かつて古今東西の七騎の英雄が鎬を削った第五次聖杯戦争から十数年。古風な町並みが並び立つ冬木市・深山町にも近代化の波が押し寄せている昨今、様々なものが変化していく時代の流れに飲まれつつある町に住んでいる家庭の話。
黒藤綾子、旧姓美綴綾子は大学で現在の夫である黒藤という青年と出会った。人畜無害という言葉が男になったような人物で、かつて気になった花屋の青い武人とは対極と呼べる男だった。だが講義で一緒になることが多々あることから会話が始まり、同じゲーマーとして会話が弾んだこともあり次第に仲を深めていった。次第に周囲も二人の仲に気付き、後押しをされて交際に至った。そして数年の交際の後に婚約を結ぶ。今では真奈という子宝にも恵まれ
早朝、まだ娘や夫が眠っているなか綾子は重いまぶたをこすりながら、朝食の準備のため起き上がると、ふと隣に眠っている夫を見詰める。稼ぎが良いことから共働きをする必要がなく、今でも道場の師範代として過ごせるほどに自由な生活を送れていたが、綾子には不満があった。それは夫からの“熱”がここ最近感じられないことだった。綾子はある日のことを思い返す。
「まだゴム余ってるけど、どうする? あたしとしては、真奈も落ち着いてきたしそろそろ二人目とか──」
「いや、明日も早いから今日はもういいかな。子供に関してはおいおいね」
「そうかぁ……うん、了解。おやすみ」
第一子である娘の真奈も小学校に入学して落ち着いてきたので、そろそろ二人目がほしいと綾子は思っていたのだが夫は乗り気ではなく、夜も求めれば応じてはくれるのだが、回数は片手が余るほどで全てゴムを付けたものだった。元々性に淡白な人だったが社会人となりそれが顕著になっていた。
だがそれで諦めるほど綾子は大人しい人ではなかった。夫が乗り気ではないのには自分にも原因があると思い立った綾子は、自分磨きに取り組むことにしたのだ。身体は今も続けている武芸によって引き締まっており、子供を産んだ後でも肌は若々しく、胸は形も大きさも人並み以上で申し分なかった。それ以外の化粧や髪の手入れは少々疎かだったのでママ友や馴染みの友人に教えてもらったり、エステに通うことでみるみる内に美しくなった。彼が好みそうな勝負下着も用意し準備万端の状態で夫を誘ったのだが。
「無理しなくてもいいんだよ。僕も明日は接待があるから早めに寝るよ、おやすみ」
そう言われた綾子は夫を誘うことを諦めた。彼の言葉が胸に突き刺さったのと彼自身、自分に対する熱が下がっているのだとはっきりと自覚したからだ。もちろん夫は自分を妻としては愛しているし、子供が嫌いというわけではない。休日は娘の遊びに付き合ったりと家族全員で買い物に出掛けたりと良い父親であるのも事実であった。だがそれ以上に仕事にやりがいを感じて熱中しているから二人目の子供に乗り気ではなく、綾子との情事に興味が薄れてしまっていた。まさしく釣った魚に餌をやらなくなったのだ。
そんな環境から綾子の“熱”への渇望は日に日に増しておりほぼ毎日、一人で自慰をしなければ治まらないほどだった。そんな状態の彼女に餌を与えようとする相手が現れれば釣った魚が逃げてしまうのも時間の問題だった。
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綾子は大量に作れば作るほど上手くなると言った特技があり、この特技を活かして事前に作り置きしている物を使うことで手早く朝食を用意する。娘と夫もそれに不満なく美味しいと言ってくれるので綾子としては大変ありがたかった。
「学校は楽しいけどお弁当がなくなっちゃたのがなー。パパはずるいなーお昼もママの料理が食べれるなんて!」
「ははは! 確かに給食よりママの料理の方が美味しいからね! 真奈が大きくなったら、給食からお弁当にまたなるから、その時にママがいっぱい作ってくれるよ」
「はいはい、お喋りの前に早く食べないと遅刻するぞー!」
いつも通りの朝食、食べ終わり一緒に家を出る夫と娘を見送ると新築の広い家には綾子一人となる。平日は洗濯や掃除、食材の買い込み等があるのだが、掃除や買い物は昨日の内に済ませてあるので今日は洗濯だけで良いので娘が帰ってくるまで時間があった。
時間があると認識すると、もっぱら夫とのセックスレスに関する問題が頭に浮かび上がってしまい綾子は憂鬱になってしまう。綾子はそんな嫌な気持ちを振り払うため体を動かそうと思った。気分が落ち込んだ時や悩みがある時は全身を動かすことが気分も晴れるというのが彼女の持論であった。最近通い始めたジムに向かうため動きやすい格好に着替えると綾子は家を飛び出し、歩き始める。
長く住んでいる深山町だが、近代化の波により徐々にだが開発が進み緑が少なくなっていると綾子は感じていた。町の変化に戸惑いつつも仕方ない部分もあると感じながら綾子は走っていると前方からどこか面影に覚えのある二人組みの女性が歩いていた。だが彼女達は確かロンドンにいるはずと思っていると、綾子を見て立ち止まっていた。綾子は歩みを緩めると赤い服を身に纏った女性が声をかけてくる。
「綾子? やっぱり綾子よね!? 久しぶり! 元気……そうでなによりだわ!」
「遠坂こそ! ロンドンからこっちに帰ってきたんだな! 間桐も遠坂も気軽に連絡してくれよな!」
「お久しぶりです、美綴……今は黒藤でしたね。あんまり連絡出来なくてすみません、綾子先輩」
立ち止まっていた彼女達の名は遠坂凛、間桐桜。綾子にとって凛は親友であり好敵手と呼べる存在で彼女を見ると三年間の青い春を思い出してしまう。もう一人の桜は弓道部の後輩で、最終的には主将の座を潔く譲れるほどの可愛い後輩であった。そんな彼女等を一目見て分からなかったのは彼女達が学生の頃の面影を残しつつも年を重ねたことで大人の女性と言った魅力が増していたからだ。肌もきめ細かくまるで陶器のような美しさで同じ女性である綾子が見惚れてしまいそうなほどだった。
それ以外にも凛は代名詞的だったツーサイドアップを辞めて艶のある黒髪をそのまま流していた。桜も以前よりがらっと変わりウルフカットに後ろ髪を長く伸ばしており、控えめですと言った雰囲気も、ガラリと変わっていたのもすぐに気付けなかった理由だった。
綾子は出会いが突然だったこともあり最初は戸惑ったが、年始や誕生日等の特別な日以外には滅多に連絡を取れないこともあり、思わぬ懐かしい再開に喜び合っていると凛がとある提案を綾子にする。
「そうね……綾子、今日の予定はもう決まってる? もし時間があるなら家に寄ってかない? 今までの事や色々話したいことがあるのだけど」
「いいですね! 久しぶりに三人でお茶会できるなんて楽しみです!」
「そうだな……娘が学校から帰ってくるまでまだ時間があるから、少しだけお邪魔させてもらおうかな」
綾子が了承の意を示すと凛と桜は嬉しさから顔を綻ばせる。こうして三人は久しぶりのお茶会に浮き足立ちながら歩き始める。道中、卒業してからのことや現在のことなどを話し合う。凛と桜はロンドンの学院を卒業してからは、海外を拠点に様々な国を飛び回っていたようで、興味深い話が盛りだくさんであった。同時に綾子は仕事に関して二人が隠し事をしていると直感的に気付いたが、深入りはしなかった。凛も桜もロンドンで多くの経験をしたのであろうが、彼女達との友情は変わっていないと確信していたからだ。
歩き始めて暫くすると三人の前には和風の屋敷が見えてくる。洋風な遠坂邸とは違う和式の家は綾子にとって友人であり弓道ではライバルとして見ていた男、凛や桜とは縁の深い衛宮士郎の実家だ。
「うーむ。相変わらずでかい家だなー」
「ほんとよね、わたしや桜、セイバーが住んでもまだ部屋が余っているくらいだもの」
以前凛から送られてきた手紙の中に士郎と付き合い始めたことが書かれており、綾子は驚いたものだが今もその関係は続いているようでどこか嬉しい気持ちになった。士郎自身も凛に一緒に渡英したと聞いていたが家は定期的に手入れされていたのか綺麗に保たれていた。居間に案内されくつろいでと言われるが、綾子は何だかそわそわとして気持ちになってしまう。
「お茶菓子と紅茶を用意してきますので、綾子先輩と姉さんは座っててくださいね」
「お、ありがとう桜。……そういえば衛宮やセイバーさんは今いないのか? 挨拶くらいしときたいが」
「ああ、士郎とセイバーなら今は藤村先生やお世話になった人達に挨拶しに出かけているのよ。まったく久しぶりの地元だというのに落ち着きがないわ」
なるほどあいつらしい理由だと綾子は納得する。ふと凛の声色から士郎のことについて話す際の雰囲気が他の人とは違うと綾子は感じる。熟年夫婦のような言い方に、自分達とは違いすれ違い等も少ないんだろうなと、綾子は羨ましくなる。そんな風に綾子は凛の顔をじーっと見続けてしまったので怪訝そうに見られる。
「そんなジロジロと人の顔を見て、何か付いている? え、本当に何か付いてないわよね?」
「いやいや! 何も付いてない、付いてないよ! 遠坂も間桐も見ない間に本当に綺麗になったなと思ってさ、つい見詰めちゃったんだよ」
「ああ、そうなの……ありがとう。ただそれを言うなら綾子も美人になったわよ。綾子のことだから、並の男じゃ相手にならないだろうけど、旦那さんも気が気じゃないわねー」
確かに地元の人間は綾子の腕っ節の強さを知っているのでそう言った話は無いが、旅行者等は綾子にいわゆるナンパをしてくることはあった。もちろん丁重に、時に荒々しくお断りしていた。
気が気じゃないと凛は言うが、夫は自分にもう興味を持っていないだろうと綾子は薄々思っていた。髪型を変えても、香水を変えても興味が薄いらしく無反応か一言あればいい方だった。鬱屈として思いから知らず知らずため息を吐いてしまう。
「うーん、どうかなー。あたしが化粧やおしゃれに気をつかっても旦那は興味がないようだからなぁ……」
「……言いたくなかったらいいんだけど、もしかしてあんまり旦那さんと上手くいっていないの?」
「あはは、まいったね……その通りだよ」
綾子がそう言うと凛の顔は久しぶりに旧友に会い嬉しさが溢れたものから、何と声を掛ければいいのか考え込んでいるような難しい表情になる。綾子も親友との再会で気が緩みつい本音が漏れてしまったのでやってしまったと顔をしかめる。衛宮邸の居間は台所と繋がっているので、桜にも話は聞こえていたようで彼女もまた難しい顔をして紅茶とお茶菓子を運んでくる。
「綾子先輩、お茶どうぞ……わたしも姉さんもお気に入りのハーブティーです。リラックスできますよ」
「ん、ありがとう間桐。うん、いい香りだな……ふぅー確かに気分が落ち着くなぁ」
「ありがとう桜……ふぅ。率直に聞くんだけど綾子ってもしかして溜まってたりするの?」
あまりに明け透けな発言に綾子は含んでいたお茶を噴出しそうになる。まさか凛の口からそのようなことを聞かれるとは思ってもいなかったのもあるし、溜まっているのが図星だったのもあった。隣で聞いていた桜も姉さん突っ込みすぎと言った顔をしていた。綾子は咽ながら話す。
「げっほ……まさか遠坂がそんなことを聞いてくるなんて、過去のあたしに言っても信じないだろうな」
「実際、どうなの? ママ友とかには、言えないこともあるでしょ? 愚痴があるなら聞くわよ」
「うーむ……まぁ、人並み? 程度には溜まっているかな。旦那は仕事にお熱だし、たまの休日は娘のやりたいことを優先って感じかな。もちろんあたしのお願いを聞いてくれたりもするよ……夜以外はね」
夫が仕事に夢中で家庭のことを完全に放り出しているなら愛も冷めただろうが、彼なりに休日は娘や綾子のことを気にかけてありするので嫌いになりきれないのが現状だった。それを聞いてふむふむと凛と桜は頷く。綾子は自分だけ恥ずかしいことを言っているのもなんだからと、凛に士郎との夜の関係を質問する。
「今度はあたしから聞いてもいい? ぶっちゃけ遠坂と衛宮はどうなのよ? 衛宮がそう言ったことをしてるのって、ぶっちゃけ想像できないんだけど」
「ああ、確かに傍から見たらそうよね……衛宮くん、夜の方はかなりヤンチャよ。一度ヤリ始めたら、もう朝になっても止まらないほどにね」
「まっさかぁ! あの衛宮が!?」
綾子は流石にそれは自分の男を高く見せたい見栄っ張りじゃないかと思った。だが凛の目の奥底に見える士郎への熱い想いから嘘だと断じることが出来なかった。それと隣に座る桜が顔を赤らめ頬を掻いているのが少し気になったが、綾子は士郎と凛のことを深堀するため一旦置いておくことにした。
「信じがたいな、あのオンオンオンみたいな男がそういうタイプだとはね。いや逆にそっちもオフにならないのか? その……どのくらいの頻度でしてるんだ?」
「まぁ、可能ならほぼ毎日ね。流石にわたしもやらなきゃいけないことがあるからその時は代理を頼むわ……ね、桜」
「うぇっ!? えっ!? ま、間桐、あんたも衛宮と……?」
今日はどれほど驚いただろうか、綾子は恐る恐る桜に士郎との関係を尋ねると彼女はそれまで以上に顔を赤くし俯きながら、首を縦に振り肯定する。凛はニヤニヤと笑い、もっと堂々としていいのにとか言っているが、そんな堂々と出来るわけがないだろと口に出してツッコミたかった。だが綾子も動揺から口をぱくぱくと動かすことしか出来なかった。
綾子は一旦、クールダウンするため一口ハーブティを飲む。三年生になった時も、以前と比べて変わったなと思ったものだが、どうやらロンドンに行ってからあの男はずいぶんと変わったようだ。まさか凛だけでなく桜にも手を出しているとは。当人間で納得している以上、綾子の口から言えることではないのだがそれでも一言、物申したくなってしまっていた。
「まじかぁ、いやー遠坂も間桐も納得しているならあたしが言えることなんてないけどさ……桜は満足できてるの?」
「それは、はい。先輩はその、夜に限りわるい人になります。わたしの弱い所を執拗に攻めてきて……酷い時は姉さんやセイバーさん、ルヴィアさんと一緒にですよ……もう笑いごとじゃないですぅ!」
「あぁーセイバーさんもそうなんだ……しかも外国で一人増えているのかぁ……」
どうやら桜の言い分的にセイバー、さらに綾子の知らないルヴィアという人も士郎とそういう関係らしいと理解した。微笑んでいる凛に非難を向ける桜、そんな二人を綾子は遠い物を見詰める眼差しを向けてしまう。綾子は可愛い後輩や親友がずいぶんと遠い所に行ったと今更ながらに染み染みと感じた。
そうしてふと綾子は彼等の情事を想像してしまう。細身な自分の夫と違う、日頃のトレーニングで鍛えられた逞しい腕で士郎は彼女達を抱いているのだろうか、雑な夫と違い弓を射る時の恐ろしいほどの集中力で士郎は彼女達を絶頂に導いているのか、そして自分だったらどんな風に抱かれるだろうかと。
(いやいや、何を考えているだあたしゃは……!)
いくら欲求不満とは言え、破廉恥極まりない妄想をしてしまった恥ずかしさから机に顔を突っ伏してしまう綾子。嗚咽すら漏れてしまっているその姿を見た凛は綾子にある提案をした。
「ねぇ綾子、一日だけ士郎を貸し出ししようか?」
「…………はぁっ!? おま、遠坂!! 何を言っているのか分かっているのか!? あたしは結婚しているし、子供もいるんだぞ! 不倫だなんて……!!」
「もちろん知ってるわよ。写真で見た娘さん、綾子に似て可愛かったわね」
凛のあまりにも過激な発言で綾子は一瞬唖然としたが、直ぐに我に返り猛反発する。綾子は結婚し、子供がいるのを凛は理解しているし覚えている筈なのだ。一から説明してくれと綾子は凛になかば睨みつけるような視線をやるが、彼女は平然としていた。
「覚えていてくれて何よりだ……確かにあたしは欲求不満だけど、夫のことを嫌いになったわけじゃないよ。一時の気の迷いで家庭を壊すようなこと出来ない」
「そうよね、わたしもそんなことはさせたくないわ。ただ、綾子一人でずっと我慢し続けて、ふとした拍子に爆発したら? きっと娘さんや旦那さんとの間に、取り返しのつかない亀裂が出来るとわたしは思うの」
「まぁ、確かに、そうかもな……」
綾子は絶対にないとは言い切れなかった。夫は休日がある日は娘とも遊んでくれるとは言ったが、最近は休日にも上司に付き合い家を留守にすることがあったり、平日の夜は同僚に付き合わされてだが飲みに行ったり、釣りをしたり、雀卓を囲んだりと頻繁に遊ぶ夫に綾子としては少々不満があった。弱味を見せたくない心から周囲に相談できず、悩んでいたのもあり凛の言葉は綾子の心に深く突き刺さった。
夫だって普段から遊びまわっているんだから一日くらい、そう綾子の内に芽生えた逡巡を察知した赤い悪魔は、すかさず彼女の傍に近づいてこう囁いた。聞いてはならないと直感が警報を鳴らしていたが、綾子はそれに耳を傾けてしまう。
「不倫とか難しいことは抜きにして、とりあえず一日だけのリフレッシュとして考えたらどう? 綾子が相手なら衛宮くんもきっと張り切って一日中でもヤり続けるわよ~」
「はい! 先輩
「……どうだかな。遠坂や間桐、セイバーさん達の最上級クラスの美女と関係を持っている衛宮が、今さらあたしなんかでやる気出さないと思うけどな……」
綾子は己の顔立ちは整っている方だと思っているし、化粧等にも手を出したことでそれなり以上だという自負が以前はあったのだが、夫からの再三の拒否から少しその自信がぐらつき、学生の頃に比べて卑屈な部分が出来てしまっていた。それを聞いた凛は少しムカとっしたとでも言うような表情をした。そして綾子の後ろに回ると手を胸に回す。
「なーに言ってるのよ! こんなに立派なモノをお持ちになっているのにっ!」
「ひゃっ♡ と、遠坂ぁ♡ いきなりなに、おッ……♡」
「服の上からもかなりのモノと思ったけど、実際に触ってみたらそれ以上ね。これは……桜より大きいかも」
凛がそう言うや否や綾子の胸を両手で持ち上げる。穂群原学園にいた頃より上位のバストサイズを誇り、二人の目の前であたふたしている桜より僅かにだが大きいものだった。更に子供ができたことによりその巨乳は成長しており、重力に逆らうように保たれたお椀型は普通の男ならば一刀両断で魅了してしまう大業物だった。
慣れた手付きで──前述の話から複数でのプレイも豊富なため自然と熟知したのだろう──綾子の胸を揉みしだく凛。久しぶりの愛撫に綾子は自然と熱の篭った声を上げてしまう。徐々にその昂りは臍の奥にまで到達し綾子はもどかしい気持ちになる。頃合だと感じたのか凛は綾子から離れる。
「ちなみに衛宮くんはわたしより上手いから、これ以上の快感を約束するわよ」
「はぁ、はぁ……なんでそこまでして衛宮とあたしをくっ付けたいんだ? 遠坂や間桐には何の得もないだろ……?」
それは綾子にとって至極真っ当な疑問だった。いわゆる衛宮ハーレムは聞く限りでは上手くいっているようだが、それは気心の知れた数人だからだ。そんな中に自分を入れて何の得があるのか。だが綾子の発言を聞き。凛はぽかんとした表情になる。まるでそんなことも気が付かないのと言った表情だった。凛は一息つくと綾子に対して理由を語りだした。
「それは……久しぶりに会った友人が苦しんでいる顔をしていたら、それを解消してあげたいと思うのは普通じゃない?」
「えっ……」
「ああ、気付いてなかったのね……今朝会った時の綾子、酷い顔してたわよ」
凛や桜が特別鋭いのもあるかもしれないが、そこまで酷い顔をしていたとは綾子は思いもよらなかった。夫や娘、近所の人達に挨拶した時にも何も言われなかったので、ちゃんと普通の顔でいられていると綾子は考えていたのだ。
「はい、わたしも姉さんも最初前から歩いてきた人が綾子先輩か一瞬迷ったほどでした」
「普通、気付くかね……遠坂と間桐の観察眼には驚きだよ」
「まぁ、ロンドンに行ってから色々な奇人変人に会ってたから、目が肥えたのかもしれないわ」
ロンドンってそんなに変な人が多いのかと綾子は思い込んでしまう。地元の人からすれば時計塔の人間を基準にしないでくれと言いたくなるだろう話だった。少し温くなったハーブティを飲んで凛は口を開く。
「あと得はもちろんわたしにもあるわよ、決して善意という心の贅肉だけで助け舟を出すなんてしないわよ。士郎の相手になる人が増えてくれるならわたしとしても助かるの。ロンドンでは
「素直じゃないんですから……わたしもどこぞの知らない人より綾子先輩なら喜んで歓迎できます! あ、もしアリバイとかが必要になったらわたし達で作るの手伝いますよ」
「ええ、そうね。娘さんや旦那さんへの対応、必要なことがあったら何でも言ってちょうだい」
二人はそう言うとじっと綾子を見て答えを待つ。じりじりと凛によって延焼された熱が全身に広がり、綾子は正常な思考が出来なくなっていると感じる。一日だけの火遊びをするのにはこれ以上ないほどの好条件だと綾子は思ってしまっていたのだ。そう、あくまで一日だけ、夫もよくしている友人と日々のリフレッシュのため遊びに行くのと同じだ。だから──。
「い、一日だけ…………」
「大丈夫よ綾子。落ち着いてゆっくり話していいのよ」
「愛人関係はなしで……一日だけ、衛宮を借りてもいいか?」
綾子の問いに凛と桜は快く了承する。火照った顔を隠すために俯く綾子を見詰める二人の顔は慈悲深い天使のようにも、また一人こちらに堕ちたと哂う悪魔のようにも見えた。かくして極々平凡な日常を送るはずだった綾子の人生は、二人の魔女に再会したことで平凡とはかけ離れた淫靡な人生に変わることになってしまった。
夕暮れも過ぎ辺りが暗くなった頃、綾子の夫である黒藤は帰路についていた。この時間ならまだ娘の真奈がまだ起きていると思いながら玄関の扉開くと、真奈は元気よく黒藤を出迎えてくた。それだけで黒藤は一日の疲れが吹き飛ぶようだと感じていた。だが、娘は元気良く迎えてくれたのに対し、妻の綾子は何時もと違いどこか上の空だった。
追い焚きで暖かくなった湯に入り、妻の美味しい料理を食した頃に、綾子から黒藤に話があるという。先ほどのこともあり仕事に行っている間に何かあったのかと黒藤は顔を険しくするが、それを見た綾子はそんなに構えることのことじゃないと宥める。
「あーいやいや、そんなおおごとじゃないよ……実は今朝ロンドンに行っていた友人とばったり再開してさ、ほら前に話した遠坂と間桐覚えてる?」
「ああ、もちろん覚えてるよ。遠坂さんと間桐さん、あと衛宮くんだろ? 綾子が穂群原学園での話をすると言ったらこの三人が話題に挙がるからね」
「んっ……そうだったか。他にも藤村先生とか柳洞とかもよく話してたと思うけどな……」
綾子の武勇伝や思い出によく顔を出すのがその三人だった。それだけ穂群原学園での三年が綾子にとって深く根付いているのだろう。黒藤はそれを聞くたびに自分も穂群原学園に通いたかったと思うが、話を聞く限りでも濃い人間関係の中に入っていけるのかという懸念があった。そんな事を考えていた黒藤は気付けなかったが、衛宮と言ったのを聞いた綾子は不意を突かれ驚いたような反応を示していた。
「……話を戻すけど、その二人と会ってさ今日の夜飲まないかって誘われて……明日休みだったよね? 真奈と家のこと任せてもいい?」
「成るほどね……うん、もちろん大丈夫だよ。最近、綾子に真奈のこと任せきりだったからね。こっちの心配はしないで楽しんできなよ、車で送っていこうか?」
「あ、いや……もう少ししたら遠坂達が迎えにくるから、大丈夫……」
そしたら一言くらい挨拶しないとなと黒藤は呟く。妻からよく聞かされる興味深い人達に実際に会えるとなると当事者でもないのにワクワクした気持ちになっていた。この時に綾子の様子が何時もと違うと思っていた心は、久しぶりに会えた友人との団欒を楽しみにしているからと黒藤は納得してしまった。それが最愛の妻が堕ちていくのを引き留めるチャンスだったというのに。
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黒藤と綾子の会話後、玄関のチャイムが鳴ったのはさして間を置かなかった。それまで大人しくしていた真奈は我先にと玄関に向かう。突拍子もなく好奇心を爆発させるやんちゃな娘に苦笑いをしながら追いかけるように黒藤と綾子も続く。真奈が扉を開けるとそこには二人の美女がいた。テレビの向こうで活躍する女優だろうと彼女達が側に立てば霞んでしまうであろうと思ってしまうほどの美貌と存在感だった。二人は扉を開けた真奈と目線を合わせるためしゃがみ込む。
「貴女が真奈ちゃんね? こんばんは、わたしは凛。こっちのお姉ちゃんは桜って言うの。綾子さん……貴女のママの友達よ」
「こ、こんばんは! 初めまして! ママの友達、ですか?」
「そうですよ、真奈ちゃん! 今日は真奈ちゃんのお母さんに用事があって……あ、来ましたね」
三人が話していると綾子と黒藤も玄関に到着する。綾子と付き合ってから彼女一筋である黒藤も凛と桜の美しさに不覚にもドキリとしてしまう。夫の不埒な視線を咎めるかのように綾子は肘を黒藤に当てる。気を取り直して黒藤は彼女達と挨拶を交わす。
「黒藤です。遠坂さんや間桐さんのお噂は綾子からよく聞いております」
「ご丁寧にありがとうございます。わたしも綾子さんから黒藤さんは
「そうであるように努めたいと思っていますが、最近は仕事にかまけて綾子に任せっきりで……」
凛が言葉に含んだ意味を深く捉えず黒藤はそのままの意味で受け取った。言外に娘や家庭にとっては良い父親であるが夫としては不十分と凛は言っていたのだ。家庭の不和には一際注意を払っているが、肝心の妻の内心の不満については気付けなかったのがそれを表していた。
「それもあって綾子も疲れが溜まっているのでなんとかしたいと思っていた時、遠坂さん達からのお誘いは渡りに船でした。今日は妻をよろしくお願いします」
「……ええ、綾子さんのリフレッシュになるように精一杯おもてなしさせてもらいますわ。それじゃあ、綾子さんそろそろ行きましょうか」
「ん、そう、だな……それじゃあ、行ってくる」
綾子は夫と娘に向かってそう言った。黒藤と凛が話していると間、真奈は桜とお喋りしていたので名残惜しそうに桜から離れると彼女達に一時の別れつげる。黒藤もそれに続く。
「いってらっしゃいママ! またね、桜お姉ちゃん、凛お姉ちゃん!」
「いってらっしゃい。久しぶりの息抜き、楽しんできて!」
「っ……! ああ……楽しんでくるよ」
一瞬、綾子は戸惑いを表したがすぐに気持ちを切り替え平静を装う。黒藤がそれに気がつき疑問を投げかける前に綾子達は家を後にした。今の綾子の顔はどういうことだろうと黒藤の中に疑問が浮かび上がっていたのを娘が手を引いたことで中断された。
「パパ、一緒にゲームで遊ぼう! 今日はママがいないからいっぱいゲームできるよ!」
「あーそうだね……うん、久々にゲームでもしようか。でも十時になったら歯を磨いて寝なきゃ駄目だからね」
「えー! 明日は学校が休みなのに……」
真奈は不満を隠さず嫌そうに返事をした。そうして残された夫と娘は居間に戻ろうとする。だが黒藤の中には先の妻との会話で誤った解答をしてしまったんじゃないかというような言い知れぬ不安が心を蝕んでいた。だが黒藤がもはや取り返しのつかない
綾子達が家を出ると前にはここらでは滅多に見ない立派な外車が停まっていた。車に疎い綾子でも名前は聞いたことのある車種で、それは比較的裕福だと自覚している黒藤家でも手を出せない高級車だった。外からは顔は見えなかったがどうやら運転手もいるようだった。
チラリと凛達の顔色を伺っても自慢げな表情では全くなく、普段通りと言った様子で綾子は目を丸くしてしまう。改めて凛達が卒業後、綾子とは別次元の場所で生きているんだと感じながら彼女達に促されるまま車に乗り込む。綾子は車に乗り込むと、外から見えなかった運転手の顔を伺うとあちらも後ろに振り向いたのでエメラルドのような翠眼と視線が合う。その顔を見た綾子は思わず声を挙げてしまう。
「あ! セイバーさん! お久しぶりです!」
「お久しぶりです綾子。覚えていてくれたのですね」
「いやいや、セイバーさんみたいな美人で強い人を忘れるなんてありえないですよ!」
運転席に座っていたのは金髪の髪を後ろで結い上げて、凛としたオーラを放つセイバーと名乗る少女だった。彼女は衛宮の遠い親戚とのことである時期から冬木市に来日していたのだが、遠坂達の留学することになると一緒にロンドンに行ってしまったのだ。その見目麗しい容姿だけでも忘れ難い人物であるが、綾子としてはあの藤村先生に勝利したという話や、ある時に見た彼女の華麗な演舞が記憶に刻まれており一目で分かったのだ。
挨拶もそこそこにセイバーは車を走らせる。セイバーはその見た目からは想像がつかないほどの卓越したドライビングで、綾子は彼女の運転について少々心配していたが、完全に杞憂だったと心の中でセイバーに謝罪する。黒藤家から衛宮邸は車で十分ほどの距離でその間も凛や桜、セイバーと談笑をする。
「あーセイバーさんも
「ええ、そうですよ。シロウはロンドンに行ってからハメを外すようになったと言いますか……凛や桜、ルヴィアの影響で好色家に──」
「ちょっと! そう言うセイバーも原因の一人だからね! 貴方の負けず嫌いのせいで丸一日潰したの忘れたとは言わせないわよ!?」
後ろの席からまくしたてる凛とそれに同意する桜。セイバーは顔を赤らめもごもごと口ごもっていた。綾子はあのセイバーさんが色事に耽るような人物とは思っていなかったので今朝聞いた時も嘘だと思ったが、この反応から本当だったと理解する。
そんなこんなで談笑しているとあっという間に車は衛宮邸に到着していた。いよいよだと思うと夫や子供の姿を思い出してしまい悶々とした気持ちになるが、一日だけのリフレッシュとして意を決した綾子は車から降りると凛達は車に乗ったまま窓から顔を出して綾子に声をかける。
「それじゃわたし達はあっちの家にいるから楽しんでらっしゃい」
「あっちって、遠坂の家の方か……こっちに居なくてもいいのか?」
「わたし達がいると気が散って、思う存分リフレッシュ出来ないでしょ? それにわたしたちも衛宮くんを綾子に任せている間に用事があるからね」
綾子は朝の会話や車内での会話で凛達が帰国したのも今の生業に関係するものがあるらしく、用事とはそれに関係するのだろうと容易に推測できた。彼女達は今の職種が何かというの具体的に話すのを避けているので、もしかしたらやましいことをしているのかと勘ぐりそうになるが、士郎達の性格からそれはないと早々に考えから放棄した。
「そっか、了解。なら今日は衛宮貸切にさせてもらうぞ」
「どうぞどうぞ~。あ、畳や布団は汚しても大丈夫だから気にしないでね」
そう言うと凛はヒラヒラと綾子に手を振る。桜やセイバーも手を振っていたので綾子も手を振る。そうしてセイバーが車を発進させると、暗い夜道に綾子一人が取り残された。綾子は一息つくと衛宮邸の門をくぐり、足を踏みいれる。すると綾子と先程までいた凛達の気配に気が付いたのか家から出てくる男がいた。彼は綾子に気付くと挨拶をするが、彼女の耳には届いていなかった。
赤毛の髪は相変わらずだったが、その身体はかつて見た時よりも逞しく成長しており、身長は180cmはあろうかというほど伸びており、体格もがっしりとしている。その佇まいからも綾子には想像がつかない道を歩んできたのだろう、自信が満ち溢れており綾子は釘付けになってしまう。
だが何より彼が久しぶりの友人に再会した喜びが溢れた笑顔からはかつての彼とはまた違う好青年な表情に、綾子は夫には感じなくなって久しい情動を感じてしまっていた。ぽーっと彼を見詰めていた綾子は、彼のゴツゴツとして男らしい手で肩を軽く叩かれようやく目が覚めた。男──衛宮士郎は心配そうに綾子を見ていた。
「おーい美綴、大丈夫か? どこか具合でも悪いのか?」
「あっ、ああ! 大丈夫、大丈夫……んッ、久しぶりだね衛宮。昔とずいぶん変わったから驚いたよ」
赤毛の青年、衛宮士郎は穂群原学園で最初に会った時、三年に進級した時に比べると別人だと思うほどに朗らかになっており、自然な笑顔の似合う雄々しい青年と成長していた。咳払いをして綾子は心が弾んでいる気持ちを士郎に悟られまいとあくまで平静を取り繕おうとした。
「うーん、そんなに変わったか? まぁ身長は結構伸びたけどさ。美綴……っと今は黒藤だったか、そっちの方がよっぽど変わって見えるけどな」
「美綴でいいよ、そっちの方が衛宮は呼びやすいだろ? まぁ遠坂や間桐、セイバーさんに比べたらあたしゃもうおばさんって感じだろ? はぁー時の流れは残酷だよ」
変わったと言われ綾子は自虐的な言葉を吐いてしまう。その言葉に士郎は呆気を取られたように目を見開く。そんな自嘲する綾子の両肩に士郎は優しく手を置くと諭すように語り始めた。
「いや、そういう意味じゃないぞ。美綴は凄く綺麗になった、それこそ遠坂や桜にだって負けないさ。そんな自分を卑下するなんて美綴らしくないな」
「はぁ、へぇ……? え、衛宮、ロンドンに行ってからおべっかがずいぶん上手くなったじゃないか……」
「おべっかじゃない。化粧や香水でお洒落するようになっていて、凄く魅力的になったよ。今の美綴、俺は好きだな」
士郎に口説き文句染みたことを言われ言葉に詰まったのを悟られまいと綾子は皮肉を返してしまったが、彼は尚も綾子がいかに綺麗になったかを語る。その言葉は綾子にとって夫の口から言って欲しかった何よりの言葉だった。綾子は嬉しさや気恥ずかしさを悟られまいと、口ごもりながらも言葉を返す。
「っ♡……噂違わぬ女たらしっぷりだな。まったく藤村先生が知ったら何を言うやら」
「藤ねえに言うのは簡便してくれよ。まぁ立ち話もなんだから家に入ろうか」
「ん、そうだな……おじゃまします」
そう言って綾子は士郎に続いて彼の家に入る。昼間と違いしんと静まった空間は二人の男女以外はいないと思い知らされるようで、綾子の自分の中から響く心臓の鼓動が酷くうるさく聞こえた。夫からもらえなかった言葉を受け綾子はここ数年忘れていた感情の昂りを感じており、辛抱たまらなくなっていた。士郎は綾子を居間に案内すると声をかける。
「ちょっと居間で待っててくれ。シャワー浴びてくるから──」
「そういうのいいから。……早くヤろう♡」
「──ああ。正直俺も我慢の限界だったんだ、寝室に行こう」
風呂場に行こうとする士郎の腕を綾子は掴み制止する。ありのままの気持ちを伝える綾子、彼女がそうであったように士郎も久しぶりにあった級友の成長にドキドキとしていた。士郎は凛達から綾子の事情を聞き綾子にも何か原因があるのかと思ったが、かつての彼女より美しく磨きあがった姿を見てそれは吹き飛んだ。
胸は学生時代より大きく実り士郎の知る最も巨乳の人物としてルヴィアと同等以上と感じ、尻は大きくきゅっと締まっておりまた魅了的だった。化粧や服装も流行おそえているのが分かりこれでも振り向かない夫に対して士郎は憤りを感じてしまった。だからこそ今日は己が今までに培った技術の全てを持って綾子に向き合うことを衛宮士郎は誓う。そして二人は居間から再度移動を始める。
静寂の中、士郎と綾子は目的地である寝室に向かう。目的地に着き襖を開くと室内には香が焚いてあった、こう言った物には疎い綾子だが不快感はなく、むしろ気分が高揚するようだった。寝室に入り襖を閉めると狭い室内には淫らな感情を隠さぬ二人の男女と、一組の布団があった。当人以外の準備は万端だったのを確認した二人はどちらともな服を脱ぎ捨て、下着だけになる。
一端の武人として、一匹の雌として、綾子は目の前に晒された士郎の鍛え抜かれた鋼の肉体に見惚れてしまう。かつて士郎が弓道部にいた際、礼射で見た上半身の肉体に感銘を受けたものだが、その時以上に引き締まっており、更におそらく彼の現在の生業に関わっているのか古傷の後が残っていた。普通の人が見ればその筋の者という恐怖を感じるかもしれなかったが、武を志す者として綾子はその傷跡から士郎のこれまでの戦いを夢想し感嘆の息が漏れ出る。更に顔を下に向けると下穿きを突き破らんとばかりに主張する突起があり、その大きさ、太さがありありと想像できた。
また士郎も綾子の麗しい玉体を見た感動で言葉が出なかった。子を産んだとは思えぬほどに綾子の体は引き締まっており、シミ一つない雪のような肌もまた魅惑的でますます彼女の夫が夢中にならない理由が士郎には分からなかった。そんな美しい体を惹きたてるかのように下着も工夫されていた。乳首や秘裂等の秘部にあたる箇所に穴が開いており着用したままでも性行為に支障をきさない一品だった。いわゆる勝負下着というもので士郎は知る由もなかったが、夫のために買ったのだが興味を引けなく長い間タンスの肥やしになっていたのを、今回引っ張り出してきたのだ。
「おぉぉ……衛宮の筋肉凄いな。さ、触ってもいいか?」
「ん、構わないぞ。……美綴のそれは勝負下着か、よく似合っている。俺好みだ」
「っ♡ ふ、ふーん、そうなのか……気になるならもっと近くで見てもいいぞ……♡」
綾子がそう言うと二人は見詰め合うように、抱き合うように、互いの体を愛撫していく。士郎は慣れた手付きで綾子の胸、尻を中心的に愛撫していく。ゴツゴツとした手で弄られ悩ましい声を漏らしながら、綾子も夫の中肉中背の平凡な体と違い研ぎ澄まされた鉄の肉体を撫で始める。だがそれを妨げるかのように綾子の臍に押しつけられる男根に目を奪われる。
夫以外との男性経験のない綾子にも容易に察することが出来るほどに士郎の男根は常人離れしていると感じ取れた。恐る恐る綾子は士郎の男根を下穿きの上から触れる。触れた瞬間、綾子の指先には熱を感じた。興奮していることによる錯覚なのかもしれなかったが、それほどまでに夫の生ぬるいモノとの違いを心体で感じた。綾子は無意識に士郎の肉棒を爪先でカリカリと弄りながら、からかうように衛宮に声をかける。
「筋肉もそうだが、こっちもずいぶん膨らんでいるな♡ そんなにあたしの勝負下着がお気にめしたか?」
「ああ、さっきも言ったが美綴が魅力的するぎるからな。ここまで興奮するのは久しぶりだ」
「おまっ、馬鹿正直に言うなよ……♡」
愚直なセリフだったが、夫から相手にされず女としての自身を無くしていた綾子には効果抜群だった。故に言葉、体で自分が魅力的だと示してくれた士郎に綾子が好ましく思ってしまうのも当然の摂理だった。その感情を自覚してしまった綾子は自然と彼に尽くしてあいげたいと思うと、下穿きを降ろし閉じ込められていた男根を解放する。勢い良く飛び出した男根に綾子は恍惚とした笑みを浮かべてしまう。
「これが衛宮の……凄く、大きいな……♡ さ、触るぞ♡」
「美綴にそう言われるとなんだかムズムズするな……痛くしないでくれよ」
日頃、凛々しい女傑である綾子がそうなってしまうほどに士郎の肉棒は雄々しく立派だった。長く20cmは優に超える長さに張り巡らされた血管は浮き出るほどに勃起しており、綾子が指でなぞるとピクピクと反応を示す。カリ首は鋭くまるで鏃のようで、これで数多の美女を撃ち堕とすしてきたのが見ただけで理解できる逸品だった。こうして品定めするほどに夫が勝る部分が全くないと綾子は嫌でも分からされた。
そして綾子は緊張しながら士郎の男根を手で包み込むように掴む、下穿き越しでなく直接触れたことから、より自身を求める雄の熱を感じ、一層自分も熱くなるのを感じた。綾子はゆっくりと手を動かし男根や精液の詰まったパンパンの陰嚢にも刺激を与える。士郎もしっかりと感じている様で、顔を紅潮させて荒い息を吐き出す。だが士郎も黙ってやられっぱなしでは終わらなかった。
「くっ……! やるな美綴……! けど、今日はリフレッシュのために来たんだから俺に任せてくれ」
「っ!? あ、ひゃっ♡ うぅっ♡ い、いきなり触るのはずるいぞっ♡」
士郎も綾子の胸や濡れそぼった蜜壺、クリトリスを指で弄り始める。士郎は夫の拙い手つきと違いこちらの反応を見ながら調整し、いかに気持ちよくさせるかを考えているプロの手口だった。快楽で溢れる粘液が太ももを伝うのを感じ喘ぎ悶えながらも綾子は士郎の男根をシゴキ続ける。ここで相手のなすがままにイッてしまえば負けだと思ったからだ。
「美綴、そろそろ限界じゃないか? さっきから中に挿れた指が凄く吸い付かれるぞ」
「はぁはぁ……まさかぁ♡ ふぅふぅ♡ まだまだあたしは大丈夫だけど♡ 衛宮こそ出したくてたまらないんじゃないの♡」
「そうか……ならもっと激しくしても大丈夫そうだな」
あくまで強気な態度の綾子だったが、幾多の経験や優れた心眼から士郎は綾子の態度を強がりだと察知した。ならばと士郎はラストスパートをかけるべく指の動きを激しくした。
「ぇ……っ!? お゛ぉっっっ♡ ま、まってぇ──あ、あぁぁっっぁ〜〜〜♡」
「美綴は我慢しすぎだ。今日はリフレッシュするためにここに来たんだろ? 今まで我慢した分、思いっきりイっていいんだぞ」
「はぁ、はぁ♡ イクッ、もうイクッ〜〜♡♡♡」
士郎の指が蜜壺の天井を撫でると同時に綾子は久方ぶりの絶頂を迎える。綾子は目の前の噴水の様な潮吹きを呆然と眺めてしまう。夫した時にはこうはならないので綾子はそれほどまでに溜まっていたのかぼんやりと思った。足腰もままならず布団に倒れる、綾子を士郎は達成感に満ちた顔で見守っていた。
暫くの間、綾子は絶頂の余韻に浸っていたが、唐突に枕に顔をうずめて、駄々をこねる子供の様に足をバタバタさせる。士郎は何かあったのかと声をかける。
「お、おい美綴どうした──」
「……くっそぉー衛宮より先にイッちゃったー! 衛宮との勝負は絶対勝ちたかったのにー!」
「なんでさ。別に勝った負けたじゃないだろ……ああ、でもその方が美綴らしいかもな」
綾子は士郎との勝負だと思っていたので先にイッてしまったのが悔しかったのだ。勝負ごとになると煩くなる綾子の姿は昔と同じように見えた士郎はらしいと口に出してしまった。
「む、今朝遠坂にも言われたけどそんなに変わっているように見えたのか?」
「ああ、なんだか良く言えば落ち着いたように、悪くいえば自分に自信がないように見えたな。だから昔みたいな姿を見て安心したよ」
「自信か、言われてみれば最近なくなっていた気がするな……だけど衛宮のおかで少しは取り戻せたのかもな、ありがとうな衛宮」
そう言って綾子は衛宮に笑いかける。綾子は夫を再び振り向かせるため化粧や体型維持を努力していたが、夫は気にも留めなかった。だが士郎は綾子の努力に目を向け言葉や態度、肉体で証明した。それだけのことだが、綾子にとって何よりもほしかったものを送ったのである。
はにかむ衛宮を見て綾子は自分のリフレッシュのために来たが、衛宮にも楽しんでもらいたいと強く思った。思い立ったら行動に移そうと綾子は先ほどから、そり立っている士郎の男根を胸で挟み込む。
「美綴っ!? そこまでしてなくても……」
「いいんだよ、あたしがやりたいと思ったことなんだから♡ 今日はあたしに付き合ってくれるんだろ?」
「そうだけど……くぅっ!」
あくまで綾子の気分転換が目的のため士郎は遠慮しようとするが、胸で男根を圧迫され押し切られる。然しもの士郎も桜以上の巨乳によるパイズリには圧巻で快感によるため息を漏らしてしまう。夫にした時と違い胸で完全に隠れていない士郎の巨根に綾子は驚きつつも、やりがいがあると微笑む。
綾子は唾を胸の谷間に流し込み即席のローションにする。柔らかくも押し込むと確かな弾力で男根を刺激する胸圧に、士郎は息も絶え絶えだった。更に追い討ちをかけるように綾子は亀頭を舌で突き、舐め上げたりと刺激を加える。手コキによって射精感が高められていたのもあり、士郎はほどなく限界を迎える。
「はぁはぁ、美綴もう出そうだから離れてくれ……」
「うん? ふふ、そうかそうか♡ なら最後の仕上げといくか♡」
「何を──く、あぁぁっ!?」
最後の仕上げと言った綾子は士郎の亀頭に口付けをすると、一気に口に咥え込み吸い上げる。まさか綾子がそこまでやるとは思っていなかった士郎は心の準備が出来ておらず、なすがままにディープ・スロートを受ける。瞬間、綾子の喉に白濁とした精液が叩きつけるように発射される。
士郎の精液は喉を伝わり、綾子の腹の中に侵入する。その精液の濃さ、量、長さ、匂いは言うなれば英雄とその他大衆と思ってしまうほどに夫と士郎では格の違いがあり、士郎の方が上質だった。綾子は口をすぼめ飲み込んでいると士郎があわてて声をかける。
「あ、おい美綴大丈夫か!? 飲まないで吐き捨てていいんだぞ」
「んー♡ だいひょうぶ♡ えみやのならのめそうやから♡」
綾子は口に男根を咥えながら問題ないと答える。実際、夫の量も少なく、薄い精液は飲み込もうとしても吐き出してしまうほどだったが、士郎のは逆にもっと欲しいと臍の奥から欲するようで難なく飲み続けられた。
尿道に残っていた精液を飲み干すと、綾子はようやく男根から口を離す。だが士郎の男根はなお求めるかのように勃起しており、ピクピクと痙攣を繰り返す。綾子は惚れ惚れとする気持ちであった。
「まさか美綴にフェラをしてもらえるとは思ってなかったよ、あまり人と比べるのはどうかと思うが一、二を争うほどに気持ちよかった」
「ほーそうか、そうか……♡ 衛宮も女を誑かす言葉が上手くなったものだね……♡」
「誑かすとかじゃなくて、本心からそう思った。それだけだぞ」
それが一番タチが悪いと綾子は思った。士郎の相手に遠坂達が見知らぬ女を宛がうのを警戒する気持ちを綾子は理解する。そんな女性にとって魅力的な雄を今日は自分だけが独占できると思うと綾子は自分の内に秘めていた“熱”が昂るのを感じた。そう思ってしまったらもう歯止めはかからなかった。
「ふぅー♡ ねぇ、衛宮。そろそろ本番しようか……♡」
「っ……! 分かった、今ゴム付けるから──」
「
士郎がゴムを取りに布団から離れようとしたので、綾子は衛宮の腕を掴み呟いた。ギョッとした表情で士郎は綾子を見詰めるが、士郎自身もそれを望んでいたと綾子は見抜いた。もはや言葉はいらないとばかりに綾子は布団に仰向きに寝転がると、士郎に見えるように秘裂を指で開き淫乱な誘いをする。
「衛宮のでっかいチンポであたしのここ、全部埋めてくれ……♡」
「美綴……っ! そんな風にお願いされて断れる男がいないぞ!」
士郎は綾子に覆いかぶさると男根を淫らな蜜を垂らしている蜜壷に宛がう。子持ちとは思えぬほどにキツい膣中に、傷つけぬようにゆっくりと士郎の男根が潜入する。二人の息が荒くなるにつれて突き進み、中腹あたりが限界だった夫の記録を塗り替え、ついに士郎の肉棒は今までどの雄もたどり着けなかった綾子の最奥、子宮口と男根が接触する。
「はぁぁっ~~♡ 衛宮の熱いのが、奥まで入ってるっ……♡」
「くっ! 美綴の中、すごい締め付けだっ……本当に一児の母とは思えないっ……!」
「ふぅ♡ ふぅ♡ 衛宮のがデカすぎるんだよ……♡ あたしは平気だから、ガンガン動けよえ・み・やぁ♡」
綾子の淫らな誘いに衛宮の理性は吹き飛ぶ。まるで
士郎もまた綾子の名器に歯を食いしばらねば、今にも果てそうな様子であった。だが、士郎は凛や今までの会話や様子から何時も夫が先にイッてしまい綾子は絶頂してことがないことを理解していた。故に士郎は綾子が満足するまでは絶対に射精しないと決意を固くして行為に勤しむ。
「はぁっ♡ あぁっ♡ くぅぅっ♡ えみやの、すごすぎるぅっ♡ もっと♡ もっとっ♡」
「ふぅふぅ……美綴っ!」
「んぅっ!? ぢゅっ♡ れろっ♡ じゅるっ♡ ちゅっぱ♡」
綾子の淫靡な喘ぎ声、体をがっちりと抱きつくようにくっ付き密着する瑞々しい肌、その全てが士郎を魅惑する。士郎は辛抱たまらないと言った声を上げて綾子にキスをする。記憶にある限り夫以外との異性とは始めてのキスに綾子は驚き固まる。しかし固く結んだ唇に触れる士郎の舌を感じると綾子はそれを受け入れるように唇を開けてしまう。
交尾する蛇のように絡み合う二対の舌。途方もない充実感の中、上も下も繋がることで全身に熱が広がり満たされていくのを綾子は感じていた。士郎も膣内の痙攣の仕方からそろそろ絶頂が近いことを察知する。
「はぁはぁ、美綴っ! 全部っ、中に出すぞっ!」
「うん♡ はぁっ♡ はぁっ♡ ぜんぶ、だしてぇ♡ わたしも、いきそうだからぁ♡ えみやも、いっしょにぃ──ぁっ~~♡♡♡」
瞬間、士郎の男根が綾子の子袋の入り口に突き刺さり綾子は人生で始めての絶頂を経験する。それは武道の大会で優勝を果たした時の興奮とも違う、快感が綾子の中に溢れ出る。
一際大きい痙攣と共に膣内が強く締め上げられ、射精を促す。ぐつぐつとマグマのように煮え滾り、陰嚢で作られていた熱い精液が亀頭に上り詰め、綾子の内を全て己の色で染め上げんと
ドクン、ドクンと鳴っているかのような大量の射精は綾子の中に納まりきらず外に溢れ、綾子の絶頂による潮吹きと共に布団を汚していく。もはや夫と比べるなどの明々白々な思考はなく、綾子は絶頂と中に出された精液の熱による余韻を味わっていた。ほどなく射精を終えた士郎は男根を綾子から抜き、横に転がると話しを切り出す。
「ふぅ……美綴、満足できたか?」
「ああ、始めてあたし絶頂したかも。今は凄く心地いい気持ちだよ、ありがとな衛宮…………んっ?」
「あっ、そのーこれはだな……」
綾子は士郎との会話中にふと下半身の方に顔を向けると、士郎の男根は今だ雄々しく勃ち上がっていた。目測で100mlは出したかというほどの射精をしたというのにまだ勃起しているなんてと綾子は驚き、笑い出す。
「まじか、まだ勃ってるのか!? 遠坂達の言ってた一日じゅうヤッったてのは本当だな、こりゃ!」
「いやいや、それは流石に誇張しているぞ……本当は半日くらいだ」
「半日でもとんでもないバケモノ性人だと思うけどね、あたしゃ。まぁ、でもそういうことなら……続き、しようか♡」
そう言うと綾子は士郎に跨り、挑発的で且つ淫欲に満ちたよ笑みを浮かべる。窓紙から漏れる月明かりだけ部屋を照らすだすその姿は淫魔のようだったと後の士郎は語る。
「あたしも衛宮に勝つまでヤらないと気がすまないからさ。今日は寝かせないよ、衛宮♡」
「そう言うのは
かつては弓で競い合った二人の決戦が始まる。苛烈極まるその勝負は月が沈み陽が昇った後も続いた。
からっと澄み渡った大空を見て夏が近くなったと感じる今日日、衛宮邸の玄関前では凛と桜が揃って苦笑いをしていた。原因はほんの数分前で聞こえていた
「正直、舐めてたわね。士郎を相手にしてまだヤッてるなんて……念のため敷地外に音が漏れないように結界を施しておいて正解ね」
「結界がなかったら近所中からクレームが来てたかもしれないですね……それだけ綾子先輩が元気になったと思えば良かった、ですよね?」
「ま、まぁそうね。リフレッシュ出来てるみたいだし……」
桜の問いに凛はぎこちなく頷く。凛達が迎えに来た朝の九時頃まで綾子と士郎はヤっているのだ。凛達もそこまで欲求不満が溜まっていると思わなかったのでこの惨状には苦笑いを隠せなかった。だが凛はむしろ好都合かもしれないと考えを改める。
「そうね……性欲だけは大英雄に匹敵する衛宮くんの相手をここまで出来るなら、やっぱり綾子に愛人関係になってもらえると助かるわね……」
「わたしは賛成です! セイバーさんも姉さんもそうじゃないですか?」
「まぁ、わたしも綾子なら良いかなと思っているわ。うん、それじゃセイバーにも一度話してみようかしら……まだ終わりそうにないし」
二人の会話中、止まったと思っていた嬌声が再び鳴り始めていた。これには桜や凛も盛りのついた猿かと言いたくなってしまう。心に浮かんだ言葉をぐっと堪えて二人は玄関先で待たせていた車に戻り時間を潰すことにした。
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一方その頃の衛宮邸では、深夜から早朝を過ぎようとも士郎と綾子は一心不乱に互いを貪りあっていた。布団のみならず壁や床、いたる所が二人の液体で汚れ、淫らな匂いが部屋に篭っていた。士郎と綾子は最早、目の前の相手しか見えなくなっており、時の流れなどは微塵も気にしていなかった。現在は深夜行われた激しい行為とは打って変わって全身繋がったままゆっくりと愛撫する、いわゆるスローセックスを行なっていた。
「んっ♡ ふぅ♡ はぁぁ~~♡ これクセになりそうだ♡」
「何事も緩急が重要ってことだな、美綴が気に入って良かったよ……っ!」
そう言いながら士郎はゆっくりと腰を動かす。士郎の形に整えられた膣道を通り子袋を突くと、綾子は心地よい湯に入った時のようなため息をつく。実際、綾子は今まで満たされていなかったものが充実したこの瞬間を堪能していた。それを引き裂くように耳障りな電子音が突然、部屋に鳴り響く。
「電話の音……俺のじゃないな、美綴のか?」
「はぁぁ~? 今良いところなのに……あっ!」
着信を聞いた士郎は綾子から離れ音の発信源を指差す。士郎との蜜月の時を邪魔された綾子は苛立ちを隠さず電話を取りにいく。画面に表示されていた黒藤の文字に綾子は一瞬にして現実に戻される。考えないようにしていた罪悪感が綾子にのしかかる。綾子は覚束ない手で応答をタッチする。
「もしもし綾子? もしかして、まだ眠っていたのかい?」
「えっ、あーうん。昨日、寝るのが遅かったから……どうかしたの?」
「実は真奈が外にご飯を食べに行きたいって言ってきかなくてね。もう正午だけど綾子はそっちで昼食を取るのかい?」
正午──そう聞いた綾子は時計をチラリと見ると、確かに時計の針は十一を刺していた。まさか昨夜から今日の正午まで行為に及んでいたとは思っていなかった綾子はゾっとしてしまう。そこまで自分の欲求不満が溜まっていたのにも驚いたが、電話が来るまで家のことをすっかり忘れ士郎との性行為に溺れてしまった自分に恐怖の感情を抱く。今すぐ帰らなければ、そう思うや否や綾子は服をかき集めながら夫との電話を続ける。
「いや、もう帰るところ! あたしのことは気にしないで外食楽しんできて……」
「うーん、遠坂さん達が迷惑じゃないなら、綾子もゆっくりしていいんじゃないかい? 体調が悪いからすぐに帰るってことなら、僕が迎えに行っても大丈夫だよ?」
「大丈夫、一人で帰れるから……本当に気にしないで」
そう綾子は言ったが、不安が拭えない黒藤はその後もいくつかの門答を綾子と繰り返しす。だが頑な態度を崩さない綾子に根負けして黒藤は電話を切る。士郎は電話が切れたことを確認すると綾子に話しかける。
「美綴、大丈夫か……? 帰るならその前にシャワーを浴びてからでも──」
「急にごめん衛宮。だけどこれ以上ここにいたら、あたしはもう戻れなくなる……リフレッシュに付き合ってくれてありがとう」
「……そうか。少しでも美綴の力になれたなら何よりだよ。ああ、部屋のこととかは気にしないでくれ、遠坂達とで慣れっこだからさ」
士郎はそう綾子に微笑む。その顔を直視できない綾子は会釈をして、そそくさと士郎の部屋から出る。先程までの極楽にいるような気持ちから今の地獄に落ちたような感情の落差に、綾子は苦虫を噛み潰したような気持ちだった。廊下を歩く足が不意に止まることがあったが、綾子は何とか足を踏み出し家を出ようとした。
綾子が衛宮邸の玄関から出ると、そこには昨夜ここまで送ってもらった時と同じ車があった。綾子を確認した遠坂が車から降りてくる。綾子の暗い表情から遠坂は予想外と言わんばかりの表情で駆け寄ってくる。
「綾子、大丈夫? もしかして士郎とじゃ満足できなかった?」
「いや、満足はできたよ……でもこれ以上衛宮としたら──いや、なんでもない。とにかく帰るよ、衛宮を貸してくれてありがとうな」
「……そういうことね。うん、満足したなら良かったわ! 家に帰るなら送っていくから車に乗りなさいよ、遠慮しなくていいのよ」
綾子は一瞬、凛が見せた黒い笑みに鳥肌が立つような感覚を覚える。だが次の瞬間には元の凛とした表情だったので疲れによる錯覚かと綾子は思おうとした。凛が送っていくと申し出てくれたがシャワーも浴びずに出てきたので臭いからとの理由で断ろうとするが、頑なさでは凛のほうが上手で綾子は結局乗せられてしまった。
その後、車の中では士郎との浮気はまるでなかったかのように会話は進み綾子としては安心したが、どうにも凛がしたように見えた黒い笑みが気になりどこか上の空になってしまった。そんな空気の中、十分ほどの走行で綾子は自宅に帰ってくることができた。
「遠坂、間桐、セイバーさん。送ってくれて助かった……次は普通にお茶会でもしような」
「いいわね、それ。暫くは冬木を拠点に活動しようと思っているから、気軽に何時でも遊びに来てね」
「そうですね! 綾子先輩が来てくれると賑やかになりますから、是非来てください!」
「ええ、私も綾子ともっと話したかったので次のお茶会が楽しみです」
三者三様別れの挨拶を済ませると、車は綾子を置いて走り出す。綾子は車が見えなくなるまで手を振り、やがて見えなくなると綾子は住み慣れた家の中に入った。そしてどこか懐かしさを感じてしまうソファに座り、一連の出来事を振り返る。
一日だけのリフレッシュは大成功と言って良いほど綾子は満足した。士郎という沼に嵌りそうにはなってしまったが、それも寸前の所で思い留まることができた、最後の一線は踏み越えなかったのだ。
「満足したから、もう……大丈夫なはずだ」
だが綾子は自分の中で今だ燻っている火種を見ないことにした。それは触れてはいけないものだと直感で理解できたからだ。
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綾子を降ろし走り去った直後、桜は綾子が見えなくなるまで振っていた手をおろすと、横で士郎と連絡を取っていた凛に話しかける。
「姉さん、どうして綾子先輩に愛人関係の提案を言わなかったんですか? 帰り際にわたしから話すって言っていたのに」
「そうね。綾子の様子から、あの場でわたしの口から言っても拒絶される可能性が高いと思ったの。だから時間はかかるけど、別の方法でアプローチを仕かけるわ」
凛は当初の予定通り、綾子に士郎との愛人関係(セフレ)にならないかと提案するつもりだった。だが、綾子の夫からの電話によって罪悪感が呼び戻され、妻であるための最後の一線を踏み外さないようと決意を固めてしまった。凛は綾子の頑なな態度から断られる可能性が高いと思い、手段を変えることにしたのだ。
「別のアプローチ……?」
「ええ、門や城壁を固められたら外から崩すのは容易じゃないでしょ? なら内側から、つまり綾子自身から望んで愛人関係になってもらうのが効率的だと思ったのよ」
「ふむ、戦術としては一理ありますね。して方法は決めているのですか?」
桜の問いに頷きながら凛は考えを話す。その話にセイバーも凛も一定の同意を示すが、肝心の方法はどうなのかとセイバーは凛に問いかける。凛はそんな大仰なものじゃないけどと前置きをしてから答える。
「まぁ伝統的な作戦よ。桜には岩戸隠れって言えば分かるわよね?」
「ああ、なるほど……シンプルな作戦ですね。けど変に凝るよりは効果があるかも」
「作戦が決まっているなら私から言うことはありません。なにか手伝えることはありますか、凛?」
「そう言ってくれると思ってたわセイバー! と言ってもやることは何時もと変わらないわ」
セイバーの言葉に凛は言質を取ったとはいわんばかりに同意する凛。セイバーは迂闊な言葉を発してしまったと若干の後悔をするが、後の祭りであった。
──────
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綾子が士郎との一夜を経験してから早くも一週間が過ぎていた。一日だけと言い訳をしても浮気をしてしまったという負い目から綾子は今まで以上に家事をこなし、夫に良くしようとした。それが功を奏したのか夫が飲み会に行くのも以前ほど落ち着き家にいることが多くなった。相変わらず夜の性活や綾子のおしゃれには疎かだったの唯一の欠点だった。
(まぁあの出来事のおかげかそこまで気にしなくなったのは、良いことなのかな……)
以前なら自分が悪いのかと自問して落ち込んでいたかもしれなかったが、士郎から己の魅了を身体ともに証明してもらったことで綾子は自信を取り戻していた。それもあってか最近はママ友やたまに顔を出す道場でも綺麗になったともっぱらの評判だった。
そんな折、綾子の携帯に凛から写真が送られてきた。綾子は何時もの桜達との食事風景の写真等かなと思い居間で開く。だが綾子の予想とは裏腹に写っていたのは、屈強な下半身を露出した男性、忘れ難い天を貫かんばかりに勃起する雄々しい男根、それに傅きピースをする友人達の写真だった。あまりの衝撃に綾子は思わず携帯が床に落ち鈍い音が鳴る。それに気付いた夫の黒藤は携帯を拾おうとする。
「綾子、どうしたんだい? スマホを落とすなんて、嫌な物でも見たのかい?」
「ああ、拾わなくていいよ! ちょっと驚いただけだから」
綾子の手は間一髪、夫の手より早く落ちた携帯を掴む。写真が彼には見えないように携帯を自身の側に寄せる。黒藤は怪訝な顔するがそれ以上は追求してこなかった。改めて画面に表示された写真を見るが、見間違いなどではなかった。
(遠坂の奴、いきなりこんなものを送ってくるなんて……この男は、衛宮だよな。相変わらずでかいなぁ……って何を考えているんだあたしは)
(遠坂と間桐もこの感じは何回かした後か……? ラーブラーブって感じだなぁ。全く嫌味を言いたくなるくらいにお熱いねぇ……)
綾子は写真に映る士郎の男根に改めてその大きさに感心してしまう。凛と桜は情交の後故か肌が火照っているように赤くなっていた。つい一週間前に自分がその身で体験したからこそ、その激しさがありありと想像できた。
そんな風に綾子はジロジロと写真を眺めていると、送った張本人である凛から電話が来た。綾子は何となしに夫から離れて電話に出る。後ろから恐らく桜のくぐもった嬌声と肉と肉がぶつかり合う音、愛液による淫らな音が響いていた。綾子は夫や娘に聞こえないように凛へ話を切り出す。
「おい、遠坂あの写真は何だ! 間違ったってわけじゃないよな!?」
「ええ、間違いじゃないわよ……綾子にお裾分けしようと思って送ったの」
お裾分け。綾子は少し息切れしているような凛の言葉に言葉を詰まらせる。これを出しに一人で自慰をしろということなのかと毒突きたくなる綾子。呼吸を整えた凛は続けて語りだす。
「衛宮くんとの情事なんて忘れ難いとは思うけど、やっぱり写真とか映像がある方が捗るでしょ? 綾子、そろそろ溜まってきたんじゃない?」
「ぐぅ……! よ、余計なお世話だ! たっく、遠坂がこんな破廉恥な奴になるなんて過去のあたしやあんたに言っても信じないだろうなぁ……」
「確かにわたしもここまで嵌るとは思ってなかったわ。 あ! 桜がダウンしちゃったからそろそろ切るわね。また良いのが撮れたら送るわねー」
「うぇっ!? ちょっ、待っ──切るの早すぎだろ……はぁぁ~~」
通話先から絶頂したと思わしき甲高い声が響くと凛は一方的に通話を切ろうとする。また写真を送るというので綾子はそれを辞めさせようするも、凛は通話は切ってしまう。後には行き場の失った感情を抱えた女だけが取り残された。
凛の予測は正しく綾子の中の“熱”が昂っているのを日に日に強く感じていた。人の性故にか一度満たされるとしまったことからか、綾子はあの時の快楽をまた求めてしまっていた。
それは日常生活を送っている時にも影響があり、例えば食材を見て士郎の男根と大きさを比べてしまう典型的なものや、年を取って飲み会が多くなり運動もしなくなってだらしなくなってしまった夫の体と、筋骨隆々の武人と呼ぶに相応しい士郎の肉体美との落差にがっかりしてしまうと言ったことが多くなっていた。
あの日、士郎との蜜月を中断してこの家に帰ってきてから、忘れようと勤めていた火種が燃え上がるのを感じていた。綾子はトイレに移動すると送られてきた写真を再び開く。夫から与えられなかった熱を与えてくれた逞しい男根を見ると、臍の奥底から熱くなるのを綾子は感じた。ズボンや下着を脱ぎ捨て、綾子は既に濡れそぼっていた秘所を指で弄り始める。
「んっ♡ はぁ♡ あぁぁ、衛宮……♡」
声を押し殺し綾子は夫以外の名を呼びながら自身を慰める。蜜壷からはだらだらと無尽かと思うほどに淫液が流れ、指を濡らした。少しでも熱を下げるための行為は娘がトイレから出る催促をするまで続いていた。
後日、凛は予告通り綾子の携帯に士郎とのハメ取りやショート動画を送ってくるようになった。内容は様々で半日分の映像を切り抜き編集したと思われる乱交動画、セイバーと凛の同時フェラ、桜を挟みペニスバンドを装着した凛と士郎が同時に攻める3P等々、不定期に送られてくる情交に綾子の心は大きくかき乱された。自分もあんな風に──そう思い自分を慰める日々が数週間続き、綾子は限界を迎えた。
翌日、その日は祝日のだったため会社や学校が休みとなり夫や娘はゆっくりと朝食を楽しんでいた。そんな中、綾子はある話を切り出した。
「……今日、遠坂の家にご飯食べに行くことになったらから、夜は好きな物を頼んでくれ。真奈はあんまり夜更かしないように」
「好きな物頼んでいいの! やったー! ママ楽しんできてねー!」
「急な話だね……僕は今日と明日は付き合いがないから大丈夫だよ。ゆっくり楽しんできなよ」
突然の申し出にも夫と娘は快く綾子を送り出す。限界を迎えた昨夜、綾子は凛に遊びに行っていいかと連絡を入れると、待ってましたと言わんばかりに凛は快諾する。そんな凛の反応から写真や動画を送ってきたのは自分から言わせるためだったのかと綾子は思い当たるが、今の綾子はそんなことでは止まれなかった。
唯一の気掛かりとして、夫や娘が綾子のこれからしようとしていることを知ったらこうはならないだろうと思うと、罪悪感を覚え辞めなくてはならないと思う気持ちが湧き上がる。それも熱に浮かされた雌の欲情によって蒸発して消えてしまう。
「ありがとう真奈、あなた……楽しんでくるよ」
綾子は自ら底なしの沼に浸かりに行く。妻として人として、超えてはならない一線を越えてしまおうとしていた。夫が
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時刻は夜の七時半頃、夏至でも辺りが暗くなり人通りが少なくなる時間に綾子は衛宮邸に前に立っていた。今回は凛の車ではなく、普通のタクシーでここまで来ていた。凛からの連絡によると家でやることがあるらしく、タクシーを呼んでおくからそれ乗って来てくれと言われたので綾子は言われるがままタクシーに乗り衛宮邸に到着した。
綾子が門をくぐり敷地内に入ると、上擦った嬌声が家の外まで響き渡るのが聞こえた。綾子はそれが女と男が交わっている時に漏れてしまう声だと一瞬で察する。門をくぐる前には一切そんな音は聞こえなかったのにどういうことだと、何時もならそう疑問に思っただろうが、はち切れそうなまでに欲求を募らせていた綾子は己の渇きを潤すためしか頭になかった。
呼び鈴をならそうとする前に玄関の扉は開いているのに気付いた綾子は、熱に犯された頭で扉を開けふらふらと中に入ってしまう。居間の方から喘ぎ声や何やらが漏れていたので、そこを目指して歩みを進める。居間の襖を開けると中ではセイバー、凛、桜、そして士郎が一糸纏わず乱交をしていた。急に襖が開いたので勢いよくそちらを見た士郎は驚いた表情で、凛は待ってましたと言わんばかりに綾子を見て歓迎する。
「み、美綴! どうしてここに!? 遠坂から何も聞いてなかったし、もう来ないと思ってたぞ……」
「ええ、サプライズとして言ってなかったの。待ってたわよ、綾子! 迎えに行けなくてごめんなさいね」
「えっ、ああタクシー呼んでもらったし、平気だよ。それにしてもすごい惨状だな……♡」
そう呟く綾子の目の前にはハメ潰されたのか、精液を秘所から溢れさせ突っ伏している桜、たった今絶頂アクメに達したのか士郎が肉棒を抜くと力なく倒れるセイバー。休憩している凛も肌のてり具合等から事後だというのが容易に推測できた。この常識から外れた異様な光景に普通なら嫌悪しなければならないのだが、綾子はどうしようもなく興奮をしていた。
綾子はその輪に今すぐにでも入りたかったが、以前急に士郎との行為を止めて帰った手前言いづらく、それは士郎も同じで旦那を思って帰った彼女にどう言った対応をしていいか迷っており見合ってしまう。凛はニヤニヤとしてそんな二人を見ており助け舟を出す気はないと綾子は思った。一つ深呼吸をすると、綾子は士郎にも自身の誠意を示すための行動に移る。
「あたしの旦那はさ、優しくて子供思いだし、ずる休みもしないで熱心に仕事に励む良い旦那さんなんだ。でも、あたしのことを女としてはもう見てくれないんだ……“熱”がないんだ」
「美綴……」
「だから衛宮に女として見られて凄く嬉しかったよ……久しぶりに“熱”を感じて、それを糧にこれから頑張っていこうと思ったんだ、まぁここにいる時点でそれが駄目だったのは明らかだけどな」
そう言いながら綾子は床のあちこちに散らかった使用済みのティッシュを拾い上げるとその中に指輪を入れる。良き妻であること、永遠の愛を誓い交換した指輪をゴミとして扱った綾子の覚悟に士郎と凛は息を呑んでしまう。
続けて綾子は着ていた服や下着を脱ぎ捨て生まれたままの姿を士郎の前に晒す。秘所から淫液がまだかまだかと待ち焦がれるかのように床に垂れていた。夫をもつ身でありながら他の男に股を開く姿に士郎はゴクリと喉を鳴らしてしまう。そして綾子全裸の姿で士郎の前に傅き媚を売るかのように希う。
「衛宮……あたしをお前の愛人にしてくれ……いや、愛人にしてください」
「ねぇ衛宮くん、まさかここまで尽くそうとしてくれる女性の頼みを断るなんてしないわよね?」
「むぅ……分かった、分かった! 美綴、俺が旦那さんの分まで相手になる! だから何時も通りに接してくれ!」
そう言って士郎は目の前で傅いていた綾子を起こすと、恋人同士がキスをする直前のような体勢となる。初々しいカップルのように見詰めあう二人の姿に凛は茶化すように口笛を吹く。二人はどちらともなく唇を近づけ、重ね合わせる。開戦の火蓋が切って落とされたかのようにとめどなく相手を求めるように舌を絡めあう。一頻り絡み合うと綾子は唇を士郎から離し彼に告げる。
「衛宮♡ お前の子供、あたしに孕ませてくれ……♡」
こうして黒藤綾子、旧姓美綴綾子は衛宮士郎の愛人となり、平日や休日を問わず衛宮邸に入り浸る様になった。ほぼ毎日暇を見つけては通う様になり流石に夫も怪しく思い始めたが、凛達のアリバイ作りの協力により浮気はバレていなかった。そして次の夜も、そのまた次の夜も、綾子はこの背徳の宴による“熱”に浮かされ淫らな踊りを続けてしまう。いつから来る終わりの時まで。
おまけシーン集:セイバー編
とある日の衛宮邸、この日はセイバーと綾子が士郎の相手となっていた。乱交に慣れたもので幾度かの情交後、士郎、セイバー、綾子は士郎からのある提案により風呂場に移動する。衛宮邸の風呂場はかなりの広さで五人同時に入っても大丈夫なほどだった。凛曰く手狭になるだろうから工事をしたとのことだが、帰ってきてからそんなに月日が経っていないというのにここまで大規模な改修作業は不可能だと思ったが、綾子は自分の中に課したルールとして凛達の秘密に深入りしないと決めたのでスルーすることにした。
閑話休題、そんなこんなで浴室に入ると二人は士郎を椅子に座らせると、前後を綾子とセイバーが挟みこむ形になる。そして二人は体に泡を立たせると、士郎の体に擦れ合わせる。後ろからは愛人になってからより成長した豊満な胸で抱きつく綾子。前方からは聖剣の代わりに士郎の男根を握ることの多くなったセイバーが巧みに刺激を与える。二人の猛攻に士郎は歯を食いしばり射精を堪えている。
「まったく、衛宮も好き者だよな。わざわざこんな手間のかかることを……♡」
「ですが、まんざらでもないと言った顔をしていますよ綾子」
「セイバーさんこそ! ほらほら、どうなんだ衛宮♡ 二人の美女からのソーププレイは♡」
「くぅ……ああ、最高だ……!」
搾り出した士郎の称賛を受けて気を良くした綾子とセイバーは更に激しく攻め立てる。綾子は先日、凛から教えてもらった士郎の弱点である耳を甘噛みしたり、舐め上げ攻め立てる。負けじとセイバーは士郎にディープキスをしながら、両手をオナホになぞらえて男根を刺激する。
負けず嫌いな二人の奉仕はヒートアップし、堪えきれなくなった士郎はたまらず射精してしまう。本日、十数回目の射精にもかかわらず、今だ水鉄砲の如く放出される精液はセイバーの白磁の肌を汚す。セイバーは自分の体に付着した精液を指で掬うと舐め上げる。
「ちゅるっ♡ 相変わらずシロウの精液は濃い……♡」
「むぅー、セイバーさん! 次は前と後ろ交代してやりません? あたしも試したいことあるので!」
「なるほど、良い提案です綾子。シロウ休んでいる暇はありませんよ」
「えっ……あぁっ!」
場所を入れ替わながらセイバーはそう言うと、お尻から士郎の前立腺を刺激する。たまらず士郎も声を漏らしてしまう。綾子も対抗して自慢の胸で士郎の男根を挟み込む。橙と金の湯船が冷めるのはまだまだ掛かりそうであった。
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おまけシーン集:遠坂凛編
「──はい、綾子さんには本当に助けてもらって……え? ああ、綾子さんは今手が離せない状況で……はい、終わったら連絡するように言っておきますね。私もこの後、予定あるので……はい、それでは」
電話を切ると凛は一息つく。相手は綾子の夫である黒藤とであった。綾子は子供のこともあり、まだ離婚はしたくなかったので凛達が協力してアリバイを作っているのだ。当面は凛が立ち上げた事業の手伝いをしてもらっていると黒藤には説明していた。いまの所、浮気等は疑っていないようでそれほど綾子を信じているのか、或いはよっぽど鈍いのか凛には判断がつかなかった。
凛が居間から士郎の寝室に戻ると丁度、1ラウンドが終わった直後だったようで綾子と士郎は布団に寝そべり絶頂の余韻に浸っていた。ゴムが辺りに散らかっており、行為の激しさを物語っていた。凛が帰ってきたのを見ると綾子は起き上がり凛に手を合わせ感謝を示す。
「ああ、遠坂! 電話変わってくれてありがとうな。前といいタイミングが悪いんだよなぁ」
「気にしなくて良いわよ。綾子を引き込んだ手前、アフターケアはしっかりしないとね」
「黒藤さんか……そう言えば前言っていたことは上手くいったのか?」
士郎は綾子と凛が以前、黒藤に対して何やら計画があることを聞いていたが、二人して内緒と言われ教えてもらえなかったのだ。あれから一ヶ月近く経っているので何か成果はあったのかと思い尋ねると、二人は顔を見合わせると凛の許可が降りたのか綾子は語りだす。
「実は旦那の性欲をどうにかできないかと思って遠坂に相談したんだ。遠坂はそう言う方面にもツテがあるらしいからさ」
「むう……なるほど。旦那さんが相手してくれるなら、こんなことしなくていいもんな」
「何々、衛宮くんもしかして、妬いているの~?」
遠坂の茶々に士郎はジロリと睨むように目をやる。元々、人妻と愛人関係を結んでしまっている今の関係は不健全なのだから元鞘に戻れるならそれは一番なのだと士郎は自他に言い聞かせる。それを見て綾子は誤解だと言うように手を振る。
「ああ、違う違う! あたしはもう夫に夜の方は期待してないよ。ただ衛宮との子供が出来ても、今のままだとまずいだろ?」
「あっ……あの時の言葉、本気だったのか」
あの時の綾子は熱に浮かされておりハイテンションだったこともあり、士郎は勢いで言った言葉だと捉えていた。だが綾子は真剣な表情で士郎は本気で言っていたのだと気付く。
「衛宮は、あたしとの子供は嫌か……?」
「そんなわけがない」
綾子の言葉に士郎は首を横に振る。嫌なわけがなかった。最初こそ遠坂達からの頼みで始まった関係であったが、士郎は今では綾子を愛する女性として見てしまっていた。凛は見詰めあったまま黙りこくった二人に変わり話を続ける。
「そう言う事だから夫とのアリバイを作るため、わたしのツテで特製の精力剤を取り寄せたの。どんな淡白な男でもお猿さんにするとびっきりの奴をね」
「……それって大丈夫なのか? 遠坂のツテってことは、そういうことだろ?」
「桜と厳選した歴史のあるところから買い取った物だから安心してちょうだい! 中毒になったり後遺症が残る物じゃないわ」
士郎は凛のツテということから魔術関係の品物ということから常人が使っても大丈夫なのかという疑問が浮かぶ。さらに凛のうっかりしたミスで大惨事になるのではないかといった心配があったが、桜と一緒に選んだという言葉から一先ず安心しても良さそうだと士郎はホッとした。綾子はしみじみと語り始める。
「実際、遠坂が持ってきた精力剤の後遺症は今の所見当たらないよ。効果も絶大で、旦那とあそこまで盛り上がったのは大学以来だったよ……もう遅いけどね。今のあたしは衛宮以外じゃ満足できないよ」
そう言うと綾子は衛宮に向かって自分の秘所を指で開き、誘惑を始める。もはや子や夫への罪悪感を覚えていた頃の綾子はどこにもおらず、ただひたすら士郎との交わりと種を求める淫魔がそこにいた。
「今日、できる日なんだ……衛宮の種、あたしに植え付けてくれ♡」
「──ああ、美綴が望むなら何人でも孕ませてやる」
士郎がそう言うと綾子を抱きかかえると、雄々しい男根を勢い良く秘所に挿入する。所謂、駅弁といわれる体勢で綾子の一番好きな体位であった。がっしりとした肉体に掴まり、なすがままにされるこの体勢は男の力強さを感じさせてくれる点から綾子はお気に入りだった。さらに今日の士郎は綾子を孕ませると意識をしたことからか、特に力が入っておりピストンの勢いやいつも以上に膨張した男根がそれを物語っていた。
恍惚とした表情で綾子は衛宮の挿入を受け入れていると、背後に気配を感じたのも束の間、秘所の反対側、即ちアナルからも衝撃が襲い掛かる。綾子が喘ぎ声を上げながら後ろを見ると、そこには凛が立っていた。下に目をやるとそこにはペニスバンドを装着していた。
「お゛ぉぉっ♡♡♡ り、りん♡ いきなりなにを♡」
「二人だけで盛り上がるなんて、ずるいじゃない。わたしも混ぜなさいよ!」
「ふぅふぅ、遠坂! 美綴はまだ後ろの経験が少ないんだから──」
士郎はまだ後ろを慣らしていない綾子を気遣い凛を制止しようとするが、凛は小刻みに腰を動かすと、その度に綾子は喘ぎ声を上げる。凛はニヤニヤとした笑みをこぼしながら綾子に問いかける。
「あら、綾子は悦んでるみたいだけど……ねぇ、綾子
「くっっ♡ はぁっ♡ このっ♡ あかい♡ あくまっ♡ わかってぇ♡ やってるだろぉ♡」
「美綴って後ろ弱かったんだな……俺も負けてらんないなっ!」
綾子が後ろばかりを気にしていたので士郎は発奮し、更にピストン運動を激しくする。前と後ろ同時に最奥を突かれ綾子は声にならぬ声を上げる。視界に火花が散っているような刺激の連続、綾子は今までの経験で一番と言っていいほどの快楽を叩きつけられていた。
「えみやぁのふくらんでるっ♡ だしてっ♡ えみやのあかちゃんっ♡ はらませてぇぇ♡♡♡」
「全部出すぞ、美綴っっ!!」
衛宮の唸り声と渾身の突きが子宮を穿つ。同時に士郎の男根から溜めに溜めた精液が溢れ出す。綾子は今後これ以上はないというほどのエクスタシーと、士郎の子供を孕んだという確信と共に意識が途切れてしまう。士郎の射精は子宮から溢れ出し床に滴る。それを見た凛もまた綾子が士郎との子供を授かったという確信を不思議と得る。士郎の射精が落ち着くのを見計り凛は綾子に声をかける。
「これは出来たわね、おめでとう綾子……綾子? 気絶してるわね、衛宮くん張り切りすぎよ!」
「なんでさ! 遠坂の乱入も原因の一つだぞ、絶対!」
やいのやいのと気絶した綾子の上で士郎と凛は言い合っていた。当の綾子は気絶していたが、どこか満足気な表情をしていた。そして数週間後、綾子と凛の確信は真実となり、めでたく綾子は懐妊していた。
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おまけシーン集:間桐桜編
懐妊から数ヶ月、士郎達から無理はさせられないと言われ家で安静にしていたのだが、安定期に入ったので気分転換を兼ねて綾子は久しぶりに衛宮邸に足を運んでいた。久しぶりの衛宮邸は相変わらずの様で、綾子は来る前まで乱痴気騒ぎをしていたと察してしまう。
綾子の懐妊に衛宮邸の住人は興味津々で、士郎は初めての自分の子供ということから、凛達女性陣は自分が妊娠した時の後学として様々なことを綾子に聞いていた。ふと思い出したかの様に凛は綾子にあることを話す。
「そう言えば、綾子にはまだ言っていなかったけど、わたし達本格的に冬木を拠点にすることにしたの。綾子を見てそろそろわたし達も子供が欲しいなってね、思ってね」
「おお、そうなのか! こっちでの用事が終わったって連絡があって、ロンドンに戻ると思っていたよ。あたしとしては大歓迎だけどね!」
綾子は凛達が冬木に残ると聞いて、喜びを隠さずにそう言った。落ち着いてきたとはいえ遠坂達がいなくなると、色々な意味で寂しくなるので、綾子としては願ったり叶ったりだった。
「遠坂や間桐、セイバーさんの子供はきっと可愛いだろうねぇー」
「それもあって最近は家に籠っていたんです。先輩も張り切っちゃって、大変でした……」
「そう言う割には嬉しそうな顔には見えるけどねー。あたしが来る直前までヤッてたんでしょ?」
綾子がそう言うと桜は気恥ずかしさから顔を赤らめ頷く。士郎もセイバーも似た様な顔で俯く。唯一、凛だけはあっけらかんとした顔だった。綾子は
「でも丁度良かった。あたしも溜まってるいるからさ……混ぜてもらおうかな♡」
「いやいや、待ってくれ! 美綴は妊婦だろ、安定期とは言え、俺は反対だぞ。……言っておくが、綾子が嫌な訳じゃないぞ!」
「そうですね。私も大事をとって安静にした方が、良いかと思います」
綾子の発言に士郎とセイバーは待ったをかけると桜見頷き、同意を示す。綾子はそのの親身な対応に嬉しく思うが、元から本番をする気は綾子もなかった。そのことを綾子は言葉にする。
「心配してくれて、ありがとう衛宮、間桐、セイバーさん! あたしも流石に今の状態で本番をする気はないよ。あくまで皆のサポートに徹するさ」
「むう……それなら、いいのか?」
「まあまあ、もし何かあってもわたしが何とかするわ。それに……そんなこと言っても衛宮くんの
そう言って凛は隣に座っていた士郎の股間を弄る。どうやら図星だった様で士郎は絶句し、顔を真っ赤にしていた。綾子は士郎に求められていると感じると、もう止まらなかった。
衛宮邸の居間には四人の美女が生まれたままの姿で一人の男、衛宮士郎に奉仕を行っていた。細身でスレンダーな女性、セイバーと凛が士郎の脇を挟み全身を愛撫していた。そして士郎の前で膝を突く桜と綾子は、自慢の巨乳で聳り立つ巨根を挟んでいた。所謂ダブルパイズリと言うものだった。
「わぁ! 綾子先輩、また大きくなったんじゃないですか? やっぱり赤ちゃんが出来ると大きくなるんですね!」
「そう言う桜も、高校の時より大きくなったんじゃないか? ほんと、衛宮は罪作りな男だな。こんなおっぱいの大きくて可愛い後輩が愛人だなんてさ♡」
「むぅ、なんでさ……くっ!」
桜と綾子の豊かな胸によるパイズリは視覚や触覚、穂村原学園が誇る巨乳の代表格を独占しているという優越感が士郎の射精感を高めていた。凛とセイバーの愛撫もそれに拍車をかけていた。そのうえ、綾子と桜は舌を肉棒に絡ませる。まさしく男の夢である光景が士郎の目の前に存在していた。士郎は嗚咽の様な声を漏らしてしまう。
「えみやぁ〜♡ もうでそうかぁ♡ 」
「ちゅっ♡ じゅるっ♡ しぇんぱいの、ぴくぴくしています♡ いっぱいだして、くだひゃい♡」
「ぐぅっ! おぉおぉ……っ!」
士郎は雄叫びを上げながら射精する。本日一発目の射精は桜、綾子の上半身を白く染め上げた。二人はいまだドクドクと精液を漏らしている亀頭に吸い付き、精液を飲み込む。綾子は久しぶりに喉を伝う精液に感慨深く思った。
射精が終わると桜と綾子は満足そうに唇を亀頭から離すと次は私達の番とでも言うようにセイバーと凛が前に出てくる。当然、射精直後でも士郎の男根は準備万端と言うかの様に勃っていた。
「はいはい、満足したなら変わってよね。士郎、まだまだいけるわよね♡」
「ええ、桜や綾子以上に出してもらいますよ、シロウ♡」
「あ、ああっ! こうなったらやけくそだ!!」
そう言って士郎は気合いを入れる。セイバー、凛、桜、そして綾子はその発言に笑みを深める。淫靡なクインテットはまだ始まったばかりであった。