルの上品な注ぎ方は少しだけ物足りなさを感じてしまっていた。
量や勢いという点では、やはり若さと野性に溢れるシュタルクの方に軍配が上がるだろうか。そんな目の前の彼に失礼な採点を下しながらも、フリーレンはヒンメルが全てを出し切るまで、優しくその背中を抱きしめ続けていた。
「ん。全部、出たかな?」
脈動が収まり、ヒンメルの呼吸が整い始めたのを確認して、フリーレンはゆっくりと腰を持ち上げた。淫猥な粘着音と共に、エルフの秘肉が勇者の剣を解放する。その瞬間、栓を抜かれた瓶のように、フリーレンの秘裂から白濁した液体がとろりと溢れ出し、太腿を伝ってシーツへと滴り落ちた。
「ヒンメルのは、サラサラとしているね。味や食感は……うん、飲みやすい。シュタルクのとは違う、こっちの方が飲みやすいかなぁ」
フリーレンは自身の股間から糸を引くヒンメルの体液を指先で掬い取り、口に含み妖艶に目を細めた。普段のヒンメルが見れば卒倒しそうな光景だが、催眠状態の彼はフリーレンを見上げてじっとしていた。あるいは次が始まるのを待つかのように、フリーレンを見ていた。
「さて。まだ元気そうだね、ヒンメル」
解放されたばかりのヒンメルの剛直は、射精直後だというのに萎えることなく、まだ熱を帯びて反り返っていた。薬の効果による持続力なのか、それとも勇者としての身体能力なのか。どちらにせよ、フリーレンとしては願ってもないことだった。
フリーレンはベッドにごろんと仰向けに寝転がると、無防備に両脚をM字に開いてみせた。射精直後の秘裂をヒンメル見せつける。並の男なら無我夢中で飛び掛かるような絶景。されどヒンメルは指示があるまで動けない、生殺しの状態であった。それ彼を見かねてフリーレンは次の指示を出す。
「次は、普通にやろうか。……こっちに来て、ヒンメル」
対面座位での支配的な結合も悪くないが、このオーソドックスな体位である正常位で、ヒンメルの顔を見ながら貫かれたいと考えたフリーレン。フリーレンが手招きをすると、ヒンメルは糸操り人形のような滑らかな動作で、彼女の身体の上に覆いかぶさるように移動した。
その時だった。フリーレンは、至近距離にあるヒンメルの顔を見て、息を呑んだ。彼の瞳には、相変わらず理性の光はない。薬によって意識は深い霧の中に閉ざされ、自我は完全に眠っている筈だ。だというのに、その焦点の合わない蒼い瞳は、まるで引力に引かれるかのように、吸い付くようにフリーレンの顔だけを凝視していたのだ。虚無の中に宿る、執着にも似た熱量。それは、意識を失ってなお消えることのない、フリーレンへの本能的な渇望の表れなのだろうか。
「ん? ー さっきまでの声、聞こえていたのかな? シュタルクと比べられて、ムキになってる?」
フリーレンは、少しだけ背筋が寒くなるような、それでいて心の奥底が甘く痺れるような感覚を覚えながら、ヒンメルの頬に手を添えた。何も答えないヒンメルは、ただ静かに、フリーレンの濡れた入り口へと自身の切っ先をあてがった。抵抗出来ないほどに見つめられながら、二度目の交わりが始まろうとしていた。
一度目とは違うヒンメル主体の性交。二度目にも関わらずヒンメルの肉棒の硬さは健在で、フリーレンを断続的に喘がせる。が、目の前の彼は息を吐き続けるだけで、それは物足りなさをフリーレンに感じさせた。そこでフリーレンは行為を続けたまま新しい指示をする。
「ふっ、はぁっ❤️ ねえ、ヒンメルっ❤️ただ動くだけじゃ、つまんないよ。あっ❤️ 私のことっ❤️ どんな風に想ってるのか、正直に言いながら突いてっ❤️」
フリーレンは、自身の上に覆いかぶさるヒンメルの首に腕を絡ませ、甘ったるい声で囁いた。シュタルクとの情事では、彼が必死に漏らす気持ちいいや、愛しているといった原始的な言葉が、フリーレンの加虐心と征服欲を満たしてくれていた。
だが、目の前にいるのは勇者ヒンメルだ。彼には、もっと別の言葉を期待してしまう。かつて旅の中で、彼は数え切れないほどのキザな台詞を吐いてきた。その口で、その声で、行為の最中に好意を囁かれたら、どうなってしまうのだろう。フリーレンはヒンメルの言葉に耳を立てる。理性の蓋が外れたヒンメルは、フリーレンの言葉に従い、ゆっくりと腰を前後させ始めた。
「ん、ふぅ、フリーレン……君は、本当に……綺麗だ……」
「君の、この銀色の髪。月明かりの下で見ると、透き通るようで……いつまでも見ていたくなる」
「ァッ……❤️ それだけ? もっと、聞かせてよ……❤️」
「……それだけじゃない。魔法を使う時の冷たくて凛とした横顔も、お宝を見つけた時の無邪気な笑顔も、君の存在は、永遠に僕へ刻まれている……!」
ヒンメルは、フリーレンの乱れた前髪を優しく払いのけ、その瞳を覗き込みながら腰を打ち付けながら、吐息混じりの言葉がフリーレンの耳朶を打つ。ズプリ、ズプリと、一定のリズムで深部を穿たれながら、熱い愛の言葉を注ぎ込まれる。シュタルクの語彙にはない、詩的で、どこか切なさを帯びた賛辞。けれど、そこにはシュタルクの情熱に負けないほどの、いや、長く秘めてきた分だけより重く、粘着質な熱量が込められていた。
(あ。これ……すごく、良いね❤️)
フリーレンの脳髄が、甘く痺れていく。身体的な快楽だけではない。ヒンメルが語る言葉の一つ一つが、呪文のようにフリーレンの心臓を縛り付け、高揚させていくのだ。彼はずっと、こんな風に私を見ていたのか。こんなにも熱い視線で、私の全てを肯定し、愛してくれていたのか。その熱はフリーレンの芯にまで染み込んでいく。
「いつもは無愛想だけど……たまに見せる、むくれた顔も……本当に、可愛くて……抱きしめたかった!」
「っ、あぁ……❤️❤️ ヒンメル、そこぉぉ❤️❤️ いぃっ❤️ ひぃぁっ❤️❤️ あぁっ❤️ 言葉と動き、合わせないで……ッ!」
ヒンメルの言葉が熱を帯びるにつれて、その腰の動きも力強さを増していく。可愛いと囁かれるたびに最奥を突かれ、抱きしめたいと言われるたびに胎内を掻き回される。言葉による精神的な愛撫と、肉体的な快楽が完全にリンクし、フリーレンの理性をとろとろに溶かしていく。
「あ、んくぅ❤️ こんなに、大事にされているのに……❤️ 身体が、すごい熱いよぉ……っっ❤️」
フリーレンの口から、抑えきれない嬌声がほとばしる。シュタルクの雄々しい獣欲とは違う。ヒンメルのそれは、聖なる祈りのような、それでいて底知れぬ執着を孕んだ愛欲だった。その想いの強さが、剛直の硬さと熱さに変換され、フリーレンの子宮を焼き焦がすように突き上げてくる。
やがて、ヒンメルの呼吸が変わり、瞳の奥の虚無が、一瞬だけギラリとした光を帯びたように見えた。
「フリーレン、大好きだ!! 君の全てが、欲しい……ッ!!」
「ッッッッ〜〜〜〜❤️❤️❤️」
もはや指示など必要なかった。ヒンメルは本能のままに、フリーレンの身体を強く抱きしめ、激しく腰を振るった。愛しい人の深淵に辿り着きたいという渇望。二十年分の想いが、爆発寸前の臨界点へと達する。
「ァッ❤️ ダメ、イきそうぅ❤️❤️ ンンッッ❤️ ヒン、メル……ぅぅ❤️❤️ はげしい……ッ❤️ これちゃうよっ❤️❤️」
「あぃ……大好きだ、フリーレンッ! フリーレンッ!!」
言いかけた言葉を言い直し、最後の一突きがフリーレンの最奥を強く叩いた。同時に、ヒンメルの身体が硬直し、熱い奔流が勢いよく解き放たれる。フリーレンはベッドシーツを握り締め、ヒンメルの射精を受け入れた。その精は、シュタルクのものと同じくらい熱く、けれどどこか優しく、フリーレンの胎内を満たしていった。それは、言葉に出来なかった勇者の想いが、形となって彼女の中に刻まれた瞬間だった。
黄昏時の橙色が完全に消え失せ、部屋の中は夜の帳と、濃厚な精気の匂いに支配されていた。窓の外からは虫の音が聞こえるが、室内には荒く、重たい二人の呼吸音だけが満ちている。
「はぁ、はぁ……。……んぅ……」
フリーレンは、ぐしゃぐしゃになったシーツの海に沈み込むようにして、天井を見上げていた。全身が汗と体液で濡れそぼり、四肢は心地よい疲労感で鉛のように重い。隣には、勇者ヒンメルが泥のように眠っている。薬の効果時間が切れたわけではない。文字通り、出し尽くしたのだ。何度目の射精だっただろうか。最後の一滴まで搾り取られたヒンメルは、もはやピクリとも動かず、その肉棒は役目を終えて小さく縮こまっていた。
「ヒンメル。とても、気持ちよかったよ……❤️」
フリーレンは、気だるげに首を巡らせ、ヒンメルの寝顔を見つめながら呟く。身体の奥には、確かな充足感がある。勇者の滾る想いを一身に受け、その熱量で満たされる感覚は、千年の生涯の中でも特筆すべき快楽だった。ヒンメルのテクニックは丁寧で、独りよがりにならず、常にフリーレンの反応を最優先にしてくれた。
催眠状態でありながら、甘美な言葉を囁き続け、求めれば求められるだけ応えてくれた献身性。それは間違いなく、極上の性行為だったと言える。けれど。フリーレンの胸の奥、熱が引いていくにつれて顔を出したのは、奇妙なほど冷徹なメスの思考だった。
(こんなもの、なのかな。終わってみれば、思っていたほど夢中になってないな……)
満足はしている。不満などない筈だ。だというのに、百点満点という評価印を捺すことを、フリーレンの本能が躊躇っていた。何故だろうか。フリーレンは、まだ微かに痺れの残る指先で、自身の唇に触れた。催眠状態だったから? いや、途中からヒンメルの行動は嘘偽りのない本能によるもので動いており、催眠でそれが低下してはいなかった。言葉が足りなかった? いや、ヒンメルは気絶するまで、これでもかと言うほど情熱的な口説き文句を告げていた。
回数、長さや太さ、射精の勢い。それらを一つずつシュタルクのデータと比較しても、ヒンメルが決定的に劣っている要素は見当たらない。太さこそシュタルクが勝るが、長さや持続力ではヒンメルが上回っていた場面すらあった。情報で表せる部分では、ヒンメルに落ち度は全くなかった。
「ああ……理屈じゃないんだ。私がヒンメルより、シュタルクとの行為で感じてしまうのは」
フリーレンは、ぼんやりとした頭で、一つの結論に辿り着いた。それは切れると思ったものはなんでも切れる魔法が、無敵の外套を切り裂いてしまうように、絶対的な相性があるということ。シュタルクと繋がった時の、身体の奥底から魂ごと引っこ抜かれるような感覚。互いの凸凹が、パズルのピースのようにカチリと噛み合い、理性が焼き切れるほどの刺激を生む、あの瞬間の爆発力。それは、ヒンメルとの行為には存在しなかったもの。シュタルクとの絶対的な相性が生み出す至高の快楽。
二人を比較してフリーレンは知ってしまった。シュタルクの方が、自分との相性が最高に良かったということを。かつて世界を救い、自分に想いを寄せてくれた偉大な勇者よりも、あの情けなくて、すぐに泣き言を言う若造の戦士の方が、雄としてフリーレンを満足させる能力においては上回っているのだ。フリーレンは、物言わぬヒンメルの頬をそっと指でつついた。
「ねえ、ヒンメル。ヒンメルもすごかったよ……でもね。身体の相性だけは、シュタルクの方が良かったみたい❤️」
それは、残酷なまでの勝者への軍配だった。歴史の闇に葬られる一夜の夢。その中で行われた密かな比較実験は、フリーレンの中でシュタルクこそが、性交においては勇者を超えるという事実を証明するものだった。こうしてシュタルクはもうこの世にはおらず、勝てないと思っていた勇者に無自覚ながらも勝利したのであった。
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フリーレンとヒンメルが交わった翌日。ヒンメルは自分の部屋で目覚める。フリーレンと二人きりで酒を飲みながら話していたのは覚えているが、途中から記憶が途切れていた。飲み過ぎたかと考えるが、二日酔い特有の吐き気や頭痛は感じず、強いていうなら肉体に倦怠感を覚えていた。だがそれ以上に感じることがあった。それは何か良いことがあったという幸福感である。
「……おはようフリーレン。ハイターとアイゼンは?」
「おはよう。ハイターは二日酔い。アイゼンはランニングしに出掛けたよ」
「ハイター……なあフリーレン。昨日のことなんだが、何かあったかい? どうも記憶が曖昧なんだ。フリーレンに、迷惑をかけたりしてなかったかな?」
「迷惑はかけてないよ。ああでも、別のものは掛かったかな」
「ん? それってどういう──」
「内緒。それより宿を出る準備をしよう。未来に帰還するため、今日も協力お願いね」
フリーレンはヒンメルの問いに答えなかった。だがフワリと鼻腔をくすぐるフリーレンの匂いは、何故か妙に芳しく感じてヒンメルは頷くしかなかった。ヒンメルの無自覚の童貞喪失は、こうして闇に葬られるのであった。
その後。フリーレンはとあるドワーフにヒンメルの剣を見てもらう過程で、彼の住んでいた村に女神の魔法に関する本があったという話しを聞き、今や廃村になったその場所へ向かう。黒い犬のような魔物、火炎の息吹凄まじき竜との戦闘もあったが無事、村長の家へと辿り着き物色する。本棚に女神の魔法に関する記述が載っている本を見つけた。フリーレンは解読した文章を伝えるとハイターは眉を顰める。
「帰還の魔法は、聖典の時巡りの鳥の章にあるですか……難しいですね」
「何故だ? 僧侶は聖典から魔法を学ぶと聞いた。ハイター、お前にならそれが出来るのでは?」
「聖典は長大な暗号文による物語で構成されています。それを解読するには数十年、数世紀掛かる場合もあります。そして時巡りの鳥の章からは今まで魔法が発見されたことがないのです」
「そうか……ならば、待つの選択肢だろう。俺やフリーレンなら、そういう手もある」
「アイゼン。私は私が過ごしていた時間に戻りたいんだ。しゅ……彼等との旅が、失われるのは嫌なんだ」
ハイターの宣言に問い掛けていたアイゼン、フリーレンやヒンメルも沈黙する。解読するのにどれほど時間が掛かるのか想像すら出来ない途方な問題を前に、アイゼンは自分やエルフのような長命種なら待つのも手だと口にする。だがフリーレンが戻りたいのは自分が過ごした時間にだった。加えて彼女には離れがたい仲になった者もいたのが、帰ろうとする意識に拍車をかけていた。
「そうか……未来でもパーティを組んでいるんだね。君らくしない……だがとても良いな。
「ヒンメル、それでは遅い──そういうことですか」
「フリーレン。君が
「文字……あ」
フリーレンは思い出した。忘れていたのが不思議なほどに、その単語は彼女の脳裏に残っていた。フィアラトール。フェルンが聖典に登場すると言っていた単語だった。フリーレンが気付いたのに先んじてヒンメルは語る。
「言わなくていい。それは僕達が後に探すものだ。魔王を倒した後の次なる目標だね」
「……ありがとう」
「全く。次の目標を勝手に決めないでほしいものだな」
「同感です。探すのは主に僧侶の私がすることでしょうに……ふむ。帰還の魔法ですが、石碑に触れて唱えなければならないようですね」
「またあの場所に戻るのか……」
そんなアイゼンの遠い声を聞きながら、フリーレンは石碑のあるキーノ峠へ向けて出発する。しかしフリーレンが時空干渉をしたことに魔族達は気が付いたのである。七崩賢と呼ばれる奇跡のグラオザームと無名の大魔族ソリテール。魔族最強とされる軍神リヴァーレがフリーレン達に襲い掛かる。
アイゼンとリヴァーレがぶつかり合い、戦場が混乱する中、グラオザームの魔法によってフリーレン達は叶わないと諦めた幸せな夢の中に閉じ込められる。だが魔法使いではないヒンメルは、夢を見ながら体を動かし反撃を行う。持たざる者の研ぎ澄まされた感覚が大魔族二人を抑え込んだのだ。ヒンメルはフリーレンを石碑の元に向かわせるため足止めをし、その甲斐あってフリーレンは石碑に辿り着き、仲間が未来で書き記した魔法によって未来へと帰還するのであった。
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「フリーレン、大丈夫か? いつも以上にボーッとしてるけど。解析は進んでるのか?」
「──シュタルク?」
「おう、どうした……ほい、なんでほほのびゃすんだよぉっ!」
フリーレンは自身を覗く青年の顔を目の当たりにする。赤髪に左目の傷跡が特徴的な、フリーレンにとって忘れ難くなった男──シュタルクの顔だった。思わずフリーレンは手を伸ばし、シュタルクの頬を伸ばす。この感触、この反応、フリーレンは夢じゃないことを確認する。フリーレンの体感でいえば数ヶ月ぶりで、思わず彼の感触を今一度しっかりと記憶するため頬を撫でまわす。むず痒そうに声を上げるシュタルクに反応して、離れた所で野営の準備をしていたフェルンも駆け寄る。
「フリーレン様……何してるんですか?」
「シュタルクの頬伸ばしてた。ありがとうシュタルク。もういいよ」
「なんなんだよー。自分はされると嫌がるくせにー……」
フリーレンは改めてここが現実だと確認したフリーレンは空と石碑を見る。太陽の位置からして、未来に行ってから戻るまで、現在の時間は然程経っていなかったと把握する。また石碑の方からは、僅かに残っていた魔力が消えていた。役目を終えたと言わんばかりに石碑の残骸は沈黙していた。
「ったく。自由なやつだなぁ。ああフェルン、俺も野営の準備、手伝うぜ」
「あ。その必要はないよ。もう調べたいことはなくなったから戻ろう」
「えぇぇ……まだ来て十分も経ってないですよ」
「たったこれだけのために、三日三晩彷徨ったのか……? 帰るって本当に言ってる?」
フェルンとシュタルクは、今までの旅からフリーレンの気まぐれはよく分かっているつもりだった。だが三日かけて以前のリベンジしに来たというのに、十分そこらでもう用はないと帰り支度を始めるフリーレン。少しだけフリーレンの気まぐれに慣れているフェルンは遠い目をして、シュタルクは冷や汗をかいて冗談だよなと問いかける。だがフリーレンは振り向きもせず、シュタルクに答える。
「うん。大丈夫、
「……ひーん」
「フリーレン様。シュタルク様を泣かせないでください」
「ごめんよシュタルク……ちょっと耳貸して──」
泣き出したシュタルクを庇うフェルン。フリーレンは謝ると、シュタルクに迫り彼に耳打ちをする。すると泣いていたシュタルクは目を見開きフリーレンを見る。フリーレンも艶のある瞳で見つめ返す。シュタルクは泣き止むと、背負っていた斧を手に意気込みながら前進する。フェルンにはフリーレンの内緒話が聞こえなかったが、シュタルクの反応からやる気を大いに引き出すものなのは間違いなかった。腕を大きく振って前を歩くシュタルクを視界に納めながら、フェルンはフリーレンの横につき何を話したのか尋ねる。
「魔物が出たら俺に任せておけ! ふん、ふん!」
「はしゃぎ過ぎないでください。フリーレン様、何を言ったのですか? シュタルク様の様子がおかしいです」
「今まで出来なかったことが、出来るようになったって教えてあげただけだよ。時間ができたらフェルンにも教えてあげるね」
「はあ。ありがとうございます……?」
フリーレンはそれ以上答えず歩き続ける。シュタルクの異常なやる気や、フリーレンの艶のある視線に物申したかったが、それ以上フェルンは口を開けなかった。先行するシュタルクの背中と、涼しい顔のフリーレン。 二人の間には、フェルンには見えない、言葉にしがたい糸のようなものが繋がっているように思えてならない。 その疎外感は、北風よりも冷たくフェルンの胸を撫でた。 フェルンはマフラーに顔を埋め、二人の背中を睨みつけながら、黙々と歩を進めるしかなかった。
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夜の森は、広葉樹の枝葉が風に揺れる音だけが支配していた。気温は低く、本来であれば焚き火のそばから離れることすら躊躇われるような寒空の夜である。だが、現在のフリーレン達の周辺だけは、春の陽だまりのような温かさに包まれていた。
「……すげぇな、フリーレン。この周囲が暖まる魔法、マジで有用じゃんか。わざわざあの石碑の所行った成果はすげぇなぁ……文句を言って申し訳ないぜ」
「分かってくれればいいよ。歩くくらいの移動速度なら展開しながら歩けるから、これで気にしてた寒さ対策も十分でしょ」
フリーレンは得意げにふふんと鼻を鳴らすと、向かい合わせに座るシュタルクの首に腕を絡ませた。フリーレンは過去に戻った際ヒンメル達を説得し、周囲が暖まる魔法を回収しに行っていたのだ。寒空の夜でも毛布を纏う必要がないくらい快適な空間がそこには満ちていた。
そのすぐ隣では、フェルンが規則正しい寝息を立てて深く眠っている。彼女には、熟睡するための魔法と、周囲の音を遮断する結界を二重に掛けてある。たとえ耳元で竜が咆哮しようとも、朝まで目を覚ますことはない。
「でもさ、これ本来はサバイバル用だよな? こんな……裸になるために使うもんじゃねぇ気がするけど」
「いいの。せっかく覚えたんだから、有効活用しないと」
シュタルクが苦笑しながら、フリーレンの華奢な腰に手を添える。これからさらに熱くなるであろう、人肌のほどよい温もりを感じてますます二人は密着する。シュタルクは慣れた手つきでフリーレンの尻肉を左手で撫で回し、右手で服越しに小ぶりな胸を刺激する。
フリーレンは上目遣いでシュタルクを見つめ、甘い吐息を吐き出す。その仕草は、過去への旅路で再会したヒンメルに見せたものとは違う、もっと甘ったるく粘着質であった。秘密を共有した仄暗い相棒に向ける魔女の顔、或いは極上の男に依存した雌の顔だった。
「フリーレン……キスしていいか?」
「いちいち聞かなくていいのに。おいで、シュタルク❤️」
彼の瞳に宿る理性の光が揺らぎ、代わりに雄としての昏い炎が点ったのを、フリーレンは満足げに見つめ返した。そしてシュタルクの問いにフリーレンは口を突き出し、二人の唇が重なる。湿った水音が、静まり返った森の空気に溶けていく。
ヒンメルとのキスは、どこまでも優しく、壊れ物を扱うような繊細さがあった。それはそれで心地よかったが、シュタルクのキスは違う。唇を貪り、舌を強引にねじ込み、唾液も息もすべてを奪い尽くそうとするような、粗野で、それでいて情熱的なキスだ。
「ちゅるっ❤️ んぅ❤️ ちゅ、んっ❤️ ちゅるっ❤️ れるぅ、れろぉっ❤️」
(ああ、これだ……❤️ やっぱり、このキスじゃなきゃ満足出来ない❤️)
フリーレンは心の中で呟いた。ヒンメルとの夢のような一夜も悪くなかった。けれど、シュタルクのこの、生命力に溢れた「熱」こそが、今の自分の身体には馴染むと感じる。五十三年という時を超えて戻ってきた理由は、結局のところ、この熱狂を求めていたからなのかもしれないと思うフリーレン。
唇を離した瞬間、二人の間に粘着質な銀色の糸が引いた。フリーレンが熱っぽい瞳で訴えると、シュタルクは無言で頷き、彼女の衣服に手を掛けた。防寒用の厚手のコート、その下にあるチュニック、そして肌着。それらが一枚また一枚と剥ぎ取られていくたびに、陶磁器のように白く滑らかなフリーレンの肌が露わになっていく。
「外でこんなに露出してるって言うのに、寒くねぇのも不思議だな」
「だね。ほら、シュタルクも脱いで」
フリーレンは全裸になると、自らもシュタルクの服を脱がしにかかった。逞しい胸板、鍛え上げられた腹筋。そして、股間に鎮座する凶悪な膨らみ。ズボンを引き下ろすと、解放されたシュタルクの剛直が、待ってましたと言わんばかりに跳ね上がり、熱気を放ちながら屹立した。
「ふふ。すっごい元気だ❤️ 三日三晩頑張ってついてきてくれた分、いっぱい奉仕してあげないとね❤️」
「フリーレンも……まあ、フリーレンのせいで苦労したんだけど。俺にもフリーレンを労わせてくれよ」
フリーレンの手がシュタルクの剛直を摩り、シュタルクの手がフリーレンの太腿を割り開く。シュタルクのモノからは我慢汁が分泌されており、フリーレンの手に雄々しい熱を押し付けていた。ヒンメルの細長いものとも違う、分厚く脈動するそれは彼女をイカせたいと主張しているように感じ、フリーレンの手や心臓の鼓動は速さを増していた。
またフリーレンの秘所はキスの興奮と、抱かれることへの期待感で濡れており、シュタルクの指先をふやけさせていた。じわりと溢れ出した蜜液は布団に滴っていたが、シュタルクの指は止まらずクリトリスを執拗に弾き、濡れた秘肉を掻き分けていた。ヒンメルの指とは違うゴツゴツとした指先は、フリーレンのGスポットを熟知しており、瞬く間にフリーレンを啼かせる。
「ひぁッ❤️❤️ ん、あぁ……っっ❤️ そこぉ……イイっ❤️ しゅたるくぅ❤️ ひぃっ、あぅ❤️ んんぁぁ❤️❤️」
「っぉ! フリーレン、喘ぎながらも指ヤベぇぇ……! 普段と、違う気くねぇか……!?」
フリーレンの口から、抑えきれない嬌声が漏れまくる。すぐ横でフェルンが寝ているという背徳感。野外という開放感。そして何より、ヒンメルとの比較実験を経て再確認した、シュタルクこそが最高であるという確信。それらが混ざり合い、フリーレンの感度を極限まで高めていた。
一方でシュタルクもいつもとは違う快感を覚える。喘ぎながらも手を動かしているフリーレンだが、ヒンメルとの行為を経たのもあり、その指捌きは一段と進化を遂げていた。シュタルクの息遣いや剛直に浮き出た血管の脈動に合わせて、指の力を強くしたり、手を加速させる。互いにこれ以上されたら絶頂すると通じ合う。二人は手の動きを一旦ストップし、お互いを見つめ合う。
「もう、我慢できない。シュタルク、入れて」
「おう。俺も限界だ……入れるぞ、フリーレンっ!」
シュタルクはフリーレンの腰をしっかりと掴み、自身の剛直を彼女の濡れた入り口へとあてがった。亀頭が、吸い付くような粘膜を押し広げる。ヒンメルの長さとは違う、圧倒的な太さによる暴力的な拡張感。もはや何度受け入れたかは分からない、愛しい雄のモノを受け入れていくフリーレン。ズズズ、と重々しい質量を持って、シュタルクの楔がフリーレンの最奥まで侵入した。完全に根元まで飲み込むと、二人の下腹部が隙間なく密着し、鼓動さえもが重なり合う。
「はぁ、はぁっ……❤️❤️ やっぱり、これだね❤️」
「はぁ、っ……! フリーレン、中……すげぇ締まりだっ」
フリーレンは、涙目で微笑みながら、シュタルクの額に自身の額を押し当てた。体内を隙間なく埋め尽くされる安心感。内側から焼かれるような熱。これは他の誰にも決して真似できない、シュタルクにだけ感じる、愛おしい痛みと快楽だった。そしてフリーレンは夢見心地のまま、シュタルクに囁く。
「シュタルクはヒンメルに勝てないって気にしてたけど……大丈夫だよ❤️ やっぱり、シュタルクの方が気持ちよく感じる❤️ 私は、シュタルクの方が好きだよ……❤️」
「ッ!! ふ、フリーレン……!!」
勇者に勝っているという言葉はシュタルクの本能を奮い立たせた。想いを寄せる人が、歴史に残る勇者よりも自分を選んでくれた。雄として、自分の方が優れていると認めてくれた。 その歓喜が、爆発的な征服欲となって彼を突き動かそうと全身に力が漲っていた。
「フリーレン……動くぜ」
「うん……❤️ フェルンに聞こえちゃうくらい、めちゃくちゃにしていいよ❤️」
その挑発的な言葉に、シュタルクは獣のように喉を鳴らした。静寂な森の夜に、肉と肉がぶつかり合う音と、二人の熱い喘ぎ声が響き始める。シュタルクとフリーレンの性交は、森の静寂を切り裂くように湿った水音と荒い呼吸が響き渡る。 フリーレンはシュタルクの太腿の上に跨り、彼に抱きつくようにして腰を打ち付けていた。 シュタルクの太い剛直が、彼女の膣道を限界まで押し広げ、質量をもって内壁を抉っていく。
フリーレンの表情は恍惚に染まっている。 ヒンメルの長さが深淵を突く鋭利な快感だったとすれば、シュタルクの太さは、存在そのもので埋め尽くされるような圧倒的な充足感だ。 隙間なく密着した粘膜が、動くたびに擦れ合い、脳髄を焦がすような熱を生み出す。シュタルクは獣のように腰を突き上げていた。 ドスン、ドスンと、重い楔が最奥を容赦なく叩く。 ヒンメルよりいいと言わせたその事実を、さらに身体に刻み込もうとするかのような、激愛のピストン。
「好きだ、フリーレン……! フリーレンは俺のだ……ッ! 勇者ヒンメルにも、誰にも渡さねぇ……ッ!」
「んぐッ、ぁあッッ~~❤️❤️ ヒぃ、イイっ、アァァァ……ッ❤️❤️ これ、スキ……シュキッッ❤️❤️ しゅたるくので、わたしをみたしてッッ❤️❤️❤️」
フリーレンは相性抜群の剛直に突かれまくり、絶叫に近い喘ぎ声を上げながら甘イキの蜜液を漏らす。 もはやフェルンに聞こえるかどうかなど関係ない。 過去の追憶も、英雄への敬愛も、全てがこの圧倒的な快楽の波に飲み込まれていく。 今、ここにいるのは、好いた雄に貫かれ、その愛を全身で受け止めるただ一人の雌だけだった。
「イクイクッ……❤️❤️ しゅたるく……っ❤️ あちゅいの、だしてぇぇッッ❤️❤️❤️」
「全部、出すッ! 受け取ってくぇぇぇッ!!」
二人の身体が激しく痙攣し、密着した結合部から白濁とした奔流が解き放たれた。 フリーレンの子宮を焼き尽くすような、大量の種火。 それは、ヒンメルとの静かな愛の交歓を上書きし、フリーレンはシュタルクのものだという所有の証を、彼女の魂の深淵にまで刻み込む熱い楔となるのであった。
「シュタルク……❤️」
「フリーレン……」
二人は抱擁し合いながら、他の雌雄では得られない絶頂を享受する。そしてフリーレンはこの時が、ずっと続けばいいと思ってしまう。他の誰にも、フェルンにも邪魔されずにずっと一緒にと。だがそれは人間とエルフでは、叶わぬ夢だということを確かに認識していた。ふと、フリーレンは思ってしまう。目の前の彼をどうにしかして、長生きさせてやれないかと。それはかつては存在すらしていなかった、フリーレンの仄暗い思考だった。
(シュタルクと……もっともっと一緒にいたいな。ほんと、フェルンにも譲りたくなくなっちゃった)
(長生き……賢者エーヴィヒでも死者蘇生や不死の魔法は作れなかったとされている。ああ……そういえば、過去で寿命を分け与える魔法の噂を聞いたような。あの時は探せなかったけど、今なら調査しに行けるか。こういう寄り道も冒険の醍醐味だよね……)
フリーレンはかつての仲間の頼みで目指していた目的地を後回しにし、自らの欲望を優先しようとし始めていた。もはやシュタルクと関係を持つ前、氷のように冷たく、淡白で鈍感、不器用な彼女はいなかった。そこには好いた男と離れたくない、弟子にも渡したくないと考える、卑しさを心に抱えたごく普通の女がいた。シュタルクの炎のような瞳と、フリーレンの濁った翡翠の眼差しが交差する。その交わりは深く繋がり、消して途切れさせまいと絡み合うのであった。